JP2014211367A - 蛍光x線分析装置 - Google Patents

蛍光x線分析装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014211367A
JP2014211367A JP2013087916A JP2013087916A JP2014211367A JP 2014211367 A JP2014211367 A JP 2014211367A JP 2013087916 A JP2013087916 A JP 2013087916A JP 2013087916 A JP2013087916 A JP 2013087916A JP 2014211367 A JP2014211367 A JP 2014211367A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ray
fluorescent
monochromator
rays
region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013087916A
Other languages
English (en)
Inventor
桑原 章二
Shoji Kuwabara
章二 桑原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2013087916A priority Critical patent/JP2014211367A/ja
Publication of JP2014211367A publication Critical patent/JP2014211367A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N23/00Investigating or analysing materials by the use of wave or particle radiation, e.g. X-rays or neutrons, not covered by groups G01N3/00 – G01N17/00, G01N21/00 or G01N22/00
    • G01N23/22Investigating or analysing materials by the use of wave or particle radiation, e.g. X-rays or neutrons, not covered by groups G01N3/00 – G01N17/00, G01N21/00 or G01N22/00 by measuring secondary emission from the material

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Abstract

【課題】試料の複数の微小領域を試料ステージでステップ走査することなく、一回の測定で同時に分析することを可能とする蛍光X線分析装置を提供する。
【解決手段】X線源1は試料2の照射領域15にX線を照射し、分析領域13から分析対象元素の蛍光X線が出射する。モノクロメータ4が試料面とX線検出器5の受光面との間の点収束光学系モノクロメータであり、モノクロメータ4に入射した蛍光X線はX線検出器5の受光面に収束する。X線検出器5は位置感応型二次元X線検出器であり、収束領域16の蛍光X線強度分布が一回の測定で同時に得られる。データ処理装置6は、シミュレーション計算などにより予め求められた、分析領域13内の任意の位置の蛍光X線強度と収束領域16の対応する位置の蛍光X線強度との関係に基づいて、収束領域16の蛍光X線強度分布から、分析領域13内における分析対象元素の蛍光X線強度分布を求める。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料の複数の微小領域に含まれる分析対象元素の蛍光X線強度を求めるための蛍光X線分析装置に関するものである。
従来、試料の複数の微小領域に含まれる分析対象元素の特性X線強度を求める分析装置としては、電子線で試料を励起するEPMA(電子線マイクロアナライザ)やSEM(走査型電子顕微鏡)にEDX(エネルギー分散型X線検出器)を組み合わせたSEM−EDX、荷電粒子線で励起するPIXE(荷電粒子励起X線)分析装置およびX線で励起する蛍光X線分析装置などがある(特許文献1参照)。
前記蛍光X線分析装置としては、例えば、X線を試料の一つの微小領域に照射し、発生した蛍光X線をEDXで検出するものがあり、該微小領域に照射するX線源としては、X線管からのX線をスリットで絞るもの(特許文献1参照)、X線管からのX線をポリキャピラリまたはシングルキャピラリで集光するもの、およびシンクロトロン放射光源からのX線をK−B(カークパトリック−バエズ)ミラーで集光するものなどがある。また、試料と検出器の間に蛍光X線の角度発散が制限されるコリメータ板をできる限り近接して設置し、蛍光X線を撮像して元素の位置的な分布を得る装置がある(特許文献2参照)。また、試料の一つの微小領域を高感度で分析する蛍光X線分析装置があり、この装置では、X線管からのX線を集光して試料の微小領域に照射し、発生した蛍光X線を二重湾曲モノクロメータとX線検出器とを備えた分光検出器で検出する(特許文献3参照)。
前述のEPMAやSEM−EDXでは、試料を励起する電子ビームを絞ることでサブミクロンオーダーの空間分解能で特性X線強度の分布が得られるものの、試料を真空雰囲気で測定する必要がある。また、励起する電子ビームの侵入深さが数μm以下と浅いので、それ以上の深さに分布する元素の分析が困難である。また、電子ビームの制動放射による連続X線が発生し、その中の分析対象元素の特性X線と同じエネルギーを持つX線が前記特性X線のバックグラウンドとなるので、微量元素の高感度分析が困難である。さらに、感度を高めるために電子ビームの電流値を大きくし過ぎた場合、電子ビームにより試料がダメージを受ける。特に大きな問題点は、試料の複数の微小領域の分析を行うためには、電子ビームを試料面上でステップ走査するか、または試料位置を試料ステージでステップ走査して逐次測定する必要があり、試料の複数の微小領域の分析を一回の測定で同時に行うこと、所謂、実時間(リアルタイム)分析が困難なことである(特許文献1参照)。
