JP2014219159A - 住宅吸気システム - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルターによる除塵性能を維持した上で使用期間の長期化を図る。【解決手段】外気吸気システム150は、外気吸入口151から住宅内の外気放出口である外気放出口153まで延びる外気吸気管154に、送風ユニット158と、フィルターユニット156とを備える。フィルターユニット156のフィルター300は、10m3/min以上の定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して95%以上の粒子捕集率を備える。送風ユニット158は、その内蔵する送風機158aにより、外気をフィルター300を経て外気放出口153に向けて送風し、その際の風量を1〜4m3/minとする。【選択図】図1

Description

本発明は、住宅吸気システムに関する。
近年になり、住宅の高気密化や高断熱化が進んだことと相まって、外気を積極的に住宅内に吸気することが要請されている。その一方、外気には、微小のゴミ・塵埃等が含まれているため、除塵を図った上で、外気を吸気する手法が種々提案されている(例えば、特許文献1等)。
特開2006−105516号公報 特開2011−145046号公報
上記の吸気手法では、フィルターにて除塵を図るとは言え、フィルターによる除塵性能を維持した上で使用期間の長期化を図る余地が残されている。この他、住宅吸気システムの構造の簡略化や、市販フィルターの有効利用を図ることも要請されている。
上記した課題の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態として実施することができる。
(1)本発明の一形態によれば、住宅吸気システムが提供される。この住宅吸気システムは、住宅の外気吸入口から住宅内の外気放出口まで延びる吸気管路と、該吸気管路に設けられ、前記吸気管路を通過する外気の除塵を図るフィルターを収納したフィルターボックスと、前記吸気管路に設けられ、前記外気吸入口から前記吸気管路に入り込んだ外気を、前記フィルターを経て前記外気放出口に向けて送風する送風ユニットとを備える。前記フィルターは、10m3/min以上の定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して95%以上の粒子捕集率を備え、前記送風ユニットは、1〜4m3/minの風量で送風する。上記形態の住宅吸気システムでは、10m3/min以上の定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して95%以上という粒子捕集率を備えたフィルターにて除塵を図るに当たり、定格風量の1/10〜2/5の風量もしくはこれ以下の風量である1〜4m3/minの小風量でしか、フィルターに外気を送り込まない。フィルターは、10m3/min以上という大風量での送風を受けても、粒径が0.3μmの粒子に対して95%以上という粒子捕集率を発揮するのであるから、上記のような少風量の送風を受けた場合にあっても、フィルター通過風量は少ないとは言え、少なくとも同程度の粒子捕集率を発揮可能である。しかも、小風量の送風であることから、送風される外気に混入済みのゴミ・塵埃等は、徐々にしかフィルターに捕集されないので、ゴミ・塵埃等の捕集に伴うフィルターの目詰まりも、徐々にしか起きず、目詰まり領域が徐々に広がっていくことになる。この結果、上記形態の住宅吸気システムによれば、フィルター自体が有する高い粒子捕集率を長期に亘って発揮できるので、フィルターによる除塵性能を維持した上で使用期間の長期化を図ることができる。また、10m3/min以上の定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して95%以上の粒子捕集率を備えるフィルターは、日本工業規格(JIS Z 8122)に即して、クリーンルーム用のメインフィルターとして市販普及していることから、市販フィルターの有効利用を図ることもできる。つまり、こうした市販フィルターを収納するフィルターボックスを用意すれば足りるので、簡便であると共に、低コスト化も可能となる。
(2)上記形態の住宅吸気システムにおいて、前記送風ユニットを前記フィルターボックスよりも上流側に備えるようにできる。こうすれば、小風量でのフィルターへの外気送風を、より確実に且つ安定して図ることができ、除塵性能を維持した上でのフィルター使用期間の長期化に有益となる。
