JP2014216204A - 燃料電池用触媒ペースト組成物、触媒インキ組成物、触媒層もしくは撥水層、電極膜接合体、燃料電池 - Google Patents

燃料電池用触媒ペースト組成物、触媒インキ組成物、触媒層もしくは撥水層、電極膜接合体、燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】非白金系炭素系触媒材料の分散性が良好で低粘度であり、優れた電気化学的特性、保存安定性、塗工性を備えた燃料電池用触媒ペースト組成物及び触媒インキ組成物を提供する。また、これらの組成物を用いることにより、塗工した際の塗工ムラやピンホールの発生が極めて少ない燃料電池用触媒層とそれを具有する燃料電池用電極膜接合体と、電池性能に優れた燃料電池を提供する。【解決手段】一般式(1)により示される、変性ポリビニルアルコール樹脂または変性ポリビニルアセタール樹脂と、非白金系炭素系触媒材料とを含んでなる燃料電池用触媒ペースト組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池用の触媒ペースト組成物、触媒インキ組成物に係り、それらを用いた触媒層もしくは撥水層、電極膜接合体および燃料電池に関する。
燃料電池は、電気化学システムを用いて化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換できるシステムであり、高効率であるため次世代エネルギーとして期待されている。特に、固体高分子型燃料電池は自動車用、定置用、小型モバイル用に活発に開発が進められている。従来、これらの固体高分子型燃料電池の電極触媒には、高い酸素還元活性を有する白金や白金合金等を用いる白金系触媒が用いられているが、コスト、資源量、供給安定性の面から、白金系触媒以外の触媒(非白金系触媒と呼ぶ)の開発が求められている。しかし、現状の非白金系触媒の性能は、白金系触媒に比べて十分ではないため、白金の使用量を大幅に低減した触媒や、白金を使用しない非白金系触媒の技術開発が進められている。(非特許文献1、特許文献1〜3など)
そのような非白金系触媒として、例えば、特許文献2では、高分子金属錯体に炭素添加物を混合し熱処理した炭素化物に、窒素をドープした炭素材料が提案されている。このような窒素をドープした炭素材料は、酸素還元活性を有する非白金系触媒として利用することができる。また、特許文献3では、表面処理した炭素材料にイオン交換性官能基をグラフト化反応により導入した炭素材料が、非白金系触媒として使用できることが提案されている。
非白金系触媒は、白金系触媒よりも、経済的でコスト優位性が高いため積極的な開発が進められているが、白金と比較すると、その性能はまだ十分ではなく、白金を使用した場合に近い電池性能を得るためには、触媒層の厚みを増加させ、触媒層中の触媒粒子量を増加させる必要がある。また、非白金系触媒を分散して組成物とする際、非白金系触媒が凝集を引き起こし易いため、組成物中の分散安定性を高める必要がある。また、これら組成物を塗工する場合、触媒の凝集が起こると塗膜にピンホールが生じたり、好適な電極膜を得ることができず、電流量の低下や起電力の低下を引き起こしてしまうという問題がある。このような技術課題があるが、これを解決する手段が見出せていなかった。
特開2011−6283号公報 特開2008−282725号公報 特開2009−295441号公報
SCIENCE(VOL.332、第443〜447頁、2011年)
本発明が解決しようとする課題は、非白金系炭素系触媒材料の分散性が良好で低粘度であり、保存安定性、塗工性を備えた燃料電池用触媒ペースト組成物及び触媒インキ組成物を提供することである。また、これらの組成物を用いることにより、塗工した際の塗工ムラやピンホールの発生が極めて少ない燃料電池用触媒層とそれを具有する燃料電池用電極膜接合体と、電池性能に優れた燃料電池を提供することである。
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
第一の発明は、一般式(1)により示される樹脂と、非白金系炭素系触媒材料とを含んでなる燃料電池用触媒ペースト組成物に関する。
第二の発明は、前記樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂(a)またはポリビニルアセタール樹脂(b)と、一般式(3)または一般式(4)により示される化合物とを反応させてなることを特徴とする前記燃料電池用触媒ペースト組成物に関する。
第三の発明は、前記樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂(a)またはポリビニルアセタール樹脂(b)と、一般式(3)により示される化合物とを反応させてなることを特徴とする前記燃料電池用触媒ペースト組成物に関する。
第四の発明は、前記樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂(b)と、一般式(3)により示される化合物とを反応させてなることを特徴とする前記燃料電池用触媒ペースト組成物に関する。
第五の発明は、前記燃料電池用触媒ペースト組成物と、プロトン伝導性ポリマーもしくは撥水性材料の少なくとも一方とを含んでなる燃料電池用触媒インキ組成物に関する。
第六の発明は、前記燃料電池用触媒インキ組成物から形成されてなる燃料電池用触媒層もしくは燃料電池用撥水層に関する。
第七の発明は、固体高分子電解質膜と、前記燃料電池用触媒層もしくは燃料電池用撥水層のうち少なくとも一方と、ガス拡散層とを具備してなる燃料電池用電極膜接合体に関する。
第八の発明は、前記燃料電池用電極膜接合体を具備してなる燃料電池に関する。
本発明によれば、非白金系炭素系触媒材料の分散性が良好で低粘度であり、優れた保存安定性、塗工性を備えた燃料電池用触媒ペースト組成物及び触媒インキ組成物を提供することが可能となるため、これらの組成物を用いることにより、塗工した際の塗工ムラやピンホールの発生が極めて少ない燃料電池用触媒層とそれを具有する燃料電池用電極膜接合体を得ることが可能となる。したがって、電池性能に優れた燃料電池を提供することが可能となる。
以下、詳細に本発明について説明する。尚、本明細書では、「燃料電池用触媒ペースト組成物」を、「触媒ペースト組成物」あるいは「ペースト組成物」、「燃料電池用触媒インキ組成物」を「触媒インキ組成物」あるいは「インキ組成物」ということがある。また、これら「燃料電池用触媒ペースト組成物」と「燃料電池用触媒インキ組成物」を併せて、単に「組成物」ということがある。また、「樹脂」を「重合体」ということがある。
<燃料電池用触媒ペースト組成物>
本発明のペースト組成物は、少なくとも非白金系炭素系触媒材料と、樹脂とを含有し、好ましくはさらに溶剤を含有するものである。非白金系炭素系触媒材料、樹脂、及び溶剤の割合は、特に限定されるものではなく、広い範囲内で適宜選択され得る。
樹脂の含有量は、触媒ペースト組成物中の非白金系炭素系触媒材料に対し、好ましくは0.01〜25重量%、より好ましくは0.02〜10重量%である。この範囲の含有量とすることにより、非白金系炭素系触媒材料の分散安定性を十分に達成できると同時に、非白金系炭素系触媒材料の凝集を効果的に防止でき、かつ触媒層表面へ樹脂の析出を防止できる。
また、溶剤は、触媒ペースト組成物を100重量%としたとき、好ましくは60〜99重量部%、より好ましくは65〜97重量%である。
<非白金系炭素系触媒材料>
非白金系炭素系触媒材料(以下、炭素系触媒材料ともいう)とは、炭素(C)原子の集合体を主体とした多成分系からなり、それらの構成単位間に物理的・化学的な相互作用(結合)を有し、異種元素、たとえば窒素(N)、ホウ素(B)、リン(P)などのヘテロ原子や遷移金属が含まれる触媒材料で、従来公知のものを使用することができる。
ヘテロ原子と遷移金属を含有することは、酸素還元活性を有するうえで重要な意味をなす。一般的に炭素系触媒材料の場合、その触媒活性点として、炭素材料表面に遷移金属を中心に、例えば、4個の窒素が平面上に並んだ構造(遷移金属−N4構造と呼ぶ)部分中の遷移金属や、炭素材料表面のエッジ部に導入されたヘテロ原子近傍の炭素原子などが挙げられ、本発明における炭素系触媒材料においても、ヘテロ原子と遷移金属元素の存在は重要である。
このような炭素系触媒材料は、従来公知の白金を担持させた炭素材料と同様に、酸素還元触媒能を有し、燃料電池用電極触媒として好適に使用することができる。炭素系触媒材料は、カソード、アノードの両方に使用することができるが、カソードとして通常用いられることが多い。
本発明に係る炭素系触媒材料においては、窒素又はホウ素のドープ量(炭素系触媒材料中の窒素又はホウ素の含有量)が、それぞれ0.1〜40モル%であるときに、酸素還元に関して良好な電極活性を示す。また、窒素とホウ素とを同時にドープしたときには、両者の相互作用により、より一層高い電極活性を示す。また、窒素とホウ素の双方をドープする場合には、原子比(B/N)は、0.2〜0.4、好ましくは0.06〜1.5であり、またモル比((B+N)/C)は、好ましくは0.03〜0.4である。これらの範囲内において、活性の高い炭素系触媒材料を得ることができる。
<炭素材料>
本発明における炭素系触媒材料の主構成成分である炭素材料としては、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック)、活性炭、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン、炭素繊維等が挙げられる。炭素材料は、種類やメーカーによって、粒子径、形状、BET比表面積、細孔容積、細孔径、嵩密度、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性など様々な物性やコストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択する。
市販の炭素材料としては、例えば、
ケッチェンブラックEC−300J、及びEC−600JD等のアクゾ社製ケッチェンブラック;
トーカブラック#4300、#4400、#4500、及び#5500等の東海カーボン社製ファーネスブラック;
プリンテックスL等のデグサ社製ファーネスブラック;
Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULT
RA、Conductex SC ULTRA、975 ULTRA、PUER BLACK100、115、及び205等のコロンビヤン社製ファーネスブラック;
#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、及び#5400B等の三菱化学社製ファーネスブラック;
MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、及びBlackPearls2000等のキャボット社製ファーネスブラック;
Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、及びSuperP−Li等のTIMCAL社製ファーネスブラック;
デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35等の電気化学工業社製アセチレンブラック;
VGCF、VGCF−H、VGCF−X等の昭和電工社製カーボンナノチューブ;
名城ナノカーボン社製カーボンナノチューブ;
xGnP−C−750、xGnP−M−5等のXGSciences社製グラフェンナノプレートレット;
Easy−N社製ナノポーラスカーボン;
カイノール炭素繊維、カイノール活性炭繊維などの群栄化学工業社製炭素繊維;
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<ヘテロ原子、遷移金属のドープ原料>
本発明における炭素系触媒材料として、窒素やホウ素等のヘテロ原子や、遷移金属をドープする際に使用される原料としては、ヘテロ原子及び/又は遷移金属を含有する材料であれば使用可能であり、有機化合物(色素、ポリマーなど)、無機化合物(金属単体、金属酸化物、金属塩など)を問わないものである。遷移金属としては、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、銅、チタン、バナジウム、クロム、亜鉛、スズ、アルミニウム、マグネシウムから選ばれる一種以上を含有することが好ましい。
その中でも、窒素を含有した芳香族化合物であり、遷移金属を分子中に含有することができるフタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、テトラアザアヌレン系化合物等は、炭素系触媒材料中に効率的に窒素と遷移金属をドープしやすいため好ましい。また、上記芳香族化合物は、電子吸引性官能基や電子供与性官能基を導入されていても問題ない。特に、フタロシアニン系化合物は、様々な遷移金属を含んだ化合物が存在し、コスト的にも安価であるため、原料としては特に好ましいものであり、中でも、コバルトフタロシアニン系化合物、ニッケルフタロシアニン系化合物、鉄フタロシアニン系化合物は、高い酸素還元活性も有することで知られていることから、それらより合成した炭素系触媒材料は、安価で高い酸素還元活性を有する炭素系触媒材料となるためより好ましいものである。
(a) 窒素がドープされた炭素系触媒材料の製造方法
窒素がドープされた炭素系触媒材料を製造するには、まず、窒素源としての、フタロシアニン、アクリロニトリル、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、メラミンなどの含窒素化合物と、フラン樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂の前駆体とを混合し、加熱反応させて、窒素化合物含有熱硬化性樹脂を得る。
例えば、含窒素化合物としてフタロシアニンを用い、熱硬化性樹脂の前駆体としてフルフリルアルコールを用いる場合には、これらの混合物に塩酸等の酸を添加し、好ましくは80〜200℃の範囲内の温度で加熱して、重合反応させることで、窒素化合物含有熱硬化性樹脂であるフタロシアニン含有フラン樹脂を得ることができる。上述した窒素のドープ量を0.1〜40モル%にするためには、フルフリルアルコールとメラミン又はフタロシアニンの配合比をC:N(モル比)を1:(0.07〜3)、好ましくは1:(0.1〜0.5)にする。
次いで、得られたフタロシアニン含有フラン樹脂を、窒素やヘリウム等の不活性ガス雰囲気下、所定の温度で熱処理して炭素化する。この熱処理温度は炭素化可能な温度であれば、特に制限はないが、好ましい温度は400〜1500℃、より好ましい温度は500〜1200℃である。次いで、好ましくは遊星型ボールミル等の分散機で、微粉砕することにより、窒素がドープされた平均粒径45μm以下、好ましくは0.1μm以下の炭素系触媒材料を得ることができる。
また、窒素がドープされた炭素系触媒材料の別の製造方法としては、炭素材料としてアセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ、導電性炭素繊維、活性炭などを用い、窒素原子を有する化合物と混合して上記と同様に所定の温度で熱処理して炭素化することで得ることができる。この際、上記炭素材料は単独で用いても良いし、いくつかを混合してから用いることができる。
(b) ホウ素がドープされた炭素系触媒材料の製造方法
ホウ素がドープされた炭素系触媒材料を製造するには、まず、ホウ素源としての、BF3メタノール錯体又はBF3テトラヒドロフラン(THF)錯体等の含ホウ素化合物と、フラン樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂の前駆体とを混合し、加熱反応させて、ホウ素化合物含有熱硬化性樹脂を得る。
例えば、含ホウ素化合物としてBF3メタノール錯体を用い、熱硬化性樹脂の前駆体としてフルフリルアルコールを用いる場合には、好ましくは80〜200℃の範囲内の温度で加熱して、重合反応させることで、BF3含有フラン樹脂を得ることができる。上述したホウ素原子のドープ量を0.1〜40モル%にするためには、フルフリルアルコールとBF3の配合比をC:B(モル比)で1:(0.1〜1)、好ましくは1:(0.15〜0.6)にする。
次いで、得られたBF3含有フラン樹脂を、窒素やヘリウム等の不活性ガス雰囲気下、上記(a)で述べた所定温度で熱処理して炭素化する。次いで、好ましくは遊星型ボールミル等のボールミルで、微粉砕することにより、ホウ素原子がドープされた平均粒径45μm以下、好ましくは0.1μm以下の炭素系触媒材料を得ることができる。
(c) 窒素及びホウ素がドープされた炭素系触媒材料の製造方法(熱重合法)
窒素及びホウ素がドープされた炭素系触媒材料を製造するには、まず、含ホウ素化合物および含窒素化合物と、フラン樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂の前駆体とを混合した後、加熱反応させて、ホウ素−窒素化合物含有熱硬化性樹脂を得る。
例えば、含ホウ素化合物としてBF3メタノール錯体を、含窒素化合物としてメラミンをそれぞれ用い、熱硬化性樹脂の前駆体としてフルフリルアルコールを用いる場合には、好ましくは80〜200℃の範囲内の温度で加熱して、重合反応させることで、BF3含有フラン樹脂を得ることができる。上述した窒素原子及びホウ素原子のドープ量をそれぞれ0.1〜40原子%にし、かつB/Nの原子比を0.2〜0.4にするためには、フルフリルアルコールとメラミンとBF3メタノール錯体の配合比をC:N:B(モル比)で1:(0.04〜2):(0.02〜1)、好ましくは1:(0.3〜0.7):(0.4〜1.5)にする。次いで、得られたフラン樹脂を窒素やヘリウム等の不活性ガス雰囲気下、上記(a)で述べた所定の温度で炭素化することにより、窒素及びホウ素がドープされた炭素系触媒材料を得ることができる。
(d) 窒素及びホウ素がドープされた炭素系触媒材料の製造方法(亜臨界法)
窒素及びホウ素がドープされた炭素系触媒材料を製造する別の方法としては、次の亜臨界法がある。この方法では、まず、フルフリルアルコール又はレゾール型フェノール樹脂の溶液に、含窒素化合物と、ホウ素源としてのBF3メタノール錯体又はBF3テトラヒドロフラン(THF)錯体等の含ホウ素化合物とを溶解して、重合反応を行う。
例えば、フルフリルアルコールのメタノール溶液、含窒素化合物としてのメラミン、及び含ホウ素化合物としてのBF3メタノール錯体を用いた場合には、200〜350℃のメタノール亜臨界又は超臨界条件下で、フルフリルアルコールの重合反応を行う。上述した窒素及びホウ素のそれぞれのドープ量を0.1〜40モル%にするためには、フルフリルアルコールとメラミンとBF3メタノール錯体の配合比をC:N:B(モル比)で、1:(0.2〜0.8):(0.1〜0.4)、好ましくは1:(0.3〜0.7):(0.15〜0.4)にする。次いで、得られた重合物を窒素やヘリウム等の不活性ガス雰囲気下、上記(a)で述べた所定温度で炭素化することにより、窒素及びホウ素がドープされた炭素系触媒材料を得ることができる。
本発明に係る炭素系触媒材料の第二の形態は、ゾルゲル法で作られた平均粒径10〜100nmのカーボン超微粒子を前駆体として用いる形態である。ここで、カーボン超微粒子は、以下のようにして製造される。まず、フェノールとホルムアルデヒドと炭酸ナトリウムのような塩基触媒を含む水溶液を調製する。この水溶液を所定の温度で所定の時間保持することにより、フェノールとホルムアルデヒドを反応させると、反応溶液中で高分子超微粒子が生成される。所定の温度は60〜90℃が好ましく、80〜90℃が更に好ましい。また所定の時間は1〜20時間が好ましく、8〜18時間が更に好ましい。次にこの反応溶液を液体窒素温度に冷却して、凍結し、乾燥することにより高分子超微粒子を回収する。更に続いて回収した高分子超微粒子を100〜250℃で0.5〜10時間、好ましくは200〜230℃で3〜6時間加熱硬化させる。この硬化した高分子超微粒子を上記(a)で述べた炭素化熱処理条件で加熱することにより炭素化して平均粒径10〜100nm、好ましくは10〜30nmのカーボン超微粒子を得ることができる。このような超微粒子を得るためには、フェノールとホルムアルデヒドと炭酸ナトリウムの配合重量比(フェノール:ホルムアルデヒド:炭酸ナトリウム)を1:(1〜2):(0.05〜0.2)、好ましくは1:(1.4〜1.6):(0.05〜0.1)にする。
<樹脂>
本発明において使用する樹脂は、下記一般式(1)で示される。この樹脂は、主に炭素系触媒材料を溶媒中に良好に分散させる役割を担う。
一般式(1)


