JP2014221937A - 溶射組成物および溶射被膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱調理器などに付着した油や煮汁などの焦げ付きを分解除去するに有効な溶射組成物および琺瑯様溶射被膜を提供する。
【解決手段】溶射組成物(溶射材料)は、溶射被膜を形成可能なガラスフリットと、少なくとも無機酸化触媒とを含んでいる。無機酸化触媒は、低温活性型酸化触媒と、高温活性型酸化触媒とを含んでいてもよい。さらに、無機酸化触媒に加えて、親水性金属酸化物を含んでいてもよい。溶射組成物を基材に溶射し、自己クリーニング作用を有する琺瑯様溶射被膜を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、加熱調理器などに付着した油や煮汁の焦げ付きを効果的に分解除去するのに有用な溶射組成物(溶射材料又は溶射剤)および溶射被膜並びに溶射被膜を備えた部材を製造する方法に関する。
加熱調理器などに油や煮汁などが付着すると、加熱により強固に密着した焦げ付きが生じる。このような油や煮汁の焦げ付きを分解除去する先行技術として、酸化触媒を添加して自己クリーニング機能を発現させるために琺瑯が提案されている。例えば、特開2002−322575公報(特許文献1)には、硼酸アルミニウムのウイスカーを1〜30重量%の割合で含む琺瑯釉薬により、焦げ付きを除去することが記載されている。特開2004−50764公報(特許文献2)には、酸化触媒からなるセルフクリーニング剤(酸化鉄、酸化マンガン、酸化銅のうち一種以上)を琺瑯釉薬に添加し、ステンレス綱の基材にセルフクリーニング層を形成することが開示されている。特開2007−3186公報(特許文献3)には、加熱調理器のヒーターで加熱される加熱室のステンレス鋼板に、酸化触媒からなるセルフクリーニング剤(酸化鉄、酸化マンガン、酸化銅のうち一種以上)を添加した琺瑯釉薬で、セルフクリーニング層を形成することが開示されている。
特開2010−249441公報(特許文献4)には、酸化マンガン、又は酸化マンガンおよび酸化セリウムを釉薬に添加した琺瑯で調理室の側面がセルフクリーニング処理(琺瑯処理)された加熱調理器が開示されている。さらに、特開平10−23973公報(特許文献5)には、加熱調理庫の内面にセルフクリーニング琺瑯で多孔質ライニングを施し、この多孔質ライニングを加熱する加熱手段(バーナ)を備えた加熱調理装置が記載されている。また、特開平5−203165公報(特許文献6)には、加熱調理器の加熱室の内壁に、低温活性のよい触媒粉末と水と界面活性剤と耐熱バインダーとを含む塗料を塗布して耐熱被膜を形成し、焼成により蒸発する水分および界面活性剤でパスを形成し、ポーラスなセルフクリーニング層を形成した加熱調理器が記載されている。この文献には、二酸化マンガン(γ−MnO)に金又は白金を0.1〜1重量%を混合した触媒粉末が記載されている。
上記焦げ付きの分解反応は、付着物をCxHyOz、酸化触媒をnOとすると、下記反応式で表される。
CxHyOz + nO = xCO + y/2H
この分解反応において、理想的な反応では、付着汚れは全て炭酸ガスと水に分解除去されることになる。しかし、現状では、自己クリーニング作用によって加熱調理器等の付着汚れを完全に分解除去する琺瑯加工技術は確立していない。その理由は明確ではないが、汚れの組成が複雑なこと、汚れと付着面の温度が不均一で触媒作用が均一に進行しないこと、触媒活性に温度依存性のあることなどが考えられる。
そして、付着面や加熱調理器内部の温度にもよるが、自己クリーニング作用で分解されずに残った汚れは、コーキング(炭化)が進行して硬さと付着力を増す。コーキングした汚れは、一般に水や重曹の水溶液中に浸漬する方法や燃焼・灰化する方法で除去されている。水中浸漬の方法は、汚れの付着しやすい部材又は部位を脱着可能な構造にする必要はあるものの、簡便な方法であり、低コストでコーキングした汚れを除去できる。しかし、前記水中浸漬の方法では、薬剤を必要とするとともに、有効に除去する場合には、汚れと付着面の間に水が浸入しやすくするため、基板(基材)表面を親水化する必要がある。前記特許文献5では調理器内に配置したバーナにより汚れを効果的に燃焼・灰化している。しかし、バーナを用いる方法では、調理器の構造によってはバーナの設置が困難な場合があるだけでなく、調理器の構造が複雑化し高コスト化を余儀なくされる。
さらに、前記のように、加熱調理器などで多用されている琺瑯加工は、金属基板(基材)の酸洗い、下地琺瑯の塗布、艶出し琺瑯の塗布、焼き付けなどの多くの工程を含んでおり、しかも設置式の専用設備で行われている。そのため、琺瑯加工は対象物の形状および寸法に対する自由度が小さく、既設構造物(例えば、建物、橋梁、船舶、車両、機械など)に組み込まれている部材への施工や現場での加工および施工は実質上困難である。さらに、前記酸洗いは琺瑯と基板との密着強度を高めるための必須な処理であり、この工程で発生するスラッジおよび排水の処理対策は、琺瑯加工業界の大きな課題になっている。
