以下、本発明の一実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。カラープリンタ2000は、いわゆるレーザプリンタである。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着装置2050、給紙ローラ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、光学センサ2245、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置からの要求に応じて各部を制御するとともに、上位装置からの画像情報を光走査装置2010に送る。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされて多色のカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には、シート状の記録媒体(対象物)としての印刷用紙(以下では、単に「用紙」とも呼ぶ)が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙ローラ2054が配置されており、該給紙ローラ2054は、用紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで用紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が用紙に転写される。ここで転写された用紙は、定着装置2050に送られる。
定着装置2050では、熱と圧力とが用紙に加えられ、これによってトナーが用紙上に定着される。ここで定着された用紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
ところで、例えばデジタル複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置では、印刷用紙に代表されるシート状の記録媒体の表面にトナー像を転写し、所定の条件で加熱及び加圧することでその像を定着させ画像を形成している。画像形成において考慮しなければならないのが定着時の加熱量や圧力などの条件であり、特に高品質の画像形成を行うには、印刷条件を記録媒体に応じて個別に設定する必要がある。
これは、記録媒体における画像品質が、その材質、厚さ、湿度、平滑性および塗工状態などに大きく影響されるためである。例えば平滑性に関しては、定着の条件によっては印刷用紙表面の凹凸において凹部分のトナーの定着率が低くなってしまう。そこで、記録媒体に応じた正しい条件で定着を行わないと色むらが生じてしまう。
さらに、近年の画像形成装置の進歩と表現方法の多様化に伴い、記録媒体の種類は印刷用紙だけでも数百種類以上存在し、さらにそれぞれの種類において坪量や厚さなどの仕様の違いで多岐にわたる銘柄がある。なお、以下では、坪量や厚さなどの仕様の違いも含めた用紙の最詳分類のことを銘柄と、銘柄を特定する判別のことを銘柄レベルでの判別とも記載する。高品質の画像形成のためにはこれら銘柄の1つ1つに応じた細かな印刷条件を設定する必要がある。
また、近年、普通紙、グロスコート紙、マットコート紙、アートコート紙に代表される塗工紙、プラスチックシート、表面にエンボス加工が施された特殊紙に関しても銘柄が増加している。
従来の画像形成装置では、給紙トレイに用紙を充填する際、ユーザ自身がトレイ毎の用紙銘柄を制御部に対して設定する必要があった。このため自分で設定しなければならない煩わしさや、ユーザに用紙の銘柄を識別するための知識が求められるため設定ミスが起きてしまうなどの問題があった。また、印刷しようとする用紙の銘柄が不明の場合には、どの銘柄として設定するのが適しているのかが分からないという問題もあった。
そこで、カラープリンタ2000は、前述したように光学センサ2245を備えている。
光学センサ2245は、給紙トレイ2060内に収容されている用紙の銘柄を特定するのに用いられる。
この光学センサ2245は、一例として図1に示されるように、給紙ローラ2054とレジストローラ対2056との間の用紙の搬送経路近傍に配置されている。そこで、以下では、給紙ローラ2054とレジストローラ対2056との間の用紙の搬送方向をX軸方向とし、X軸方向に直交する水平方向(給紙ローラ2054の軸方向)をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向のいずれにも直交する方向をZ軸方向とするXYZ3次元直交座標系(図2参照)を用いて説明する。
光学センサ2245は、一例として図2に示されるように、光源11、コリメートレンズ12、受光素子13、偏光フィルタ14、これらが収納される暗箱16、反射部材15、アクチュエータ19(図5参照)、用紙特定手段20(図5参照)などを有している。
暗箱16は、金属製の箱部材、例えば、アルミニウム製の箱部材であり、外乱光及び迷光の影響を低減するため、表面に黒アルマイト処理が施されている。