一般式(1)におけるRは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、または置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、または一般式(2)で示される基であり、Rは、炭素数1〜3のアルキル基であり、
l=0.0〜99.8mol%
m=0.1〜99.9mol%
n=0.1〜30.5mol%
o=0.0〜75.5mol%
l+m+n+o=100mol%である。
樹脂は、一般式(1)に示す4つの構成単位を、各々限定された範囲で含んでいれさえいればよく、構成単位の並びはランダムであってもよい。
ここで、一般式(1)のRにおける置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル及びn−オクタデシル等)、分岐アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル、2−エチルヘキシル及び1,1,3,3−テトラメチルブチル等)、環状アルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)及び架橋環式アルキル基(ノルボルニル、アダマンチル及びピナニル等)が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜18の直鎖アルキル基であり、さらに好ましくはオクタデシル基である。
一般式(1)のRにおける置換基を有していてもよいアルケニル基としては、例えば、直鎖又は分岐のアルケニル基(ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロぺニル、2−メタクリロイルオキシエチル、2−アクリロイルオキシエチル、および2−アクリロイルオキシプロピル基等)、およびシクロアルケニル基(2−シクロヘキセニル及び3−シクロヘキセニル等)が挙げられ、好ましくは2−メタクリロイルオキシエチル基、2−アクリロイルオキシエチル基であり、より好ましくは2−メタクリロイルオキシエチル基である。
一般式(1)のRにおける置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば、単環式アリール基(フェニル、ベンジル、トリル、o-キシリル、トシル基など)があげられ、好ましくはフェニル基、トシル基であり、より好ましくはフェニル基である。
一般式(1)のRにおける置換基を有していてもよいヘテロアリール基としては、エポキシ基(グリシル基等)、フリル基(テトラヒドロフルフリル基、フルフリル基等)、チエニル基、ピラニル基、ピリジル基等が挙げられ、好ましくはチエニル基、フルフリル基、テトラヒドロフルフリル基である。
一般式(1)のRとしては、置換基を有していてもよいアルキル基、および置換または無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、および無置換のアリール基が更に好ましい。特に好ましい基としては、無置換のアルキル基が挙げられる。
一般式(1)のRで表される基が置換基を有する場合、置換する事が出来る基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基等から選択される置換基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
一般式(1)のRは単一の置換基のみならず、異なる複数の置換基を含んでも良い。
一般式(1)のRは、炭素数1〜3のアルキル基を表す。炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などがあげられ、好ましくは、プロピル基であり、一般式(1)における、lは0〜99.8であり、mは0.1〜99.9であり、nは0.1〜30.5であり、oは0〜77.0である。
一般式(1)のRは、一般式(2)で示される基であってもよい。
一般式(2)


[Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、または置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
は、置換または無置換の(α+1)価の連結基を表す。
αは、1〜3の整数を表す。]
一般式(2)のRは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
一般式(2)のRの置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基としては、一般式(1)中のRの置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基と同義であり、
一般式(2)のRとしては、置換基を有していてもよいアルキル基、もしくは置換基を有していてもよいアリール基が好ましく、置換基を有していてもよいアルキル基がより好ましく、無置換のアルキル基が特に好ましい。
一般式(2)のRの置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、
一般式(2)のRの置換基を有していてもよいアルケニル基としては、2−メタクリロイルオキシエチル基、2−アクリロイルオキシエチル基が好ましく、
一般式(2)のRの置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、トシル基が好ましく、フェニル基がより好ましく、
一般式(2)のRのヘテロアリール基としては、グリシル基またはテトラヒドロフルフリル基が好ましく、テトラヒドロフルフリル基がより好ましい。
一般式(2)のRで表される基が置換基を有する場合、置換する事が出来る基としては、一般式(1)中のRの置換することが出来る基と同義である。
一般式(2)のRは、置換基を有していてもよい(α+1)価の連結基を表し、αは、1〜3の整数を表す。
α=1の場合、Rとしては、置換基を有していてもよい2価の連結基となり、具体的には、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、または下記の(5−1)〜(5−16)に示す基などが挙げられる。
一般式(2)のRにおける置換基を有していてもよいアルキレン基としては、直鎖アルキレン基(トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ドデカメチレン基など)、分鎖アルキレン基(2,4,4’−トリメチルヘキサメチレン基など)、環状アルキレン基(1,2−シクロペンチル基、1,3−シクロペンチル基、1,2−シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキシル基、1,4−シクロヘキシル基、メチル−2,4−シクロヘキシル基、およびメチル−2,6−シクロヘキシル基など)を挙げることができる。
一般式(2)のRにおける置換基を有していてもよいフェニレン基としては、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン基、2−メチル−1,3−フェニレン基、4−メチル−1,3−フェニレン、1,3−ジメチルフェニレン、1,4−ジメチルフェニレン基、および1,4−ジエチルフェニレン基が挙げられる。
一般式(2)のRにおける置換基を有していてもよい連結基の具体例としては、下記の(5−1)〜(5−16)に示す基などが挙げられ、好ましく用いられる。

(5−1)〜(5−16)中の、Rは、炭素数1〜3のアルキル基であり、(5−8)中の、Rは、炭素数1〜3のアルキル基である。
炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などがあげられる。
一般式(2)のα=1の場合のRとして、好ましくは(5−1)、もしくは(5−7)であり、特に好ましくは(5−7)である。
一般式(2)におけるα=2の場合の、Rとしては、置換基を有していてもよい3価の連結基を表し、下記の(6−1)〜(6−3)に示す基などが挙げられる。
一般式(2)のα=2の場合のRとして、好ましくは(6−1)もしくは(6−2)であり、特に好ましくは(6−1)である。
一般式(2)におけるα=3の場合、Rにおける置換基を有していてもよい4価の連結基を表し、下記(7−1)に示す基などが挙げられる。
一般式(2)のRで表される基が置換基を有する場合、置換することが出来る基とは、一般式(1)中のRの置換することが出来る基と同義である。
一般式(2)のR中のαとしては、α=1が好ましい。
<樹脂の製造>
本発明の変性樹脂は公知の方法で得ることができ、
ポリビニルアルコール樹脂(a)を、一般式(3)または一般式(4)で示されるイソシアネート化合物と反応させてなる、変性ポリビニルアルコール樹脂(A)、または、
ポリビニルアセタール樹脂(b)を、一般式(3)または一般式(4)で示されるイソシアネート化合物と反応させてなる、変性ポリビニルアセタール樹脂(B)が挙げられ、好適に用いることができる。
以下、変性ポリビニルアルコール樹脂(A)、変性ポリビニルアセタール樹脂(B)について説明する。
(変性ポリビニルアルコール樹脂(A))
変性ポリビニルアルコール樹脂(A)は、ポリビニルアルコール樹脂(a)を、一般式(3)または一般式(4)で示されるイソシアネート化合物と反応させて得ることができる。
[ポリビニルアルコール樹脂(a)]
本発明に用いるポリビニルアルコール樹脂(a)の製法については特に制限はなく、公知の方法で合成された各種ポリビニルアルコール樹脂および市販のポリビニルアルコール樹脂を使用することができる。代表的な合成方法としては、酢酸ビニルのようなビニルアルコール前駆体を重合させて得たポリマーをアルカリでケン化してポリビニルアルコールを製造する方法を挙げることができる。
ポリビニルアルコール樹脂(a)は、下記一般式(7)で示される。
一般式(7)

一般式(7)におけるpは、69.5〜99.9mol%であり、qは0.1〜30.5mol%であり、p+q=100.0mol%である。
また、ポリビニルアルコール樹脂(a)の平均分子量は1,000〜800,000が好ましく、8,000〜110,000がより好ましい。
一般式(7)に示す2つの構成単位の並びに制限はなく、構成単位の並びはランダムでもよい。
市販のポリビニルアルコール樹脂としては、例えば、クラレポバールPVA−102、クラレポバールPVA−103、クラレポバールPVA−110、クラレポバールPVA−205、クラレポバールPVA−405、クラレポバールPVA−HC、クラレポバールPVA−L8(クラレ社製ポリビニルアルコール樹脂)、デンカポバールK−17C、デンカポバールB−05、デンカポバールB−24(電気化学工業社製ポリビニルアルコール樹脂)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において、変性ポリビニルアルコール樹脂(A)は主に炭素系触媒材料に対する分散剤として機能するとともに、電池性能を向上させるに適した電極膜状態を作り出すための役割も担っているものと考えられる。
樹脂が変性ポリビニルアルコール樹脂(A)である場合、
一般式(1)における、lは、0.0〜99.8mol%であり、mは0.1〜99.9mol%であり、nは、0.1〜30.5mol%であり、oは0.0mol%である。ただし、l+m+n+o=100.0mol%である。
lは7.0〜97.9mol%であり、mは1.4〜89.9mol%であることがより好ましく、lは20.9〜97.9mol%であり、mは1.4〜69.9mol%であることが特に好ましい。
また、変性ポリビニルアルコール樹脂(A)の平均分子量は1,000〜800,000が好ましく、8,000〜800,000がより好ましい。
(変性ポリビニルアセタール樹脂(B))
変性ポリビニルアセタール樹脂(B)は、ポリビニルアセタール樹脂(b)を、一般式(3)または一般式(4)で示されるイソシアネート化合物と反応させて得ることができる。
[ポリビニルアセタール樹脂(b)]
本発明に用いるポリビニルアセタール樹脂(b)の製法については特に制限はなく、公知の方法で合成された各種ポリビニルアセタール樹脂および市販のポリビニルアセタール樹脂を使用することができる。代表的な合成方法としては、酢酸ビニルのようなビニルアルコール前駆体を重合させて得たポリマーをアルカリでケン化して、ビニルアルコール構造に変え、これにアルデヒド類を反応させてアセタール化する方法を挙げることができる。このとき作用させるアルデヒドの種類は、単独もしくは複数の種類を反応させることができる。
ポリビニルアセタール樹脂(b)は、下記一般式(8)で示される。
一般式(8)


