JP2014213962A - シート搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Kotaro Oda
浩太郎 小田
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Tetsuya Obuchi
哲也 大渕
貴裕 荻野
Takahiro Ogino
貴裕 荻野
恭行 関野
Yasuyuki Sekino
恭行 関野
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    • B65H3/00Separating articles from piles
    • B65H3/18Separating articles from piles using electrostatic force

Abstract

【課題】シートの剛性によらず、良好な分離性を得ることができるシート搬送装置および画像形成装置を提供する。【解決手段】積載されたシート束1の上面に対向配置された回転可能な無端状の吸着ベルト2と、シート束1の最上位シート1aを吸着ベルト2に吸着させる帯電部材3などの吸着手段とを備え、吸着ベルト2に吸着したシートを屈曲させて、シート束の最上位シート以外のシートを吸着ベルト2から分離させた後、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aを搬送するシート搬送装置において、吸着ベルト2に吸着したシートのシート搬送方向における屈曲位置を変更する吸着分離ユニット移動機構80などの屈曲位置変更手段を備えた。【選択図】図29

Description

本発明は、プリンタ、ファクシミ、複写機などの画像形成装置に用いられるシート搬送装置、及び、そのシート搬送装置を備えた画像形成装置に関するものである。
画像形成装置に用いられるシート搬送装置において、積載された原稿や記録紙等のシートを分離して搬送する方法として、吸着ベルトに電界を形成し、これをシートに接触させて吸着し分離する静電吸着分離方式が提案されている。
特許文献1に記載の静電吸着分離方式のシート搬送装置は、二本のローラに巻き掛けられた誘電体の吸着ベルトと、この吸着ベルトに交番電荷を付与する吸着手段としての電荷付与手段と、これらを保持するホルダとで構成された吸着分離ユニットを備えている。ホルダは、前記二本のローラを回転自在に支持しており、その二本のローラよりもシート搬送方向上流側に設けられた回転軸に固定されている。また、吸着位置と搬送位置との間を吸着ベルトが往復移動するように、上記回転軸を支点にして吸着分離ユニットを揺動させる揺動手段が設けられている。前記吸着位置は、用紙トレイの底板に積載されたシート束の最上位シートを、吸着ベルトに接触させ吸着させる位置である。また、前記搬送位置は、吸着位置よりもシート束から離れ、吸着ベルトに吸着した最上位シートを搬送する位置である。
二本のローラのうち、シート搬送方向上流側に配置された上流側ローラは、以下のようにホルダに支持されている。すなわち、吸着分離ユニットを上記吸着位置から上記搬送位置へ移動させるとき、吸着分離ユニットが所定角度揺動するまで、シート束の上面に接触しつづけ、所定角度以上揺動するとホルダとともにシート束から離間するように、所定の範囲で移動可能にホルダに支持されている。一方、シート搬送方向下流側に配置された下流側ローラは、以下のようにホルダに支持されている。すなわち、吸着分離ユニットを上記吸着位置から上記搬送位置へ吸着分離ユニットを移動させるとき、その移動の当初から、ホルダとともにシート束から離間し始めるように、ホルダに支持されている。
給紙の前段階においては、二本のローラを介してホルダに保持された吸着ベルトは、シート束から離間した位置に位置している。シート束の最上位シートを分離して搬送するときは、まず、吸着ベルトを回転させて、吸着ベルトに交番電荷を付与する。吸着ベルトに交番電荷を付与したら、吸着ベルトの回転を停止し、揺動機構を駆動して吸着分離ユニットをシート束側へ揺動させ、吸着ベルトをシート束の最上位シートに接触させ、シート束の最上位シートを吸着ベルトに吸着させる。このとき、上流側張架ローラは、ホルダとの支持が解除され、シート束の上面に載置された状態となっている。
シート束上面に接触させた吸着ベルトの表面部分に、シート束の最上位シートが吸着ベルトに吸着したら、揺動機構を駆動して吸着分離ユニットを吸着位置から搬送位置に向けて揺動させる。吸着位置から搬送位置への揺動を開始すると、下流側ローラがホルダとともにシート束から離間する方向へ移動する。一方、上流側ローラは自重により、吸着ベルトを挟んでシート束の上面から動かない。これにより、上流側ローラよりもシート搬送方向下流側の吸着ベルトの前記表面部分がシート束上面に対して傾斜し、吸着ベルトを挟んで上流側ローラにより押えられた部分を支点にして、前記表面部分に吸着した最上位シートの部分が曲げられながら持ち上げられる。その後、上流側ローラが、ホルダに持ち上げられ、上流側ローラがホルダとともに移動し、シート束の上面から離間し、搬送位置に到達する。吸着分離ユニットが搬送位置に到達したら、吸着ベルトを回転駆動させ、吸着ベルトに吸着した最上位シートを搬送する。
密着力により最上位シートに密着した2番目のシートは、吸着ベルトを挟んで上流側ローラにより押えられた部分を支点にして、曲げられることで、自らのコシにより分離する。
しかしながら、上記特許文献1に記載のシート搬送装置において、薄紙などの剛性の低いシートにおいて、2番目のシートが最上位シートから分離しない場合があるという課題があった。本出願人は、上記課題について、鋭意研究した結果、以下のことがわかった。すなわち、シートを曲げる位置がシートの先端から離れるほど、2番目のシートを最上位シートから分離し難くなることがわかった。上記特許文献1に記載のシート搬送装置においては、シートの先端から離れた上流ローラでシートを曲げている。従って、コシの弱い低剛性のシートにおいて、2番目のシートが最上位シートから分離しなかったと考えられる。
そこで、吸着ベルトの上流側ローラよりも下流側にシート吸着領域を押す押し部材を設け、この押し部材でシート吸着領域を押して、シート吸着領域を屈曲させる。これにより、吸着しているシートを押し部材の押し位置で屈曲させ、上流ローラよりもシート先端側で、シートを曲げることも考えられる。しかしながら、この場合、剛性の高いシートが、吸着ベルトから剥がれてしまうという課題が生じるおそれがある。
本発明は以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、シートの剛性によらず、良好な分離性を得ることができるシート搬送装置および画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、積載されたシート束の上面に対向配置された回転可能な無端状の吸着ベルトと、前記シート束の最上位シートを前記吸着ベルトに吸着させる吸着手段とを備え、前記吸着ベルトに吸着したシートを屈曲させて、前記シート束の最上位シート以外のシートを吸着ベルトから分離させた後、前記吸着ベルトに吸着した最上位シートを搬送するシート搬送装置において、前記吸着ベルトに吸着したシートのシート搬送方向における屈曲位置を変更する屈曲位置変更手段を備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、シートの剛性によらず、良好な分離性を得ることができる
本実施形態に係る複写機を示す模式図。 給紙部の概略構成を示す斜視図。 給紙部を示す模式図。 吸着分離ユニットの要部構成を示す図。 ハウジングの分解図。 吸着ベルトを回転駆動する駆動機構の概略構成図。 吸着分離ユニットの要部構成を示す斜視図。 吸着分離ユニットの変形例を示す斜視図。 シート搬送装置を用いたシート搬送動作について説明する図。 吸着分離ユニットの重心と、揺動機構の噛み合い位置との関係を説明する図。 ベルト幅方向一端側にのみ、ラックアンドピニオン機構を設けた構成について説明する図。 ピニオンギヤをブラケットに設け、ラックギヤを装置本体に設けた構成について説明する図。 図12に示す構成のシート搬送装置の駆動機構と揺動機構の概略構成図。 揺動機構の変形例を示す図。 同変形例の揺動機構を備えたシート搬送装置を示す概略構成図。 揺動機構の別の変形例を給紙部とともに示す図。 図16の斜視図。 揺動機構のさらに別の変形例を給紙部ともに示す図。 図18の平面図。 上流側張架ローラと下流側張架ローラとを、各ブラケットにシート束上面に対して垂直方向に移動可能に保持するよう構成した例を示す図。 図20に示すシート搬送装置のシート搬送動作について説明する図。 図20に示すシート搬送装置の第1変形例を示す図。 図20に示すシート搬送装置の第2変形例を示す図。 図20に示すシート搬送装置の第3変形例を示す図。 図20に示すシート搬送装置の第4変形例を示す図。 本実施形態のシート搬送装置の要部を示す図。 押し当て部材を有するシート搬送装置における分離動作について説明する図。 (a)は、最上位シートが吸着ベルトから剥がれない条件を説明する図であり、図28(b)は、2番目のシートが最上位シートから分離する条件を説明する図。 吸着分離ユニット移動機構を備えたシート搬送装置の模式図。 図29のシート搬送装置を下か見た断面図。 吸着ベルトと、上流側ガイドと、下流側ガイドと搬送ローラ対とを示す斜視図。 (a)は、剛性の高いシートの場合のシート分離について説明する図であり、(b)は、薄紙などの剛性の低いシートの場合のシート分離について説明する図。 シート搬送動作の制御フロー図。 吸着分離ユニット移動機構の変形例を示す模式図。 (a)は、変形例の吸着分離ユニット移動機構を備えたシート搬送装置において、剛性が高いシートを搬送するときについて説明する図。また、(b)は、変形例の吸着分離ユニット移動機構を備えたシート搬送装置において、剛性の低いシートを搬送するときについて説明する図。
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置である複写機に適用した一実施形態について説明する。なお、本発明は、本実施形態の画像形成装置に限らず、例えばインクジェット方式の画像形成装置などにも適用することができることは言うまでもない。
図1は、本実施形態に係る複写機100を示す模式図である。
この複写機100は、自動原稿搬送装置59や、原稿読取部58や画像形成部50や給紙部52などを備えている。自動原稿搬送装置59は、原稿トレイ59aに載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離して原稿読取部58上のコンタクトガラスに自動給紙するものである。原稿読取部58は、自動原稿搬送装置59によってコンタクトガラス上に搬送された原稿を読み取るものである。画像形成部50は、給紙部52から給紙された記録材であるシートに対して、原稿読取部58によって読み取った原稿画像に基づいて画像を形成する画像形成手段である。給紙部52は、複数枚のシートが積層されたシート束1を収容していて、このシート束1からその最上位に位置する最上位シート1aを画像形成部50に給紙する。