なお、WO96/27694(特許文献7)には、鋼鉄基材の表面に、金属,セラミックスおよびそのサーメットから選ばれた溶射材料を溶射して溶射被膜を形成し、この溶射被膜の表面に、ガラス質被膜を形成し、前記溶射被膜と複合化させ、耐食性および耐溶融金属性に優れる複合被膜を有する部材を製造することが記載されている。この文献には、トップコートのガラス質被膜用フリットとして、10重量%B−25重量%NaO−5重量%CaO−60重量%SiO、8重量%ZnO−18重量%CaO−10重量%B−64重量%SiOを用いて塗布し焼成したことも記載されている。また、この文献は、溶射によりガラス質被膜を形成することも触れているが、その詳細については記載がない。
さらに、特開平10−288593号公報(特許文献8)には、酸化触媒と被膜形成粉体とをプラズマ溶射して、酸化触媒を含有する多孔体層を形成したガスセンサ、酸化触媒を分散保持した琺瑯被膜で、酸化触媒を含有する多孔体層を形成したガスセンサが記載されている。しかし、この文献には、琺瑯被膜の詳細については記載がない。
特開2002−322575公報(特許請求範囲、段落[0030]) 特開2004−50764公報(特許請求範囲) 特開2007−3186公報(特許請求範囲) 特開2010−249441公報(特許請求範囲) 特開平10−23973公報(特許請求範囲) 特開平5−203165公報(特許請求範囲、段落[0010]) WO96/27694(特許請求範囲、第10頁11行〜14行および第14頁1行〜7行) 特開平10−288593号公報(特許請求範囲、段落[0041][0042][0078][0079])
従って、本発明の目的は、付着汚れを自己クリーニング作用によって効果的に分解除去可能な琺瑯様自己クリーニング層を形成するために有用な溶射材料、この溶射材料を用いた溶射膜(溶射被膜)およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、溶射という簡単な操作で、琺瑯様自己クリーニング層を形成するために有用な溶射材料、この溶射材料を用いた溶射膜(溶射被膜)およびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、酸洗などの多くの工程で処理をしなくても、基板(基材)と高い密着強度で密着可能な琺瑯様自己クリーニング層を形成するために有用な溶射材料、この溶射材料を用いた溶射膜(溶射被膜)およびその製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、琺瑯様自己クリーニング層を形成する対象物の形状および寸法並びに材質に対する自由度が大きく、工場および現場で大気中を含め各種雰囲気中で被膜形成が可能な溶射材料、この溶射材料を用いた溶射膜(溶射被膜)およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、溶射技術の優れた特徴に着目し、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ガラスフリットが溶射により高い被膜成形能を発現すること、ガラスフリットに無機酸化触媒を添加して溶射すると、加熱調理器などの付着汚れを自己クリーニング作用によって効果的に分解除去可能な溶射被膜(琺瑯様被膜)を形成できること、さらに酸化触媒による酸化触媒作用に加えて親水化作用を付与した機能被膜を形成すると、油や煮汁の焦げ付きの分解除去に有効な触媒作用と親水作用とを有し、加熱調理器などに付着した汚れ、特にコーキングした汚れであっても容易に除去できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の溶射組成物(溶射材料又は溶射剤)は、溶射被膜を形成可能なガラスフリットと、少なくとも無機酸化触媒とを含む。
コーティング技術の1つである溶射は、溶融又は溶融に近い状態に加熱した粒子状の溶射材料を基材に吹き付けて被膜形成を行う完全なドライプロセスである。そのため、対象物の形状、寸法および材質に対する自由度は極めて大きく、大気中は勿論、各種雰囲気中での被膜形成が可能である。さらに、工場および現場での施工も可能であるという優れた特徴がある。これら溶射技術の応用によって、酸化触媒作用による自己クリーニング性を有する溶射被膜を容易に形成できる。
さらに、溶射被膜の基本的性質は、出発材料である溶射材料の化学的成分に由来するので、溶射材料の選定によって、耐食性、耐熱性、耐摩耗性、電気絶縁性、撥水性、親水性などの各種の機能性被膜を比較的容易に形成できる。このような特徴を有する溶射は、「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」(平成18年6月13日施行)において、最も重要な産業基盤技術の1つとして指定され、広範な産業分野で利用されている。このような点から、本発明は、用途に応じて広範に適用でき、有用性が高い。
本発明の溶射組成物において、無機酸化触媒は、低温活性型酸化触媒と、高温活性型酸化触媒とを含んでいてもよい。さらに、前記組成物は、(1)親水性金属酸化物で構成された無機酸化触媒、又は(2)無機酸化触媒と親水性金属酸化物とを含んでいてもよい。さらに、本発明の溶射組成物(溶射材料又は溶射剤)は、溶射被膜を形成可能なガラスフリットと、無機酸化触媒と、親水性金属酸化物とを含んでおり、前記無機酸化触媒は、低温活性型酸化触媒と、高温活性型酸化触媒とを含んでいてもよい。
前記親水性金属酸化物を、酸化触媒として用い、又は酸化触媒に加えて用いると、溶射被膜の酸化触媒作用および親水化作用により、コーキングした汚れであっても酸化分解できるとともに、親水化被膜とコーキング汚れとの間に水が侵入しやすくなり、汚れをより有効に除去できる。
