JP2014210976A - 無電解めっき液の再生方法および再生装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このような問題を解決する方法として、特許文献1では電気透析法によってめっき液中の不要成分である亜リン酸イオンや硫酸イオンを選択的に除去し、再生する方法が開示されている。
1.電気透析開始時点の劣化しためっき液の不要イオン濃度、
2.電気透析途中での劣化しためっき液の不要イオン濃度推移。
そして、特許文献1では透析時間や電流値の電気量が記載されているだけである。透析時間や電気量で制御する場合には、以下のような問題点がある。電気透析開始時点での劣化しためっき液の不要イオンの濃度は、無電解めっきでは還元剤の副反応や自己分解により一定ではなく、その濃度を知るにはキャピラリー電気泳動法などの分析方法が必要である。その分析方法は、時間と高度な分析装置が必要であるため、消費した金属イオンから推定するのが一般的であるが、そのめっき液の不要イオン濃度のばらつきは大きい。また、電気透析の途中の不要イオンの濃度推移は組成や各濃度に影響を受け、一定ではないことが一般的である。
本発明に係る無電解めっき液の再生方法は、不要イオンが蓄積し劣化した無電解めっき液を電気透析法により再生する方法であって、少なくとも陽極板および陰極板の両極板間に複数の陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に配置して、前記陽イオン交換膜と陰イオン交換膜によって仕切られた脱塩室および濃縮室を有する電気透析ユニットを用いて、前記脱塩室に劣化した無電解めっき液を循環して供給する工程、前記濃縮室に希薄電解液を循環して供給する工程、前記陽極板および陰極板間に電圧を印加して電気透析を行い、劣化した無電解めっき液に蓄積した不要イオンを脱塩室の無電解めっき液側から濃縮室の希薄電解液側に移行させて除去し、劣化した無電解めっき液を再生する工程、前記電気透析により、蓄積した不要イオン濃度が減少していく劣化した無電解めっき液の導電率または不要イオン濃度が増加していく希薄電解液の導電率の変化によって電気透析条件を制御する工程を有することを特徴とする。
前記不要イオン濃度が増加していく希薄電解液の導電率は、電気透析による増水分を補正した導電率を用いることが好ましい。
本発明の劣化した無電解めっき液の再生方法および再生装置について図1を用いて説明する。
本発明に係る無電解めっき液の再生装置は、不要イオンが蓄積し劣化した無電解めっき液を電気透析法により再生する装置であって、少なくとも陽極板および陰極板の両極板間に複数の陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に配置して、前記陽イオン交換膜と陰イオン交換膜によって仕切られた脱塩室および濃縮室を有する電気透析ユニットと、前記脱塩室に劣化した無電解めっき液を循環して供給する脱塩槽と、前記濃縮室に希薄電解液を循環して供給する濃縮槽と、前記陽極板および陰極板間に電圧を印加して電気透析を行い、劣化した無電解めっき液に蓄積したイオンを脱塩室の無電解めっき液側から濃縮室の希薄電解液側に移行させて除去し、劣化した無電解めっき液を再生する電気透析手段と、前記電気透析により、蓄積した不要イオン濃度が減少していく劣化した無電解めっき液の導電率または不要イオン濃度が増加していく希薄電解液の導電率を測定する導電率計と、前記導電率計により測定された導電率の変化によって電気透析条件を制御する制御手段を具備することを特徴とする。
陽イオン交換膜6としては、特に制限されず、例えばセレミオンCMV(AGCエンジニアリング社製)、ネオセプタCM−1(アストム社製)、Nafion324(デュポン社製)等を使用できる。陰イオン交換膜7は、特に制限はされず、セレミオンAMV(AGCエンジニアリング社製)、ネオセプタAM−X(アストム社製)等を使用できる。電気透析ユニット1の両端部に位置する陽極室4、陰極室5には硫酸ナトリウム水溶液など電解質溶液を適宜選択し供給すればよい。一般的に極液の隔膜10は陽イオン交換膜で構成されている。
本発明の再生方法において再生対象とするめっき液は、ニッケル、銅、金などの無電解めっき液である。一般的な無電解めっき液の基本成分は、金属の供給源として、硫酸ニッケル等のニッケル塩、硫酸銅等の銅塩、シアン化金カリウム等の金塩:金属イオンの還元剤として、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸アンモニウムなどの次亜リン酸塩、ホルムアルデヒド、ホルマリンやジメチルアミノボラン等のアルキルアミノボラン:金属イオンの錯化剤として酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、EDTA等の有機酸:安定剤として鉛やビスマスなどの負触媒金属等が用いられる。さらに必要に応じて、析出促進剤等が含まれる。その組成については特に制限はなく、公知の各種組成の無電解めっき液処理対象とすることができる。しかしながら本発明の再生対象はこれらの成分を含むめっき液に限定されるものではない。
所定時間内に透析処理が終了されるように、導電率から得られた移動対象イオンの初期濃度(g/L)と目標濃度(g/L)から液量(L)を元に総移動量(g)を算出し、使用するイオン交換膜の固有イオン移動量(g/A・H・dm2)と総膜面積(dm2)から使用する電流値(A)を求め透析を行なうことで一定時間(H)での透析処理が可能となる。この場合透析の終了の判断は設定された導電率値による。更にまた所定の電流値で透析を行なう場合、透析終了時間を同様に演算することも同様に可能である。