光源11は、複数の発光部を有している。各発光部は、同一の基板上に形成された垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。すなわち、光源11は、面発光レーザアレイ(VCSELアレイ)を含んでいる。ここでは、一例として図3に示されるように、9個の発光部(ch1〜ch9)が2次元配列されている。
光源11は、一例として+X側かつ−Z側の向きにS偏光を射出する。ここでは、光源11からの光束とYZ平面との成す角θ(図4(A)参照)は、80°に設定されている。光源11は、プリンタ制御装置2090によって駆動制御される(図5参照)。
コリメートレンズ12は、光源11から射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光とする。コリメートレンズ12を介した光束は、暗箱16に設けられている開口部を通過して、暗箱16の−Z側に位置された用紙を照明する(図4(A)及び図4(B)参照)。なお、以下では、用紙の表面における照明領域の中心を「照明中心」と略述する。また、コリメートレンズ12を介した光束を「照射光」ともいう。
ところで、光が媒質の境界面に入射するとき、入射光線と入射点に立てた境界面の法線とを含む面は「入射面」と呼ばれている。そこで、入射光が複数の光線からなる場合は、光線毎に入射面が存在することとなるが、ここでは、便宜上、照明中心に入射する光線の入射面を、用紙における入射面ということとする。すなわち、照明中心を含みXZ面に平行な面が用紙における入射面である。
偏光フィルタ14は、照明中心の+Z側に配置されている。この偏光フィルタ14は、P偏光を透過させ、S偏光を遮光する偏光フィルタである。なお、偏光フィルタ14に代えて、同等の機能を有する偏光ビームスプリッタやワイヤーグリッド型偏光フィルタなどの一方の偏光成分を反射させる偏光フィルタを用いても良い。なお、透過させる偏光方向はP偏光に限定されるものではなく、光源11が用紙に対してP偏光が照射されるように配置されている場合にはS偏光であっても良い。
受光素子13は、偏光フィルタ14の+Z側に配置されている。より詳細には、受光素子13は、照明中心と偏光フィルタ14の中心とを結ぶ線の延長上に配置されている。ここでは、図4(A)に示されるように、照明中心と偏光フィルタ14及び受光素子13の中心とを結ぶ線L1と、用紙の表面とのなす角度ψ1は90°である。
受光素子13は、受光光量に対応する電気信号(光電変換信号)を用紙特定手段20に出力する(図5参照)。なお、以下では、光源11からの光束が用紙に照射されたときの、受光素子13の出力信号における信号レベルを「S01」と呼ぶ。
光源11の中心と、照明中心と、偏光フィルタ14の中心と、受光素子13の中心は、ほぼ同一平面上に存在する。
反射部材15は、暗箱16の−Z側に所定のクリアランスを介してXY平面に平行に配置されている。反射部材15は、X軸方向に離間する、反射率が異なる2つの領域を有している。ここでは、反射部材15として、2つの領域のうち一方が白色の領域(以下では、白色領域15aと称する)で他方が黒色の領域(以下では、黒色領域15bと称する)である例えば樹脂製の平板部材が用いられている。なお、反射部材15は、例えばグロスコート紙の2つの領域を白と黒で印刷したものなどでも良く、いずれの場合でも、2つの領域の反射率の差が大きいものが好ましい。
アクチュエータ19は、暗箱16を反射部材15に対してX軸方向に移動させるアクチュエータである。具体的には、アクチュエータ19は、暗箱16を、偏光フィルタ14が反射部材15の白色領域15aの+Z側に位置する第1の位置(図4(A)参照)と、偏光フィルタ14が反射部材15の黒色領域15bの+Z側に位置する第2の位置との間でX軸方向に移動させることができる(図4(B)参照)。アクチュエータ19は、プリンタ制御装置2090によって制御される(図5参照)。なお、光源11、コリメートレンズ12、偏光フィルタ14及び受光素子13は、暗箱16に対して固定されており、暗箱16と共に移動する。
アクチュエータ19としては、例えばリニアモータ、ソレノイド機構、送りねじ機構、ラック&ピニオン機構等の暗箱16を反射部材15に対してX軸方向に往復移動可能なものであれば良い。
なお、アクチュエータ19は、反射部材15を暗箱16に対してX軸方向に移動させるものや、反射部材15及び暗箱16の双方をX軸方向に移動させるものであっても良く、要は、反射部材15と暗箱16とをX軸方向に相対的に移動させるものであれば良い。
用紙特定手段20は、暗箱16が第1の位置に位置しているときに光源11からの光束が用紙に照射された際の受光素子13の出力信号と、暗箱16が第2の位置に位置するときに光源11からの光束が用紙に照射された際の受光素子13の出力信号とに基づいて用紙の銘柄を推定(特定)する(図5参照)。
ところで、用紙を照明したときの用紙からの反射光は、用紙の表面で反射された反射光と、用紙の内部で反射された反射光に分けて考えることができる。
用紙の表面で反射された反射光は、さらに、正反射された反射光、一度の反射で拡散方向に反射された反射光、及び用紙表面の凹凸で複数回反射し拡散方向に反射された反射光に分類できる(図6参照)。以下では、便宜上、それぞれの反射光を「正反射光」、「拡散反射光」及び「多重拡散反射光」ともいう。