一般式(8)におけるsは2.9〜3.9mol%であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、rは20.6〜38.5mol%であり、tは58.7〜75.5mol%であり、r+s+t=100.0mol%である。一般式(8)におけるrは、29.4〜38.5mol%であり、tは58.7〜66.7mol%であることがより好ましい。
一般式(8)に示す3つの構成単位の並びに制限はなく、構成単位の並びはランダムでもよい。
また、ポリビニルアセタール樹脂(b)の平均分子量は1,000〜800,000が好ましく、15,000〜130,000がより好ましく、25,000〜66,000が特に好ましい。
一般式(8)におけるRは、一般式(1)におけるRと同義である。
市販のポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、エスレックBL−1、BL−10、BM−1、BH−3(積水化学工業社製ポリビニルブチラール樹脂)、エスレックBX−1、BX−L、KS−10(同社製ポリビニルアセタール樹脂)、デンカブチラール#3000−1、#3000−K、#4000−2(電気化学工業社製ポリビニルブチラール樹脂)、モビタールLPB16H、B20H、B30T、B30H、B30HH、B45M(クラレ社製ポリビニルブチラール樹脂)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において、変性ポリビニルアセタール樹脂(B)は、変性ポリビニルアルコール樹脂(A)と同様に、主に炭素系触媒材料に対する分散剤として機能するとともに、電池性能を向上させるに適した電極膜状態を作り出すための役割も担っているものと考えられる。
(一般式(3)または一般式(4)により示される化合物)
次いで、一般式(3)で示されるイソシアネート化合物について説明する。
一般式(3)

[Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。]
一般式(3)のRは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基、を表す。
一般式(3)のRの置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基は、一般式(1)中のRの置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換ま基を有していてもよいヘテロアリール基と同義であり、
一般式(3)のRが置換基を有する場合は、置換する事が出来る基としては、一般式(1)中のRの置換することが出来る基と同義である。
次いで、一般式(4)について説明する。
一般式(4)

[Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
は、置換または無置換の(α+1)価の連結基を表す。
αは1〜3の整数を表す。]
一般式(4)中のRの置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基としては、
一般式(2)中のRの置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基と同義であり、
一般式(4)のRが置換基を有する場合は、置換する事が出来る基としては、一般式(1)中のRの置換することが出来る基と同義であり、
一般式(4)のRの置換基を有していてもよい(α+1)価の連結基は、一般式(2)中のRの置換基を有していてもよい(α+1)価の連結基と同義であり、
一般式(4)のRが置換基を有する場合は、置換する事が出来る基としては、一般式(1)中のRの置換することが出来る基と同義であり、
一般式(4)のRのαは、一般式(2)中のRのαと同義である。
本発明に用いる一般式(4)で示されるイソシアネート化合物の製法については特に制限はなく、公知の方法で合成されたイソシアネート化合物を使用することができる。代表的な合成方法としては、市販の多官能イソシアネート化合物に対して、市販のアルコールもしくは市販のフェノールを反応させる方法を挙げることができる。このとき作用させるアルコールの種類は、単独もしくは複数の種類を反応させることができる。
多官能イソシアネートを変性せず、そのまま用いると、余剰のイソシアネート基により、組成物の経時での分散安定性をそこなうため好ましくない。
樹脂が変性ポリビニルアルコール樹脂(B)である場合、
一般式(1)中で、lは、0.0〜99.8mol%であり、mは0.1〜99.9mol%であり、nは、2.9〜5.0mol%であり、oは0.0mol%である。ただし、l+m+n+o=100.0mol%である。
一般式(1)中のlは0.0〜38.3mol%であり、mは0.1〜38.5mol%であり、oは58.7〜75.5mol%であることが好ましく、lは、2.1〜37.7mol%であり、mは0.4〜34.6mol%、oは58.7〜75.5mol%であることがより好ましく、lは、8.8〜30.8mol%であり、mは5.9〜26.9mol%であり、oは58.7〜66.7mol%であることが特に好ましい。
また、変性ポリビニルアセタール樹脂(B)の平均分子量は1,000〜200,000が好ましいく、15,000〜200,000がより好ましい。
本発明における樹脂は、変性ポリビニルアルコール樹脂または変性ポリビニルアセタール樹脂であり、炭素系触媒材料の分散剤として機能し、触媒活性や導電性を阻害することなく、分散安定性に優れた触媒ペースト組成物を提供することができる。本発明の触媒ペースト組成物は、優れた分散安定性を示すだけでなく、保存安定性に優れ、プロトン伝導性ポリマーや撥水性材料を後添加する際にも、その分散状態を維持したまま混合分散することができる。また、プロトン伝導性ポリマーとの濡れ性を改善できる。よって、塗膜中での炭素系触媒材料とプロトン伝導性ポリマーとの密着性や、触媒活性点へのプロトン伝導性も向上できるため、触媒インキ組成物に好適に使用できる。
<溶剤>
溶剤としては、水または水と親和性が高い溶剤であれば特に限定されない。特に、アルコールが好適に使用できる。このようなアルコールとしては、例えば、沸点80〜200℃程度の1価のアルコールないし多価アルコールが利用でき、好ましくは炭素数が4以下のアルコール系溶剤が挙げられる。具体的には、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。アルコールは、1種単独で又は2種以上混合して使用される。これらの1価のアルコールの中でも、2−プロパノール、1−ブタノール及びt−ブタノールが好ましい。多価アルコールとしては具体的には、水素イオン伝導性ポリマーとの相溶性及び触媒インキ組成物とした場合の乾燥効率の問題から、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール等が好ましく、中でもプロピレングリコールが特に好ましい。
<燃料電池用触媒インキ組成物>
本発明の触媒インキ組成物中に含まれる炭素系触媒材料、樹脂およびプロトン伝導性ポリマーもしくは撥水性材料の割合は、限定されるものではなく、広い範囲内で適宜選択され得る。
触媒インキ組成物の調製方法も特に制限は無い。調製は、各成分を同時に分散しても良いし、触媒ペースト組成物を分散後、プロトン伝導性ポリマー成分や撥水性材料を添加してもよく、使用する炭素系触媒材料、プロトン伝導性ポリマーもしくは撥水性材料や、溶剤種により最適化することができる。但し、触媒ペースト組成物を先に作製し、プロトン伝導性ポリマーもしくは撥水性材料を後添加して触媒インキ組成物を作製すると、分散時間の短縮などコストダウンに大きく貢献することができる。
例えば、本発明の触媒インキ組成物では、炭素系触媒材料を100重量部に対して、樹脂が0.01〜25重量部、好ましくは0.02〜10重量部、プロトン伝導性ポリマーが10〜300重量部、好ましくは20〜250重量部、また、撥水性材料は5〜100重量部、好ましくは10〜90重量部である。
<プロトン伝導性ポリマー>
プロトン伝導性ポリマーは従来公知のものを使用することができる。プロトン伝導性ポリマーとしては、パーフルオロスルホン酸系等のフッ素系イオン交換樹脂、スルホン酸基などの強酸性官能基を導入したオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。例えば電気陰性度の高いフッ素原子を導入する事で化学的に非常に安定し、スルホン酸基の乖離度が高く、高いイオン導電性が実現できる。このようなプロトン伝導性ポリマーの具体例としては、デュポン社製の「Nafion」等が挙げられる。通常、プロトン伝導性ポリマーは、ポリマーを5〜30重量%程度含むアルコール水溶液として使用される。アルコールとしては、例えば、メタノール、プロパノール、エタノールジエチルエーテル等が使用される。
<撥水性材料>
撥水性材料としては、カソード側の触媒層において酸素と水素イオンが反応して生じる水、この余剰水の排水性がよく、ガス拡散性を妨げないものであればよい。撥水性材料の表面張力としては水の表面張力(約72dyn/cm)より低いものが良く、例えば、フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンが使用できるが、中でもフッ素系樹脂が好ましい。フッ素系樹脂としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などが挙げられる。
<燃料電池用触媒層および燃料電池用電極膜接合体>
燃料電池用触媒層は、前記触媒インキ組成物を電極基材(カーボンペーパなど)に直接塗布及び乾燥することにより形成されてもよく、また触媒インキ組成物をテフロン(登録商標)シート等の剥離可能な転写基材に塗布乾燥後、固体高分子電解質膜に転写することにより形成されてもよい。
燃料電池用触媒層は、上記触媒インキ組成物を転写基材(テフロン(登録商標)シートなど)に塗布するか、または電極基材に直接塗布し、その後乾燥することにより製造する場合、塗布方法は通常の塗布方法を用いることができる。塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を適用できる。
塗布した後、乾燥することにより、塗膜(燃料電池用触媒層)が形成される。乾燥温度は、通常40〜120℃程度、好ましくは75〜95℃程度である。また、乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、通常5分〜2時間程度、好ましくは30分〜1時間程度である。塗布乾燥後の燃料電池用触媒層の厚みは、通常5μm〜80μm程度、好ましくは10μm〜70μm程度がよい。
上記の燃料電池用触媒層を固体高分子電解質膜に転写する場合の加圧レベルは、転写不良を避けるために、通常0.5Mpa〜20Mpa程度、好ましくは1Mpa〜10Mpa程度がよい。また、この加圧操作の際に、転写不良を避けるために、加圧面を加熱するのが好ましい。加熱温度は、固体高分子電解質膜の破損、変性等を避けるために、通常200℃以下、好ましくは120〜150℃程度がよい。
本発明における燃料電池用電極膜接合体とは、プロトン伝導性の固体高分子電解質膜の片面もしくは両面に、燃料電池用触媒層が密着して形成され、さらに、その片面もしくは両面に、カーボンペーパ等の電極基材が密着して具備したものを意味する。
燃料電池用電極膜接合体の製造方法としては、電極基材上に予め形成された燃料電池用触媒層を、固体高分子電解質膜の片面もしくは両面に熱圧着することで燃料電池用電極膜接合体を作製してもよいし、転写基材上に予め形成された燃料電池用触媒層を、転写によって固体高分子電解質膜上に形成後、電極基材を熱圧着することで燃料電池用電極膜接合体を作製してもよい。この際、使用する電極基材は、予め燃料電池触媒層が形成されたものを使用することもできる。
上記の燃料電池用電極膜接合体において、電極基材と燃料電池用触媒層及び固体高分子電解質膜間を熱圧着する場合の、加圧レベルは、通常0.1Mpa〜50Mpa程度、好ましくは1Mpa〜20Mpa程度がよい。また、加熱温度としては、固体高分子電解質膜の破損、変性等を避けるために、通常200℃以下、好ましくは120〜150℃程度がよい。
本発明の電極膜接合体は、触媒層の電極基材と接触する側に微多孔質の層を含んでいてもよい。この層は、触媒層の一部として取り扱われたり、あるいは撥水層やMPL(micro porous layer、マイクロポーラスレイヤー)とも呼ばれ、触媒層へのガス供給の均一化や、導電性の向上に加え、カソード側で発電時に発生する水の排水性を向上させる等の役割を持つ。撥水層あるいはMPLは、例えば、炭素材料もしくは炭素系触媒材料と、撥水性材料を含むインキ組成物をカーボンペーパ基材上に塗工後、300℃程度で焼成することにより形成でき、本発明の触媒ペースト組成物も好適に使用することができる。
<固体高分子電解質膜>
固体高分子電解質膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入する事で化学的に非常に安定し、スルホン酸基の乖離度が高く、高いイオン導電性が実現できる。具体例としてはデュポン社製の「Nafion」、旭硝子(株)製の「Flemion」、旭化成(株)製の「Aciplex」、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」等が挙げられる。電解質膜の膜厚は、通常20μm〜250μm程度、好ましくは10μm〜80μm程度である。
<電極基材(ガス拡散層;GDL)>
電極基材は、公知であり、アノード又はカソードを構成する各種の電極基材を使用できる。電極基材はガス拡散層あるいはGDLとも呼ばれ、カソード側では空気中の酸素を取り入れ、アノード側では水素を取り込めるように気体が通過および拡散できるような多孔質または繊維状のものであることが好ましい。更に電子の出し入れが必要なため導電性を有する材料を用いらなければならない。電極基材は導電性を有する材料であれば良いが、好ましくは炭素繊維からなるカーボンペーパなどがよい。具体例としては東レ(株)社製の「TGP−H−090」等が挙げられる。
<転写基材>
転写基材は触媒インキ組成物を塗布することで燃料電池用触媒層を形成し、転写基材上にある触媒層をナフィオンなどの固体高分子電解質膜に転写するためのフィルム基材である。転写基材としては、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等がより好ましい。具体例としてはテフロン(登録商標)シート等が挙げられる。転写基材の厚さは、取り扱い性及び経済性の観点から、通常6μm〜100μm程度、好ましくは10μm〜50μm程度、より好ましくは15μm〜30μm程度とするのがよい。
<燃料電池>
本発明の燃料電池は、従来の燃料電池と比べ、燃料電池用触媒ペースト組成物や燃料電池用触媒インキ組成物の分散性に優れるため炭素系触媒材料が酸素ガスなどの気体と好適に接触できることで酸素還元電位や酸素還元電流密度(単に電流密度ということがある)が向上し、塗工ムラやピンホールが少ないため耐久性にも優れるという利点がある。
以下に、燃料電池の性能を評価する方法の一例を示す。燃料電池用電極膜接合体を5cm角の試料とし、その両側からガスケットを2枚、次いでグラファイトプレートであるセパレータを2枚はさみ、更に両側から集電板を2枚装着して単セルとして作製する。カソード(空気極)側から加湿した酸素ガスを供給し、アノード(燃料極)側から加湿した水素ガスを供給して電池特性を測定する。
以上述べたように、本発明の燃料電池用触媒ペースト組成物や燃料電池用触媒インキ組成物を用いて作製される燃料電池用触媒層は、酸素ガスなどの気体との接触が起こりやすくなることが考えられ、その結果、酸素還元電位や電流密度が向上し、塗工ムラやピンホールが少なく、耐久性にも優れるという利点がある。したがって、本発明の燃料電池用触媒層および燃料電池用電極膜接合体を用いて作製された燃料電池は、従来の燃料電池と比べて、経済的でコスト優位性が高く、また触媒が被毒されることなく耐久性に優れるという長所を有する。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、特に断りの無い限り、「部」とは「重量部」、「%」とは「重量%」を意味する。
<一般式(4)で示されるイソシアネート化合物の合成>
(イソシアネート化合物 NCO(7)の合成)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、N−メチル−2−ピロリドン200.0部、イソホロンジイソシアネート100.0部(1等量)、及びメタノール14.42部(1等量)を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、U−810(日東化成製)0.01部を添加した。反応容器内を100℃に加熱して、3時間反応を続けた。その後、NCO価の測定を行い、反応率が95%であることを確認した。その後、N−メチル−2−ピロリドンを加え固形分が30%となるように希釈した。その後、冷却し、イソシアネート化合物 NCO(7)溶液を得た。
(イソシアネート化合物 NCO(8)〜(11)の合成)
表1に示す配合組成で、イソシアネート化合物 NCO(7)の合成と同様の方法で合成し、イソシアネート化合物 NCO(8)〜NCO(11)溶液を得た。

<変性ポリビニルアルコール樹脂の合成>
(樹脂(A−1)の合成(合成例1))
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、N−メチル−2−ピロリドン 200.0部、及びPVA−102 50.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を60℃に加熱して、ブチルイソシアネート1.11部を添加した。反応容器内を90℃に加熱して、ネオスタンU−810(日東化成製)0.01部を添加した。添加終了後、反応容器内を110℃に加熱して、2時間反応を続けた。その後、NCO価の測定を行い、反応率が95%以上であることを確認した。その後、N−メチル−2−ピロリドンを加え希釈し、N.V.=20%にした。その後、冷却し、変性ポリビニルアルコール樹脂(A−1)を含む樹脂溶液(A’−1)を得た。
(変性ポリビニルアルコール樹脂(A−2)〜(A−12)、変性ポリビニルアセタール樹脂(B−1)〜(B−13)、その他樹脂(C−1)〜(C−3)の合成(合成例2〜28))
ポリビニルアルコール樹脂(a)、ポリビニルアセタール樹脂(b)、イソシアネート化合物を表2に記載の種類と配合量に変更した以外は、合成例1と同様の方法で合成し、変性ポリビニルアルコール樹脂(A−2)〜(A−12)を含む樹脂溶液(A’−2)〜(A’−12)、変性ポリビニルアセタール樹脂(B−1)〜(B−13)を含む樹脂溶液(B’−1)〜(B’−13)、およびその他樹脂(C−1)〜(C−3)を含む樹脂溶液(C’−1)〜(C’−3)を得た。その他樹脂(C−1)〜(C−3)では、イソシアネート化合物として、多官能イソシアネート化合物を予めアルコールと反応させずに使用した。