500Lの無電解ニッケルめっき液を用いてSPC材(鉄素材)の部品に連続的に無電解ニッケルめっき処理を行った。使用しためっき液の組成は下記のとおりである。
次亜リン酸イオン 20g/L
錯化剤(リンゴ酸等) 60g/L
あらかじめ上記の組成の測定用めっき液に、不要イオンである亜リン酸イオン濃度が25、75、125、175、225g/Lになるように亜燐酸Naで調整して導電率を測定し、亜リン酸濃度と導電率の関係を示す図2を作成した。図2から、下記の式1に示す検量線を求めた。
亜リン酸イオン[g/L]=10×導電率[S/m]−25・・・(式1)
めっき処理中は無電解ニッケルめっき液は自動コントローラー(カニゼン株式会社 CAAC−752ST)により、ニッケルイオン濃度とpHは自動で管理されている。建浴時にめっき液中に存在するニッケルイオンと等量のニッケルイオンを補充した時点を1ターンとし、5ターンまでめっきを行った。電気透析処理前のめっき液の組成は下記のとおりである。
次亜リン酸イオン 20g/L
錯化剤(リンゴ酸等) 60g/L
亜リン酸イオン 110から140g/L
使用する陰イオン交換膜の固有値として亜燐酸移動量を0.35g/1A/1H/1dm2と液量500Lから、各々総移動量(g)を求め陰イオン交換膜の面積750dm2(150枚*5dm2/1枚)と透析時間10(H)より個別の電流値(A)を算出した。固有亜燐酸移動量は前記導電率測定用溶液から得られた。
電気透析ユニットの陽極室、陰極室には10%の硫酸ナトリウム水溶液を循環しながら電解処理を行った。
以上の評価を10回行い、その結果を表2に示す。これより、目標の亜リン酸濃度に対し誤差±10%で制御することが可能となった。
実施例1と同じように500Lの無電解ニッケルめっきを用いてSPC材部品を被めっき物として連続的に処理し、5ターン程度無電解ニッケルめっきを行った。このめっき液の組成を以下に示す。
次亜リン酸イオン 20g/L
錯化剤(リンゴ酸等) 60g/L
亜リン酸イオン濃度 110〜140g/L
以上を5回繰り返し行い、その結果を表3に示す。これより、目標の亜リン酸濃度に対し誤差±5%で制御することが可能となった。電気透析による水の移動を補正し導電率で管理を行うと、さらに高精度な管理が出来ることが得られた。
実施例1と同じように500Lの無電解ニッケルめっき液を用いてSPC材部品を被めっき物として連続的に処理し、5ターン程度無電解ニッケルめっきを行った。このめっき液の組成を以下に示す。
次亜リン酸イオン 20g/L
錯化剤(リンゴ酸等) 60g/L
亜リン酸イオン濃度 110〜140g/L
2 陽極板
3 陰極板
4 陽極室
5 陰極室
6 陽イオン交換膜
7 陰イオン交換膜
8 脱塩室(めっき液)
9 濃縮室(希薄電解液)
10 隔膜
11 脱塩槽(めっき液)
12 濃縮槽(希薄電解液)
13 導電率計
14 パソコン
15 コントローラー
16 電源
Claims (4)
- 不要イオンが蓄積し劣化した無電解めっき液を電気透析法により再生する方法であって、少なくとも陽極板および陰極板の両極板間に複数の陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に配置して、前記陽イオン交換膜と陰イオン交換膜によって仕切られた脱塩室および濃縮室を有する電気透析ユニットを用いて、前記脱塩室に劣化した無電解めっき液を循環して供給する工程、前記濃縮室に希薄電解液を循環して供給する工程、前記陽極板および陰極板間に電圧を印加して電気透析を行い、劣化した無電解めっき液に蓄積した不要イオンを脱塩室の無電解めっき液側から濃縮室の希薄電解液側に移行させて除去し、劣化した無電解めっき液を再生する工程、前記電気透析により、蓄積した不要イオン濃度が減少していく劣化した無電解めっき液の導電率または不要イオン濃度が増加していく希薄電解液の導電率の変化によって電気透析条件を制御する工程を有することを特徴とする無電解めっき液の再生方法。
- 前記蓄積した不要イオン濃度が減少していく劣化しためっき液の導電率は、電気透析による脱水分を補正した導電率を用いることを特徴とする請求項1に記載の無電解めっき液の再生方法。
- 前記不要イオン濃度が増加していく希薄電解液の導電率は、電気透析による増水分を補正した導電率を用いることを特徴とする請求項1に記載の無電解めっき液の再生方法。
- 不要イオンが蓄積し劣化した無電解めっき液を電気透析法により再生する装置であって、少なくとも陽極板および陰極板の両極板間に複数の陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に配置して、前記陽イオン交換膜と陰イオン交換膜によって仕切られた脱塩室および濃縮室を有する電気透析ユニットと、前記脱塩室に劣化した無電解めっき液を循環して供給する脱塩槽と、前記濃縮室に希薄電解液を循環して供給する濃縮槽と、前記陽極板および陰極板間に電圧を印加して電気透析を行い、劣化した無電解めっき液に蓄積したイオンを脱塩室の無電解めっき液側から濃縮室の希薄電解液側に移行させて除去し、劣化した無電解めっき液を再生する電気透析手段と、前記電気透析により、蓄積した不要イオン濃度が減少していく劣化した無電解めっき液の導電率または不要イオン濃度が増加していく希薄電解液の導電率を測定する導電率計と、前記導電率計により測定された導電率の変化によって電気透析条件を制御する制御手段を具備することを特徴とする無電解めっき液の再生装置。
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