(3)上記したいずれかの形態の住宅吸気システムにおいて、前記フィルターは、外枠の枠内にフィルター部材を配設して構成され、前記フィルターボックスは、前記フィルターを前記外枠ごと交換可能に収納するようにできる。こうすれば、フィルターの折りたたみ等の作業を経ることなく、枠体ごとフィルターを交換でき、簡便となる。
(4)上記したいずれかの形態の住宅吸気システムにおいて、前記フィルターボックスは、前記外気吸入口の側の前記吸気管の接続口である外気流入口と、前記外気放出口の側の前記吸気管の接続口である外気流出口とを、前記フィルターを挟んでオフセットして備えるようにできる。ゴミ・塵埃等の捕集に伴うフィルターの目詰まり領域は、外気流入口の近辺から徐々に広がり、やがて外気流出口の近辺に達する。上記形態の住宅吸気システムでは、外気流入口と外気流出口とをオフセットさせているので、フィルターの目詰まり領域が外気流入口の近辺から外気流出口の近辺にまで広がる期間が長期化する。よって、上記形態の住宅吸気システムによれば、除塵性能を維持した上でのフィルターの使用期間を長期化することができる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、1台のエアコンにて住宅の各部屋等の各住居域の空調を図る空調システムに外気を吸気する構成の他、住宅内に外気を除塵して吸気する住宅の形態とすることもできる。
本発明の実施形態としての住宅100の概略構成を模式的に縦断面視して示す説明図である。 フィルターユニット156の概略構成を斜視にて示す説明図である。 フィルターユニット156を管路上流側から平面視して概略的に示す説明図である。 フィルター300による除塵の進み方を概略的に示す説明図である。 フィルター300への外気の送風をフィルターボックス302の周壁から行う実施形態のフィルターユニット156Aを概略的に斜視にて示す説明図である。 フィルターユニット156Aを断面視して概略的に示す説明図である。 フィルターユニット156Aを平面視して概略的に示す説明図である。 フィルターユニット156を内外壁の壁間領域Wsに縦置き設置した様子を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。図1は本発明の実施形態としての住宅100の概略構成を模式的に縦断面視して示す説明図である。
図示するように、本実施形態の住宅100は、基礎101に建てられた高気密・高断熱の2階建て住宅であって、各階に複数の住居域を区画して有し、各住居域を後述の空調システム120にて空調する。住居域の割り当ては、各住宅ごとに個別に設定でき、本実施形態では、例えば次のようにした。住宅100は、1階および2階にそれぞれ複数の住居域を備える。住宅100の部屋割りの様子については、本発明の要旨と直接関係しないので、図1に示した住居域についてのみ、以下説明する。
1階の住居域210〜211は、基礎101に形成される床下空間111と住宅床112を隔てて、当該床下空間の上に並んでいる。住居域210は、図示しない玄関領域の他、1階廊下領域などや階段ステップSが配列済みの階段領域を含み、当該階段領域の一部領域において、天井が2階天井まで届くいわゆる吹き抜け形態を採る。よって、住居域210は、住宅床112から天井までの住居域高さが1階の他の住居域211より高く、その天井108を隔てて空調機室121の下方まで延びる高天井住居域となっている。こうした高天井住居域の住居域210を、1階部分にリビングやキッチンを階段領域210sと共に有するいわゆる共有住居域とするようにしてもよい。住居域210は吹き抜け形態を採ることから、この住居域210は、その占有容積が他の住居域である住居域211とその他の1階の住居域より大きくされている。
2階の住居域221〜222は、子供部屋や寝室等として利用可能であり、2階には、この他、2階廊下領域や個室としての住居域が並んでいる。これら2階の各住居域にあっても、住宅構成基材としての住宅内外壁および各住居域の天井にて区画されている。
