JP2014222205A - 光学非破壊検査方法及び光学非破壊検査装置 - Google Patents

光学非破壊検査方法及び光学非破壊検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザ光にて測定対象物を破壊することなく加熱して測定対象物の温度上昇特性に基づいて測定対象物の状態を判定する方法において、判定に用いる閾値等を、実際のサンプル品からではなく仮想サンプルモデルを使ったシミュレーションから求め、より理想状態に近いサンプルの結果を用いることで、より正確な判定を行うことができる、光学非破壊検査方法及び光学非破壊検査装置を提供する。
【解決手段】記憶手段60には、測定対象物をモデル化した仮想サンプルモデルであって測定対象物の状態に応じてパラメータが変更された複数の仮想サンプルモデルが記憶されており、制御手段50にて、測定対象物の実温度上昇特性と、仮想下限サンプルモデルの仮想下限温度上昇特性及び仮想上限サンプルモデルの仮想上限温度上昇特性と、を比較して、実温度上昇特性が、仮想下限温度上昇特性と仮想上限温度上昇特性の間にあるか否かを判定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学非破壊検査方法及び光学非破壊検査装置に関する。
例えば半導体チップに電極をワイヤボンディングで接続する場合、種々の方法で電極とワイヤを接合するが、電極とワイヤとが適切に接合されていることを検査する必要がある。
従来では、接合個所を顕微鏡等で拡大して作業者が目視で検査したり、所定のサンプルを抜き取り、電極とワイヤを破壊してその強度等を検査したりしていた。
作業者の目視で検査した場合、作業者のスキルによる差や、同じ作業者であっても疲れや体調等による差が発生するので、検査結果の信頼性が低く、検査の効率も悪い。
また抜き取りサンプルで破壊検査をした場合、実際にサンプルとして破壊されなかった対象物のすべて(抜き取られなかった残りのすべて)が、破壊したサンプルと同じ状態であると保証することはできない。
そこで、特許文献1に記載された従来技術には、ワイヤボンディングによる接合状態の良否を、非接触にて接合部の面積から判定するために、ワイヤの対象位置をレーザで加熱し、加熱位置から放射される微少量の赤外線を2波長赤外放射温度計を用いて飽和温度に達するまでの温度変移を測定し、温度変移から接合面積と相関のある数値を求め、その数値から良否を判定する、微小径ワイヤボンディングの良否判定方法及び判定装置が記載されている。
また特許文献2に記載された従来技術には、接合部位をレーザにて所定温度まで加熱した後、温度測定用赤外線センサを用いて、レーザ照射を停止してからの温度の下降状態を測定し、温度下降状態に基づいて接合状態の良否を判定する微小な金属接合部位の評価方法が記載されている。また反射率測定用レーザと、反射率測定用赤外線センサと、を備え、反射率を測定して検出した温度下降状態を補正している。
また特許文献3に記載された従来技術には、真空チャンバー内の高周波コイル内で試料を溶融・浮遊させ、レーザ加熱による熱物性値測定法を忠実に表現する熱伝導の基礎式を導き、高温融体導電材料の真の熱物性を直接的に測定することができる高温融体導電材料の熱物性測定方法及び測定装置が記載されている。
特開2011−191232号公報 特開2008−145344号公報 特許第4857422号公報
特許文献1に記載された従来技術では、必要最小限の接合面積を有している実際のサンプルの温度変移量の所定時間の積(すなわち、温度上昇特性から求められる面積)と、必要最大限の接合面積を有している実際のサンプルの温度変移量の所定時間の積(面積)と、の間に、検査対象の温度変移量の所定時間の積(面積)が存在する場合に、良品と判定している。しかし、必要最小限の接合面積を有している実際のサンプルや、必要最大限の接合面積を有している実際のサンプルを、故意に作成することは非常に困難である。また、大量のサンプルの中から必要最小限の接合面積のサンプルや必要最大限の接合面積のサンプルを選定するのも非常に困難である。従って、温度変移量(温度上昇特性に相当)の、より正確な上限カーブや下限カーブを得ることが非常に困難であるので、より正確な判定ができない可能性がある。なお、特許文献1では、最小限の接合面積のサンプルの飽和温度と、最大限の接合面積の飽和温度等が、同一の飽和温度に収束している図が示されている。しかし、接合面積が大きい場合は放熱量が多いので飽和温度が低くなる傾向にあり、接合面積が小さい場合は放熱量が少ないので飽和温度が高くなる傾向にあり、図示されている特性グラフが得られない可能性があるので、より正確な判定ができない可能性がある。
また特許文献2も同様に、最大限の接合面積を有する実際のサンプルや、最小限の接合面積を有する実際のサンプルを、故意に作成することも選定することも非常に困難であり、より正確な判定ができない可能性がある。
また特許文献3に記載された従来技術では、非常に大掛かりな装置で、試料を溶融・浮遊させるものであり、ワイヤボンディングの接合状態の検査には適用できない。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、レーザ光にて測定対象物を破壊することなく加熱して測定対象物の温度上昇特性に基づいて測定対象物の状態を判定する方法において、判定に用いる閾値等を、実際のサンプル品からではなく仮想サンプルモデルを使ったシミュレーションから求め、より理想状態に近いサンプルの結果を用いることで、より正確な判定を行うことができる、光学非破壊検査方法及び光学非破壊検査装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る光学非破壊検査方法及び光学非破壊検査装置は次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、測定対象物を破壊することなく加熱する出力に設定された加熱レーザ波長の加熱用レーザを出射する加熱用レーザ光源と、赤外線を検出可能な少なくとも1つの赤外線検出手段と、前記加熱用レーザ光源を制御するとともに前記赤外線検出手段からの検出信号を取り込む制御手段と、記憶手段と、を用いた光学非破壊検査方法である。
また、前記記憶手段には、測定対象物をモデル化した仮想サンプルモデルであって測定対象物の状態に応じてパラメータが変更された複数の前記仮想サンプルモデルが記憶され、少なくとも前記パラメータが許容下限に設定された仮想下限サンプルモデルと前記パラメータが許容上限に設定された仮想上限サンプルモデルとが記憶されている。
そして、前記制御手段から前記加熱用レーザ光源を制御して、測定対象物上に設定した測定スポットに向けて加熱用レーザを照射する、加熱用レーザ照射ステップと、前記制御手段にて前記測定スポットから放射される光の中から取り出した所定赤外線波長の赤外線を前記赤外線検出手段を用いて検出する、放射赤外線検出ステップと、前記制御手段にて、前記放射赤外線検出ステップにて検出した検出値と、前記加熱用レーザ照射ステップによる加熱用レーザの照射時間である加熱時間と、に基づいて、加熱時間に応じた前記測定スポットの温度上昇状態である実温度上昇特性を測定する、実温度上昇特性測定ステップと、前記制御手段にて、少なくとも前記仮想下限サンプルモデルと前記仮想上限サンプルモデルに対して、前記加熱用レーザ照射ステップと、前記放射赤外線検出ステップと、を仮想的に実行して、各仮想サンプルモデルに対する仮想的な加熱時間に応じた仮想サンプルモデルの測定スポットの仮想温度上昇状態である仮想温度上昇特性を得る、仮想温度上昇特性取得ステップと、前記制御手段にて、前記実温度上昇特性と、前記仮想下限サンプルモデルの仮想温度上昇特性である仮想下限温度上昇特性及び前記仮想上限サンプルモデルの仮想温度上昇特性である仮想上限温度上昇特性と、を比較して、前記実温度上昇特性が、前記仮想下限温度上昇特性と前記仮想上限温度上昇特性の間にあるか否かを判定することで測定対象物の状態を判定する、判定ステップと、を有する、光学非破壊検査方法である。
