JP2014214858A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014214858A
JP2014214858A JP2013095118A JP2013095118A JP2014214858A JP 2014214858 A JP2014214858 A JP 2014214858A JP 2013095118 A JP2013095118 A JP 2013095118A JP 2013095118 A JP2013095118 A JP 2013095118A JP 2014214858 A JP2014214858 A JP 2014214858A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluid
fine particles
liquid chamber
main liquid
inorganic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013095118A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6148898B2 (ja
Inventor
英亮 浅野
Hideaki Asano
英亮 浅野
知宏 金谷
Tomohiro Kanetani
知宏 金谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2013095118A priority Critical patent/JP6148898B2/ja
Publication of JP2014214858A publication Critical patent/JP2014214858A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6148898B2 publication Critical patent/JP6148898B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16FSPRINGS; SHOCK-ABSORBERS; MEANS FOR DAMPING VIBRATION
    • F16F13/00Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)

Abstract

【課題】衝撃的荷重等の入力に伴って発生するキャビテーションに起因する異音に対して簡便且つ効果的な解決策を提供する。【解決手段】振動入力時に本体ゴム弾性体16の変形に基づいて圧力変動が惹起される主液室38と、振動入力時に該主液室38との間で相対的な圧力変動が生ぜしめられる副液室40と、それら主液室38および副液室40に封入された非圧縮性流体のかかる両液室38,40間での流動を許容するオリフィス通路42とを、備えた流体封入式防振装置10において、前記主液室38に封入された前記封入流体には、気泡核を与えて該主液室38が減圧された際に気泡を分散化させる、親水性無機微粒子を親油性化合物で表面改質した無機改質微粒子46が混入されている。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車のエンジンマウント等に用いられる流体封入式防振装置に係り、特に衝撃的荷重等の入力に伴って発生するキャビテーションに起因する異音に対して効果的で且つ簡便な解決策を提供することができる技術に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体や防振支持体の如き防振装置の一種として、内部に封入された流体の流動作用に基づいた防振効果を利用する流体封入式防振装置が知られている。かかる流体封入式防振装置は、例えば特開2005−337348号公報(特許文献1)に記載されているように、振動入力時に本体ゴム弾性体の変形に基づいて圧力変動が惹起される主液室と、振動入力時に該主液室との間で相対的な圧力変動が生ぜしめられる副液室とが、オリフィス通路で連通された構造とされる。そして、振動入力時に相対的な圧力変動が惹起される主液室と副液室との間でオリフィス通路を通じて流動せしめられる非圧縮性封入流体の流動作用に基づいて防振効果が発揮されるようになっている。
ところで、このような流体封入式防振装置では、衝撃的荷重の入力時に発生する異音や振動が問題になる場合がある。かかる異音等は、衝撃的荷重の入力で主液室の圧力が急激に低下して発生するキャビテーション気泡に起因すると考えられる。
このような問題に対して、特許4265613号公報(特許文献2)に記載されているように、主液室と副液室との間にリリーフバルブ等を備えた短絡流路を設けて、主液室における過大な負圧を速やかに解消させる構造も提案されている。
しかしながら、リリーフバルブや短絡流路などを特別に形成する必要があり、部材点数の増加や構造の複雑化が避けられないという問題があった。
また、再表2009/154222号公報(特許文献3)には、エチレングリコール等の封入流体中にシリコーンオイル等の高蒸気圧(低沸点)の液体を少量添加することによりキャビテーションを抑える技術が開示されている。
ところが、高蒸気圧の液体が比較的低い温度環境下で沸騰してしまうことから、防振装置の使用環境が制限されてしまうという問題があった。特に、内燃機関を有していたり、直射日光下で利用されることが多い自動車用の防振装置としては、決して望ましくなく、例えば自動車用エンジンマウントへの適用は、エンジンルームが高温になり易いことから難しかった。
特開2005−337348号公報 特許4265613号公報 再表2009/154222号公報
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、衝撃的荷重等の入力に伴って発生するキャビテーションに起因する異音に対して簡便且つ効果的な解決策を提供することにある。
すなわち、本発明の第1の態様は、振動入力時に本体ゴム弾性体の変形に基づいて圧力変動が惹起される主液室と、振動入力時に該主液室との間で相対的な圧力変動が生ぜしめられる副液室と、それら主液室および副液室に封入された非圧縮性流体のかかる両液室間での流動を許容するオリフィス通路とを、備えた流体封入式防振装置において、前記主液室に封入された前記封入流体には、気泡核を与えて該主液室が減圧された際に気泡を分散状態で発生させる、親水性無機微粒子を親油性化合物で表面改質した無機改質微粒子が混入されていることを、特徴とする。
