JP6955617B2 - 表面処理金属部材、加熱器具 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスコンロ、グリル、五徳等のように加熱時に直火が触れる器具に使用される金属部材や、ヒータ部品や乾燥焼成炉、ボイラー配管等のような高温環境下において使用される金属部材において、高温による金属の酸化を防止することにより、その変色を効果的に防止することが可能な表面処理金属部材、並びにこれが使用される加熱器具に関する。
ステンレス鋼は、厚さ数nm〜十数nm程度の極めて薄い保護性の高い不動態皮膜を有しており、美麗な金属光沢を保ちながら優れた耐食性、耐熱性を呈する。このため従来より、ガスコンロ、グリル、五徳、ガスバーナー等のように加熱時に直火が触れる加熱器具や、ヒータ部品や乾燥焼成炉、ボイラー配管等のような高温環境下において使用される機器を構成する材料として用いられている。
但し、このステンレス鋼は、上述の如き直火が触れる環境下、又は高温環境下において、その表面が変色し着色する、いわゆるテンパーカラーが発生する場合がある。このようなステンレス鋼の変色は、高温により当該ステンレス鋼が酸化して酸化物層が形成されることに基づくものである。この酸化物層の厚さが光の波長と一致する場合に、反射光が干渉して色の違いとして認知されるものである。このような酸化による変色が金属部材としてのステンレス鋼表面に現れると、外観や意匠性が急激に劣化した印象を与えてしまう。特に五徳やガスコンロ、ガスバーナー等の加熱器具は、購入時からそれほど日数が経過していないにも関わらず、直火に触れただけでこのような変色が現れてしまう場合があり、使用し尽くされて急激に古くなった印象を与えてしまう。
このため、高温環境下においてステンレス鋼の酸化に基づく変色を防止することができる技術が従来より研究されている。先ず特許文献1には、表面にアルカリ珪酸塩皮膜を有するステンレス鋼材において、鋼素地とアルカリ珪酸塩皮膜の間に厚さ5〜100nmの反応層が介在させる技術が開示されている。この反応層を通じて、鋼材表面を覆うアルカリ珪酸塩皮膜への原子の拡散を抑制し、テンパーカラーの発生要因となるCr−Fe−O系酸化物層の生成を食い止め、変色を防止することを期待したものである。
また特許文献2には、ステンレス鋼の表面に、シリカ系化合物による酸化物層を1μm以下の厚さで被覆する技術が開示されている。このシリカ系化合物は、酸素の拡散が遅い酸化物であることから、ステンレス鋼の表面近傍において生じる酸化の進行が抑制されることで、変色を防止することを期待したものである。
また特許文献3には、ステンレス鋼の表面にポリシラザンからなる塗膜を形成させることにより、同様にステンレス鋼の表面近傍において生じる酸化の進行が抑制されることで、変色を防止することを期待したものである。
しかしながら、特許文献1−3の開示技術によれば、確かに高温化においてステンレス鋼の酸化に基づく変色を防止はできるものの、加熱時において700℃以上の環境にて使用されるステンレス鋼においては、酸化による変色を十分に防止することができず、また、塗膜のワレや白化等の酸化による変色以外の外観異常を抑制できないという問題点があった。
また特許文献4には、アルミナ薄膜を酸化抑制被膜に用いる技術的思想が開示されている。アルミナ薄膜は優れた成膜性、緻密性、熱安定性、電気絶縁性などを併せ持ち、確かに高温化においてステンレス鋼の酸化に基づく変色を防止はできるものの、加熱時において700℃以上の環境にて使用されるステンレス鋼においては、酸化による変色を十分に防止することができず、耐食性を向上させることができないという問題点があった。
特開2008−231551号公報 特開2006−63427号公報 特開2015−44300号公報 特開2013−216760号公報
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、700℃以上の高温環境下においても酸化による変色を防止することが可能であり、塗膜のワレや白化等の酸化による変色以外の外観異常や基材の耐食性の低下も防止できる表面処理金属部材、並びにこれが使用される加熱器具を提供することにある。