PIXE分析装置の場合は、電子励起に比べて制動放射による連続X線の発生が少ないため、微量元素の高感度分析が可能である(特許文献1参照)。また、荷電粒子線として陽子線を用いた場合、軽元素になるほど特性X線の発生効率がよくなるため、電子線やX線による励起では困難な軽元素の微量分析をすることができる。しかし、電子ビーム励起の場合よりもさらに分析深さが浅いので、数μm以上の深さに分布する元素の分析が困難である。また、陽子線の加速には大型の加速器が必要であり、装置コストが高くなる。さらに陽子線のビーム径を絞るとビーム電流が小さくなるので、ビーム径を大きくする必要があり、電子ビーム励起よりは位置分解能が劣る。特に大きな問題点は、試料の複数の微小領域の分析を行うためには、やはり、荷電粒子線ビームを試料面上でステップ走査するか、または試料位置を試料ステージでステップ走査して順次測定する必要があるため、試料の複数の微小領域のリアルタイム分析が困難なことである。
蛍光X線分析装置の場合は、X線で試料を励起するため、試料を大気雰囲気でも測定できるという利点がある。しかしながら、前述のX線管からのX線をスリットで絞る装置では、微小領域を小さくするために、試料に照射するX線を絞るほど励起X線強度が弱くなり、測定に時間がかかるという問題がある。また、X線管からのX線をポリキャピラリまたはシングルキャピラリで集光する装置では、X線の照射径は、ポリキャピラリを用いた場合で20μmから50μm(特許文献2参照)、シングルキャリラリを用いた場合で約10μmが実用上の限界であり、10μm以下の位置分解能で蛍光X線強度の分布を得ることは困難である。また、シンクロトロン放射光源からのX線をK−Bミラーで集光する装置では、最近の大型ミラーの加工精度の向上により、照射径は数十nm以下の照射径まで実現されているが、シンクロトロン放射光設備での利用に限られる。これらの蛍光X線分析装置において、特に大きな問題点は、試料の複数の微小領域の分析を行うためには、やはり、試料位置を試料ステージでステップ走査して順次測定する必要があるので、リアルタイム分析が困難なことである。
また、前述の試料と検出器の間にコリメータ板をできる限り近接して設置し、蛍光X線を撮像して元素の位置的な分布を得る装置では、蛍光X線の元素識別をする手段が別途必要である。その手段の一つとしてラジオアイソトープで標識することが提案されているが、標識が困難な場合があるため、その利用が限られる。また別の手段として、シンクロトロン放射光源の放射光を利用する提案の場合は、単色の入射X線のエネルギーを元素の吸収端前後で変化させるなどの操作が必要である。また、X線管からのX線を利用する提案の場合は、X線管からのX線をモノクロメータで単色化し、尚且つ、コリメータ板の前にフィルタを設置させて撮像し、フィルタの有無による像の変化を検討することが必要である。したがって、この装置での問題点は、元素識別するために同じ試料を複数回測定する必要があるため、やはり、リアルタイム分析が困難なことである。
また、前述の試料の一つの微小領域を高感度で分析する蛍光X線分析装置では、X線検出器として、ガス比例計数管、シンチレーションカウンタまたは一個の検出素子から成るX線検出器が用いられ、該X線検出器の受光面に入射した蛍光X線は該受光面内の位置に関係なく電気信号に変換される。したがって、分光検出器で用いられる二重湾曲モノクロメータは試料面からX線検出器の受光面への厳密な点収束光学系である必要がないため、ログスパイラル二重湾曲モノクロメータも用いられる。代わりに、ヨハンソン型またはヨハン型二重湾曲モノクロメータを用いる場合も、比較的厳しい製作精度は要求されない。しかし、X線照射する試料の微小領域の位置を変える手段がないこと、および該微小領域内の蛍光X線の出射位置を識別する手段がないことにより、この蛍光X線分析装置では、試料の複数の微小領域を同時に分析できないという問題点がある。
特開平7−280750号公報 特開2000−55842号公報 特表2005−512020号公報
PHOTONIS USA社、 「Long−LifeTM MCP Selection GuiDe」 、〔online〕、〔平成25年4月15日検索〕、インターネット< http://www.photonis.com/en/ism/38-longlife-microchannel-plates.html> XOS社、 「Polycapillary Optics」、〔online〕、〔平成25年4月15日検索〕、インターネット<http://www.xos.com/wp-content/uploads/micro-xrf.pdf>
本発明は上記問題点を解決するものであって、その課題は、試料の複数の微小領域を、試料を試料ステージでステップ走査して逐次測定することなく、一回の測定で同時に分析することができる、即ちリアルタイム分析が可能な蛍光X線分析装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された請求項1に記載の発明は、試料面にX線を照射するX線源と、該X線により励起されて該試料面から出射する分析対象元素の蛍光X線を回折するモノクロメータおよび該モノクロメータで回折した蛍光X線を検出するX線検出器を具備する分光検出器と、該X線検出器により検出されるX線の電気信号に対してデータ処理を施すデータ処理装置とを具備する蛍光X線分析装置であって、前記モノクロメータは、試料面と前記X線検出器の受光面との間の点収束光学系モノクロメータであり、前記X線検出器は、該受光面に、前記分析対象元素の蛍光X線が前記モノクロメータの回折条件を満たす試料面の出射領域内に設定された分析領域内の任意の点に対応づけられる、蛍光X線が収束する点を含む収束領域よりも広い受光領域を持つ位置感応型二次元X線検出器であり、前記X線源は、試料面の前記分析領域よりも広い照射領域にX線を照射し、前記データ処理装置は、シミュレーション計算または治具試料の実測により予め求められた、前記分析領域内の任意の位置から出射する蛍光X線強度と前記収束領域における該任意の位置に対応する位置の蛍光X線強度との関係に基づいて、前記X線検出器により検出されるX線の電気信号から得られる前記収束領域の蛍光X線強度分布から、前記分析領域内における前記分析対象元素の蛍光X線強度分布を求めることを特徴としている。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蛍光X線分析装置において、前記分光検出器、および該分光検出器を構成する前記モノクロメータは、前記分析領域の中心点と前記モノクロメータのX線入射領域の中心点を結ぶ直線が試料面に対して垂直となるように、形成され、かつ配置されていることを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の蛍光X線分析装置において、前記X線源は、試料面の前記照射領域に全反射臨界角よりも低い角度で入射するように配置されていることを特徴としている。