このような第1の態様に従う構造とされた流体封入式防振装置によれば、封入流体中に混入された微粒子が気泡核を与えることで封入流体からの気体の遊離が発生し易くなるのであり、それ故、衝撃的荷重の入力により主液室の圧力が大きく低下すると、所謂キャビテーションといわれる封入液の沸騰現象によって大きな気泡が成長する前に、混入された多数の微粒子により与えられた気泡核を中心として多数の気泡発生が促進される。このため、かかる多数の気泡が主液室における負圧の吸収軽減作用を発揮することとなり、主液室における著しい圧力低下が回避されることにより、キャビテーションによる大きな気泡の発生が防止されて、巨大気泡の消滅の際に発生する異音や振動が効果的に抑えられるのである。
このような本発明によって発揮される効果は、後述する実施例の試験結果からも明らかなところであるが、技術思想として、本願発明は、気泡の消滅時に大きな圧力波を生ずるキャビテーションを防止するために、キャビテーションの直接の原因となる液体中での気体の遊離を抑えるのではなく、逆転の発想をもって、液体中で気体が遊離し易くしたことに大きな特徴を有する。即ち、一般に水ではごく短時間だけ大気圧の1/50程度の飽和蒸気圧よりも低くなった際に発生するとされる気体の遊離現象も、核となる気泡核の存在がなければ発生し難いことが知られている。本発明では、気体の遊離現象を抑えるために気泡核の存在を防止するのではなく、反対に、微粒子を液中に混入することで気泡核を与えて気泡の分散発生を促進したのであり、飽和蒸気圧よりも高い圧力下で気泡を発生させることにより、更なる圧力低下を抑えて、気泡の消滅時に大きい衝撃波を発生させる程のキャビテーションを回避することを可能と為し得たのである。
特に本発明では、流体中に存在する微粒子により、主液室内の広い領域に分散して気泡核が与えられることとなり、その結果、衝撃的荷重の入力に際して、主液室内の広い領域に分散して気泡が発生する。それ故、発生する気泡が極めて小さく分散されることとなり、それが消失する際に発生する衝撃を、大きな気泡に比して極めて小さなエネルギーとすることに加えて、更に一層小さく抑えることができるのである。
また、本発明では、気泡核を与えて気体の分散発生を促進する微粒子として親水性無機微粒子の表面に親油性が付与された無機改質微粒子が採用されている。それ故、例えば封入流体として極性を有するものを採用する場合、かかる無機改質微粒子が封入流体に対して不溶性を示すことから、封入流体そのものの特性が大きく変化してしまうことがなく、流体封入式防振装置の使用環境に関して温度等の条件が大幅に制限されることもない。
しかも、本発明は、封入流体に対して上記の如き無機改質微粒子を混入することにより実現可能とされ得ることから、主液室や副液室、オリフィス通路などの基本的構造に変更を加えることなく、キャビテーションに起因する異音等を低減することが可能になる。
なお、本発明において主液室等に封入される非圧縮性流体は、溶存ガスの存在を問うものでない。即ち、封入流体とされる液の調製過程や注入工程などにおいて外気に晒されることで空気や水分等が液中に溶存していても良いし、そのような溶存ガスが存在していない純度の高い液体であっても良い。また、液中に積極的にガスを溶存させたものを封入流体として採用することも可能であり、それによって、本発明の微粒子によるエアレーション気泡の分散発生の促進効果を調節することもできる。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記親水性無機微粒子が、シリカを含んで構成されているものである。
第2の態様によれば、封入流体として水または水に近い比重の液体を採用する場合に適切な浮力を無機改質微粒子に与えることができると共に、親水性無機微粒子としてのシリカは、例えば市販されているものを採用することも可能であることから、本発明が容易に実現可能とされる。
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記無機改質微粒子が、シリカで構成された前記親水性無機微粒子の表面に前記親油性化合物としてのポリジメチルシロキサンを吸着させて表面改質されたものである。
本態様では、親水性無機微粒子としてシリカを用いて、目的とする気泡核を与える無機改質微粒子がより効率的に実現され得る。なお、親水性無機微粒子としては、沈殿法シリカが好適に採用される。また、表面改質の方法としては乾式法が好適に採用される。
本発明の第4の態様では、第1〜3の何れかの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記無機改質微粒子が、少なくとも振動入力時において前記主液室内の前記封入流体中で浮遊状態とされるものである。
第4の態様によれば、振動入力時に、気泡核を与える不溶性の微粒子が主液室内の広い領域において一層効率的に分散位置せしめられることにより、主液室内に発生する気体の更なる分散や縮小が図られ得る。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記無機改質微粒子が、前記封入流体を基準として1より大きな比重を有しており、且つ、表面改質状態に基づいて該封入流体中では静置状態でも沈殿せずに浮上しているものがあるものである。
第5の態様によれば、比重が封入流体よりも大きい微粒子の表面への親油性付与の程度により、封入流体中での微粒子の浮上の程度を一層広い範囲で調節して分散の程度などを適宜に設定することが可能になる。
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記無機改質微粒子が、前記封入流体に対して0.005重量%以上で混入されているものである。
第6の態様によれば、後述する実施例の試験結果からも明らかなように、微粒子の混入によるキャビテーション異音等の防止という、本発明の技術的効果を一層有効に得ることが可能である。
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記無機改質微粒子が、前記封入流体に対して100重量部以下で混入されているものである。
第7の態様によれば、微粒子の混入による封入流体の流動性等への悪影響が可及的に回避され得る。
本発明の第8の態様は、第1〜7の何れかの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記無機改質微粒子が、0.1〜200μmの体積平均粒子径を有しているものである。
第8の態様によれば、微粒子の混入による封入流体の流動性等への悪影響を可及的に回避しつつ、微粒子の表面積を効率的に確保すると共に、微粒子の封入流体中での分散性を効果的に確保して、気泡核の付与による気泡の分散発生促進という微粒子の混入効果を一層有利に得ることができる。
本発明の第9の態様は、第1〜8の何れかの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記無機改質微粒子の表面における対水接触角が90度以上であるものである。