画像形成部50は、潜像担持体として感光体61のまわりに、帯電装置62、現像装置64、転写装置54、感光体クリーニング装置65等を備えている。また、画像形成部50は、感光体61にレーザー光63を照射するための光書込ユニット(不図示)、シート上のトナー画像を定着する定着装置55等を備えている。
上記構成の画像形成部50では、感光体61の回転とともに、まず帯電装置62で感光体61の表面を一様に帯電する。次いで、パーソナルコンピュータやワードプロセッサ等から入力される画像データや、原稿読取部58によって読み取った原稿の画像データに基づく光書込ユニット(不図示)からのレーザー光63を照射して感光体61上に静電潜像を形成する。その後、現像装置64によりトナーを付着させ静電潜像を可視像化することで感光体61上にトナー画像を形成する。
一方、給紙部52は、シートを1枚づつ分離して搬送して、レジストローラ53に突き当てて止める。そして、画像形成部50のトナー画像形成のタイミングに合わせて、レジストローラ53に突き当てて止めたシートを、感光体61と転写装置54とが対向する転写部に送り出す。転写部では、感光体61上のトナー画像が供給されたシートに転写される。トナー画像が転写されたシートは、定着装置55によりトナー画像を定着後、排紙ローラ対56により排紙トレイ57へ排出される。一方、トナー画像転写後の感光体61の表面は、感光体クリーニング装置65で残留トナーを除去して清掃して再度の画像形成に備える。
図2は、給紙部52の概略構成を示す斜視図であり、図3は、給紙部52を示す模式図であり、図4は、吸着分離ユニット110の要部構成を示す図である。
給紙部52は、複数枚のシートを積載して収容するシート材収容部としての給紙カセット11と、給紙カセット11上の複数枚のシートからなるシート束1から最上位に位置する最上位シート1aを分離して搬送するシート搬送装置200とを含んで構成されている。
図3に示すように、給紙カセット11には、積層された複数枚のシート束1を積載する底板7を有している。給紙カセット11の底部と底板7との間には、底板7を支持する支持部材8が回動自在に取り付けられている。また、図2に示すように、給紙部52には、シート束1の最上位シート1aが、所定の位置に到達したことを検知するシート検知手段140が設けられている。
シート検知手段140は、装置本体に設けられた軸142に回転自在に支持されたフィラー144と、透過型光学センサ143とで構成されている。支持部材8を不図示の駆動モータにより回動させ、底板7を上昇させると、底板7に積載されたシート束1が上昇し、最上位シート1aがフィラー144と当接する。このとき、透過型光学センサ143の受光部143aは、発光部143bからの光を受光している。さらに、底板7を上昇させると、フィラー144が、発光部143bの光を遮り、受光部143aが光を受光しなくなる。これにより、シート束1の最上位シート1aが、所定の位置に到達したことが検知され、支持部材8の回転を停止する。
シート搬送装置200は、吸着分離ユニット110、この吸着分離ユニット110を揺動させる揺動手段たる揺動機構120、及び、吸着ベルト2を無端移動させる駆動機構130などを備えている。吸着分離ユニット110は、図4に示すように、下流側張架ローラ5と上流側張架ローラ6とに張架される吸着ベルト2を備えている。
吸着ベルト2は、10[Ω・cm]以上の抵抗を有する50[μm]程度の厚さのポリエチレンテレフタレートからなる表層と、アルミ蒸着により形成された10[Ω・cm]以下の抵抗を有する導電層とを有する2層構造となっている。
吸着ベルト2を上記のような2層構造とすることで、導電層を接地された対向電極として使用することができ、吸着ベルト2に電荷を与える帯電手段としての帯電部材3を、吸着ベルト2の表層に接した位置であればどこでも設けることができる。また、吸着ベルト2の幅方向両側端縁の内側には、寄止め用のリブ23が設けられており、下流側張架ローラ5や上流側張架ローラ6の両側端面とリブ23とが係合し、吸着ベルト2の寄りを防止している。
下流側張架ローラ5は、抵抗値が10[Ω・cm]の導電性ゴム層が表面に設けられ、上流側張架ローラ6は金属ローラである。下流側張架ローラ5及び上流側張架ローラ6は、ともに接地されている。
下流側張架ローラ5は、吸着ベルト2からシートを曲率により分離するのに適した小径にされている。すなわち、下流側張架ローラ5の径を小さく設定して曲率を大きくすることにより、吸着ベルト2に吸着されて搬送されたシートが、下流側張架ローラ5から離れて搬送方向下流側のガイド部材10により形成される搬送路Hに入ることができるようになっている。
また、図4に示すように、下流側張架ローラ5の軸5aは、ハウジング20に回転自在に支持されている。上流側張架ローラ6の軸6aは、ハウジング20のハウジング本体部20aに対してシート搬送方向に摺動可能に保持された軸受22に回転支持されている。軸受22は、スプリング21によりシート搬送方向上流側へ付勢されている。これにより、上流側張架ローラ6が、シート搬送方向上流側に付勢され、吸着ベルト2に張力を付与している。
図5は、ハウジング20の分解図である。ハウジング20に設けられた下流側張架ローラ5の軸5aを軸支する軸孔を有する2つの軸孔部20bのうち一方は、ハウジング20のハウジング本体部20aとは別体で設けられている。この別体の軸孔部20bは、固定用ビス20cによって、その一方の軸孔部20bをハウジング本体部に取り付けている。
下流側張架ローラ5の軸5aにハウジング20を組み付け時には、ハウジング本体部に対して一方の軸孔部20bを取り外し、他方の軸孔部20bに下流側張架ローラ5の軸5aを軸支させる。その後、取り外している一方の軸孔部20bに下流側張架ローラ5の軸5aを軸支させつつ、前記一方の軸孔部20bをハウジング本体部20aに固定用ビス20cで取り付け固定する。
図2、図3に示すように、吸着分離ユニット110は、吸着ベルト2を揺動自在に保持するためのブラケット12がベルト幅方向両端に設けられている。各ブラケット12は、上流側張架ローラ6よりもシート搬送方向上流側に設けられた支持軸14に回転自在に支持されている。これにより、吸着分離ユニット110は、後述する揺動機構120により、吸着位置と搬送位置との間を、支持軸14を支点にして揺動することができる。
なお、吸着位置とはシート束1の最上位シート1aを吸着ベルト2に吸着させる位置であり、搬送位置とは吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aを搬送する位置である。
各ブラケット12には、長穴12aが設けられており、この長穴12aに上流側張架ローラ6の軸6aが貫通している。これにより、上流側張架ローラ6は、ブラケット12に対して移動可能に保持される。一方、下流側張架ローラ5の軸5aは、ブラケット12に設けられた不図示の孔に貫通し、下流側張架ローラ5は、ブラケット12に対して移動不能に保持される。図3に示すように、吸着分離ユニット110が搬送位置にあるとき、上流側張架ローラ6の軸6aは、長穴12aの下端面41aに突き当たっている。
ブラケット12に設けられた長穴12aは、上流側張架ローラ6の軸6aが長穴12a内を移動しても、上流側張架ローラ6の回転中心と下流側張架ローラ5の回転中心との距離が変化しないように、下流側張架ローラ5の回転中心を中心とする円弧形状となっている。その結果、上流側張架ローラ6が、長穴12a内を移動しても、吸着ベルト2の張力が変化することがない。
通常、吸着ベルト2の張力は、5[N]以下でも下流側張架ローラ5及び上流側張架ローラ6と吸着ベルト2との間でスリップすることなく、吸着ベルト2を回転駆動して、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aを搬送することが可能である。
一方で、密着力の高いシートなど、特殊な条件のシートを搬送する場合には、下流側張架ローラ5及び上流側張架ローラ6と吸着ベルト2との間にてスリップが起こることが考えられる。そのため、上流側張架ローラ6の表面や下流側張架ローラ5の表面の吸着ベルト2に対する摩擦係数を高くして、スリップを生じにくくしておくことが好ましい。
図6は、吸着ベルト2を回転駆動する駆動機構130の概略構成図である。
各ブラケット12を回転自在に支持する支持軸14の一端には、従動第1プーリ26aと、駆動第2プーリ26bとが固定されている。下流側張架ローラ5の一端には従動第2プーリ25が固定されており、従動第1プーリ26aと従動第2プーリ25とには、従動タイミングベルト28が巻き掛けられている。
また、支持軸14よりもシート搬送方向上流側には、駆動モータ24が設けられており、駆動モータ24のモータ軸24aには、駆動第1プーリ27が固定されている。駆動第1プーリ27と駆動第2プーリ26bとには、駆動タイミングベルト29が巻き掛けられている。
駆動モータ24が駆動すると、駆動タイミングベルト29及び従動タイミングベルト28を介して下流側張架ローラ5が回転駆動する。これにより、吸着ベルト2が回転駆動し、上流側張架ローラ6が、吸着ベルト2の内周面の摩擦により従動回転する。
また、本実施形態においては、ブラケット12を支持する支持軸14を中継して、下流側張架ローラ5に駆動モータ24の駆動力が伝達されるようになっている。このように構成することにより、後述するように、吸着分離ユニット110は、支持軸14を支点にして揺動するため、吸着分離ユニット110が揺動しても、下流側張架ローラ5と支持軸14との距離が変動しない。よって、従動タイミングベルト28の張りは維持されて良好に下流側張架ローラ5に駆動力を伝達することができる。
なお、駆動モータ24から上流側張架ローラ6に駆動力が伝達されるように駆動機構130を構成し、吸着ベルト2を回転させる駆動ローラとして上流側張架ローラ6を用いても良い。
また、図2、図3に示すように、給紙部52のシート搬送方向下流側には、ブラケット12を揺動させる揺動手段としての揺動機構120が設けられている。揺動機構120は、各ブラケット12のシート搬送方向下流側端部に形成された第1駆動伝達部としてのラックギヤ部13と、回転軸16に固定され、ラックギヤ部13にそれぞれ噛み合う第2駆動伝達部材たるピニオンギヤ15とを有している。また、揺動機構120は、揺動モータ30を備えている。回転軸16の一端には、揺動モータ30のモータ軸30aに固定されたモータギヤ31と噛み合う従動ギヤ32が設けられている。