なお、無機酸化触媒は、周期表第3族〜第12族に属する遷移金属の酸化物およびリン酸塩から選択された少なくとも一種であってもよい。また、低温活性型無機酸化触媒は、周期表第6族〜第11族に属する金属元素の酸化物から選択された少なくとも一種であってもよい。高温活性型無機酸化触媒は、周期表第4族、第5族、第8族、第11族、第12族に属する金属元素の酸化物およびリン酸塩から選択された少なくとも一種であってもよい。なお、低温活性型無機酸化触媒と高温活性型酸化触媒としては互いに異種の酸化触媒が使用される。例えば、低温活性型酸化触媒において、第8族金属元素の価数は2価であり、第11族金属元素の価数は1価である場合が多い。また、高温活性型酸化触媒において、周期表第8族金属元素の価数は3価であり、第11族金属元素の価数は2価である場合が多い。低温活性型無機酸化触媒と、高温活性型無機酸化触媒との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=5/95〜97/3程度であってもよい。
また、親水性金属酸化物は、周期表第1族〜第4族、第6族、第7族、第9族、第10族、第12族および第13族に属する金属元素の酸化物から選択された少なくとも一種であってもよい。なお、親水性金属酸化物としては、無機酸化触媒とは異なる種類の金属酸化物が使用できる。例えば、無機酸化触媒は、周期表第3族、第5族〜第12族に属する遷移金属の酸化物およびリン酸塩から選択された少なくとも一種であり、親水性金属酸化物は、周期表第1族〜第4族および第13族に属する金属元素の酸化物から選択された少なくとも一種であってもよい。
無機酸化触媒および親水性金属酸化物の使用量は、溶射被膜の特性を損なわない範囲で選択できる。無機酸化触媒の含有量は、例えば、ガラスフリット100重量部に対して、5〜100重量部程度であってもよく、親水性金属酸化物の含有量は、ガラスフリット100重量部に対して、5〜60重量部程度であってもよい。なお、無機酸化触媒と親水性金属酸化物との総量(無機酸化触媒が親水性金属酸化物であるときは、無機酸化触媒の使用量)は、ガラスフリット100重量部に対して、10〜100重量部程度であってもよい。また、無機酸化触媒と親水性金属酸化物との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=10/90〜90/10程度であってもよい。
本発明の溶射組成物(溶射材料)の形態は特に制限されず、例えば、粉末状、顆粒状、ペレット状、ロッド状などの形態であってもよい。また、溶射組成物(溶射材料)は、熱分解性樹脂の中空筒体内に充填してもよい。
本発明は、前記溶射組成物(溶射材料)で形成された溶射被膜(自己クリーニング性を有する溶射被膜、特に琺瑯様被膜)も包含する。
さらに、本発明は、基材に対して前記溶射組成物を溶射し、溶射被膜を形成する方法、並びに基材に対して前記溶射組成物を溶射し、溶射被膜を備えた部材を製造する方法も包含する。
なお、本明細書中、「親水性金属酸化物」とは、電気陰性度が1.8以下の元素の酸化物(又は金属酸化物)を意味する。
本発明に係る溶射組成物(溶射材料)は、酸化触媒作用および自己クリーニング作用により、加熱調理器などに付着した汚れ(油や煮汁などの焦げ付き)を容易に分解除去できる。また、溶射という簡単な操作で、琺瑯様被膜(自己クリーニング層)を形成できるだけでなく、酸洗などの多くの工程で処理をしなくても、基板(基材)と高い密着強度で密着可能な琺瑯様自己クリーニング層を形成できる。さらに、親水性金属酸化物を酸化触媒として又は酸化触媒に加えて用いると、触媒作用と親水作用との相乗効果によって、従来困難であった焦げ付きをさらに容易に分解除去できる。特に、触媒作用による分解だけでなく、親水作用により、コーキングした汚れを除去するのに有効である。また、対象物の形状および寸法並びに材質に対する自由度が大きく、工場および現場で大気中を含め各種雰囲気中で琺瑯様自己クリーニング層を容易に形成できる。
実施例1,2,8および比較例1の溶射材料で形成した被膜のX線回折パターンを示す図である。 比較例1の溶射材料で形成した被膜上の汚れを、温度200℃、300℃、350℃で2時間加熱処理したときの顕微赤外線(IR)スペクトルの変化を示す図である。 実施例3の溶射材料で形成した被膜上の汚れを、温度200℃、300℃、350℃で2時間加熱処理したときの顕微IRスペクトルの変化を示す図である。 実施例1および実施例2の溶射材料で形成した被膜上の汚れについて、加熱処理温度とIR吸収強度比(1740cm−1)との関係を示すグラフである。
本発明の溶射組成物(溶射材料又は溶射剤)は、溶射被膜を形成可能なガラスフリットと、少なくとも無機酸化触媒とを含んでいる。
[ガラスフリット]
前記ガラスフリットの種類は、特に限定されず、琺瑯用ガラスフリット、例えば、骨格主成分として、酸化ケイ素SiOを含む酸化ケイ素系フリット、酸化ホウ素Bを含む酸化ホウ素系フリット、酸化リンPを含む酸化リン系フリットなどの琺瑯用ガラスフリット(非特許文献1、社団法人日本琺瑯工業会編「ほうろう技術ガイドブック」(1996))などが例示できる。ガラスフリットは、少なくとも酸化ケイ素SiOを含む酸化ケイ素系フリット、少なくとも酸化ホウ素Bを含む酸化ホウ素系フリットである場合が多い。特に、好ましいガラスフリットは酸化ケイ素系フリットである。ガラスフリットの主成分は天然鉱物を原料にしていてもよい。なお、骨格主成分としては、通常、SiOなどのように、酸化触媒活性を示さない成分が用いられる。