表2中の略称について以下に示す。
<ポリビニルアルコール樹脂(a)>
・PVA−102:クラレポバールPVA−102(クラレ製):ケン化度:98.0―99.0%、重合度:200。
・PVA−103:クラレポバールPVA−103(クラレ製):ケン化度:98.0―99.0%、重合度:300。
・PVA−110:クラレポバールPVA−110(クラレ製):ケン化度:98.0―99.0%、重合度:1000。
・PVA−205:クラレポバールPVA−205(クラレ製):ケン化度:86.5―89.0%、重合度:500。
・PVA−405:クラレポバールPVA−405(クラレ製):ケン化度:78.5−81.5%、重合度:500。
・K−17C:デンカポバールK−17C(電気化学工業製):ケン化度:98.7―99.7%、重合度:1700。
・B−05:デンカポバールB−05(電気化学工業製):ケン化度:86.5%―89.5%、重合度:500。
・B−24:デンカポバールB−24(電気化学工業製):ケン化度:86.0%―89.0%、重合度:2400。
・PVA−HC:クラレポバールPVA−HC(クラレ製):ケン化度:99.85%以上。
・PVA−L8:クラレポバールPVA−L8(クラレ製):ケン化度:69.5%−72.5%。
<ポリビニルアセタール樹脂(b)>
・BL−1:エスレックBL−1(積水化学工業社製):ポリビニルブチラール樹脂、水酸基を含む繰り返し単位:25%、計算分子量:19,000。
・BL−S:エスレックBL−S(積水化学工業社製):ポリビニルブチラール樹脂、水酸基を含む繰り返し単位:15%、計算分子量:23,000。
・BM−1:エスレックBM−1(積水化学工業社製):ポリビニルブチラール樹脂、水酸基を含む繰り返し単位:24%、計算分子量:40,000。
・BM−S:エスレックBM−S(積水化学工業社製):ポリビニルブチラール樹脂、水酸基を含む繰り返し単位:22%、計算分子量:53,000。
・BH−3:エスレックBH−3(積水化学工業社製):ポリビニルブチラール樹脂、水酸基を含む繰り返し単位:24%、計算分子量:110,000。
・BH−6:エスレックBH−6(積水化学工業社製):ポリビニルブチラール樹脂、水酸基を含む繰り返し単位:30%、計算分子量:92,000。
・BH−S:エスレックBH−S(積水化学工業社製):ポリビニルブチラール樹脂、水酸基を含む繰り返し単位:14%、計算分子量:66,000。
・BX−L:エスレックBX−L(積水化学工業社製):ポリビニルアセタール樹脂、水酸基を含む繰り返し単位:37±3%、計算分子量:20,000。
・BL−5:エスレックBL−5(積水化学工業社製):ポリビニルブチラール樹脂、水酸基を含む繰り返し単位:21%、計算分子量:32,000。
合成例1〜28で得られた変性樹脂(A−1)〜(A−12)、または(B−1)〜(B−13)の一般式(1)におけるl,m,n,oの値を表3に示す。

