JP2014218538A - 変性天然ゴム及びその製造方法、並びにゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム組成物として用いられた際の、低ロス性及び加工性に優れた変性天然ゴム、該変性天然ゴムを用いたゴム組成物、並びに、該ゴム組成物を用いたタイヤを提供する。
【解決手段】炭素数が5〜10の三級アルコールを含有する変性天然ゴム組成物。該変性天然ゴムは、天然ゴムに、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基及びアルコキシシリル基からなる群から選ばれる極性基を含有する化合物をグラフト重合させたもの。前記天然ゴム原材料中の固形ゴム成分100質量部に対して0.01〜1質量部の前記三級アルコールの含有量、及び前記極性基含有化合物のグラフト量である変性天然ゴム。
【選択図】なし

Description

本発明は、変性天然ゴム及びその製造方法、並びに該変性天然ゴムを用いたゴム組成物及びタイヤに関し、特に、ゴム組成物として用いられた際の、低ロス性及び加工性に優れた変性天然ゴム及びその製造方法に関するものである。
昨今、自動車の低燃費化に対する要求が強くなりつつあり、転がり抵抗の小さいタイヤが求められている。そのため、タイヤのトレッド等に使用するゴム組成物として、tanδが低く(以下、「低ロス性」という。)、低発熱性に優れたゴム組成物が求められている。また、トレッド用のゴム組成物においては、低ロス性に加え、耐摩耗性及び破壊特性に優れることが求められる。これに対して、ゴム組成物の低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性を改良するには、ゴム組成物中のカーボンブラックやシリカ等の充填剤とゴム成分との親和性を向上させることが有効である。
例えば、ゴム組成物中の充填剤とゴム成分との親和性を向上させ、充填剤による補強効果を向上させるために、末端変性により充填剤との親和性を向上させた合成ゴムや、官能基含有単量体を共重合させて充填剤との親和性を向上させた合成ゴム等が開発されている。
一方、天然ゴムは、その優れた物理特性を生かして多量に使用されているものの、天然ゴム自体を改良して充填剤との親和性を向上させ、充填剤による補強効果を大幅に向上させる技術はない。
例えば、天然ゴムをエポキシ化する技術が提案されているが、該技術では天然ゴムと充填剤との親和性を十分に向上させることができないため、充填剤による補強効果を十分に向上させることができない。また、天然ゴムラテックスにビニル系単量体を添加してグラフト重合する技術(特許文献1〜3を参照。)が知られており、該技術で得られたグラフト化天然ゴムは、MGラテックス等として既に生産されている。しかしながら、この方法で高いグラフト効率を達成するには、純度の高いラテックスを用いる必要があるため、遠心分離等の操作を別途行う必要があり、製造コストが高くなるという問題がある。
そのため、充填材との補強性及び親和性を向上させるとともに、製造コストの低減を図ることを目的として、特許文献4には、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体をグラフト重合し、凝固、乾燥してなる変性天然ゴムと、カーボンブラックまたはシリカとを配合してなるゴム組成物が開示されている。
また、さらに製造コストの低減が図られた技術として、特許文献5には、天然ゴム、天然ゴムラテックス凝固物及び天然ゴムカップランプからなる群から選択される少なくとも一種の天然ゴム原材料に、機械的せん断力を与えて極性基含有化合物をグラフト重合又は付加させてなる変性天然ゴムが開示されている。
特許文献4及び5の技術を用いれば、ゴム組成物の低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性を向上させることが可能な変性天然ゴムを、安価に製造することが可能となる。しかしながら、特許文献4及び5の技術では、得られた変性ゴム中にゲルが多く生じる場合があり、加工性のさらなる改善が望まれていた。
特開平5−287121号公報 特開平6−329702号公報 特開平9−25468号公報 特開2004−262973号公報 特開2006−152171号公報
そこで、本発明の目的は、従来技術の改良を行うことで、ゴム組成物として用いられた際の、低ロス性及び加工性に優れた変性天然ゴム及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる変性天然ゴムを用いたゴム組成物、及び、該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意研究を行った。そして変性天然ゴム中に特定の三級アルコールを含有させることで、変性天然ゴム中のゲル量を低減できる結果、低ロス性を維持しつつ、ゴム組成物として用いた場合の加工性を向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の変性天然ゴムは、炭素数が5〜10の三級アルコールを含有することを特徴とする。
本発明の変性天然ゴムの好適例においては、前記三級アルコールが非共役系である。
また、他の好適例においては、前記三級アルコールの炭素数が6〜8である。
さらに、他の好適例においては、前記三級アルコールの含有量が前記天然ゴム原材料中の固形ゴム成分100質量部に対して0.01〜1質量部である。
本発明の変性天然ゴムの他の好適例においては、前記変性天然ゴムは、天然ゴムラテックス凝固物及び天然ゴムカップランプからなる群から選択される少なくとも一種の天然ゴム原材料に、極性基含有化合物をグラフト重合させてなり、該極性基含有化合物のグラフト量が、前記天然ゴム原材料中の固形ゴム成分100質量部に対して0.01〜5.0質量部であることがより好適である。