一方、用紙の内部で反射された反射光(以下では「内部拡散反射光」ともいう)は、用紙が一般的な印刷用紙である場合、その内部の繊維と空孔の界面などで反射を多数回繰り返すため、その反射方向は等方性があるとみなせ、強度分布はランバート分布に近似できる。
結果として、用紙からの反射光は、正反射光、拡散反射光、多重拡散反射光及び内部拡散反射光に分類できる(図6参照)。
特許文献1〜3に開示されている技術では、用紙からの反射光を上記分類された光にまで細分化して検出することができず、用紙の銘柄までを特定することはできなかった。
ところで、特許文献2では、用紙の裏面側に白色の反射板が設置された場合、すなわち用紙の下地が白色の場合(以下では「白地」とも呼ぶ)の反射光の光量(以下では、反射光量とも呼ぶ)、及び用紙の裏面側に黒色の反射板が設置された場合、すなわち用紙の下地が黒色の場合(以下では「黒地」とも呼ぶ)の反射光量を検出し、これらの検出結果に基づいて用紙の種類を判別している。
具体的には、白地での反射光量と黒地での反射光量との差をとることにより、内部拡散反射光のうち下地で反射された光の光量を算出し、算出された光量に基づいて用紙の種類を判別している。以下では、便宜上、下地で反射された光を「下地反射光」ともいう(図7(A)及び図7(B)参照)。
詳述すると、この下地反射光は、用紙内部を通過する際の経路において拡散又は減衰するため、用紙固有の厚さに依存すると考えられる。白地と黒地とでは、反射率が異なるため、用紙表面で検出される下地反射光の光量に差が生じる。用紙表面において検出される反射光には下地反射光以外の反射光も含まれるが(図7(A)及び図7(B)参照)、下地が異なる用紙からの反射光量の差をとることで、下地反射光以外の反射光の光量が差し引かれ、下地反射光の光量を抽出できる。この結果、用紙の厚さを検出でき、検出された厚さに基づいて用紙の種類を判別することができる。
しかしながら、用紙表面で検出される反射光には、白地及び黒地の双方で、下地反射光のみならず拡散反射光などの用紙表面で反射した光が含まれている。特に拡散反射光は下地反射光に比べて光量が大きいため、白地と黒地との間での拡散反射光の光量の検出誤差により下地反射光の光量の算出値が変動し、用紙の厚さの検出精度が低下していた。このため、特許文献2では、用紙の銘柄を特定することはできなかった。
また、特許文献3に開示されているように、偏光フィルタと単一の下地を有する光学センサを用いた画像形成装置では、照射する光の偏光方向に直交する偏光成分を有する反射光には、内部拡散反射光及び下地反射が含まれるものの、用紙の表面で反射される多重拡散反射光も含まれるため、厚さが酷似した銘柄同士の区別は困難であった。このため、特許文献3では、用紙の銘柄を特定することはできなかった。
ところで、正反射光及び拡散反射光の偏光方向は、照射光の偏光方向と同じである。一方、多重拡散反射光及び内部拡散反射光は、照射光の偏光方向に直交する偏光成分を含んでいる(図6参照)。
ここで、用紙での反射で偏光方向が回転するのは、照射光がその進行方向に対して回転の向きに傾斜した面で反射されたときである。本実施形態では、光源11の中心と照明中心と受光素子13の中心とがほぼ同一平面上にあるため、用紙表面で一度反射し偏光方向が回転した拡散反射光は、受光素子13で検出されない。一方、用紙表面で複数回反射し偏光方向が回転した多重拡散反射光や用紙内部で複数回反射し偏光方向が回転した内部拡散反射光は、反射の経路で上記平面から外れた後、複数回反射することで再度この平面上に反射された光を含むため、光源11の中心と照明中心と同一平面上にある受光素子13でも検出される。
偏光フィルタ14には、拡散反射光、多重拡散反射光、内部拡散反射光及び下地反射光が入射する。ここで、拡散反射光の偏光方向は、照射光の偏光方向と同じS偏光であるため、拡散反射光は、偏光フィルタ14で遮蔽(遮光)される。一方、多重拡散反射光、内部拡散反射光及び下地反射光の偏光方向は、照射光の偏光方向に対して回転しているため、多重拡散反射光、内部拡散反射光及び下地反射光に含まれるP偏光成分は、偏光フィルタ14を透過する。すなわち、受光素子13では多重拡散反射光、内部拡散反射及び下地反射光に含まれるP偏光成分のみが受光される。
プリンタ制御装置2090は、カラープリンタ2000の電源が入れられたとき、及び給紙トレイ2060に用紙が供給されたときなどに、用紙銘柄特定処理を行う。
以下に、用紙銘柄特定処理を、図9を参照して説明する。図9のフローチャートは、プリンタ制御装置2090のCPUの処理アルゴリズムに対応している。暗箱16は、当初、偏光フィルタ14が反射部材15の白色領域15a上に位置する第1の位置に位置されている(図4(A)参照)。
最初のステップS1では、給紙トレイ2060内における最上の用紙(最上紙)を暗箱16と反射部材15との間に白色領域15aと黒色領域15bとに跨るように位置させる(図2参照)。