<炭素系触媒材料の製造例>[製造例1:炭素系触媒材料X1の調製]
ポリビニルピリジン(アルドリッチ製:Mw:6万)を出発原料としてポリビニルピリジン鉄(II)錯体10gを得、これとケッチェンブラックEC300(ライオン社製)10gを、乳鉢により、乾式混合20分行い、その後、電気炉にて窒素雰囲気下(0.5L/min)、800℃1時間(昇温1.5時間)で焼成した。焼成物を、乳鉢によって、乾式粉砕し、150メッシュのふるいで分級した。更に金属除去のため、37%塩酸中で、撹拌とデカンテーションを3回繰り返し、最後に電気炉に窒素雰囲気下(0.5L/min)、700℃、1時間(昇温2時間)で熱処理し、乾式粉砕し150メッシュで分級して炭素系触媒材料X1を得た。
[製造例2:炭素系触媒材料X2の調製]
含窒素化合物である無金属フタロシアニン13.1gをフラン樹脂の前駆体であるフルフリルアルコール10gに混合し、1M−塩酸を10g添加し、この混合物をオーブン中80℃で加熱することによりフタロシアニン含有フラン樹脂を得た。これを、さらに、窒素雰囲気下、オーブン中で室温から10℃/分の速度で昇温し、1000℃で1時間保持することにより熱処理した。これによりフタロシアニン含有フラン樹脂の炭素化物を得た。この炭素化物を遊星型ボールミル(レッチェ社製、PM100)で粉砕して、窒素原子が13.4モル%ドープされた平均粒径0.1μmの炭素系触媒材料X2を得た。
[製造例3:炭素系触媒材料X3の調製]
鉄フタロシアニン(山陽色素社製)とケッチェンブラック(ライオン社製EC−300J)を、重量比1:1で秤量し、乳鉢にて乾式混合を行い前駆体とした。
上記前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、700℃で2時間熱処理を行い、炭素系触媒材料X3を得た。
[製造例4:炭素系触媒材料X4の調製]
コバルトフタロシアニン(東京化成工業社製)とケッチェンブラック(ライオン社製EC−600JD)を、重量比0.5:1で秤量し、乳鉢にて乾式混合を行い前駆体とした。
上記前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間熱処理を行い、炭素系触媒材料X4を得た。
<触媒ペースト組成物の調製>
[実施例1−a]
炭素系触媒材料X1を9重量部、溶剤としてプロパノール(キシダ化学社製)58.75重量部、表2に示した樹脂溶液(A’−1)2.25重量部(炭素系触媒材料を100重量部に対して樹脂固形分で5重量部)を配合し、ディスパー(プライミクス社製、T.Kホモディスパー)にて攪拌混合することで本発明の触媒ペースト組成物1(固形分濃度12.9重量%)を調製した。
[実施例2−a〜実施例36−a]
炭素系触媒材料、溶剤、および樹脂溶液の種類と組成を、表4に変更した以外は、実施例1−aと同様にして触媒ペースト組成物を調製した。
[比較例1−a〜9−a]
炭素系触媒材料、溶剤の種類と組成を、表4示すように変更した以外は、実施例1−aと同様にして、触媒ペースト組成物を調製した。
<触媒ペースト組成物の評価>
触媒ペースト組成物は、粘度と分散粒径によって分散性を評価した。
粘度は、E型粘度計(東機産業社製、「RE80型粘度計」)を使用し、50rpmの回転速度で、温度25℃において測定した。
粒径は、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)を用いて体積粒度分布を測定し、粒径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに50%となるところの平均粒径(D50)とした。
表4に触媒ペースト組成物の分散性評価の結果を示す。粘度が低く、粒径が小さいものほど、分散性が優れていることを示す。
[実施例1−b 触媒インキ組成物の調製]
実施例1−aで得た触媒ペースト組成物に、プロトン伝導性ポリマーとして20重量%ナフィオン(Nafion(R))分散溶液(デュポン社製、CStypeDE2020)30重量部を添加し、ディスパー(プライミクス社製、T.Kホモディスパー)にて攪拌混合することで触媒インキ組成物(固形分濃度15重量%、触媒インキ組成物100重量%としたときの炭素系触媒材料とプロトン伝導性ポリマーの合計した割合)を調製した。
[実施例2−b〜実施例36−b、比較例1−b〜比較例9−b]
実施例1−aで得た触媒ペースト組成物を、それぞれ、実施例2−a〜実施例36−a、比較例1−a〜比較例9−aで得た触媒ペースト組成物に変更した以外は、実施例1−bと同様にして、それぞれ、触媒インキ組成物を調整した。
<触媒インキ組成物の評価>
触媒インキ組成物は、下記に示す保存安定性評価、分散性評価によって評価した。
(保存安定性評価)
触媒インキ組成物の保存安定性は、調製直後の粘度(初期粘度)と、50℃、10日保存後の粘度(経時粘度)をそれぞれ測定し、それらの粘度変化率(経時粘度/初期粘度)によって評価した。粘度は、いずれもE型粘度計(東機産業社製、「RE80型粘度計」)を使用し、50rpmの回転速度で、温度25℃において測定した。
触媒インキ組成物の保存安定性評価の結果を表5に示す。粘度変化率が小さいもの程、保存安定性が優れていることを示す。尚、本発明の触媒インキ組成物は、いずれも沈殿物の発生が認められず、20℃、3ヶ月保存後においても、粘度の上昇は認められず、保存後の塗工性も良好で、均一な塗膜が得られることを確認した。
(分散性評価)
分散性は、グラインドゲージによる判定(JIS K5600−2−5に準ず)よって触媒インキ組成物の粒度を求め、30μm以上の凝集物が無い場合、分散性が良好であると評価した。本発明の触媒インキ組成物はいずれも10〜20μmであり、分散性は良好であったのに対して、比較例1−b〜9−bで得た触媒インキ組成物は、いずれも30μm以上の凝集物が確認され、分散性が劣っていることを確認した。
<燃料電池用触媒層の作成>
[実施例1−c 燃料電池用触媒層I の作製]
実施例1−bで得た触媒インキ組成物を、ドクターブレードにより、乾燥後の炭素系触媒材料の目付け量が2mg/cm2になるようにテフロン(登録商標)フィルム上に塗布し、大気雰囲気下、95℃で60分間乾燥することにより、本発明のカソード用燃料電池用触媒層I を作製した。
[実施例2−c〜実施例36−c、比較例1−c〜比較例9−c]
実施例1−bで得た触媒インキ組成物を、それぞれ実施例2−b〜実施例36−b、比較例1−b〜比較例9−bで得た触媒インキ組成物に変更した以外は、実施例1−cと同様にして、それぞれ、カソード用燃料電池用触媒層I を作製した。
(塗工性評価)
燃料電池用触媒層I は、下記に示す塗工性評価を実施した。テフロン(登録商標)フィルム上に形成された燃料電池用触媒層I を、ビデオマイクロスコープVHX−900(キーエンス社製)にて500倍で観察し、塗工ムラ(ムラ:触媒層の濃淡により評価)およびピンホール(触媒層が塗布されていない欠陥の有無により評価)について、下記の基準で判定した。結果を表6に示す。
(ムラ)
○:触媒層の濃淡が確認されない(良好)。
△:触媒層の濃淡が2〜3箇所あるが極めて微小領域である(実用上問題ない)。
×:触媒層の濃淡が多数確認される、または濃淡の縞の長さが5mm以上のもの1個以上(不良)。
(ピンホ−ル)
○:ピンホールが1つも確認されない(良好)。
△:ピンホールが2〜3個あるが極めて微小である(不良)。
×:ピンホールが多数確認される、または直径1mm以上のピンホールが1個以上(極めて不良)。
[アノード用燃料電池用触媒層の作製]
ここでは、燃料電池用電極膜接合体の作製に使用するアノード用燃料電池用触媒層の作成方法について以下に述べる。
炭素系触媒材料の代わりに、白金触媒担持カーボン4重量部(田中貴金属社製、白金量46%、TEC10E50E)、溶剤としてプロパノール(キシダ化学社製)56重量部、および水20重量部をディスパー(プライミクス社製、T.Kホモディスパー)にて攪拌混合することで触媒ペースト組成物(固形分濃度4重量%)を調製した。次いで、プロトン伝導性ポリマーとして20重量%ナフィオン(Nafion(R))分散溶液(デュポン社製、CStypeDE2020)20重量部を添加し、ディスパー(プライミクス製、T.Kホモディスパー)にて攪拌混合することで触媒インキ組成物(固形分濃度8重量%、触媒インキ組成物100重量%としたときの炭素系触媒材料とプロトン伝導性ポリマーの合計した割合)触媒インキ組成物を作製した。得られた触媒インキ組成物を白金触媒担持カーボンの目付け量が0.46mg/cm2になるようにテフロン(登録商標)フィルム上に塗布し、大気雰囲気中80℃の条件で60分間乾燥することにより、アノード用燃料電池用触媒層を作製した。
[実施例1−d 燃料電池用電極膜接合体αの作製]
実施例1−cで作製したカソード用燃料電池用触媒層I と、アノード用燃料電池用触媒層とを、それぞれ固体高分子電解質膜(Nafion212、デュポン社製、膜厚51μm)の両面に密着して、150℃、5Mpaの条件で狭持した後、テフロン(登録商標)フィルムを剥離した。次いで、更に両側から電極基材(ガス拡散層GDL、炭素繊維からなるカーボンペーパ、TGP―H―090、東レ(株)製)を密着させ、本発明の燃料電池用電極膜接合体α(GDL/触媒層/固体高分子電解質膜/触媒層/GDL)を作製した。
[実施例2−d〜実施例36−d、比較例1−d〜比較例9−d]
実施例1−cで作製した燃料電池用触媒層I の代わりに、それぞれ実施例2−c〜実施例36−c、比較例1−c比較例9−c作製した燃料電池用触媒層I に変更した以外は、実施例1−dと同様にして、燃料電池用電極膜接合体αを作製した。
実施例1−d〜実施例36−dで作製した本発明の燃料電池用電極膜接合体α(GDL/触媒層/固体高分子電解質膜/触媒層/GDL)は、転写後の触媒層のひび割れや欠けがなく均一な電極膜が形成されていた。一方、比較例1−d〜比較例9−dで作製した燃料電池用電極膜接合体αは、いずれも転写時にひび割れや欠けが生じるなどの状態が悪いものであった。
[実施例1−e 燃料電池(単セル)の作製]
実施例1−dで得られた燃料電池用電極膜接合体αを5cm角の試料とし、その両側からガスケット2枚、次いでグラファイトプレートであるセパレータ2枚ではさみ、更に両側から集電板を2枚装着して燃料電池(単セル)として作製した。測定はAuto PEMシリース゛「PEFC評価システム」(東陽テクニカ社製)で実施した。カソード(空気極)側から加湿した酸素ガスを供給し、アノード(燃料極)側から加湿した水素ガスを供給して電池特性を測定した。
[実施例2−e〜実施例36−e、比較例1−e〜比較例9−e]
実施例1−eで使用した実施例1−dの燃料電池用電極膜接合体αの代わりに、それぞれ実施例2−d〜実施例36−d、比較例1−d〜比較例9−dで得た燃料電池用電極膜接合体αに変更した以外は、実施例1−eと同様にして燃料電池の単セルをそれぞれ作製した。
(燃料電池(単セル)の評価)
実施例1−e〜実施例36−e及び比較例1−e〜比較例9−eで作製した単セルの電流−電圧特性を測定することにより、電池性能を評価した。この結果を以下に示す。実施例1−eで作製した単セルでは、開放電圧は0.85V、短絡電流密度1200mA/cmであり、実施例2−e〜36−eで作製した単セルでも、開放電圧は0.8V〜0.85V、短絡電流密度800〜1400mA/cmであった。これに対し、比較例1−e〜比較例9−eで作成した単セルは、開放電圧0.7V〜0.77V、短絡電流密度400mA/cm〜600mA/cmであった。