住宅100は、屋根109と2階の天井108の間の屋根裏110に、空調システム120と外気吸気システム150とを有する。空調システム120は、空調機室121と、空調機140とを備える。空調機室121は、既述した住居域210等の各住居域とは別に形成され、その内壁を断熱材にて被覆し、後述の空調機140にて空調された空気の熱を外部に漏らさないようにしている。空調機室121は、室内に仕切プレート122を有する。この仕切プレート122は、空調機室121の内部空間を、吸気側と空調側に区分する。また、空調システム120は、空調機室121から床下空間111まで延びる送気用区画部113を備える。この送気用区画部113は、その上端側で空調機140が設置された空調機室121の空調側域に連通し、下端側では、床下空間連通箇所114にて床下空間111と連通し、住居域210に隣接して空調機室121から床下空間111まで延びる。そして、空調システム120は、空調機室121にて空調機140により空調済みの空調室内空気CAを、送気用区画部113の上端側の複数台のモーター駆動の空気送風機123aと、送気用区画部113の下端側の複数台のモーター駆動の空気送風機123bとにより、送気用区画部113を経て空調機室121から床下空間111に送風する。なお、空調システム120のメンテナンスは、屋根裏110に続く収納タイプの階段が用いられる。この場合、空調システム120の空調機室121は、屋根裏110に限らず、送気用区画部113を確保できる住宅100の適宜な箇所に設置できる。
空調機室121は、後述の外気吸気システム150による住宅外からの外気の送気と、住居域210に後述するように送気済み空気(空調済み空調室内空気CA)のリターンとを、仕切プレート122で仕切られた吸気側に受ける。空調機140は、空調機室121の仕切プレート122を乗り越えてきた空気、即ち外気吸気システム150から導入されて除塵済みの外気と後述するようにリターンした空調済み空調室内空気CAとの混合気を目標温度に空調する市販のエアコンであり、空調した空気(空調済み空調室内空気CA)を吹き出す。空調機140の室外機(図示略)は、住宅100の外に設置されている。
外気吸気システム150は、外気吸気管154と、熱交換器155と、フィルターユニット156と、送風ユニット158とを有する。外気吸気管154は、住宅外壁に設置済みの外気吸入口151から住宅内の外気放出口、即ち空調機室121との接続部である外気放出口153まで延び、送風ユニット158とフィルターユニット156との間を上流管路154aとし、フィルターユニット156と熱交換器155との間を中流管路154bとし、熱交換器155から外気放出口153までを末端管路154cとする。熱交換器155は、後述の排気管157を流れる空気と外気吸気管154を通過する空気の熱交換を行い、空調機140による空調のエネルギーロスの低減を図る。送風ユニット158は、送風機158aを内蔵し、当該送風機にて外気吸入口151から吸引した外気を、上流管路154a以降の管路およびフィルターユニット156等の各機器に送風する。送風機158aは、直流駆動式であり、1〜4m3/minの小風量で外気を送風する。この場合、送風機158aによる送風風量は、住宅100の部屋割りや全容積、或いは空調機140による空調状況、空気送風機123aによる送風状況等に応じて、1〜4m3/minの範囲で設定されている。この設定風量を上記範囲で調整することもできる。
フィルターユニット156は、外気吸気管154の上流管路154aを隔てて送風ユニット158の下流側に配設され、フィルター300を備える。図2はフィルターユニット156の概略構成を斜視にて示す説明図、図3はフィルターユニット156を管路上流側から平面視して概略的に示す説明図である。図示するように、フィルターユニット156は、フィルター300をフィルターボックス302に収納して備える。フィルター300は、方形の箱体形状をなし、箱体四方側面を繋いだフィルター枠体300fにて保持され、10m3/min以上の定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して95%以上の粒子捕集率を備え、初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つ。こうしたフィルター緒言を有するフィルター300は、日本工業規格(JIS Z 8122)に即したクリーンルーム用のメインフィルターとして市販されており、準HEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter/準HEPA)と称される。本実施形態では、縦横寸法が610x610mm、厚みが50〜300mmのフィルター300を採用した。