具体的には、プリンタ制御装置2090によって給紙ローラ2054が駆動され、給紙トレイ2060から最上の用紙(最上紙)が送り出される。このとき、最上紙は、反射部材15に案内されて暗箱16と反射部材15との間隙に進入する。そして、最上紙が反射部材15の白色領域15a及び黒色領域15bに跨っているときに給紙ローラ2054の駆動が停止される。この結果、最上紙の−Z側の面は、白色領域15a及び黒色領域15bの双方に接触する。なお、用紙は暗箱16に接触しても良く、この場合、用紙は、暗箱16と反射部材15とで狭持され、Z軸方向の位置ずれや用紙のうねりが抑制され、反射光をより正確に検出することができる。
次のステップS3では、最上紙にS偏光を照射する。具体的には、プリンタ制御装置2090によって光源11が駆動され、最上紙の+Z側の面の白色領域15a上の部位(白色領域15aに対応する部位)に対してS偏光が照射される(図4(A)参照)。このとき、白色領域15a及び最上紙の白色領域15a上の部分(白色領域15aに対応する部分)からの反射光が偏光フィルタ14に入射する。偏光フィルタ14に入射した反射光のうちS偏光は、偏光フィルタ14で遮光される。偏光フィルタ14に入射した反射光のうちP偏光は、偏光フィルタ14を透過し受光素子13で受光され、受光光量に対応する電気信号が用紙特定手段20に出力される。
次のステップS5では、プリンタ制御装置2090によってアクチュエータ19が駆動され、暗箱16が第1の位置から第2の位置へ移動される(図4(B)参照)。
次のステップS7では、最上紙にS偏光を照射する。具体的には、プリンタ制御装置2090によって光源11が駆動され、最上紙の+Z側の面の黒色領域15b上の部位(黒色領域15bに対応する部位)に対してS偏光が照射される(図4(B)参照)。このとき、黒色領域15b及び最上紙の黒色領域15b上の部分(黒色領域に対応する部分)からの反射光が偏光フィルタ14に入射する。偏光フィルタ14に入射した反射光のうちS偏光は、偏光フィルタ14で遮光される。偏光フィルタ14に入射した反射光のうちP偏光は、偏光フィルタ14を透過し受光素子13で受光され、受光光量に対応する電気信号が用紙特定手段20に出力される。
次のステップS9では、暗箱16が第1の位置に位置するときの受光素子13の出力信号と、暗箱16が第2の位置に位置するときの受光素子13の出力信号とに基づいて最上紙の銘柄を推定する。
ここで、白色領域及び用紙の白色領域上の部分からの反射光を受光素子13で受光したときの該受光素子13の出力信号における信号レベルを「S01w」、黒色領域及び用紙の黒色領域上の部分からの反射光を受光素子13が受光したときの該受光素子13の出力信号における信号レベルを「S01b」と呼ぶ。
ここでは、S01w及びS01bとして、暗箱16の第1の位置と第2の位置との間の移動範囲内におけるS01の平均値が用いられている(図10(A)及び図10(B)参照)。これは、S01は、用紙の位置によってばらつくためである。ばらつきの要因としては、用紙の地合いによるものの他、用紙のうねり、傷や汚れによるものなど外因的な要因もある。S01を平均化した値を用いることにより、同じ用紙の同じ位置について下地の条件のみを変える計測ではないながらも、地合いによるばらつきによる影響や傷や汚れによる影響を低減できる。
なお、S01w及びS01bは、S01の平均値以外の値とされても用いても良い。
ここでは、カラープリンタ2000に対応可能な複数銘柄の用紙に関して、予め調整工程等の出荷前工程で反射率が異なる2つの領域毎、用紙の銘柄毎にS01の値が計測され、該計測結果が「用紙銘柄判別用テーブル」として用紙特定手段20のROM20a(図5参照)に格納されている。
そこで、用紙特定手段20は、一例として、反射率が異なる2つの領域毎に算出されたS01wの値、S01bの値、その差などの演算値と、ROM20aに格納されているデータを照合し用紙の銘柄を推定(特定)する。以下では、便宜上、S01w、S01bとの差を「S01wb」とも呼ぶ。
図11には、国内で販売されている30銘柄の用紙について、S01b及びS01wbの計測値が示されている。なお、図11における枠は、同一銘柄のばらつき範囲が示されている。例えば、S01b及びS01wbの計測値が「◇」であれば、銘柄Dと特定される。また、S01b及びS01wbの計測値が「■」であれば、最も近い銘柄Cと特定される。また、S01b及びS01wb計測値が「◆」であれば、銘柄Aあるいは銘柄Bのいずれかである。このときは、例えば、銘柄Aでの平均値と計測値との差、及び銘柄Bでの平均値と計測値との差を演算し、その演算結果が小さいほうの銘柄に特定される。また、銘柄Aであると仮定して該計測値を含めてばらつきを再計算するとともに、銘柄Bであると仮定して該計測値を含めてばらつきを再計算し、再計算されたばらつきが小さいほうの銘柄を選択しても良い。
次のステップS11では、推定(特定)された用紙の銘柄が例えばプリンタ制御装置2090のRAMに保存される。なお、用紙特定手段20がRAMを有している場合には、推定された用紙の銘柄は、該RAMに保存されても良い。
次のステップS13では、プリンタ制御装置2090によってアクチュエータ19が駆動され、暗箱16が第2の位置から第1の位置へ移動される。ステップS13が実行されると、フローは、終了する。なお、ステップS11及びS13は、順序が逆であっても良いし、並行して行われても良い。