また、前記極性基含有化合物の極性基がアミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基及びアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つであることがより好適である。
さらに、本発明のゴム組成物は、上述した変性天然ゴムを用いたことを特徴とし、本発明のタイヤは、上述したゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とする。
本発明によれば、ゴム組成物として用いられた際の、低ロス性及び加工性に優れた変性天然ゴム及びその製造方法を提供することができる。また、該変性天然ゴムを用いた、低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性に優れたゴム組成物及びタイヤを提供することができる。
(変性天然ゴム、ゴム組成物)
以下に、本発明の実施形態を具体的に説明する。
本発明の変性天然ゴムは、炭素数が5〜10の三級アルコールを含有することを特徴とする。
炭素数が5〜10の三級アルコールを含有することによって、ゴム組成物として用いられた場合に、従来の変性天然ゴムに比べて加工性が大幅に向上できる。
ここで、前記炭素数が5〜10の三級アルコールについては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルブタノール、1−t−へキサノール等があげられ、前記三級アルコールの炭素数は、6〜8であることがより好ましい。
また、前記三級アルコールの含有量は、前記天然ゴム原材料中の固形ゴム成分100質量部に対して0.01〜1であることが好ましい。前記三級アルコールの含有量が0.01質量部未満の場合、前記変性天然ゴムの性能向上効果が発揮されず、一方、含有量が1質量部を超えると、その他性能に影響を与えるおそれがあるからである。
さらに、前記三級アルコールは、非共役系であることが好ましい。加工性等の点からより優れた性能を有する変性天然ゴムが得られるからである。
また、本発明の変性天然ゴムは、天然ゴム、天然ゴムラテックス凝固物及び天然ゴムカップランプからなる群から選択される少なくとも一種の天然ゴム原材料に、機械的せん断力を与えて極性基含有化合物をグラフト重合させてなることが好ましい。
前記極性基含有化合物の極性基は、カーボンブラックやシリカ等の種々の充填剤に対する親和性に優れるため、前記変性天然ゴムは、未変性の天然ゴムに比べて種々の充填剤に対する親和性が高い。そのため、前記変性天然ゴムをゴム成分として用いた本発明のゴム組成物は、ゴム成分に対する充填剤の分散性が高く、充填剤の補強効果が十分に発揮される結果、破壊特性及び耐摩耗性に優れる上、低発熱性(低ロス性)も大幅に向上するためである。
さらに、前記天然ゴム原材料としては、乾燥後の各種固形天然ゴム、各種天然ゴムラテックス凝固物(アンスモークドシートを包含する)又は天然ゴムカップランプを用いることができ、これら天然ゴム原材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
本発明の変性天然ゴムの製造には、純度の高い天然ゴムラテックスを用いる必要がないため、比較的安価に変性天然ゴムを製造することができる。また、前記天然ゴム原材料の中でも、カップランプ等は、安価に入手できるため、コストの点でのメリットが大きい。なお、カップランプ等を原材料とした場合、天然ゴムの変性効率が多少落ちることがあるが、コストと変性効率とを総合的に見てメリットがある。
本発明の変性天然ゴムは、前記天然ゴム材料に、天然ゴム原材料に極性基含有化合物をグラフト重合させてなるが、前記極性基含有化合物とは、その名の通り、任意の極性基を有する化合物のことであり、その種類については、変性ゴムの種類や用途によって適宜選択できる。
前記極性基含有化合物を天然ゴム原材料中の天然ゴム分子にグラフト重合させる場合、該極性基含有化合物は、分子内に炭素−炭素二重結合を有することが好ましく、極性基含有ビニル系単量体であることが好ましい。
前記天然ゴム原材料と極性基含有化合物との混合物に機械的せん断力を与える手段としては、二軸押出混練装置又はドライプリブレーカーを用いることが好ましい。ここで、極性基含有化合物を天然ゴム原材料中の天然ゴム分子にグラフト重合させる場合は、前記機械的せん断力を与えられる装置内に天然ゴム原材料及び極性基含有化合物(好ましくは、極性基含有ビニル系単量体)と共に重合開始剤を投入し、機械的せん断力を与えることで、天然ゴム原材料中の天然ゴム分子に極性基含有化合物をグラフト重合により導入することができる。
前記天然ゴム原材料中の天然ゴム分子にグラフト重合させるのに好適な極性基含有ビニル系単量体の極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基及びアルコキシシリル基等を好適に挙げることができる。これら極性基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記アミノ基を含有するビニル系単量体としては、1分子中に第一級、第二級及び第三級アミノ基から選ばれる少なくとも1つのアミノ基を含有する重合性単量体が挙げられる。該アミノ基を有する重合性単量体の中でも、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等の第三級アミノ基含有ビニル系単量体が特に好ましい。これらアミノ基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