フィルターボックス302は、上記のフィルター300をほぼ中央に収納した上で、フィルター吸気側と排気側にエアー貯まり空間を形成し、フィルター300をその周囲において図示しないシーリング機構にて、気密に収納する。フィルターボックス302は、側面にフィルター交換用の蓋体303を備え、フィルター300を図示しないスライド機構にて、ボックス内に進退可能とする。よって、蓋体303を空けてスライド機構にフィルター300をセットすれば、フィルター300を、フィルター外観を維持するフィルター枠体300fと共に交換可能とする。つまり、フィルターボックス302は、フィルター吸気側と排気側にエアー貯まり空間を形成してフィルター300をその中央に収納可能な縦横寸法と厚みを持って形成されており、図示しない固定金具等により、屋根裏110の屋根裏壁や屋根裏床等に固定される。
フィルターボックス302は、図示する前面壁に、フィルター300のフィルター吸気側のエアー貯まり空間と連通する外気流入口154ahを備え、当該流入口に上流管路154aを繋いでいる。この他、フィルターボックス302は、図示する背面壁に、フィルター300のフィルター排気側のエアー貯まり空間と連通する外気流出口154bhを備え、当該流出口に中流管路154bを繋いでいる。図3に示すように、外気流入口154ahと外気流出口154bhとは、フィルター平面視の状態でフィルター対角線上に位置し、フィルター300を挟んでオフセットして形成されている。外気流入口154ahと外気流出口154bhの孔径は、送風機158aからの上記した小風量での送風に支障が無ければ良く、本実施形態では、60〜120mmとした。
ここで、空調システム120における空調の目標温度と、総風量について、簡単に説明する。空調システム120は、特開2011−174674号公報で提案された空調システムとほぼ同じスペックとできる。つまり、空調機140は、空調機室121の室内の目標温度と、空調対象である上記した住宅空間の目標温度とが、冷房空調の際には、摂氏5℃以内の温度差、暖房空調の際には摂氏10℃以内の温度差で、空調機室121の室内の空気を空調する。そして、空調システム120は、空気送風機123aにより、空調済み空調室内空気CAを100〜5,000m3/hの流量で送気用区画部113に送り出し、ほぼ同流量のまま、空気送風機123bにより床下空間連通箇所114から床下空間111に送り出す。このように大流量での空調済み空気の送風により、各住居域の温度を適度に維持して快適性を確保している。
次に、各階の住居域への空調済み空調室内空気CAの導入構成と空調機室121へのリターン構成、並びに各住居域での空気導入・排出の様子について説明する。
1階の住居域210は、住宅床112に、送気口115とモーター駆動の吸引送風機116とを備え、その天井108に、リターン口117とモーター駆動の吸引送風機118とを備える。送気口115と吸引送風機116とは対となって住宅床112に複数対設置され、送気口115は、吸引送風機116が床下空間111から吸引した空気、即ち、送気用区画部113を経て空調機室121から床下空間111(詳しくは、住居域210の下方を占める床下空間111a)に送り出された空調済み空調室内空気CAを、住居域210の内部に導き入れる。リターン口117は、住居域210の天井108を貫いて空調機室121の内部、詳しくは仕切プレート122で区分された空調機室121の吸気側まで延び、吸引送風機118が住居域210から吸引した空気、即ち、送気口115から住居域210に導入された空調室内空気CAを、空調機室121の吸気側に強制的にリターンさせる。こうしてリターンされたリターン空気RAは、外気吸気システム150からの外気と共に、既述したように空調機140による空調に空調機室121にて処される。本実施形態では、住居域210の占有容積が大きいことを考慮して、住居域210に送気口115と吸引送風機116とを4対設置したが、送気口115の送風能力によっては、住居域210の占有容積を考慮して、5対以上としたり、2〜3対としてもよい。また、床下空間111aには空気送風機123bにて空調済み空調室内空気CAが送り出されるので、この空調済み空調室内空気CAは、それぞれの送気口115から住居域210に流入可能となる。よって、複数の送気口115のうちのいくつかについて、或いは全部について吸引送風機116を省略してもよい。