本発明者らは、上述した課題を解決するために、金属層の表面にシリカ系化合物を含有する第1層を積層させ、更にその上にアルミ系化合物あるいはジルコニア系化合物を含有する第2層を積層させることにより、また金属層中のFe元素がこの高温環境の下において拡散するのを第1層を介して抑制し、700℃を超える高温環境に対する外観不良を第2層を介して抑制可能な表面処理金属部材、並びにこれが使用される加熱器具を発明した。
第1発明に係る表面処理金属部材は、金属層の表面にコーティング層が形成された表面処理金属部材において、上記コーティング層は、シリカ系化合物を含有する第1層と、上記第1層の上に積層され、アルミ系化合物あるいはジルコニア系化合物を含有する第2層とを有し、上記第1層は、上記シリカ系化合物としてSiOを含有し、その塗着量はSiO換算値の合計で1000mg/mであり、上記第2層は、上記アルミ系化合物としてAlを含有し、その塗着量はAl換算値の合計で800mg/m以上、1500mg/m以下であることを特徴とする。
第2発明に係る表面処理金属部材は、第1発明において、上記第1層は、その前駆体である塗料が結晶粒子分散液であることを特徴とする。
第3発明に係る表面処理金属部材は、第1発明又は第2発明において、上記第1層及び上記第2層は、透明性を呈することを特徴とする。
第4発明に係る加熱器具は、第1発明〜第3発明の何れかに記載の表面処理金属部材を使用することを特徴とする。
上述した構成からなる本発明によれば、第2層を構成するアルミ系化合物又はジルコニア系化合物により直火の近傍に位置することによる高温環境下において外観上の異常が生じることを防止することができる。これに加えて本発明によれば、第1層がFe元素の拡散のバリア層として機能することで、これが第2層の内部に拡散するのを防止できる。このため、アルミ系化合物中においてFeが酸化することによる酸化自体が起こりえない構成となっており、700℃を超える高温環境下においても、酸化による変色を防止、また腐食による変色を防止することができる。
本発明を適用した表面処理金属部材が適用される加熱器具を示す図である。 本発明を適用した表面処理金属部材を構成する各層について説明するための図である。 ガスバーナーの表面を構成する金属部材の上層に第1層、第2層22を形成させた例を示す図である。
以下、本発明を適用した表面処理金属部材について、図面を参照しながら詳細に説明をする。
本発明を適用した表面処理金属部材は、例えば図1(a)に示すような加熱調理時において直火が触れる加熱器具としての五徳3等に使用される。五徳3は、システムキッチンにおけるガスコンロ2に用いられる。五徳3は、ガスコンロ2の周囲から中心に向けて延長される爪の如き形状で構成される場合が多く、やかんや鍋等の加熱用容器が載置される。五徳3は、ガスコンロから出火される直火の近傍に位置するため、700℃以上もの高温環境下で使用される場合が多く、直火に触れる場合には1000℃以上もの高温環境下で使用される場合が多い。
このような五徳3を構成する表面処理金属部材におけるB−B´断面図を図1(b)に示す。この五徳3を構成する表面処理金属部材は、その基材としての金属層11と、この金属層11の表面を覆うように被膜され積層されたコーティング層12とを備えている。
金属層11は、例えばステンレス鋼を始めとした金属で構成されている。以下の実施の形態においては、この金属層11をステンレス鋼により構成する場合を例にとり説明をする。ステンレス鋼は、添加されたCrが空気中の酸素と結合することで厚さ数nm〜十数nm程度の極めて薄い保護性の高い不動態皮膜を形成させる。この不動態皮膜は、優れた耐食性、耐熱性を呈する。即ち、五徳3は、錆の発生については、この不動態皮膜が形成された金属層11により防止することができる。
コーティング層12は、図2に示すように金属層11の表面に積層される第1層21と、この第1層21の上に積層され、最表面を形成する第2層22とを有している。