この第1の発明では、実際の測定対象物から求めた実温度上昇特性の状態を判定するための下限側の閾値等と上限側の閾値等のそれぞれを、仮想下限サンプルモデルをシミュレーションした仮想下限温度上昇特性と、仮想上限サンプルモデルをシミュレーションした仮想上限温度上昇特性としている。
これにより、判定に用いる閾値等(この場合、仮想下限温度上昇特性と仮想上限温度上昇特性)を、実際のサンプル品からではなく仮想サンプルモデルを使ったシミュレーションから求め、より理想状態に近いサンプルの結果を用いることで、より正確な判定を行うことができる。
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る光学非破壊検査方法であって、前記制御手段は、前記判定ステップにおいて、前記実温度上昇特性における時間変化に対する温度変化の傾きが所定傾き以下となる飽和温度が、予め設定した正規化飽和温度となるように、前記実温度上昇特性を温度方向に圧縮あるいは伸張した正規化実温度上昇特性と、前記仮想下限温度上昇特性における前記飽和温度が前記正規化飽和温度となるように、前記仮想下限温度上昇特性を温度方向に圧縮あるいは伸張した正規化仮想下限温度上昇特性と、前記仮想上限温度上昇特性における前記飽和温度が前記正規化飽和温度となるように、前記仮想上限温度上昇特性を温度方向に圧縮あるいは伸張した正規化仮想上限温度上昇特性と、を比較して、前記正規化飽和温度に達するまでの前記正規化実温度上昇特性が、前記正規化飽和温度に達するまでの前記正規化仮想下限温度上昇特性と前記正規化飽和温度に達するまでの前記正規化仮想上限温度上昇特性の間にあるか否かを判定することで測定対象物の状態を判定する。
この第2の発明では、実温度上昇特性、仮想下限温度上昇特性、仮想上限温度上昇特性、のそれぞれの飽和温度が一致しない場合であっても、すべて正規化飽和温度に収束するように温度方向に圧縮あるいは伸張して正規化する。
これにより、測定対象物の実際の測定結果、仮想サンプルモデルのシミュレーション結果、において飽和温度がばらばらな状態であっても、より適切に各温度上昇特性を比較することができる。
このため、より正確な判定を行うことができる。
次に、本発明の第3の発明は、測定対象物を破壊することなく加熱する出力に設定された加熱レーザ波長の加熱用レーザを出射する加熱用レーザ光源と、赤外線を検出可能な少なくとも1つの赤外線検出手段と、前記加熱用レーザ光源を制御するとともに前記赤外線検出手段からの検出信号を取り込む制御手段と、記憶手段と、を用いた光学非破壊検査方法である。
また、前記記憶手段には、測定対象物をモデル化した仮想サンプルモデルであって測定対象物の状態に応じてパラメータが変更された複数の前記仮想サンプルモデルが記憶されている。
そして、前記制御手段から前記加熱用レーザ光源を制御して、測定対象物上に設定した測定スポットに向けて加熱用レーザを照射する、加熱用レーザ照射ステップと、前記制御手段にて前記測定スポットから放射される光の中から取り出した所定赤外線波長の赤外線を前記赤外線検出手段を用いて検出する、放射赤外線検出ステップと、前記制御手段にて、前記放射赤外線検出ステップにて検出した検出値と、前記加熱用レーザ照射ステップによる加熱用レーザの照射時間である加熱時間と、に基づいて、加熱時間に応じた前記測定スポットの温度上昇状態である実温度上昇特性を測定する、実温度上昇特性測定ステップと、前記制御手段にて、各仮想サンプルモデルに対して、前記加熱用レーザ照射ステップと、前記放射赤外線検出ステップと、を仮想的に実行して、各仮想サンプルモデルに対する仮想的な加熱時間に応じた仮想サンプルモデルの測定スポットの仮想温度上昇状態である仮想温度上昇特性を得る、仮想温度上昇特性取得ステップと、前記制御手段にて、前記実温度上昇特性と、各仮想サンプルモデルの仮想温度上昇特性と、を比較して、前記実温度上昇特性が最も近似する前記仮想温度上昇特性である仮想サンプルモデルを特定し、特定した仮想サンプルモデルに設定されているパラメータに基づいて測定対象物の状態を判定する、判定ステップと、を有する、光学非破壊検査方法である。
この第3の発明では、実際の測定対象物から求めた実温度上昇特性の状態を判定するために、種々のパラメータに設定したそれぞれの仮想サンプルモデルをシミュレーションしたそれぞれの仮想温度上昇特性と比較し、より近似した結果の仮想サンプルモデルのパラメータ値と測定対象物の状態が近似している、と判定する。
これにより、判定に用いる閾値等(この場合、温度上昇特性)を、実際のサンプル品からではなく仮想サンプルモデルを使ったシミュレーションから求め、より理想状態に近いサンプルの結果を用いることで、より正確な判定を行うことができる。
また、より多くの仮想サンプルモデルの仮想温度上昇特性を用意することで、例えば接合面積の大きさを判定する場合、許容範囲内の大きさであるか否か、というレベルの判定ではなく、どのくらいの面積であるか、という詳細なレベルの判定まで行うことが可能となる。
次に、本発明の第4の発明は、上記第3の発明に係る光学非破壊検査方法であって、前記制御手段は、前記判定ステップにおいて、前記実温度上昇特性における時間変化に対する温度変化の傾きが所定傾き以下となる飽和温度が、予め設定した正規化飽和温度となるように、前記実温度上昇特性を温度方向に圧縮あるいは伸張した正規化実温度上昇特性と、各仮想サンプルモデルの仮想温度上昇特性における前記飽和温度が前記正規化飽和温度となるように、各仮想サンプルモデルの前記仮想温度上昇特性を温度方向に圧縮あるいは伸張した各仮想サンプルモデルの正規化仮想温度上昇特性と、を比較して、前記正規化飽和温度に達するまでの前記正規化実温度上昇特性が最も近似する前記正規化飽和温度に達するまでの前記正規化仮想温度上昇特性を有する仮想サンプルモデルを特定し、特定した仮想サンプルモデルに設定されているパラメータに基づいて測定対象物の状態を判定する。
この第4の発明では、実温度上昇特性、それぞれの仮想温度上昇特性、の飽和温度が一致しない場合であっても、すべて正規化飽和温度に収束するように温度方向に圧縮あるいは伸張して正規化する。
これにより、測定対象物の実際の測定結果、仮想サンプルモデルのシミュレーション結果、において飽和温度がばらばらな状態であっても、より適切に各温度上昇特性を比較することができる。
このため、より正確な判定を行うことができる。
次に、本発明の第5の発明は、上記第1の発明〜第4の発明のいずれか1つに係る光学非破壊検査方法であって、測定対象物は、2つの部材を接合した接合部を含む接合構造部位であり、前記測定スポットは、前記2つの部材における一方の部材の表面に設定されており、前記制御手段にて、前記判定ステップを実行することで、前記2つの部材の接合状態を判定する、光学非破壊検査方法である。
例えば2つの部材が電極とワイヤである場合、電極とワイヤの接合状態の判定として、第5の発明の光学非破壊検査方法を、適切に利用することができる。
