JP2014214329A - シリンダライナ用原料粉末、シリンダライナ、及びシリンダライナの製造方法 - Google Patents

シリンダライナ用原料粉末、シリンダライナ、及びシリンダライナの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温でも高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナを得ることができるシリンダライナ用原料粉末、高温でも高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナ、及びそのシリンダライナの製造方法を提供する。
【解決手段】シリンダライナの原料に用いるシリンダライナ用原料粉末は、Al2O3からなる硬質粒子を3〜5質量%含有し、残部がAlを主成分とするAl合金粉末からなる。このAl合金粉末は、Siを18.5〜21質量%、Feを5〜9質量%、Mnを0.7〜3質量%含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。このシリンダライナ用原料粉末は、Cuの含有量を実質的にゼロとすると共に、従来よりもSi及びMnの含有量を多くすることで、使用温度域(高温)において高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナとすることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、エンジンのシリンダブロックに鋳包まれるシリンダライナ用原料粉末、その原料粉末からなるシリンダライナ、及びそのシリンダライナの製造方法に関するものである。特に、使用温度域において高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナに好適に利用できるシリンダライナ用原料粉末に関する。
シリンダライナは、ピストンやピストンリングと摺接するため、Alに種々の元素を添加したAl合金に、更に、硬質物質や固体潤滑剤を含有させて耐摩耗性や耐焼付性を向上させた合金材料が用いられている。例えば、特許文献1には、硬質物質としてAl2O3、固体潤滑剤としてグラファイトを含有させたAl-Si-Fe-Cu-Mg-Mn系合金を用いることで、耐摩耗性及び耐焼付性に優れるシリンダライナが記載されている。また、特許文献2には、特許文献1の合金において、特にCuの含有量を実質的にゼロとすると共にFeの含有量を多くしたAl-Si-Fe-Mg系合金を用いることで、耐摩耗性及び摺動特性(耐焼付性など)を向上させたシリンダスリーブ(ライナ)が記載されている。
特開平02−122043号公報 特開2012−72474号公報
特許文献1のシリンダライナは、比較的多くのCuを含有しているため、高温での流動応力が大きく、固相線温度(溶融開始温度)が比較的低いため、シリンダライナの使用温度域のような高温での硬度が低下し耐摩耗性が十分でない場合があった。また、熱間押出し時の割れや表面欠陥を生じ易く、押出速度を上げることができずに生産性の向上に対する大きな制約となっていた。
この特許文献1に対して特許文献2のシリンダライナは、Cuの含有量を実質的にゼロとすることで固相線温度を高くして高温での硬度を向上させて耐摩耗性を向上させると共に生産性を向上させ、更に、特許文献1の合金よりもFeを多く含有することでCuの含有量低減に伴う常温での硬度の低下を抑制している。しかし、高温(使用温度域)において更に高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナが望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、高温において高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナを得ることができるシリンダライナ用原料粉末を提供することにある。
本発明の別の目的は、高温において高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナを提供することにある。
本発明の他の目的は、上記シリンダライナを製造するシリンダライナの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、Al合金粉末に含有する添加元素の種類や量を種々変更したシリンダライナ用原料粉末からなるシリンダライナを製造し、得られたシリンダライナにおいて使用温度域(高温)において高硬度で耐摩耗性に優れるものを調べた。その結果、高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナは、Cuの含有量を実質的にゼロとして、Si及びMnの含有量を多くした原料粉末を利用することが好ましい、との知見を得た。この知見に基づき、本発明を以下に規定する。