本態様では、例えば封入流体が極性を有する場合には、気泡が表れる微粒子における親油性部分の表面において、対水接触角が90度以上とされた低接着エネルギー面が設けられることとなる。それ故、かかる低接着エネルギー面に現出した気泡の、低接着エネルギー面上での拡張や他の気泡との結合による大型化が防止されて、レンズ状や球状に近い形を有する小さい気泡状態に一層維持され易くなり、小さい多数の気泡の発生を促進することによる前述の如きキャビテーションによる大きな気泡の消滅時に発生する衝撃波によって生じる異音等の防止効果の更なる向上が図られ得る。
本発明によれば、封入流体中に存在する不溶性の粉体が気泡核を与えることで、振動入力に際して主液室が減圧された際に小さな気泡が分散発生し易くなり、かかる気泡による負圧の吸収軽減作用が発揮されて、キャビテーションに起因する異音や振動が効果的に抑えられる。特に、流体封入式防振装置を構成する各部品の構造を大幅に変更せずとも、キャビテーション異音に対する対策が、容易に且つ効率的に実現可能となる。
本発明の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図。 図1に示されたエンジンマウントについて、その防振特性を測定するのに用いた試験装置を説明するための説明図。 図2に示された試験装置を用いて図1に示された構造の本発明品について測定した防振特性の結果としての振動入力時の主液室圧力を、比較例の測定結果とともに表すグラフ。 図2に示された試験装置を用いて図1に示された構造の本発明品について測定した防振特性の結果としての振動入力時の伝達荷重を、比較例の測定結果とともに表すグラフ。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1には、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置の第一の実施形態として、自動車用のエンジンマウント10が示されている。エンジンマウント10は、第一の取付部材12と第二の取付部材14が本体ゴム弾性体16によって弾性連結された構造を有している。そして、第一の取付部材12と第二の取付部材14との一方がパワーユニット側に取り付けられると共に他方が車両ボデーに取り付けられることにより、自動車において車両ボデーに対してパワーユニットを防振支持するようになっている。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として図1中の上下方向であってエンジンマウント10の中心軸である弾性主軸が延びる方向をいう。
より詳細には、第一の取付部材12は、上下方向に延びる円形短柱形状を有しており、軸方向下端部分が下方に向かって小径化された逆円錐台形状とされている。また、第一の取付部材12の中心軸上には、上端面に開口する固定ボルト穴18が設けられており、この固定ボルト穴18に螺着される固定ボルトによって第一の取付部材12がパワーユニットに固着されるようになっている。
第二の取付部材14は、上下方向に延びる大径の略円筒形状を有しており、例えば図示しない取付ブラケットを介して、車両ボデーに固着されるようになっている。また、第二の取付部材14には、上側の開口周縁部において外周側へ広がるフランジ状部20が設けられていると共に、下側の開口周縁部において内周側へ突出する環状係止部22が設けられている。
そして、第二の取付部材14の軸方向上方に離隔して、第一の取付部材12が、略同一中心軸上に配置されている。
また、本体ゴム弾性体16は、略円錐台形状を有しており、小径側端部の中央部分に対して第一の取付部材12が埋入状態で固着されている一方、大径側端部の外周面に対して第二の取付部材14の上端部分の内周面とフランジ状部20の上面とが固着されている。これにより、第一の取付部材12と第二の取付部材14とが本体ゴム弾性体16で弾性的に連結されている。
なお、本体ゴム弾性体16は、金属等の剛性材で形成された第一及び第二の取付部材12,14を有する一体加硫成形品とされている。また、本体ゴム弾性体16には、大径側端面に開口する逆向き略すり鉢状の中央凹所24が形成されている。更に、第二の取付部材14の内周面には、略全面を覆うシールゴム層26が、本体ゴム弾性体16における中央凹所24の開口周縁部から軸方向下方に延び出すようにして本体ゴム弾性体16と一体形成されている。
また、第二の取付部材14の下側の開口部分には、薄肉ゴム膜等からなる可撓性膜28が配設されている。可撓性膜28の外周面にはリング形状の嵌着金具30が加硫接着されており、この嵌着金具30が第二の取付部材14の下側開口部分に嵌着固定されることにより、第二の取付部材14の下側開口が可撓性膜28で流体密に封止されている。なお、嵌着金具30は、環状係止部22で係止されることにより、第二の取付部材14からの抜け出しが阻止されている。
これにより、第二の取付部材14の内部には、本体ゴム弾性体16と可撓性膜28との対向面間において、外部空間に対して密閉されて非圧縮性の封入流体が充填された液封領域が画成されている。なお、封入流体としては、流体の流動作用に基づいて防振効果を発揮し得るものであれば良いが、取り扱いに際しての作業性等を考慮すると親水性の液体が好適である。一般には、水の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール等が好適に採用され、特に0.1Pa・s以下の低粘性流体が望ましい。
このような封入流体が充填された液封領域には、仕切部材32が収容配置されている。仕切部材32は、金属や樹脂等からなる硬質の部材であって、厚肉の略円板形状の仕切部材本体34に対して、略同一平面形状を有する薄肉の蓋板36が重ね合わされて構成されている。
そして、仕切部材32は、第二の取付部材14に対して嵌め込まれて軸方向中間部分で軸直角方向に広がる状態で組み付けられており、仕切部材32の外周面が、第二の取付部材14の内周面に対してシールゴム層26を介して嵌着固定されている。なお、シールゴム層26の軸方向中間部分に設けられた段差と嵌着金具30との間で仕切部材32が挟まれることにより、仕切部材32が第二の取付部材14に対して軸方向で位置決めされている。
これにより、液封領域が、仕切部材32によって上下両側に仕切られており、仕切部材32の上方には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて圧力変動が惹起される主液室38が形成されている。また、仕切部材32の下方には、壁部の一部が可撓性膜28で構成されて、容積変化が容易に許容されることで圧力変動が回避されて略大気圧に保たれる副液室40が形成されている。そして、主液室38の圧力変動によって、主液室38と副液室40の間で相対的な圧力変動が生じるようになっている。
