JP2014213373A - 超音波衝撃処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼構造物の溶接止端部に超音波衝撃処理を施す際、溶接止端部に繰返し作用する荷重が大きい場合においても、溶接止端部の疲労特性を向上させる。
【解決手段】溶接部を有する鋼構造物の溶接止端部に超音波衝撃処理を施して、該溶接止端部の疲労強度を改善する超音波衝撃処理方法において、(i)上記溶接止端部に荷重を負荷する工程と、(ii)荷重を負荷した後、荷重を解除し、溶接止端部に超音波衝撃処理を施す工程からなることを特徴とする超音波衝撃処理方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、溶接部を有する鋼構造物、例えば、自動車、家電・重電分野などの部品等に利用する溶接止端部の疲労強度の向上を図る超音波衝撃処理方法に関する。
溶接部を有する鋼構造物の溶接止端部に繰返し荷重が作用すると、疲労き裂が発生して破壊に至ることがある。このような溶接止端部の疲労破壊を克服する方法の一つとして、溶接部等の疲労強度の向上を目的とする超音波衝撃処理が知られている。
例えば、超音波衝撃処理を溶接部及び機械加工穴に適用して疲労強度を向上させる方法が特許文献1に開示されている。また、突合せ溶接継手の溶接止端部近傍を超音波打撃処理して突合せ溶接継手の疲労強度を向上させる方法が、本発明者らによる特許文献2に開示されている。
超音波衝撃処理とは、超音波発生機から発生した数十kHzの超音波振動をピン等の工具を介して対象物に押し当てて、塑性変形により表面形状を改善しつつ、同時に、表面近傍の残留応力の改善を行う処理である。
しかし、溶接止端部に超音波衝撃処理を施した溶接構造物において、溶接止端部に繰返し作用する荷重が小さい場合には、超音波衝撃処理により大きな疲労強度の向上効果が得られるが、溶接止端部に繰返し作用する荷重が大きい場合には、超音波衝撃処理による疲労強度の向上効果が十分に得られない場合がある。
米国特許第6338765号明細書 特開2010−142870号公報
本発明は、従来技術の現状に鑑み、鋼構造物の溶接止端部に超音波衝撃処理を施す際、溶接止端部に繰返し作用する荷重が大きい場合においても、溶接止端部の疲労特性を向上させることを課題とし、該課題を解決する超音波衝撃処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、溶接止端部に繰返し作用する荷重が大きい場合に、超音波衝撃処理による疲労強度の向上効果が十分に得られない場合があることの原因を鋭意検討し、次のことを突き止めた。
即ち、溶接止端部には、溶接によって生じた、溶接止端部の表面から内部に及ぶ引張残留応力が存在している。その状態の溶接止端部に超音波衝撃処理を施すと、溶接止端部の表面では、引張残留応力が圧縮残留応力に変化するが、内部では、超音波衝撃処理前よりも高い引張残留応力に変化する。
そして、溶接止端部に繰返し作用する荷重が大きいと、内部から降伏が始まる。内部から始まった降伏が、表面の圧縮残留応力を低減し、また、場合によっては、引張残留応力に変化させる。このことが、溶接止端部の疲労特性が十分に向上しない原因である。
本発明者らは、溶接止端部に超音波衝撃処理を施す前に、溶接部を焼鈍すると、超音波衝撃処理後の内部の大きな引張残留応力が低減し、溶接止端部に繰返し作用する荷重が大きい場合にも、表面の圧縮残留応力が低下せず、溶接止端部の疲労強度が著しく向上することを突き止めたが(特願2012−028244号)、さらに、溶接部に、焼鈍を施す替わりに荷重を負荷しても、同様の効果が得られることを突き止めた。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)溶接部を有する鋼構造物の溶接止端部に超音波衝撃処理を施して、該溶接止端部の疲労強度を改善する超音波衝撃処理方法において、(i)上記溶接止端部に荷重を負荷する工程と、(ii)荷重を負荷した後、荷重を解除し、溶接止端部に超音波衝撃処理を施す工程