ここで、第一級アミノ基含有ビニル系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、4-ビニルアニリン、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、第二級アミノ基含有ビニル系単量体としては、(1)アニリノスチレン、β-フェニル-p-アニリノスチレン、β-シアノ-p-アニリノスチレン、β-シアノ-β-メチル-p-アニリノスチレン、β-クロロ-p-アニリノスチレン、β-カルボキシ-p-アニリノスチレン、β-メトキシカルボニル-p-アニリノスチレン、β-(2-ヒドロキシエトキシ)カルボニル-p-アニリノスチレン、β-ホルミル-p-アニリノスチレン、β-ホルミル-β-メチル-p-アニリノスチレン、α-カルボキシ-β-カルボキシ-β-フェニル-p-アニリノスチレン等のアニリノスチレン類、(2)1-アニリノフェニル-1,3-ブタジエン、1-アニリノフェニル-3-メチル-1,3-ブタジエン、1-アニリノフェニル-3-クロロ-1,3-ブタジエン、3-アニリノフェニル-2-メチル-1,3-ブタジエン、1-アニリノフェニル-2-クロロ-1,3-ブタジエン、2-アニリノフェニル-1,3-ブタジエン、2-アニリノフェニル-3-メチル-1,3-ブタジエン、2-アニリノフェニル-3-クロロ-1,3-ブタジエン等のアニリノフェニルブタジエン類、(3)N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-(4-アニリノフェニル)メタクリルアミド等のN-モノ置換(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
更に、第三級アミノ基含有ビニル系単量体としては、N,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレート及びN,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
前記N,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N-メチル-N-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル等が挙げられる。これらの中でも、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-メチル-N-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
また、前記N,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド化合物又はメタクリルアミド化合物等が挙げられる。これらの中でも、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が特に好ましい。
前記ニトリル基を含有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。これらニトリル基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記ヒドロキシル基を含有するビニル系単量体としては、1分子中に少なくとも1つの第一級、第二級又は第三級ヒドロキシル基を有する重合性単量体が挙げられる。かかる単量体としては、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルエーテル系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルケトン系単量体等が挙げられる。ここで、ヒドロキシル基含有ビニル系単量体の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数は、例えば、2〜23である)のモノ(メタ)アクリレート類;N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有不飽和アミド類;o-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシスチレン、o-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、m-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、p-ビニルベンジルアルコール等のヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物類等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物が好ましく、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体が特に好ましい。ここで、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエステル、アミド、無水物等の誘導体が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸等のエステルが特に好ましい。これらヒドロキシル基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記カルボキシル基を含有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラコン酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸類;フタル酸、コハク酸、アジピン酸等の非重合性多価カルボン酸と、(メタ)アリルアルコール、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和化合物とのモノエステルのような遊離カルボキシル基含有エステル類及びその塩等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸類が特に好ましい。