また、請求項4に記載の発明は、試料面にX線を照射するX線源と、該X線により励起されて該試料面から出射する分析対象元素の蛍光X線を回折するモノクロメータおよび該モノクロメータで回折した蛍光X線を検出するX線検出器を具備する分光検出器と、該X線検出器により検出されるX線の電気信号に対してデータ処理を施すデータ処理装置とを具備する蛍光X線分析装置であって、前記モノクロメータは、試料面と前記X線検出器の受光面との間の点収束光学系モノクロメータであり、前記X線検出器は、該受光面に、前記分析対象元素の蛍光X線が前記モノクロメータの回折条件を満たす試料面の出射領域内に設定された分析領域内の任意の点に対応づけられる、蛍光X線が収束する点を含む収束領域よりも広い受光領域を持つ位置感応型二次元X線検出器であり、前記X線源は、試料面の前記分析領域よりも広い照射領域にX線を照射し、前記データ処理装置は、前記X線検出器により検出されるX線の電気信号から前記収束領域の蛍光X線強度分布を求めることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、X線源は試料面の分析領域よりも広い照射領域にX線を照射するので、該分析領域に含まれる元素が励起されて試料面から蛍光X線を出射する。該分析領域の各位置から出射した蛍光X線のうち、分析対象元素の蛍光X線は、分光検出器を構成するモノクロメータに入射し、該モノクロメータで回折した蛍光X線は、該モノクロメータが試料面とX線検出器の受光面との間の点収束光学系モノクロメータであるので、X線検出器の受光面内の収束領域の各位置に収束する。該収束領域の各位置に収束した蛍光X線は、X線検出器が、該受光面に収束領域よりも広い受光領域を持つ位置感応型二次元X線検出器であるので、1回の測定で同時に電気信号に変換される。
該電気信号は、X線検出器からデータ処理装置に送られ、データ処理装置は、該電気信号から収束領域の蛍光X線強度分布を得る。次に、データ処理装置は、シミュレーション計算または治具試料の実測により求められた、分析領域内の任意の位置から出射する蛍光X線強度と収束領域の各位置における蛍光X線強度との関係に基づいて、上記の収束領域の蛍光X線強度分布を変換することにより、分析領域内の分析対象元素の蛍光X線強度分布を求める。
以上の結果、本発明によれば、試料の複数の微小領域を、試料を試料ステージでステップ走査して逐次測定することなく、一回の測定で同時に分析することができる、即ちリアルタイム分析が可能となる。
また、請求項2に記載の発明によれば、分光検出器、および該分光検出器を構成するモノクロメータは、試料面の分析領域の中心点とモノクロメータの入射領域の中心点を結ぶ直線が試料面に対して垂直となるように、形成され、かつ配置されている。このことにより、分析領域内での分析対象元素の蛍光X線の発生部の試料面からの深さが異なることによる試料面での出射位置の位置ズレが小さくなるので、その結果、より高い位置分解能で分析領域の蛍光X線強度分布を得ることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、X線源が、試料面の前記照射領域に全反射臨界角よりも低い角度で入射するように配置されていることにより、試料に入射したX線は試料面で全反射し、散乱線が分光検出器へは入射しないため、X線検出器で検出する分析対象元素の蛍光X線強度にバックグラウンドがほとんどなくSN比が良い高感度測定が行える。 その結果、分析領域内の分析対象元素の蛍光X線強度分布を高感度で得ることができる。
さらに、X線による励起が試料表面近傍だけになるため、前述の蛍光X線の発生深さの違いによる位置ズレがほとんど起きない。したがって、該位置ズレを防いで、より高い位置分解能で分析領域の蛍光X線強度分布を得るために、分光検出器、および該分光検出器を構成する前記モノクロメータを、試料面の分析領域の中心点とモノクロメータの入射領域の中心点を結ぶ直線が試料面に対して垂直となるように、形成し、かつ配置する必要がないので、任意の方向に複数の分光検出器を配置できる。
また、請求項4に記載の発明によれば、以下、請求項1に記載の発明と同様に、X線源は試料面の分析領域よりも広い照射領域にX線を照射するので、該分析領域に含まれる元素が励起されて試料面から蛍光X線を出射する。該分析領域の各位置から出射した蛍光X線のうち、分析対象元素の蛍光X線は、分光検出器を構成するモノクロメータに入射し、該モノクロメータで回折した蛍光X線は、該モノクロメータが試料面とX線検出器の受光面との間の点収束光学系モノクロメータであるので、X線検出器の受光面内の収束領域の各位置に収束する。該収束領域の各位置に収束した蛍光X線は、X線検出器が、該受光面に該収束領域よりも広い受光領域を持つ位置感応型二次元X線検出器であるので、1回の測定で同時に電気信号に変換される。
該電気信号は、X線検出器からデータ処理装置に送られ、データ処理装置は、該電気信号から前記収束領域の蛍光X線強度分布を得る。これ以降、この請求項4に記載の発明では、データ処理装置は、請求項1に記載の発明のように、該収束領域の蛍光X線強度分布を変換することにより、分析領域内の分析対象元素の蛍光X線強度分布を求めることを必須とはしていない。例えば、X線検出器の受光面の収束領域の蛍光X線強度分布と分析領域内の分析対象元素の蛍光X線強度分布を同一と近似できるような場合や、分析領域の蛍光X線強度分布を定量的に扱う必要がない場合には、該収束領域の蛍光X線強度分布を分析領域内の分析対象元素の蛍光X線強度分布として扱うことができる。
本発明の第1の実施形態に係る蛍光X線分析装置の概略構成図である。 試料面とX線検出器の受光面における各領域、および蛍光X線の出射位置と収束位置の関係を示す図である。 (a)はモノクロメータのロッキングカーブ、(b)は試料面の照射X線強度分布を示す図である。 データ処理装置における準備と分析のフローチャートである。 (a)は出射収束X線強度関係、(b)は収束領域蛍光X線強度分布、および(c)は分析領域蛍光X線分布を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る蛍光X線分析装置の概略構成図である。
