JP2015230252A - 光学非破壊検査方法及び光学非破壊検査装置 - Google Patents

光学非破壊検査方法及び光学非破壊検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】溶着されることなく圧接にて結合された2つのワークの圧接部であって一方のワークにおける圧接部と他方のワークにおける圧接部とが互いに導電部材で構成された圧接部、における圧接状態を、より容易に、より短時間に、より適切に検査することができる、光学非破壊検査方法及び光学非破壊検査装置を提供する。
【解決手段】ワークの表面に測定スポットSPを設定し、加熱用レーザ光源21、複数の赤外線の中から選択された波長の赤外線を検出する第1赤外線検出手段31、第2赤外線検出手段32、制御手段50を用い、測定スポットに加熱用レーザを照射する加熱ステップ、測定スポットから放射される熱線から求めた測定スポットの温度と加熱時間とに応じた測定スポットの温度上昇特性を得る温度上昇特性取得ステップ、温度上昇特性に基づいて圧接部91B、92Bにおける接触面積及び接触圧力を含む圧接状態の良否を判定する判定ステップ、を有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、溶着されることなく圧接にて結合された2つのワークの圧接部であって一方のワークにおける前記圧接部と他方のワークにおける前記圧接部とが互いに導電部材で構成された前記圧接部、における圧接状態を判定する光学非破壊検査方法及び光学非破壊検査装置に関する。
近年では、自動車や家電品等の用途に応じた大小さまざまな制御ユニットが開発され、当該制御ユニット内には種々の電子回路基板が用いられており、当該電子回路基板には、種々の接点等が組み付けられている。例えば図1に示すように、基板90には、銅箔や錫メッキ等の内壁91Bを有するスルーホール91が形成されており、当該スルーホール91に、プレスフィットピン92(接点)が挿入(圧入)される場合がある。この場合、スルーホール91の内壁91B(圧接部)は、銅箔や錫メッキ等の導電部材であり、プレスフィットピン92の弾性変形部92B(圧接部)も導電部材である。そしてプレスフィットピン92の弾性変形部92Bの外径は、内壁91Bの内径よりもやや大きく設定されている。プレスフィットピン92の弾性変形部92Bは、スルーホール91に挿入されると変形して外径が縮径し、弾性的な復元力にてスルーホール91の内壁91Bに対して圧接状態となる。この圧接状態における圧接部の接触面積と接触圧力が、当該圧接部における導電率に影響する。例えばプレスフィットピン92の弾性変形部92Bが異常な変形状態となってスルーホール91の内壁91Bとの接触面積が極端に小さい場合や、接触圧力が極端に低い場合では、導電率が低下して、所望する導電率を確保できない場合(導通不良となる場合)がある。また、プレスフィットピン92をスルーホール91に挿入した際、スルーホール91の内壁91Bが削られて所望する導電率を確保できない場合もある。そこで、スルーホール91内に挿入されたプレスフィットピン92の挿入状態や圧接状態を検査する種々の方法及び種々の装置が開示されている。
例えば特許文献1には、プレスフィットピンの一部であって基板の挿入孔に挿入した際に基板からはみ出す位置に貫通孔である検査穴を形成しておき、基板の挿入孔にプレスフィットピンを挿入する前と、基板の挿入孔にプレスフィットピンを挿入した後で、検査穴の位置を検出して挿入状態の良否を判定する、プレスフィット端子の挿入状態検査装置が記載されている。なお、検出の際は、プレスフィットピンに発光部から光を照射して、透過画像または反射画像を撮像し、挿入前に撮像した画像中における検査穴の位置と、挿入後に撮像した画像中における検査穴の位置と、からプレスフィットピンの挿入状態を検査している。
また特許文献2には、基板の挿入孔に挿入されたプレスフィットピンの先端に超音波発振機の振動子を当接し、当該プレスフィットピンの先端からの反射波を受信する反射波受信機と、挿入孔に対してプレスフィットピンの先端と反対側であってプレスフィットピンが圧接されている挿入孔と連続している導電体(プレスフィットピンが挿入されているスルーホールのランド)からの伝播波を受信する伝播波受信機と、を接続したプレスフィットピンの接合状態検査装置が記載されている。なお検査では、良好な接合状態にあるプレスフィットピンの場合の基準反射波波形と基準伝播波波形との少なくとも一方の比較を行うことで、良否を判定している。
特許第5175681号公報 特開2010−86868号公報
特許文献1に記載の発明では、基板の挿入孔へのプレスフィットピンの挿入状態を画像にて判定できるが、プレスフィットピンと挿入孔との圧接状態を検査することができないので、本来の目的である電気導通状態の検査ができていない可能性がある。プレスフィットピンが正しい位置に挿入されていても、プレスフィットピンの圧接部における変形状態や、基板の挿通孔の内壁の削れ状態等により、電気導通状態が所望する導通状態でない可能性がある。
また特許文献2に記載の発明では、プレスフィットピンと挿入孔との圧接状態を検査することができるが、検査のためにプレスフィットピンの先端やプレスフィットピンの近傍に、超音波発振機の振動子や、伝播波を受信するピン等を、所望する位置に、所望する状態で固定しなければならないため、検査が容易ではない。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、溶着されることなく圧接にて結合された2つのワークの圧接部であって一方のワークにおける圧接部と他方のワークにおける圧接部とが互いに導電部材で構成された圧接部、における圧接状態を、より容易に、より短時間に、より適切に検査することができる、光学非破壊検査方法及び光学非破壊検査装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る光学非破壊検査方法及び光学非破壊検査装置は次の手段をとる。まず、本発明の第1の発明は、溶着されることなく圧接にて結合された2つのワークの圧接部であって一方のワークにおける前記圧接部と他方のワークにおける前記圧接部とが互いに導電部材で構成された前記圧接部、における圧接状態を判定する光学非破壊検査方法であって、前記圧接部の近傍における一方のワークの表面であって前記圧接部を含む導電部材の表面に測定スポットを設定し、所定レーザ波長の加熱用レーザを出射する加熱用レーザ光源と、第1赤外線波長と第3赤外線波長を含む複数の赤外線波長の中から選択された赤外線波長の赤外線を検出可能な第1赤外線検出手段と、第2赤外線波長の赤外線を検出可能な第2赤外線検出手段と、前記加熱用レーザ光源を制御するとともに前記第1赤外線検出手段及び前記第2赤外線検出手段からの検出信号を取り込む制御手段と、を用いる。そして、前記制御手段から前記加熱用レーザ光源を制御して、前記測定スポットに、前記ワークを破壊することなく加熱する熱量に調整された前記加熱用レーザを照射して、前記測定スポットを加熱する、加熱ステップと、前記加熱ステップによる加熱を行いながら、前記制御手段にて前記測定スポットから放射される赤外線を前記第1赤外線検出手段と前記第2赤外線検出手段を用いて検出して前記測定スポットの温度を求め、加熱時間に応じた前記測定スポットの温度上昇状態である温度上昇特性を得る、温度上昇特性取得ステップと、熱伝導量の影響を受ける加熱点である前記測定スポットの前記温度上昇特性に基づいて、前記制御手段にて前記2つのワークの前記圧接部における接触面積及び接触圧力を含む圧接状態の良否を判定する、判定ステップと、を有し、前記温度上昇特性取得ステップにおいて、前記制御手段にて、前記測定スポットの温度を求める際、前記第1赤外線検出手段にて検出している赤外線の波長、及び前記第1赤外線検出手段からの検出値と前記第2赤外線検出手段からの検出値との比、に基づいて前記測定スポットの温度を求め、求めた温度に応じて前記第1赤外線検出手段にて検出する赤外線の波長を切替える、光学非破壊検査方法である。
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る光学非破壊検査方法であって、前記2つのワークにおける前記圧接部の少なくとも一方には、前記2つのワークの前記圧接部の導電部材のそれぞれの融点よりも低い融点の合金または金属がメッキされており、前記加熱ステップでは、前記制御手段から前記加熱用レーザ光源を制御して、前記ワークを破壊することなく加熱する熱量であるとともに前記メッキの融点未満となる熱量に調整された出力の前記加熱用レーザを前記測定スポットに照射し、前記判定ステップにおいて良品であると判定した場合、前記制御手段にて前記加熱用レーザ光源の出力を前記ワークを破壊することなく加熱する熱量であるとともに前記メッキの融点以上となる熱量に調整された出力である新たな加熱用レーザへと上昇させた後、前記測定スポットに前記新たな加熱用レーザを所定時間照射することで前記メッキを溶融させて前記圧接部において前記2つのワークを溶着させる、溶着ステップ、を有する、光学非破壊検査方法である。