また、仕切部材32には、外周部分を周方向に所定長さで延びるオリフィス通路42が形成されており、主液室38と副液室40の間で、オリフィス通路42を通じての流体流動が許容されるようになっている。なお、本実施形態では、仕切部材本体34の外周部分を上方に開口して周方向に一周弱の長さで延びる上溝44が、蓋板36で覆蓋されることにより、周方向の各一方の端部が主液室38と副液室40に対して連通されたオリフィス通路42が形成されている。
そして、振動入力時に主液室38と副液室40との間に惹起される相対的な圧力変動に基づいてオリフィス通路42を通じての流体流動が生ぜしめられるようになっており、かかる流体の共振作用に基づいて、オリフィス通路42が予めチューニングされた所定周波数域の振動に対して防振効果が発揮されることとなる。
さらに、かかる主液室38や副液室40に充填された封入流体には、無機改質微粒子としての粒体46が混入されている。この無機改質微粒子46は、親水性無機微粒子の表面における性質を親油性化合物により改質されており、本実施形態では、親水性無機微粒子の表面に親油性が付与されて、両親媒性を示す無機界面活性微粒子とされている。また、本実施形態では、封入流体として前述の如き極性(親水性)を有する非圧縮性流体が採用されており、それ故に、粒体46の親水性を示す部分が封入流体に対して高い親和性を示す一方、粒体46における親油性を示す部分の表面は封入流体に対して物質界面を形成している。これにより、粒体46は、大きな衝撃的荷重の入力等によって主液室38の圧力が大きく低下した際に、封入流体との物質界面である親油性部分表面において、封入流体中で気泡核を与えて気泡の分散発生を促すように作用する。
ここにおいて、親水性無機微粒子とは、無機微粒子の表面が親水性、例えば蒸留水に対して濡れる性質を有するものである。なお、無機微粒子の表面が親水性を有するか否かは、例えば、無機微粒子と25±3℃の蒸留水とを混合した場合に、この無機微粒子が容易に水中に分散するか否かで目視確認できる。
かかる親水性無機微粒子としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)を含んで構成された微粒子が好適に採用され得る。その他、火炎により焼成されたアルミナ等が採用され得る。
このシリカとしては、結晶性シリカ(石英、珪砂および珪石等)および非晶質シリカ(珪藻土および酸性白土等)からなる天然シリカや、非晶質合成シリカおよび結晶性合成シリカ(人工水晶および人工石英等)からなる合成シリカ等が含まれる。また、この非晶質合成シリカには、例えば、沈殿法シリカ、ゲル法シリカ、熱分解法シリカ、溶融法シリカ等が含まれる。
本明細書においては、公知技術である上記非晶質合成シリカの合成法の詳細な説明は省略するが、簡単に説明すると、沈殿法シリカはアルカリ性環境下においてケイ酸ナトリウムを酸で中和して、生じた析出物をろ過、乾燥することによって得られるシリカである。また、ゲル法シリカは、酸性環境下においてケイ酸ナトリウムを酸で中和して、生じた析出物をろ過、乾燥することによって得られるシリカである。更に、熱分解法シリカは、四塩化珪素等の珪素化合物を酸水素炎中で燃焼させて得られるシリカである。更にまた、溶融法シリカは、シリカ粉末を火炎中で溶融、球状化して得られるシリカである。
これらのうち、親水性無機微粒子としては、非晶質合成シリカ(沈殿法シリカ、ゲル法シリカ、熱分解法シリカ、溶融法シリカ等)や火炎燃焼法によるアルミナが好ましく、そのうち更に好ましくは非晶質合成シリカである。また、そのうち特に好ましくは沈殿法シリカ、ゲル法シリカ、熱分解法シリカであり、最も好ましくは沈殿法シリカである。
なお、かかるシリカで構成される親水性無機微粒子は市場から容易に入手できることができて、特に合成シリカは工業的に大量生産が可能であることから、本発明が容易に実現可能とされる。以下に、市場で入手可能な商品名を例示する。
天然シリカとしては、水沢化学工業株式会社製「ミズカエース」シリーズ等が挙げられる。
結晶性合成シリカとしては、株式会社龍森製「CRYSTALITE(登録商標)」シリーズや、UNIMIN社製「Imsil(登録商標)」シリーズ等が挙げられる。
沈殿法シリカとしては、東ソー・シリカ株式会社製「Nipsil(登録商標)」シリーズや、エボニック デグサ ジャパン株式会社製「Sipernat(登録商標)」シリーズ、DSL.ジャパン株式会社製「Carplex(登録商標)」シリーズ、株式会社トクヤマ製「FINESIL(登録商標)」シリーズ、「TOKUSIL(登録商標)」、ローディア社製「Zeosil(登録商標)」、水沢化学工業株式会社製「MIZUKASIL(登録商標)」シリーズ等が挙げられる。
ゲル法シリカとしては、DSL.ジャパン株式会社製「Carplex(登録商標)」シリーズや、富士シリシア株式会社製「SYLYSIA(登録商標)」シリーズ、東ソー・シリカ株式会社製「Nipgel(登録商標)」シリーズ、水沢化学工業株式会社製「MIZUKASIL(登録商標)」シリーズ等が挙げられる。
熱分解法シリカとしては、日本アエロジル株式会社およびエボニック デグサ社製「Aerosil(登録商標)」シリーズや、株式会社トクヤマ製「Reorosil(登録商標)」シリーズ、キャボットコーポレーション製「Cab−O−Sil(登録商標)」シリーズ等が挙げられる。
溶融法シリカとしては、アドマテックス社製「Admafine(登録商標)」シリーズや、株式会社龍森製「Fuselex」シリーズ、電気化学工業株式会社製「デンカ溶融シリカ」シリーズ等が挙げられる。
これらのような親水性無機微粒子の表面を改質するのに用いられる親油性化合物としてはシリコーン化合物が好ましく、かかるシリコーン化合物のうち、更に好ましくは、動粘度が10〜3000(mm2 /s,25℃)のジメチルシロキサンおよび、このジメチルシロキサンを変性したアルキル基変性ポリジメチルシロキサン等が採用される。
親油性化合物としては、上記の他に、公知のカップリング剤(シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤)等も採用され得る。
これらのような親油性化合物による親水性無機微粒子の表面改質には、公知の方法が適用され得て、例えば乾式法が適用される。この乾式法による表面改質は、親水性無機微粒子と親油性化合物との混合物を撹拌機で撹拌しながら、親油性化合物を親水性無機微粒子表面に吸着させることにより実現され得る。