住居域210以外の1階の住居域211とその他の各住居域は、各住居域が占める住宅床112に、送気口115を備え、住居域210との区画箇所である住宅内壁に、流出口130とこれに対となるモーター駆動の吸引送風機131とを備える。なお、説明の便宜上、1階の住居域211について、以下説明する。住居域211は住居域210に比べて占有容積が小さいことから、送気口115については、一つとされている。この他、住居域211は、住宅床112の下方の床下空間111に、ダクト211dとモーター駆動のダクト内送風機119を備える。ダクト211dは、断熱性を備え、送気用区画部113と住居域210の下方を占める床下空間111aとの床下空間連通箇所114を基点とし、当該連通箇所から床下空間111bまで延び、床下空間連通箇所114において、空気送風機123bと接続され、送気口115に接続される。
ダクト内送風機119は、送気口115の下方側においてダクト内に配設され、空気送風機123bと相まってダクト211d内での送気を図る。従って、住居域211は、住居域210の下方を占める床下空間111aに送気用区画部113を経て送り出された空調済み空調室内空気CAを、ダクト211dと各ダクトのダクト内送風機119とを介して送気口115から導き入れ、導き入れた空調済み空調室内空気CAを、吸引送風機131にて流出口130から住居域210に流出する。なお、ダクト211dとダクト内送風機119とを介した空調済み空調室内空気CAの導入に際しては、床下空間連通箇所114における空気送風機123bも駆動するが、ダクト内送風機119にて空調済み空調室内空気CAの導入が支障なく行われれば、ダクト211dの基点側の空気送風機123bを省略してもよい。この逆に、ダクト211dの基点側の空気送風機123bにて空調済み空調室内空気CAの導入が支障なく行われれば、送気口115の側のダクト内送風機119を省略してもよい。また、ダクト内送風機119により送気口115から住居域211に空調済み空調室内空気CAが導入されていることから、住居域210への空気流出を図る吸引送風機131については、省略してもよい。
2階の各住居域は、各住居域が占める2階床231に、送気口115とこれに対となる吸引送風機116とを備え、2階床下空間232に導入された空調済み空調室内空気CAを、吸引送風機116にて送気口115から導き入れる。住居域221は、その天井108に排気口170とこれに対となるモーター駆動の吸引送風機172とを備え、住居域221に導入された空調済み空調室内空気CAを、吸引送風機172にて排気口170から外気吸気システム150の排気管157に排気する。他の住居域にあっても、ほぼ同様であり、これら構成は本発明と直接関係しないので、住居域221についての説明に留める。2階床下空間232への空調済み空調室内空気CAの導入は種々の手法で達成でき、例えば、空調機室121が有する一つの空気送風機123aから2階床下空間232まで、或いは、送気用区画部113から2階床下空間232までダクトを延ばし、このダクトを介して2階床下空間232に空調済み空調室内空気CAを導き、その空調済み空調室内空気CAを送気口115から住居域221などに導入できる。また、空調機室121が有する一つの空気送風機123a或いは送気用区画部113から2階床下空間232までダクトを延ばし、ダクトをそれぞれの住居域の送気口115に繋いでも良い。この他、1階の住居域211にも、その天井に流出口130と吸引送風機131とを設け、住居域211から2階床下空間232に空調済み空調室内空気CAを導入してもよい。
本実施形態の住宅100が備える空調システム120では、住宅仕様によって吹き抜け形態とされたために住宅床112から天井108までの住居域高さが高く占有容積も大きい住居域210と、この住居域210に並んで区画された1階の住居域であって住居域210より占有容積の小さい住居域211とで、床下空間111に送り出された空調室内空気CAの住居域内への導き方を異なるものとした。まず、住居域210については、空調機室121から送気用区画部113を経て床下空間111aに送り出された空調済み空調室内空気CAを、住居域210の下方の床下空間111aそのものを流路として利用して、住宅床112の複数の送気口115から導き入れる。住居域210は、吹き抜け形態故に住居域高さが高く占有容積も大きいものの、導き入れた空調室内空気CAを天井108のリターン口117から吸引送風機118にて強制的に空調機室121にリターンさせている。このため、吹き抜け形態の住居域210では、住宅床112の側から天井108の側への空気の流れが促進されるので、床下空間111aに送り出された空調済み空調室内空気CAは、それぞれの送気口115から特段の抵抗を受けることなく円滑に高天井住居域に導入される。つまり、床下空間111aそのものを流路として利用した住居域210への空調室内空気CAの導入が進む。しかも、送気口115と対となる吸引送風機116により、住居域210への空調室内空気CAの導入はより一層進むことになる。よって、本実施形態の空調システム120によれば、次の利点がある。