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図1において、X線源1のX線管7からX線が放射される。このX線はポリキャピラリ8の内部を通過した後、ほぼ平行束となって、X線源1の出射窓9の薄膜を透過し、試料2の後述する照射領域15に照射X線53として照射される。照射領域15で励起された試料2に含まれる元素の蛍光X線のうち、後述する出射領域14内から出射X線54として出射する分析対象元素の蛍光X線が分光検出器3の入射窓12の薄膜を透過してモノクロメータ4に入射X線55として入射し、モノクロメータ4で回折X線56として回折すする。
モノクロメータ4は、試料面とX線検出器5の受光面との間の点収束光学系モノクロメータであるので、回折X線56のうち、試料面の後述する分析領域13から出射した蛍光X線は、X線検出器5の後述する収束領域16に収束X線57として収束する。X線検出器5は位置感応型検出器であるので、収束領域16内の各位置の蛍光X線はX線検出器5により同時に検出されて、電気信号としてデータ処理装置6に送られる。尚、図1では、照射X線53、出射X線54、入射X線55、回折X線56、および収束X線57のそれぞれ中心線のみを図示している。
データ処理装置6は上記の電気信号から、収束領域16の蛍光X線強度分布(以下、収束蛍光X線強度分布という)を取得する。さらに、データ処理装置6は、シミュレーション計算または治具試料の実測により予め求められた、試料面の分析領域13内の任意の位置から出射する蛍光X線強度とX線検出器5の収束領域16における該任意の位置に対応する位置(以下、対応位置という)の蛍光X線強度との関係に基づいて、上記の収束蛍光X線強度分布から、試料2の分析領域13内の分析対象元素の蛍光X線強度分布を求める。
引き続いて、データ処理装置6は、定量分析プログラムにより、上記の蛍光X線強度分布から、分析領域13内の分析対象元素の含有量および厚さの分布を求める。
ここではモノクロメータ4としてヨハンソン型二重湾曲モノクロメータを使用する。 該モノクロメータ4は図1に示すように、試料面の分析領域13の中心点Sと、該点が収束するX線検出器5の受光面の点D(点Dは受光面の中心点でもある)を通るローランド円11の円周上に設置されており、かつ点Sと点Dを結ぶ直線を軸に回転対称となるように湾曲している。また、点Sとモノクロメータ4の入射領域24の中心点Mを結ぶ直線が試料面に対して垂直となるように、および点Mと点Dを結ぶ直線がX線検出器5の受光面に対して垂直となるように、分光検出器3と、それを構成するモノクロメータ4、およびX線検出器5が形成され、かつ配置されている。
上記のことにより、モノクロメータ4は、分析対象元素の蛍光X線がモノクロメータ4の回折条件を満たす試料面の出射領域14内の任意の点とX線検出器5の受光面の点との間の点収束光学系モノクロメータとなっている。特に、このヨハンソン型二重湾曲モノクロメータの場合は、幾何学的な収差が小さいので、出射領域14内に設定された分析領域13内にある任意の点から出射した蛍光X線は、収束領域16内に、点Dに対して点対称の位置に同じ大きさの点に収束する。例えば、図2に示すように、分析領域13内に分析対象元素がL字状に存在した場合、該元素の蛍光X線は収束領域16内に、点Dに対して点対称の位置関係で、同じ形状、かつ同じ大きさのL字状に収束する。
前述の分析領域13、出射領域14、および収束領域16について、図3(a)に示すモノクロメータ4のロッキングカーブと関係付けて詳しく説明する。図3(a)の縦軸はモノクロメータ4で回折される蛍光X線の相対強度であり、横軸はモノクロメータ4への入射角である。横軸には、入射角に対応する、ローランド円11を含む面と試料面との交線上での蛍光X線の出射位置の点Sからの距離±U、およびローランド円11を含む面とX線検出器5の受光面との交線上での蛍光X線の収束位置の点Dからの距離±Xが示されている。
分析領域13の中心点Sから出射した蛍光X線がモノクロメータ4に入射する角度は、モノクロメータ4の回折条件を丁度、満足するブラッグ角Θとなっているので、回折X線の相対強度は最大値の1となる。蛍光X線の出射位置が点Sから離れるにしたがって、入射角のΘからのズレ±ΔΘの値が大きくなるとともに、回折X線の相対強度が減衰していき、図2、および図3(a)に示す出射領域14の境界線の位置で回折X線の相対強度がほぼ零になる。この境界線より外側の位置では試料に励起X線が照射されて蛍光X線が出射し、モノクロメータ4に入射してもモノクロメータ4では回折されない。
したがって、分析領域13は出射領域14よりも内側に設定する必要があり、図2、および図3(a)に示すように、分析感度を考慮すると、分析領域13として、回折X線の相対強度が最大値の約2分の1に対応する位置を境界線とする領域に設定することが好ましい。
X線検出器5は、図2、および図3(a)に示すように、該受光面に、収束領域16よりも広い受光領域17を持つ位置感応型二次元X線検出器である。ここでは該位置感応型二次元X線検出器として、MCP(マイクロチャンネルプレート)10を有するX線検出器5を利用する。X線検出器5の収束領域16内の各位置に収束する蛍光X線は、MCP10のピクセルサイズとピクセルピッチに対応した位置分解能で、1回の測定で同時に検出される。検出された蛍光X線はMCP10の各ピクセルで蛍光X線強度に比例した電気信号に変換され、X線検出器5からデータ処理装置6に送られる。
MCP10は検出素子の微小ピクセルサイズの光電子増倍管を多数個束ねた構造であり、位置分解能や時間分解能が良く、2枚以上重ねることでより高いゲイン(10の6乗以上のゲイン)を得ることができる。MCP10として、例えば非特許文献1に示すPHOTONIS社製のピクセルサイズ2μmのMCPを利用することにより、MCP10では5μm以下の高い位置分解能で収束蛍光X線強度分布が得られる。
分光検検出器3の蛍光X線が透過する入射窓12はX線透過率の高い材質、例えばベリリウムの薄膜で仕切られている。このことにより、試料2を大気雰囲気に置いた状態で、分光検出器3の内部を高真空に保つことができるため、分光検出器3の入射窓12からMCP10の受光面までの行程での空気による蛍光X線の吸収を防ぐとともに、動作環境として高真空が求められるMCP10の動作環境を保持している。
また、前述のように、分光検出器3、およびモノクロメータ4は、点Sと点Mを結ぶ直線が試料面に対して垂直となるように、形成され、かつ配置されている。このことにより、分析領域13内での分析対象元素の蛍光X線の発生部の試料面からの深さが異なることによる試料面での出射位置の位置ズレが小さくなり、その結果、より高い位置分解能で分析領域13の蛍光X線強度分布が得られる。