また、各ブラケット12に対応させて設けられた各ピニオンギヤ15を、同一の軸部材である回転軸16に固定することにより、揺動モータ30で回転軸16を回転させることで、各ピニオンギヤ15を回転させることができる。これにより、一つの揺動モータ30で、ベルト幅方向両端に設けられた2つのピニオンギヤ15を回転駆動することができ、部品点数を削減することができ、装置を安価にすることができる。また、簡単な構成で、ベルト幅方向両端に設けられたラックアンドピニオンの駆動を同期することができる。
ラックギヤ部13は、支持軸14を中心としたR形状となっている。ブラケット12に形成されたラックギヤ部13は、吸着分離ユニット110の揺動時、支持軸14を中心にして揺動する。よって、ラックギヤ部13を、支持軸14を中心としたR形状とすることにより、吸着分離ユニット110の揺動時もラックギヤ部13とピニオンギヤ15との噛み合いを維持することができる。また、ブラケット12のシート搬送方向下流側端部にラックギヤ部を形成することにより、ブラケット12と別体のラックギヤをブラケット12に取り付ける場合に比べて、部品点数を削減でき、構成を簡素化することができる。また、揺動機構120のラックアンドピニオンのうち、装置側にピニオンを設けることにより、ピニオンへ駆動を伝達するための構成を、ピニオンを吸着分離ユニット110に設けた場合に比べて、簡単にすることができる。
このような構成の揺動機構120では、揺動モータ30を駆動することにより、各ピニオンギヤ15が回転し、ラックギヤ部13が、シート束1に対して接離する方向へ移動する。これにより、各ブラケット12が、支持軸14を支点にして揺動する。
また、各ブラケット12は、補強部材70により連結固定されている。各ブラケット12を、補強部材70により連結固定することにより、一方のブラケット12と他方のブラケット12とを一体的に揺動させることができる。これにより、ブラケット揺動時に各ブラケット12に保持された吸着ベルト2が、捩れてしまうのを抑えて、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aが、吸着ベルト2から分離するのを抑制することができる。
図7に示すように、吸着ベルト2の表面には、吸着ベルト2の表面を帯電させる帯電手段としてのローラ状の帯電部材3が当接している。帯電部材3は吸着分離ユニット110に回転可能に設けられており、吸着ベルト2に対する位置は一意的に決定している。また、帯電部材3は、交流を発生する帯電電源4に接続されている。
なお、本実施形態では、帯電手段としてローラ状の帯電部材3を用いているが、図8に示すようなブレード状の電極部材103を用いてもよい。電極部材103をブレード状にすることで、ローラ状の帯電部材3に比べ、ピッチ幅の小さい電荷パターンを形成することが可能となる。これにより、積載されたシート束の最上位シート1aに対する吸着力増加が早く、また、2枚目以降のシートに作用する吸着力の減少が早くなる。そのため、分離動作に要する時間の短縮が図れる点で有利である。また、交番した帯電間隔を小ピッチ化しやすく、吸着ベルト2に微小な波うちなどがあっても、安定した帯電を行えなうことができる。
次に、本実施形態のシート搬送装置200を用いた基本的なシート搬送動作について、図9を用いて説明する。
図9(a)に示すように、通常、底板7は下降位置にあり、吸着分離ユニット110は吸着位置にある。まず、給紙信号が入ると、揺動モータ30(図2参照)を駆動して、ピニオンギヤ15を図中時計回りに回転駆動させ、支持軸14を支点して図中反時計回り(シート束1から離れる方向)に吸着分離ユニット110を揺動させる。そして、吸着分離ユニット110が搬送位置まで揺動したら、揺動モータ30の駆動を停止する。
図9(b)に示すように、吸着分離ユニット110が搬送位置で停止したら、駆動モータ24(図2参照)を駆動させて、吸着ベルト2を無端移動させる。次に、無端移動する吸着ベルト2に帯電部材3を介して帯電電源4により交番電圧を印加する。そして、吸着ベルト2の表面に交流電源周波数と吸着ベルト2の周動速度に応じたピッチ(ピッチは5[mm]〜15[mm]程度とするのがよい)で交番する電荷パターンを形成する。帯電電源4は交流の他、直流を高低交互の電位に変化させたものでもよく、矩形波、正弦波などが考えられる。本実施形態では、吸着ベルト2の表面に対して4[kV]の振幅を持った矩形波を印加している。
吸着ベルト2への帯電が完了したら、図9(c)に示すように、吸着ベルト2の回転を停止するとともに、下降位置で待機していた底板7の上昇を開始する。また、これと前後して、揺動モータ30を逆回転させ、ピニオンギヤ15を図中反時計回りに回転させて、支持軸14を支点にして図中時計回り(シート束1に近接する方向)に吸着分離ユニット110を揺動させる。
底板7が上昇し、吸着分離ユニット110が下降していくと、シート束1の最上位シート1aが、吸着ベルト2を介して上流側張架ローラ6に当接する。さらに、底板7を上昇させ、吸着分離ユニット110を下降させていくと、上流側張架ローラ6が、シート束1により押し上げられ、長穴12aの下端面41aに突き当たっていた上流側張架ローラ6は、長穴12aに案内されながら、上方へ移動していく。また、底板7の上昇に伴い、フィラー144が図中反時計回りに回転する。シート束1の最上位シート1aが所定の位置にくると、このフィラー144が、透過型光学センサ143の発光部143bの光を遮る。これにより、透過型光学センサ143がシート束1の最上位シート1aが所定の位置に到達したことを検知し、底板7の上昇を停止する。
また、吸着分離ユニット110が、吸着位置に到達したら、揺動モータ30の回転を停止する。揺動モータ30がステッピングモータの場合は、回転角度(パルス数)に基づいて揺動モータ30を制御することにより、吸着分離ユニット110を吸着位置に精度よく停止することができる。揺動モータ30がDCモータの場合は、駆動時間に基づいて揺動モータ30を制御することにより、吸着分離ユニット110を吸着位置に精度よく停止することができる。
図9(d)に示すように、底板7の上昇が停止し、吸着分離ユニット110の下降(揺動)が停止すると、吸着ベルト2のシート束1と対向する領域が、シート束1の最上位シート1aと当接する。吸着ベルト2が最上位シート1aと当接すると、誘電体であるシートには吸着ベルト2の表面の電荷パターンにより形成される不平等電界により、Maxwellの応力が働き、シート束1の最上位シート1aが吸着ベルト2に吸着する。
図9(d)に示す状態にて所定時間待機し、吸着ベルト2に最上位シート1aが吸着したら、揺動モータ30を駆動して、ピニオンギヤ15を時計回りに回転駆動させ、吸着分離ユニット110を、支持軸14を支点にして図中反時計回りに揺動させる。すると、下流側張架ローラ5は、ブラケット12とともにシート束1から離間する方向へ移動する。
一方、上流側張架ローラ6は、自重により、シート束1の上面から動かず、ブラケット12に対して相対的にシート束方向へ移動する。これにより、シート束上面に接触させた吸着ベルト2の表面部分がシート束上面に対して傾斜するように、その表面部分がシート束上面から離間する。これにより、シートが曲げられて、吸着ベルト2の表面部分に吸着している最上位シート1aの部分が、吸着ベルト2の揺動動作に伴ってシート束上面からめくられる。この際、吸着ベルト2に吸着したシートに復元力が働き、最上位シート1aのみを吸着ベルト2に吸着させ、二番目のシート1bをシートの復元力により分離させることができる。
吸着分離ユニット110が、支持軸14を支点にしてさらに図中反時計回りに回動すると、上流側張架ローラ6の軸6aが、長穴12aの下端面41aに突き当たる。このように、上流側張架ローラ6が、長穴12aの下端面41aに突き当たった状態から、さらに吸着分離ユニット110を回動させると、上流側張架ローラ6もブラケット12とともに移動し、上流側張架ローラ6が、シート束1の上面から離間する。
図9(e)に示すように、吸着分離ユニット110がシートを搬送する搬送位置に到達すると、揺動モータ30の駆動を停止する。そして、駆動モータ24を駆動して、吸着ベルト2を無端移動させて、吸着ベルト2に吸着している最上位シート1aを、搬送ローラ対9へ向けて搬送する。吸着ベルト2に静電吸着した最上位シート1aの先端が、吸着ベルト2の下流側張架ローラ5の巻き回し部分に到達すると、曲率分離により吸着ベルト2から分離し、ガイド部材10に案内されながら、搬送ローラ対9へ向けて移動する(図9(e)参照)。
搬送ローラ対9と吸着ベルト2との線速は同一にされており、搬送ローラ対9がタイミングを取って間欠駆動されているような場合は、吸着ベルト2も間欠駆動されるように駆動モータ24を制御する。また、駆動機構130に電磁クラッチを設け、電磁クラッチを制御することにより、吸着ベルト2の駆動を制御してもよい。
また、吸着ベルト2の帯電は、吸着ベルト2のシートの分離位置から、搬送ローラ対9の長さ分だけ行うようにして、それ以降は、帯電部材3で吸着ベルト2を除電するようにしてもよい。これによりシートは、搬送ローラ対9へ搬送された後は吸着ベルト2の影響を受けずに、搬送ローラ対9の搬送力のみによって搬送される。また、吸着ベルト2を除電することによって、2番目のシート1bが、離間した吸着ベルト2に静電吸着するのを抑制することができる。
また、本実施形態においては、ブラケット12に長穴12aを設けて、この長穴12aに上流側張架ローラ6の軸6aを保持しているが、以下の構成であればよい。すなわち、上流側張架ローラ6が、ブラケット12に対して、下流側張架ローラ5を中心にして揺動可能に保持されている構成であること。また、吸着分離ユニット110が給送位置にあるとき、吸着ベルト2のシート束の上面に対する傾斜角度が、所定の角度となるよう、上流側張架ローラ6を支持する構成であること。この2つの構成を備えていればよい。
電荷パターンによる用紙吸着力は最上位シート1aにのみ作用し、二番目のシート1b以下の紙には作用しない。本給紙方式ではピックアップ手段と用紙との間の摩擦力を利用しないので、吸着ベルト2とシート束1との接触圧は充分小さくすることができるので、摩擦による重送を起こさない。
吸着ベルト2は、最上位シート1aの後端が上流側張架ローラ6の対向位置に達する前に、シート束1より離間され二番目のシート1bが吸着ベルト2に吸着されないようにしている。
また、本実施形態においては、ピニオンギヤ15とラックギヤ部13とのギヤの噛み合いにより、吸着分離ユニット110を揺動させる。よって、吸着位置から給送位置への揺動および給送位置から吸着位置の揺動いずれも、揺動モータ30の駆動力により行うことができる。これにより、吸着分離ユニット110の自由落下の速度よりも早く、吸着分離ユニットを、吸着位置まで下降させることができる。よって、1枚目のシート搬送後、すばやく、次のシートの吸着動作を開始することができ、シート間隔を短くすることができる。これにより、生産性を高めることができる。