前記琺瑯用ガラスフリットは、グランドコート(下引き)用、およびカバーコート(上引き)用に分類される場合がある。本発明の溶射材料は、グランドコート用又はカバーコート用の如何に係らず、最表層(トップコート)を形成可能なガラスフリットであればよい。なお、琺瑯用ガラスフリットは、骨格主成分と副(修飾)成分とからなる多成分系であり(前記非特許文献1)、琺瑯加工では不明成分をノウハウとして添加することも珍しくないので、琺瑯被膜の組成はかなり複雑である。
[無機酸化触媒]
無機酸化触媒としては、酸化反応、特に気相接触反応を触媒する種々の無機酸化触媒が使用できる。無機酸化触媒は、通常、周期表第3族〜第12族(好ましくは周期表第4族から第12族)に属する遷移金属を中心とする金属酸化物およびリン酸塩から選択でき、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。無機酸化触媒は、低温活性型触媒と高温活性型触媒とに分類でき、いずれのタイプの酸化触媒であってもよいが、少なくとも低温活性型酸化触媒を含む場合が多く、広い温度範囲で高い触媒活性を発現させるため、両者を併用するのが好ましい。なお、低温活性型触媒および高温活性型触媒については、「触媒化学概論」斯波ら、共立出版(1971)第221頁〜第224頁を参照できる。低温活性型酸化触媒は、p型酸化物半導体に属し、高温活性型酸化触媒は、n型酸化物半導体に属する。なお、無機酸化触媒は粉末状の形態で使用できる。
低温活性型酸化触媒としては、例えば、周期表第6族元素(Cr,Moなど)、第7族元素(Mnなど)、第8族元素(Fe,Ruなど)、第9族元素(Co,Rh,Irなど)、第10族元素(Niなど)、第11族元素(Cuなど)などの金属元素の酸化物が例示できる。これらの金属酸化物において、金属元素の価数は、元素の種類に応じて1価〜4価程度であってもよく、第8族元素は2価、第11族元素は1価である場合が多い。低温活性型酸化触媒としては、前記文献(「触媒化学概論」)において、一酸化炭素の酸化に対する活性序列において、低温(150℃以下)で活性な触媒として分類されている金属酸化物、例えば、CoO、CuO、Cr、NiO、MnO、MnO、FeO、AgO、Coなどが例示できる。これらの低温型酸化触媒は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい低温活性型酸化触媒はCoO、CuO、NiO、MnOなどである。
また、高温活性型酸化触媒としては、例えば、周期表第5族元素(V,Ceなど)、第8族元素(Fe,Ruなど)、第11族元素(Cuなど)、第12族元素(Znなど)などの金属元素の酸化物およびリン酸塩である場合が多い。これらの金属酸化物およびリン酸塩において、金属元素の価数は、元素の種類に応じて2価、3価又は5価(特に2価)である場合が多く、周期表第8族元素では3価、第11族元素では2価である場合が多い。高温活性型酸化触媒としては、前記文献(「触媒化学概論」)において、一酸化炭素の酸化に対する活性序列において、高温(150〜400℃)で活性な触媒として分類されている金属酸化物およびリン酸塩、例えば、CuO、Fe、ZnO、CeO、V、V5、FePOなどが例示できる。これらの高温活性型酸化触媒も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい高温活性型酸化触媒は、CuO、Fe、ZnO、CeO、FePOなどである。
なお、触媒活性を示さない酸化物であっても、複合化することにより触媒活性が大きくなる場合がある。このような複合酸化物(例えば、TiOとZrOとの複合酸化物などの周期表第4族元素などの複合酸化物)は、酸化触媒(例えば、高温活性型酸化触媒など)に分類できる。
酸化触媒の使用量は、ガラスフリット100重量部に対して、例えば、5〜100重量部、好ましくは7〜75重量部(例えば、8〜70重量部)、さらに好ましくは10〜60重量部(例えば、12〜55重量部)程度であってもよい。また、酸化触媒の割合は、溶射材料の全重量に対して1〜50重量%程度の範囲から選択でき、例えば、3〜35重量%(例えば、4〜32重量%)、好ましくは5〜30重量%(例えば、7〜30重量%)、さらに好ましくは10〜30重量%(例えば、12〜25重量%)程度であってもよい。酸化触媒の含有量が少なすぎると、汚れの分解機能が低下し、多すぎると、触媒の種類および溶射条件にもよるが、被膜の非晶質化が低下する傾向(結晶化の傾向)を示すとともに流動性の低下を招くおそれがある。
低温活性型酸化触媒と高温活性型酸化触媒との割合は、前者/後者(重量比)=1/99〜99/1程度の広い範囲から選択でき、通常、5/95〜97/3(例えば、7/93〜95/5)、好ましくは10/90〜90/10(例えば、15/85〜80/20)程度であってもよい。なお、低温活性型酸化触媒の割合が多くなると、低温での汚れが除去しやすくなる。
[親水性金属酸化物]