からなることを特徴とする超音波衝撃処理方法。
(2)前記荷重を負荷する工程において、負荷する荷重C[MPa]が、下記式(1)を満たすことを特徴とする前記(1)に記載の超音波衝撃処理方法。
0.3×A≦C<B ・・・(1)
A:鋼構造物を構成する鋼材の降伏強度YP[MPa]
B:鋼構造物を構成する鋼材の引張強度TS[MPa]
本発明によれば、溶接部を有する鋼構造物において、溶接止端部に超音波衝撃処理を行う前に荷重を負荷し解除することにより、超音波衝撃処理後の溶接止端部に繰返し作用する荷重が大きい場合でも、溶接止端部の疲労強度が著しく向上する。
超音波衝撃処理(UIT)の有りと無しの試験体についての、溶接止端部の表面からの深さに対する残留応力分布を示す図である(縦軸において、−は圧縮残留応力、+は引張残留応力)。 溶接止端部にそのまま超音波衝撃処理を施した場合と、溶接後荷重を負荷した後、荷重を解除して超音波衝撃処理を施した場合における、溶接止端部の表面からの深さ方向における残留応力分布を示す図である。 各種試験条件における十字溶接継手の疲労試験による寿命評価結果を示す図である。
本発明者らは、溶接後、溶接止端部に超音波衝撃処理を施したにもかかわらず、処理後の溶接止端部に繰返し作用する荷重が大きいために、溶接止端部の疲労強度が十分に改善されない場合について、次のような実験を行って、溶接止端部の表面から内部の応力状態を詳細に調査し、溶接止端部の疲労強度が十分に改善されない理由を検討した。
板厚16mmの溶接用圧延鋼板SM490(降伏強度YP=345MPa、引張強度=531MPa)を供試材とし、これらの鋼板を溶接した十字溶接継手について、溶接止端部への超音波衝撃処理の有りと無しの試験体をそれぞれ用意し、それぞれの試験体について、溶接止端部に繰返し作用する荷重を負荷して疲労試験を行った。
溶接継手の疲労特性は、溶接止端部にき裂が生じるまで加えた荷重の繰返し回数で評価した。そして、表面から内部の応力状態を、中性子回折法を用いて測定した。
図1に、超音波衝撃処理(UIT)の有りと無しの試験体についての、溶接止端部の表面からの深さに対する応力分布を示す。図1において、横軸は溶接止端部における表面からの深さDepth[mm]、縦軸は疲労強度を考える上で重要となる溶接に沿った方向に垂直な方向の応力σT[MPa]である。
×は超音波衝撃処理(UIT)無しの場合の応力分布を示し、●は超音波衝撃処理有りの場合の応力分布を示す。なお、図1の縦軸において、−は圧縮残留応力を示し、+は引張残留応力を示す。図1より、深さ3〜8mmにおいては、溶接ままの溶接継手よりも超音波衝撃処理を施した溶接継手の方が、溶接止端部の内部における引張残留応力が高いことが解る。
このことから、溶接止端部に超音波衝撃処理を施すと、溶接止端部内部の引張残留応力が高くなることが、溶接止端部に繰返し作用する荷重が大きい場合に、溶接止端部の疲労強度が改善されない原因であるとの結論に達した。
そこで、溶接止端部に超音波衝撃処理を施しても、溶接止端部内部の引張残留応力が高くならないようにする方法について、さらに実験を行って検討した。その結果、溶接後に溶接継手に荷重を負荷し、その後、荷重を解除して溶接止端部に超音波衝撃処理を施すと、溶接止端部に繰返し作用する荷重が大きい場合でも、超音波衝撃処理後の溶接継手においては、溶接止端部の疲労強度が、溶接ままの溶接継手よりも大きく改善されることが判明した。
図1を作成した実験と同様に作製した十字継手について、超音波衝撃処理を、溶接止端部に荷重を負荷した後、荷重を解除して施した試験体と、荷重を負荷することなく超音波衝撃処理した試験体を用意し、それぞれの試験体について、溶接止端部に繰返し作用する荷重を負荷して疲労試験を行い、表面から内部への応力分布を測定した。
図2に、超音波衝撃処理前に荷重を負荷した試験体と荷重を負荷しなかった試験体についての、溶接止端部の表面からの深さに対する応力分布を示す。図2において、超音波衝撃処理前の溶接継手に負荷した荷重は、用いた鋼材の降伏強度345MPaの0.3倍、即ち、103.5MPaである。