また、本実施形態においては、揺動機構120を、吸着分離ユニット110の揺動の支点である支持軸14から離れたシート搬送方向下流側に設けている。よって、吸着分離ユニット110のシート搬送方向下流側を、ピニオンギヤ15とラックギヤ部13との噛み合いにより支持することができる。その結果、吸着分離ユニット110が、支持軸14と、揺動機構120とにより両持ち支持され、吸着分離ユニット110を片持ち支持する場合に比べて、吸着分離ユニット110の振動を抑制することができる。これにより、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aが、吸着分離ユニット110の振動により、吸着ベルト2から分離してしまうのを抑制することができる。また、吸着分離ユニット110の揺動の支点である支持軸14から最も離れたシート搬送方向下流側端部で、吸着分離ユニット110に駆動力を伝達して、吸着分離ユニット110を揺動させている。このように、駆動力を伝達する箇所を、支持軸14から離すことで、てこの原理により支持軸側(吸着分離ユニット110のシート搬送方向上流側)で駆動力を伝達する場合に比べて、小さい負荷で、吸着分離ユニット110の揺動を行うことができる。これにより、揺動モータ30の大型化を回避することができ、装置の大型化を抑制することができる。また、ピニオンギヤ15とラックギヤ部13との噛み合い部の磨耗を抑制することができる。
また、吸着分離ユニット110のシート搬送方向下流端部にピニオンギヤ15とラックギヤ部13を設けることで、以下の利点も得ることができる。すなわち、図10に示すように、吸着分離ユニット110の重心Pよりも、ピニオンギヤ15とラックギヤ部13との噛み合い位置Kをシート搬送方向下流側に設けることができるという利点である。噛み合い位置Kが、吸着分離ユニット110の重心Pよりもシート搬送方向上流側にあると、支持軸14と揺動機構の噛み合いにより支持されていない自由端側(噛み合い位置よりもシート搬送方向下流側)に吸着分離ユニット110の重心Pが位置してしまう。その結果、吸着分離ユニット110を揺動させたとき、吸着分離ユニット自身のイナーシャの影響などにより、吸着分離ユニット110の自由端(シート搬送方向下流側端部)が、噛み合い位置Kから重心位置Pの距離に応じて弾性振動してしまう。また、重心位置Pが自由端側にあるため、吸着分離ユニット110が弾性振動した際の振幅も大きくなり、振動の収束も遅くなってしまう。
しかし、本実施形態のように、噛み合い位置Kを吸着分離ユニット110の重心Pよりもシート搬送方向下流側に設けることにより、吸着分離ユニット110の弾性振動を、両端支持の弾性振動にでき、振動の振幅を小さく、かつ収束を早くすることができる。
また、ピニオンギヤ15のラックギヤ部13との噛み合いにより吸着分離ユニット110の位置が保持されるので、揺動モータ30を精度よく制御することにより、吸着分離ユニットの位置を精度よく制御することができる。これにより、吸着分離ユニット110を給送位置に精度よく位置させることができる。特に、本実施形態においては、揺動機構120をシート搬送方向下流側に設けて、揺動の支点である支持軸14から離れた位置に設けている。よって、支持軸14側(シート搬送方向上流側)に設けた場合に比べて、1ピッチあたりの吸着分離ユニット110の移動量を少なくすることができる。これにより、より高精度な吸着分離ユニット110の位置制御を行うことができる。その結果、吸着分離ユニット110を狙いの給送位置に精度よく位置させることができ、搬送ローラ対9のニップにスムーズに最上位シート1aを搬送することができる。これにより、最上位シート1aの先端が、搬送ローラ対9に突き当って、そのときの振動などにより吸着ベルトから分離してしまうのを防止することができる。
また、ラックギヤ部13と、ピニオンギヤ15とをベルト幅方向両端に設けることにより、吸着分離ユニット110のベルと幅方向両端が、ラックギヤ部13とピニオンギヤ15との噛み合いにより支持される。これにより、吸着分離ユニット110の捩れを抑制することができる。また、図11に示すように、ベルト幅方向一端側にのみ、ラックアンドピニオン機構を設けた構成であってもよい。
なお、吸着分離ユニット110を揺動させる揺動機構としては、図12や図13に示すような構成を採用してもよい。図13は、吸着ベルト2などは、図示を省略している。
図12、図13に示す揺動機構120は、ラックアンドピニオンのうち、ピニオンギヤ145を、ブラケット12に設け、ラックギヤ146を装置本体に設けている。図13に示すように、ピニオンギヤ145は、下流側張架ローラ5の軸5aに回転自在に支持されている。ピニオンギヤ145には、プーリ部145aが設けられており、このプーリ部145aと、支持軸14に設けられた従動プーリ47とに第1タイミングベルト48が巻きつけられている。また、この従動プーリ47と、揺動モータ30のモータ軸に設けられた駆動プーリ310とに第2タイミングベルト49が巻きつけられている。これにより、揺動モータ30の駆動力が支持軸14を中継して、ピニオンギヤ145に伝達することができる。よって、上述した駆動機構130と同様、吸着分離ユニット110の揺動によって、第1タイミングベルト48が弛むことなくなり、ピニオンギヤ145に揺動モータ30の駆動力を良好に伝達することができる。
ピニオンギヤ145を吸着分離ユニット110に設ける構成は、吸着分離ユニットの揺動量が多い場合に有利な構成である。これは、ラックギヤは、吸着分離ユニットの揺動量に応じて大きくする必要があるが、ピニオンギヤは、吸着分離ユニットの揺動量に関係なく一定の大きさにすることができる。よって、吸着分離ユニットの大型化を回避することができ、吸着分離ユニットの重量増加による揺動時の負荷の増大を抑制することができる。よって、揺動量が多い場合には、図12、図13に示す揺動機構を採用することで、吸着分離ユニット110の揺動スピードを高速化することができ、生産性を高めることができる。
また、揺動機構を、図14、図15に示すような構成としてもよい。すなわち、吸着分離ユニット110が給送位置にあるとき、シート搬送方向における吸着分離ユニット110の重心の位置Pと、揺動機構120のラックギヤ部13とピニオンギヤ15との噛み合い位置Kとを同じ位置となる構成である。この構成にするため、図15に示すように、ブラケット12のシート搬送方向下流端部に段差部を設け、この段差部にラックギヤ部13を形成している。
吸着分離ユニット110が給送位置で停止したとき、吸着分離ユニット110のイナーシャにより弾性振動する。特に、生産性を高めるために、吸着分離ユニット110を高速で揺動させた場合、吸着分離ユニット110のイナーシャの影響が大きくなり、弾性振動が大きくなりやすい。吸着分離ユニット110が給送位置で弾性振動すると、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aが、吸着ベルト2から分離するおそれがある。
一方、この図14、図15に示す構成では、吸着分離ユニット110が給送位置にあるとき、吸着分離ユニット110の重心の位置Pと、揺動機構120のラックギヤ部13とピニオンギヤ15との噛み合い位置Kとを同じ位置にしている。従って、吸着分離ユニット110が給送位置で停止したときの弾性振動を最も効果的に抑制することができ、最上位シート1aが吸着ベルト2から分離するのを抑制することができる。
さらには、図16や図17に示すような構成を採用してもよい。
図16、図17において、吸着分離ユニット110を揺動させる揺動機構は、ブラケット112、回転ギヤ113、回動軸114、回転ギヤ115及び回転モータ117などを有している。
下流側張架ローラ5と上流側張架ローラ6とのローラ軸と平行で、且つ、繰り出し方向とは反対側の位置に回動軸114を設ける。そして、下流側張架ローラ5と上流側張架ローラ6との両端部を回転可能に支持するブラケット112により、吸着分離ユニット110を上下に揺動させる。回動軸114の軸方向一端側には、回転モータ117のモータ軸116に設けられた回転ギヤ115と噛み合う、回転ギヤ113が設けられている。そして、回転モータ117の回転駆動方向に応じてブラケット112を上下方向に回動させる。
また、図18に示すように、上流側張架ローラ6を、ブラケット12に対して移動不能し、シートの厚みなどの条件に応じて、吸着分離ユニットの給送位置を変更してもよい。
上流側張架ローラ6を、ブラケット12に対して、下流側張架ローラ5を中心にして揺動可能に保持し、給送位置に吸着分離ユニット110があるとき、上流側張架ローラ6を長穴12aの下端41に突き当てた構成においては、次の不具合がある。すなわち、給送時の吸着ベルト2のシート束1に対する傾斜角度が常に一定となってしまうという不具合である。そのため、例えば、厚紙など、シートのコシが強い場合などのとき、最上位シート1aが、吸着ベルト2から剥がれるおそれがある。
一方、図18においては、上流側張架ローラ6を、ブラケット12に対して移動不能に支持している。これにより、紙厚などの条件に応じて、吸着分離ユニット110の揺動範囲を異ならせて吸着分離ユニット110の給送位置を異ならせることができる。この場合、ピニオンギヤ15を固定する回転軸16が、吸着分離ユニット110の揺動範囲(図18の囲われた範囲)内にあると、給送位置によっては、回転軸16が、給送の邪魔となる。よって、この場合は、図18に示すように、回転軸16を、吸着分離ユニット110の揺動範囲外に設けるのが好ましい。また、図19に示すように、揺動モータ30をベルト幅方向両端に設けてもよい。このように構成しても、揺動機構120が、給送の邪魔となるようなことはない。
なお、揺動機構120は、上記構成に限らず、ブラケット12の下流側端部に係合するワイヤーと、このワイヤーを巻き上げる巻上げ装置とで揺動機構120を構成してもよい。
また、図20に示すように、上流側張架ローラ6と下流側張架ローラ5とを、各ブラケット12にシート束上面に対して垂直方向に移動可能に保持するよう構成してもよい。具体的には、図20に示すように、各ブラケット12に上流側長穴12aと、下流側長穴45とを設ける。上流側長穴12aに上流側張架ローラ6の軸6aを貫通させ、下流側長穴45に下流側張架ローラ5の軸5aを貫通させる。また、下流側張架ローラ5は、バネ46によりシート束側へ付勢する。図20に示すように、吸着分離ユニット110が給送位置にあるとき、上流側張架ローラ6の軸6aは、上流側長穴12aの下端41に突き当っており、下流側張架ローラ5の軸5aは、下流側長穴45の下端に突き当っている。また、上流側張架ローラ6が突き当る上流側長穴12aの下端41は、下流側張架ローラ5が突き当る下流側長穴45の下端よりもシート束1側に設けられている。
図21は、図20に示すシート搬送装置200のシート搬送動作について説明する図である。