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明に係る光学非破壊検査方法であって、前記2つのワークにおける前記圧接部の少なくとも一方には、前記2つのワークの前記圧接部の導電部材のそれぞれの融点よりも低い融点の合金または金属がメッキされており、前記加熱ステップでは、前記制御手段から前記加熱用レーザ光源を制御して、前記ワークを破壊することなく加熱する熱量であるとともに前記メッキの融点以上となる熱量に調整された出力の前記加熱用レーザを前記測定スポットに照射する、光学非破壊検査方法である。
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明〜第3の発明のいずれか1つに係る光学非破壊検査方法であって、前記判定ステップでは、前記制御手段にて、前記測定スポットへの前記加熱用レーザの照射の開始時点から、前記温度上昇特性において時間の経過に対する温度の上昇状態が所定上昇状態以下となる熱平衡状態となるまでの時間が、予め設定した第1基準閾値と第2基準閾値との間に収まっていない場合に、前記接触面積が所望する大きさの面積の範囲から外れている不良品である、あるいは前記接触圧力が所望する圧力の範囲から外れている不良品である、と判定する、光学非破壊検査方法である。
次に、本発明の第5の発明は、上記第1の発明〜第4の発明のいずれか1つに係る光学非破壊検査方法であって、前記第1赤外線検出手段にて検出する赤外線の波長は、前記第1赤外線波長あるいは前記第3赤外線波長であり、前記第1赤外線波長と前記第2赤外線波長と前記第3赤外線波長のそれぞれの長さは、前記第1赤外線波長>前記第2赤外線波長>前記第3赤外線波長、あるいは前記第1赤外線波長<前記第2赤外線波長<前記第3赤外線波長、に設定されている、光学非破壊検査方法である。
次に、本発明の第6の発明は、上記第1の発明〜第5の発明のいずれか1つに係る光学非破壊検査方法を実行するための光学非破壊検査装置であって、前記加熱用レーザ光源と、光軸に沿って一方の側から入射された平行光を、焦点位置として設定した前記測定スポットに向けて集光して他方の側から出射するとともに、前記測定スポットから放射及び反射されて他方の側から入射された光を、光軸に沿った平行光である測定光に変換して一方の側から出射する集光コリメート手段と、前記加熱用レーザを平行光に変換して前記集光コリメート手段の一方の側へと導く加熱用レーザ導光手段と、前記第1赤外線検出手段及び前記第2赤外線検出手段と、前記測定光に含まれている赤外線であって前記測定スポットから放射された熱に対応する前記第1赤外線波長の赤外線と前記第3赤外線波長の赤外線とを含む複数の赤外線波長の中からいずれかの赤外線を選択して前記第1赤外線検出手段へと導く赤外線選択導光手段と、前記測定光に含まれている赤外線であって前記測定スポットから放射された熱に対応する前記第2赤外線波長の赤外線を前記第2赤外線検出手段へと導く赤外線導光手段と、前記制御手段と、を備える、光学非破壊検査装置である。
第1の発明によれば、例えば2つのワークがプレスフィットピンとスルーホールであって、スルーホールにプレスフィットピンを挿通して、スルーホールの内壁(導電部材)にプレスフィットピン(導電部材)が溶着されることなく圧接にて結合されている状態において、プレスフィットピンの先端に測定スポットを設定して、当該測定スポットに加熱用レーザを照射して、温度上昇特性を求めることで、圧接部における接触面積及び接触圧力の異常の有無を適切に判定することができる。また、2つのワークに対して非接触にて温度上昇特性を得ることができるので、より容易に判定することができる。また、適切な出力の加熱用レーザを用いることで、非常に短時間に、所望する温度上昇特性を得ることができる。すなわち、所望する電気導通状態(圧接状態)であるか否かを、より容易に、より短時間に、より適切に検査することができる。また、測定スポットの温度を求める際、第1赤外線波長の赤外線と第2赤外線波長の赤外線、あるいは第2赤外線波長の赤外線と第3赤外線波長の赤外線等、第1赤外線検出手段にて検出する赤外線の波長を選択して測定することで、より正確な温度を測定できる。
第2の発明によれば、溶着されることなく圧接にて結合された2つのワークが、所望する圧接状態であることを確認した後、溶着ステップにて、適切に、且つ容易に、圧接部を溶着することができる。また、メッキ削れ部や、錫等による微細ヒゲを溶融して、より信頼性の高い圧接状態(電気導通状態)とすることができる。
第3の発明によれば、第2の発明における加熱ステップと溶着ステップとを同時に行うことができるので、より短時間に圧接状態の検査を行うことができる。
第4の発明によれば、温度上昇特性における熱平衡状態となるまでの時間に基づいて判定することで、接触面積あるいは接触圧力が所望する面積の範囲または所望する圧力の範囲から外れていることを適切に判定することができる。
第5の発明によれば、より正確な温度を求めるための、第1赤外線波長、第2赤外線波長、第3赤外線波長、を適切に選定することができる。
第6の発明によれば、第1発明〜第5発明のいずれか1つに係る光学非破壊検査方法を実行するための光学非破壊検査装置を、適切に実現することができる。
測定対象物である2つのワーク(プレスフィットピンとスルーホール)を結合する前における、各ワークの外観の例を説明する斜視図である。 図1においてスルーホールにプレスフィットピンを挿通した場合における、II−II断面図である。 図2におけるIII部の拡大図であり、測定スポットの位置、及び熱線(赤外線)の放射、測定スポットから圧接部へと熱が伝導する様子等を説明する図である。 第1の実施の形態の光学非破壊検査装置の構成の例を説明する図である。 第2の実施の形態の光学非破壊検査装置の構成の例を説明する図である。 第3の実施の形態の光学非破壊検査装置の構成の例を説明する図である。 第4の実施の形態の光学非破壊検査装置の構成の例を説明する図である。 光学非破壊検査方法の処理手順の例を説明するフローチャートである。 第1赤外線用選択反射手段と第3赤外線用選択反射手段と位置移動手段の例を説明する図である。 赤外線波長と赤外線エネルギーと温度の関係を説明する図である。 温度と、異なる2波長の赤外線のエネルギーの比(2波長比)の関係を説明する図である。 測定した温度上昇特性の例を説明する図である。 温度上昇特性を温度方向に圧縮して正規化した正規化温度上昇特性を説明する図である。 温度上昇特性を温度方向に伸張して正規化した正規化温度上昇特性を説明する図である。 正規化理想温度上昇特性と、正規化下限温度上昇特性と、正規化上限温度上昇特性と、を重ねた状態の例を示す図である。 測定対象物の圧接状態の判定結果に関する情報を表示手段に表示した例を説明する図である。
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。
●[測定対象物の例(図1〜図3)]
図1を用いて測定対象物の例について説明する。図1は、測定対象物である基板90に形成されたスルーホール91、及びプレスフィットピン92の外観の例を示している。本実施の形態の説明では、このスルーホール91とプレスフィットピン92が、測定対象物である2つのワークに相当している。そしてスルーホール91は、基板90に形成された貫通孔に対して、貫通孔の内壁部分である内壁91B、及び貫通孔の縁部に設けられたランド91Aを有している。またランド91Aは、基板90の表と裏に設けられて内壁91Bと接続されており、例えば基板90上における他の電子部品取り付け用のランド等に、基板上にプリントされた配線にて接続されている。また内壁91B、ランド91Aは導電部材(例えば銅箔やハンダメッキ等)で形成されている。なお、本実施の形態では、内壁91Bがスルーホール91における圧接部に相当している。
プレスフィットピン92は、導電部材で形成されており、先端部92A、弾性変形部92B、ベース部92C等を有している。弾性変形部92Bの幅は、スルーホール91の内壁91Bの内径よりもやや大きく設定されており、スルーホール91にプレスフィットピン92の先端部92Aから弾性変形部92Bまでが挿通されると、弾性変形部92Bは弾性変形し、弾性変形の復元力にて内壁91Bに圧接する。これにより、スルーホール91に、プレスフィットピン92が、溶着されることなく圧接された状態で結合される(図2、図3参照)。なお、本実施の形態では、弾性変形部92Bがプレスフィットピン92における圧接部に相当している。