ここで、カラープリンタ2000が対応可能な複数銘柄の用紙に関して、予め調整工程等の出荷前工程で用紙の銘柄毎に各ステーションでの最適な現像条件及び転写条件が決定され、決定結果が「現像・転写テーブル」としてプリンタ制御装置2090のROMに格納されている。
プリンタ制御装置2090は、ユーザからの印刷ジョブ要求を受け取ると、RAMに保存されている用紙の銘柄を読み出し、該用紙の銘柄に最適な現像条件及び転写条件を、現像・転写テーブルから求める。
そして、プリンタ制御装置2090は、最適な現像条件及び転写条件に応じて各ステーションの現像装置及び転写装置を調整(制御)する。例えば、転写電圧やトナー量を制御する。これにより、高い品質の画像が用紙に形成される。
なお、S01wbは、用紙の厚さに類似した特性である坪量(用紙の単位面積あたりの重さ)との相関性が高いことが、本発明者らによる検証で確認されている。図12には、国内で販売されている30銘柄の用紙について、S01wbの計測値と用紙の坪量との関係が示されている。図12における凡例(プロット)は、製紙メーカー各社が規定する用紙ブランドを表しており、この検証ではその中でも坪量が異なる銘柄を複数測定した。
ここでは、S01Wbは、用紙内部からの反射光である下地反射光に対応する信号レベルであり、用紙の厚さ(又は坪量)を精確に反映した値であるため、用紙の銘柄を確実に特定することができる。
以上説明した本実施形態の光学センサ2245は、用紙(シート状の対象物)の一面(−Z側の面)とそれぞれが接触可能な反射率が異なる白色領域15a及び黒色領域15bを含む反射部材15と、少なくとも用紙の一面と白色領域15aとが接触しているときに用紙の他面(+Z側の面)における白色領域15aに対応する部位にS偏光を前記他面の法線方向に対して傾斜させた状態で照射するとともに、少なくとも前記一面と黒色領域15bとが接触しているときに前記他面における黒色領域15bに対応する部位にS偏光を前記法線方向に対して傾斜させた状態で照射する、光源11及びコリメートレンズ12を含む照射手段と、用紙における白色領域15aに対応する部分で反射された光及び該部分を透過し白色領域15aで反射された光のうち、S偏光とは偏光方向が直交するP偏光を検出するとともに、用紙における黒色領域15bに対応する部分で反射された光及び該部分を透過し黒色領域15bで反射された光のうち、P偏光を検出する、偏光フィルタ14及び受光素子13を含む検出手段と、を備えている。
この場合、用紙表面、用紙内部及び白色領域15aで反射するP偏光を精度良く検出することができる。また、用紙表面、用紙内部及び黒色領域15bで反射するP偏光を精度良く検出することができる。なお、黒色領域15bでの反射光量は、略ゼロである。
この結果、例えば2つの検出結果の差を求めることで、白色領域15aで反射し用紙内部を通過したP偏光の光量を精度良く取得することができる。
結果として、光学センサ2245では、用紙をより細かく特定することができる。
また、光学センサ2245は、前記照射手段と反射部材15とを、用紙に沿う方向(X軸方向)に相対的に移動させるアクチュエータ19を更に備えている。
この場合、照射手段の光源11及びコリメートレンズ12を含む1つの照射系と、検出手段の偏光フィルタ14及び受光素子13を含む1つの検出系とを用いて、白地及び黒地それぞれでの反射光の検出を時系列で行うことができる。
また、前記検出手段は、用紙及び反射部材15で反射された光を、S偏光とP偏光とに分離する偏光フィルタ14と、該偏光フィルタ14からのP偏光を受光する受光素子13と、を含んでいる。この場合、受光素子13でP偏光のみを受光できる。
偏光フィルタ14は、用紙で該用紙に対して直交する方向に拡散反射された光の光路上に配置されているため、該拡散反射された光のうち、S偏光を遮光することができる。
また、カラープリンタ2000は、光学センサ2245を備えているため、用紙に画像を形成する際に、該用紙の銘柄を参照することが可能となる。
そして、カラープリンタ2000は、光学センサ2245の用紙特定手段20で特定された用紙の銘柄に応じて画像形成条件を調整するプリンタ制御装置2090(調整手段)を備えているため、用紙に形成される画像の品質を向上することができる。
ここで、スペックルパターンの抑制方法について説明する。反射光量から用紙の表面状態を検出するセンサの光源に半導体レーザを用いると、半導体レーザから射出されたコヒーレント光が、用紙の表面のような粗面の各点で乱反射し、干渉することによりスペックルパターンが発生する。
発明者らは、複数の発光部が2次元配列された垂直共振器型の面発光レーザアレイ(VCSELアレイ)を光源として用い、発光部数とスペックルパターンのコントラスト比との関係を求めた(図13参照)。ここで、スペックルパターンのコントラスト比とは、スペックルパターンの観測強度における最大値と最小値の差を規格化した値として定義する。
スペックルパターンの観測は、Z軸方向(拡散方向)に関してビームプロファイラを用いて行い、該ビームプロファイラによる観測結果からスペックルパターンのコントラスト比を算出した。試料には、互いに平滑度が異なる3種類の普通紙(普通紙A、普通紙B、普通紙C)と光沢紙とを用いた。普通紙Aは、王研式平滑度が33秒の普通紙であり、普通紙Bは、王研式平滑度が50秒の普通紙であり、普通紙Cは、王研式平滑度が100秒の普通紙である。