X線源1のX線出射窓9はX線透過率の高い材質、例えばベリリウムの薄膜で仕切られており、試料2を大気雰囲気に置いた状態で、X線源1の内部を真空に保つことができる。 このことにより、分析対象元素に軽元素が含まれる場合に、該軽元素を効率的に励起するための低エネルギーのX線がX線管7の窓からX線出射窓9までの行程で空気により吸収されることを防いでいる。
また、X線源1のポリキャピラリ8として、例えば分析領域13が10mm径以下の場合、非特許文献2に示す出射ビーム径が15mm径のPoint−to−parallel beamポリキャピラリが利用できる。その場合、照射領域15の照射X線強度分布は図3(b)に示すような分布となる。図3(b)の縦軸はX線源1からの照射X線の相対強度であり、横軸はローランド円11と試料面との交線上での中心点Sからの距離±Uである。
このようなポリキャピラリ8を用いる場合、X線管7からのX線をスリットで絞って試料に照射する場合よりも、照射領域15へのX線強度が強くなるため分析の高感度化が図れる。さらに、この場合、照射領域15内の分析領域13での励起X線の強度分布をより均一にすることができるため、分析領域13内の位置の違いによる分析感度の変化を小さくすることができる。
また、ポリキャピラリ8は入射したX線のキャピラリ内面での全反射を利用しているため、X線管7から発生する特性X線および連続X線を含む広いエネルギーを持つX線が照射領域15に照射される。このことを利用して、分析対象元素に軽元素と重元素が含まれる場合に、それぞれの元素の蛍光X線に対する励起効率が高いエネルギーを持つX線を発生するX線管7を選択することや管電圧を設定することが可能である。
以下にデータ処理装置6における準備と分析のフローを図4に示すフローチャートに沿って、図3(a)のロッキングカーブ、(b)の照射X線強度分布、および図5に示す(a)出射収束X線強度関係、(b)収束蛍光X線強度分布、および(c)分析領域蛍光X線分布を参照して説明する。
準備のフローは、まず、ステップS1−1において、図3(b)に示す試料面での照射X線強度分布、およびモノクロメータ4の収差や図3(a)に示すロッキングカーブなどのX線光学特性などを考慮したレイトレーシング(ray-tracing)法によるシミュレーション計算を行い、計算結果として、試料の分析領域13の任意の位置から出射する蛍光X線がモノクロメータ4で回折し、X線検出器5の収束領域16に収束するときの収束領域16での蛍光X線相対強度分布を得る。
次のステップS2において、試料面の分析領域13内で分析対象元素が完全に均一に存在し、かつ照射X線強度が均一と仮定した場合の分析領域13の一定値(この値を1とする)の出射蛍光X線相対強度分布と、上記のステップS1−1で得られる収束領域16の蛍光X線相対強度分布との関係である、図5(a)に示す、出射収束X線強度関係を求める。
理解を得やすくするために、以下に、例として図3(a)、(b)の横軸に示す点Aと点Bで説明する。試料の分析領域13内で分析対象元素が完全に均一に存在し、かつ照射X線強度が均一とした場合の出射蛍光X線相対強度の値である1に対して、X線源1の照射X線53により励起されて分析領域13の点Aから出射する蛍光X線は、図3(b)の照射X線強度分布に示すように、照射X線53の相対強度がIとなっているので、相対強度がIとなる。さらに、該蛍光X線がモノクロメータ4で回折するときの回折X線56の相対強度が、図3(a)のロッキングカーブでIとなっているので、収束領域16の点Bに収束する収束X線57は、図5(a)に示すように、相対強度がI×Iとなる。これが点Aと点Bとの出射収束X線強度関係の値である。この値を分析領域の全ての点と、それらに対応する収束領域の全ての点に対して求める。
シミュレーション計算により出射収束X線強度関係を求める場合は、後述のステップS1−2のように、治具試料の実測を行う必要がなく、したがって、治具試料および試料ステージを製作する必要もない。また、実際にモノクロメータ4を製作し、該モノクロメータ4による測定を行う前に、シミュレーション計算により求めた結果をもとに求めた出射収束X線強度関係から、出射領域14や分析領域13の大きさや、収束蛍光X線強度分布の位置分解能などを評価することが可能である。
しかし、ロッキングカーブなどのX線光学特性が正確に得られていない場合や、モノクロメータ4の製作歪みが大きいために、収束蛍光X線強度分布に影響がある場合は、シミュレーション計算結果の値と実際の値とに誤差を生じる。それらの場合、ステップS1−2の治具試料の実測により得られた結果をもとに、ステップS2において上記の出射収束X線強度関係を求める。
以下にステップS1−2の治具試料の実測について詳しく説明する。
まず、X線検出器5の位置分解能と概ね同じ大きさの分析対象元素からなる微小領域と、モノクロメータ4による蛍光X線の回折条件が分析対象元素の蛍光X線と重ならない元素からなる他の領域とで構成される治具試料を製作する。次に、該治具試料を試料ステージ上に設置し、上記の微小領域が分析領域13内の全ての位置を移動するように、試料ステージをX線検出器5の位置分解能と概ね同じ距離でステップ走査するとともに、ステップ毎にX線検出器5の収束蛍光X線強度分布を測定する。X線検出器5で検出されるX線強度には上記の微小領域から出射した分析対象元素の蛍光X線のみが寄与しているので、収束蛍光X線強度が正確に得られる。
その結果をもとに、ステップS2においてS1−1と同様に出射収束X線強度関係を求める。
ステップS3においては、上記の出射収束X線強度関係を基に、X線検出器5の収束蛍光X線強度分布から、試料の分析領域13内の分析対象元素の蛍光X線強度分布に変換する変換プログラムを作成する。具体的な例として、前述の点Aと点Bについて説明する。収束X線57の相対強度は、前述のように、点Bでは照射強度分布とロッキングカーブの特性により、出射収束X線強度関係の値である、I×I倍となっているので、変換プログラムは、それらの影響を補正するために、1/(I×I)倍して点Aの蛍光X線強度とする変換を行う。
ステップS4においては、上記の変換プログラムと定量分析プログラムをデータ処理装置へ組み込む。該定量分析プログラムは、従来の蛍光X線分析装置のデータ処理装置におけるプログラムと同様の、上記の蛍光X線強度から、検量線法およびFP(ファンダメンタルパラメータ)法などで必要な、各種定数と計算式を用いて、分析対象元素の含有量や厚さを求めるプログラムである。