図2において、●は、溶接後荷重を負荷しないで超音波衝撃を施した場合の応力分布を示し、○は、溶接後に荷重を負荷した後、荷重を解除して超音波衝撃処理を施した場合の応力分布を示す。
図2から、溶接後に荷重を負荷した後、荷重を解除して超音波衝撃処理を施すと、溶接ままの溶接継手に超音波衝撃処理を施した溶接継手において見られる現象、即ち、溶接止端部の内部の引張残留応力が高くなる現象が生じなかったことが解る。これは、溶接後、溶接止端部に荷重を負荷することにより、溶接によって生じた残留応力が低減したことによると推察される。
以上のように、溶接部の溶接止端部に荷重を負荷した後、荷重を解除して溶接止端部に超音波衝撃処理を施すと、溶接構造物の溶接部に繰返し作用する荷重が大きい場合でも、溶接止端部の疲労強度が著しく向上する。その際の超音波衝撃処理や荷重負荷の好ましい条件について、さらに説明する。
超音波衝撃処理により溶接止端部の疲労強度を著しく改善するためには、溶接止端部内部の残留応力を改善する必要がある。また、溶接止端部において、溶接ビードと母材との境界に形成されている谷線が、超音波衝撃処理による処理溝の形成によって消えた状態になることが好ましい。このため、超音波衝撃処理を施す溶接止端部の範囲は、上記谷線を境にして、溶接金属側0〜1.5mmで、母材側0〜1.5mmが好ましい。
超音波衝撃処理の打撃条件は特に制限されないが、例えば、共振周波数27kHz、振幅30μm、ピン直径φ5mm、ピン先端曲率半径3.0mm、処理速度30cm/分(後述の実施例で採用)が好ましい。
超音波衝撃処理前の溶接止端部に負荷する荷重C[MPa]は、下記式(1)を満たすことが望ましい。
0.3×A≦C<B ・・・(1)
A:鋼構造物を構成する鋼材の降伏強度YP[MPa]
B:鋼構造物を構成する鋼材の引張強度TS[MPa]
例えば、用いる鋼材の降伏強度YPが345MPa、引張強度TSが531MPaの場合、荷重C[MPa]は、103.5MPa≦荷重C[MPa]<531MPaを満たすことが望ましい。
溶接止端部に負荷する荷重C[MPa]が、鋼材の降伏強度の0.3倍未満であると、溶接後に、鋼材の降伏強度の0.3倍以上の荷重を負荷しても、溶接によって生じた残留応力が低減しない。荷重C[MPa]が鋼材の引張強度を超えると、鋼材が破断するので、荷重Cは、鋼材の引張強度未満とする。
荷重の負荷方法は、特に制限されない。例えば、疲労試験と同様の荷重負荷を1サイクルのみ行う(後述の実施例で採用)。即ち、軸力に引張−引張の荷重負荷とし、応力比R=0.1、応力範囲ΔS=応力履歴中の最大応力σmax=負荷する荷重C、周波数10Hzの条件で、1サイクルのみ負荷する。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
十字溶接継手を下記鋼材で作製し、各種条件下で疲労試験を行い、十字溶接継手の寿命を評価した。
50k鋼(SM490、降伏強度YP=345MPa、引張強度TS=531MPa)の、板厚16mm×幅100mm×長さ700mmの鋼板の両面中央に、同鋼の板厚16mm×幅100mm×高さ40mmの縦板を荷重非伝達十字継手形状に配置し、SMAW:被覆アーク溶接(50k鋼用溶材JIS Z 3211 D4316)、又は、FCAW:フラックス入りアーク溶接(50k鋼用JIS Z 3313 YFW−C50DR)、シールドガス:炭酸ガス、予熱なし、入熱15〜20kJ/cm2の条件にて、脚長7mmにて隅肉溶接して十字溶接継手を作製し、供試体とした。
供試体6体の溶接止端部に荷重を負荷した。荷重の負荷は、疲労試験と同様に1サイクルのみとした。即ち、軸力に引張−引張の荷重負荷とし、応力比R=0.1、応力範囲ΔS=応力履歴中の最大応力σmax=掛ける荷重C、周波数10Hzの条件で、1サイクルのみの荷重負荷とした。
例えば、供試体の溶接部を中心に配置し、供試体の両端の溶接されていない部分を掴んで供試体の全体に引張−引張の荷重負荷を行えば、溶接止端部において、荷重負荷の方向に垂直な断面において、同じ荷重を負荷したことになり、溶接止端部に一定の荷重を負荷したことになる。即ち、供試体の全体に引張−引張の荷重を負荷すれば、溶接止端部を含む任意の垂直な断面に同様の荷重を負荷することになるので、溶接止端部全体に荷重を負荷することになる。