これらカルボキシル基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記エポキシ基を含有するビニル系単量体としては、(メタ)アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-オキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらエポキシ基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記含窒素複素環基を含有するビニル系単量体において、該含窒素複素環としては、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン等が挙げられる。なお、該含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。ここで、含窒素複素環基としてピリジル基を含有するビニル系単量体としては、2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、5-メチル-2-ビニルピリジン、5-エチル-2-ビニルピリジン等が挙げられ、これらの中でも、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン等が特に好ましい。これら含窒素複素環基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記スズ含有基を有するビニル系単量体としては、アリルトリ-n-ブチルスズ、アリルトリメチルスズ、アリルトリフェニルスズ、アリルトリ-n-オクチルスズ、(メタ)アクリルオキシ-n-ブチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリメチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリフェニルスズ、(メタ)アクリルオキシ-n-オクチルスズ、ビニルトリ-n-ブチルスズ、ビニルトリメチルスズ、ビニルトリフェニルスズ、ビニルトリ-n-オクチルスズ等のスズ含有単量体を挙げることができる。これらスズ含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記アルコキシシリル基を含有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジベンジロキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルベンジロキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、6-トリメトキシシリル-1,2-ヘキセン、p-トリメトキシシリルスチレン等が挙げられる。これらアルコキシシリル基含有ビニル系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
また、本発明の変性天然ゴムに製造においては、前記極性基含有化合物を天然ゴム原材料中の天然ゴム分子にグラフト重合させるため、前記天然ゴム原材料に重合開始剤を添加する。添加される重合開始剤としては、上述した変性天然ゴムのゲル化を抑制する点から、前記重合開始剤として、一点でラジカル開裂して少なくとも一方のラジカルになる原子から延びたアルキル鎖中の炭素数が5〜10である構造を有するものを用いる。2点で開裂する構造を有する場合には前記天然ゴムを架橋するためゲル化が促進されるおそれがある。なお、前記ラジカルになる原子とは、開裂した部分の共有結合が切断された原子のことであり、該原子から延びるアルキル鎖とは、ラジカル開裂前に該原子から延びるアルキル鎖のことをいう。該アルキル鎖中の炭素数を5〜10に限定した理由としては、炭素数が5未満の場合には十分なゲル化抑制効果を奏することができず、一方、炭素数が10を超えるとアルキル鎖が長くなり開裂温度が低くなるため、使用が困難となるからである。
上述した重合開始剤としては、例えば以下の構造を有するものが挙げられる。
Figure 2014218538
ここで、本発明の変性天然ゴムにおいて、重合開始剤の適正化を図りゲル化を抑制する理由としては、ゲル化が一定量を超える場合、加工性が悪化するためである。
前記変性天然ゴムにカーボンブラックやシリカ等の充填剤を配合して、ゴム組成物の加工性を低下させることなく低ロス性及び耐摩耗性を向上させるには、各天然ゴム分子に前記極性基含有化合物が少量且つ均一に導入されることが重要であるため、前記重合開始剤の添加量は、前記極性基含有化合物に対し1〜100mol%の範囲が好ましく、10〜100mol%の範囲が更に好ましい。
上述した各成分について、機械的せん断力を与える装置内に仕込み、機械的せん断力を与えることで、天然ゴム分子に前記極性基含有化合物がグラフト共重合した変性天然ゴムが得られる。なお、この際、天然ゴム分子の変性反応を加温して行ってもよく、好ましくは30〜160℃、より好ましくは50〜130℃の温度で行うことで、十分な反応効率で変性天然ゴムを得ることができる。
なお、上述したグラフト重合だけでなく、機械的せん断力を与えられる装置内に天然ゴム原材料及び極性基含有化合物(好ましくは、極性基含有メルカプト化合物)を投入し、必要に応じて有機過酸化物等をさらに投入して、機械的せん断力を与えることで、天然ゴム原材料中の天然ゴム分子の主鎖の二重結合に極性基含有化合物を付加反応させることもできる。