図21(a)に示すように、通常、底板7は下降位置にあり、吸着分離ユニット110は、吸着位置にあり、給紙信号が入ると、揺動モータ30を駆動して、ピニオンギヤ15を図中時計回りに回転駆動させ、吸着分離ユニット110が、給送位置まで揺動させる。
次に、図21(b)に示すように、駆動モータ24を駆動させて、吸着ベルト2を無端移動させて、吸着ベルト2を帯電させる。帯電が完了したら、図21(c)に示すように、吸着ベルト2の回転を停止するとともに、下降位置で待機していた底板7の上昇を開始する。また、これと前後して、揺動モータ30を逆回転させ、ピニオンギヤ15を図中反時計回りに回転させて、吸着分離ユニット110を、支持軸14を支点にして図中時計回り(シート束に近接する方向)へ揺動させる。底板7が上昇し、吸着分離ユニット110が下降していくと、シート束1の最上位シート1aが、吸着ベルト2を介して上流側張架ローラ6に当接する。さらに、底板7を上昇させ、吸着分離ユニット110を下降させていくと、上流側張架ローラ6が、シート束1により押し上げられ、上流側長穴12aの下端41に突き当っていた上流側張架ローラ6は、上流側長穴12aに案内されながら、上方へ移動していく。また、底板7の上昇に伴い、フィラー144が図中反時計回りに回転する。そして、シート束1の最上位シート1aが所定の位置にくると、このフィラー144が、透過型光学センサ143の発光部143bの光を遮り、シート検知手段140がシート束1の最上位シート1aが所定の位置にきたことを検知し、底板7の上昇を停止する。
また、吸着分離ユニット110を、さらに図中時計回り(シート束に近接する方向)へ揺動させると、下流側張架ローラ5が吸着ベルト2を介してシート束1の最上位シート1aと当接する。この状態から、吸着分離ユニット110を、さらに図中時計回り(シート束に近接する方向)へ揺動させると、図21(d)に示すように、下流側張架ローラ5が、バネ46の付勢力に抗してシート束1により押し上げられる。その結果、下流側長穴45の下端に突き当っていた下流側張架ローラ5は、下流側長穴45に案内されながら、上方へ移動する。そして、揺動モータ30の回転を停止し、吸着分離ユニット110の揺動が停止する。
図21(d)に示すように、吸着分離ユニット110の下降(揺動)が停止すると、上流側張架ローラ6、下流側張架ローラ5いずれも、長穴12a,45の下端から離間する。これにより、各張架ローラ5、6の支持が解除され、各張架ローラ5、6は、シート束に載るような状態となり、吸着分離ユニットに支持されていた吸着ベルト2は、シート束1に支持される形となる。これにより、シート束1の最上位シート1aの高さ方向(図中上下方向)の位置が多少ずれていたり、シート束1が、傾いていたりしても、吸着ベルト2のシート束1と対向する領域を、確実にシート束1の最上位シート1aと当接させることができる。吸着ベルト2が最上位シート1aと当接すると、上述と同様、誘電体であるシートには吸着ベルト2の表面の電荷パターンにより形成される不平等電界により、Maxwellの応力が働き、シート束1の最上位シート1aが吸着ベルト2に吸着する。
上述と同様、図21(d)に示す状態にて所定時間待機し、吸着ベルト2に最上位シート1aが吸着させる。吸着ベルト2に最上位シート1aが吸着したら、揺動モータ30を駆動して、ピニオンギヤ15を時計回りに回転駆動させ、吸着分離ユニット110を、支持軸14を支点にして図中反時計回りに揺動させる。すると、シート束に載っていた下流側張架ローラ5は、下流側長穴45の下端に突き当って、ブラケット12に支持され、ブラケット12とともにシート束1から離間する方向へ移動する。上流側長穴12aの下端41は、下流側長穴45よりもシート束側にあるので、このとき、上流側張架ローラ6は、自重によりシート束1の上面から動かず、ブラケット12に対して相対的にシート束1方向へ移動する。これにより、シートが曲げられて、吸着ベルト2の表面部分に吸着している最上位シート1aの部分が、吸着ベルト2の揺動動作に伴ってシート束上面からめくられ、二番目のシート1bをシートの復元力により分離させる。
吸着分離ユニット110が、支持軸14を支点にしてさらに図中反時計回りに回動すると、上流側張架ローラ6が、長穴12aの下端41に突き当たる。このように、上流側張架ローラ6が、長穴12aの下端41に突き当たった状態から、さらに吸着分離ユニット110を回動させると、上流側張架ローラ6もブラケット12に支持される。そして、ブラケット12とともに移動し、上流側張架ローラ6が、シート束1の上面から離間する。図21(e)に示すように、吸着分離ユニット110がシートを搬送する給送位置に到達すると、揺動モータ30の駆動を停止する。そして、駆動モータ24を駆動して、吸着ベルト2を無端移動させて、吸着ベルト2に吸着している最上位シート1aを、搬送ローラ対9へ向けて搬送する。吸着ベルト2に静電吸着した最上位シート1aの先端が、吸着ベルト2の下流側張架ローラ5の巻き回し部分に到達すると、曲率分離により吸着ベルト2から分離し、ガイド部材10に案内されながら、搬送ローラ対9へ向けて移動する(図21(e)参照)。
図20に示すシート搬送装置においては、吸着ベルト2がシート束の上面に支持された状態で、シート束1の最上位シート1aを吸着ベルト2に吸着することができる。これにより、シート束1の最上位シート1aの高さ方向(図中上下方向)の位置が多少ずれていたり、シート束1が、傾いていたりしても、吸着ベルト2のシート束1と対向する領域を、シート束1の最上位シート1aと確実に当接させることができる。従って、吸着ベルト2のシート束1と対向する領域を、シート束1の最上位シート1aと確実に当接させた状態で、最上位シート1aを吸着ベルト2に吸着させることができる。その結果、確実に最上位シート1aを吸着ベルト2に吸着させることができる。さらに、下流側張架ローラ5を、バネ46によりシート束1側に付勢しているので、下流側張架ローラ5を所定の圧力でシート束1の最上位シート1aに当接させることができる。よって、さらに確実に最上位シート1aを吸着ベルト2に吸着させることができる。
また、通常、吸着ベルト2が、シート束1の最上位シート1aと当接する位置から、吸着分離ユニット110を所定量、図中時計回り(シート束側)へ揺動させるだけで、吸着ベルト2を、シート束1の最上位シート1aと確実に当接させることができる。これにより、吸着ベルト2がシート束1の最上位シート1aに当接したことを検知する手段を設けて、その検知手段の検知結果に基づいて、吸着分離ユニットの揺動を制御する必要がない。従って、簡単な制御で吸着ベルト2のシート束1と対向する領域をシート束1の最上位シート1aに当接させることができる。よって、シート搬送装置200の部品点数を削減することができ、シート搬送装置200のコストダウンを図ることができ、かつ、揺動の制御を簡素化することができる。
また、上述では、ブラケット12に下流側長穴45を設けて、下流側長穴45に下流側張架ローラ5の軸5aを保持しているが、以下の構成であればよい。すなわち、シート束1の上面から離間しているとき、下流側張架ローラ5の軸5aが支持され、かつ、下流側張架ローラ5が、ブラケット12に対して、シート束の上面の垂直方向に移動可能な構成である。
また、図20に示す構成では、下流側張架ローラ5を、バネ46によりシート束1側へ付勢しているが、図22に示すように、バネ46は無くてもよい。図22に示すように、バネ46を無くした構成でも、吸着分離ユニット110が、吸着位置にあるとき、吸着ベルト2は、シート束1に支持され、吸着ベルト2のシート束1と対向する領域を確実にシート束1の最上位シートに当接させることができる。
また、図23に示すように、下流側長穴45を、吸着分離ユニット110の揺動の支点である支持軸14を中心とした円弧形状にしてもよい。このように、下流側長穴45を円弧形状にすることにより、以下の利点を得ることができる。すなわち、下流側張架ローラ5がシート束に当接して、ブラケット12に対して相対的にシート束から離間する方向へ移動するとき、下流側長穴45に軸5aが引っ掛かることない。従って、下流側長穴45に軸5aが、下流側長穴45をスムーズに移動させることができるという利点である。また、下流側張架ローラ5がシート束1の最上位シート1aに当接した状態からブラケット12を、図中時計回りに揺動させても、軸5aが、長穴の短手方向側の面に押されて、下流側張架ローラ5のシート搬送方向の位置が変化することがない。これにより、下流側張架ローラの軸5aと、支持軸14との位置関係を一定に維持することができ、従動タイミングベルト28が撓んだり、伸びたりすることがない。
また、図24に示すように、下流側長穴45の上端が、下端に対してシート搬送方向上流側となるよう、下流側長穴45を傾かせてもよい。これにより、下流側張架ローラの軸5aと下流側長穴45の下端との接触点が、下流側張架ローラ5の中心よりも下流側となる。下流側張架ローラの軸5aは、下流側長穴の下端に向けて付勢されているので、吸着分離ユニット110が、給送位置から吸着位置へ揺動するとき、下流側張架ローラ5が、バネによりシート搬送方向下流側に向けて付勢される。吸着分離ユニットの揺動により、下流側張架ローラ5には遠心力が加わり、下流側張架ローラ5をシート搬送方向下流側へ移動しようとする。しかし、バネにより下流側張架ローラ5は、下流側張架ローラ5の中心よりもシート搬送方向下流側の下流側長穴の下端に既に突き当てられているので、移動することがない。その結果、シート束に当接して、下流側張架ローラ5のブラケット12への支持が解除されて、下流側張架ローラに加わっていた遠心力が無くなっても、下流側張架ローラ5が、シート搬送方向上流側へ移動することがない。これにより、下流側張架ローラ5に振動が生じるのを抑制することができる。
また、図25に示すように、吸着分離ユニット110を吸着位置で停止したとき、下流側長穴45が、シート束に対して垂直方向に延びるように構成してもよい。このように構成することにより、下流側張架ローラ5が、バネ46によりシート束1の上面に対して、垂直方向に真直ぐ付勢される。よって、バネ46で良好に吸着ベルト2をシート束側へ付勢することができ、最上位シート1aを良好に吸着ベルト2に吸着させることができる。
図26は、本実施形態のシート搬送装置の要部を示す図である。
図26に示すようにシート搬送装置200には、吸着ベルト2の内側に配置され、吸着ベルト2をシート束1に向かって押す押し当て部材35が設けられている。押し当て部材35は、板状の部材であり、下流側張架ローラ5の軸5aに回転自在に支持されている。図26(b)に示すように、ハウジング20の部分に圧縮スプリング36が幅方向に所定の間隔を開けて2個、設けられており、圧縮スプリング36により押し当て部材35を吸着ベルト2の押している。
図27は、押し当て部材35を有するシート搬送装置における分離動作について説明する図である。
図27(a)に示すように、吸着ベルト2が、吸着位置にあるとき、押し当て部材35によって吸着ベルト2が最上位シート1aに押し当てられている。