荷重条件は、鋼材の降伏強度345MPaの0.1倍、0.3倍、0.5倍、1倍の4条件である。即ち、荷重Cが、34.5MPa(1体),103.5MPa(2体),172.5MPa(1体),345MPa(1体)である。さらに、1体に対しては、降伏強度を超える584MPaの荷重Cを負荷した。
溶接ままの供試体3体と、34.5MPa、103.5MPa、172.5MPa、345MPaの荷重を負荷した供試体4体の溶接止端部に超音波衝撃処理を施した。処理条件は、共振周波数27kHz、振幅30μm、ピン直径φ5mm、ピン先端曲率半径3.0mmで、処理速度は30cm/分とし、溶接止端部の谷線を処理溝の形成により完全に消去した。
溶接ままの供試体7体、溶接ままの供試体に荷重を負荷せず超音波衝撃処理を施した試験体3体、溶接ままの供試体に荷重のみを負荷し超音波衝撃処理を施さなかった試験体1体、及び、溶接ままの供試体に荷重を負荷した後超音波衝撃処理を施した試験体4体の、合計15の供試体及び試験体について疲労試験を行った。
疲労試験は、軸力の引張−引張の試験とし、応力範囲ΔS=80〜280MPa、応力比R=0.1、周波数10Hzの条件にて、試験体が破断するまでの繰返し寿命回数Nを測定して評価した。なお、降伏強度を超える584MPaの荷重Cを負荷した試験体は破断したので、疲労試験は行わなかった。
表1に、疲労試験体の作製条件、及び、疲労寿命を示す。図3に、疲労試験の結果を示す。図3において、横軸は試験体が破断するまでの繰返し寿命回数N、縦軸は疲労試験における応力範囲ΔSを示す。
Figure 2014213373
表1中、試験No1〜7(比較例1〜7)に、溶接ままの応力比R=0.1での疲労試験結果を示し、図3に、繰返し寿命回数Nと応力範囲ΔSの関係を□で示す。応力範囲ΔSが小さければ繰返し寿命回数Nが大きく、ΔSが大きくなるとNが小さくなるという傾向が得られている。
試験No8〜10(比較例8〜10)に、溶接後に超音波衝撃処理を施した場合における応力比R=0.1での疲労試験結果を示し、図3に、繰返し寿命回数Nと応力範囲ΔSの関係を◆で示す。
応力比R=0.1で、溶接後に超音波衝撃処理を施した場合、応力範囲ΔSが220MPaのNo8(比較例8)、及び、応力範囲ΔSが250MPaのNo9(比較例9)では、繰返し寿命回数Nが、それぞれ、2304956回、及び、1679183回であり、超音波衝撃処理を施していない場合で疲労試験条件が同じ試験No5及びNo6(比較例5及び比較例6、それぞれ、応力範囲ΔSが220MPa及び250MPaで、繰返し寿命回数Nが93289回及び65851回)に比べ、疲労強度は大きく向上している。
応力範囲ΔSが280MPaと大きい試験No10(比較例10)は、疲労寿命、即ち、試験体が破断するまでの繰返し寿命回数Nは190623回であり、超音波衝撃処理を施していない溶接ままの条件で、疲労試験条件、即ち、疲労試験における応力範囲ΔSが同じ試験No5及び試験No6(比較例5及び比較例6)に比べ、あまり向上していない。
図3において、溶接ままの比較例1〜7(試験No1〜7)の試験体が破断するまでの繰返し寿命回数Nが、ΔSの増加に伴い線形的に減少していることから、超音波衝撃処理を施した場合でも、比較例8及び比較例9の延長線上に比較例10が位置してもよいはずであるが、応力範囲ΔSが280MPaに増大した比較例10の場合、繰返し寿命回数Nは、比較例8及び比較例9の延長線に乗らず、190623回と大きく減少している。
これは、応力範囲ΔSが比較例9の250MPaから比較例10の280MPaに増大すると、溶接止端部の内部深くに存在する残留応力が疲労を与えることが原因であると推察される。荷重を負荷せずに超音波衝撃処理した場合、図1に示す残留応力分布の通り、深い位置(3〜8mm)に、大きな引張残留応力が生じているので、疲労試験において応力範囲ΔSを増大した場合、溶接止端部の内部深くに存在する残留応力が疲労の原因となり、繰返寿命回数Nが減少したと推察される。