次に、本発明の第6の発明は、上記第5の発明に係る光学非破壊検査方法であって、各仮想サンプルモデルは、少なくとも前記2つの部材の接合部の面積の大きさが異なるようにパラメータが変更されており、前記制御手段にて、前記判定ステップを実行することで、前記2つの部材の接合部の面積が許容範囲内であるか否かを判定する、光学非破壊検査方法である。
この第6の発明では、温度上昇特性に基づいて、例えば2つの部材が電極とワイヤである場合、電極とワイヤの接合部の面積が許容範囲内であるか否かを判定するので、電極とワイヤの接合状態の良否の判定を、より適切に行うことができる。
次に、本発明の第7の発明は、上記第1の発明〜第6の発明のいずれか1つに係る光学非破壊検査方法であって、前記制御手段からの出力信号に基づいた画像を表示可能な表示手段を用い、前記制御手段から、前記判定ステップの結果に関する情報を前記表示手段に表示させる、光学非破壊検査方法である。
この第7の発明では、判定ステップの結果に関する情報を表示手段に表示する。
判定結果の良否の表示だけでなく、例えば正規化実温度上昇特性と、正規化仮想下限温度上昇特性と、正規化仮想上限温度上昇特性と、を重ねて表示することで、作業者は、良否の状態だけでなく、理想状態からどれくらい下限側あるいは上限側にずれているか、を容易に認識することができるので、測定対象物の品質のばらつきの管理に役立てることができる。
次に、本発明の第8の発明は、上記第1の発明〜第7の発明のいずれか1つに係る光学非破壊検査方法を実施するための光学非破壊検査装置である。
この第8の発明では、判定に用いる閾値等を、実際のサンプル品からではなく仮想サンプルモデルを使ったシミュレーションから求め、より理想状態に近いサンプルの結果を用いることで、より正確な判定を行うことができる光学非破壊検査装置を提供することができる。
測定対象物の例を説明する図であり、ワイヤボンディングにて電極にワイヤを接合した状態の例を説明する図である。 光学非破壊検査装置の構成の例を説明する図である。 光学非破壊検査方法の処理手順の例を説明するフローチャートである。 赤外線波長と赤外線エネルギーと温度の関係を説明する図である。 温度と、異なる2波長の赤外線のエネルギーの比(2波長比)の関係を説明する図である。 測定した温度上昇特性の例を説明する図である。 仮想下限温度上昇特性を温度方向に圧縮して正規化した正規化仮想下限温度上昇特性を説明する図である。 仮想上限温度上昇特性を温度方向に伸張して正規化した正規化仮想上限温度上昇特性を説明する図である。 正規化実温度上昇特性と、仮想理想温度上昇特性と、正規化仮想下限温度上昇特性と、正規化仮想上限温度上昇特性と、を重ねた状態の例を示す図である。 種々のパラメータに設定した各仮想サンプルモデル1〜3の仮想温度上昇特性と、実温度上昇特性と、を重ねた状態の例を示す図である。 種々のパラメータに設定した各仮想サンプルモデル1〜3の仮想温度上昇特性を正規化した正規化仮想温度上昇特性と、正規化実温度上昇特性と、を重ねた状態の例を示す図である。 測定対象物の状態の判定結果に関する情報を表示手段に表示した例を説明する図である。
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。
●[測定対象物の例(図1)]
図1を用いて測定対象物の例について説明する。
図1(A)は、基板90上に設けた各電極92に、径が数10[μm]〜数100[μm]程度のアルミ等のワイヤ93の一方端をワイヤボンディングにて接合し、基板90上のベース91上に接着剤95等にて固定した半導体チップ94の各端子に、ワイヤ93の他方端をワイヤボンディングにて接合した状態の斜視図を示している。
また図1(B)は、図1(A)をB方向から見た図である。
本実施の形態の説明では、ワイヤ93と電極92を接合した接合部96を含む接合構造部位97を測定対象物として説明する。
電極92にワイヤ93が適切に接合されているか否かを判定するには、接合部96の面積(ワイヤ93と対向している電極92の面と平行な方向の面積)が許容範囲内であるか否かで接合状態の良否を判定すればよい。
そこで、図1(B)の接合構造部位97の拡大図に示すように、接合構造部位97のワイヤ93の表面に測定スポットSPを設定し、測定スポットSPに加熱用レーザを照射して加熱する。すると、測定スポットSPの温度は徐々に上昇し、測定スポットSPからワイヤ93内及び接合部96を経由して電極92へと熱が伝播される。また測定スポットSPを含む接合構造部位97からは、上昇した温度に応じた赤外線が放射される。
また測定スポットSPの温度は徐々に上昇するが、加熱量と放熱量が一致する飽和温度に達すると、温度の上昇が止まり、加熱を継続してもほぼ一定の温度となる。ここで、接合部96の面積が比較的大きい場合は熱伝導量が多いので、加熱時間に応じた温度の上昇が比較的緩やかで飽和温度は比較的低くなり、接合部96の面積が比較的小さい場合は熱伝導量が少ないので(電極92に伝播される熱が少ない)、加熱時間に応じた温度の上昇が比較的急峻で飽和温度は比較的高くなる。
従って、測定スポットSPに加熱レーザを照射して図6に示すような温度上昇特性を測定し、温度上昇特性に基づいて、接合部96の面積の大きさを求め、求めた接合部96の面積が許容範囲内であるか否かを判定して接合状態の良否を判定することが可能である。
以降の説明にて、上述した接合状態の良否を判定することが可能な光学非破壊検査装置の構成の例、及び光学非破壊検査方法の詳細について説明する。
●[光学非破壊検査装置1の構成の例(図2)]
図2は光学非破壊検査装置1の構成の例を示している。
図2に示す光学非破壊検査装置1は、集光コリメート手段10、加熱用レーザ光源21、加熱用レーザコリメート手段41、加熱レーザ用選択反射手段11A、第1赤外線検出手段31、第1赤外線用選択反射手段12A、第1赤外線集光手段51、第2赤外線検出手段32、第2赤外線用選択反射手段13A、第2赤外線集光手段52、制御手段50、記憶手段60等にて構成されている。
なお、光学非破壊検査装置の構成は、図2に示す構成に限定されるものではない。例えば赤外線検出手段を1個にして、反射率測定用のレーザ光源と光センサ等を追加し、反射率に基づいて赤外線検出手段にて検出した検出値を補正する光学非破壊検査装置等を用いることもできる。
集光コリメート手段10は、自身の光軸に沿って一方の側から(図2の例では上方から)入射された平行光を、焦点位置として測定対象物上に設定した測定スポットSPに向けて集光して他方の側から(図2の例では下方から)出射する。
また集光コリメート手段10は、(焦点位置である)測定スポットSPから放射及び反射されて他方の側から入射された光を、自身の光軸に沿った平行光に変換して一方の側から出射する。
なお集光コリメート手段10は、光を透過させて屈折する集光レンズで構成することも可能であるが、異なる複数の波長の光を扱うので、色収差が発生する集光レンズではあまり好ましくない。そこで、(非球面)反射ミラー10A、10Bにて集光コリメート手段を構成することで、色収差の発生を排除し、広い波長帯に対応させている。
加熱用レーザ光源21は、測定対象物を破壊することなく加熱することが可能な出力に調整された、加熱レーザ波長(λa)の加熱用レーザを、制御手段50からの制御信号に基づいて出射する。例えば加熱用レーザ光源21は、半導体レーザである。