<ガス拡散層に直接塗工して燃料電池用触媒層を作製する方法>
以下では、ガス拡散層に本発明の触媒インキ組成物を直接塗工して燃料電池用触媒層を作成する方法について例示する。
[実施例1−IIa 触媒ペースト組成物の調製]
実施例1−aにおいて、プロパノールを45重量部に変更した以外は、実施例1−aと同様にして固形分濃度12重量%の触媒ペースト組成物を得た。
[実施例2−IIa〜実施例36−IIa]
実施例2−a〜実施例36−aにおいて、プロパノールもしくは水を45重量部に変更した以外は、実施例2−a〜実施例36−aと同様にして、それぞれ、固形分濃度12重量%の触媒ペースト組成物を得た。
[比較例1−IIa〜比較例9−IIa]
比較例1−a〜比較例9−aにおいて、プロパノールを45重量部に変更した以外は、実施例1−IIaと同様にして、固形分濃度20重量%の触媒ペースト組成物を得ようとしたが、沈殿が生じてしまい、触媒ペースト組成物を得ることはできなかった。固形分濃度を高くしようとした結果、炭素系触媒材料の凝集が起こって沈降が生じてしまったものと思われる。
[実施例1−IIb 触媒インキ組成物の調製]
実施例1−IIaで調製した触媒ペースト組成物に、更にプロトン伝導性ポリマーとして20重量%ナフィオン(Nafion(R))分散溶液(デュポン社製、CStypeDE2020)12重量部を添加し、ディスパー(プライミクス製、T.Kホモディスパー)にて攪拌混合することで触媒インキ組成物(固形分濃度20重量%、触媒インキ組成物100重量%としたときの炭素系触媒材料とプロトン伝導性ポリマーの合計した割合)を調製した。粘度は96mPa・sであった。また、10日経過後の粘度は110mPa・sであった。
[実施例2−IIb〜実施例36−IIb]
実施例1−IIaで得た触媒ペースト組成物を、それぞれ、実施例2−IIa〜実施例36−IIaで得た触媒ペースト組成物に変更した以外は、実施例1−IIbと同様にして、それぞれ、触媒インキ組成物を調製した。粘度は、いずれも80〜120mPa・sであった。また、10日経過後の粘度も大きな変化が見られず、粘度変化率は130%以下と保温安定性は良好であった。
[実施例1−IIc 燃料電池用触媒層IIの作製]
実施例1−IIbで得た触媒インキ組成物を、ドクターブレードにより、乾燥後の炭素系触媒材料の目付け量が2mg/cm2になるように電極基材(ガス拡散層GDL、炭素繊維からなるカーボンペーパ、TGP−H−090、東レ(株)社製)上に塗布し、大気雰囲気中95℃、60分間乾燥して、本発明のカソード用燃料電池用触媒層IIを作製した。塗工ムラなく、またカーボンペーパからの液だれもなく良好な燃料電池用触媒層IIを形成できた。
[実施例2−IIc〜実施例36−IIc]
実施例1−IIbで得た触媒インキ組成物を、それぞれ実施例2−IIb〜実施例36−IIbで得た触媒インキ組成物に変更した以外は、実施例1−IIcと同様にして、それぞれ、カソード用燃料電池用触媒層IIを作成した。
[実施例1−IId 燃料電池用電極膜接合体βの作製]
実施例1−IIc作製したカソード用燃料電池用触媒層II(カーボンペーパに触媒インキ組成物が固着)とアノード用燃料電池用触媒層を用いて、固体高分子電解質膜(Nafion212、デュポン社製、膜厚51μm)と接触するようにして150℃、5Mpaの条件で狭持した後、アノード側のテフロン(登録商標)フィルムを剥離し、更にアノード側は電極基材(ガス拡散層GDL、炭素繊維からなるカーボンペーパ、TGP−H−090、東レ(株)社製)を密着し、本発明の燃料電池用電極膜接合体β(GDL/触媒層/固体高分子電解質膜/触媒層/GDL)を作製した。
[実施例2−IId〜実施例36−IId]
実施例1−IIcの燃料電池用触媒層IIの代わりに、それぞれ実施例2−IIc〜実施例36−IIcで得た燃料電池用触媒層IIに変更した以外は、実施例1−IIdと同様にして、燃料電池用電極膜接合体βを作製した。
[実施例1−IIe 燃料電池(単セル)の作製]
実施例1−eと同様にして作製し、同様の方法にて電池特性を測定した。
[実施例2−IIe〜実施例36−IIe]
実施例1−IIeで使用した実施例1−IIdの燃料電池用電極膜接合体βの代わりに、それぞれ実施例2−IId〜実施例36−IIdで得た燃料電池用電極膜接合体βに変更した以外は、実施例1−IIeと同様にして燃料電池を作製した。
<燃料電池単セル評価>
実施例1−IIe〜実施例36−IIeで作製した単セルについて、それぞれ電流−電圧特性を測定することにより、電池性能を評価した。この結果を以下に示す。実施例1−IIeで作製した単セルでは、開放電圧は0.87V、短絡電流密度1300mA/cmであり、実施例2−IIe〜実施例36−IIeで作製した単セルでも、開放電圧は0.8V〜0.88V、短絡電流密度900〜1500mA/cmであった。
[実施例1−IIIb 撥水性材料を含む触媒インキ組成物の調製]
実施例1−1で得た触媒ペースト組成物に、20重量%PTFE分散溶液(PTFE 30−J;三井・デュポンフロロケミカル社製、60%ポリテトラフルオロエチレン水系分散体をイオン交換水にて希釈して使用)20重量部を添加し、ディスパー(プライミクス社製、T.Kホモディスパー)にて攪拌混合することで撥水性材料を含む触媒インキ組成物(固形分濃度12重量%、触媒インキ組成物100重量%としたときの炭素系触媒材料と撥水性材料の合計した割合)を調製した。粘度は28mPa・sであった。また、10日経過後の粘度は29mPa・sであった。
[実施例2−IIIb〜実施例36−IIIb]
20重量%ナフィオン分散溶液を20重量%PTFE分散溶液に変更した以外は、実施例2−b〜実施例36−bと同様にして、それぞれ、固形分濃度12重量%の撥水性材料を含む触媒インキ組成物を調製した。粘度はいずれも20〜35mPa・sであった。また、10日経過後の粘度も大きな変化が見られず、粘度変化率は130%以下と保存安定性は良好であった。
[比較例1−IIIb〜比較例9−IIIb]
比較例1−a〜比較例9−aにおいて、20重量%ナフィオン分散溶液を20重量%PTFE分散溶液に変更した以外は、実施例1−IIIbと同様にして、撥水性材料を含む触媒インキ組成物を調製した。粘度は、いずれも30〜60mPa・sであり、実施例1−IIIb〜9−IIIbのものよりもやや高かった。また、10日経過後の粘度には大きな変化が見られ、粘度変化率は180%以上で、一部沈降もみられた。
[実施例1−IIIc 燃料電池用撥水層の作製]
実施例1−IIIbで調製した撥水性材料を含む触媒インキ組成物を、ドクターブレードにより、乾燥後の炭素系触媒材料の目付け量が1mg/cmになるように電極基材(ガス拡散層GDL、炭素繊維からなるカーボンペーパ、TGP−H−090、東レ(株)社製)上に塗布し、大気雰囲気中300℃、60分間焼成して、本発明のカソード用燃料電池用撥水層を作製した。塗工ムラなく良好なカソード用燃料電池用撥水層を形成できた。
[実施例2−IIIc〜実施例36−IIIc]
実施例1−IIIbで調製した撥水性材料を含む触媒インキ組成物を、それぞれ実施例2−IIIb〜実施例36−IIIbで得た撥水性触媒インキ組成物に変更した以外は、実施例1−IIIcと同様にして、それぞれ、カソード用燃料電池用撥水層を作製した。
[比較例1−IIIc〜比較例9−IIIc]
実施例1−IIIbで調製した撥水性材料を含む触媒インキ組成物を、それぞれ比較例1−IIIb〜比較例9−IIIbで調製した撥水性材料を含む触媒インキ組成物に変更した以外は、実施例1−IIIcと同様にして、カソード用燃料電池用撥水層を作製した。得られたカソード用燃料電池用撥水層は塗工ムラやヒビワレが多く見られた。
[実施例1−IIId 燃料電池用電極膜接合体γの作製]
実施例1−3で作製したカソード用燃料電池用触媒層I と、アノード用燃料電池用触媒層とを、それぞれ固体高分子電解質膜(Nafion212、デュポン社製、膜厚51μm)の両面に密着して、150℃、5Mpaの条件で狭持した後、テフロン(登録商標)フィルムを剥離した。次いで、アノード側には電極基材(ガス拡散層GDL、炭素繊維からなるカーボンペーパ、TGP−H−090、東レ(株)社製)を密着させ、カソード側には実施例1−IIIcで作製したカソード用燃料電池用撥水層を密着させることで、本発明の燃料電池用電極膜接合体γ(GDL/触媒層/固体高分子電解質膜/触媒層/撥水層/GDL)を作製した。
[実施例2−IIId〜実施例36−IIId]
実施例1−3で作製した燃料電池用触媒層I の代わりに、それぞれ実施例2−3〜実施例36−3で作製した燃料電池用触媒層I に変更し、また、カソード側には、実施例1−IIIcで作製したカソード用燃料電池用撥水層の代わりに、それぞれ実施例2−IIIc〜実施例36−IIIcで得たカソード用燃料電池用撥水層を密着させた以外は、実施例1−IIIdと同様にして、燃料電池用電極膜接合体γを作製した。
[比較例1−IIId〜比較例9−IIId]
実施例1−3で作製した燃料電池用触媒層I の代わりに、それぞれ比較例1−IIIc〜比較例9−IIIcで作製した燃料電池用触媒層Iに変更し、また、カソード側には、実施例1−IIIcで作製したカソード用燃料電池用撥水層の代わりに、それぞれ比較例1−IIIc〜比較例9−IIIcで作製した燃料電池用撥水層を密着させた以外は、実施例1−IIIdと同様にして、燃料電池用電極膜接合体γを作製した。
実施例1−IIId〜実施例36−IIIdで作製した本発明の燃料電池用電極膜接合体γ(GDL/触媒層/固体高分子電解質膜/触媒層/撥水層/GDL)は、燃料電池用撥水層のひび割れや欠けがみられなかった。一方、比較例1−IIId〜比較例9−IIIdで作製した燃料電池用電極膜接合体γは、いずれもひび割れや欠けが生じるなどの状態が悪いものであった。
[実施例1−IIIe 燃料電池(単セル)の作製]
実施例1−eと同様にして作製し、同様の方法にて電池特性を測定した。
[実施例2−IIIe〜実施例36−IIIe、比較例1−IIIe〜比較例9−IIIe]
実施例1−IIIeで使用した実施例1−IIIdの燃料電池用電極膜接合体γの代わりに、それぞれ実施例2−IIId〜実施例36−IIId、比較例1−IIId〜比較例9−IIIdで作製した燃料電池用電極膜接合体γに変更した以外は、実施例1−IIIeと同様にして燃料電池の単セルをそれぞれ作製した。
<燃料電池単セルの評価>
実施例1−IIIe〜実施例36−IIIe及び比較例1−IIIe〜比較例9−IIIeで作製した単セルの電流−電圧特性を測定することにより、電池性能を評価した。この結果を以下に示す。実施例1−IIIeで作製した単セルでは、開放電圧は0.88V、短絡電流1400mA/cmであり、実施例2−IIIe〜実施例36−IIIeで作製した単セルでも、開放電圧は0.81V〜0.89V、短絡電流800〜1600mA/cmであった。これに対し、比較例1−IIIe〜比較例9−IIIeで作製した単セルは、開放電圧0.7〜0.77V、短絡電流300mA/cm〜600mA/cmといずれも低性能であった。