表1中、試験No13〜15(発明例1〜3)に、溶接後、試験体に引張荷重を負荷した後、荷重を解除して超音波衝撃処理を施した場合における応力比R=0.1での疲労試験結果を示し、図3に、応力範囲ΔSと繰返し寿命回数Nの関係を●(発明例1〜3)で示す。
表1中、試験No13〜15(発明例1〜3)は、荷重負荷の有無以外の試験条件が、試験No10(比較例10)と同一である。荷重を負荷しないで超音波衝撃処理を施した試験No10(比較例10)の繰返し寿命回数Nが190623回であるに対し、試験No13〜15(発明例1〜3)は、繰返し寿命回数Nが、960187回(発明例1)、1116404回(発明例2)、830168回(発明例3)である。
即ち、溶接後、荷重を負荷し、荷重を解除した後、超音波衝撃処理を施した発明例では、溶接後そのまま超音波衝撃処理を施した試験No10(比較例10)に比べ、疲労寿命が大きく向上している。
表1中、試験No11(比較例11)に、溶接後、試験体に、鋼材の降伏強度(345[MPa])の0.3倍の引張り荷重、即ち、103.5MPaの引張り荷重を負荷した後、超音波衝撃処理を施さなかった場合における応力比R=0.1での疲労試験結果を示し、図3に、応力範囲ΔSと繰返し寿命回数Nの関係を、▲(比較例11)で示す。
表1中、試験No12(比較例12)に、溶接後、試験体の溶接止端部において、荷重を負荷する方向に垂直な断面における荷重C[MPa]が、C=0.1×A(A:鋼材の降伏強度YP[MPa])を満たす引張り荷重Cを負荷した後、超音波衝撃処理を施した場合における応力比R=0.1での疲労試験結果を示し、図3に、応力範囲ΔSと繰返し寿命回数Nの関係を、▼(比較例12)で示す。
試験No11(比較例11)及び試験No12(比較例12)は、荷重負荷の有無及び、超音波衝撃処理の有無以外の試験条件が、試験No7(比較例7)、試験No10(比較例10)、及び、試験No13〜15(発明例1〜3)と同一である。
溶接後、発明例の条件で荷重を負荷した後、超音波衝撃処理を施した試験No13〜15(発明例1〜3)は、溶接ままの試験No7(比較例7)、溶接後に荷重を負荷した試験No11(比較例11)、溶接後、発明例の条件を外れる条件で荷重を負荷した後、超音波衝撃処理を施した試験No11(比較例12)、溶接後そのまま超音波衝撃処理を施した試験No10(比較例10)と比べ、疲労寿命が大きく向上している。
試験No16(比較例13)に、溶接後、試験体に、鋼材の引張強度(531MPa)の1.1倍、即ち、584MPaの引張り荷重を負荷した場合の結果を示す。この試験においては、荷重が引張強度(531MPa)を超えたところで試験体が破断した。
前述したように、本発明によれば、溶接部を有する鋼構造物において、溶接止端部に超音波衝撃処理を行う前に荷重を負荷し解除することにより、超音波衝撃処理後の溶接止端部に繰返し作用する荷重が大きい場合でも、溶接止端部の疲労強度が著しく向上する。よって、本発明は、溶接部の疲労破壊が問題となる鋼構造物の製造・建造産業において利用可能性が高いものである。

Claims (2)

  1. 溶接部を有する鋼構造物の溶接止端部に超音波衝撃処理を施して、該溶接止端部の疲労強度を改善する超音波衝撃処理方法において、
    (i)上記溶接止端部に荷重を負荷する工程と、
    (ii)荷重を負荷した後、荷重を解除し、溶接止端部に超音波衝撃処理を施す工程
    からなることを特徴とする超音波衝撃処理方法。
  2. 前記荷重を負荷する工程において、負荷する荷重C[MPa]が、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の超音波衝撃処理方法。
    0.3×A≦C<B ・・・(1)
    A:鋼構造物を構成する鋼材の降伏強度YP[MPa]
    B:鋼構造物を構成する鋼材の引張強度TS[MPa]
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