前記天然ゴム原材料中の天然ゴム分子に対して、付加反応させるのに好適な極性基含有メルカプト化合物の極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基及びアルコキシシリル基等を好適に挙げることができる。これら極性基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記アミノ基を含有するメルカプト化合物としては、1分子中に第1級、第2級及び第3級アミノ基から選ばれる少なくとも1つのアミノ基を有するメルカプト化合物が挙げられる。該アミノ基を有するメルカプト化合物の中でも、第3級アミノ基含有メルカプト化合物が特に好ましい。ここで、第1級アミノ基含有メルカプト化合物としては、4-メルカプトアニリン、2-メルカプトエチルアミン、2-メルカプトプロピルアミン、3-メルカプトプロピルアミン、2-メルカプトブチルアミン、3-メルカプトブチルアミン、4-メルカプトブチルアミン等が挙げられる。また、第2級アミノ基含有メルカプト化合物としては、N-メチルアミノエタンチオール、N-エチルアミノエタンチオール、N-メチルアミノプロパンチオール、N-エチルアミノプロパンチオール、N-メチルアミノブタンチオール、N-エチルアミノブタンチオール等が挙げられる。更に、第3級アミノ基含有メルカプト化合物としては、N,N-ジメチルアミノエタンチオール、N,N-ジエチルアミノエタンチオール、N,N-ジメチルアミノプロパンチオール、N,N-ジエチルアミノプロパンチオール、N,N-ジメチルアミノブタンチオール、N,N-ジエチルアミノブタンチオール等のN,N-ジ置換アミノアルキルメルカプタン等が挙げられる。これらアミノ基含有メルカプト化合物の中でも、2-メルカプトエチルアミン及びN,N-ジメチルアミノエタンチオール等が好ましい。これらアミノ基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記ニトリル基を有するメルカプト化合物としては、2-メルカプトプロパンニトリル、3-メルカプトプロパンニトリル、2-メルカプトブタンニトリル、3-メルカプトブタンニトリル、4-メルカプトブタンニトリル等が挙げられ、これらニトリル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記ヒドロキシル基を含有するメルカプト化合物としては、1分子中に少なくとも1つの第1級、第2級又は第3級ヒドロキシル基を有するメルカプト化合物が挙げられる。該ヒドロキシル基含有メルカプト化合物の具体例としては、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1-プロパノール、3-メルカプト-2-プロパノール、4-メルカプト-1-ブタノール、4-メルカプト-2-ブタノール、3-メルカプト-1-ブタノール、3-メルカプト-2-ブタノール、3-メルカプト-1-ヘキサノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプトベンジルアルコール、2-メルカプトフェノール、4-メルカプトフェノール等が挙げられ、これらの中でも、2-メルカプトエタノール等が好ましい。これらヒドロキシル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記カルボキシル基を含有するメルカプト化合物としては、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸、メルカプトマロン酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸等が挙げられ、これらの中でも、メルカプト酢酸等が好ましい。これらカルボキシル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記含窒素複素環基を含有するメルカプト化合物において、該含窒素複素環としては、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン等が挙げられる。なお、該含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。ここで、含窒素複素環基としてピリジル基を含有するメルカプト化合物としては、2-メルカプトピリジン、3-メルカプトピリジン、4-メルカプトピリジン、5-メチル-2-メルカプトピリジン、5-エチル-2-メルカプトピリジン等が挙げられ、また、他の含窒素複素環基を含有するメルカプト化合物としては、2-メルカプトピリミジン、2-メルカプト-5-メチルベンズイミダゾール、2-メルカプト-1-メチルイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトイミダゾール等が挙げられ、これらの中でも、2-メルカプトピリジン、4-メルカプトピリジン等が好ましい。これら含窒素複素環基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記スズ含有基を有するメルカプト化合物としては、2-メルカプトエチルトリ-n-ブチルスズ、2-メルカプトエチルトリメチルスズ、2-メルカプトエチルトリフェニルスズ、3-メルカプトプロピルトリ-n-ブチルスズ、3-メルカプトプロピルトリメチルスズ、3-メルカプトプロピルトリフェニルスズ等のスズ含有メルカプト化合物を挙げることができる。これらスズ含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記アルコキシシリル基を含有するメルカプト化合物としては、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が好ましい。これらアルコキシシリル基含有メルカプト化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
