JP7170813B2 - 五徳 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスコンロ、グリル、オーブン、ガスバーナー、乾燥焼成炉(例えば、ピザ窯)等の加熱調理を行う加熱調理機器と同時に用いられ、加熱時に直火が触れるなど加熱調理機器に加熱されて高温となる五徳、網、引出しプレートなどの金属部品、鍋や薬缶などの加熱調理器具、又はヒータ近接部品等の加熱調理機器用加熱高温部材に関する。
従来、ステンレス鋼は、厚さ数nm~十数nm程度の極めて薄くて保護性の高い不動態皮膜を有しており、美麗な金属光沢を保ちながら優れた耐食性、耐熱性を呈することが知られている。このため、加熱時に直火が触れるなど加熱調理機器に加熱されて一部が450℃以上の高温となる加熱調理機器用の加熱高温部材としてステンレス鋼が用いられている。
但し、このステンレス鋼は、高温環境下において、その表面が変色し着色する、いわゆるテンパーカラーが発生するという問題があった。このようなステンレス鋼の変色は、高温により当該ステンレス鋼が酸化して酸化物層が形成されることに基づくものである。この酸化物層の厚さが光の波長と一致する場合に、反射光が干渉して色の違いとして認知されるものである。このような酸化による変色が金属部材としてのステンレス鋼表面に現れると、外観や意匠性が急激に劣化した印象を与えてしまう。
特に、ガスコンロの五徳、グリルやオーブンの網もしくは引出しプレート、ガスバーナーの先端部材など、加熱調理機器用の加熱高温部材は、購入時からそれほど日数が経過していないにも関わらず、直火に触れただけでこのような変色が現れてしまう場合があった。その場合、加熱高温部材は、使用し尽くされて急激に古くなった印象を与えてしまうという問題があった。
このため、従来、高温環境下においてステンレス鋼の酸化に基づく変色を防止することができる技術が研究されている。例えば、特許文献1には、表面にアルカリ珪酸塩皮膜を有するステンレス鋼材において、鋼素地とアルカリ珪酸塩皮膜の間に厚さ5~100nmの反応層を介在させる技術が開示されている。この反応層を通じて、鋼材表面を覆うアルカリ珪酸塩皮膜への原子の拡散を抑制し、テンパーカラーの発生要因となるCr-Fe-O系酸化物層の生成を食い止め、変色を防止することを期待したものである。
また、特許文献2には、ステンレス鋼の表面にポリシラザンからなるケイ酸化合物膜を形成させる技術が開示されている。このケイ酸化合物は、酸素の拡散が遅い酸化物であることから、ステンレス鋼の表面近傍において生じる酸化の進行が抑制されることで、変色を防止することを期待したものである。
そして、特許文献3には、窒化シリコン膜によるガスバリアフィルムの技術が開示されている。化学気相成長法により堆積された窒化シリコン膜は透明で高いガスバリア性を持つ。この特許文献3の開示技術は、ガスバリア性の高い透明膜を成膜する技術のため、金属上に成膜することで酸化防止の効果が期待できるとされている。
さらに、特許文献4には、アルミナ薄膜を酸化抑制被膜に用いる技術的思想が開示されている。アルミナ薄膜は優れた成膜性、緻密性、熱安定性、電気絶縁性などを併せ持ち、高温環境下においてステンレス鋼の酸化に基づく変色を防止することを期待したものである。
しかしながら、特許文献1~4に開示された技術によれば、確かに高温下においてステンレス鋼の酸化に基づく変色を防止はできるものの、長時間の高温使用により徐々に基材の酸化が進み、特に700℃を超えるような超高温域ではテンパーカラーに対しての耐久性が不足するという問題点があった。
また、特許文献5、特許文献6には、ステンレス鋼中にAlを含有することで酸化を抑制する技術が開示されている。特許文献5及び6に記載の技術は、ステンレス中にAlを含有することでAl由来の酸化被膜を形成することにより酸化を抑制するものである。しかし、その酸化抑制効果は高温での酸化による酸化増量や脆弱化を防止するに留まり、高温環境下で外観上の変色を防止するまでには至らないという問題があった。
以上、特許文献1~6に示したように、ステンレス鋼などの表面に形成される酸化物を抑制し、テンパーカラーが発生しないように防止する技術は種々提案されている。しかし、本願発明者らは、テンパーカラーが如何に発生するかを研究する過程において、発想を転換し、加熱調理機器のステンレス鋼などからなる加熱高温部材のテンパーカラーなどの変色やコビリ付き抑制するとともに簡単に清掃除去する技術を発案するに至った。
特開2008-231551号公報 特開2015-44300号公報 特開2004-292877号公報 特開2013-216760号公報 特開2002-339048号公報 特表2005-504176号公報
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、付着した有機物によるコビリ付きを長期に亘って防止することができるとともに、コビリ付きが発生した場合でも簡単に清掃除去することができる五徳を提供することにある。
第1発明に係る五徳は、ガスコンロと同時に用いられ、前記ガスコンロに加熱されて一部が450℃以上の高温に加熱可能であり、有機物が付着しコビリ付きが生じ得る五徳であって、前記ガスコンロの周りに載置されるリング状の上下一対のリング部と、上下一対の前記リング部に取り付けられた爪部とを備え、上下を反転させて前記ガスコンロに設置可能に構成され、450℃以上の高温となる高温域と200℃以上450℃未満となる中温域、又は前記中温域が存在し、清掃時に前記ガスコンロへの設置を上下反転させることにより前記中温域を前記ガスコンロで450℃以上に加熱可能に構成されていることを特徴とする。