スルーホール91の圧接部(内壁91B)に対して、プレスフィットピン92の圧接部(弾性変形部92B)が適切な圧接状態でない場合、所望する電気導通状態を確保することができず、導通不良となる場合がある。例えばプレスフィットピン92が内壁91B内で異常形状に変形して圧接部の接触面積が異常に小さい場合や、圧接部の接触圧力が異常に小さい場合や、内壁91Bが弾性変形部92Bに大きく削られている場合等では、電気抵抗が異常に高くなる等の導通不良が発生する場合がある。
スルーホール91の内壁91Bとプレスフィットピン92の弾性変形部92Bとの圧接状態が所望する状態(所望する接触面積、及び所望する接触圧力)であるか否かを判定するには、熱の伝播状態にて判定することができる。例えば図3において、圧接部の近傍における一方のワークの表面であって圧接部を含む導電部材の表面となる、プレスフィットピン92の先端に測定スポットSPを設定する。そして測定スポットSPに加熱用レーザを照射して測定スポットSPを非接触で加熱する。すると、測定スポットSPの温度は徐々に上昇し、測定スポットSPからプレスフィットピン92及び内壁91Bを経由して熱が伝播される。また測定スポットSPを含むプレスフィットピン92やスルーホール91からは、上昇した温度に応じた熱線(赤外線)が放射される。そして、放射される熱線(赤外線)を非接触で測定して測定スポットSPの温度を求めることで、圧接部を経由して放熱される熱の伝播状態(図3中において点線にて示す)を間接的に測定し、圧接部の接触面積及び接触圧力を求めることができる。
また測定スポットSPの温度は徐々に上昇するが、加熱量と放熱量が一致する飽和温度に達すると、温度の上昇が止まり、加熱を継続してもほぼ一定の温度となる。ここで、圧接部における接触面積が比較的大きい場合や接触圧力が比較的大きい場合では熱伝導量が多いので、加熱時間に応じた温度の上昇が比較的緩やかで飽和温度は比較的低くなる。また圧接部における接触面積が比較的小さい場合や接触圧力が比較的小さい場合では熱伝導量が少ないので、加熱時間に応じた温度の上昇が比較的急峻で飽和温度は比較的高くなる。従って、測定スポットSPに加熱用レーザを照射して図12に示すような温度上昇特性を測定し、温度上昇特性に基づいて、圧接部における接触面積及び接触圧力が許容範囲内であるか否かを判定して圧接状態の良否を判定することが可能である。以降の説明にて、上述した圧接状態の良否を判定することが可能な光学非破壊検査装置の構成(第1の実施の形態〜第4の実施の形態)の例、及び光学非破壊検査方法の詳細について説明する。
●[第1の実施の形態における光学非破壊検査装置1Aの構成の例(図4)]
図4は第1の実施の形態の光学非破壊検査装置1Aの構成の例を示しており、図5は第2の実施の形態の光学非破壊検査装置1Bの構成の例を示しており、図6は第3の実施の形態の光学非破壊検査装置1Cの構成の例を示しており、図7は第4の実施の形態の光学非破壊検査装置1Dの構成の例を示している。なお第1〜第4の実施の形態では、各構成要素は同じであるが、各構成要素の配置位置や方向(反射方向や透過方向)等が異なる。まず図4に示す第1の実施の形態の光学非破壊検査装置1Aの構成について説明する。
図4に示す光学非破壊検査装置1Aは、集光コリメート手段10、加熱用レーザ光源21、加熱用レーザコリメート手段41、加熱レーザ用選択反射手段11A、第1赤外線検出手段31、第2赤外線用選択反射手段13B、第1赤外線用選択反射手段15A、第3赤外線用選択反射手段16A、位置移動手段53、第1赤外線集光手段51、第2赤外線検出手段32、第2赤外線集光手段52、制御手段50、記憶手段60等にて構成されている。
集光コリメート手段10は、自身の光軸に沿って一方の側から(図4の例では上方から)入射された平行光を、焦点位置として測定対象物上に設定した測定スポットSPに向けて集光して他方の側から(図4の例では下方から)出射する。また集光コリメート手段10は、(焦点位置である)測定スポットSPから放射及び反射されて他方の側から入射された光を、自身の光軸に沿った平行光である第1測定光L11に変換して一方の側から出射する。なお集光コリメート手段10は、光を透過させて屈折する集光レンズで構成することも可能であるが、異なる複数の波長の光を扱うので、色収差が発生する集光レンズではあまり好ましくない。そこで、(非球面)反射ミラー10A、10Bにて集光コリメート手段を構成することで、色収差の発生を排除し、広い波長帯に対応させている。
加熱用レーザ光源21は、測定対象物を破壊することなく加熱することが可能な出力に調整された、加熱レーザ波長(λa)の加熱用レーザを、制御手段50からの制御信号に基づいて出射する。例えば加熱用レーザ光源21は、λ=約450[nm]のブルーレーザを出射する半導体レーザ光源である。加熱用レーザコリメート手段41は、加熱用レーザ光源21の近傍(レーザ出射位置の近傍であって加熱用レーザの光軸上)に配置されて、加熱用レーザ光源21から出射された加熱用レーザを平行光の加熱用レーザLaに変換する。例えば加熱用レーザコリメート手段41は、加熱レーザ波長(λa)の光のみを平行光に変換すればよいので、コリメートレンズでよい。なお加熱用レーザ光源21が平行光の加熱用レーザを出射できるのであれば加熱用レーザコリメート手段41を省略することができる。
加熱レーザ用選択反射手段11Aは、集光コリメート手段10の光軸上に配置されて、加熱用レーザ光源21から出射されて平行光に変換された加熱レーザ波長(λa)の加熱用レーザLaを集光コリメート手段10の一方の側に向けて反射するとともに、測定スポットSPから放射及び反射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された加熱レーザ波長(λa)とは異なる波長の平行光である第2測定光L12を透過する。例えば加熱レーザ用選択反射手段11Aは、加熱レーザ波長(λa)の光を反射し、加熱レーザ波長(λa)以外の波長の光を透過するダイクロイックミラーである。なお、測定スポットSPから放射及び反射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された平行光である測定光を第1測定光L11と呼び、第1測定光L11から加熱レーザ波長の光が取り出された残りの測定光を、第2測定光L12と呼ぶ。そして、加熱用レーザコリメート手段41と加熱レーザ用選択反射手段11Aにて加熱用レーザ導光手段が構成されており、加熱用レーザ導光手段は、加熱用レーザ光源21から出射された加熱用レーザを、平行光に変換して集光コリメート手段10の一方の側へと導く。
第1赤外線検出手段31、第2赤外線検出手段32は、測定スポットSPから放射された赤外線のエネルギーを検出可能であり、例えば第1赤外線検出手段31、第2赤外線検出手段32は、赤外線センサである。なお第1赤外線検出手段31、第2赤外線検出手段32からの検出信号は制御手段50に取り込まれる。
第2赤外線用選択反射手段13Bは、集光コリメート手段10の一方の側から出射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aを透過してきた平行光である第2測定光L12(加熱レーザ波長とは異なる波長の平行光)の経路上に配置されている(この場合、集光コリメート手段10の光軸上に配置されている)。そして第2赤外線用選択反射手段13Bは、集光コリメート手段10の一方の側から出射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aを透過してきた平行光である第2測定光L12の中から第2赤外線波長(λ2)の赤外線の平行光L2を第2赤外線検出手段32に向けて透過し、第2赤外線波長(λ2)とは異なる波長の平行光である第3測定光L13を反射する。従って、第2赤外線検出手段32は、第2赤外線波長(λ2)の赤外線のエネルギーのみを検出する。例えば第2赤外線用選択反射手段13Bは、第2赤外線波長(λ2)の光を透過し、第2赤外線波長(λ2)以外の波長の光を反射するダイクロイックミラーである。なお、以降の説明では、第1赤外線波長(λ1)<第2赤外線波長(λ2)<第3赤外線波長(λ3)に設定した場合の例を説明する。