仮に、住居域210に並んで区画された占有容積の小さい住居域211への空調室内空気CAの導入を、住居域211の下方の床下空間111bを流路として利用して行うと、床下空間111aそのものを流路として利用した住居域210への空調室内空気CAの導入が送気用区画部113の側で先に進む分だけ、住居域211への空調室内空気CAの導入に支障が起きる。また、住居域211にその下方の床下空間111bそのものを経て送気口から導入した空調室内空気CAを住居域211に流出口130から流出させる場合、送気口115からの空気導入とアンダーカットなどの流出口130から住居域210への空気流出とには抵抗が掛かる。こうしたことから、住居域211への空調室内空気CAの導入が進まず、住居域211での空調に支障が起き得る。ところが、本実施形態の空調システム120は、既述したように住居域211への空調室内空気CAの導入にダクト211dとダクト内送風機119とを用いるので、住居域211への送気口115からの空調室内空気CAの導入を、住居域210への空調室内空気CAの導入の影響や空気導入・流出に伴う抵抗を受けないで実行できる。よって、本実施形態の空調システム120によれば、住居域の特性を考慮して各住居域への空調室内空気CAの導入に支障を来さないので、占有容積の大小に拘わらず、各住居域を1台の空調機140で支障なく空調できる。また、住居域210への空調室内空気CAの導入については、床下空間111aそのものを流路として利用するので、ダクトや送風機が不要となり、低コスト化、或いはダクト設置の省略を経た工法の簡略化を図ることができる。
上記のように優れた空調をなす空調システム120に外気を吸気して送風する本実施形態の外気吸気システム150では、フィルターユニット156に備え付けたフィルター300で、外気を除塵する。この除塵は、10m3/min以上の定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して95%以上という粒子捕集率を備えたフィルター300でなされ、このフィルター300による除塵を図るに当たり、フィルター300には、定格風量の1/10〜2/5の1〜4m3/minの小風量ででしか、送風機158aにて外気を送り込まない。フィルター300は、10m3/min以上という大風量での送風を受けても、粒径が0.3μmの粒子に対して95%以上という粒子捕集率を発揮するのであるから、1〜4m3/minという少風量の送風を受けた場合にあっても、フィルター通過風量は少ないとは言え、少なくとも同程度の粒子捕集率、もしくはHEPAフィルターに準じた99.7%以上の粒子捕集率を発揮する。
本実施形態の外気吸気システム150では、1〜4m3/minという小風量の外気送風を行うことから、送風される外気に混入済みのゴミ・塵埃等は、徐々にしかフィルター300に捕集されない。図4はフィルター300による除塵の進み方を概略的に示す説明図である。フィルター300でのゴミ・塵埃等の捕集は、まず、外気をフィルター300に吹き出す外気流入口154ahと対向する領域で起き、当該領域において、ゴミ・塵埃等の捕集の継続に伴いフィルター300に目詰まりが起きる。このように、最初の目詰まり領域Jr1は、外気流入口154ahとの対向領域から、捕集の継続時間の経過と共に、目詰まり領域Jr2〜Jr7のように徐々に広がる。しかも、この目詰まり領域の広がりは、外気流入口154ahからフィルター300のフィルター吸気側に1〜4m3/minという小風量でしか外気が入り込まないことから、徐々にしか起きない。また、目詰まり領域の裾野は、外気流出口154bhに徐々に近づくが、外気流出口154bhをフィルター300を挟んで外気流入口154ahからオフセットしたので、目詰まり領域の裾野が外気流出口154bhに到達するまでにも長時間を要する。この結果、本実施形態の外気吸気システム150によれば、フィルター300それ自体が有する高い粒子捕集率を長期に亘って発揮できるので、フィルター300による除塵性能を維持した上でフィルター使用期間を長期化できる。これにより、本実施形態の外気吸気システム150によれば、フィルター300の交換期間の長期化により、交換頻度の低減および交換コストの低減を図ることができる。また、10m3/min以上の定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して95%以上の粒子捕集率を備えるフィルター300は、日本工業規格(JIS Z 8122)に即して、クリーンルーム用のメインフィルターとして市販普及していることから、市販フィルターの有効利用を図ることもできる。つまり、フィルターボックス302については、これをこうした市販フィルターを収納できるようその寸法設計をして作製すれば足りるので、簡便、且つ低コストとなる。