かかる乾式法による表面改質において、親油性化合物を親水性無機微粒子表面に吸着または反応させる方法としては、(1)親水性無機微粒子の表面にある官能基と親油性化合物の有する官能基とを縮合反応させる方法、(2)親水性無機微粒子のもつ細孔へ親油性化合物を物理吸着させる方法、(3)親水性無機微粒子の表面電荷と親油性化合物のイオン性官能基とを電気的に吸着させる方法等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、(2)親水性無機微粒子のもつ細孔へ親油性化合物を物理吸着させる方法が採用され得る。
なお、上記乾式法による表面改質において、親油性化合物の親水性無機微粒子表面への吸着または反応は加熱下で行われても良く、加熱温度としては100〜400(℃)が好ましい。
また、親油性化合物と親水性無機微粒子の表面との反応は、反応触媒の存在下で行われても良く、かかる反応触媒としては、硫酸、硝酸、塩酸、ヒドロキシ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−ニトロ安息香酸、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が採用され得る。
さらに、親油性化合物による親水性無機微粒子の表面改質において、親油性化合物の使用量としては、親水性無機微粒子の重量に対して2〜80(重量%)であることが好ましい。蓋し、2重量%より少ないと、表面改質効果が十分に得られないおそれがあるからである。一方、80重量%より多いと、所望される以上に親水性無機微粒子の表面が親油性に改質されるおそれや、親水性無機微粒子に対して親油性化合物が略飽和状態となることから、必要以上のコストがかかるおそれがあるからである。
ここにおいて、上記の如き手法で生成された無機改質微粒子のメタノール湿潤性(M値)は、30〜90とされることが好ましい。なお、M値は親油性の程度を表す概念であり、M値が高いほど親水性が低いことを示している。そして、かかるM値として上記範囲が好ましい理由としては、M値が30より小さいと親油性が低すぎて、換言すると無機改質微粒子における親油性部分の割合が少なすぎて、低接着エネルギー面が十分に確保されず、キャビテーションに起因する異音防止効果が十分に発揮されないおそれがあるからである。一方、M値が90より大きいと親油性が高すぎて、換言すると親水性が低すぎて、封入流体中の無機改質微粒子の分散性が十分に確保されないおそれがあるからである。
なお、M値は水−メタノール混合溶液に無機改質微粒子を均一分散させる際における必要最低量のメタノールの容量割合で表されるものであり、以下の方法で算出される。先ず、無機改質微粒子0.2gを容量250mLのビーカーに加えた50mLの水に添加して、続いて、かかる無機改質微粒子の全量が懸濁するまでビュレットからメタノールを滴下する。この際、ビーカー内の溶液をマグネティックスターラーで常時撹拌して、無機改質微粒子の全量が溶液中において均一に懸濁された時点を終点とする。かかる終点において、ビーカー中の液体混合物におけるメタノール百分率がM値として算出される。なお、これらの懸濁状態は、例えば目視により判断され得る。
さらに、親水性無機微粒子の体積平均粒子径αは、0.1≦α<200(μm)であることが好ましい。蓋し、体積平均粒子径αが0.1(μm)より小さいと、親水性無機微粒子を含んで構成される無機改質微粒子において、親水性部分または親油性部分、或いはその両方における表面積が十分に確保されず、所望する効果が十分に発揮されないおそれがあるからである。一方、体積平均粒子径αが200(μm)より大きいと、親水性無機微粒子を含んで構成される無機改質微粒子が、例えばオリフィス通路42を通じた封入流体の流動やそれによって発揮される防振性能等に悪影響を与えるおそれがあるからである。
なお、親水性無機微粒子の体積平均粒子径αは、以下のように算出される。まず、親水性無機微粒子を1重量%の濃度となるようにイオン交換水に分散した分散液を調整する。そして、25℃の電気伝導度が0.1mS/m以下の脱イオン水1000重量部(対親水性無機微粒子)に対して、親水性無機微粒子の濃度が0.1重量%となるように上記分散液を添加して、測定分散液を調整する。その後、JIS Z8825−1に準拠したレーザー回折式粒度分析計(例えば、Leeds&Northrup社製Microtracシリーズや、株式会社堀場製作所製ParticaLAシリーズ等)を用いて、測定温度25±5℃で上記測定分散液を測定する。かかる測定後、水の屈折率として1.333を、親水性無機微粒子の屈折率として文献値「A GUIDE FOR ENTERING MICROTRAC “RUN INFORMATION”(F3)DATA」(Leeds&Northrup社作成)を用いて、親水性無機微粒子の体積平均粒子径αとして、50%積算体積平均粒子径を算出する。
また、無機改質微粒子46の体積平均粒子径βは、0.1<β≦200(μm)であることが好ましい。蓋し、体積平均粒子径βが0.1(μm)より小さいと、親水性部分または親油性部分、或いはその両方における表面積が十分に確保されず、所望する効果が十分に発揮されないおそれがあるからである。一方、体積平均粒子径βが200(μm)より大きいと、例えばオリフィス通路42を通じた封入流体の流動やそれによって発揮される防振性能等に悪影響を与えるおそれがあるからである。
なお、無機改質微粒子のメタノール湿潤性(M値)が50未満の場合、無機改質微粒子の体積平均粒子径βは、以下のように算出される。まず、純度99重量%以上の2−プロパノール1000重量部に対して、無機改質微粒子の濃度が0.1重量%となるように該微粒子を添加して、測定分散液を調整する。その後、親水性無機微粒子の体積平均粒子径αの算出時と同様の算出方法により、無機改質微粒子の体積平均粒子径βとして、50%積算体積平均粒子径が算出される。なお、本算出においては、水の屈折率1.333の代わりに、2−プロパノールの屈折率1.3749が用いられる。
また、無機改質微粒子のメタノール湿潤性(M値)が50以上の場合は、無機改質微粒子の体積平均粒子径βは、以下のように算出される。まず、純度96重量%以上のn−ヘキサン1000重量部に対して、無機改質微粒子の濃度が0.1重量%となるように該微粒子を添加して、測定分散液を調整する。その後、親水性無機微粒子の体積平均粒子径αの算出時と同様の算出方法により、無機改質微粒子の体積平均粒子径βとして、50%積算体積平均粒子径が算出される。なお、本算出においては、水の屈折率1.333の代わりに、n−ヘキサンの屈折率1.3749が用いられる。
このような粒体46は、主液室38内に僅かでも存在していれば、前述の如き気泡の分散発生の促進効果を発揮し得るものであり、混入量の下限値を限定されるものでないが、実用的な効果を得るには、封入流体に対して0.005重量%以上で混入されることが望ましい。