吸着分離ユニット110を揺動させて、吸着ベルト2を吸着位置から搬送位置へ持ち上げていくと、下流側張架ローラ5が持ち上げられ、シート束1の上面から離間していく。一方、上流側張架ローラ6は、自重によりシート束1の上面に当接した状態が維持される。また、押し当て部材35においても、圧縮スプリングの付勢力によりシート束1の上面に当接した状態が維持される。そのため、吸着ベルト2は、押し当て部材35によりシート束側へ押し込まれ、押し当て部材35の押し位置よりもシート搬送方向上流側は、シート束の上面に接触した状態が維持される。一方、吸着ベルト2の押し当て部材35の押し位置よりも下流側は、シート束上面から浮き上がる。これにより、吸着ベルト2に吸着したシートは、押し当て部材35の押し位置より上流側が吸着ベルト2に押さえられながら、押し当て部材35の押し位置より下流側(シート先端側)が吸着ベルト2の吸着力により持ち上げられる。これにより、吸着ベルト2が、押し当て部材35の押し当て位置で屈曲し、吸着ベルト2に吸着したシートが吸着ベルト2の屈曲に倣って屈曲する。これにより、吸着ベルト2に吸着したシートが、曲げられ、2番目のシート1bを最上位シート1aから分離する。その後、図27(b)に示すように、上流側張架ローラ6および押し当て部材35がシート束から離間し、吸着ベルト2が搬送位置まで移動し、吸着ベルト2に吸着した最上位シートが、搬送される。
図28(a)は、最上位シート1aが吸着ベルト2から剥がれない条件を説明する図であり、図28(b)は、2番目のシート1bが最上位シート1aから分離する条件を説明する図である。
図28(a)に示すように、吸着ベルト2を屈曲させても、最上位シートが、吸着ベルト2から剥がれないようにするには、ベルト吸着力FNが、剥がし力以上であることが必要である。また、図28(b)に示すように、最上位シート1aに密着した2番目のシートを屈曲させて、分離させるには、剥がし力が紙間密着力Fa以上である必要がある。すなわち、2番目のシートを分離して、最上位シートのみを吸着ベルト2に吸着させるには、紙間密着力Fa≦剥がし力≦ベルト吸着力FNの関係を満たす必要がある。
剥がし力は、シートの曲率半径をR、シートのヤング率(用紙剛性)をE、シートの断面2次モーメントをI、シート先端からシート屈曲位置(押し当て部材35による押し位置)までの距離Lとすると、剥がし力=2EI/(R×L)となる。
上記関係式からわかるように、厚紙などの剛性が高いシートにおいては、上記関係式の分子の値(2EIの値)が大きい。よって、曲率半径Rや分離する部分の長さをLを大きくして、分母の値を大きくしないと、剥がし力が、ベルト吸着力よりも大きくなる。従って、最上位シート1aが、吸着ベルト2から剥がれるおそれがある。一方、薄紙などの剛性の低いシートにおいては、上記関係式の分子の値(2EIの値)が小さい。よって、曲率半径Rや分離する部分の長さLを小さくして、分母の値を小さくしないと、剥がし力が、紙間吸着力Faよりも小さくなり、2番目のシート1bが最上位シートから剥がれない。このようにシートの剛性が高なるにつれ、曲率半径Rを大きくしシートを軽く曲げるようにしたり、シートの先端から離れた位置でシートを屈曲させたりする必要がある。
先の図26に示す構成においては、押し当て部材35でシートを曲げることで、上流側張架ローラ6でシートを曲げる場合に比べて、大きい曲率半径Rで、2番目のシートを最上位シートから分離させることができる。これにより、吸着分離ユニットの揺動量を抑えることができ、生産性を高めることができる。しかし、先の図27(b)に示すように、厚紙の場合、薄紙の場合いずれも、同じ曲率半径R、同じ長さLで分離される。そのため、薄紙などの剛性の弱いシートにおいて、2番目のシートが最上位シートから分離できないおそれがあった。
そこで、本実施形態においては、シートの剛性に応じて、シートの屈曲位置を変更して、シート先端からシート屈曲位置までの距離Lを変更できるようにした。
図29は、シートの屈曲位置を変更するための屈曲位置変更手段としての吸着分離ユニット移動機構80を備えたシート搬送装置200の模式図である。また、図30は、図29のシート搬送装置を下から見た断面図である。
吸着分離ユニット移動機構80は、吸着分離ユニット110の上方に設けられており、吸着分離ユニット110を給紙カセット11に対してシート搬送方向上流側および下流側に移動させるものである。吸着分離ユニット移動機構80は、吸着分離ユニット110を保持する保持部材81、保持部材81をシート搬送方向に移動させる移動ベルト82ベルト18を備えている。
保持部材81は、上面と、上面のシート幅方向両端から垂直に立ち下がった側面とを有している。保持部材81の側面のシート搬送方向両端部付近には、図30に示すように、シート搬送方向に延びる長穴状の支持穴81aが設けられている。これら、支持穴81aにシート搬送装置200の前後側板97,98に設けられた支持部材99が貫通して、保持部材81を支持している。これにより、保持部材81は、シート搬送方向には移動可能であるが、上下および幅方向に移動不可能に支持される。保持部材81の上面のシート幅方向両端部には固定部材83が設けられており、この固定部材83は、それぞれ移動ベルト82に固定されている。
移動ベルト82は、シート搬送装置200の前後側板97,98に回転自在に支持された駆動軸82aと従動軸82bに張架されている。駆動軸82aは、シート幅方向一端から他端まで延びており、1本の駆動軸82aで、シート幅方向両端に設けられた移動ベルト82を張架している。一方、従動軸82bは、前側板97と後側板98とにそれぞれ設けられている。
ギヤなどの駆動伝達部材(不図示)を介して移動モータ85からの駆動力が駆動軸82aに伝達され、駆動軸82aが回転駆動することで、移動ベルト82が回転し、保持部材81に保持された吸着分離ユニット110がシート搬送方向へ移動する。
また、図29に示すように、移動ベルト82の位置を検知するベルト位置検知センサ84が設けられている。ベルト位置検知センサ84は、例えば、反射型光学センサを用いることができ、移動ベルト82に設けられた不図示の反射部を検知することで、移動ベルト82の位置を検知することができる。この不図示の反射部は、吸着分離ユニット110が初期位置に位置するときに、ベルト位置検知センサ84で検知されるよるに、移動ベルト82に設けられている。
移動モータ85には、制御部86が接続されている。制御部86には、操作パネル87からユーザーが入力したシート情報が入力される。また、制御部86には、ベルト位置検知センサ84から移動ベルト82の位置情報が入力される。制御部86は、操作パネル87からのシート情報とベルト位置検知センサ84から移動ベルト82の位置情報とに基づいて、移動モータ85を制御し、吸着分離ユニット110をシート搬送方向させて、シートの剛性に対応した位置でシートを屈曲させる。
また、図29に示すように、吸着分離ユニット110は、吸着ベルト2に吸着した最上位シートを案内する上流側ガイド10aも保持している。
図31は、吸着ベルト2と、上流側ガイド10aと、下流側ガイド10bと搬送ローラ対9とを示す斜視図である。図31(a)は、吸着位置のときの斜視図であり、図31(b)は、搬送位置のときの斜視図である。
図に示すように、吸着分離ユニット110と一体でシート搬送方向に移動する上流側ガイド10aの下流側端部には、複数の凸部112が設けられている。また、下流側ガイド10bの上流端部には、前記凸部112が入り込む溝部111が設けられている。
吸着分離ユニット110が、シート搬送方向移動範囲における最上流に位置しているとき、この上流側ガイド10aと、下流側ガイド10bとの隙間が大きいと、シートがその隙間に引っ掛かり、搬送不良が生じてしまう。吸着分離ユニット110が、シート搬送方向移動範囲における最上流に位置しているとき、この上流側ガイド10aと、下流側ガイド10bとの隙間が小さいと、以下の不具合が生じる。すなわち、吸着分離ユニット110を、シート搬送方向下流側へ移動させたとき、上流側ガイド10aが下流側ガイドにぶつかるという不具合である。
しかし、図31に示すように、各ガイド10a,10bを構成することにより、吸着分離ユニット110が、シート搬送方向移動範囲における最上流に位置しているときも、シートが下流側ガイド10bに引っ掛かることなく、搬送することができる。また、吸着分離ユニット110を、シート搬送方向下流側へ移動させたとき、上流側ガイド10aが下流側ガイドにぶつかるのを防止することができる。
図32(a)は、厚紙などの剛性の高いシートの場合のシート分離について説明する図であり、図32(b)は、薄紙などの剛性の低いシートの場合のシート分離について説明する図である。
図32(a)に示すように、厚紙などの剛性の高いシートのときは、吸着分離ユニット110を、シート搬送方向移動範囲の最上流側に位置させる。これにより、シートをシートの先端から遠い距離L1の位置でシートを屈曲させることができる。このように、シートの剛性が高い場合は、シートの先端から離れた位置で、シートを屈曲させるので、剥がし力が、ベルト吸着力FNよりも大きくなるのを防止することができる。これにより、剛性の高いシートにおいて、最上位シート1aが吸着ベルト2から剥がれてしまうのを防止することができる。
吸着ベルト2が、薄紙などの剛性の低いシートを吸着する場合は、図32(b)に示すように、移動モータ85により移動ベルト82を図中反時計回りに回転させ、吸着ベルト2をシート搬送方向下流側へ移動させる。そして、吸着分離ユニット110が、移動範囲の最下流側に位置したら移動モータ85の駆動を停止する。これにより、剛性の低いシートのときは、シートをシートの先端近傍の、距離L2の位置でシートを屈曲させることができる。これにより、剥がし力が、紙間密着力Faよりも弱くなるのを防止することができ、2番目のシートを良好に最上位シート1aから分離させることができる。
このように、本実施形態においては、シートの剛性に応じて、シートの屈曲位置を変更することで、シートの剛性によらず、良好な分離性を得ることができる。
また、本実施形態においては、押し当て部材35を設け、押し当て部材35によりシートを屈曲させている。これにより、上流側張架ローラ6によりシートを屈曲させる場合に比べて、次の利点を有する。すなわち、上流側張架ローラ6でシートを屈曲させる場合、シート先端から屈曲位置までの距離=最上位シートが吸着ベルトに吸着している長さとなる。従って、図32(b)に示す位置で、シートを屈曲させる場合、最上位シートは、シート先端部の僅かな範囲しか吸着ベルトに吸着していないことになる。そのため、最上位シート搬送時に、振動などにより容易に最上位シートが吸着ベルトから剥がれてしまうおそれがある。そのため、上流側張架ローラ6でシートを屈曲させる場合、最上位シートが吸着ベルトに吸着している長さを確保するために、上記もL1,L2より長くする必要が生じる。従って、本実施形態よりもシート先端から離れた位置でシートを屈曲させるため、良好な分離性を得るのは、本実施形態よりも、曲率半径Rを小さくする必要がある。その結果、本実施形態よりも吸着ベルト2の揺動範囲を大きくする必要が生じ、生産性が低下してしまう。