第2発明に係る五徳は、第1発明において、前記爪部は、側面視コの字状の板状の部位であり、コの字状の角部が上下一対の前記リング部にそれぞれ等間隔に放射状に複数枚取り付けられていることを特徴とする。
第1発明及び第2発明によれば、付着物がコビリ付くことを防ぐことができる。
特に、第1発明及び第2発明によれば、清掃時に中温域を加熱調理機器で450℃以上に加熱可能に構成されているので、中温域に発生するコビリ付きを簡単に除去清掃することができる。
本発明の第1実施形態に係る五徳である五徳を示す斜視図である。 同上の五徳を示す側面図である。 図2のA-A線拡大断面図である。 現行の五徳を1年間実使用してモニターした結果を示す写真である。 現行の五徳のコビリ付きの発生位置を示す図である。 コビリ付きの発生と調理時の温度の関係を示す図である。 第1実施形態に係る五徳の調理時(加熱時)の爪部の表面温度を測定した測定結果を示す図である。 現行の五徳の調理時(加熱時)の爪部の表面温度を測定した測定結果を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る五徳を示す側面図である。 本発明の第3実施形態に係る五徳を示す側面図である。 図4に示した1年間実使用してコビリ付きが発生した現行の五徳の爪部をガスコンロの炎で炙ってコビリ付きがどうなるかを確認した実験の加熱前の写真である。 同上の実験の加熱3分後の写真である。 同上の実験の加熱10分後の写真である。
以下、本発明を適用した五徳を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
先ず、図1~図3を用いて、本発明の第1実施形態に係る五徳について、ガスコンロGに設置する五徳を例示して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る五徳1を示す斜視図であり、図2は、五徳1を示す側面図である。
本実施形態に係る五徳1は、システムキッチンなどに備え付けられたガスコンロGに載置されてガスコンロGと同時に使用される部材である。この五徳1は、図1、図2に示すように、ガスコンロGの周りに載置されるリング状のリング部2と、このリング部2に溶接されて取り付けられた6枚の爪部3など、から構成され、爪部3の上に鍋や薬缶などの加熱調理器具(図示せず)を載置する機能を有している。
この爪部3は、図2に示すように、リング部2から上方に立ち上がる立上り部30と、立上り部30の上端から外側へ突出する上辺部31と、からなる側面視逆L字状の板状の部位である。この五徳1は、爪部3の一部が、加熱調理機器であるガスコンロGの炎に直接接して炙られ、700℃を超える高温環境下に置かれる加熱高温部材である。
次に、図3を用いて、五徳1の基材及びコーティング層について説明する。図3は、図2の五徳1の爪部3をA-A線の鉛直面で切断した状態を示すA-A線拡大断面図である。図3に示すように、本実施形態に係る五徳1は、アルミニウムを含有するステンレス鋼からなる基材10と、基材10の表面にコーティング層11が形成された、変色防止の表面処理が施された金属部材である。
基材10のステンレス鋼全重量に対するアルミニウムの含有量は、例えば、1~12重量%とされていることが好ましく、2~4重量%とされていることがさらに好ましい。勿論、本発明に係る五徳は、アルミニウムを含有するものに限られるものではなく、ステンレス鋼でなく他の金属でも構わない。但し、ステンレス鋼は、添加されたCrが空気中の酸素と結合することで厚さ数nm~十数nm程度の極めて薄い保護性の高い不動態皮膜を形成するため、基材10をステンレス鋼から構成することにより優れた耐食性、耐熱性を呈するため好ましい。
コーティング層11は、ケイ素化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物の何れか1種類を含有する単層で構成されている。ケイ素化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物のガスバリア性により、酸化変色であるテンパーカラーの発生を防止することができるからである。
ケイ素化合物としては、脱水縮合したシリコンテトラエトキシド、ポリシラザン、シロキサン、ケイ酸塩、窒化ケイ素、炭化ケイ素など、が挙げられる。また、ガスバリア性が高いことから、コーティング層11に用いるケイ素化合物としては、濃度10%の平均直径25nm以上のシリカが主体となった結晶分散液が好ましい。勿論、ケイ素(Si)の化合物であればよく、例示した物質に限定されないことは云うまでもない。
アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、ムライト(アルミノケイ酸塩鉱物:Al13Si)、スピネル(尖晶石:MgAl)などが挙げられる。また、ガスバリア性が高いことから、コーティング層11に用いるアルミニウム化合物としては、濃度3%、平均直径200nm以上の水酸化アルミニウムナノ粒子分散液が好ましい。勿論、アルミニウムの化合物であればよく、例示した物質に限定されないことは云うまでもない。