図13から、発光部数が増加するとスペックルパターンのコントラスト比が減少する傾向にあることがわかる。また、この傾向は紙種には依存しないことがわかる。
また、発明者らは、このスペックルパターンのコントラスト比を低減する効果が、総光量の増加によるものではなく、発光部数の増加によるものであることを確認するための実験も行った(図14参照)。
図14には、各発光部の光量は一定(1.66mW)で発光部の数を変えた場合と、発光部の数を30個に固定して各発光部の光量を変えた場合とについて、総光量に対するコントラスト比の変化が示されている。
発光部数を固定して各発光部の光量を変えた場合は、光量によらずコントラスト比が一定であるのに対し、発光部数を変えた場合は、低光量すなわち発光部数が少ない場合にはコントラスト比が大きく、発光部数の増加とともにコントラスト比が減少している。このことから、スペックルパターンのコントラスト比の低減効果は、光量の増加によるものではなく発光部数の増加によるものであることが確認できる。
また、発明者らは、光源から射出される光の波長を時間的に変化させることでスペックルパターンを抑制することができるか否かの検討を行った。
面発光レーザ(VCSEL)では、駆動電流によって射出光の波長を制御することができる。これは、駆動電流が変化すると面発光レーザ内部での発熱により屈折率が変化し、実効的な共振器長が変化するためである。
図15には、光源の駆動電流を変えて射出光量を1.4mW〜1.6mWに変化させたときのスペックルパターンをビームプロファイラで観測して得られた光強度分布が示されている。この図15から、駆動電流の変化に伴って、光源から射出される光の波長が変化し、光強度分布が変化することが確認できる。
図16には、駆動電流を高速に変化させた場合の実効的な光強度分布が示されている。この光強度分布は、図15に示されている複数の駆動電流における光強度分布の平均値と同等であり、光強度の変動が抑制されている。このように駆動電流を変化させた場合のスペックルパターンのコントラスト比は0.72となり、駆動電流を一定にした場合のスペックルパターンのコントラスト比0.96よりも低減されている。
そこで、面発光レーザの駆動電流を、例えば三角波形状のように電流値が時間的に変化する駆動電流にすれば、コントラスト比を低減することが可能である。本実施形態では、光学センサ2245の光源11が、図3に示されるように、9個の発光部が2次元配列されている面発光レーザアレイを含み、プリンタ制御装置2090のCPUは、三角波形状の駆動電流を面発光レーザアレイに供給している。これにより、スペックルパターンが抑制され、正確な反射光量の検出が可能になる。そして、用紙の識別精度を高めることができる。つまり、射出光の波長を時間的に変化させることで、スペックルパターンが抑制されることがわかった。
また、上記実施形態において、面発光レーザアレイにおける複数の発光部は、少なくとも一部の発光部間隔が、他の発光部間隔と異なっていても良い(図17参照)。この場合は、スペックルパターンの規則性が乱され、スペックルパターンのコントラスト比を更に低減することが可能である。つまり、隣り合う発光部の間隔が相違していることが好ましい。
さらに、面発光レーザアレイを用いることによって、照射光を平行光にするための調整が容易になり、光学センサの小型化及び低コスト化を図ることが可能となる。
また、図18に示される変形例1のように、上記実施形態に対して受光素子130を増設しても良い。受光素子130は、正反射方向(正反射光が入射される方向)に配置されている。ここでは、照明中心と受光素子130の中心とを結ぶ線L2と、用紙の表面とのなす角度ψ2は170°に設定されている。
受光素子130には、正反射光、多重拡散反射光、内部拡散反射光及び下地反射光が入射する。受光素子130は、受光光量に対応する電気信号(光電変換信号)を用紙特定手段20に出力する。ここでは、光源11からの光束が用紙に照射されたときの、受光素子130の出力信号における信号レベルS02の下地毎の信号レベル(白色領域15aでの信号レベル、黒色領域15bでの信号レベル)、及びこれらの差などの演算値が予め用紙銘柄判別用テーブルとして用紙特定手段20のROMに格納され、用紙の銘柄を特定するために用いられる。
変形例1によると、信号レベルS01、S02に基づいて、用紙の銘柄を特定できるため、より精確に用紙の銘柄を特定できる。
また、図19に示される変形例2のように、上記変形例1に対して受光素子230を増設しても良い。受光素子230は、拡散方向(正反射光が入射されない方向)に配置されている。ここでは、照明中心と受光素子230の中心とを結ぶ線L3と、用紙の表面とのなす角度ψ3は120°である。
受光素子230には、拡散反射光、多重拡散反射光、内部拡散反射及び下地反射光が入射する。受光素子230は受光光量に対応する電気信号(光電変換信号)を用紙特定手段20に出力する。ここでは、光源11からの光束が用紙に照射されたときの、受光素子230の出力信号における信号レベルS03の下地毎の信号レベル(白色領域15aでの信号レベル、黒色領域15bでの信号レベル)、及びこれらの差などの演算値が予め用紙銘柄判別用テーブルとして用紙特定手段20のROMに格納され、用紙の銘柄を特定するために用いられる。