第1層21は、シリカ系化合物を含有する層で構成されている。第1層21を構成するシリカ系化合物の例としては、SiとOとの結合を有する化合物であれば全てを含む概念であり、例えば、脱水縮合したシリコンテトラエトキシドや、SiO、(ポリシラザン、シロキサン、ケイ酸塩)等である。但し、このシリカ系化合物は、これらの例に限定されるものではない。この第1層21は、透明性を呈する材料で構成されていることで、自身が被覆する金属層11の金属色を表面に積極的に現すことが可能となる。但し、第1層21は、透明性を呈する材料以外で構成されていてもよいことは勿論である。
第1層21は、主として金属層11中のFe元素が第2層22に拡散しようとする動きを抑制することが可能となる。即ち、第1層21が、このFe元素の移動に対するバリアとして働かせることが可能となり、ひいてはFe元素が第2層22に到達するのを防止できる。その結果、このFe元素が700℃以上、ひいては1000℃を超える高温環境下で酸化してしまうのを防止することができる。そして、このFe元素が酸化することによる黒点が生じるのを防止することができる。
この第1層21の塗着量はSiO換算値の合計で400mg/mを超え、2200mg/m未満で構成されていることが望ましい。但し、この第1層21はかかる塗着量により構成されている場合に限定されるものではなく、いかなる塗着量とされていてもよい。
仮にこの第1層21の塗着量が400mg/m以下である場合には、膜厚が薄すぎるため、干渉色が生じてしまい、安定した外観を維持することができない。また1200°もの温度に到達する炎に接触させると変色してしまう。一方、第1層21の塗着量が2200mg/m以上に亘り積層させた場合には、却ってこのバリア層としての第1層21の膜厚が厚すぎてしまい、金属層11の内部に含有する気体が抜けきれず、これが白濁模様として現れて外観や意匠性を低下させる原因になる。
第1層21のシリカ系化合物はその前駆体である塗料が結晶粒子分散液であってもよいし、非結晶の塗料から得られたものであってもよい。このシリカ系化合物の前駆体である塗料が結晶粒子分散液である場合には、金属層11中のFe元素がこの結晶を迂回するようにして移動せざるを得なくなることから、このバリア層としての第1層21を通過する上での移動量が大きくなり、ひいてはFe元素の第2層22への拡散を防止することができる。但し、第1層21のシリカ系化合物が非結晶の塗料から得られたものであっても、Fe元素の拡散を抑制することができるように作用させることができることは勿論である。
なお、第1層21と金属層11との間に他の層が介在するものであってもよい。
第2層22は、アルミ系化合物又はジルコニア系化合物を含有する層で構成されている。第2層22を構成するアルミ系化合物の例としては、Al、(窒化アルミニウム、ムライト、スピネル)等であり、ジルコニア系化合物の例としてはZrO、安定化ジルコニア、ジルコン等である。但し、このアルミ系化合物やジルコニア系化合物は、これらの例に限定されるものではない。この第2層22は、透明性を呈する材料で構成されていることで、自身が被覆する金属層11の金属色を表面に積極的に現すことが可能となる。但し、第2層22は、透明性を呈する材料以外で構成されていてもよいことは勿論である。
第2層22を構成するアルミ系化合物又はジルコニア系化合物は、700℃以上、ひいては1000℃を超えるような高温域において結晶転移等が生じるものではなく、またかかる高温域において外観不良が生じることが殆ど無い。即ち、この第2層22は、直火の近傍に位置することによる高温環境下において外観上の異常が生じることは殆ど無い。これに加えて、第2層22中には、第1層21がFe元素の拡散のバリア層として機能することで、これが内部に拡散するのを防止できる。このため、アルミ系化合物又はジルコニア系化合物中においてFeが酸化することによる酸化自体が起こりえない構成となっており、いわゆる酸化の変色によるテンパーカラーが発生してしまうのを防止することができる。