また第2赤外線集光手段52は、第2赤外線検出手段32の近傍(検出位置の近傍)に配置されて、第2赤外線用選択反射手段13Bを透過してきた第2赤外線波長(λ2)の平行光の赤外線を、第2赤外線検出手段32に向けて集光する。例えば第2赤外線集光手段52は、第2赤外線波長(λ2)の光のみを集光すればよいので、集光レンズでよい。そして、加熱レーザ用選択反射手段11Aと第2赤外線用選択反射手段13Bと第2赤外線集光手段52にて第2放射赤外線導光手段(赤外線導光手段に相当)が構成されており、第2放射赤外線導光手段は、測定スポットSPから放射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された平行光である第2測定光L12の中から第2赤外線波長(λ2)の赤外線を、第2赤外線検出手段32へと導く。
第2赤外線用選択反射手段13Bにて第2赤外線検出手段32とは異なる方向(第1赤外線検出手段31に向かう方向)に反射された(第2赤外線波長(λ2)とは異なる波長の)平行光である第3測定光L13の経路上には、第1赤外線用選択反射手段15Aまたは第3赤外線用選択反射手段16Aのいずれかが配置される。制御手段50は、位置移動手段53を制御することで、平行光である第3測定光L13の経路上に、第1赤外線用選択反射手段15Aまたは第3赤外線用選択反射手段16Aのいずれかが配置されるように、第1赤外線用選択反射手段15Aと第3赤外線用選択反射手段16Aを移動させることができる。
第1赤外線用選択反射手段15Aは、平行光である第3測定光L13の経路上に配置された場合に第3測定光L13の中から第1赤外線波長(λ1)の赤外線を透過するフィルタやダイクロイックミラーである。第3赤外線用選択反射手段16Aは、平行光である第3測定光L13の経路上に配置された場合に第3測定光L13の中から第3赤外線波長(λ3)の赤外線を透過するフィルタやダイクロイックミラーである。位置移動手段53は、制御手段50からの制御信号によって、第1赤外線用選択反射手段15Aと第3赤外線用選択反射手段16Aのいずれか一方の位置を、第3測定光L13の経路上に移動させることが可能である。
なお図9に、位置移動手段53と第1赤外線用選択反射手段15Aと第3赤外線用選択反射手段16Aの構造の例を示す。位置移動手段53は電動モータであり、制御手段50からの制御信号に基づいて、円板状の支持体53Aを任意の方向に回転させることができる。支持体53Aには、空洞部に第1赤外線用選択反射手段15A(または15B)と、第3赤外線用選択反射手段16A(または16B)が取り付けられている。そして制御手段50は、位置移動手段53を制御して支持体53Aを回転駆動することで、第1赤外線用選択反射手段15A(または15B)の位置と、第3赤外線用選択反射手段16A(または16B)の位置を変更することができる。
また第1赤外線集光手段51は、第1赤外線検出手段31の近傍(検出位置の近傍)に配置されて、第1赤外線用選択反射手段15Aあるいは第3赤外線用選択反射手段16Aを透過してきた第1赤外線波長(λ1)あるいは第3赤外線波長(λ3)の平行光の赤外線を、第1赤外線検出手段31に向けて集光する。例えば第1赤外線集光手段51は、集光レンズでよい。そして、加熱レーザ用選択反射手段11Aと第2赤外線用選択反射手段13Bと第1赤外線用選択反射手段15Aと第3赤外線用選択反射手段16Aと位置移動手段53と第1赤外線集光手段51にて第1放射赤外線導光手段(赤外線選択導光手段に相当)が構成されており、第1放射赤外線導光手段は、測定スポットSPから放射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された平行光である第3測定光L13の中から第1赤外線波長(λ1)または第3赤外線波長(λ3)の赤外線を、第1赤外線検出手段31へと導く。
なお、図4において点線で囲んだ「他の例」に示すように、第1赤外線用選択反射手段15Aを、第1赤外線波長(λ1)の赤外線を「反射」する第1赤外線用選択反射手段15B(ダイクロイックミラー等)に変更し、第3赤外線用選択反射手段16Aを、第3赤外線波長(λ3)の赤外線を「反射」する第3赤外線用選択反射手段16B(ダイクロイックミラー等)に変更してもよい。この場合、平行光である第3測定光L13の中から反射された第1赤外線波長(λ1)または第3赤外線波長(λ3)の平行光の先に、第1赤外線集光手段51と第1赤外線検出手段31が配置される。
制御手段50はパーソナルコンピュータ等であり、加熱用レーザ光源21を制御して加熱用レーザにて測定スポットSPを加熱しながら第1赤外線検出手段31からの検出信号と第2赤外線検出手段32からの検出信号を取り込み、第1赤外線検出手段31からの検出値と第2赤外線検出手段32からの検出値との比に基づいて測定スポットSPの温度を測定する。そして制御手段50は、加熱時間に応じた測定スポットの温度上昇状態である温度上昇特性を測定し、測定した温度上昇特性に基づいて測定対象物の圧接状態を判定し、測定中において、測定した温度に応じて位置移動手段53(第1放射赤外線導光手段)を制御して、第1赤外線検出手段31にて検出する赤外線の波長を、第1赤外線波長(λ1)または第3赤外線波長(λ3)のいずれかに変更する。なお、温度の測定方法については後述する。そして制御手段50は、加熱時間に応じた測定スポットの温度上昇状態である温度上昇特性を測定し、測定した温度上昇特性に基づいて測定対象物の圧接状態を判定する。
記憶手段60は例えばハードディスク等の記憶装置であり、記憶手段60には、判定するべき測定対象物の圧接状態に応じて異なる温度上昇特性等が記憶されている。例えば、図15に示す正規化上限温度上昇特性、正規化理想温度上昇特性、正規化下限温度上昇特性、正規化飽和温度、第1基準閾値、理想基準閾値、第2基準閾値等が記憶されている。また記憶手段60には、検出した赤外線(λ1)、(λ2)、(λ3)のエネルギーであるE(λ1)、E(λ2)、E(λ3)の比であるE(λ1)/E(λ2)から温度に換算するE(λ1)/E(λ2)特性や、E(λ2)/E(λ3)から温度に換算するE(λ2)/E(λ3)特性(図11参照)も記憶されている。
そして制御手段50にて、光学非破壊検査装置1Aを用いて温度上昇特性を測定し、測定した温度上昇特性における加熱開始時点からの時間変化に対する温度変化である傾きが所定傾き以下となる飽和温度へと至るまでの時間が、予め設定した第1基準閾値と第2基準閾値との間に収まっていない場合(第1基準閾値、第2基準閾値も、記憶手段60に記憶されている)、測定対象物の圧接部における接触面積が所望する大きさの面積の範囲から外れている不良品である、あるいは、圧接部における接触圧力が所望する圧力の範囲から外れている不良品である、と判定する。なお、制御手段50の動作の詳細については後述する。
●[第2の実施の形態における光学非破壊検査装置1Bの構成の例(図5)]
次に図5を用いて、第2の実施の形態の光学非破壊検査装置1Bの構成について説明する。第2の実施の形態の光学非破壊検査装置1Bは、第1の実施の形態の光学非破壊検査装置1Aに対して、第2赤外線用選択反射手段13Aの動作が異なり、第1赤外線検出手段31、第2赤外線検出手段32等の配置が異なる。以下、第1の実施の形態の光学非破壊検査装置1Aとの相違点について主に説明する。
第2赤外線用選択反射手段13Aは、集光コリメート手段10の一方の側から出射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aを透過してきた平行光である第2測定光L12(加熱レーザ波長とは異なる波長の平行光)の経路上に配置されている(この場合、集光コリメート手段10の光軸上に配置されている)点は、図4中の第2赤外線用選択反射手段13Bと同じである。しかし、第2赤外線用選択反射手段13Aは、集光コリメート手段10の一方の側から出射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aを透過してきた平行光である第2測定光L12の中から第2赤外線波長(λ2)の赤外線の平行光L2を第2赤外線検出手段32に向けて反射し(図4中の第2赤外線用選択反射手段13Bでは透過)、第2赤外線波長(λ2)とは異なる波長の平行光である第3測定光L13を透過(図4中の第2赤外線用選択反射手段13Bでは反射)する点が異なる。例えば第2赤外線用選択反射手段13Aは、第2赤外線波長(λ2)の光を反射し、第2赤外線波長(λ2)以外の波長の光を透過するダイクロイックミラーである。
このため、第2赤外線用選択反射手段13Aの反射先に、第2赤外線集光手段52及び第2赤外線検出手段32が配置され、第2赤外線用選択反射手段13Aの透過先に、第1赤外線用選択反射手段15A、第3赤外線用選択反射手段16A、位置移動手段53、第1赤外線集光手段51、第1赤外線検出手段31が配置されている。