次に分析のフローを説明する。まず、ステップS5においては、X線源1からX線を試料面の照射領域15に照射し、X線検出器5の収束蛍光X線強度分布を取得する。具体的には図5(b)に示すように、例えば点Bでは収束蛍光X線強度がJであるような収束蛍光X線強度分布が1回の測定で同時に得られる。
次のステップS6においては、変換プログラムにより、上記の収束蛍光X線強度分布から試料面の分析領域13内の分析対象元素の蛍光X線強度分布を得る。具体例として、図5(c)に示すように、点Bに対応する点Aの蛍光X線強度がJ/(I×I)となるような分析領域13の蛍光X線強度分布を得ることができる。
さらに、ステップS7においては、定量分析プログラムにより、上記のステップS6で得た蛍光X線強度分布から、分析領域13の分析対象元素の含有量および厚さの分布を得ることができ、所謂、リアルタイム分析ができる。
ここで示した具体例の分析領域13の点A、および収束領域16の点Bは、前述のように、それぞれ、ローランド円を含む面と試料面との交線上、およびX線検出器5の受光面との交線上にある点であるので、各点に対応する入射角などが比較的簡単に得られる。しかし、各交線上に存在しない各領域の任意の点について、前述の具体例と同様な解析を行うことは非常に複雑な計算を要することになる。また、本発明の可能な別の実施形態として、試料面の分析領域13の中心点Sとモノクロメータ4の入射領域24の中心点Mを結ぶ直線と試料面との関係、およびモノクロメータ4の入射領域24の中心点MとX線検出器の受光面の中心点Dを結ぶ直線とX線検出器5の受光面の関係の一方、もしくは両方が垂直とならないように、分光検出器3、モノクロメータ4、およびX線検出器5が形成され、かつ配置されている場合は、さらに複雑な計算を要することなる。したがって、レイトレーシング法によるシミュレーション計算、または治具試料による実測が必要になる。
次に、図面を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。
図6に示すように、X線源21のX線管27から出射したX線は、モノクロメータ40により回折する。該回折したX線は試料2の照射領域15に全反射臨界角よりも低角度で照射X線53を照射する。照射領域15で励起されて出射した蛍光X線のうち、第1の分析対象元素および第2の分析対象元素の蛍光X線は、それぞれ、分光検出器31、32のモノクロメータ41、42により回折する。これらの回折した蛍光X線は、それぞれ、X線検出器51、52により検出され、該検出されたX線の電気信号がX線検出器51、52からデータ処理装置6へ送られる。データ処理装置6では、前述の第1の実施形態と同様に、まず、それぞれの元素の蛍光線強度分布が求められ、次に、それらを基に、それぞれの元素の含有量および厚さの分布が求められる。
X線源21は、第1の分析対象元素と第2の分析対象元素の蛍光X線の最低励起エネルギーよりも高く、かつ近いエネルギーをもつ特性X線を発生する元素からなるターゲットを有するX線管7と、該特性X線を回折して試料の照射領域15に全反射臨界角よりも低角度で照射X線53を照射するように配置されているモノクロメータ40から構成されている。例えば、第1の分析対象元素が亜鉛であり、第2の分析対象元素が銅である場合、亜鉛の蛍光X線ZnKαの最低励起エネルギーは9.66KeVであり、銅の蛍光X線CuKαの最低励起エネルギーは8.98KeVであるので、それらのエネルギーより高く、且つ近いエネルギー17.446KeVの特性X線MoKαが発生するモリブデンターゲットを有するX線管7が用いられる。
前述のように、試料2の照射領域15に全反射臨界角よりも低角度で照射されることにより、照射X線53は試料面で全反射するので、該散乱線が分光検出器31、32へは入射しない。その結果、X線検出器51、52で検出するそれぞれの元素の蛍光X線にバックグラウンドがほとんどないことにより、蛍光X線強度の高感度測定が行える。さらに、照射X線53による励起が試料表面近傍だけになるため、蛍光X線の発生深さの違いによる位置ズレがほとんど起きない。したがって、図6に示すように、分光検出器31、32、およびモノクロメータ41、42は、試料面の分析領域13の中心点Sとモノクロメータ41、42のそれぞれの入射領域43、44の中心点M、Mを結ぶ直線と試料面とが垂直となるように、配置する必要がないので、任意の方向に二つの分光検出器31、32を配置できる。
ここでは分光検出器31、32のモノクロメータ41、42としてヨハン型二重湾曲モノクロメータが用いられている。また、X線検出器51、52には、位置感応型二次元検出器としてCCD(電荷結合型素子)型X線検出器18、19を有するX線検出器が用いられている。
モノクロメータ41、42として、第1の実施形態で用いられているヨハンソン型二重湾曲モノクロメータではなく、ヨハン型二重湾曲モノクロメータが用いられている理由を説明する。ヨハンソン型二重湾曲モノクロメータは、前述のように、幾何学的な収差が小さいという利点があるが、その一方で製作工程が複雑であるため製作コストが高く、製作難易度も高いため、モノクロメータの材質によっては製作歪みが生じることがある。そのために前述の収束蛍光X線強度分布に大きな歪みが生じることや、製作が不可能なものある。
一方、ヨハン型二重湾曲モノクロメータは製作工程が比較的簡単で製作コストも低く、製作難易度が低いので、ヨハンソン型二重湾曲モノクロメータは製作できないモノクロメータの材質でも製作できる場合がある。しかし、ヨハン型二重湾曲モノクロメータの場合は幾何学的な収差があるため、分析領域13内の任意の点から出射した蛍光X線は、収束領域16(図1参照)で、ローランド円11(図1参照)を含む面とX線検出器51、52の受光面との交線方向に少し拡がった点に収束する。その結果、収束蛍光X線強度分布の位置分解能がヨハンソン型二重湾曲モノクロメータの場合に比べて少し劣ることになる。また、該収束蛍光X線強度分布を変換して求められる分析領域13内の蛍光X線強度分布と、該分布から求められる含有量および厚さの分布の位置分解能も少し劣ることになる。
また、ヨハンソン型二重湾曲モノクロメータが製作できる場合でも、ヨハン型二重湾曲モノクロメータの方が、製作歪みが少ないため、結果的に収束蛍光X線強度分布の位置分解能が優れている場合もある。そのような場合にも、モノクロメータ41,42として、ヨハン型二重湾曲モノクロメータを利用することができる。