ジルコニウム化合物の例としては、酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO)、酸化物を添加した安定化ジルコニア、ジルコン(ヒヤシンス鉱:ZrSiO)などが挙げられる。また、ガスバリア性が高いことから、コーティング層11に用いるジルコニウム化合物としては、平均直径10nm以上のジルコニウムナノ粒子分散液が好ましい。勿論、ジルコニウムの化合物であればよく、例示した物質に限定されないことは云うまでもない。
また、コーティング層11は、前述の物質のうち透明である物質が選択されることが好ましい。ここで透明とは、基材10の素材の金属光沢までも視認可能に反射光を透過する性質を指している。このため、コーティング層11により、基材10の酸化を防止しつつ被覆されている基材10の美麗な金属光沢を視認可能となり、意匠性が極めて優れた五徳1とすることができる。
なお、金属製の基材10の表面に、コーティング層11が形成されているものを例示して説明したが、図3の基材10がなく、全断面がケイ素化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物の何れか1種類を含有する単層からなるものでも構わない。
<汚れと炭化物のコビリ付き防止の原理>
次に、図4~図8を用いて、本発明に係る五徳の汚れと炭化物のコビリ付き防止の原理(メカニズム)について説明する。図4は、現行の五徳を1年間実使用してモニターした結果を示す写真である。
現行の五徳1は、前述の五徳1と略同等の素材から構成されるものであり、相違する点は、前述のリング部2に側面視コの字状の爪部5が取り付けられている点である(図5参照)。このため、同一構成は同一符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、現行の五徳1とは、試作品として完成し、実用化へ向けた最終段階の耐久テスト等の実証実験を行っている途中の五徳であり、既に販売等、実施されているものではない。つまり、現行の五徳1は、本発明の開発直前のもので、本発明に係る五徳と比較するために提示している五徳である。
図4に示すように、本願発明者らは、現行の五徳1を1年間実使用してモニターした結果、コビリ付きが一定の範囲のみに発生することに着目した。そして、五徳1のコビリ付きが現れる位置と温度の関係を調査した。図5は、現行の五徳1のコビリ付きの発生位置を示す図であり、図6は、コビリ付きの発生と調理時の温度の関係を示す図である。なお、1年間実使用は、ガスコンロを強火で使用してモニターしたものである。
図5、図6に示すように、現行の五徳1の爪部5の下部50は、調理時にガスコンロGに火を付けた場合でも200℃未満となる低温域X1となっていた。このため、有機物が付着して長期に亘ってこの温度(低温)に晒されても、付着した付着有機物が炭化しなかった。つまり、図4、図5に示すように、下部50には、コビリ付きが発生せず、汚れ(有機物)は、濡れたウエスで簡単に拭き取って除去可能であった。
また、図5、図6に示すように、現行の五徳1の爪部5の炎接触近接部51は、調理時にガスコンロGに火を付けた場合に200℃以上450℃未満となる中温域X2となっていた。このため、有機物が付着して長期に亘ってこの温度(中温)に晒されると、付着有機物が炭化してコビリ付いた。但し、現行の五徳1でも、炭化した付着有機物を、中性洗剤等を使って擦れば、一部除去可能であり、酷いコビリ付きは、クレジットカードなど硬い樹脂カードで擦れば除去できた。また、現行の五徳1は、背景技術で述べた特許文献1~6に記載の従来の五徳と比べて、極めて高い耐変色性、耐変質性、耐変形性(これら全部の性質を含めて耐熱性という、以下同じ)を有する。
なお、この中温域における炭化物のコビリ付きは、吹きこぼれによるとは限られず、中温域X2になると油煙などの透明な付着物のコビリ付きが発生するからと考えられる。
そして、図5、図6に示すように、現行の五徳1の爪部5の炎接触部52は、調理時にガスコンロGに火を付けた場合に450℃以上となる高温域X3であり、一般的に、450℃以上850℃未満となる温度領域となっていた。この高温域X3となる炎接触部52には、炭化物のコビリ付きは発生しなかった。
コビリ付き等が発生しなかった理由は、炭化した有機物が二酸化炭素(CO)となって気化したからと考えられる。また、特許文献1~6に記載の従来の五徳と比べて、現行の五徳1が、コーティング層11等のガスバリア性等により、直火が触れる700℃以上もの高温環境下に長期に亘って晒された場合であっても、高い耐熱性を示し、テンパーカラーやコビリ付きの発生等を防止することができるからと考えられる。
本願発明者らは、これらの見地を踏まえ、現行の五徳1の基材10とコーティング層11の組み合わせによる変色防止の表面処理の極めて高い耐熱性を活用し、汚れが表面に付着しないようにするという従来の発想を転換したものである。即ち、五徳1が極めて高い耐熱性を有することから、五徳1の爪部3の略全域を調理時(加熱時)又は清掃時に450℃以上となる高温域X3にすることができれば、使用開始時の初期状態を極めて長期に亘って維持し、清掃手間の極端に少ない五徳ができることを見出したものである。