一方、粒体46の混入量を多くしても、粒径が小さく封入流体の流動性に大きな影響を与えるものでないが、各部材への接触による磨耗や流体流動性への悪影響等を考慮すると、封入流体に対して100重量部以下で混入されることが望ましい。
更にまた、前述の如き気泡の分散発生の促進効果を有利に得るためには、主液室38内で粒体46の全てが沈下した状態が維持されることは望ましくない。即ち、少なくとも振動入力時において、主液室38中で浮遊状態の粒体46が存在しているようにされるのが好適である。
かかる粒体46の浮遊状態の実現は、粒体46の質量(封入流体に対する比重)だけでなく、粒体46の表面性状を調節することによって為され得る。例えば、親水性の封入流体を採用する場合には、粒体46の表面における親油性のレベルを調節することにより、封入流体中での粒体46の浮力を変更設定することも可能である。特に、封入流体を基準として1より大きな比重を有する粒体46を採用して、且つ、表面改質に基づく親油性を調節することにより、静置状態におけるエンジンマウント10でも、封入流体中で沈殿せずに浮上しているものがある粒体46が実現可能である。かかる封入流体中での浮遊の程度は、粒体46表面の親油性を調節することにより設定可能であり、広い範囲に亘る設定が可能である。そして、例えば表面改質に基づいて浮力を異ならせた複数種類の粒体を封入流体中に混入することも可能である。
上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、車両への装着状態下で第一の取付部材12と第二の取付部材14との間に主として上下方向の振動が入力されることとなるが、通常走行に伴う程度の入力振動であれば、主液室38と副液室40の間でのオリフィス通路38を通じての流体流動作用等に基づいて有効な防振効果が発揮され得る。
一方、車両の段差通過等に際して衝撃的荷重がエンジンマウント10に入力されると、主液室38に過大な圧力変化が急激に発生し、それに起因するキャビテーションによる異音等が問題になり易い。ここにおいて、本実施形態のエンジンマウント10では、封入流体に前述の如き粒体46が混入されていることから、キャビテーションによる大きな気泡を発生させる前に小さな多数の気泡が分散して現出せしめられる。
そして、この分散して現出した気泡により主液室38の圧力変化量が吸収されて緩和されることから、主液室38の著しい圧力低下が軽減されることとなり、その結果、キャビテーションによる巨大な気泡の発生が防止され、ひいてはキャビテーションに起因すると解される異音や振動の低減効果が発揮されることとなる。
特に本実施形態のエンジンマウント10では、親水性の封入流体と組み合わせて表面に親油性を有する粒体46が採用されることにより、主液室38内に分散状態で存在する各粒体46の表面において対水接触角の大きい低接着エネルギー面が形成されており、この低接着エネルギー面上に現出した気泡が小さな状態で一層効果的に維持されて、主液室38の圧力変化の緩和によるキャビテーション防止効果が一層安定して発揮されるのである。
しかも、本実施形態のエンジンマウント10では、低接着エネルギー面からなる粒体46における親油性部分の表面上に現出した気泡について、その対水接触角が90度以上となるように親油性を付与された粒体46が採用され得る。これにより、粒体46の表面上に現出した気泡が、レンズ状又は球状に近い形へ一層安定して維持され得て、粒体46の表面上で扁平な拡張形状に広がったり、それに伴って他の気泡と合体して大きくなるようなことが、より効果的に防止されることとなる。その結果、発生した気泡が、主液室38の圧力変動に際しても消失し難く、小さなままで安定して維持され易くなり、主液室38の圧力変化の緩和によるキャビテーションによる巨大な気泡生成の防止効果がより一層安定して有効に発揮されるのである。
また、本実施形態では、粒体46が両親媒性を有しており、例えば封入流体が極性を示す場合には、粒体46の親水性を示す部分により、封入流体中において粒体46が効果的に分散され得る。一方、粒体46の親油性を示す部分の表面には、封入流体に対して接触角の大きい低接着エネルギー面が形成される。即ち、粒体46が両親媒性を有することにより、かかる粒体46の封入流体中における分散性の向上効果とキャビテーションに起因する異音防止効果の両立が図られている。更に、封入流体が極性或いは非極性を示すに拘らず、同様の効果が発揮されることから、封入流体の選択、ひいてはエンジンマウント10の設計の自由度が向上され得る。
なお、上述の如き粒体46による気泡の分散発生促進作用に基づくキャビテーションによる巨大な気泡生成の防止効果は、振動入力時の減圧で気泡が発生する主液室38内での作用に基づいて発揮されるものである。それ故、少なくとも主液室38の封入流体に粒体46が混入されていれば足りる。尤も、本実施形態では、主液室38と副液室40が、粒体46に比して十分に大きな流路断面積を有するオリフィス通路42で連通されており、両室38,40間での流体流動が許容されていることから、主液室38および副液室40を含む液封領域の全体に分散して粒体46が混入されている。特に、図1中の上下方向がマウント装着状態で略上下方向とされて、かかる装着状態で主液室38が副液室40の上方に位置せしめられる場合には、静置状態でも浮遊または浮上して沈下しない粒体46を採用することが望ましく、それによって、主液室38内における粒体46の存在が一層安定して確保され得る。
[実施例]
本発明の効果を確認するために、上述の実施形態に従う構造とされた粒体および該粒体を封入流体中に混入したエンジンマウントを製作した。以下の[表1]に示されているように、粒体の製作においては、親水性無機微粒子の体積平均粒子径αが異なる3種類の沈殿法シリカA,B,Cを用意した。そして、それぞれに対して親油性化合物を用いて乾式法により親水性無機微粒子の表面改質を実施することにより、以下の[表2]に示されている無機改質微粒子A’,B’,C’を製作した。以下に本実施例における乾式法の具体的な手順を示す。
まず、それぞれの親水性無機微粒子100部に対して、[表1]に記載の量の親油性化合物を加えて、それぞれをヒーター付きヘンシェルミキサーに入れた。なお、本実施例では、親油性化合物として、25℃での動粘度が50mm2 /sのポリジメチルシロキサンを採用した。そして、それぞれについて、2000rpmでの高速回転を15分間行い、均一に撹拌、混合した。次いで、かかる撹拌を継続しながらヒーターでヘンシェルミキサーを加熱して、230℃にて3時間加熱乾燥処理を行って、無機改質微粒子A’,B’,C’を得た。