本発明のシリンダライナ用原料粉末は、Al2O3からなる硬質粒子を3〜5質量%含有し、残部がAlを主成分とするAl合金粉末からなる。そして、Al合金粉末が、Siを18.5〜21質量%、Feを5〜9質量%、Mnを0.7〜3質量%含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。
本発明のシリンダライナ用原料粉末は、Cuの含有量を実質的にゼロとすると共に、従来よりもSi及びMnの含有量を多くすることで高温において高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナを得ることができる。また、従来よりもSi及びMnの含有量を多くすることでCuの含有量減少に伴う常温での硬度の低下を防止できるので、常温においても高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナを得ることができる。さらに、薄肉構造の成形物であっても鋳込み時のへたりが発生し難いシリンダライナを得ることができる。そして、高速で押出しを行っても割れや表面欠陥が発生し難くできるため、生産性に優れるシリンダライナを得ることができる。なお、Al合金粉末に含有される各元素及び硬質粒子の詳細は後述する。
本発明のシリンダライナ用原料粉末の一形態として、上記Al合金粉末は、さらに、Mgを0.5〜2質量%含有することが挙げられる。
Al合金粉末がMgの含有量を0.5質量%以上とすることで、高温において高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナとすることができる。Mgの含有量を2質量%以下とすることで、硬くなりすぎることによる靭性の低下を抑制して高靭性を保持したシリンダライナとすることができる。
本発明のシリンダライナ用原料粉末の一形態として、上記原料粉末は、さらに、固体潤滑剤を0.5質量%以下(但し、0質量%は含まない)含有することが挙げられる。
原料粉末が固体潤滑剤を0.5質量%以下含有することで、硬度と耐摩耗性を確保しつつ、相手攻撃性を低下させたシリンダライナとすることができる。
本発明のシリンダライナは、上記シリンダライナ用原料粉末からなることが挙げられる。
本発明のシリンダライナは、上記原料粉末からなることで、高温でも高硬度で耐摩耗性に優れる。また、シリンダライナは高硬度なので、薄肉構造であっても鋳込み時のへたりが発生し難い。そのため、薄肉構造を採用できるので、自動車用部品あるいは自動二輪用部品のエンジンの軽量化に寄与する。
本発明のシリンダライナの製造方法は、原料粉末を加圧成形して予備成形体を成形する予備成形工程と、予備成形体を押出加工することでシリンダライナを成形する押出工程とを含む。上記原料粉末は、Al2O3からなる硬質粒子を3〜5質量%含有し、残部がAlを主成分とするAl合金粉末からなる。このAl合金粉末が、Siを18.5〜21質量%、Feを5〜9質量%、Mnを0.7〜3質量%含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。そして、押出工程における予備成形体の押出速度が2mm/s〜5mm/sである。
本発明のシリンダライナの製造方法は、上述の原料粉末を用いることで押出速度を2mm/s以上5mm/s以下と高速にできるので、高温において高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナを生産性よく製造できる。
本発明のシリンダライナ用原料粉末は、高温において高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナとすることができる。
本発明のシリンダライナは、高温において高硬度で耐摩耗性に優れる。
本発明のシリンダライナの製造方法は、高温において高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナを生産性よく製造できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
《シリンダライナ》
本発明のシリンダライナの主たる特徴とするところは、特定の添加元素を特定の量含有するAl合金粉末を主たる構成要素とするシリンダライナ用原料粉末からなる点にある。以下、詳細に説明する。
〔シリンダライナ用原料粉末〕
シリンダライナ用原料粉末は、Al2O3の硬質粒子を3〜5質量%含有し、残部がAlを主体とするAl合金粉末からなる。このAl合金粉末は、Siを18.5〜21質量%、Feを5〜9質量%、Mnを0.7〜3質量%含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。
[Al合金粉末]
(Si:18.5〜21質量%)