加熱用レーザコリメート手段41は、加熱用レーザ光源21の近傍(レーザ出射位置の近傍であって加熱用レーザの光軸上)に配置されて、加熱用レーザ光源21から出射された加熱用レーザを平行光の加熱用レーザLaに変換する。例えば加熱用レーザコリメート手段41は、加熱レーザ波長(λa)の光のみを平行光に変換すればよいので、コリメートレンズでよい。なお加熱用レーザ光源21が平行光の加熱用レーザを出射できるのであれば加熱用レーザコリメート手段41を省略することができる。
加熱レーザ用選択反射手段11Aは、集光コリメート手段10の光軸上に配置されて、加熱用レーザ光源21から出射されて平行光に変換された加熱レーザ波長(λa)の加熱用レーザLaを集光コリメート手段10の一方の側に向けて反射するとともに、測定スポットSPから放射及び反射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された加熱レーザ波長(λa)とは異なる波長の平行光L12を透過する。例えば加熱レーザ用選択反射手段11Aは、加熱レーザ波長(λa)の光を反射し、加熱レーザ波長(λa)以外の波長の光を透過するダイクロイックミラーである。
そして、加熱用レーザコリメート手段41と加熱レーザ用選択反射手段11Aにて加熱用レーザ導光手段が構成されており、加熱用レーザ導光手段は、加熱用レーザ光源21から出射された加熱用レーザを、平行光に変換して集光コリメート手段10の一方の側へと導く。
第1赤外線検出手段31は、測定スポットSPから放射された赤外線のエネルギーを検出可能であり、例えば第1赤外線検出手段31は、赤外線センサである。なお第1赤外線検出手段31からの検出信号は制御手段50に取り込まれる。
第1赤外線用選択反射手段12Aは、集光コリメート手段10の一方の側から出射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aを透過してきた平行光L12(加熱レーザ波長とは異なる波長の平行光)の経路上に配置されている(この場合、集光コリメート手段10の光軸上に配置されている)。そして第1赤外線用選択反射手段12Aは、集光コリメート手段10の一方の側から出射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aを透過してきた平行光L12の中から第1赤外線波長(λ1)の赤外線の平行光L1を第1赤外線検出手段31に向けて反射し、第1赤外線波長(λ1)とは異なる波長の平行光L13を透過する。
従って、第1赤外線検出手段31は、第1赤外線波長(λ1)の赤外線のエネルギーのみを検出する。例えば第1赤外線用選択反射手段12Aは、第1赤外線波長(λ1)の光を反射し、第1赤外線波長(λ1)以外の波長の光を透過するダイクロイックミラーである。
また第1赤外線集光手段51は、第1赤外線検出手段31の近傍(検出位置の近傍)に配置されて、第1赤外線用選択反射手段12Aにて反射された第1赤外線波長(λ1)の平行光L1の赤外線を、第1赤外線検出手段31に向けて集光する。例えば第1赤外線集光手段51は、第1赤外線波長(λ1)の光のみを集光すればよいので、集光レンズでよい。
そして、加熱レーザ用選択反射手段11Aと第1赤外線用選択反射手段12Aと第1赤外線集光手段51にて第1放射赤外線導光手段が構成されており、第1放射赤外線導光手段は、測定スポットSPから放射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された平行光L12の中から第1赤外線波長(λ1)の赤外線を、第1赤外線検出手段31へと導く。
第2赤外線検出手段32は、測定スポットSPから放射された赤外線のエネルギーを検出可能であり、例えば第2赤外線検出手段32は、赤外線センサである。なお第2赤外線検出手段32からの検出信号は制御手段50に取り込まれる。
第2赤外線用選択反射手段13Aは、集光コリメート手段10の一方の側から出射されて加熱レーザ用選択反射手段11A及び第1赤外線用選択反射手段12Aを透過してきた平行光L13(加熱レーザ波長及び第1赤外線波長とは異なる波長の平行光)の経路上に配置されている(この場合、集光コリメート手段10の光軸上に配置されている)。そして第2赤外線用選択反射手段13Aは、集光コリメート手段10の一方の側から出射されて加熱レーザ用選択反射手段11A及び第1赤外線用選択反射手段12Aを透過してきた平行光L13の中から第2赤外線波長(λ2)の赤外線の平行光L2を第2赤外線検出手段32に向けて反射し、第2赤外線波長(λ2)とは異なる波長の平行光L14を透過する。なお、透過した平行光L14は不要であるので、例えば光吸収体等に吸収させる。
従って、第2赤外線検出手段32は、第2赤外線波長(λ2)の赤外線のエネルギーのみを検出する。例えば第2赤外線用選択反射手段13Aは、第2赤外線波長(λ2)の光を反射し、第2赤外線波長(λ2)以外の波長の光を透過するダイクロイックミラーである。
また第2赤外線集光手段52は、第2赤外線検出手段32の近傍(検出位置の近傍)に配置されて、第2赤外線用選択反射手段13Aにて反射された第2赤外線波長(λ2)の平行光L2の赤外線を、第2赤外線検出手段32に向けて集光する。例えば第2赤外線集光手段52は、第2赤外線波長(λ2)の光のみを集光すればよいので、集光レンズでよい。
そして、加熱レーザ用選択反射手段11Aと第1赤外線用選択反射手段12Aと第2赤外線用選択反射手段13Aと第2赤外線集光手段52にて第2放射赤外線導光手段が構成されており、第2放射赤外線導光手段は、測定スポットSPから放射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された平行光L12の中から第2赤外線波長(λ2)の赤外線を、第2赤外線検出手段32へと導く。
制御手段50はパーソナルコンピュータ等であり、加熱用レーザ光源21を制御して加熱用レーザにて測定スポットSPを加熱しながら第1赤外線検出手段31からの検出信号と第2赤外線検出手段32からの検出信号を取り込み、第1赤外線検出手段31からの検出値と第2赤外線検出手段32からの検出値との比に基づいて測定スポットSPの温度を測定する。なお、温度の測定方法については後述する。
そして制御手段50は、加熱時間に応じた測定スポットの温度上昇状態である実温度上昇特性を測定し、測定した実温度上昇特性に基づいて測定対象物の状態を判定する。
なお、制御手段50の動作の詳細については後述する。
記憶手段60は例えばハードディスク等の記憶装置であり、記憶手段60には、測定対象物(この場合、電極92にワイヤ93を接合した接合部96を含む接合構造部位97)をモデル化した種々の仮想サンプルモデルが記憶されている。
各仮想サンプルモデルは、測定対象物の状態に応じてパラメータが変更されている。
例えば、電極の材質、形状、サイズと、ワイヤの材質、形状、サイズとが同一で、接合部の面積をパラメータとして、種々の面積に設定された複数の仮想サンプルモデルが記憶手段60に記憶されている。
仮想サンプルモデルは、所望する測定対象物の状態を自由に設定できるので、例えば接合部の面積を許容下限に設定した仮想下限サンプルモデルや、接合部の面積を許容上限に設定した仮想上限サンプルモデルを、理想的な下限サンプル、理想的な上限サンプルとして、容易に設定することができる。実際の物品で理想的な下限サンプル品や理想的な上限サンプル品を故意に作り出すことは非常に困難であるが、仮想サンプルモデルであれば、理想的な仮想下限サンプルや理想的な仮想上限サンプルを、容易に、かつ正確に作り出すことができる。