なお、図5において点線で囲んだ「他の例」に示すように、第1赤外線用選択反射手段15Aを、第1赤外線波長(λ1)の赤外線を「反射」する第1赤外線用選択反射手段15B(ダイクロイックミラー等)に変更し、第2赤外線用選択反射手段16Aを、第3赤外線波長(λ3)の赤外線を「反射」する第3赤外線用選択反射手段16B(ダイクロイックミラー等)に変更してもよい。この場合、平行光である第3測定光L13の中から反射された第1赤外線波長(λ1)または第3赤外線波長(λ3)の平行光の先に、第1赤外線集光手段51と第1赤外線検出手段31が配置される。
●[第3の実施の形態における光学非破壊検査装置1Cの構成の例(図6)]
次に図6を用いて、第3の実施の形態の光学非破壊検査装置1Cの構成について説明する。第3の実施の形態の光学非破壊検査装置1Cは、第1の実施の形態の光学非破壊検査装置1Aに対して、加熱レーザ用選択反射手段11Bの動作が異なり、加熱用レーザ光源21の配置が異なる。以下、第1の実施の形態の光学非破壊検査装置1Aとの相違点について主に説明する。
加熱レーザ用選択反射手段11Bは、集光コリメート手段10の光軸上に配置されて、加熱用レーザ光源21から出射されて平行光に変換された加熱レーザ波長(λa)の加熱用レーザLaを集光コリメート手段10の一方の側に向けて透過(図4中の加熱レーザ用選択反射手段11Aでは反射)するとともに、測定スポットSPから放射及び反射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された加熱レーザ波長(λa)とは異なる波長の平行光である第2測定光L12を反射(図4中の加熱レーザ用選択反射手段11Aでは透過)する。例えば加熱レーザ用選択反射手段11Bは、加熱レーザ波長(λa)の光を透過し、加熱レーザ波長(λa)以外の波長の光を反射するダイクロイックミラーである。加熱レーザ用選択反射手段11Bにて反射された、加熱レーザ波長(λa)以外の波長の平行光である第2測定光L12の先は、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
なお、図6において点線で囲んだ「他の例」に示すように、第1赤外線用選択反射手段15Aを、第1赤外線波長(λ1)の赤外線を「反射」する第1赤外線用選択反射手段15B(ダイクロイックミラー等)に変更し、第2赤外線用選択反射手段16Aを、第3赤外線波長(λ3)の赤外線を「反射」する第3赤外線用選択反射手段16B(ダイクロイックミラー等)に変更してもよい。この場合、平行光である第3測定光L13の中から反射された第1赤外線波長(λ1)または第3赤外線波長(λ3)の平行光の先に、第1赤外線集光手段51と第1赤外線検出手段31が配置される。
●[第4の実施の形態における光学非破壊検査装置1Dの構成の例(図7)]
次に図7を用いて、第4の実施の形態の光学非破壊検査装置1Dの構成について説明する。第4の実施の形態の光学非破壊検査装置1Dは、第2の実施の形態の光学非破壊検査装置1Bに対して、加熱レーザ用選択反射手段11Bの動作が異なり、加熱用レーザ光源21等の配置が異なる。以下、第2の実施の形態の光学非破壊検査装置1Bとの相違点について主に説明する。
加熱レーザ用選択反射手段11Bは、第3の実施の形態と同様に、集光コリメート手段10の光軸上に配置されて、加熱用レーザ光源21から出射されて平行光に変換された加熱レーザ波長(λa)の加熱用レーザLaを集光コリメート手段10の一方の側に向けて透過(加熱レーザ用選択反射手段11Aでは反射)するとともに、測定スポットSPから放射及び反射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された加熱レーザ波長(λa)とは異なる波長の平行光である第2測定光L12を反射(図4中の加熱レーザ用選択反射手段11Aでは透過)する。例えば加熱レーザ用選択反射手段11Bは、加熱レーザ波長(λa)の光を透過し、加熱レーザ波長(λa)以外の波長の光を反射するダイクロイックミラーである。加熱レーザ用選択反射手段11Bにて反射された、加熱レーザ波長(λa)以外の波長の平行光である第2測定光L12の先は、第2の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
なお、図7において点線で囲んだ「他の例」に示すように、第1赤外線用選択反射手段15Aを、第1赤外線波長(λ1)の赤外線を「反射」する第1赤外線用選択反射手段15B(ダイクロイックミラー等)に変更し、第3赤外線用選択反射手段16Aを、第3赤外線波長(λ3)の赤外線を「反射」する第3赤外線用選択反射手段16B(ダイクロイックミラー等)に変更してもよい。この場合、平行光である第3測定光L13の中から反射された第1赤外線波長(λ1)または第3赤外線波長(λ3)の平行光の先に、第1赤外線集光手段51と第1赤外線検出手段31が配置される。
●[光学非破壊検査方法の処理手順(図8)]
次に図8に示すフローチャートを用いて、制御手段50の処理手順の例について説明する。なお光学非破壊検査装置の構成については、第1〜第4の実施の形態のいずれでもよい。図8に示す処理は、内壁91Bと弾性変形部92Bとの圧接状態の検査を行う際、制御手段50にて実行される。以下、図8に示すフローチャートの各処理の詳細を順に説明する。
ステップS5では、制御手段50は、位置移動手段を制御して、低温測定用の赤外線用選択反射手段(この場合、第3赤外線用選択反射手段16A(16B))を、平行光である第3測定光L13の経路上に配置し、ステップS10に進む。ステップS10では、制御手段50は、加熱用レーザ光源を制御して、加熱用レーザ光源から加熱用レーザを出射し、ステップS15に進む。加熱用レーザは測定スポットへと導光され、測定スポットから放射された赤外線は第1赤外線検出手段及び第2赤外線検出手段へと導光される。なお、加熱用レーザの出力は、ワークを破壊することなく加熱する熱量となるように、予め調整されている。ステップS10は、制御手段から加熱用レーザ光源を制御して、測定対象物上に設定した測定スポットに向けて、ワークを破壊することなく加熱する熱量に調整された加熱用レーザを照射して測定スポットを加熱する、加熱ステップに相当する。
ステップS15にて制御手段50は、第1赤外線検出手段からの検出信号に基づいた選択赤外線波長(第3赤外線用選択反射手段16A(16B)が第3測定光L13の経路上にある場合は第3赤外線波長(λ3)、第1赤外線用選択反射手段15A(15B)が第3測定光L13の経路上にある場合は第1赤外線波長(λ1))の赤外線のエネルギーの検出値と、第2赤外線検出手段からの検出信号に基づいた第2赤外線波長(λ2)の赤外線のエネルギーの検出値と、ステップS10にて加熱用レーザの照射を開始してからの時間(加熱時間)と、を取り込んで、ステップS20に進む。ステップS20にて、制御手段50は、第1赤外線検出手段からの検出値と、第2赤外線検出手段からの検出値と、の比に基づいて、加熱時間に対応する測定スポットの温度を求め、ステップS25に進む。
ステップS25にて制御手段50は、測定した温度が、第1赤外線波長(λ1)と第3赤外線波長(λ3)を切り替えるべき切替温度に到達したか否かを判定する。切替温度に到達している(切替温度以上である)と判定した場合(Yes)はステップS30に進み、切替温度に到達していない(切替温度未満である)と判定した場合はステップS40に進む。なお、切替温度は、圧接部の導電部材の材質や、加熱用レーザの出力等に応じて、適切な値に設定される。ステップS30に進んだ場合、制御手段50は、前回測定した温度と今回測定した温度を比較し、温度上昇中であるか否かを判定する。温度上昇中であると判定した場合(Yes)はステップS35Aに進み、温度上昇中でない場合はステップS35Bに進む。ステップS35Aに進んだ場合、制御手段50は、位置移動手段を制御して平行光である第3測定光L13の経路上に高温測定用の赤外線用選択反射手段(この場合、第1赤外線用選択反射手段)を配置してステップS40に進む。ステップS35Bに進んだ場合、制御手段50は、位置移動手段を制御して平行光である第3測定光L13の経路上に低温測定用の赤外線用選択反射手段(この場合、第3赤外線用選択反射手段)を配置してステップS40に進む。なお、第1赤外線用選択反射手段の配置や第3赤外線用選択反射手段の配置に要する時間は、非常に短い時間(例えば1ms未満)であり、温度上昇特性の測定に影響を与えない程度に短い時間である。