Siは、製造されるシリンダライナの硬度を向上して耐摩耗性を向上するための元素である。また、熱膨張係数を調整するための元素でもある。この原料粉末を用いてシリンダライナを製造する際にAlマトリクス中にSi結晶として晶出させることで、高硬度で耐摩耗性に優れると共に、耐焼付性に優れるシリンダライナとすることができる。Siの含有量を18.5質量%以上とすることで、高温において上記効果を充分に達成できる。その上、Cuの含有量を実質的にゼロとすることに伴う常温での硬度の低下をも抑制できるため、常温においても高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナとすることができる。一方、Siの含有量が21質量%以下であることで、高速押出し、具体的には押出速度を2mm/s〜5mm/sとすることができる。Siが多く存在することによる脆化を抑制できるため、高速押出しを行っても亀裂の発生を抑制できるからである。Siの含有量は、特に、19質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
(Fe:5〜9質量%)
Feは、Al合金の高硬度を維持するための元素である。Feは、多く含有することにより硬度は高まるが、含有量を多くしすぎると靭性が低下する傾向にある。Feの含有量が5質量%以上であることで、高硬度で耐へたり性や耐摩耗性及び耐焼付性を向上でき、9質量%以下であることで、高靭性を保持できる。Feの含有量は、特に、6質量%以上7質量%以下であることが好ましい。
(Mn:0.7〜3質量%)
Mnは、高温でのAl合金の硬度を向上させるための元素である。このMnを0.7質量%以上含有することで、高温で十分な硬度を有することができる。一方、Mnの含有量を3質量%以下とすることで、硬くなりすぎることによる靭性の低下を抑制して高靭性を保持できる。Mnの含有量は、特に、0.9質量%以上1.5質量%以下であることが好ましい。
(Mg:0.5〜2質量%)
Al合金粉末は、さらに、Mgを含有することが好ましい。Mgは、硬度を向上するために含有される。Mgの含有量が0.5質量%以上であることで上記効果を充分に達成でき、2質量%以下であることで高靭性を保持できる。Mgの含有量は、特に、0.7質量%以上1.3質量%以下であることが好ましい。
[硬質粒子]
(Al2O3:3〜5%)
Al2O3は、シリンダライナの耐摩耗性及び耐焼付性を向上するために含有される硬質粒子である。Al2O3の含有量は、3質量%以上であることで、耐摩耗性及び耐焼付性を向上でき、5質量%以下であることで、高靭性を保持できる。Al2O3の含有量は、特に、3質量%以上4質量%以下であることが好ましい。このAl2O3は、最大粒径が30μm以下で平均粒径が10μm以下であることが好ましい。
[固体潤滑剤]
シリンダライナ用原料粉末は、さらに、固体潤滑剤を含有することが好ましい。固体潤滑剤は、相手部材(ここではピストン又はピストンリング)との間の潤滑性のために含有される。固体潤滑剤を含有することで、相手攻撃性を低下することができる。固体潤滑剤の含有量は、例えば、0.5質量%以下(但し、0質量%は含まない)とすることが挙げられる。この含有量を0.5質量%以下とすることで、シリンダライナの脆化を抑制すると共に、硬度と耐摩耗性を確保しつつ、相手攻撃性を低下できる。固体潤滑剤の含有量は、特に、0.3質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。この固体潤滑剤は、最大粒径が10μm以下であることが好ましい。
固体潤滑剤の種類として、例えば、グラファイト、MoS2、及びボロンナイトライド等が挙げられ、中でもグラファイトは上記効果の点で特に好適である。これらの中から複数種の固体潤滑剤を含有する場合、固体潤滑剤の合計含有量が0.5質量%以下となるようにするとよい。
《作用効果》
上述のシリンダライナは、高温において高硬度で耐摩耗性に優れる。Cuの含有量が実質的にゼロで、従来よりもSi及びMnを多く含有するAl合金粉末を主たる構成要素とするシリンダライナ用原料粉末を用いることで、高温での硬度を向上して耐摩耗性を向上できるからである。また、上述のシリンダライナは、常温でも高硬度で耐摩耗性に優れる。Al合金粉末がSi及びMnを多く含有量していることで、Cuの含有量をゼロにすることに伴う常温での硬度の低下を抑制できるからである。さらに、自動車用部品あるいは自動二輪用部品のエンジンの軽量化に寄与する。薄肉構造としても鋳込み時のへたりが発生し難いので、薄肉構造とすることができるからである。そして、生産性に優れる。2mm/s〜5mm/sの押出速度で押出しても割れや表面欠陥が発生し難いからである。
《シリンダライナの製造方法》
シリンダライナの製造方法は、以下の予備成形工程と押出工程とを備える。
[予備成形工程]
予備成形工程では、上述のシリンダライナ用原料粉末を加圧成形して予備成形体を成形する。予備成形体の成形は、例えば、CIP(冷間静水圧プレス)により作製することができる。この成形により予備成形体の形状を最終製品形状(中空円筒状)とする。
[押出工程]