さらに、これらの無機改質微粒子A’,B’,C’を封入流体中に混入したエンジンマウントを製作して、かかるエンジンマウントを図2に示されている如き試験装置48にセットして防振特性を実測した。得られた試験結果を、下記[表3]に示す。試験対象であるエンジンマウントでは、以下の[表3]に示されているように、何れもエチレングリコールとプロピレングリコールの混合液を封入流体として採用した。また、実施例1〜5では、粒体として無機改質微粒子C’を、実施例6では無機改質微粒子B’を、実施例7では無機改質微粒子A’を採用した。なお、比較例1としては、粒体を加えていないエンジンマウントを採用して試験を行った。
また、採用した試験装置48は、ベース部材50と加振具52との間にエンジンマウント10をセットして、エンジンマウント10を介して加振具52からベース部材50に伝達される伝達荷重を荷重センサ54で検出するものである。なお、荷重センサ54による検出信号は、ハイパスフィルタ(500Hz)を通して処理することにより、対象振動数域の振動荷重を検出した。また、かかる実験に際しては、主液室内に圧力センサを設置して、加振具52の加振変位に対する伝達荷重の変化と併せて主液室内の圧力変化も実測した。
このような試験によって得られた結果を、[表3]に示すと共に、[表3]中の実施例4と比較例1における測定結果を図3,4に併せ示す。
これらの測定結果から、本発明に従って微粒子を混入させた封入流体を用いることにより、過大な振動荷重の入力時における主液室の圧力低下を軽減することが出来て、衝撃荷重による異音等の発生が抑えられることがわかる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明は上述の解決手段や実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜に修正,改良などを加えた態様で実施され得る。
なお、本発明における無機改質微粒子は、親水性無機微粒子の表面の少なくとも一部が親油性化合物により改質されていれば良い。即ち、例えば、親水性無機微粒子表面の全面に亘って親油性化合物により改質されて、無機改質微粒子が親油性のみを示すようにされても良い。かかる場合には、極性を有する封入流体が好適に採用されて、無機改質微粒子における親油性部分の表面に低接着エネルギー面が形成されることから、前記実施形態と同様に、キャビテーションに起因する異音防止効果が発揮される。
あるいは、親水性無機微粒子表面の僅かな部分が親油性化合物により改質されて、無機改質微粒子が略親水性のみを示すようにされても良い。かかる場合には、極性を有さない封入流体が好適に採用されて、更に、無機改質微粒子における親水性部分の表面に対油接触角が90度以上とされる低接着エネルギー面が形成されることが好ましい。これにより、前記実施形態と同様に、キャビテーションに起因する異音防止効果が発揮される。
前記実施形態におけるシリカの如き親水性無機微粒子は、例えば溶媒中では、一次粒子が凝集した二次凝集体の状態で存在するが、本発明における親水性無機微粒子は、一次粒子の状態、或いは二次凝集体の状態に限定されない。従って、親水性無機微粒子を含んで構成される無機改質微粒子も、一次粒子を表面改質したもの、或いは二次凝集体を表面改質したものに限定されない。なお、親水性無機微粒子が一次粒子の状態で扱われる場合においては、親水性無機微粒子の体積平均粒子径αは一次粒子の状態における粒子径のことをいう。また、親水性無機微粒子が二次凝集体として扱われる場合においては、親水性無機微粒子の体積平均粒子径αは、この二次凝集体の状態における粒子径のことをいう。また、無機改質微粒子の体積平均粒子径βは、親水性無機微粒子が一次粒子とされる場合においては一次粒子表面を改質した状態における粒子径のことであり、二次凝集体とされる場合においては二次凝集体表面を改質した状態における粒子径のことをいう。
また、前記実施例1〜7では、封入流体中に混入される粒体46はそれぞれ1種類とされていたが、複数種類の粒体が混入されても良い。そして、これらの無機改質微粒子を構成する親水性無機微粒子および親油性化合物としては、それぞれ異なるものが採用されても良い。
10:エンジンマウント(流体封入式防振装置)、12:第一の取付部材、14:第二の取付部材、16:本体ゴム弾性体、32:仕切部材、38:主液室、40:副液室、42:オリフィス通路、46:粒体(無機改質微粒子)

Claims (9)

  1. 振動入力時に本体ゴム弾性体の変形に基づいて圧力変動が惹起される主液室と、振動入力時に該主液室との間で相対的な圧力変動が生ぜしめられる副液室と、それら主液室および副液室に封入された非圧縮性流体のかかる両液室間での流動を許容するオリフィス通路とを、備えた流体封入式防振装置において、
    前記主液室に封入された前記封入流体には、気泡核を与えて該主液室が減圧された際に気泡を分散状態で発生させる、親水性無機微粒子を親油性化合物で表面改質した無機改質微粒子が混入されていることを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記親水性無機微粒子が、シリカを含んで構成されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記無機改質微粒子が、シリカで構成された前記親水性無機微粒子の表面に前記親油性化合物としてのポリジメチルシロキサンを吸着させて表面改質されたものである請求項2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記無機改質微粒子が、少なくとも振動入力時において前記主液室内の前記封入流体中で浮遊状態とされる請求項1〜3の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記無機改質微粒子が、前記封入流体を基準として1より大きな比重を有しており、且つ、表面改質状態に基づいて該封入流体中では静置状態でも沈殿せずに浮上しているものがある請求項1〜4の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記無機改質微粒子が、前記封入流体に対して0.005重量%以上で混入されている請求項1〜5の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  7. 前記無機改質微粒子が、前記封入流体に対して100重量部以下で混入されている請求項1〜6の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  8. 前記無機改質微粒子が、0.1〜200μmの体積平均粒子径を有している請求項1〜7の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  9. 前記無機改質微粒子の表面における対水接触角が90度以上である請求項1〜8の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