そしてステップS40にて制御手段50は、測定終了タイミングであるか否かを判定する。制御手段50は、求めた温度が飽和温度に達していると判定した場合、測定終了タイミングであると判定する。例えば制御手段50は、今回のステップS20にて求めた温度が、前回のステップS20にて求めた温度に対して、所定値以下の温度上昇状態であった場合、飽和温度に達したと判定する。なお飽和温度は、図12に示す温度上昇特性の傾きが所定値以下となった場合であって、温度がほぼ一定となった熱平衡状態の温度である。制御手段50は、飽和温度に達して(熱平衡状態となって)測定終了タイミングであると判定した場合(Yes)はステップS45に進み、測定終了タイミングでないと判定した場合(No)はステップS15に戻る。なお、ステップS15に戻る際、所定時間(例えば1ms程度)待ってから戻ると、所定時間間隔で温度を求めることができるので、より好ましい。例えばステップS35Aにて第1赤外線用選択反射手段を平行光である第3測定光L13の経路上に配置した後にステップS15に戻った場合、第1赤外線検出手段では第1赤外線波長(λ1)の赤外線エネルギーを検出することになる。なお、ステップS15〜S40は、制御手段にて、加熱ステップによる加熱を行いながら、制御手段にて測定スポットから放射される赤外線(熱線)を第1、第2赤外線検出手段を用いて検出して測定スポットの温度を求め、加熱時間に応じた測定スポットの温度上昇状態である温度上昇特性を得る、温度上昇特性取得ステップに相当する。なお、ステップS20にて測定スポットの温度を求める手順、及び温度上昇特性を取得する手順については後述する。そしてステップS45に進んだ場合、制御手段50は、加熱用レーザ光源を制御して、加熱用レーザの照射を停止し、ステップS50に進む。
ステップS50にて制御手段50は、ステップS15〜S40にて求めた温度と加熱時間による温度上昇特性(図12)における加熱開始時点から飽和温度(時間変化に対する温度変化である傾きが所定傾き以下となる温度)へと至るまでの時間を求め、圧接部における圧接状態の良否を判定してステップS55に進む。なお、ステップS50は、熱伝導量の影響を受ける加熱点である測定スポットの温度上昇特性に基づいて、制御手段にて2つのワークの圧接部における接触面積及び接触圧力を含む圧接状態の良否を判定する、判定ステップに相当する。なお、ステップS50における圧接状態の良否判定をする手順については後述する。
そしてステップS55にて制御手段50は、判定ステップ(ステップS50)の結果に関する情報を、表示手段に表示して処理を終了する。なお、表示手段は、制御手段からの出力信号に基づいた画面を表示するものであり、例えばモニタである。また、画面の表示の例については後述する。
●[ステップS20にて測定スポットの温度を求める手順と、温度上昇特性を求める手順(図10〜図12)]
次に、ステップS20にて測定スポットの温度を求める手順の詳細について説明する。例えば図10は、照射された光を完全に吸収及び放射する黒体の温度が各温度(M1、M2・・M6)の場合において、黒体から放射される赤外線の波長(横軸)と、各波長の赤外線のエネルギー(縦軸)の関係を示す赤外線放射特性の例を示している。例えば測定スポットが黒体である場合であって、第1赤外線波長(λ1)の位置が図10中に示す(λ1)の位置であり、第2赤外線波長(λ2)の位置が図10中に示す(λ2)の位置であり、第3赤外線波長(λ3)の位置が図10中に示す(λ3)の位置(第1赤外線波長(λ1)<第2赤外線波長(λ2)<第3赤外線波長(λ3))であるとする。
そして制御手段50は、加熱時間T1のタイミングで取り込んだ、第1赤外線検出手段にて検出した第3赤外線波長(λ3)の赤外線エネルギーの検出値がE3Aであり、第2赤外線検出手段にて検出した第2赤外線波長(λ2)の赤外線エネルギーの検出値がE2Aであった場合、検出値の比であるE2A/E3Aと、温度・2波長比特性(図11)の「E(λ2)/E(λ3)」特性より、測定スポットの温度を求め、この場合はM4[℃]であると求める。なお2波長比は、異なる2波長の赤外線のエネルギーの比である(この場合、E2A/E3A)。
なお、図11に示す温度・2波長比特性は、温度を横軸、2波長比を縦軸に設定しており、例えば「E(λ2)/Eλ(3)」」特性において初期の領域(A1)では、適度な傾きを有しているので、2波長比に応じた温度を適切に求めることができる。しかし、温度が高くなるに従って領域(A2)では、傾きが緩やかになり、2波長比に対する正確な温度の特定が困難になるので好ましくない。しかし、傾きが緩やかになる領域(A2)に突入する前に、(切替温度)にて「E(λ1)/E(λ2)」特性に切り替えるので、より広い温度範囲で、より高精度に温度を検出することができる。なお図11の例に示す温度・2波長比特性は、予め記憶手段に記憶されている。
このように、検出値の比を用いることで、制御手段は、測定スポットの反射率(放射率)の影響を受けることなく、正しい測定スポットの温度を求めることができる。なお、加熱時間T2、T3のタイミングで取り込んだ値(第1赤外線波長の赤外線エネルギー、第2赤外線波長の赤外線エネルギー)が、それぞれ(E3B、E2B)かつ第1赤外線検出手段にて第3赤外線波長の赤外線を検出、(E1C、E2C)かつ第1赤外線検出手段にて第1赤外線波長の赤外線を検出、であった場合、温度・2波長比特性より、加熱時間T2、T3のタイミングのそれぞれの温度は、M3[℃]、M2[℃]であることがわかる。そして制御手段は、照射開始後の時間(加熱時間に相当)と、当該時間に対応する温度から、図12の例に示す温度上昇特性を求める。
●[ステップS50にて圧接状態の良否判定をする手順(図13〜図15)]
圧接部における接触面積の大きさの違いや接触圧力の大きさの違いによって熱伝導量が変化するので飽和温度が異なることを既に説明したが、それぞれの測定対象物で飽和温度が異なっている状態で圧接状態の良否を判定するのは、あまり好ましくない。そこで、以下に説明するように、測定対象物毎の飽和温度が同じとなるように、測定した温度上昇特性を正規化することで、飽和温度の違いを排除する。
ステップS50にて制御手段50は、ステップS15〜S40にて求めた温度と加熱時間による温度上昇特性(図12)における飽和温度が、予め設定した正規化飽和温度となるように、温度方向において圧縮あるいは伸張するように加工して正規化温度上昇特性を求める(なお、時間軸方向については特に加工しない)。例えば、正規化飽和温度を、圧接部における接触面積の大きさが理想的な大きさであり、且つ接触圧力の大きさが理想的な大きさである測定対象物の温度上昇特性における飽和温度に設定し、正規化飽和温度を記憶手段60に記憶しておく。そして制御手段50は、測定した温度上昇特性の飽和温度が、正規化飽和温度よりも高い場合は、図13に示すように、測定した温度上昇特性の飽和温度が正規化飽和温度と一致するように、温度上昇特性を温度方向に圧縮して正規化温度上昇特性を得ることができる。また制御手段50は、測定した温度上昇特性の飽和温度が、正規化飽和温度よりも低い場合は、図14に示すように、測定した温度上昇特性の飽和温度が正規化飽和温度と一致するように、温度上昇特性を温度方向に伸張して正規化温度上昇特性を得ることができる。
図15は、圧接部の接触面積の大きさが理想的な大きさであり且つ圧接部の接触圧力の大きさが理想的な大きさである測定対象物の温度上昇特性を正規化した正規化理想温度上昇特性(図15中に点線にて示す)と、圧接部の接触面積の大きさが許容下限であり且つ圧接部の接触圧力の大きさが許容下限である測定対象物の温度上昇特性を正規化した正規化下限温度上昇特性(図15中に一点鎖線にて示す)と、圧接部の接触面積の大きさが許容上限であり且つ圧接部の接触圧力の大きさが許容上限である測定対象物の温度上昇特性を正規化した正規化上限温度上昇特性(図15中に二点鎖線にて示す)と、を重ねて表示した例を示している。このように、飽和温度を正規化飽和温度に一致させる正規化を行うことで、圧接部の接触面積の大きさの違いや接触圧力の大きさの違いを、加熱開始(時点)から正規化飽和温度に達するまでのグラフで表すことができる。
測定対象物の温度上昇特性を正規化した結果が、図15に示す正規化上限温度上昇特性と正規化下限温度上昇特性との間に収まっていない場合は、その測定対象物の圧接部における接触面積は所望する範囲を外れている、あるいは、圧接部における接触圧力は所望する範囲を外れている、といえる。すなわち、測定対象物の温度上昇特性を正規化した結果が、図15に示す正規化上限温度上昇特性と正規化下限温度上昇特性との間に収まっている場合は、その測定対象物の圧接部における接触面積は所望する範囲内であり、且つ圧接部における接触圧力は所望する範囲内である、といえる。