図7は、前述の第1実施形態に係る五徳1の調理時(加熱時)における爪部3の表面温度を測定した測定結果を示す図であり、図8は、前述の現行の五徳1の調理時(加熱時)の爪部5の表面温度を測定した測定結果を示す図である。図7に示すように、第1実施形態に係る五徳1は、爪部3のガスコンロGとの下部接触部(リング部2)、及びその近傍となる立上り部30の下部だけが、ガスコンロGに火を付けた加熱調理時に290℃に達する中温域X2となるものの、爪部3の大部分は、少なくとも一時的に高温域X3とすることができる。このため、炭化した有機物が二酸化炭素(CO)となって気化し、長期に亘って、お手入れ不要で、酸化物であるテンパーカラーやコビリ付きが発生することがないと考えられる。
一方、図8に示すように、現行の五徳1は、炎接触部52を離れた炎接触近接部51に入ると直ぐに230℃に下がり、下部50は、表面全域が200℃以下の低温域X1となっている。このため、前述のように、中温域X2に炭化物が付着したものと推測される。
両者の違いは、五徳1の爪部3は、炎接触部となる部分の質量(体積)が大きいのに対して、五徳1の炎接触部52は相対的に質量(体積)が小さく、五徳1の方が炎接触部の熱をより短時間に全体に伝熱することができるからと考えられる。よって、五徳1のように、炎接触部となる部分の質量(体積)を大きくすることにより、調理時(加熱時)又は清掃時において、ガスコンロGの強火で炙っただけで、短時間で爪部3の立上り部30の下部を除く表面全域を高温域X3とすることができる。
以上説明した第1実施形態に係る五徳1によれば、炎接触部となる部分の体積を大きくすることにより、清掃時又は調理時において、ガスコンロGの強火で炙っただけで、短時間で爪部3のガスコンロGとの下部接触部(リング部2)、及びその近傍(中温域X2の部分)を除く表面全域を高温域X3とすることができる。このため、五徳1の酸化変色を防止しつつ、付着物がコビリ付くこともなく、且つ、清掃手間を掛けることなく五徳1の新品時の美麗な光沢を保つことができる。
以下、前述の五徳1の基材とコーティング層の組み合わせの効果を確認するために行った実験的検証について詳細に説明をする。
この実験的検証においては、先ず表1、表2に示すように複数種のサンプルを作成し、水鍋変色試験及び変色防止耐久性向上効果の確認を行った。
Figure 0007170813000001
Figure 0007170813000002
サンプルは、金属製の基材のみで構成し、その表面に何のコーティング層も積層させない比較例1~4と、アルミニウムを含まない基材上に前述した成分を含有する単層のコーティング層を被覆させた本発明例1~7と、アルミニウムを含む基材上に前述した成分を含有する単層のコーティング層を被覆させた本発明例8~14と、アルミニウムを含まない基材上に前述した成分を含有するコーティング層を2層に亘り積層させた本発明例15と、アルミニウムを含む基材上に前述した成分を含有するコーティング層を2層に亘り積層させた本発明例16と、からなる。
比較例1,2、本発明例1,2については、基材として、アルミニウムを含有しないステンレス鋼(SUS304)、アルミニウムを含有しないステンレス鋼(SUS430)を使用した。また、本発明例8,10,11,13,16、比較例3については基材としてステンレス鋼全重量に対して4重量%のアルミニウムを含有するステンレス鋼(15Cr-4Al-LC,N)を使用し、本発明例9,12,14、比較例4については基材としてステンレス鋼全重量に対して2重量%のアルミニウムを含有するステンレス鋼(18Cr-2Al-Ti)を使用している。
本発明例1,2,8,9では、コーティング層としてケイ素化合物主体膜Aを生成するべく、その前駆体として濃度10%の平均直径25nm以上のシリカが主体となった結晶分散液を塗料として塗布している。
本発明例3,10では、コーティング層としてケイ素化合物主体膜Bを生成するべく、その前駆体として濃度20%のポリシラザンを塗料として塗布している。
本発明例4,5,11,12では、コーティング層としてアルミニウム化合物主体膜を生成するべく、その前駆体として濃度3%、平均直径200nm以上の水酸化アルミニウムナノ粒子分散液を塗料として塗布している。
本発明例6,7,13,14では、コーティング層としてジルコニウム化合物主体膜を生成するべく、その前駆体として平均直径10nm以上のジルコニウムナノ粒子分散液を塗料として塗布している。
本発明例15,16では、前述したケイ素化合物主体膜Aを基材の直上に積層させ、このケイ素化合物主体膜Aの直上に前述したアルミニウム化合物主体膜を積層させた2層構造としている。
前述した各サンプルについて水鍋変色試験による実験的検証を行った。水鍋変色試験ついては、比較例1~4および本発明例1~16の塗装を施した五徳を設けた加熱機器に2リットルの水を入れた鍋(直径24cm)を置き、4.4kWのハイカロリーバーナーで1時間連続で加熱することを繰り返し行い、JIS K5600-4-3(光源のみLED(オーム電機LEDPL48W)を使用している)に則り変色を目視評価した。この水鍋変色試験ついては、床面壁面が全て白色(SCI値が90.61)の部屋にて行い、観察位置の照度は、約2300Luxであった。