本発明の溶射組成物(溶射材料)は、親水性金属酸化物を含み、触媒作用と親水作用とを有する琺瑯様被膜を形成するのが好ましい。すなわち、好ましい態様では、本発明の溶射組成物(溶射材料又は溶射剤)は、溶射被膜を形成可能なガラスフリットと、無機酸化触媒と、親水性金属酸化物とを含んでいる。なお、ガラスフリット(又は琺瑯用ガラスフリット)は、骨格主成分の他、副成分(修飾成分)として、密着剤、融剤、乳白剤、着色剤などを含む多成分系である。すなわち、組成任意性という特徴から、添加する親水性金属酸化物の種類は、酸化触媒よりもさらに広く、例えば、周期表第1族から周期表第14族に存在する元素(金属元素)の酸化物(金属酸化物)が例示できる。なお、無機酸化物の選定に際しては、人体・環境への安全性、耐久性、入手の容易さ、コストなどを考慮する必要がある。
周知のように固体材料の親水性は、その化学組成と表面粗さに依存する。表面粗さが一定の場合には、イオン結合割合の大きな化合物(共有結合割合の小さな化合物)がより顕著な親水性を発現する。このため、親水性金属酸化物の選定に当たってはイオン結合割合の大小を1つの目安にすることができる。
前記イオン結合の割合は、元素AおよびBの電気陰性度をそれぞれχおよびχとすると、PA−B=1−exp{(−1/4)(χA−χ}で与えられる(非特許文献2、窯業協会編集委員会編「セラミックスの化学」(1982))。
前記計算式から明らかなように、2つの元素A、B間のイオン結合割合を支配するのは電気陰性度の差であり、概ね両者の差が1.7より大きければイオン結合、1.7より小さければ共有結合と見なすことができる(電気陰性度の差が1.7のとき、イオン結合割合は51%に相当する)。
前記電気陰性度は各元素に固有の値であり、フッ素の値「4.0」が最も大きく、次に酸素の「3.5」、塩素の「3.0」である。本発明では、電気陰性度の大きな元素の酸化物が大きな親水性を示すため、親水性化合物として酸化物を用いている。
前記親水性金属酸化物として知られる酸化チタンTiOを例にとって、前記計算式からイオン結合の割合を算出すると、酸化チタンの構成元素であるTiおよびOの電気陰性度は、それぞれ1.5および3.5であり、両者の電気陰性度の差は2.0となる。この値を前記計算式に代入すると0.63(すなわち、TiOのイオン結合割合が63%)となる。
酸素の電気陰性度3.5との差が1.7以上の元素、すなわち、電気陰性度が1.8以下の元素は、周期表第1族〜周期表第14族まで多数におよび、前述のように多成分系琺瑯用ガラスフリットでは、親水性金属酸化物の選択幅はかなり広範囲である。
より具体的には、親水性金属酸化物は、周期表第1族元素(Li,Na,Kなどのアルカリ金属)、第2族元素(Ca,Ba,Mgなど)、第3族元素(Yなど)、第4族元素(Ti,Zrなど)、第6族元素(Crなど)、第7族元素(Mnなど)、第9族元素(Coなど)、第10族元素(Niなど)、第12族元素(Znなど)、13族元素(Alなど)に属する金属元素の酸化物から選択された少なくとも一種であってもよい。親水性金属酸化物は、通常、粉末状の形態で使用できる。
前記計算式から求められるイオン結合割合の大きな酸化物としては、例えば、KO(84%)、NaO(82%)、Ba(82%)、LiO(79%)、CaO(79%)、Y(73%)、MgO(73%)、ZrO(67%)、TiO(63%)、MnO(63%)、Al(63%)、ZnO(59%)、Cr(59%)、CoO(51%),NiO(51%)などが例示できる(括弧内はイオン結合割合、計算では小数点以下を四捨五入)。これらの金属酸化物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、上記酸化物中、KO、NaO、Ba、LiO、CaOなどは水と反応するので、取り扱いに注意する必要がある。また、ランタノイドおよびアクチノイドの多くは電気陰性度が小さく、その酸化物のイオン結合割合は大きいものが多い。
なお、空気中での加熱により酸化触媒としては実質的に作用しない成分、例えば、Alなどのように触媒活性を示さない酸化物(および触媒活性があったとしても非常に小さな触媒活性しか示さない酸化物)、活性光線、例えば、紫外線(例えば、380nm以下の紫外線)を照射しなければ殆ど触媒活性を示さない酸化物(光触媒として公知のTiOなど)は、酸化触媒ではなく、親水性金属酸化物として分類できる。
また、上記親水性金属酸化物は、前記無機酸化触媒との対比から明らかなように、MnO、ZnO、Cr、CoO、NiOなどのように、無機酸化触媒と共通する酸化物である場合が多い。特に、MnOは、親水作用と触媒作用とを有する共通の酸化物として安全面、コスト面からも有望である。そのため、親水性を付与するためには、無機酸化触媒は、(1)酸化触媒活性と親水化作用との双方の機能を有する親水性金属酸化物で構成してもよく、(2)酸化触媒として機能する無機酸化触媒と、実質的に酸化触媒として機能しない親水性金属酸化物とを含んでいてもよい。
なお、無機酸化触媒と親水性金属酸化物とを併用する場合、親水性金属酸化物は、無機酸化触媒とは同種であってもよく、異なる種類の金属酸化物であってもよい。例えば、無機酸化触媒が、周期表第3族、第5族〜第12族に属する遷移金属の酸化物およびリン酸塩から選択された少なくとも一種であるとき、親水性金属酸化物は、周期表第1族〜第4族および第13族に属する金属元素の酸化物から選択された少なくとも一種であってもよく、周期表第4族および第13族に属する金属元素の酸化物(TiO、Alなど)から選択された少なくとも一種であってもよい。