この第2層22の塗着量は、特にアルミ化合物の場合において、Al換算値の合計で500mg/mを超え、1600mg/m未満とされていることが望ましい。但し、この第2層22はかかる塗着量により構成されている場合に限定されるものではなく、いかなる塗着量とされていてもよい。
仮にこの第2層22の塗着量が500mg/m以下である場合には、膜厚が薄すぎるため、第2層22の表面に干渉色等が現れてしまう場合もあり、意匠性を低下させてしまう。また1200℃もの温度に到達する炎に接触させると変色してしまう。一方、第2層22の塗着量が1600mg/m以上に亘り積層させた場合には、却って膜厚が厚すぎてしまい、上述した高温環境下においては金属層11と第2層22の線膨張係数の違いにより、当該第2層22が剥離してしまい、また塗膜割れが生じてしまう場合もある。
上述した構成からなる表面処理金属部材を有する五徳3の作用について、以下説明をする。五徳3に載置した調理用容器をガスコンロ2による直火で加熱した場合、五徳3は直火の近傍に位置し、場合によっては直火が直接触れることとなる。その結果、五徳3は、1000℃を超える高温環境下に置かれることとなる。また直接直火に触れない場合においても、その直火の近傍においては700℃以上もの高温環境下におかれることとなる。
かかる場合において、第2層22は、アルミ系化合物又はジルコニア系化合物を介して、この700℃を超える高温環境に対する外観不良を抑制することができる。また金属層11中のFe元素がこの高温環境の下において拡散しようとするが、第1層21に向けた拡散は、これを構成するシリカ系化合物を介して抑制されることとなる。その結果、この拡散するFe元素が第1層21を通過して第2層22に入り込もうとする動きを抑え込むことが可能となる。その結果、第2層22にFe元素が入り込まないことでこれが高温環境下で酸化するのを防止することができ、変色してしまうのを防止することができる。
なお本発明は、五徳3やグリル等のような加熱器具に適用される場合に限定されるものではなく、高温環境下において使用される金属部材であればいかなるものに適用されるものであってもよい。例えば、図3に示すようなガスバーナー5やヒータ部品、ボイラー配管等に本発明を適用するようにしてもよいことは勿論である。仮に図3に示すガスバーナーにおいても、その表面を構成する金属部材の上層に第1層21、更にその上層に第2層22が形成されている。
以下、本発明を適用した表面処理金属部材の効果を確認するために行った実験的検証について詳細に説明をする。
この実施例1における実験的検証においては、先ず表1に示すように複数種のサンプルを作成し、腐食度合、白化度、高温変色の有無の3項目について検証を行った。
サンプルは、金属層11のみで構成し、その表面に何ら第1層21、第2層22を積層させない比較例1と、何れも第1層21、第2層22と2層に亘り積層させるのではなく、金属層11上に単膜を積層させた比較例2〜6と、金属層11上に第1層21、第2層22と2層に亘り積層させた本発明例1〜5からなる。
シリカ化合物主体膜A(前駆体:非結晶)は濃度20%のポリシラザンを使用している。またシリカ化合物主体膜B(前駆体:結晶)は、濃度10%、平均直径25nm以上のシリカが主体となった結晶分散液である。
アルミ化合物主体膜Aは、濃度6%、平均直径5nm以上の水酸化アルミニウムナノ粒子分散液であり、アルミ化合物主体膜Bは、濃度3%、平均直径200nm以上の水酸化アルミニウムナノ粒子分散液であり、ジルコニア化合物主体膜は、平均直径10nm以上のジルコニアナノ粒子分散液である。ちなみに金属層11は、ステンレス鋼を使用している。それぞれ膜における塗着量については、表1に示すとおりであり、それぞれSiO換算値、Al換算値、ZrO換算値で示している。
上述した各材料を単層、第1層21、第2層22の何れかに割り当てて実験的検証を行った。
各項目の評価方法について、先ず腐食度合は、JIS K5621 7.12耐複合サイクル防食性の試験を2サイクル行い、腐食が発生した場合を×発生しなかった場合を○とした。