変形例2によると、信号レベルS01、S02、S03に基づいて(例えばS1、S3/S2に基づいて)、用紙の銘柄を特定できるため、更により精確に用紙の銘柄を特定できる。
また、図20に示される変形例3のように、上記変形例2に対して偏光フィルタ140及び受光素子330を増設しても良い。偏光フィルタ140は、拡散方向(正反射光が入射されない方向)に配置されている。受光素子330は、偏光フィルタ140を介した光束の光路上に配置されている。この偏光フィルタ140は、偏光フィルタ14と同様に、P偏光を透過させ、S偏光を遮光する偏光フィルタである。
また、受光素子330は、照明中心と偏光フィルタ140の中心とを結ぶ線の延長上に配置されている。ここでは、照明中心と偏光フィルタ140及び受光素子330の中心とを結ぶ線L4と、用紙の表面とのなす角度ψ4は150°に設定されている。
受光素子330には、多重拡散反射光、内部拡散反射及び下地反射光が入射する。受光素子330は受光光量に対応する電気信号(光電変換信号)を用紙特定手段20に出力する。なお、以下では、光源11からの光束が用紙に照射されたときの、受光素子330の出力信号における信号レベルを「S04」と呼ぶ。
また、内部拡散反射光や下地反射光は等方的な反射光でありランバート分布に近似できるため、受光する方向が紙面平行方向になるに従い、照射光の偏光方向に直交する偏光成分の反射光のうち、内部拡散反射光及び下地反射光の比率が相対的に減少すると考えられる。すなわち、変形例3におけるS04は紙面垂直方向で検出するS01に比べ、より多重拡散反射光が占める成分が大きい。
S04の下地毎の信号レベル(白色領域15aでの信号レベル、黒色領域15bでの信号レベル)、及びこれらの差などの演算値が予め用紙銘柄判別用テーブルとして用紙特定手段20のROMに格納され、用紙の銘柄を特定するために用いられる。
変形例3によると、信号レベルS01、S02、S03、S04に基づいて(例えばS4/S1、S3/S2に基づいて)、用紙の銘柄を特定できるため、更により一層精確に用紙の銘柄を特定できる。
また、変形例3に対して、少なくとも受光素子を含む検出系を少なくとも1つ増設しても良い。
この場合、検出系を多くするほどコストが嵩むが、用紙の銘柄の特定精度を向上させることができる。このため、例えば、分類された用紙銘柄の数に応じて、検出系の数を増減させることが好ましい。具体的には、用紙銘柄が多いほど、検出系の数を多くすることが好ましい。
また、用紙を搬送しながら該用紙の銘柄を特定しても良い。具体的には、例えば、光学センサの代わりに、反射部材をX軸方向に移動させて、白地での反射光の検出、及び黒地での反射光の検出を行っても良い。
また、例えば、図21に示される変形例4のように、反射部材として、周方向に沿って並ぶ、反射率が異なる2つの領域を有するローラ150aを用いても良い。ローラ150aは、一例として、軸方向(Y軸方向)に直交する方向の一側が白色領域150aであり、他側が黒色領域150bである。この場合、用紙の搬送に伴い、ローラ150が回転することで白地と黒地が切り替わる。
また、例えば、図22に示される変形例5のように、光学センサは、光源11、コリメートレンズ12、偏光フィルタ14及び受光素子13を含む系を2つ有していても良い。そして、2つの系を反射部材15の白色領域15a及び黒色領域15bに対応する位置に個別に固定し、各系と反射部材15との間に用紙が位置されても良い。この場合、2つの照射系を含む照射手段は、用紙の、白色領域15a及び黒色領域15bに接触する部分にS偏光を並行して又は時系列で照射することができ、2つの検出系を含む検出手段は、用紙及び白色領域15aで反射されたP偏光、及び用紙で反射されたP偏光を並行して又は時系列で検出することができる。この場合、用紙を搬送しながら照射及び検出を行っても良いし、用紙を停止させた状態で照射及び検出を行っても良い。
なお、変形例5では、光学センサは、2つの光源を有しているが、これに限られない。例えば、光学センサは、1つの光源を有し、該光源からの光を2つの光に分岐して、分岐された光を、用紙の白色領域15a上の部分、及び用紙の黒色領域15b上の部分に照射するようにしても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、光学センサは、用紙の搬送路近傍に配置されているが、これに限れない。例えば、給紙トレイ2060に収納された用紙に対向する位置に配置されても良い。但し、この場合、最上紙を暗箱と反射板との間に挿入するための機構が必要となる。また、光学センサは、カラープリンタ2000の筐体に外付けされても良い。この場合、光学センサで用紙の銘柄を特定した後に、該用紙を給紙トレイ2060に搬送するようにしても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、光学センサは給紙トレイ2060とレジストローラ対2056との間の用紙の搬送路近傍に配置されているが、給紙トレイ2060とレジストローラ対2056との間以外の用紙の搬送路近傍に配置されても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、光源11が複数の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、光源11が1つの発光部を有していても良い。