機械的せん断力を与えられる装置内に上述した各成分を仕込み、装置内で機械的せん断力を与えることで、天然ゴム分子に前記極性基含有化合物が付加反応した変性天然ゴムが得られる。なお、この際、天然ゴム分子の変性反応を加温して行ってもよく、好ましくは30〜160℃、より好ましくは50〜130℃の温度で行うことで、十分な付加効率で変性天然ゴムを得ることができる。
本発明の変性天然ゴムにおいて、前記極性基含有化合物のグラフト量又は付加量は、前記天然ゴム原材料中の固形ゴム成分100質量部に対して0.01〜5.0質量部の範囲が好ましく、0.05〜2.0質量部の範囲が更に好ましく、0.10〜1.0質量部の範囲がより一層好ましい。極性基含有化合物のグラフト量又は付加量が0.01質量部未満では、ゴム組成物の低ロス性及び耐摩耗性を十分に改良できないことがある。また、極性基含有化合物のグラフト量又は付加量が5.0質量部を超えると、粘弾性、S−S特性(引張試験機における応力−歪曲線)等の天然ゴム本来の物理特性を大きく変えてしまい、天然ゴム本来の優れた物理特性が損なわれると共に、ゴム組成物の加工性が大幅に悪化するおそれがある。
本発明のゴム組成物は、前記変性天然ゴムを用いたことを特徴とし、さらに充填剤を含有することが好ましい。ここで、充填剤の配合量は、特に限定されるものではないが、前記変性天然ゴム100質量部に対して5〜100質量部の範囲が好ましく、10〜70質量部の範囲が更に好ましい。充填剤の配合量が5質量部未満では、充分な補強性が得られない場合があり、100質量部を超えると、加工性が悪化する場合がある。
本発明のゴム組成物に用いる充填剤としては、カーボンブラック及び無機充填剤が挙げられ、ここで、無機充填剤としては、シリカ及び下記式(I):
nM・xSiOy・zH2O ・・・(I)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり;n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表される無機化合物が挙げられる。これら充填剤は、一種単独で用いてもよし、二種以上を混合して用いてもよい。
前記カーボンブラックとしては、GPF,FEF,SRF,HAF,ISAF,SAFグレードのもの等が挙げられ、また、前記シリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカ及びコロイダルシリカ等が挙げられる。更に、前記式(I)の無機化合物としては、γ-アルミナ、α-アルミナ等のアルミナ(Al23);ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O);ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3];炭酸アルミニウム[Al2(CO3)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO3)2]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等を挙げることができる。
本発明のゴム組成物には、前記変性天然ゴム、充填剤の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、軟化剤、シランカップリング剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。本発明のゴム組成物は、変性天然ゴムに、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
(タイヤ)
本発明のタイヤは、前記ゴム組成物を用いたことを特徴とし、前記ゴム組成物をトレッドに用いることが好ましい。前記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、低燃費性、破壊特性及び耐摩耗性に優れる。なお、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いる以外特に制限は無く、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<比較例1>
以下に示す天然ゴム600gと、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 1.8gと、表1に示す重合開始剤をゴム成分100質量部に対して0.2質量部とを混練機内で室温にて30rpmで2分間練り込み、均一に分散させた。次に、得られた混合物にテトラエチレンペンタミン(TEPA)0.7gを均一に加えながら、神戸製鋼製二軸混練押出機[同方向回転スクリュー径=30mm, L/D=35, ベントホール3ヶ所]を用い、バレル温度120℃、回転数100rpmで機械的せん断力を加えながら押し出すことにより、比較例1に係る変性天然ゴムを得た。
天然ゴム原材料として用意した、天然ゴムは、アンモニア0.4質量%を添加した天然ゴムラテックス(CT−1)を、ラテックスセパレーターSLP−3000(斉藤遠心機工業製)を用いて回転数7500rpmで15分間の遠心分離することにより濃縮した。濃縮したラテックスをさらに回転数7500rpmで15分間の遠心分離した。得られた濃縮ラテックスを固形分として約20%に希釈した後、蟻酸を添加し一晩放置後、凝固して得られたゴム分を、110℃で210分の条件で乾燥した天然ゴムである。
なお、変性天然ゴム中に含有される三級アルコールについては表1に示す。