また、白化は、直火による加熱後の各サンプルについて、JIS K5600-4-3(光源のみLED(オーム電機LEDPL48W)を使用している)に則り目視観察し、白化が発生した場合には×発生しなかった場合には○としている。
また高温変色の有無については、1200℃の火炎に対して各サンプルを1分間直接接触させることで加熱し、1分以上冷却を繰り返し、変色開始する加熱時間を確認した。その結果、40分以上の加熱で変色した場合、又は変色しなかった場合は◎、加熱時間が20分以上40分未満で変色した場合は○、加熱時間が5分以上20分未満で変色した場合は△、加熱時間が5分未満で変色した場合は×としている。
なお、塗着量については、蛍光X線分析装置による定量分析を行っている。装置としては、(株)リガクの波長分散卓上型 蛍光X線分析装置(Supermini200)を使用した。
Figure 0006955617
比較例1は、高温変色については5分未満にて変色が生じていた。比較例2は、腐食、白化については生じなかったが、高温変色については5分以上20分未満にて変色が生じていた。比較例3については、腐食は生じなかったが、白化が生じており、高温変色については5分以上20分未満にて変色が生じていた。比較例4は、腐食が生じていた。また白化は生じていなかったが、高温変色については5分未満にて変色が生じていた。比較例5は、腐食、白化については生じなかったが、高温変色については5分未満にて変色が生じていた。比較例6は、ジルコニア化合物主体膜を単膜にて構成したものであるが、腐食、白化が生じており、温変色については、5分未満にて変色が生じていた。
本発明例1〜5は、特段腐食が発生しなかった。また加熱後において白化が確認できず、また高温変色については、何れも20分以上において変色が発生するか又は特に変色開始が確認できなかった。中でも、本発明例3、4については高温変色の評価が最も優れていた。これら本発明例3、4は、第1層21としてシリカ化合物主体膜B(前駆体:結晶)を使用したものである。即ち、シリカ化合物の前駆体である塗料を結晶粒子分散液とすることにより、より高温変色に対する耐性を向上させることが可能となることが示唆されている。
この実施例2における実験的検証においては、本発明例4における第1層21、第2層22の組み合わせ、即ち、第1層21については、シリカ化合物主体膜B(前駆体:結晶)、第2層22については、アルミ化合物主体膜Bとし、第2層22のアルミ化合物主体膜Bについて、その塗着量を表2に示す分量に亘り変化させ、各評価項目の検証を行っている。この項目の検証は、塗装後の外観、塗装割れ、白化度、高温変色の4項目について検証を行った。
塗装後の外観の評価は、塗装焼成後の外観を目視で評価した結果、外観異常が見られなければ○とし、外観異常が確認できた場合は×としている。塗装割れについては、塗装焼成後の外観をマイクロスコープにより450倍に拡大して観察した結果、塗膜割れが確認できなかった場合には○とし、塗膜割れが確認できた場合には×としている。白化、高温変色の評価基準は、実施例1と同様である。
比較例7、8は、塗膜割れ、白化は確認できなかったが、塗装後の外観において干渉色が生じてしまい、異常が確認された。また高温変色については、5分未満にて変色が生じていた。比較例9は、塗装後の外観、塗膜割れ、白化は確認されなかったが、5分未満にて変色が生じていた。比較例10は、塗装後の外観、白化において異常は確認されなかったが、塗膜われが確認された。比較例11は、塗装後の外観観察の結果、膜の剥離が確認され、塗膜割れも確認された。
これに対して、本発明例6〜9は、何れも各評価項目について良好な実験結果が得られた。よって、第1層21については、シリカ化合物主体膜B(前駆体:結晶)とし、第2層22については、アルミ化合物主体膜Bを500mg/mを超え、1600mg/m未満に亘り塗着させることが望ましい。本発明例6は高温変色が5分超20分以内に開始されていたため、高温変色特性も更に良好な範囲にするためには、アルミ化合物主体膜Bの塗着量が600mg/mを超えていることが望ましいといえる。