なお、求めた温度上昇特性を正規化した結果が、図15に示す正規化上限温度上昇特性と正規化下限温度上昇特性との間にあるか否かの判定を、加熱開始時点から正規化飽和温度に達するまでの時間が、第1基準閾値(正規化上限温度上昇特性において加熱開始から正規化飽和温度に達するまでの時間)と、第2基準閾値(正規化下限温度上昇特性において加熱開始から正規化飽和温度に達するまでの時間)と、の間に収まっているか否かの判定とすることもできる。この場合、ステップS50にて制御手段は、測定スポットへの加熱用レーザの照射の開始時点から、温度上昇特性において時間の経過に対する温度の上昇状態が所定上昇状態以下となる熱平衡状態となるまでの時間が、予め設定した第1基準閾値と第2基準閾値との間に収まっていない場合に、接触面積が所望する大きさの面積の範囲から外れている不良品である、あるいは接触圧力が所望する圧力の範囲から外れている不良品である、と判定する(すなわち、第1基準閾値と第2基準閾値との間に収まっている場合は良品であると判定する)。なお、正規化飽和温度、第1基準閾値、第2基準閾値は、予め記憶手段に記憶されている。
また、以上の説明では、第1基準閾値を、正規化上限温度上昇特性において加熱開始から正規化飽和温度に達するまでの時間として、第2基準閾値を、正規化下限温度上昇特性において加熱開始から正規化飽和温度に達するまでの時間とした。しかし、第1基準閾値を、正規化上限温度上昇特性において加熱開始から正規化飽和温度の90%に達するまでの時間とし、第2基準閾値を、正規化下限温度上昇特性において加熱開始から正規化飽和温度の90%に達するまでの時間とし、求めた温度上昇特性を正規化した結果において正規化飽和温度の90%に達するまでの時間が、第1基準閾値と第2基準閾値との間に収まっている場合に良品であると判定するようにしてもよい。なお、圧接状態の良否の判定方法は、以上に説明した方法に限定されない。例えば、求めた温度上昇特性における飽和温度が、所定の温度範囲内である場合に良品であると判定したり、求めた温度上昇特性を正規化することなく、飽和温度に達するまでの時間が第1基準閾値と第2基準閾値との間に収まっている場合に良品であると判定したり、求めた温度上昇特性を正規化した正規化温度上昇特性のグラフで囲まれる面積が所定範囲内である場合に良品であると判定したり、してもよい。
●[ステップS55にて表示手段に表示する判定結果に関する情報の例(図16)]
次に、ステップS55の表示の例を図16に示す。図16に示す例は、制御手段50の表示手段50Gの画面50Mに、制御手段の判定結果に関する情報を表示した例を示している。この例では、判定結果は「良好」であり、圧接部における接触面積及び接触圧力が所望する範囲内であったと判定した場合を示している。また図16の例では、画面50Mの一部に、測定対象物の正規化温度上昇特性(画面50M中に実線にて示す)と、正規化下限温度上昇特性(画面50M中に一点鎖線にて示す)と、正規化上限温度上昇特性(画面50M中に二点鎖線にて示す)と、正規化理想温度上昇特性(画面50M中に点線にて示す)と、を重ねた温度上昇特性グラフも表示した例を示している。この温度上昇特性グラフを見るだけで、作業者は、測定対象物の圧接状態は許容範囲に収まってはいるが、上限側に少しずれていると容易に判断することができるので、品質管理等を行う際に非常に便利である。
●[溶着されることなく圧接にて結合された圧接部の溶着方法]
以上の説明では、スルーホール91の内壁91Bにプレスフィットピン92の弾性変形部92Bが挿通された圧接部の圧接状態の良否を判定した。この圧接部は、溶着されることなく圧接にて結合されているが、上記の判定の結果、圧接状態が良品であると判定した場合、さらに、以下のようにして溶着することで、より確実に所望する導電率を確保することができる。なお、以下に説明する溶着ステップは、図8に示すステップS50とステップS55との間で行うようにしてもよいし、省略してもよい。
まず、前提条件として、2つのワークにおける圧接部の少なくとも一方には、2つのワークの圧接部の導電部材のそれぞれの融点よりも低い融点の合金または金属がメッキ(例えばハンダメッキや錫メッキ等)されている。例えば、スルーホール91の内壁91Bが、ハンダメッキされている。そして加熱ステップでは、制御手段から加熱用レーザ光源を制御して、ワークを破壊することなく加熱する熱量であるとともにメッキの融点未満となる熱量に調整された出力の加熱用レーザを測定スポットに照射する。
そして、判定ステップにおいて良品であると判定した場合、制御手段にて加熱用レーザ光源の出力を、ワークを破壊することなく加熱する熱量であるとともにメッキの融点以上となる熱量に調整された出力である新たな加熱用レーザへと上昇させた後、測定スポットに新たな加熱用レーザを所定時間照射することでメッキを溶融させて圧接部において2つのワークを溶着させる。この溶着させるステップが溶着ステップである。このように、溶着されることなく圧接にて結合された2つのワークが所望する圧接状態であることを確認した後、適切に、且つ容易に、圧接部を溶着することができるので、より確実に所望する導電率を確保することができる。また、メッキ削れ部や、錫等による微細ヒゲ等を溶融して、より信頼性の高い圧接状態(電気導通状態)とすることができる。また、メッキ削れ片を除去する工程も必要としない。なお上記の説明では、加熱ステップの後で、溶着ステップを実行したが、加熱ステップと溶着ステップを同時に行うこともできる。この場合、加熱ステップでは、制御手段から加熱用レーザ光源を制御して、ワークを破壊することなく加熱する熱量であるとともにメッキの融点以上となる熱量に調整された出力の加熱用レーザを測定スポットに照射すればよい。これにより、加熱ステップと溶着ステップを別々に行う場合よりも短時間で検査を終了することができる。
以上、本実施の形態にて説明した光学非破壊検査装置は、加熱用レーザにて加熱を開始してから飽和温度に達するまでの数10ms程度の期間の温度上昇特性を用いて測定対象物の状態を判定するので、非常に検査時間が短い。また圧接部の圧接状態の検査に対して、非接触で検査を行うことができるので、超音波発振機の振動子やセンサ等を、圧接部や圧接部の近傍に固定する必要が無く、容易に、且つ手間無く短時間に検査を行うことができる。また、熱の伝導状態を判定することで、導電部材(スルーホールの内壁)と導電部材(プレスフィットピンの弾性変形部)との圧接状態を判定しているので、電気導通状態を適切に判定することが可能である。従って、画像にて挿入位置を確認する方法と比較して、本来検査するべき電気導通状態を適切に検査することが可能であり、より高い信頼性で検査することができる。また、各温度上昇特性の飽和温度がばらばらであっても、予め設定した正規化飽和温度となるように温度上昇特性を温度方向に圧縮または伸張して正規化温度上昇特性を得ることで、飽和温度の違いにかかわらず正規化飽和温度に統一するように温度上昇特性を正規化して判定しているので、より正確な判定を行うことができる。
また、固定された異なる2波長の赤外線の比を利用する場合と比較して、検出する2波長を、低温測定用の2波長(第1赤外線波長(λ1)<第2赤外線波長(λ2)<第3赤外線波長(λ3)に設定した場合、第2赤外線波長(λ2)と第3赤外線波長(λ3))と、高温測定用の2波長(この場合、第1赤外線波長(λ1)と第2赤外線波長(λ2))と、を切り替えて温度を測定するので、測定可能温度範囲がより広く、且つ測定精度をより向上させることができる。
なお、以上に説明した処理手順を実施するための加熱用レーザ光源21と、集光コリメート手段10と、加熱用レーザ導光手段と、第1赤外線検出手段と、赤外線選択導光手段と、第2赤外線検出手段と、赤外線導光手段と、制御手段50を、を備えることで、測定対象物である2つの部材の圧接部における接触面積が許容範囲内であるか否か、及び接触圧力が許容範囲内であるか否か、を制御手段にて判定する光学非破壊検査装置を構成することも、もちろん可能である。
本発明の光学非破壊検査方法及び光学非破壊検査装置、の処理手順、構成、構造、外観、形状等は、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
なお、本実施の形態にて説明した赤外線放射特性(図10)の例と、この赤外線放射特性中に示した第1赤外線波長(λ1)、第2赤外線波長(λ2)、第3赤外線波長(λ3)の位置は、ひとつの例であり、これに限定されるものではない。また、本実施の形態の説明では、第1赤外線波長(λ1)と第2赤外線波長(λ2)と第3赤外線波長(λ3)の長短の関係を、第1赤外線波長(λ1)<第2赤外線波長(λ2)<第3赤外線波長(λ3)に設定した例を説明したが、第1赤外線波長(λ1)>第2赤外線波長(λ2)>第3赤外線波長(λ3)に設定してもよいし、別の設定としてもよい。