本実施形態の外気吸気システム150では、送風機158aを内蔵して上記の小風量での外気送風を図る送風ユニット158を、フィルターユニット156よりも上流側に備える。よって、本実施形態の外気吸気システム150によれば、1〜4m3/minという小風量でのフィルター300への外気送風を、より確実に且つ安定して図ることができるので、除塵性能を維持した上でのフィルター使用期間の長期化を高い実効性で達成できる。
本実施形態の外気吸気システム150では、フィルター300をフィルター外観形状を維持するフィルター枠体300fの枠内に配設し、このフィルター300をフィルターボックス302にフィルター枠体300fごと交換可能に収納した。よって、本実施形態の外気吸気システム150によれば、フィルターの折りたたみ等の作業を経ることなく、フィルター枠体300fごとフィルター交換でき、簡便である。また、作業性も高まる。
本実施形態の外気吸気システム150では、10m3/min以上の定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して95%以上という高い粒子捕集率を備えるフィルター300にて除塵済みの外気を空調システム120に送風する。そして、空調システム120は、このクリーンな外気をリターン空気RAと共に空調機室121にて空調機140により空調し、空調済み空調室内空気CAを除塵済みのクリーンな状態で住宅100の各住居域に送り出している。よって、本実施形態の外気吸気システム150を住宅100の全館の空調を行う空調システム120と組み合わせるとこで、クリーンで、なお且つ快適な温度に各住居域を空調できる。
次に、他の実施形態について説明する。図5はフィルター300への外気の送風をフィルターボックス302の周壁から行う実施形態のフィルターユニット156Aを概略的に斜視にて示す説明図、図6はフィルターユニット156Aを断面視して概略的に示す説明図、図7はフィルターユニット156Aを平面視して概略的に示す説明図である。図示するように、この実施形態のフィルターユニット156Aは、既述した実施形態のフィルターボックス302と同様、フィルター300をシール部材302sにてその外周にてシールした上で、ボックスほぼ中央に収納し、外気流入口154ahと外気流出口154bhとをフィルターボックス302の周壁、即ち図5における上下壁に備える。よって、フィルターユニット156Aは、フィルターボックス302におけるフィルター300のフィルター吸気側に、上流管路154aから外気をフィルター300と平行に受け入れ、フィルター排気側では、外気流出口154bhにフィルター通気済み外気をフィルター300と平行に排出する。つまり、フィルターユニット156Aは、フィルター吸気側の外気流入口154ahとフィルター排気側の外気流出口154bhとを、フィルター300を挟んでオフセットして備える。そして、この実施形態のフィルターユニット156Aを有する外気吸気システム150にあっても、除塵に伴う目詰まり領域Jr1〜Jr7を、外気流出口154bhに掛けて徐々にしか広げないので、既述した効果を奏することができる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記した実施形態では、フィルターユニット156を含む外気吸気システム150を、屋根裏110に配設したが、1階の床下空間111や2階床下空間232に、配設するようにしてもよい。この他、住宅100の1階の外壁と内壁の間に壁間領域を形成し、当該領域にフィルターユニット156を縦置き設置してもよい。図8はフィルターユニット156を内外壁の壁間領域Wsに縦置き設置した様子を模式的に示す説明図である。図示するように、この実施形態のフィルターユニット156Bは、住宅100の内外壁の壁間領域Wsに縦置き設置され、蓋体303をフィルターボックス302の前面に開閉自在に備える。この蓋体303は、フィルター300の平面面積より広い範囲の開口領域を塞いでおり、フィルター300のフィルター前面側からの交換を可能とする。壁間領域Wsは、住宅100の内外壁の壁間に形成されていることから、住宅街壁側に壁間領域Wsにあっても開閉扉を設けることで、住宅外壁側からのフィルター300の交換が可能となり、簡便である。