したがって、モノクロメータ41,42の材質によって、製作コストや製作難易度、製作歪みの大きさなどを考慮して、ヨハンソン型二重湾曲モノクロメータかヨハン型二重湾曲モノクロメータかを選択することになり、この第2の実施形態ではヨハン型二重湾曲モノクロメータが用いられている。
CCD型X線検出器18、19は、半導体を検出素子としており、CCD検出素子へのX線の照射方法により、CCD検出素子で直接、X線を受光して電気信号に変換する直接照射型CCD型X線検出器と、蛍光体によりX線を可視光に変換したのちCCD検出素子に導く間接照射型CCD型X線検出器がある。直接照射型CCD型X線検出器の方が位置分解能を高くできるが、間接照射型の方がダイナミックレンジを広くできる。また、CCD型X線検出器からの信号読み出しの仕方により、フルフレームトランスファー(Full Frame Transfer)型、フレームトランスファー(Frame
Transfer)型、およびインターライン(Interline)型に分類でき、インターライン型では連続露光によるリアルタイム測定が可能である。
CCD型X線検出器の位置分解能は現在では上記のMCP10と比較すると劣るが、動作環境が大気雰囲気でも良いことやダイナミックレンジが広いなどの利点があり、前述の様々なCCD型X線検出器をそれらの特性と分析目的に応じてX線検出器51、52に利用することが可能である。ここでは、インターライン型を用いることで高速の連続読み取りが可能になり、データ処理装置6は、X線検出器51、52から連続的に送られる収束蛍光X線強度分布の電気信号を、試料の分析領域13内の亜鉛と銅の蛍光X線強度分布に同時に変換する。引き続き、分析プログラムにより、亜鉛と銅の二元素を同時に、試料2の表面近傍の分析領域13内の含有量および厚さの分布を得ることにより、高速リアルタイム、高感度分析が行える。
この第2の実施形態においては、分析対象元素の亜鉛と銅の蛍光X線およびX線源21のモリブデンの特性X線とも比較的エネルギーが高いので、空気による吸収が小さく、またCCD型X線検出器18、19が大気雰囲気での動作が可能である。したがって、X線源21および分光検出器31、32の内部は試料2の雰囲気と同様に大気雰囲気とできるため、第1の実施形態とは異なり、X線源21の出射窓、および分光検出器31、32の入射窓は薄膜で仕切られていない。
ここに示した第1の実施形態および第2の実施形態では、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、例えば第1の実施形態において、X線源1としてシングルキャピラリを用いることや、第2の実施形態において、X線源21としてシンクロトロン放射光源からのX線を用いることが可能である。
1、21 X線源
2 試料
3 分光検出器
4 モノクロメータ
5,51,52 X線検出器
6 データ処理装置
7,27 X線管
8 ポリキャピラリ
9 X線出射窓
10 MCP
11 ローランド円
12 X線入射窓
13 分析領域
14 出射領域
15 照射領域
16 収束領域
17 受光領域
18,19 CCD型X線検出器
24,43,44 入射領域
31 第1の分光検出器
32 第2の分光検出器
40,41,42 モノクロメータ
53 照射X線
54 出射X線
55 入射X線
56 回折X線
57 収束X線
Θ ブラッグ角
ΔΘ ブラッグ角からのズレ
U 試料面出射位置
X X線検出器受光面収束位置
S 分析領域中心点
D 点SのX線検出器受光面収束点
A 試料面出射点
点Aの照射X線相対強度
B X線検出器受光面収束点
点Bへの回折X線相対強度
点Bの収束蛍光X線強度
M,M1,M2 入射領域中心点

Claims (4)

  1. 試料面にX線を照射するX線源と、該X線により励起されて該試料面から出射する分析対象元素の蛍光X線を回折するモノクロメータおよび該モノクロメータで回折した蛍光X線を検出するX線検出器を具備する分光検出器と、該X線検出器により検出されるX線の電気信号に対してデータ処理を施すデータ処理装置とを具備する蛍光X線分析装置であって、
    前記モノクロメータは、試料面と前記X線検出器の受光面との間の点収束光学系モノクロメータであり、
    前記X線検出器は、該受光面に、前記分析対象元素の蛍光X線が前記モノクロメータの回折条件を満たす試料面の出射領域内に設定された分析領域内の任意の点に対応づけられる、蛍光X線が収束する点を含む収束領域よりも広い受光領域を持つ位置感応型二次元X線検出器であり、
    前記X線源は、試料面の前記分析領域よりも広い照射領域にX線を照射し、
    前記データ処理装置は、シミュレーション計算または治具試料の実測により予め求められた、前記分析領域内の任意の位置から出射する蛍光X線強度と前記収束領域における該任意の位置に対応する位置の蛍光X線強度との関係に基づいて、前記X線検出器により検出されるX線の電気信号から得られる前記収束領域の蛍光X線強度分布から、前記分析領域内における前記分析対象元素の蛍光X線強度分布を求めることを特徴とする蛍光X線分析装置。
  2. 請求項1に記載の蛍光X線分析装置において、前記分光検出器、および該分光検出器を構成する前記モノクロメータは、前記分析領域の中心点と前記モノクロメータのX線入射領域の中心点を結ぶ直線が試料面に対して垂直となるように、形成され、かつ配置されていることを特徴とする蛍光X線分析装置。
  3. 請求項1に記載の蛍光X線分析装置において、
    前記X線源は、試料面の前記照射領域に全反射臨界角よりも低い角度で入射するように配置されていることを特徴とする蛍光X線分析装置。
  4. 試料面にX線を照射するX線源と、該X線により励起されて該試料面から出射する分析対象元素の蛍光X線を回折するモノクロメータおよび該モノクロメータで回折した蛍光X線を検出するX線検出器を具備する分光検出器と、該X線検出器により検出されるX線の電気信号に対してデータ処理を施すデータ処理装置とを具備する蛍光X線分析装置であって、
    前記モノクロメータは、試料面と前記X線検出器の受光面との間の点収束光学系モノクロメータであり、
    前記X線検出器は、該受光面に、前記分析対象元素の蛍光X線が前記モノクロメータの回折条件を満たす試料面の出射領域内に設定された分析領域内の任意の点に対応づけられる、蛍光X線が収束する点を含む収束領域よりも広い受光領域を持つ位置感応型二次元X線検出器であり、
    前記X線源は、試料面の前記分析領域よりも広い照射領域にX線を照射し、