そして制御手段50を用いたシミュレーションにて、例えば、上記に説明した光学非破壊検査装置1を用いて仮想下限サンプルモデルに対する仮想的な加熱時間に応じた仮想下限サンプルモデルの測定スポットの仮想温度上昇状態である仮想下限温度上昇特性を、容易に得ることができる。
このように、測定対象物の状態の判定に用いる閾値等(この場合、温度上昇特性)を、実際のサンプル品からではなく、仮想サンプルモデルを使ったシミュレーションから求めるので、より理想状態に近い仮想サンプルモデルを自由に設定することが可能であり、当該仮想サンプルモデルのシミュレーション結果を用いることができるので、より正確な判定を行うことができる。
以下、制御手段50による測定対象物の状態の判定方法の手順を説明する。
●[光学非破壊検査装置の処理手順(図3〜図6)]
次に図3に示すフローチャートを用いて、図2に示す光学非破壊検査装置1の制御手段50の処理手順の例について説明する。
図3に示す処理は、実際の接合構造部位97の測定スポットの検査を行う際、制御手段50にて実行される。
ステップS10では、制御手段50は、加熱用レーザ光源を制御して、加熱用レーザ光源から加熱用レーザを出射し、ステップS15に進む。加熱用レーザは測定スポットへと導光され、測定スポットから放射された赤外線は第1赤外線検出手段及び第2赤外線検出手段へと導光される。
なお、ステップS10は、制御手段から加熱用レーザ光源を制御して、測定対象物上に設定した測定スポットに向けて加熱用レーザを照射する、加熱用レーザ照射ステップに相当する。
ステップS15にて、制御手段50は、第1赤外線検出手段からの検出信号に基づいた第1赤外線波長(λ1)の赤外線のエネルギーの検出値と、第2赤外線検出手段からの検出信号に基づいた第2赤外線波長(λ2)の赤外線のエネルギーの検出値と、ステップS10にて加熱用レーザの照射を開始してからの時間(加熱時間)と、を取り込んで、ステップS20に進む。
なお、ステップS15は、制御手段にて、測定スポットから放射される光の中から取り出した所定赤外線波長(この場合、第1赤外線波長(λ1)と第2赤外線波長(λ2))の赤外線を、赤外線検出手段(この場合、第1赤外線検出手段と第2赤外線検出手段)を用いて検出する、放射赤外線検出ステップに相当する。
ステップS20にて、制御手段50は、第1赤外線検出手段からの検出値と、第2赤外線検出手段からの検出値と、の比に基づいて、加熱時間に対応する測定スポットの温度を求め、ステップS25に進む。
なお、ステップS20は、制御手段にて、放射赤外線検出ステップにて検出した検出値と、加熱用レーザ照射ステップによる加熱用レーザの照射時間である加熱時間と、に基づいて、加熱時間に応じた測定スポットの温度上昇状態である実温度上昇特性を測定する、実温度上昇特性測定ステップに相当する。
例えば図4は、照射された光を完全に吸収及び放射する黒体の温度が各温度(M1、M2・・M6)の場合において、黒体から放射される赤外線の波長(横軸)と、各波長の赤外線のエネルギー(縦軸)の関係を示す赤外線放射特性の例を示している。
例えば測定スポットが黒体である場合であって、第1赤外線波長(λ1)の位置が図8中に示す(λ1)の位置であり、第2赤外線波長(λ2)の位置が図8中に示す(λ2)の位置であるとする。
そして制御手段50は、加熱時間T1のタイミングで取り込んだ第1赤外線検出手段にて検出した第1赤外線波長(λ1)の赤外線エネルギーの検出値がE1Aであり、第2赤外線検出手段にて検出した第2赤外線波長(λ2)の赤外線エネルギーの検出値がE2Aであった場合、検出値の比であるE1A/E2Aと、温度・2波長比特性(図5)の「E(λ1)/E(λ2)」特性より、測定スポットの温度を求め、この場合はM5[℃]であると求める。なお2波長比は、異なる2波長の赤外線のエネルギーの比である。
なお図5の例に示す温度・2波長比特性は、予め記憶手段60に記憶されている。
検出値の比を用いることで、制御手段は、測定スポットの反射率(放射率)の影響を受けることなく、正しい測定スポットの温度を求めることができる。
なお、加熱時間T2、T3、T4のタイミングで取り込んだ(第1赤外線波長の赤外線エネルギー、第2赤外線波長の赤外線エネルギー)が、それぞれ(E1B、E2B)、(E1C、E2C)、(E1D、E2D)であった場合、温度・2波長比特性より、加熱時間T2、T3、T4のタイミングのそれぞれの温度は、M4、M3、M2であることがわかる。
そして制御手段は、照射開始後の時間(加熱時間に相当)と、当該時間に対応する温度から、図6の例に示す実温度上昇特性を求める。
なお、図6中において、一点鎖線で示す仮想下限温度上昇特性は仮想下限サンプルモデル(接合面積が許容下限)を用いたシミュレーションにて得られた仮想温度上昇特性であり、二点鎖線で示す仮想上限温度上昇特性は仮想上限サンプルモデル(接合面積が許容上限)を用いたシミュレーションにて得られた仮想温度上昇特性であり、点線で示す仮想理想温度上昇特性は仮想理想サンプルモデル(接合面積が理想サイズ)を用いたシミュレーションにて得られた仮想温度上昇特性であり、実線で示す実温度上昇特性は実際の測定対象物の測定により得られた温度上昇特性である。
なお、制御手段50にて、少なくとも仮想下限サンプルモデルと仮想上限サンプルモデルに対して、加熱用レーザ照射ステップと、放射赤外線検出ステップと、を仮想的に実行して(シミュレーションして)、各仮想サンプルモデルに対する仮想的な加熱時間に応じた仮想サンプルモデルの測定スポットの温度上昇状態である仮想温度上昇特性(この場合、少なくとも仮想下限温度上昇特性と仮想上限温度上昇特性)を得る、仮想温度上昇特性取得ステップは、後述するステップS35の判定を行う前であれば、どのタイミングで行ってもよい。
また制御手段50は、仮想温度上昇特性取得ステップを、図3に示す処理手順のタイミングとは別のタイミングで予め行ってもよく、制御手段50と仮想下限サンプルモデルと仮想上限サンプルモデルを使ってシミュレーションして、予め求めておいた仮想下限温度上昇特性と仮想上限温度上昇特性を、記憶手段に記憶しておくようにしてもよい。
ステップS25に進んだ場合、制御手段50は、測定終了タイミングであるか否かを判定する。制御手段50は、求めた温度が飽和温度に達していると判定した場合、測定終了タイミングであると判定する。例えば制御手段50は、今回のステップS20にて求めた温度が、前回のステップS20にて求めた温度に対して、所定値以下の温度上昇状態であった場合、飽和温度に達したと判定する。なお飽和温度は、図6に示す実温度上昇特性の傾きが所定値以下となった場合であって、温度がほぼ一定となった状態の温度である。
制御手段50は、飽和温度に達して測定終了タイミングであると判定した場合(Yes)はステップS30に進み、測定終了タイミングでないと判定した場合(No)はステップS15に戻る。なお、ステップS15に戻る際、所定時間(例えば1ms程度)待ってから戻ると、所定時間間隔で温度を求めることができるので、より好ましい。
ステップS30に進んだ場合、制御手段50は、加熱用レーザ光源を制御して、加熱用レーザの照射を停止し、ステップS35に進む。
ステップS35にて制御手段50は、ステップS20にて求めた温度と加熱時間による実温度上昇特性と、記憶手段に記憶されている仮想下限温度上昇特性と仮想上限温度上昇特性と、を比較して、測定対象物の状態を判定し、ステップS40に進む。そして、実温度上昇特性が、仮想下限温度上昇特性と仮想上限温度上昇特性の間に有ると判定した場合は、当該測定対象物の接合状態が良好であると判定し、実温度上昇特性が、仮想下限温度上昇特性と仮想上限温度上昇特性の間から外れている判定した場合は、当該測定対象物の接合状態が不良であると判定する。