なお、表1では基材にアルミニウムを含有しない金属の代表としてSUS304、アルミニウムを含有する金属の代表として4重量%のアルミニウムを含有するステンレス鋼(15Cr-4Al-LC,N)を例にとり、アルミニウム含有金属での変色防止耐久性向上効果を倍率で表した。この変色防止耐久性向上効果は、変色防止耐久性向上効果=(4重量%のアルミニウムを含有するステンレス鋼の供試体における変色開始時間(h))/(SUS304のサンプルにおける変色開始時間(h))で表される。この変色防止耐久性向上効果が3倍以上確認され、更に変色防止耐久性が310hを超えるものを◎、アルミニウム含有基材の効果が3倍以上確認されるが変色防止耐久性が310hを下回るものを○、アルミニウム含有基材の効果が確認されないものを×とし、総合評価を行った。
水鍋変色試験では、前述した条件の下での目視評価を行った。先ず比較例1~4としてアルミニウムを含有しないSUS304、SUS430並びに4重量%のアルミニウムを含有するステンレス鋼、2重量%のアルミニウムを含有するステンレス鋼についてコーティングを行わない状態で水鍋変色試験を行い、変色開始時間を測定した。その結果、変色開始時間は基材によらず2分であった。このことから何らコーティングを行わない状態ではアルミニウム含有基材の変色防止耐久性向上効果は確認されず、総合評価は×となった。
次に、本発明例1~3としてアルミニウムを含有しないSUS304、SUS430について、本発明例8~10として4重量%のアルミニウムを含有するステンレス鋼、2重量%のアルミニウムを含有するステンレス鋼について、本発明例のコーティング条件の下でケイ素化合物主体膜A並びにケイ素化合物主体膜Bのコーティングを行い、それぞれについて水鍋変色試験を行い、変色開始時間を測定した。その結果、本発明例1~3の変色開始時間は全て110時間であったが、本発明例8~10は全て470時間時点でも変色は確認されなかった。
このことから、表2に示すように、ケイ素化合物を含むコーティング層を、アルミニウムを含有する基材上に積層させることにより、アルミニウムを含有しない基材上に積層させた際と比べ、変色防止耐久性向上効果は少なくとも4倍以上となることが分かった。また、表1に示すように、その耐久性もアルミニウムを含まない基材において最も変色防止耐久性の良い2層膜の本発明例15の310時間を超えることから、総合評価は◎となった。
次に、本発明例4,5としてアルミニウムを含有しないSUS304、SUS430について、本発明例11,12として4重量%のアルミニウムを含有するステンレス鋼、2重量%のアルミニウムを含有するステンレス鋼について本発明例のコーティング条件の下でアルミニウム化合物主体膜のコーティングを行い、それぞれについて水鍋変色試験を行い、変色開始時間を測定した。
その結果、本発明例4,5はそれぞれ変色開始時間が10時間,4時間であったが、本発明例11,12では何れも145時間時点でも変色は確認されなかった。このことから、アルミニウム化合物を含むコーティング層を、アルミニウムを含有する基材上に積層させることにより、アルミニウムを含有しない基材上に積層させた際と比べ、変色防止耐久性向上効果は少なくとも14.5倍以上となることが分かった。しかし、アルミニウムを含有する基材の効果は確認されたが、その耐久性は310時間を超えていないため、総合評価は○となった。
次に、本発明例6,7としてアルミニウムを含有しないSUS304、SUS430について、本発明例13,14として4重量%のアルミニウムを含有するステンレス鋼、2重量%のアルミニウムを含有するステンレス鋼について本発明例のコーティング条件の下でジルコニウム化合物主体膜のコーティングを行い、それぞれについて水鍋変色試験を行い、変色開始時間を測定した。
その結果、本発明例6,7の変色開始時間は何れも45分であったが、本発明例13,14の変色開始時間はそれぞれ4時間,18時間であった。
このことから、ジルコニウム化合物を含むコーティング層を、アルミニウムを含有する基材上に積層させることにより、アルミニウムを含有しない基材上に積層させた際と比べ、変色防止耐久性向上効果は5倍となることが分かった。しかし、アルミニウムを含有する基材の効果は確認されたが、その耐久性は310時間を超えていないため、総合評価は○となった。
次に、本発明例15,16としてアルミニウムを含有しないSUS304、4重量%のアルミニウムを含有するステンレス鋼について本発明例のコーティング条件の下で前述したケイ素化合物主体膜Aを金属層の直上に積層させ、このケイ素化合物主体膜Aの直上に前述したアルミニウム化合物主体膜を積層させるコーティングを行い、それぞれについて水鍋変色試験を行い、変色開始時間を測定した。
その結果、本発明例15の変色開始時間は310時間であり、本発明例16の変色開始時間は1700時間であった。
このことから、ケイ素化合物を含むコーティング層とアルミニウム化合物を含むコーティング層の2層構造を持つコーティング層を、アルミニウムを含有する基材上に積層させることにより、アルミニウムを含有しない基材上に積層させた際と比べ、変色防止耐久性向上効果は5.5倍となることが分かった。また、その耐久性も310時間を超えることから、総合評価は◎となった。
以上の実験結果から、最表面にケイ素化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物の何れかを含有する層を有する本発明例1~14は、コーティングしない比較例1~4に比べて少なくとも22倍以上の変色防止耐久性があることが分かる。