一方、本実施形態においては、押し部材を設けることで、シートの先端部付近でシートを屈曲させても、最上位シートは、十分な範囲で吸着ベルトに吸着している。よって、搬送時に最上位シートが吸着ベルト2から剥がれるのを抑制することができる。また、シート先端部近傍で、シートを屈曲させることができ、吸着ベルト2の揺動範囲が狭くとも、良好な分離性を得ることができる。これにより、生産性を高めることができる。
図33は、シート搬送動作の制御フロー図である。
図33に示すように制御部86は、シート搬送開始の信号を受けると、給紙カセット11に収納されている紙種情報を取得する(S1)。具体的には、給紙カセット11に積載するシートを交換した際、ユーザーは、操作パネル87を操作して、給紙カセット11にセットしたシートの情報を入力する。例えば、操作パネル87の操作で、給紙カセット11に収納されたシートが、厚紙、普通紙、薄紙かを選択できるようになっている。制御部86は、操作パネル87により入力された紙厚情報を、不図示の不揮発性メモリに記憶しておく。シート搬送開始信号を制御部86が受けたら、不図示の不揮発性メモリから紙厚情報を読み出すことで、紙種情報を取得することができる。
紙種情報を取得したら、制御部86は、移動モータ85を駆動し、移動ベルト82を回転させて、吸着分離ユニット110をベルト位置検知センサ84がベルト位置を検知する初期位置(ホームポジション)へ移動させる(S2)。この初期位置は、例えば、吸着分離ユニットのシート搬送方向の移動範囲における下流側端部または、上流側端部である。吸着分離ユニット110が初期位置に来ると、ベルト位置検知センサ84が、ベルト位置検知信号を制御部86へ送信する。制御部86は、ベルト位置検知センサ84からベルト位置検知信号を受信したら(S3のYES)、取得した紙種に対応する指定の量、吸着分離ユニット110をシート搬送方向に移動させる(S4)。吸着分離ユニット110が、指定の量移動したら、駆動を停止する(S5)。
次に、上述と同様にして、揺動モータ30を駆動して、吸着ベルト2を搬送位置から吸着位置へ揺動させて(S6)、最上位シートを吸着させる(S7)。なお、吸着ベルト2を紙種に対応した位置へ移動させる制御と平行して、吸着ベルト2を回転駆動させて吸着ベルトを帯電させる制御が行われている。吸着ベルト2に最上位シート1aが吸着したら、吸着分離ユニット110を揺動させて、吸着ベルト2を搬送位置へ移動させる(S8)。吸着ベルト2を回転駆動させて(S9)、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aを搬送する。そして、次のシートの搬送信号がある場合(S10のYES)は、S6以下のステップを繰り返し行う。
上述では、シートの搬送開始時に、吸着分離ユニット110を初期位置に移動させているが、シートの搬送が終了した後、吸着分離ユニット110を初期位置に移動させてもよい。
図34は、吸着分離ユニット移動機構180の変形例を示す模式図である。
図34に示すように、変形例の吸着分離ユニット移動機構180は、移動ベルト82に変えて、偏心カム182により、吸着分離ユニット110をシート搬送方向に移動させるものである。この変形例においては、保持部材81の上面に、偏心カム182に突き当てる突き当て部材183が設けられており、この突き当て部材183は、付勢スプリング186により偏心カム182側に付勢されている。
移動モータ185により、カム駆動軸182aが回転されることで偏心カム182が回転駆動させる。これにより、付勢スプリング186により偏心カム182に接するように配置された突き当て部材183がシート搬送方向に移動し、保持部材81に保持された吸着分離ユニット110が、保持部材81とともにシート搬送方向に移動する。
図35(a)は、変形例の吸着分離ユニット移動機構180を備えたシート搬送装置において、剛性が高いシートを搬送するときについて説明する図である。また、図35(b)は、変形例の吸着分離ユニット移動機構180を備えたシート搬送装置において、剛性の低いシートを搬送するときについて説明する図である。
図35(a)に示すように、剛性が高いシートのときは、偏心カム182のカム駆動軸182aからの距離が最も短い箇所が、突き当て部材183に接触する位置で、偏心カム182の駆動を停止させる。これにより、吸着分離ユニット110が、シート搬送方向最上流に位置し、シート先端から離れた位置で、シートが押し当て部材35により屈曲せしめられる。これにより、剥がし力が、ベルト吸着力FNよりも大きくなるのを防止することができ、剛性の高いシートにおいて、最上位シート1aが吸着ベルト2から剥がれてしまうのを防止することができる。
また、図35(b)に示すように、剛性の低いシートにおいては、偏心カム182のカム駆動軸182aからの距離が最も長い箇所が、突き当て部材183に接触する位置で、偏心カム182の駆動を停止させる。これにより、吸着分離ユニット110が、シート搬送方向最下流に位置し、シート先端近傍で、シートが押し当て部材35により屈曲せしめられる。これにより、剥がし力が、紙間密着力Faよりも弱くなるのを防止することができ、2番目のシートを良好に最上位シート1aから分離させることができる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
積載されたシート束1の上面に対向配置された回転可能な無端状の吸着ベルト2と、シート束1の最上位シート1aを吸着ベルト2に吸着させる帯電部材3などの吸着手段とを備え、吸着ベルト2に吸着したシートを屈曲させて、シート束の最上位シート以外のシートを吸着ベルト2から分離させた後、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aを搬送するシート搬送装置において、吸着ベルト2に吸着したシートのシート搬送方向における屈曲位置を変更する吸着分離ユニット移動機構80などの屈曲位置変更手段を備えた。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、シートの剛性に応じて、シートの屈曲位置を変更することが可能となる。従って、薄紙などの剛性の低いシートにおいては、シートの先端部付近が屈曲するように、屈曲位置を変更すれば、良好に2番目のシート1bを最上位シート1aから分離させることができる。また、厚紙などの剛性の高いシートにおいては、シート先端部から離れた位置でシートが屈曲するように、屈曲位置を変更すれば、最上位シート1aが吸着ベルト2から分離するのを抑制することができる。これにより、シートの剛性によらず、良好な分離性を得ることができる。
(態様2)
(態様1)において、吸着分離ユニット移動機構180などの屈曲位置変更手段は、吸着ベルト2の最上位シート1aが吸着する吸着領域を屈曲させる押し当て部材35などの屈曲部材を備え、少なくとも屈曲部材を、シート搬送方向に移動させて、屈曲位置を変更する。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、屈曲位置を変更することができる。
(態様3)
また、(態様2)において、吸着ベルト2と、押し当て部材35などの屈曲部材とを保持した吸着分離ユニット110を備え、吸着分離ユニット移動機構80などの屈曲位置変更手段は、吸着分離ユニット110をシート搬送方向に移動させることで、屈曲位置を変更する。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、屈曲位置を変更することができる。
(態様4)
(態様3)において、吸着分離ユニット110は、吸着ベルト2により搬送されたシートを、搬送ローラ対9へガイドする上流側ガイド10aなどのガイド部材を保持しており、ガイド部材のシート搬送方向下流側に配置された下流側ガイド10bなどの搬送ガイド部材のシート搬送方向上流側端部に複数の溝部111を設け、ガイド部材のシート搬送下流側端部に複数の溝部111に入り込む凸部112などの突起部を設けた。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、吸着分離ユニット110をシート搬送方向下流側へ移動させたとき、上流側ガイドなどのガイド部材が、下流側ガイド10bの搬送ガイド部材に突き当たるのを防止することができる。また、吸着分離ユニット110をシート搬送方向上流側へ移動させたとき、搬送されたシートがガイド部材と搬送ガイド部材との間で引っ掛かるのを防止することができる。
(態様5)
また、(態様1)乃至(態様4)いずれかにおいて、積載されたシート束1のシート情報を入力する操作パネル87などの入力手段を備え、吸着分離ユニット移動機構80などの屈曲位置変更手段は、入力手段に入力されたシート情報に基づいて、屈曲位置を変更する。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、シートに応じた屈曲位置で、シートを屈曲させることができる。
(態様6)
(態様5)において、吸着分離ユニット移動機構80などの屈曲位置変更手段は、吸着ベルト2に吸着させるシートの剛性が低いほど、屈曲位置を、シート搬送方向上流側へ変更する。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、シートの不剛性によらず、良好な分離性を得ることができる。
(態様7)
(態様1)乃至(態様6)いずれかにおいて、吸着手段は、シートが静電的に吸着ベルト2に吸着するように、吸着ベルト表面を帯電させる帯電部材3などの帯電手段であり、シート束1の最上位シート1aを吸着ベルト2に接触させ吸着させる吸着位置関係と、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aを搬送する、吸着位置関係よりもシート束から離れた搬送位置関係とを取りうるように、吸着ベルト2およびシート束1の少なくとも一方を移動させる揺動機構120などの移動手段を備えた。
かかる構成を備えることで、最上位シートを良好に吸着ベルト2に吸着させることができ、かつ、シート搬送時において、シート束上のシートが吸着ベルト2に吸着したシートとの摩擦力で搬送されてしまうのを防止することができる。
(態様8)
また、(態様7)において、吸着ベルト2を張架する下流側張架ローラ5などの第1張架ローラと、第1張架ローラのシート搬送方向上流側に位置する上流側張架ローラ6などの第2張架ローラとを有する吸着分離ユニット110を備え、揺動機構120などの移動手段は、第2張架ローラよりもシート搬送方向上流側に設けられた支点を中心にして吸着分離ユニット110を揺動させることで、吸着ベルト2を移動させる。