    前記データ処理装置は、前記X線検出器により検出されるX線の電気信号から前記収束領域の蛍光X線強度分布を求めることを特徴とする蛍光X線分析装置。
JP2013087916A 2013-04-18 2013-04-18 蛍光x線分析装置 Pending JP2014211367A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013087916A JP2014211367A (ja) 2013-04-18 2013-04-18 蛍光x線分析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013087916A JP2014211367A (ja) 2013-04-18 2013-04-18 蛍光x線分析装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014211367A true JP2014211367A (ja) 2014-11-13

Family

ID=51931224

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013087916A Pending JP2014211367A (ja) 2013-04-18 2013-04-18 蛍光x線分析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014211367A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017083333A (ja) * 2015-10-29 2017-05-18 株式会社日産アーク 共焦点x線分析方法
CN109196340A (zh) * 2016-09-30 2019-01-11 株式会社理学 波长分散型荧光x射线分析装置和采用它的荧光x射线分析方法
CN116879335A (zh) * 2023-09-08 2023-10-13 四川大学 一种组合扫描式xrd/xrf综合成像装置及方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017083333A (ja) * 2015-10-29 2017-05-18 株式会社日産アーク 共焦点x線分析方法
CN109196340A (zh) * 2016-09-30 2019-01-11 株式会社理学 波长分散型荧光x射线分析装置和采用它的荧光x射线分析方法
US10768125B2 (en) 2016-09-30 2020-09-08 Rigaku Corporation Wavelength dispersive x-ray fluorescence spectrometer and x-ray fluorescence analyzing method using the same
CN116879335A (zh) * 2023-09-08 2023-10-13 四川大学 一种组合扫描式xrd/xrf综合成像装置及方法
CN116879335B (zh) * 2023-09-08 2023-11-17 四川大学 一种组合扫描式xrd/xrf综合成像方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6937380B2 (ja) X線分光を実施するための方法およびx線吸収分光システム
US7680243B2 (en) X-ray measurement of properties of nano-particles
JP5525523B2 (ja) X線装置、その使用方法およびx線照射方法
CN1829910B (zh) 实现xanes分析的方法和设备
US7076024B2 (en) X-ray apparatus with dual monochromators
US20150110249A1 (en) Small-angle scattering x-ray metrology systems and methods
US11105756B2 (en) X-ray diffraction and X-ray spectroscopy method and related apparatus
WO2013061676A1 (ja) X線分光検出装置
US20130034204A1 (en) X-ray analyzer and x-ray analysis method
JP6286535B2 (ja) 荷電粒子線分析装置および分析方法
JP2014066731A (ja) 蛍光x線分光システム及び蛍光x線分光方法
JP5464419B2 (ja) 分光結晶、波長分散型x線分析装置および元素分布測定方法
WO2013108876A1 (ja) X線回折装置
JP2009002805A (ja) 小角広角x線測定装置
JP2014211367A (ja) 蛍光x線分析装置
Spanier et al. A flexible setup for angle-resolved X-ray fluorescence spectrometry with laboratory sources
Wang et al. Research on a laboratory monochromatic micro X-ray fluorescence spectrometer based on polycapillary X-ray lenses and flat crystal
CN113218974A (zh) 一种x射线吸收谱测量系统
JP2002189004A (ja) X線分析装置
JP5039971B2 (ja) 非走査型波長分散型x線分析装置及びそれを用いた測定方法
Holfelder et al. A double crystal von Hamos spectrometer for traceable x-ray emission spectroscopy
JP2015184092A (ja) X線分析装置
Robledo et al. A compact high-resolution spectrometer based on a segmented conical crystal analyzer
US11796491B2 (en) X-ray spectroscopic analysis apparatus and elemental analysis method
JP4349146B2 (ja) X線分析装置