押出工程では、上記予備成形体を押出加工することでシリンダライナを成形する。具体的には、熱間押出成形用装置のコンテナ内に装填し、コンテナ内の中空円筒状の予備成形体の中心孔にマンドレルを挿入した状態で、ラムにより予備成形体の後端部を押圧してダイスを通過させることで押出する。この押出により、マンドレルの外径に相当する内径と、ダイスの内径に相当する外径を有する押出材を得ることができる。
押出工程における予備成形体の押出速度は2mm/s〜5mm/sとすることが挙げられ、押出温度は480〜540℃、押出比(押出成形用装置のコンテナ断面積と製品断面積の比)は15〜30とすることが好ましい。この押出速度範囲であれば、割れや表面欠陥の発生を低減しつつ、生産性を向上できる。ここで言う予備成形体の押出速度は押出機のラム速度のことであり、製品の押出速度は、そのラム速度と上記押出比との積で表わされる。具体的な製品の押出速度は、ラム速度と押出比との積を調整して40mm/s〜130mm/sとすることが好ましい。
この押出により、厚さ4〜6mmの押出材を成形することが好ましい。上記範囲の厚さとすることで、仕上げ加工代を小さくする等の後加工を容易にすることができる。
[後工程]
後工程として、上記押出材に対して、適宜、切断加工、機械加工、仕上げ加工などを施すことが挙げられる。それにより、所望の寸法精度のシリンダライナを得ることができる。
《作用効果》
上述のシリンダライナの製造方法は、高温において高硬度で耐摩耗性に優れるシリンダライナを生産性よく製造できる。Cuの含有量が実質的にゼロで、従来よりもSi及びMnを多く含有量するAl合金粉末を主たる構成要素とするシリンダライナ用原料粉末を用いることで、2mm/s〜5mm/sの押出速度で押出しが可能だからである。
《試験例》
複数のシリンダライナ用原料粉末を用意し、これら原料粉末からなる複数のシリンダライナを作製して、以下の特性を評価した。
[実施例(試料No.1〜試料No.4)]
本発明のシリンダライナ用原料粉末として、表1に示すように、試料No.1〜試料No.4を用意した。具体的には、まず、エアアトマイズ法によって、Al合金粉末を急冷凝固して形成した。これらのAl合金粉末の平均粒径は50μmであった。そして、各Al合金粉末に、硬質粒子として最大粒径5μmで、平均粒径3μmのAl2O3を3質量%と、固体潤滑剤として単位質量当たりの表面積(比表面積)が150〜250m2/gのグラファイトを0.5質量%とをV型ミキサーにて均一に混合し、シリンダライナ用原料粉末を作製した。
[比較例(試料No.101〜試料No.104)]
比較例として、表1に示すように、試料No.101〜試料No.104のシリンダライナ用原料粉末を上述の試料No.1〜No.4と同様にして用意した。
そして、上記シリンダライナ用原料粉末(試料No.1〜試料No.4、試料No.101〜試料No.104)を用いて、シリンダライナを作製した。まず、CIP(冷間静水圧プレス)により上記シリンダライナ用原料粉末で中空円筒状の予備成形体を成形する。この予備成形体を雰囲気炉で加熱した後、熱間押出成形用装置のコンテナ内に装填する。コンテナ内の中空円筒状の予備成形体の中心孔にマンドレルを挿入した状態で、ラムにより予備成形体の後端部を押圧してダイスを通過させることで押出す。その際、押出温度を480℃、押出速度を4mm/s、押出比(コンテナ断面積と製品断面積の比)を23として、厚さ4.5mmのシリンダライナを成形した。
Figure 2014214329
〔評価〕
[薄肉・高速押出性]
各試料の薄肉・高速押出性の評価として、各シリンダライナの押出し時の外周表面のムシレ具合を目視にて調べた。その結果を表2に示す。ここでは、ムシレ具合が良好の場合を○、不良の場合を×で示している。
[鋳込みへたり性]
上記シリンダライナについて、引張試験用の試験片を作製し、500℃での引張強度(500℃UTS)を測定した。この温度は、シリンダブロックにシリンダライナを鋳込む際の同シリンダライナの温度を想定している。そして、この500℃UTSにより試験片のへたり性を評価した。これらの結果を表2に併せて示す。表2に示すように、この500℃での試験片のへたり性を判定した結果を良好な方から順に◎、○、△、×で示している。
[摺動特性]
上記シリンダライナについて、摺動試験用の試験片を作製し、室温でのHRB(ロックウェル硬度 Bスケール)を測定した。また、焼付性、自己摩耗、及び相手摩耗を以下に示すチップオンディスク摩耗試験により評価した。これらの結果を表2に併せて示す。
チップオンディスク摩耗試験では、チップ側には各試料におけるシリンダライナ用合金粉末からなる試験片(5×7×厚み10mm、自己材)を2個用い、ディスク側にはピストンスカート材(JIS規格のA4032)の円盤(φ60×厚み10mm、相手材)を用いる。チップをディスクに押し付け、ディスクを回転させることで、チップとディスクとの間で摺動させる。ディスクの表面にはエンジンオイルを薄く塗布し、ディスクの回転数を120rpmとして、大気中室温で試験を行った。チップの押し付け荷重は、0から始めて1分間に1kgずつ上昇させていき、5kgになったら3分間保持して試験を終了とする。試験途中で動摩擦係数μが上昇して焼き付きが発生した場合には、即試験を終了とする。焼き付きが発生せずに試験が終了したら、チップ及びディスクの摺動面を目視にて判定する。各試料に対して、上記試験を3回ずつ行い、その結果を良好な方から順に◎、○、△、×で示す。具体的には、3回とも焼き付きが発生しなければ◎、1回焼き付きで○、2回焼き付きで△、3回とも焼き付きが発生すれば×とした。