<実施例1及び2>
さらにまた、比較例1の重合開始剤に代えて、表1に示した重合開始剤をゴム成分100質量部に対して0.2質量部配合したこと、比較例1の重合開始剤に代えて、表1に示した重合開始剤をゴム成分100質量部に対して0.2質量部配合したこと、及び、テトラエチレンペンタミン(TEPA)を加えることなく混合物の押し出しを行ったこと以外は、比較例1と同様の条件によって、実施例1及び2に係る変性天然ゴムを得た。
なお、変性天然ゴム中に含有される三級アルコールについては表1に示す。
<比較例2>
また、比較例1の天然ゴム原材料に代えて、SIR20(天然ゴムカップランプ(窒素量:0.38質量%))を天然ゴム原材料として用いたこと以外は、比較例1と同様の条件によって、実施例4に係る変性天然ゴムを得た。
なお、変性天然ゴム中に含有される三級アルコールについては表1に示す。
<実施例3〜5>
さらにまた、比較例2の重合開始剤に代えて、表1に示した重合開始剤をゴム成分100質量部に対して0.2質量部配合したこと、及び、テトラエチレンペンタミン(TEPA)を加えることなく混合物の押し出しを行ったこと以外は、比較例2と同様の条件によって、実施例3〜5に係る変性天然ゴムを得た。
なお、変性天然ゴム中に含有される第三級アルコールについては表1に示す。
<比較例3>
変性していない天然ゴムを用いた。
<比較例4>
比較例1と同様の条件で変性天然ゴムを得た。なお、後述する低ロス性の評価において、ゴム組成物の配合が比較例1と異なる。
<比較例5>
tert−ブチルハイドロパーオキサイド(t-BHPO)及びテトラエチレンペンタミン(TEPA)を添加せずに、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート1.8gに代えてN,N-ジメチルアミノエタンチオール0.9gを用いること以外は、前記比較例1と同様にして変性天然ゴムを得た。
<比較例6>
比較例1と同様の条件で変性天然ゴムを得た。なお、後述する低ロス性の評価において、ゴム組成物の配合が比較例5と異なる。
(1)低ロス性
得られた各変性天然ゴムをプラストミルで混練して、比較例1、2及び5、並びに実施例1〜5については表2の配合1、比較例3及び6については配合2、比較例4については配合3に示す配合処方のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物に対して、損失正接(tanδ)を粘弾性測定装置[レオメトリックス社製]を用い、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzの条件で測定した。比較例1のtanδを100としたときの指数として表示し、結果を表1に示す。指数値が小さい程、低ロス性に優れることを示す。
(2)加工性
得られた各変性天然ゴムについて、JIS−K6300−1:2001に準拠して、ムーニー粘度計(モンサント社製RPA)によって、L型ローターを用い、130℃の条件下で、未加硫ゴム組成物のムーニー粘度[ML1+4(130℃)]を測定した。
得られた未加硫ゴム組成物のムーニー粘度の値は、比較例1の値を100として指数表示し、表1に示す。なお、指数値が大きいほど、未加硫ゴム組成物の流れ性が良く、加工性に優れる。
Figure 2014218538
Figure 2014218538
*1 使用したゴム成分の種類を表1中に示す。
*2 N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン
*3 N,N'-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
本発明による変性天然ゴムを含んだゴム組成物を用いたタイヤは、低ロス性及び加工性に優れる点で産業上有用である。

Claims (9)

  1. 炭素数が5〜10の三級アルコールを含有することを特徴とする変性天然ゴム。
  2. 前記三級アルコールは、非共役系であることを特徴とする請求項1に記載の変性天然ゴム。
  3. 前記三級アルコールの炭素数が6〜8であることを特徴とする請求項1又は2に記載の変性天然ゴム。
  4. 前記三級アルコールの含有量が前記天然ゴム原材料中の固形ゴム成分100質量部に対して0.01〜1質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の変性天然ゴム。
  5. 前記変性天然ゴムは、天然ゴムラテックス凝固物及び天然ゴムカップランプからなる群から選択される少なくとも一種の天然ゴム原材料に、極性基含有化合物をグラフト重合させてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の変性天然ゴム。
  6. 前記極性基含有化合物のグラフト量が、前記天然ゴム原材料中の固形ゴム成分100質量部に対して、0.01〜5.0質量部の範囲であることを特徴とする請求項5に記載の変性天然ゴム。
  7. 前記極性基含有化合物の極性基がアミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基及びアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項5又は6に記載の変性天然ゴム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の変性天然ゴムを用いたことを特徴とするゴム組成物。
  9. 請求項8に記載のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とするタイヤ。
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