また、基材のみではアルミニウム含有の有無により変色防止の耐久性の差異は確認できない。これに対して、基材としてアルミニウムを含有させ、さらにこの基材の上層にケイ素化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物の何れかを含有する単層からなるコーティング層を形成された本発明例8~14は、基材としてアルミニウムを含有しないものの上層に前述したコーティング層を形成された場合と比較して、変色防止耐久性が著しく向上することが分かった。
さらに、本発明例8~10のように、このコーティング層がケイ素化合物を含む単層であった場合、アルミニウムを含まない基材で2層膜を積層させた本発明例15を超える変色防止耐久性を単層で発揮できることが分かった。
また、本発明例16も同様にアルミニウムを含有する基材の効果が示され、更なる耐久性向上が可能であった。
[第2実施形態]
次に、図9を用いて、本発明の第2実施形態に係る五徳1’について説明する。図9は、本発明の第2実施形態に係る五徳1’を示す側面図である。
第2実施形態に係る五徳1’が、前述の第1実施形態に係る五徳1と相違する点は、リング部と爪部の接合位置だけであるので、その点について主に説明し、材質等の説明は省略する。
図9に示すように、五徳1’は、ガスコンロGの上方に位置するリング状のリング部2’と、このリング部2’に溶接されて取り付けられた6枚の爪部3’など、から構成されている。
この爪部3’は、五徳1の爪部3と略同形であり、立上り部30’と、立上り部30’の上端から外側へ突出する上辺部31’と、からなる側面視逆L字状の板状の部位である。この五徳1’は、爪部3’の一部が、加熱調理機器であるガスコンロGの炎に直接接して炙られ、700℃を超える高温環境下に置かれる加熱高温部材である。
また、このリング部2’は、複数の脚部20’が設けられ、ガスコンロGに載置した場合に、前述のリング部2と比べて高い位置に設置されることとなる。このため、リング部2’の大部分が、ガスコンロGの炎に接触する炎接触部となり、ガスコンロGを強火とした際にリング部2’の表面全域が450℃以上となる高温域X3となる。よって、五徳1’は、清掃時において、ガスコンロGを着火して強火にするだけで、表面全域を450℃以上の高温域X3にすることができる。
第2実施形態に係る五徳1’によれば、表面全域を加熱調理機器で450℃以上に加熱することができるので、加熱高温部材に有機物が付着した場合であっても気化させてしまうためコビリ付くことがない。このため、お手入れ不要で加熱高温部材の新品時の美麗な光沢を保つことができる。
[第3実施形態]
次に、図10を用いて、本発明の第3実施形態に係る五徳1”について説明する。図10は、本発明の第3実施形態に係る五徳1”を示す側面図である。
第3実施形態に係る五徳1”は、前述の五徳1と略同等の素材から構成されるものであり、相違する点は、前述のリング部2と同等のリング部2”を上下一対備え、このリング部2”,2”に、前述の五徳1の爪部5と同等の側面視コの字状の爪部5”が取り付けられている点である。
図10に示すように、爪部5”は、側面視コの字状の板状の部位であり、コの字状の角部が上下一対のリング部2”,2”にそれぞれ等間隔に放射状に6枚取り付けられている。この爪部5”は、下のリング部2”から外側へ放射状に延びる下辺部50”と、この下辺部50”の基端部から上のリング部2”へ立ち上がる立上り部51”と、立上り部51”の上端から外側へ放射状に延びる上辺部52”など、から構成されている。
このような構成のため、五徳1”は、ガスコンロGに何れのリング部2”,2”も装着可能となっており、上下を反転させてガスコンロGに設置することが可能となっている。このため、調理時又は清掃時に、ガスコンロGを着火すると、図10に示すように、立上り部51”と上辺部52”が炎に接触する炎接触部となり、450℃以上となる高温域となる。
このとき、下辺部50”が中温域X2となり、油煙などの透明な付着物のコビリ付きが発生した場合であっても、五徳1”の上下を反転させると、上辺部52”と下辺部50”とが入れ替わり、ガスコンロGを着火することで、下辺部50”を450℃以上の高温域とすることができる。
第3実施形態に係る五徳1”によれば、ガスコンロGへの設置方法を変更して上下を反転させることにより、コビリ付きが発生し易い調理時の中温域である下辺部50”(図10と上下が逆の場合の上辺部52”)をガスコンロGで450℃以上に加熱することができる。このため、中温域に発生するコビリ付きを簡単に除去清掃することができ、清掃手間を掛けることなく新品時の美麗な光沢を保つことができる。
<加熱高温部材の清掃方法>
次に、図11~図13を用いて、本発明の実施形態に係る加熱高温部材の清掃方法について説明する。図11~図13は、図4に示した1年間実使用してコビリ付きが発生した現行の五徳1の爪部5をガスコンロの炎で炙ってコビリ付きがどうなるかを確認した実験の写真であり、図11が加熱前、図12が加熱3分後、図13が10分後である。
図11に示すように、爪部5のコビリ付きをガスコンロの炎で直接炙って、450℃を超える高温にすると、3分後には、図12に示すように、元々のコビリ付きは減少して行くものの、炎接触近接部となる200℃以上450℃未満の中温域の部分に、付着していた有機物の炭化によるコビリ付きが発生することが確認できた。
そして、加熱を続けて10分後には、図13に示すように、元々のコビリ付きは完全に消失し、さらに下方にコビリ付きが発生したことが確認できた。