Claims (8)

  1. 一般式(1)により示される樹脂と、非白金系炭素系触媒材料とを含んでなる燃料電池用触媒ペースト組成物。
    一般式(1)


    [Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、または置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、または一般式(2)で示される基であり、Rは、炭素数1〜3のアルキル基であり、
    l=0.0〜99.8mol%
    m=0.1〜99.9mol%
    n=0.1〜30.5mol%
    o=0.0〜75.5mol%
    l+m+n+o=100mol%である。]

    一般式(2)

    [Rは、各々置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
    は、置換基を有していてもよい(α+1)価の連結基を表し、
    αは、1〜3の整数を表す。]
  2. 前記樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂(a)またはポリビニルアセタール樹脂(b)と、一般式(3)または一般式(4)により示される化合物とを反応させてなることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用触媒ペースト組成物。
    一般式(3)

    [Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。]
    一般式(4)

    [Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
    は、置換基を有していてもよい(α+1)価の連結基を表す。
    αは1〜3の整数を表す。]
  3. 前記樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂(a)またはポリビニルアセタール樹脂(b)と、一般式(3)により示される化合物とを反応させてなることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用触媒ペースト組成物。
    一般式(3)

    [Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。]
  4. 前記樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂(b)と、一般式(3)により示される化合物とを反応させてなることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の燃料電池用触媒ペースト組成物。
    一般式(3)

    [Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。]
  5. 請求項1〜4記載の燃料電池用触媒ペースト組成物と、プロトン伝導性ポリマーもしくは撥水性材料の少なくとも一方とを含んでなる燃料電池用触媒インキ組成物。
  6. 請求項5記載の燃料電池用触媒インキ組成物から形成されてなる燃料電池用触媒層もしくは燃料電池用撥水層。
  7. 固体高分子電解質膜と、請求項6記載の燃料電池用触媒層もしくは燃料電池用撥水層のうち少なくとも一方と、ガス拡散層とを具備してなる燃料電池用電極膜接合体。
  8. 請求項7に記載の燃料電池用電極膜接合体を具備してなる燃料電池。
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