これにより、実施形態で説明したように、吸着ベルト2に吸着した最上位シートをめくり上げるように、シート束から分離することができ、良好な分離性を得ることができる。
(態様9)
(態様8)において、揺動機構120などの移動手段は、吸着分離ユニット110のシート搬送方向下流側端部に取り付けられた第1駆動伝達部と、装置本体に取り付けられた第1駆動伝達部と噛み合う第2駆動伝達部とを備え、第1駆動伝達部と、第2駆動伝達部との噛み合いにより吸着分離ユニット110を揺動させる。
かかる構成を備えることにより、上述したように、吸着分離ユニット110の揺動時に吸着分離ユニット110を両持ち支持することができ、吸着分離ユニット110の振動を抑制することができる。また、第1駆動伝達部と第2駆動伝達部との噛み合い位置を、吸着分離ユニット110の揺動の支点から離すことができるので、揺動機構120にかかる負荷を低減することができる。これにより、揺動モータ30の大型化を回避することができ、かつ、第1駆動伝達部と第2駆動伝達部との噛み合い部の磨耗を抑制することができる。
(態様10)
また、(態様7)乃至(態様9)いずれかにおいて、吸着ベルト2を張架する下流側張架ローラ5などの第1張架ローラと、第1張架ローラのシート搬送方向上流側に位置する上流側張架ローラ6などの第2張架ローラとを有する吸着分離ユニット110を備え、吸着分離ユニット110は、張架ローラが、シート束の最上位シートに吸着ベルトを介して当接すると、張架ローラの支持が解除されるように、各張架ローラを支持した。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、シート束1の最上位シート1aの高さ方向(図中上下方向)の位置が多少ずれていたり、シート束1が、傾いていたりしても、吸着ベルト2を、シート束1の最上位シート1aと確実に当接させることができる。
(態様11)
また、(態様7)乃至(態様10)いずれかにおいて、吸着ベルト2を張架する下流側張架ローラ5などの第1張架ローラと、第1張架ローラのシート搬送方向上流側に位置する上流側張架ローラ6などの第2張架ローラとを有する吸着分離ユニット110を備え、吸着分離ユニット110は、第2張架ローラを、シート束の上面に対して所定範囲垂直方向に移動可能に支持した。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、シートの復元力を利用した分離を行えることができ、良好な分離性能を得ることができる。また、吸着分離ユニット110を揺動させるだけで、吸着ベルト2をシート束1の上面から離間させることができる。
(態様12)
シートに画像を形成する画像形成部50などの画像形成手段と、積載されたシート束から最上位シートを分離し、前記画像形成手段へ最上位シートを搬送するシート搬送装置200などのシート搬送手段とを備えた複写機100などの画像形成装置において、シート搬送手段として、(態様1)乃至(態様11)いずれかのシート搬送装置を有する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、高剛性のシートを用いた場合に吸着ベルトに吸着したシートが剥がれてしまうのを抑制することができ、良好なシート搬送を行って画像形成を行うことができる。また、低剛性のシートを用いた場合でも重送が生じるのを抑制することができ、ジャムが発生するのを抑制することができる。
1 シート束
1a 最上位シート
1b 2番目のシート
2 吸着ベルト
3 帯電部材
4 帯電電源
5 下流側張架ローラ
6 上流側張架ローラ
7 底板
8 支持部材
9 搬送ローラ対
10 ガイド部材
10a 上流側ガイド
10b 下流側ガイド
11 給紙カセット
12 ブラケット
12a 上流側長穴
12b 押し部材用長穴
13 ラックギヤ部
14 支持軸
15 ピニオンギヤ
16 回転軸
20 ハウジング
20a ハウジング本体部
20b 軸孔部
20c 固定用ビス
21 スプリング
22 軸受
23 リブ
24a モータ軸
24 駆動モータ
25 従動第2プーリ
26a 従動第1プーリ
26b 駆動第2プーリ
27 駆動第1プーリ
28 従動タイミングベルト
29 駆動タイミングベルト
30 揺動モータ
30a モータ軸
31 モータギヤ
32 従動ギヤ
35 押し当て部材
36 圧縮スプリング
41a 下端
46 バネ
47 従動プーリ
48 第1タイミングベルト
49 第2タイミングベルト
50 画像形成部
52 給紙部
53 レジストローラ
54 転写装置
55 定着装置
56 排紙ローラ対
57 排紙トレイ
58 原稿読取部
59a 原稿トレイ
59 自動原稿搬送装置
61 感光体
62 帯電装置
63 レーザー光
64 現像装置
65 感光体クリーニング装置
70 補強部材
80 吸着分離ユニット移動機構
81 保持部材
81a 支持穴
82 移動ベルト
82a 駆動軸
82b 従動軸
83 固定部材
84 ベルト位置検知センサ
85 移動モータ
86 制御部
87 操作パネル
97 前側板
98 後側板
99 支持部材
100 複写機
103 電極部材
110 吸着分離ユニット
112 ブラケット
113 回転ギヤ
114 回動軸
115 回転ギヤ
116 モータ軸
117 回転モータ
120 揺動機構
140 シート検知手段
142 軸
143 透過型光学センサ
143a 受光部
143b 発光部
144 フィラー
180 吸着分離ユニット移動機構
182 偏心カム
182a カム駆動軸
183 突き当て部材
185 移動モータ
186 付勢スプリング
200 シート搬送装置
特開2010−126317号公報

Claims (12)

  1. 積載されたシート束の上面に対向配置された回転可能な無端状の吸着ベルトと、
    前記シート束の最上位シートを前記吸着ベルトに吸着させる吸着手段とを備え、
    前記吸着ベルトに吸着したシートを屈曲させて、前記シート束の最上位シート以外のシートを吸着ベルトから分離させた後、前記吸着ベルトに吸着した最上位シートを搬送するシート搬送装置において、
    前記吸着ベルトに吸着したシートのシート搬送方向における屈曲位置を変更する屈曲位置変更手段を備えたことを特徴とするシート搬送装置。
  2. 請求項1に記載のシート搬送装置において、
    前記屈曲位置変更手段は、前記吸着ベルトの前記最上位シートが吸着する吸着領域を屈曲させる屈曲部材を備え、
    少なくとも前記屈曲部材を、シート搬送方向に移動させて、前記屈曲位置を変更することを特徴とするシート搬送装置。
  3. 請求項2に記載のシート搬送装置において、
    前記吸着ベルトと、前記屈曲部材とを保持した吸着分離ユニットを備え、
    前記屈曲位置変更手段は、前記吸着分離ユニットをシート搬送方向に移動させることで、前記屈曲位置を変更することを特徴とするシート搬送装置。
  4. 請求項3に記載のシート搬送装置において、
    前記吸着分離ユニットは、前記吸着ベルトにより搬送されたシートを、搬送ローラ対へガイドするガイド部材を保持しており、
    前記ガイド部材のシート搬送方向下流側に配置された搬送ガイド部材のシート搬送方向上流側端部に複数の溝部を設け、前記ガイド部材のシート搬送下流側端部に前記複数の溝部に入り込む突起部を設けたことを特徴とするシート搬送装置。
  5. 請求項1乃至4いずれかに記載のシート搬送装置において、
    前記積載されたシート束のシート情報を入力する入力手段を備え、
    前記位置変更手段は、前記入力手段に入力されたシート情報に基づいて、前記屈曲手段をシート搬送方向に移動させて、屈曲位置を変更することを特徴とするシート搬送装置。
  6. 請求項5に記載のシート搬送装置において、
    前記屈曲位置変更手段は、前記吸着ベルトに吸着させるシートの剛性が低いほど、前記屈曲位置を、シート搬送方向上流側へ変更することを特徴とするシート搬送装置。
  7. 請求項1乃至6いずれかに記載のシート搬送装置において、
    前記吸着手段は、前記シートが静電的に前記吸着ベルトに吸着するように、前記吸着ベルト表面を帯電させる帯電手段であり、
    前記シート束の最上位シートを前記吸着ベルトに吸着させる、シート束と最上位シートとが接触関係にある吸着位置関係と、前記吸着ベルトに吸着した最上位シートを搬送する、吸着ベルトとシート束とが離間した関係にある搬送位置関係とを取りうるように、前記吸着ベルトおよび前記シート束の少なくとも一方を移動させる移動手段を備えたことを特徴とするシート搬送装置。
  8. 請求項7に記載のシート搬送装置において、
    前記吸着ベルトを張架する第1張架ローラと、該第1張架ローラのシート搬送方向上流側に位置する第2張架ローラとを有する吸着分離ユニットを備え、
    前記移動手段は、前記第2張架ローラよりもシート搬送方向上流側に設けられた支点を中心にして前記吸着分離ユニットを揺動させることで、前記搬送位置関係と前記吸着位置関係とを取るように構成したことを特徴とするシート搬送装置。
  9. 請求項8に記載のシート搬送装置において、
    前記移動手段は、吸着分離ユニットのシート搬送方向下流側端部に取り付けられた第1駆動伝達部と、装置本体に取り付けられた上記第1駆動伝達部と噛み合う第2駆動伝達部とを備え、上記第1駆動伝達部と、上記第2駆動伝達部との噛み合いにより上記吸着分離ユニットを揺動させることを特徴とするシート搬送装置
  10. 請求項7乃至9いずれかに記載のシート搬送装置において、
    前記吸着ベルトを張架する第1張架ローラと、該第1張架ローラのシート搬送方向上流側に位置する第2張架ローラとを有する吸着分離ユニットを備え、
    前記吸着分離ユニットは、前記第1張架ローラおよび前記第2張架ローラが、前記シート束の最上位シートに上記吸着ベルトを介して当接すると、前記第1張架ローラおよび前記第2張架ローラの支持が解除されるように、各張架ローラを支持したことを特徴とするシート搬送装置。
  11. 請求項7乃至10いずれかに記載のシート搬送装置において、
    前記吸着ベルトを張架する第1張架ローラと、該第1張架ローラのシート搬送方向上流側に位置する第2張架ローラとを有する吸着分離ユニットを備え、
    前記吸着分離ユニットは、前記第2張架ローラを、シート束の上面に対して所定範囲垂直方向に移動可能に支持したことを特徴とするシート搬送装置。
  12. シートに画像を形成する画像形成手段と、
    積載されたシート束から最上位シートを分離し、前記画像形成手段へ前記最上位シートを搬送するシート搬送手段とを備えた画像形成装置において、
    前記シート搬送手段として、請求項1乃至11いずれかに記載のシート搬送装置を有することを特徴とする画像形成装置。
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