酸化触媒と異なる種類の親水性金属酸化物を用いる場合、親水性金属酸化物の使用量は、ガラスフリット100重量部に対して、例えば、5〜55重量部、好ましくは10〜50重量部(例えば、10〜45重量部)、さらに好ましくは15〜40重量部(例えば、15〜35重量部)程度であってもよい。また、親水性金属酸化物の割合は、溶射組成物(溶射材料)の全重量に対して、5〜35重量%、好ましくは10〜30重量%、さらに好ましくは15〜25重量%程度である。親水性金属酸化物の含有量が少なすぎると親水作用を十分に発揮できず、多すぎると、その種類と溶射条件にもよるが、前記酸化触媒の場合と同様に被膜の非晶質化が低下する傾向(結晶化の傾向)を示すとともに流動性の低下を招くおそれがある。
なお、無機酸化触媒と親水性金属酸化物との総量(無機酸化触媒が親水性金属酸化物であるときは、無機酸化触媒(又は親水性金属酸化物)の使用量を意味する)は、ガラスフリット100重量部に対して、10〜150重量部、好ましくは20〜130重量部(例えば、35〜125重量部)、さらに好ましくは50〜120重量部(例えば、65〜100重量部)程度である。また、無機酸化触媒および親水性金属酸化物の総量(無機酸化触媒が親水性金属酸化物であるときは、無機酸化触媒(又は親水性金属酸化物)の使用量)は、溶射材料の全体に対して、10〜60重量%(例えば、15〜57重量%)、好ましくは25〜55重量%(例えば、30〜50重量部)、さらに好ましくは40〜50重量%程度であってもよい。なお、ガラスフリット、無機酸化触媒および親水性金属酸化物の総量は100重量%である。
さらに、酸化触媒と親水性金属酸化物との割合は、前者/後者(重量比)=15/85〜90/10、好ましくは27/75〜85/15(例えば、40/60〜85/15)、さらに好ましくは50/50〜80/20(例えば、65/35〜80/20)程度であってもよい。
なお、無機酸化触媒および親水性金属酸化物の選定に当たっては、安全性、耐久性、入手の容易さ、コストは勿論のこと、被膜の性質に及ぼす影響を考慮しなければならない。例えば、KO、NaOおよびLiOは融剤として作用し熱膨張係数を大きくし、Bは流動性を高める反面、耐食・耐候・耐薬品性と熱膨張係数を低下させ、CaOは融剤として作用して乳白化を促進する反面、溶射施工時の熱分解によって被膜に気泡を発生させるおそれがある。また、MnO、NiO、CoOは、密着剤、着色剤として作用し、Cr、CuO、FeO、Feは着色剤として作用する(前記非特許文献1、社団法人日本琺瑯工業会編「ほうろう技術ガイドブック」(1996))。
[溶射組成物の形態]
本発明の溶射組成物の形態は特に制限されず、例えば、粉末状、顆粒状、ペレット状、ロッド状などの形態であってもよい。また、これらの形態は、ガラスフリットと酸化触媒と親水性金属酸化物との混合物(粉末状混合物)であってもよく、この混合物と結合剤とで成形した成形体の形態(前記粉末状、顆粒状、ペレット状、ロッド状などの形態)であってもよく、前記混合物を溶融混合した溶融体又は溶融冷却体の形態(前記粉末状、顆粒状、ペレット状、ロッド状などの形態)であってもよい。
溶射組成物の形態は、通常、粉末状(ガラスフリットと酸化触媒と親水性金属酸化物との混合粉末など)、又はロッド状である場合が多い。特に、溶射装置での使用を容易にするため、溶射組成物(溶射材料)は、棒(ロッド)状に成形されたロッド状成形体であってもよく、中空体(熱分解性樹脂などの樹脂の中空筒体)と、この中空体内に充填された溶射組成物(例えば、混合粉末などの粉末状の溶射材料)とで構成された筒状成形体(熱分解性樹脂製チューブに溶射組成物が充填されたチューブ状成形体など)であってもよい。なお、粉末状組成物では、各成分、寸法および形状により流動性が低下して安定な溶射ができないおそれがあるのに対して、溶射組成物を成形体の形態で利用すると、このような欠点がなく安定して溶射できる利点がある。
中空体、前記混合物を成形するための結合剤は、溶射熱によって完全に分解し、炭化物などの残渣を残さない材料で形成するのが好適である。中空体を形成する樹脂および結合剤の種類は、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルエーテル、ポリエチレン、ポリプロピレン、(メタ)アクリル系樹脂などの非芳香族系樹脂(フッ素原子を含まないオレフィン、ビニルエステル、(メタ)アクリル系単量体から選択された単量体を含む樹脂、例えば、酸素指数の大きな樹脂など)であってもよい。例えば、樹脂製中空体は、ポリプロピレン、ポリエチレンなどで形成でき、ポリテトラフルオロエチレンPTFEやテトラフルオロエチレンPFAでは溶射に伴って残渣を生じるおそれがある。なお、前記樹脂製中空体および結合剤の選定に当たっては、当該材料の熱的特性を熱重量測定TG/示差熱分析DTAなどにより把握しておくのが望ましい。
中空体の外径は特に制限されず、例えば、1〜5mm、好ましくは2.5〜4.0mm、さらに好ましくは2.7〜3.5mm程度であってもよい。また、中空体の外径は、市販のワイヤ(溶線)式ガスフレーム溶射装置で通常使用されるトーチノズルにそのまま適用可能な外径、例えば、3.0〜3.2mm程度であってもよい。なお、中空体の内径は、所望の溶射材料の量に応じて、例えば、0.7〜4.5mm程度であってもよく、通常、1.5〜3.5mm、好ましくは1.7〜3mm(例えば、1.7〜2.7mm)程度であってもよい。
[溶射被膜]