また本実施の形態の説明では、第2赤外線検出手段に導光する赤外線の波長を第2赤外線波長のみとして、第1赤外線検出手段に導光する赤外線の波長を第1赤外線波長と第3赤外線波長の2つの波長の中から選択した1つとしたが、第2赤外線検出手段に導光する赤外線の波長を、複数の波長の中から制御手段にて選択可能に構成し(選択された波長が第2赤外線波長)、第1赤外線検出手段に導光する赤外線の波長を、第1赤外線波長と第3赤外線波長を含む複数の波長の中から制御手段にて選択可能に構成するようにしてもよい。従って、第1赤外線検出手段と第2赤外線検出手段の少なくとも一方に導光する赤外線の波長を、制御手段にて選択的に変更できればよい。また、2つの波長の中から1つを選択するのでなく、図9に示した支持体53Aに3つ以上の選択反射手段(各波長に対応した選択反射手段)を設け、3つ以上の波長の中から1つを選択するように構成してもよい。
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)、AとCの間にBがあるという表現(A<B<C)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
また本実施の形態の説明では、スルーホールの内壁にプレスフィットピンの弾性変形部を圧接させた圧接部を例として説明したが、2つのワークはこれらに限定されるものではなく、導電部材で構成された種々の2つのワークの圧接部の良否判定に適用することができる。またメッキの種類は、ハンダメッキや錫メッキに限定されず、種々のメッキを用いることができる。
1A、1B、1C、1D 光学非破壊検査装置
10 集光コリメート手段
10A、10B (非球面)反射ミラー
11A、11B 加熱レーザ用選択反射手段
13A、13B 第2赤外線用選択反射手段
15A、15B 第1赤外線用選択反射手段
16A、16B 第3赤外線用選択反射手段
21 加熱用レーザ光源
31 第1赤外線検出手段(熱線検出手段)
32 第2赤外線検出手段(熱演検出手段)
41 加熱用レーザコリメート手段
50 制御手段
50G 表示手段
51 第1赤外線集光手段
52 第2赤外線集光手段
53 位置移動手段
53A 支持体
60 記憶手段
90 基板
91 スルーホール
91A ランド
91B 内壁(圧接部)
92 プレスフィットピン
92A 先端部
92B 弾性変形部(圧接部)
92C ベース部
L11 第1測定光
L12 第2測定光
L13 第3測定光
SP 測定スポット

Claims (6)

  1. 溶着されることなく圧接にて結合された2つのワークの圧接部であって一方のワークにおける前記圧接部と他方のワークにおける前記圧接部とが互いに導電部材で構成された前記圧接部、における圧接状態を判定する光学非破壊検査方法であって、
    前記圧接部の近傍における一方のワークの表面であって前記圧接部を含む導電部材の表面に測定スポットを設定し、
    所定レーザ波長の加熱用レーザを出射する加熱用レーザ光源と、
    第1赤外線波長と第3赤外線波長を含む複数の赤外線波長の中から選択された赤外線波長の赤外線を検出可能な第1赤外線検出手段と、
    第2赤外線波長の赤外線を検出可能な第2赤外線検出手段と、
    前記加熱用レーザ光源を制御するとともに前記第1赤外線検出手段及び前記第2赤外線検出手段からの検出信号を取り込む制御手段と、を用い、
    前記制御手段から前記加熱用レーザ光源を制御して、前記測定スポットに、前記ワークを破壊することなく加熱する熱量に調整された前記加熱用レーザを照射して、前記測定スポットを加熱する、加熱ステップと、
    前記加熱ステップによる加熱を行いながら、前記制御手段にて前記測定スポットから放射される赤外線を前記第1赤外線検出手段と前記第2赤外線検出手段を用いて検出して前記測定スポットの温度を求め、加熱時間に応じた前記測定スポットの温度上昇状態である温度上昇特性を得る、温度上昇特性取得ステップと、
    熱伝導量の影響を受ける加熱点である前記測定スポットの前記温度上昇特性に基づいて、前記制御手段にて前記2つのワークの前記圧接部における接触面積及び接触圧力を含む圧接状態の良否を判定する、判定ステップと、を有し、
    前記温度上昇特性取得ステップにおいて、前記制御手段にて、前記測定スポットの温度を求める際、前記第1赤外線検出手段にて検出している赤外線の波長、及び前記第1赤外線検出手段からの検出値と前記第2赤外線検出手段からの検出値との比、に基づいて前記測定スポットの温度を求め、求めた温度に応じて前記第1赤外線検出手段にて検出する赤外線の波長を切替える、
    光学非破壊検査方法。
  2. 請求項1に記載の光学非破壊検査方法であって、
    前記2つのワークにおける前記圧接部の少なくとも一方には、前記2つのワークの前記圧接部の導電部材のそれぞれの融点よりも低い融点の合金または金属がメッキされており、
    前記加熱ステップでは、前記制御手段から前記加熱用レーザ光源を制御して、前記ワークを破壊することなく加熱する熱量であるとともに前記メッキの融点未満となる熱量に調整された出力の前記加熱用レーザを前記測定スポットに照射し、
    前記判定ステップにおいて良品であると判定した場合、前記制御手段にて前記加熱用レーザ光源の出力を前記ワークを破壊することなく加熱する熱量であるとともに前記メッキの融点以上となる熱量に調整された出力である新たな加熱用レーザへと上昇させた後、前記測定スポットに前記新たな加熱用レーザを所定時間照射することで前記メッキを溶融させて前記圧接部において前記2つのワークを溶着させる、溶着ステップ、を有する、
    光学非破壊検査方法。
  3. 請求項1に記載の光学非破壊検査方法であって、
    前記2つのワークにおける前記圧接部の少なくとも一方には、前記2つのワークの前記圧接部の導電部材のそれぞれの融点よりも低い融点の合金または金属がメッキされており、
    前記加熱ステップでは、前記制御手段から前記加熱用レーザ光源を制御して、前記ワークを破壊することなく加熱する熱量であるとともに前記メッキの融点以上となる熱量に調整された出力の前記加熱用レーザを前記測定スポットに照射する、
    光学非破壊検査方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学非破壊検査方法であって、
    前記判定ステップでは、前記制御手段にて、前記測定スポットへの前記加熱用レーザの照射の開始時点から、前記温度上昇特性において時間の経過に対する温度の上昇状態が所定上昇状態以下となる熱平衡状態となるまでの時間が、予め設定した第1基準閾値と第2基準閾値との間に収まっていない場合に、前記接触面積が所望する大きさの面積の範囲から外れている不良品である、あるいは前記接触圧力が所望する圧力の範囲から外れている不良品である、と判定する、
    光学非破壊検査方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学非破壊検査方法であって、
    前記第1赤外線検出手段にて検出する赤外線の波長は、前記第1赤外線波長あるいは前記第3赤外線波長であり、
    前記第1赤外線波長と前記第2赤外線波長と前記第3赤外線波長のそれぞれの長さは、前記第1赤外線波長>前記第2赤外線波長>前記第3赤外線波長、あるいは前記第1赤外線波長<前記第2赤外線波長<前記第3赤外線波長、に設定されている、
    光学非破壊検査方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学非破壊検査方法を実行するための光学非破壊検査装置であって、
    前記加熱用レーザ光源と、
    光軸に沿って一方の側から入射された平行光を、焦点位置として設定した前記測定スポットに向けて集光して他方の側から出射するとともに、前記測定スポットから放射及び反射されて他方の側から入射された光を、光軸に沿った平行光である測定光に変換して一方の側から出射する集光コリメート手段と、
    前記加熱用レーザを平行光に変換して前記集光コリメート手段の一方の側へと導く加熱用レーザ導光手段と、
    前記第1赤外線検出手段及び前記第2赤外線検出手段と、
    前記測定光に含まれている赤外線であって前記測定スポットから放射された熱に対応する前記第1赤外線波長の赤外線と前記第3赤外線波長の赤外線とを含む複数の赤外線波長の中からいずれかの赤外線を選択して前記第1赤外線検出手段へと導く赤外線選択導光手段と、
    前記測定光に含まれている赤外線であって前記測定スポットから放射された熱に対応する前記第2赤外線波長の赤外線を前記第2赤外線検出手段へと導く赤外線導光手段と、
    前記制御手段と、を備える、
    光学非破壊検査装置。

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