JP2013095118A 2013-04-30 2013-04-30 流体封入式防振装置 Active JP6148898B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013095118A JP6148898B2 (ja) 2013-04-30 2013-04-30 流体封入式防振装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013095118A JP6148898B2 (ja) 2013-04-30 2013-04-30 流体封入式防振装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014214858A true JP2014214858A (ja) 2014-11-17
JP6148898B2 JP6148898B2 (ja) 2017-06-14

Family

ID=51940819

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013095118A Active JP6148898B2 (ja) 2013-04-30 2013-04-30 流体封入式防振装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6148898B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108194571A (zh) * 2017-12-29 2018-06-22 重庆巨九磊汽车零部件制造有限公司 一种承重性能良好的减震器
CN109854669A (zh) * 2018-12-24 2019-06-07 中国船舶重工集团公司第七一0研究所 一种组合减振器及其安装方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003513798A (ja) * 1999-11-16 2003-04-15 ザ、プロクター、エンド、ギャンブル、カンパニー 超音波を利用する洗浄方法
JP2004305882A (ja) * 2003-04-04 2004-11-04 San Nopco Ltd エマルション型消泡剤
JP2008095719A (ja) * 2006-10-06 2008-04-24 Bridgestone Corp 防振装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003513798A (ja) * 1999-11-16 2003-04-15 ザ、プロクター、エンド、ギャンブル、カンパニー 超音波を利用する洗浄方法
JP2004305882A (ja) * 2003-04-04 2004-11-04 San Nopco Ltd エマルション型消泡剤
JP2008095719A (ja) * 2006-10-06 2008-04-24 Bridgestone Corp 防振装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108194571A (zh) * 2017-12-29 2018-06-22 重庆巨九磊汽车零部件制造有限公司 一种承重性能良好的减震器
CN109854669A (zh) * 2018-12-24 2019-06-07 中国船舶重工集团公司第七一0研究所 一种组合减振器及其安装方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6148898B2 (ja) 2017-06-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6148898B2 (ja) 流体封入式防振装置
WO2010143444A1 (ja) 防振装置
JP2014196808A (ja) 流体封入式防振装置
JP5452484B2 (ja) 防振装置
JPS60249749A (ja) 防振装置
US10059864B2 (en) Phase-change material suspension fluid composition including fumed silica particles and method for preparing the same
JP2004190757A (ja) 流体封入式防振装置
JP2017039864A (ja) 高減衰組成物、粘弾性ダンパおよび粘弾性支承
JP2008002497A (ja) 液体封入式防振装置
JPS629043A (ja) 防振ゴム装置
JP5876370B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP5346697B2 (ja) 防振装置
JP2824922B2 (ja) 振動吸収部材
JP3904310B2 (ja) 小型防振装置
JPH10281202A (ja) 弾性小型防振装置
JP2009041666A (ja) 流体封入式防振装置とそれに用いられるカバー部材
JP2009138847A (ja) 流体封入式防振装置
CN110375030A (zh) 一种限位装置及汽车
WO2024020832A1 (zh) 一种减振装置及控制方法
JP4171025B2 (ja) 液封入式防振装置
JP2019105281A (ja) 防振装置
KR101551952B1 (ko) 공압식 엔진마운트
CN207906412U (zh) 用于变速箱油冷系统的消音器、变速箱油冷系统及汽车
JP6779033B2 (ja) ゴム組成物
JP2010286028A (ja) 防振装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160105

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161019

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170510

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170522

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6148898

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150