本発明の溶射被膜は、基材に対して溶射組成物を溶射することにより形成でき、このような溶射により、溶射被膜を備えた部材を製造できる。溶射被膜は琺瑯様被膜を形成し、少なくとも無機酸化触媒による自己クリーニング性を有する。このような溶射被膜では、ガラスフリットを骨格主成分とする被膜中で、酸化触媒および/又は親水性金属酸化物が均一に複合化しているためか、酸化触媒による触媒作用を有するのみならず、親水性金属酸化物により被膜表面の親水化が促進される。そのため、コーキングした汚れであっても、コーキング汚れと被膜界面との間への水の浸入性が大きくなり、触媒作用による酸化分解と親水作用の相乗効果によって容易に除去できる。
親水性の高い溶射被膜は水に対する接触角が小さい。そのため、接触角は親水性の指標となる。水に対する溶射被膜の接触角は、温度20℃、相対湿度55%において、例えば、5〜55°程度であってもよく、通常、8〜45°(例えば、10〜40°)、好ましくは10〜35°(例えば、10〜30°)、さらに好ましくは10〜20°(例えば、10〜15°)程度であってもよい。なお、親水性金属酸化物の含有量が多くなるにつれて、水に対する接触が小さな溶射被膜を形成できる。
基材の種類は特に制限されず、例えば、金属(鋼、ステンレススチール、アルミニウムなど)、セラミックスなどであってもよい。また、溶射被膜が形成可能である限り、基材の寸法および形状も特に制限されず、平板状、曲面形状、屈曲形状などであってもよい。
基材は、溶射被膜との密着性を高めるため、粗面化処理するのが好ましい。粗面化処理は、慣用の方法、例えば、薬液やプラズマ処理などによる粗面化処理であってもよいが、ショットブラスト法などで行うことができる。さらに、非晶質被膜を形成するためには、予熱処理した基材に溶射するのが好ましい。予熱処理温度は、基材の材質およびガラスフリットの性質によって異なるため、基材およびガラスフリットの種類に応じて選択でき、例えば、600〜750℃、好ましくは650〜700℃程度であってもよい。溶射は、溶射装置の種類に応じて、慣用の方法で行うことができる。
溶射被膜の厚みは特に制限されず、用途に応じて選択でき、例えば、10〜1000μm、好ましくは20〜800μm、さらに好ましくは100〜500μm程度であってもよい。
このようにして形成された溶射被膜は、基材との密着性も高く、少なくとも酸化触媒作用を安定して発揮し、汚れを分解する。また、親水性金属酸化物を用いると、溶射被膜の親水化に伴って、コーキングした汚れであっても容易に除去できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜10および比較例1
[溶射組成物(溶射材料)]
実施例においては、市販の酸化ケイ素系ガラスフリットを用い、酸化触媒と親水性金属酸化物には市販の試薬一級品を用い、表1に示す成分を所定の割合で混合し、粉末状溶射材料を調製した。なお、ポリエチレンPE製樹脂チューブ(外径3mm、内径2mm)に、各実施例と比較例の粉末状溶射材料を充填し、チューブ状成形体も調製した。また、比較例1には、酸化ケイ素系ガラスフリットを用いた。
[溶射被膜の形成]
アルミナグリッドブラスト法により軟鋼SS400基板(50×50×4.5mm)を予め粗面化し、粉末式ガスフレーム溶射(酸素―アセチレンガス燃焼炎)により、600℃に予熱した前記軟鋼SS400基板に、前記表1に示す溶射材料を溶射し、厚さ200μmの被膜を形成した。なお、主な溶射条件は、ガス圧力:酸素O(0.4MPa)、アセチレンC(0.1MPa)、溶射距離:100mm、溶射速度:700mm/秒に設定した。また、溶射に先立って、前記ガスフレーム溶射トーチを用いて溶射材料を供給しない状態で予熱処理を行い、基板表面の温度を放射温度計によって測定管理した。予熱温度は660℃であった。
[溶射被膜の結晶構造]
図1に、実施例1、2、8、および比較例1の溶射材料で形成した溶射被膜のX線回折(XRD)パターンを示す。図から明らかなように、実施例1、2および比較例1の溶射材料では非晶質化(アモルファス化)した被膜が形成されている。一方、実施例8の溶射材料で形成した被膜には弱い回折が見られ、非晶質化がやや低下している。
[自己クリーニング性の評価]
熱調理器などで実際に付着する汚れは多種多様であり、汚れ成分も一定ではないため、自己クリーニング効果の評価にばらつきを生じるおそれがある。本発明の実施例では、模擬的な汚れには組成の明らかな市販の食用サラダ油(キャノーラ油)を用い、また、自己クリーニング効果については顕微赤外分光分析(顕微IR)と目視観察の結果から評価した。
顕微IR分析による汚れの分解評価
比較例1の溶射材料で形成した被膜と、実施例3の溶射材料で形成した被膜とにそれぞれ前記サラダ油を滴下し、200〜350℃で2時間加熱した後、大気中で徐冷し、模擬的汚れについて赤外線(IR)吸収スペクトルを測定した。図2に比較例1の被膜、図3に実施例3の被膜のIR吸収スペクトルを示す。比較例1では、加熱温度の上昇に伴ってC=C結合の伸縮振動に由来する1500〜2000cm−1、およびC≡C結合の伸縮振動に由来する2000〜2500cm−1領域のスペクトルが大きくなり、サラダ油の重合とコーキング化が進行している。これに対して、実施例3では、加熱温度の上昇に伴うスペクトルに大きな変化はなく、コーキング化とは別の現象、すなわち酸化触媒による分解が生じていることを示している。