なお、ステップS35は、判定ステップに相当する。
測定した温度と加熱時間により求めた実温度上昇特性が、仮想下限温度上昇特性と仮想上限温度上昇特性の間にあることは、接合部の面積が、下限面積と上限面積の間にあることを示しており、接合部の面積が許容範囲内であることを示している。
ステップS40にて制御手段50は、判定ステップ(ステップS35)の結果に関する情報を、表示手段に表示して処理を終了する。なお、表示手段は、制御手段からの出力信号に基づいた画面を表示するものであり、例えばモニタである。
また、画面の表示の例については後述する。
また、仮想理想温度上昇特性の記憶や表示は省略してもよい。
なお、以上に説明した処理手順を実施することで、測定対象物(接合構造部位97)の状態、または2つの部材(ワイヤ93と電極92)の接合状態、または2つの部材(ワイヤ93と電極92)の接合部の面積が許容範囲内であるか否か、を制御手段にて判定する光学非破壊検査装置を構成することも、もちろん可能である。
●[各温度上昇特性の正規化(図7〜図9)]
以上の処理手順の説明では、各温度上昇特性を、加工することなくそのまま用いたが、図6における仮想下限温度上昇特性に示されているように、接合部の面積が小さい場合は放熱量が少なくなるので(ワイヤ93から電極92へと伝わって放熱される熱量が少ないので)、飽和温度が高くなる傾向にある。また、図6における仮想上限温度上昇特性に示されているように、接合部の面積が大きい場合は放熱量が多くなるので(ワイヤ93から電極92へと伝わって放熱される熱量が多いので)、飽和温度が低くなる傾向にある。
また、接合部の面積が比較的小さい場合では熱の移動が比較的少ないので、飽和温度は、加熱用レーザにて与えた熱量に対してほぼ比例関係を有している。しかし、接合部の面積が比較的大きい場合では熱の移動が比較的多いので、飽和温度は、加熱用レーザにて与えた熱量に対して比例関係が成立しなくなってくるので、接合状態の判定に誤差が発生する可能性が考えられる。
そこで、飽和温度が同一の温度となるように、各温度上昇特性を正規化する。
この場合、対象とする温度上昇特性を、時間軸方向については特に加工せず、飽和温度が、予め設定した正規化飽和温度となるように、温度方向において圧縮あるいは伸張するように加工する。
例えば、正規化飽和温度を、接合面積が理想サイズの仮想理想サンプルモデルのシミュレーションから求めた仮想理想温度上昇特性の飽和温度に設定する。
図7は、仮想下限温度上昇特性の飽和温度が正規化飽和温度となるように正規化した例を示している。この場合、飽和温度が正規化飽和温度となるように、仮想下限温度上昇特性を温度方向に圧縮することで、正規化仮想下限温度上昇特性を得ることができる。
また図8は、仮想上限温度上昇特性の飽和温度が正規化飽和温度となるように正規化した例を示している。この場合、飽和温度が正規化飽和温度となるように、仮想上限温度上昇特性を温度方向に伸張することで、正規化仮想上限温度上昇特性を得ることができる。
図9は、図6に示す各温度上昇特性を正規化した例を示している。
そして図9は、前述したステップS20にて求めた実温度上昇特性の飽和温度が正規化飽和温度となるように正規化した正規化実温度上昇特性(図9中の実線)と、正規化仮想下限温度上昇特性(図9中の一点鎖線)と、正規化仮想上限温度上昇特性(図9中の二点鎖線)と、仮想理想温度上昇特性(図9中の点線)と、を重ねた状態を示している。なお、正規化飽和温度を仮想理想温度上昇特性の飽和温度としているので、仮想理想温度上昇特性=正規化仮想理想温度上昇特性である。
例えば制御手段50は、仮想温度上昇特性取得ステップにて、仮想下限温度上昇特性から正規化仮想下限温度上昇特性を求めて記憶手段に記憶し、仮想上限温度上昇特性から正規化仮想上限温度上昇特性を求めて記憶手段に記憶しておく。
そして制御手段50は、判定ステップにおいて、実温度上昇特性から求めた正規化実温度上昇特性と、記憶手段に記憶している正規化仮想下限温度上昇特性及び正規化仮想上限温度上昇特性と、を比較して、図9に示すように、正規化飽和温度に達するまでの正規化実温度上昇特性が、正規化飽和温度に達するまでの正規化仮想下限温度上昇特性と、正規化飽和温度に達するまでの正規化仮想上限温度上昇特性と、の間にあるか否かを判定することで、測定対象物の状態を判定する。
制御手段50は、正規化飽和温度に達するまでの正規化実温度上昇特性が、正規化飽和温度に達するまでの正規化仮想下限温度上昇特性と、正規化飽和温度に達するまでの正規化仮想上限温度上昇特性と、の間にあると判定した場合は当該測定対象物の接合状態が良好であると判定し、そうでない(間から外れている)と判定した場合は当該測定対象物の接合状態が不良であると判定する。
なお、仮想理想温度上昇特性の記憶や表示は省略してもよい。
また、以上に説明した処理手順を実施する光学非破壊検査装置を構成することも、もちろん可能である。
●[仮想サンプルモデルを、下限、上限だけでなく、多数用意して判定する方法(図10)]
以上に説明した光学非破壊検査方法では、仮想下限サンプルモデルと仮想上限サンプルモデルの、少なくとも2つの仮想サンプルモデルを用いている。
そして、実温度上昇特性(または正規化実温度上昇特性)が、仮想下限温度上昇特性(または正規化仮想下限温度上昇特性)と仮想上限温度上昇特性(または正規化仮想上限温度上昇特性)の間にあるか否かで測定対象物の状態を判定したので、測定対象物の状態が良好であるか不良であるか、のいずれかの状態しか判定できない。従って、例えば接合部の面積を判定する場合、面積の大きさが良好であるか不良であるかを判定することができるが、面積がどれくらいであるか、を判定することまではできない。
そこで、以下に説明する光学非破壊検査方法では、仮想サンプルモデルを多数用意することで、測定対象物の状態の良否判定だけでなく、測定対象物の状態が、どれくらいの状態であるか、例えば面積の場合ではどれくらいの面積であるか、を判定できる光学非破壊検査方法について説明する。
処理手順の全体の流れは、図3を用いてすでに説明したとおりであり、以下の点が異なる。
記憶手段60に記憶されている仮想サンプルモデルの種類と数。
仮想温度上昇特性取得ステップにおいて、各仮想サンプルモデルの仮想温度上昇特性を求める点。
判定ステップにおいて、実温度上昇特性と最も近似する仮想温度上昇特性である仮想サンプルモデルを特定し、特定した仮想サンプルモデルに設定されているパラメータに基づいて測定対象物の状態を判定する点。
以上の相違点の詳細を、順に説明する。
記憶手段60に記憶されている仮想サンプルモデルは、測定対象物の状態に応じてパラメータが変更された複数(多数)の仮想サンプルモデルである。仮想下限サンプルモデルと仮想上限サンプルモデルを特に含まなくてもよく、パラメータが変更(許容範囲内の値で変更)された多数の仮想サンプルモデルが記憶されている。
例えばパラメータが面積の場合、各面積の大きさに対応するパラメータに設定された多数の仮想サンプルモデルが記憶手段に記憶されている。
例えば接合部の理想面積を100とした場合であって80〜120が許容範囲である場合、要求される測定精度に応じて、例えばパラメータ値が80、85、90、95、100、105、110、115、120の仮想サンプルモデルを用意する。要求される測定精度がもっと高い場合は、91、92、93・・等の仮想サンプルモデルを用意し、要求される測定精度がもっと低い場合は、80、90、100等の仮想サンプルモデルを用意すればよい。