よって、本実施形態に係る加熱高温部材の清掃方法のように、調理時に200℃以上450℃未満となる中温域にコビリ付きが発生した場合に、清掃時に、加熱調理機器であるガスコンロでコビリ付きが発生した部分を450℃以上に加熱することによりコビリ付きを除去して清掃することができる。
つまり、本実施形態に係る加熱高温部材の清掃方法によれば、コビリ付きが発生した部分を450℃以上に加熱するという極めて簡単な方法により、利用者の手を煩わすことなく、加熱高温部材である五徳のコビリ付きを10分程度の短時間で完全に除去して清掃することができる。
<コビリ付き性試験>
次に、表3を用いて、基材とコーティング層の組み合わせとコビリ付き性の関係、及びこれらと加熱温度との関係を確認するために行ったコビリ付き性試験について説明する。
試験は、基材とコーティング層の組み合わせからなる試験体を表3の左欄に示すように種々作成し、それらに、油5μLを10円玉程度の大きさに塗り広げ、オーブン又はマッフル炉で150℃,200℃,300℃,400℃,450℃,500℃,600℃の各温度にて60分間加熱し、油の様子を観察して評価した。主に、油残りがあるか否か、コビリ付きの有無等を評価したものである。表3に示す、〇は表面付着物無し、〇’は油残り、△はコビリ付き小、×はコビリ付き大の評価である。
Figure 0007170813000003
表3に示すように、基材とコーティング層の組み合わせに拘わらず、コビリ付きは、略200℃以上450℃未満の温度帯で発生し、450℃以上になるとコビリ付きが発生しないことが確認できた。
<コビリ付き除去性試験>
次に、表4を用いて、基材とコーティング層の組み合わせとコビリ付き除去性の関係、及びこれらと加熱温度との関係を確認するために行ったコビリ付き除去性試験について説明する。
試験は、基材とコーティング層の組み合わせからなる試験体を表4の左欄に示すように種々作成し、それらに、油5μLを10円玉程度の大きさに塗り広げ、オーブン又はマッフル炉にて300℃で15分間加熱してコビリ付きを発生させ、その後、オーブン又はマッフル炉にて400℃,450℃,500℃,600℃の各温度にて60分間加熱し、コビリ付きが除去されたか否かを観察して評価した。表4に示す、〇はコビリ付き無し、△はコビリ付き小、×はコビリ付き大の評価である。
Figure 0007170813000004
表4に示すように、基材とコーティング層の組み合わせに拘わらず、発生したコビリ付きは、450℃以上に加熱することで除去することができることが確認できた。
<変色防止性試験>
次に、表5を用いて、基材とコーティング層の表面処理と変色防止性の関係、及びこれらと加熱温度とのを確認するために行った変色防止性試験について説明する。
試験は、前述のオーブン又はマッフル炉で150℃,200℃,300℃,400℃,450℃,500℃,600℃の各温度にて60分間加熱してコビリ付き除去性確認用の試験体について、変色・変質の有無を目視により確認した。表5に示す、〇は変色・変質無し、×は変色・変質有りの評価である。
Figure 0007170813000005
表5に示すように、本実施形態に係る五徳1,1’,1”のように、変色防止対策の表面処理を施した基材とコーティング層の組み合わせでは、いずれの温度でも変色・変質は確認できなかった。一方、表面処理を施さない、生材のステンレス基材、アルミニウム含有ステンレス基材は、いずれも400℃以上になると変色が確認できた。
以上の試験から基材とコーティング層の組み合わせによる表面処理の極めて高い耐熱性を活用し、調理時又は清掃時にオーブンなどの加熱調理機器で450℃以上の高温とすることで、変色・変質を防止しつつ、コビリ付きを発生させないこと、又は、コビリ付き除去できることを確認することができた。
<コビリ付き性の時間依存性>
次に、表6~表12を用いて、コビリ付き性の各加熱温度での加熱時間との関係を確認するために行ったコビリ付き性の時間依存性試験について説明する。
試験は、前述のコビリ付き性試験と同様に、基材とコーティング層の組み合わせからなる試験体を各表の左欄に示すように種々作成し、それらに、油5μLを10円玉程度の大きさに塗り広げ、オーブン又はマッフル炉にて150℃,200℃,300℃,400℃,450℃,500℃,600℃の各温度にて60分間加熱し、油の様子を15分毎に観察して評価した。各表に示す、〇は表面付着物無し、〇’は油残り、△はコビリ付き小、×はコビリ付き大の評価である。
Figure 0007170813000006
Figure 0007170813000007
Figure 0007170813000008
Figure 0007170813000009
Figure 0007170813000010
Figure 0007170813000011
Figure 0007170813000012
表6に示すように、加熱温度が150℃では、表面処理の組み合わせに拘わらず、コビリ付きは発生せず、表7に示すように、加熱温度が200℃になると、30分又は45分加熱するとコビリ付きが発生し、表8に示すように、加熱温度が300℃になると、15分加熱しただけでコビリ付きが発生する。
また、逆に、表9に示すように、加熱温度が400℃になると、45分又は60分加熱することで、コビリ付きが解消するものが現れ始め、表10に示すように、加熱温度が450℃になると、60分加熱すると全ての試験体でコビリ付きが解消した。