Figure 0006955617
実施例3における実験的検証においては、本発明例3における第1層21、第2層22の組み合わせ、即ち、第1層21については、シリカ化合物主体膜B(前駆体:結晶)、第2層22については、アルミ化合物主体膜Aとし、第1層21のシリカ化合物主体膜B(前駆体:結晶)について、その塗着量を表3に示す分量に亘り変化させ、各評価項目の検証を行っている。この項目の検証は、塗装後の外観、腐食の2項目について検証を行った。これらの評価項目の評価基準は、実施例1、2と同様である。
比較例12−14は、塗装後の外観において干渉色が生じていた。また比較例15、16は塗装後の外観において白濁が生じていた。
一方、本発明例10−13は、何れも各評価項目について良好な実験結果が得られた。よって、第1層21については、シリカ化合物主体膜B(前駆体:結晶)を400mg/mを超え、2200mg/m未満に亘り塗着し、第2層22については、アルミ化合物主体膜Aとすることが望ましいものといえる。
Figure 0006955617
実施例4における実験的検証においては、本発明例4における第1層21、第2層22の組み合わせ、即ち、第1層21については、シリカ化合物主体膜B(前駆体:結晶)、第2層22については、アルミ化合物主体膜Bとし、第1層21のシリカ化合物主体膜B(前駆体:結晶)について、その塗着量を表4に示す分量に亘り変化させ、各評価項目の検証を行っている。この項目の検証は、塗装後の外観、高温変色の2項目について検証を行った。これらの評価項目の評価基準は、実施例1、2と同様である。
比較例17−19は、塗装後の外観において干渉色が生じており、高温変色も5分以内に変色していた。また比較例20、21は塗装後の外観において白濁が生じていた。
一方、本発明例14−17は、何れも各評価項目について良好な実験結果が得られた。中でも本発明例15−17は、特に高温変色の特性が良好であった。
よって、第1層21については、シリカ化合物主体膜B(前駆体:結晶)を400mg/mを超え、2200mg/m未満に亘り塗着し、第2層22については、アルミ化合物主体膜Aとすることが望ましいものといえる。さらにはシリカ化合物主体膜B(前駆体:結晶)を700mg/mを超え、2200mg/m未満に亘り塗着することで高温変色に対する耐性を更に向上させることが可能となる。
Figure 0006955617
なお、上述した実施例1〜4において、加熱条件については1200℃で加熱して効果を検証した。逆に1200℃もの高い加熱条件でクリアできる条件は、700℃以上の加熱温度においても同様にクリアできる条件といえる。
2 ガスコンロ
3 五徳
5 ガスバーナー
11 金属層
12 コーティング層
21 第1層
22 第2層

Claims (4)

  1. 金属層の表面にコーティング層が形成された表面処理金属部材において、
    上記コーティング層は、シリカ系化合物を含有する第1層と、
    上記第1層の上に積層され、アルミ系化合物又はジルコニア系化合物を含有する第2層とを有し、
    上記第1層は、上記シリカ系化合物としてSiOを含有し、その塗着量はSiO換算値の合計で1000mg/mであり、
    上記第2層は、上記アルミ系化合物としてAlを含有し、その塗着量はAl換算値の合計で800mg/m以上、1500mg/m以下であること
    を特徴とする表面処理金属部材。
  2. 上記第1層は、その前駆体である塗料が結晶粒子分散液であること
    を特徴とする請求項1記載の表面処理金属部材。
  3. 上記第1層及び上記第2層は、透明性を呈すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の表面処理金属部材。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項記載の表面処理金属部材を使用することを特徴とする加熱器具。
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