また、上記実施形態において、前記面発光レーザアレイに代えて、従来のLD(Laser Diode)を用いても良い。但し、この場合は、照射光をS偏光もしくはP偏光にするための偏光フィルタが必要となる。
また、上記実施形態及び各変形例では、各受光素子の前段に集光レンズを配置しても良い。この場合、信号レベルの検出のばらつきを低減することができる。反射光量に基づいて用紙を判別する光学センサにとって検出の再現性は重要である。光学センサでは、検出時に受光素子の受光面と用紙の表面とが平行になることを前提に検出系が設置されている。しかしながら、用紙は、たわみや振動等により、受光面に対して用紙表面が傾斜したり、浮き上がったりして、用紙表面が受光面と平行にならない場合が生じる。この場合は、反射光量が変化し、安定して詳細な判別が困難である。そこで、受光素子が確実に反射光を検出できるように受光素子の前段に集光レンズを配置することで、反射光強度分布が変化した場合でも確実に集光することが可能となる。
また、受光素子に受光領域が十分大きなフォトダイオード(PD)を用いたり、照射光のビーム径を狭めたりすることによっても、用紙表面が受光面と平行にならない場合の不都合を解消することができる。また、受光素子にアレイ化されたPDを用いて、反射光強度分布の移動量に対して十分大きな受光領域を有する構成としても良い。この場合、反射光強度分布が移動したとしても、各PDが検出した信号のうちの最大信号を正反射光の信号とすれば良い。また、PDがアレイ化された場合に、個々のPDの受光領域を小さくすることにより、正反射光と受光領域の中心のずれによる出力の変動も低減できるため、より正確な検出を行うことができる。
また、上記実施形態及び各変形例では、照射光の入射角度θが80°の場合について説明したが、これに限定されるものではない。ただし、入射角度θは、できるだけ大きい方が好ましい。これはS偏光、P偏光の光はフレネルの係数に従って大きい入射角度では反射率が高く、検出時に各信号レベルを取得し易く、S/N比の観点から優位であるためである。
また、上記実施形態及び各変形例では、給紙トレイが1つの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、給紙トレイが複数あっても良い。この場合は、給紙トレイ毎に光学センサを設けても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、反射部材は、反射率が互いに異なる2つ領域を有しているが、これに限られない。例えば、反射部材は、反射率が異なる3つ以上の領域を有していても良く、要は、反射部材は、反射率が異なる複数の領域を有していれば良い。そして、用紙の各領域上の部分に対して光を照射し、反射光を検出することが好ましい。
また、上記実施形態及び各変形例において、用紙特定手段20は、用紙の坪量又は厚みに基づいて該用紙の銘柄を特定しているが、要は、用紙の坪量及び厚みの少なくとも一方に基づいて用紙の銘柄を特定することが好ましい。
また、上記実施形態及び各変形例において、受光素子は受光光量に対応する電気信号(光電変換信号)を、例えばプリンタ制御装置に出力しても良い。そして、プリンタ制御装置が用紙の銘柄を特定しても良い。そして、用紙銘柄判別用テーブルは、プリンタ制御装置2090のROMに格納されても良い。この場合、光学センサは、用紙特定手段を有していなくても良い。
また、上記実施形態及び各変形例において、例えば暗箱の−X側かつ−Z側の角部に用紙の先端を暗箱と反射部材との間隙に案内するためのガイド部材を設けても良い。
また、光学センサを用いて特定される対象物は、用紙に限定されず、要は、シート状の対象物であれば良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、画像形成装置としてカラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、光プロッタやデジタル複写装置であっても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、画像形成装置が4つの感光体ドラムを有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。具体的には、画像形成装置は、例えば5つ以上の感光体ドラムを有するカラープリンタであっても良いし、例えば1つの感光体ドラムを有するモノクロプリンタであっても良い。
また、上記実施形態及び各変形例の光学センサは、用紙にインクを吹き付けて画像を形成する画像形成装置にも適用可能である。
また、上記実施形態及び各変形例の光学センサは、例えばシート状の対象物の厚さを測定する技術分野にも適用可能である。