上記した実施形態では、送風ユニット158からフィルターユニット156のフィルター300に外気を直接送風したが、送風ユニット158とフィルターユニット156との上流管路154aに、フィルター300とは除塵性質が異なる最上流フィルターを配設してもよい。この最上流フィルターは、フィルター300に比してメッシュが格段に粗く、おおよそ0.1mm程度の除塵を目的とする。このように最上流フィルターを設ければ、フィルターユニット156におけるフィルター300を微細なゴミ・塵埃等の捕集除塵に専用できるので、フィルター300をより長期に亘って継続使用できる。
上記した実施形態では、縦横サイズが610x610mmのフィルター300を用いたが、10m3/min以上の定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して95%以上の粒子捕集率を備えるフィルターであれば、その他の縦横サイズ、例えば、760x610mm、915x610mm、1220x610mm等のフィルター300を用いてもよい。
上記した実施形態では、外気吸気システム150を空調システム120と併用して住宅内に外気を吸気するようにしたが、上記した空調システム120とは異なる構成の住宅空調用のシステムと併用してもよい。この他、外気吸気システム150を単独で用い、フィルター300で除塵済みの外気を、住宅の各住居域に個別に送風したりしてもよい。
100…住宅
101…基礎
108…天井
109…屋根
110…屋根裏
111…床下空間
111a…床下空間
111b…床下空間
112…住宅床
113…送気用区画部
114…床下空間連通箇所
115…送気口
116…吸引送風機
117…リターン口
118…吸引送風機
119…ダクト内送風機
120…空調システム
121…空調機室
122…仕切プレート
123a…空気送風機
123b…空気送風機
130…流出口
131…吸引送風機
140…空調機
150…外気吸気システム
151…外気吸入口
153…外気放出口
154…外気吸気管
154a…上流管路
154b…中流管路
154c…末端管路
154ah…外気流入口
154bh…外気流出口
155…熱交換器
156、156A、156B…フィルターユニット
157…排気管
158…送風ユニット
158a…送風機
170…排気口
172…吸引送風機
210〜211…住居域
210s…階段領域
211d…ダクト
221〜222…住居域
231…2階床
232…2階床下空間
300…フィルター
300f…フィルター枠体
302…フィルターボックス
302s…シール部材
303…蓋体
S…階段ステップ
CA…空調室内空気(空調済み空調室内空気)
RA…リターン空気
Ws…壁間領域
Jr1〜Jr7…目詰まり領域

Claims (4)

  1. 住宅吸気システムであって、
    住宅の外気吸入口から住宅内の外気放出口まで延びる吸気管路と、
    該吸気管路に設けられ、前記吸気管路を通過する外気の除塵を図るフィルターを収納したフィルターボックスと、
    前記吸気管路に設けられ、前記外気吸入口から前記吸気管路に入り込んだ外気を、前記フィルターを経て前記外気放出口に向けて送風する送風ユニットとを備え、
    前記フィルターは、10m3/min以上の定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して95%以上の粒子捕集率を備え、
    前記送風ユニットは、1〜4m3/minの風量で送風する
    住宅吸気システム。
  2. 前記送風ユニットを前記フィルターボックスよりも上流側に備える請求項1に記載の住宅吸気システム。
  3. 前記フィルターは、外枠の枠内にフィルター部材を配設して構成され、前記フィルターボックスは、前記フィルターを前記外枠ごと交換可能に収納する請求項1または請求項2に記載の住宅吸気システム。
  4. 前記フィルターボックスは、前記外気吸入口の側の前記吸気管の接続口である外気流入口と、前記外気放出口の側の前記吸気管の接続口である外気流出口とを、前記フィルターを挟んでオフセットして備える請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の住宅吸気システム。
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