Figure 2014214329
《結果》
原料粉末の主たる構成要素であるAl合金粉末が、Siを18.5〜21質量%、Feを5〜9質量%、Mnを0.7〜3質量%含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる試料No.1〜4は、ムシレが小さく、それぞれ室温でのHRBが80、83、81、82であった。一方、Al合金粉末が上記範囲を満たさない試料のうち、No.101及びNo.102は、ムシレが大きく室温でのHRBが76以下であり、No.103及びNo.104はムシレが小さいものの室温でのHRBが70以下であった。このように、試料No.1〜No.4が、試料No.101〜No.104よりもムシレが小さくかつ室温での硬度が高い結果となったのは、Al合金粉末におけるCuの含有量をゼロとすると共にSi及びMnの含有量を多くすることで、硬度を向上できたからだと考えられる。また、500℃での引張試験より、試料No.1〜No.4は、試料No.101〜No.104に比べて、500℃UTSが高く鋳込みへたり性に優れる結果となった。さらに、試料No.1〜No.4は、試料No.101〜No.104に比べて、焼き付きが発生し難い上に、自己材及び相手材共に摩耗痕が小さく、耐焼付性、自己摩耗及び相手摩耗のいずれも優れる結果となった。試料No.1〜No.4、No.101〜No.104はいずれも、試験片に対して熱処理を施していないので押出成型後から状態変化していない。そのため、常温での摺動特性の結果が、高温での摺動特性に結果に反映されると考えられる。つまり、試料No.1〜No.4は、常温において試料No.101〜No.104に比べて摺動特性に優れるため、高温においても同様に摺動特性に優れると考えられる。
なお、上述の各試料No.1〜No.4,No.101〜No.104と同様の原料粉末を用意して、押出速度を5mm/sとした点以外は上述と同様にしてシリンダライナを成形したところ、上述の実施例の試料No.1〜No.4と同様の原料粉末を使用したシリンダライナは、押出速度が4mm/sの各実施例の試料と同様にムシレが小さく、薄肉・高速押出性に優れる結果であった。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能である。
本発明のシリンダライナ用原料粉末は、自動車や自動二輪などの内燃機関のシリンダライナの原料に好適に利用できる。本発明のシリンダライナは、エンジンのシリンダブロックの摺動部材として好適に利用することができる。本発明のシリンダライナの製造方法は、シリンダライナの製造に好適に利用できる。

Claims (5)

  1. シリンダライナの原料に用いるシリンダライナ用原料粉末であって、
    前記原料粉末は、Al2O3からなる硬質粒子を3〜5質量%含有し、残部がAlを主成分とするAl合金粉末からなり、
    前記Al合金粉末が、Siを18.5〜21質量%、Feを5〜9質量%、Mnを0.7〜3質量%含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるシリンダライナ用原料粉末。
  2. 前記Al合金粉末は、さらに、Mgを0.5〜2質量%含有する請求項1に記載のシリンダライナ用原料粉末。
  3. 前記原料粉末は、さらに、固体潤滑剤を0.5質量%以下(但し、0質量%を含まない)含有する請求項1または請求項2に記載のシリンダライナ用原料粉末。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のシリンダライナ用原料粉末からなるシリンダライナ。
  5. シリンダライナ用原料粉末を加圧成形して予備成形体を成形する予備成形工程と、
    予備成形体を押出加工することでシリンダライナを成形する押出工程とを含むシリンダライナの製造方法であって、
    前記原料粉末は、Al2O3からなる硬質粒子を3〜5質量%含有し、残部がAlを主成分とするAl合金粉末からなり、
    前記Al合金粉末が、Siを18.5〜21質量%、Feを5〜9質量%、Mnを0.7〜3質量%含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、
    前記押出工程における前記予備成形体の押出速度が、2mm/s〜5mm/sであるシリンダライナの製造方法。
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