そこで、顕微IRにおいて見られるピークスペクトルの1つであるC−O結合の伸縮振動に由来する1740cm−1に注目し、実施例1、および実施例2の溶射材料で形成した各被膜について測定した顕微IRスペクトルから吸収強度(吸光度)比を求めた。結果を図4に示す。図4の縦軸は加熱温度200℃における吸収強度を基準とした減少率で表している。酸化マンガンの添加量が吸収強度比に及ぼす影響は、250℃では比較的小さいが、300℃ではかなり大きくなる。
親水性の評価
触媒作用による汚れの分解除去が不十分な被膜については、20℃の水中に1時間浸漬し、汚れ(主にコーキングした汚れ)の除去状況を目視観察した。水中浸漬による汚れの除去は、汚れと付着面との間に浸入した水が汚れを浮き上がらせることによって達成される。水の浸入を容易にするには、汚れの付着面の親水化が効果的であり、親水性については前記溶射被膜に水滴(1.8mm)を滴下し、水に対する接触角(温度20℃、相対湿度55%)を測定することにより評価した。
汚れの分解除去効果
表2に、実施例1〜10、比較例1で形成した各被膜について、酸化触媒による汚れの分解効果、および接触角の測定結果(10点測定の平均値)と、水中浸漬による汚れの除去効果を示す。なお、汚れの分解効果および水中浸漬による汚れの除去効果は、以下の判断基準で評価した。
+++ :完全な分解除去効果
++(+):大きな分解除去効果
++ :中位の分解除去効果
+ :わずかな分解除去効果
0 :変化なし
表2に示すように、実施例ではいずれも汚れ((主にコーキング化した汚れ))に対して高い除去能を示す。特に、実施例4の溶射被膜は、汚れの分解除去に最も効果的な結果を示す。この原因は、二酸化マンガンMnOが触媒作用のみならず親水作用によって汚れを効果的に除去しているためであると思われる。
本発明は、汚れが付着しやすい部材、部品や機器類に適用し、汚れを除去するのに有用である。特に、コーキング化した頑固な汚れに対する除去能も高いため、調理器具、加熱器具などに適用し、汚れの付着防止並びに汚れの除去に有効である。

Claims (16)

  1. 溶射被膜を形成可能なガラスフリットと、少なくとも無機酸化触媒とを含む溶射組成物。
  2. 無機酸化触媒が、低温活性型酸化触媒と、高温活性型酸化触媒とを含んでいる請求項1記載の溶射組成物。
  3. (1)親水性金属酸化物で構成された無機酸化触媒、又は(2)無機酸化触媒と親水性金属酸化物とを含む請求項1又は2記載の溶射組成物。
  4. 溶射被膜を形成可能なガラスフリットと、無機酸化触媒と、親水性金属酸化物とを含み、前記無機酸化触媒が、低温活性型酸化触媒と、高温活性型酸化触媒とを含んでいる溶射組成物。
  5. 無機酸化触媒が、周期表第3族〜第12族に属する遷移金属の酸化物およびリン酸塩から選択された少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の溶射組成物。
  6. 低温活性型無機酸化触媒が、周期表第6族〜第11族に属する金属元素の酸化物(ただし、第8族金属元素の価数は2価であり、第11族金属元素の価数は1価である)から選択された少なくとも一種であり、高温活性型無機酸化触媒が、周期表第4族、第5族、第8族、第11族、第12族に属する金属元素の酸化物およびリン酸塩(ただし、周期表第8族金属元素の価数は3価であり、第11族金属元素の価数は2価である)から選択された少なくとも一種である請求項2〜5のいずれかに記載の溶射組成物。
  7. 低温活性型無機酸化触媒と、高温活性型無機酸化触媒との割合が、前者/後者(重量比)=5/95〜97/3である請求項2〜6のいずれかに記載の溶射組成物。
  8. 親水性金属酸化物が、無機酸化触媒とは異なる種類の金属酸化物であり、かつ周期表第1族〜第4族、第6族、第7族、第9族、第10族、第12族および第13族に属する金属元素の酸化物から選択された少なくとも一種である請求項3〜7のいずれかに記載の溶射組成物。
  9. 無機酸化触媒が、周期表第3族、第5族〜第12族に属する遷移金属の酸化物およびリン酸塩から選択された少なくとも一種であり、親水性金属酸化物が、周期表第1族〜第4族および第13族に属する金属元素の酸化物から選択された少なくとも一種である請求項3〜8のいずれかに記載の溶射組成物。
  10. 無機酸化触媒の含有量が、ガラスフリット100重量部に対して、5〜100重量部であり、親水性金属酸化物の含有量が、ガラスフリット100重量部に対して、5〜60重量部であり、無機酸化触媒と親水性金属酸化物との総量が、ガラスフリット100重量部に対して、10〜100重量部である請求項3〜9のいずれかに記載の溶射組成物。
  11. 無機酸化触媒と親水性金属酸化物との割合が、前者/後者(重量比)=10/90〜90/10である請求項3〜10のいずれかに記載の溶射組成物。
  12. 粉末状、顆粒状、ペレット状又はロッド状の形態である請求項1〜11のいずれかに記載の溶射組成物。
  13. 熱分解性樹脂の中空筒体内に充填されている請求項1〜12のいずれかに記載の溶射組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の溶射組成物で形成された溶射被膜。
  15. 自己クリーニング性を有する請求項14記載の溶射被膜。
  16. 基材に対して請求項1〜12のいずれかに記載の溶射組成物を溶射し、溶射被膜を備えた部材を製造する方法。
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