そして、表11に示すように、加熱温度が500℃になると、15分又は30分加熱するとコビリ付きが解消し、表12に示すように、加熱温度が600℃になると、15分加熱しただけで全ての試験体でコビリ付きが解消する。
<コビリ付き除去性の時間依存性>
次に、表13~表16を用いて、コビリ付き除去性の各加熱温度での加熱時間との関係を確認するために行ったコビリ付き除去性の時間依存性試験について説明する。
試験は、前述のコビリ付き除去性試験と同様に、基材とコーティング層の組み合わせからなる試験体を各表の左欄に示すように種々作成し、それらに、油5μLを10円玉程度の大きさに塗り広げ、オーブン又はマッフル炉にて300℃で15分間加熱してコビリ付きを発生させ、その後、オーブン又はマッフル炉にて400℃,450℃,500℃,600℃の各温度にて最大60分間加熱し、15分毎にコビリ付きが除去されたか否かを観察して評価した。各表に示す、〇はコビリ付き無し、△はコビリ付き小、×はコビリ付き大の評価である。
Figure 0007170813000013
Figure 0007170813000014
Figure 0007170813000015
Figure 0007170813000016
表13に示すように、加熱温度が400℃では、ホーロー(鉄基材+SiO)のみ30分加熱するとコビリ付きが除去された。しかし、表14に示すように、加熱温度が450℃では、60分加熱すると全ての試験体において、コビリ付きが除去された。
表15に示すように、加熱温度が500℃になると、15分又は30分加熱するとコビリ付きが除去され、表16に示すように、加熱温度が600℃になると、15分加熱しただけで全ての試験体でコビリ付きが除去された。
以上のコビリ付き性の時間依存性確認試験から基材とコーティング層の組み合わせによる表面処理の極めて高い耐熱性を活用し、調理時又は清掃時にオーブンなどの加熱調理機器で450℃以上の高温で最大60分加熱することで、変色・変質を防止しつつ、コビリ付きを発生させないこと、又は、コビリ付き除去できることを確認することができた。
以上、本発明の第1~3実施の形態に係る五徳について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたって具体化した一実施の形態を示したものに過ぎない。よって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
特に、本発明の実施形態に係る加熱調理機器用加熱高温部材としてガスコンロGの五徳1,1’,1”を例示して説明したが、本発明は、五徳に限られず、グリル、オーブン、ガスバーナー、乾燥焼成炉等の加熱調理機器において、450℃以上に加熱される加熱高温部材には適用することができる。例えば、本発明は、ガスコンロ、グリル、オーブン、ガスバーナー、乾燥焼成炉等に用いられる、網、引出しプレートなどの金属部材、鍋、薬缶などの加熱調理器具、ヒータ近接部材などには好適に適用することができる。
例えば、加熱調理機器が魚焼きグリルである場合、魚焼きグリル内に設けられたグリル内天板や下火カバーは、一般に調理時には、グリル内天板は、約350℃まで昇温し、下火カバーは、約300℃まで昇温する。このため、これらの部材は、加熱調理機器用加熱高温部材に相当する。また、このようなグリル内天板や下火カバーが前述の表面処理を施していないステンレス生材であった場合、300℃以上に達すると、表3及び表5に示したように、基材の変色及びコビリ付きが発生する。しかし、本発明を適用して魚焼きグリルの火力を上げたり、これらの設置位置を変更したりすることにより、450℃以上に加熱することで、基材の変色を防止しつつコビリ付きを発生させず、又は、発生した場合でも気化させることでコビリ付きを除去することができる。
1,1’,1”:五徳(加熱調理機器用加熱高温部材)
10:基材
11:コーティング層
2,2’,2”:リング部
20:脚部
3,3’:爪部
30,30’:立上り部
31,31’:上辺部
5,5”:爪部
50:立上り部
51:炎接触近接部
52:炎接触部
50”:下辺部
51”:立上り部
52”:上辺部
G:ガスコンロ(加熱調理機器)
X1:低温域
X2:中温域
X3:高温域

Claims (2)

  1. ガスコンロと同時に用いられ、前記ガスコンロに加熱されて一部が450℃以上の高温
    に加熱可能であり、有機物が付着しコビリ付きが生じ得る五徳であって、
    前記ガスコンロの周りに載置されるリング状の上下一対のリング部と、上下一対の前記
    リング部に取り付けられた爪部とを備え、上下を反転させて前記ガスコンロに設置可能に
    構成され、
    450℃以上の高温となる高温域と200℃以上450℃未満となる中温域、又は前記
    中温域が存在し、清掃時に前記ガスコンロへの設置を上下反転させることにより前記中温
    域を前記ガスコンロで450℃以上に加熱可能に構成されていること
    を特徴とする五徳。
  2. 前記爪部は、側面視コの字状の板状の部位であり、コの字状の角部が上下一対の前記リ
    ング部にそれぞれ等間隔に放射状に複数枚取り付けられていること
    を特徴とする請求項1に記載の五徳。
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