制御手段50は、仮想温度上昇特性取得ステップにおいて、用意した各仮想サンプルモデルに対して、加熱用レーザ照射ステップと、放射赤外線検出ステップと、を仮想的に実行する(シミュレーションする)。そして、各仮想サンプルモデルに対する仮想的な加熱時間に応じた仮想サンプルモデルの測定スポットの温度上昇状態である仮想温度上昇特性を得て、得られた各仮想温度上昇特性を記憶手段に記憶しておく。
そして制御手段50は、判定ステップにおいて、実温度上昇特性と最も近似する仮想温度上昇特性である仮想サンプルモデルを特定し、特定した仮想サンプルモデルに設定されているパラメータに基づいて測定対象物の状態を判定する。
例えば図10において、仮想サンプルモデル1はパラメータ(面積)が80に設定されており、仮想サンプルモデル2はパラメータ(面積)が110に設定されており、仮想サンプルモデル3はパラメータ(面積)が120に設定されているものとする。
この場合、図10においてパラメータが110に設定された仮想サンプルモデル2の仮想温度上昇特性が、実温度上昇特性と最も近似すると判定され、当該測定対象物の状態の判定結果は良好、面積の値については、許容範囲80〜120かつ理想面積100に対して、110である、と判定することができる。
●[各温度上昇特性の正規化(図11)]
また、上述したように、各仮想温度上昇特性、実温度上昇特性、を正規化して判定に用いてもよい。
図11は、図10に示す各温度上昇特性を、温度方向に圧縮あるいは伸張して正規化した例を示している。
この場合、「正規化飽和温度に達するまでの正規化実温度上昇特性」が最も近似する「正規化飽和温度に達するまでの正規化仮想温度上昇特性」を有する仮想サンプルモデルを特定し、特定した仮想サンプルモデルに設定されているパラメータに基づいて測定対象物の状態を判定する。
この場合、制御手段50は、図11においてパラメータが110の仮想サンプルモデル2の正規化仮想温度上昇特性(正規化飽和温度に達するまでの特性)が、実温度上昇特性(正規化飽和温度に達するまでの特性)と最も近似すると判定し、当該測定対象物の状態の判定結果は良好、面積の値については、許容範囲80〜120かつ理想面積100に対して、110である、と判定することができる。
●[判定結果に関する情報の表示(図12)]
なお、図3のフローチャートにおけるステップS40の表示の例を図12に示す。
図12に示す例は、制御手段50の表示手段50Gの画面50Mに、制御手段の判定結果に関する情報(この場合、図11を用いた判定結果に関する情報)を表示した例を示している。
この例では、判定結果は「良好」であり、上限面積120、理想面積100、下限面積80である場合において、実温度上昇特性(または正規化実温度上昇特性)と、各仮想温度上昇特性(または各正規化仮想温度上昇特性)と、から求めた測定対象物の接合部の面積が、110であった場合を示している。作業者は、この数字(この場合、110)を見ることで、測定対象物の状態は許容範囲に収まってはいるが、上限側に少しずれていると容易に判断することができるので、接合面積がやや小さくなるように接合用の装置を調整して理想面積に近づけるようにすることが容易であり、品質管理を行う際に非常に便利である。
また図12の例では、画面50Mの一部に、正規化実温度上昇特性(画面50M中の実線)と、正規化仮想下限温度上昇特性(この場合、面積80の特性であり、画面50M中の一点鎖線)と、正規化仮想上限温度上昇特性(この場合、面積120の特性であり、画面50M中の二点鎖線)と、理想仮想温度上昇特性(この場合、面積100の特性であり、画面50M中の点線)と、を重ねた温度上昇特性グラフも表示した例を示している。この温度上昇特性グラフを見るだけでも、作業者は、測定対象物の状態は許容範囲に収まってはいるが、上限側に少しずれていると容易に判断することができるので、接合面積がやや小さくなるように接合用の装置を調整して理想面積に近づけるようにすることが容易であり、品質管理を行う際に非常に便利である。
以上、本実施の形態にて説明した光学非破壊検査装置は、加熱用レーザにて加熱を開始してから飽和温度に達するまでの数10ms程度の期間の温度上昇特性を用いて測定対象物の状態を判定するので、加熱後の放熱状態で判定する場合(数10秒〜数分程度)と比較して、非常に検査時間が短い。
また、ワイヤボンディング個所の接合の良否判定に利用することが可能であり、作業者による目視の検査や、抜き取りサンプルの破壊検査等と比較して、より高い信頼性で検査することができる。
また、実際の物品で許容下限のサンプル品や許容上限のサンプル品の作成や選別をする必要がなく、所望する許容下限の仮想サンプルモデルや所望する許容上限の仮想サンプルモデルを自由に作成することができるので、手間なく、より正確な判定を行うことができる。
また、各温度上昇特性の飽和温度がばらばらであっても、温度方向に圧縮または伸張して正規化することで、より正確な判定を行うことができる。
さらに、許容範囲内でパラメータの値を種々の値に変更した多数の仮想サンプルモデルを利用することで、例えば面積を判定する場合、良否判定だけでなく、どれくらいの面積であるか、を適切に判定することができる。
本発明の光学非破壊検査方法及び光学非破壊検査装置、の処理手順、構成、構造、外観、形状等は、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
なお、本実施の形態にて説明した赤外線放射特性(図4)の例と、この赤外線放射特性中に示した第1赤外線波長(λ1)、第2赤外線波長(λ2)の位置は、ひとつの例であり、これに限定されるものではない。
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)、AとCの間にBがあるという表現(A<B<C)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
1 光学非破壊検査装置
10 集光コリメート手段
10A、10B (非球面)反射ミラー
11A 加熱レーザ用選択反射手段
12A 第1赤外線用選択反射手段
13A 第2赤外線用選択反射手段
21 加熱用レーザ光源
31 第1赤外線検出手段
32 第2赤外線検出手段
41 加熱用レーザコリメート手段
50 制御手段
50G 表示手段
51 第1赤外線集光手段
52 第2赤外線集光手段
60 記憶手段
92 電極
93 ワイヤ
96 接合部
97 接合構造部位
SP 測定スポット

Claims (8)

  1. 測定対象物を破壊することなく加熱する出力に設定された加熱レーザ波長の加熱用レーザを出射する加熱用レーザ光源と、
    赤外線を検出可能な少なくとも1つの赤外線検出手段と、
    前記加熱用レーザ光源を制御するとともに前記赤外線検出手段からの検出信号を取り込む制御手段と、
    記憶手段と、を用い、
    前記記憶手段には、測定対象物をモデル化した仮想サンプルモデルであって測定対象物の状態に応じてパラメータが変更された複数の前記仮想サンプルモデルが記憶され、少なくとも前記パラメータが許容下限に設定された仮想下限サンプルモデルと前記パラメータが許容上限に設定された仮想上限サンプルモデルとが記憶されており、
    前記制御手段から前記加熱用レーザ光源を制御して、測定対象物上に設定した測定スポットに向けて加熱用レーザを照射する、加熱用レーザ照射ステップと、
    前記制御手段にて前記測定スポットから放射される光の中から取り出した所定赤外線波長の赤外線を前記赤外線検出手段を用いて検出する、放射赤外線検出ステップと、
    前記制御手段にて、前記放射赤外線検出ステップにて検出した検出値と、前記加熱用レーザ照射ステップによる加熱用レーザの照射時間である加熱時間と、に基づいて、加熱時間に応じた前記測定スポットの温度上昇状態である実温度上昇特性を測定する、実温度上昇特性測定ステップと、
    前記制御手段にて、少なくとも前記仮想下限サンプルモデルと前記仮想上限サンプルモデルに対して、前記加熱用レーザ照射ステップと、前記放射赤外線検出ステップと、を仮想的に実行して、各仮想サンプルモデルに対する仮想的な加熱時間に応じた仮想サンプルモデルの測定スポットの仮想温度上昇状態である仮想温度上昇特性を得る、仮想温度上昇特性取得ステップと、
    前記制御手段にて、前記実温度上昇特性と、前記仮想下限サンプルモデルの仮想温度上昇特性である仮想下限温度上昇特性及び前記仮想上限サンプルモデルの仮想温度上昇特性である仮想上限温度上昇特性と、を比較して、前記実温度上昇特性が、前記仮想下限温度上昇特性と前記仮想上限温度上昇特性の間にあるか否かを判定することで測定対象物の状態を判定する、判定ステップと、を有する、
    光学非破壊検査方法。
  2. 請求項1に記載の光学非破壊検査方法であって、
    前記制御手段は、
    前記判定ステップにおいて、
    前記実温度上昇特性における時間変化に対する温度変化の傾きが所定傾き以下となる飽和温度が、予め設定した正規化飽和温度となるように、前記実温度上昇特性を温度方向に圧縮あるいは伸張した正規化実温度上昇特性と、
    前記仮想下限温度上昇特性における前記飽和温度が前記正規化飽和温度となるように、前記仮想下限温度上昇特性を温度方向に圧縮あるいは伸張した正規化仮想下限温度上昇特性と、
    前記仮想上限温度上昇特性における前記飽和温度が前記正規化飽和温度となるように、前記仮想上限温度上昇特性を温度方向に圧縮あるいは伸張した正規化仮想上限温度上昇特性と、を比較して、
    前記正規化飽和温度に達するまでの前記正規化実温度上昇特性が、前記正規化飽和温度に達するまでの前記正規化仮想下限温度上昇特性と前記正規化飽和温度に達するまでの前記正規化仮想上限温度上昇特性の間にあるか否かを判定することで測定対象物の状態を判定する、
    光学非破壊検査方法。
  3. 測定対象物を破壊することなく加熱する出力に設定された加熱レーザ波長の加熱用レーザを出射する加熱用レーザ光源と、
    赤外線を検出可能な少なくとも1つの赤外線検出手段と、
    前記加熱用レーザ光源を制御するとともに前記赤外線検出手段からの検出信号を取り込む制御手段と、
    記憶手段と、を用い、
    前記記憶手段には、測定対象物をモデル化した仮想サンプルモデルであって測定対象物の状態に応じてパラメータが変更された複数の前記仮想サンプルモデルが記憶されており、
    前記制御手段から前記加熱用レーザ光源を制御して、測定対象物上に設定した測定スポットに向けて加熱用レーザを照射する、加熱用レーザ照射ステップと、
    前記制御手段にて前記測定スポットから放射される光の中から取り出した所定赤外線波長の赤外線を前記赤外線検出手段を用いて検出する、放射赤外線検出ステップと、
    前記制御手段にて、前記放射赤外線検出ステップにて検出した検出値と、前記加熱用レーザ照射ステップによる加熱用レーザの照射時間である加熱時間と、に基づいて、加熱時間に応じた前記測定スポットの温度上昇状態である実温度上昇特性を測定する、実温度上昇特性測定ステップと、
    前記制御手段にて、各仮想サンプルモデルに対して、前記加熱用レーザ照射ステップと、前記放射赤外線検出ステップと、を仮想的に実行して、各仮想サンプルモデルに対する仮想的な加熱時間に応じた仮想サンプルモデルの測定スポットの仮想温度上昇状態である仮想温度上昇特性を得る、仮想温度上昇特性取得ステップと、
    前記制御手段にて、前記実温度上昇特性と、各仮想サンプルモデルの仮想温度上昇特性と、を比較して、前記実温度上昇特性が最も近似する前記仮想温度上昇特性である仮想サンプルモデルを特定し、特定した仮想サンプルモデルに設定されているパラメータに基づいて測定対象物の状態を判定する、判定ステップと、を有する、
    光学非破壊検査方法。
  4. 請求項3に記載の光学非破壊検査方法であって、
    前記制御手段は、
    前記判定ステップにおいて、
    前記実温度上昇特性における時間変化に対する温度変化の傾きが所定傾き以下となる飽和温度が、予め設定した正規化飽和温度となるように、前記実温度上昇特性を温度方向に圧縮あるいは伸張した正規化実温度上昇特性と、
    各仮想サンプルモデルの仮想温度上昇特性における前記飽和温度が前記正規化飽和温度となるように、各仮想サンプルモデルの前記仮想温度上昇特性を温度方向に圧縮あるいは伸張した各仮想サンプルモデルの正規化仮想温度上昇特性と、を比較して、
    前記正規化飽和温度に達するまでの前記正規化実温度上昇特性が最も近似する前記正規化飽和温度に達するまでの前記正規化仮想温度上昇特性を有する仮想サンプルモデルを特定し、特定した仮想サンプルモデルに設定されているパラメータに基づいて測定対象物の状態を判定する、
    光学非破壊検査方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学非破壊検査方法であって、
    測定対象物は、2つの部材を接合した接合部を含む接合構造部位であり、
    前記測定スポットは、前記2つの部材における一方の部材の表面に設定されており、
    前記制御手段にて、
    前記判定ステップを実行することで、前記2つの部材の接合状態を判定する、
    光学非破壊検査方法。
  6. 請求項5に記載の光学非破壊検査方法であって、
    各仮想サンプルモデルは、少なくとも前記2つの部材の接合部の面積の大きさが異なるようにパラメータが変更されており、
    前記制御手段にて、
    前記判定ステップを実行することで、前記2つの部材の接合部の面積が許容範囲内であるか否かを判定する、
    光学非破壊検査方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学非破壊検査方法であって、
    前記制御手段からの出力信号に基づいた画像を表示可能な表示手段を用い、
    前記制御手段から、
    前記判定ステップの結果に関する情報を前記表示手段に表示させる、
    光学非破壊検査方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学非破壊検査方法を実施するための光学非破壊検査装置。

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JP2020516867A (ja) * 2017-04-18 2020-06-11 サウジ アラビアン オイル カンパニー 定量赤外線サーモグラフィを使用して複合構造物を検査するための装置、システム、および方法
JP2021105541A (ja) * 2019-12-26 2021-07-26 日立Astemo株式会社 放熱経路診断装置

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