JP2014210970A - ニッケル粉とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 安価で、かつ耐侯性に優れ、樹脂との混練物の電気抵抗が低く、長期間にわたり安定して使用でき、導電ペースト用及び導電樹脂用の導電性粒子として好適なニッケル粉と、その製造方法を提供する。【解決手段】 1〜40質量%のコバルト元素を含み、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたニッケル粉であって、前記ニッケル粉の炭素含有量が0.7重量%以下、前記ニッケル粉の一次粒子における平均一次粒子径d1が0.5〜3.0μm、一次粒子径の標準偏差σと前記平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下、前記ニッケル粉の二次粒子における平均二次粒子径d2が18〜50μmであり、炭素含有量が0.7質量%以下であることを特徴とするニッケル粉。【選択図】 なし
Description
本発明は、導電ペースト及び導電樹脂用の導電性粒子として好適なニッケル粉とその製造方法に関するものである。
従来、電子機器の接続にはSn−Pb系はんだが用いられていたが、近年ではPbフリー化に対応して導電ペーストの使用が検討されている。また近年、導電樹脂を利用したデバイスが広く用いられるようになってきている。
これらの用途に使用される導電ペースト及び導電樹脂は、導電性粒子と各種の樹脂を混練したペースト及びこれを硬化させた成形体である。
これらの用途に使用される導電ペースト及び導電樹脂は、導電性粒子と各種の樹脂を混練したペースト及びこれを硬化させた成形体である。
この導電性粒子に求められる特性としては、粒子そのものの導電性が高く、樹脂と混練した状態でも電気抵抗が低いこと、耐マイグレーション性が高いこと、耐候性に優れること等が挙げられる。現在、導電性粒子としては、金属粉もしくはカーボン粉が用いられている。
しかし、金属粉のうち、貴金属粉は導電性が高く、電気抵抗が低いが、高価であるという問題がある。また、ニッケルあるいは銅などに代表される卑金属粉は、コスト的に安価であり、かつ高い導電性を有しているが、耐候性に劣るため、樹脂と混練して導電ペーストや導電樹脂として長期にわたり使用すると、電気抵抗が上昇するという問題がある。一方、カーボン粉は、安価であり、かつ耐候性も高いが、導電性が低く、樹脂と混練した時の電気抵抗が高くなるという問題がある。
これらの問題点を解決する方法として、ニッケル粒子や銅粒子の表面に銀等の貴金属を被覆した粉末が提案されている(特許文献1、特許文献2など参照)。
これらの粉末は、貴金属でニッケル粒子や銅粒子を被覆することで特性面は改善されるが、コスト的に高価となる。特に、銀で被覆した粉末では耐マイグレーション性が求められる使用環境下では、使用には適さない。
これらの粉末は、貴金属でニッケル粒子や銅粒子を被覆することで特性面は改善されるが、コスト的に高価となる。特に、銀で被覆した粉末では耐マイグレーション性が求められる使用環境下では、使用には適さない。
一方、卑金属粉における導電性と耐候性を改善することを目的として、特定の形状を有し、コバルト元素を添加されたニッケル粉が提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4など参照)。
これらのニッケル粉は、安価で、かつ耐侯性に優れ、樹脂と混練した状態で低い電気抵抗を有し、長期間にわたり安定して使用できるとされているが、電気抵抗や長期間の安定性に関して更なる改良が求められている。
これらのニッケル粉は、安価で、かつ耐侯性に優れ、樹脂と混練した状態で低い電気抵抗を有し、長期間にわたり安定して使用できるとされているが、電気抵抗や長期間の安定性に関して更なる改良が求められている。
本発明は、上記従来の状況に鑑み、安価で、かつ耐侯性に優れ、樹脂との混練物の電気抵抗が低く、長期間にわたり安定して使用でき、導電ペースト用及び導電樹脂用の導電性粒子として好適なニッケル粉と、その製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、導電性粒子として好適なニッケル粉について研究を進めた結果、ニッケル粉の二次粒子を構成する一次粒子の均一性を向上させると共にニッケル粉の炭素含有量を低減することにより、樹脂と混練した状態での電気抵抗とその安定性を改善できるとの知見を得た。また、ニッケル粉の二次粒子が形成される際に、均一性が制御された一次粒子を用いるとともに、粒子表面に吸着する有機化合物を抑制することで電気抵抗とその安定性が改善されたニッケル粉が得られるとの知見も得、本発明の完成に至ったものである。
すなわち、本発明の第1の発明は、1〜40質量%のコバルト元素を含み、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたニッケル粉であって、そのニッケル粉の炭素含有量が0.7重量%以下、ニッケル粉の一次粒子における平均一次粒子径d1が0.5〜3.0μm、一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下、ニッケル粉の二次粒子における平均二次粒子径d2が18〜50μmであり、炭素含有量が0.7質量%以下であることを特徴とするニッケル粉である。
本発明の第2の発明は、第1の発明における平均一次粒子径d1と平均二次粒子径d2との比d2/d1の値が15〜50の範囲であることを特徴とするニッケル粉である。
本発明の第3の発明は、第1または第2の発明におけるコバルト元素の含有量が40質量%以下の一次粒子の表面を、コバルト元素の含有量が、その一次粒子のコバルト元素の含有量以上、且つ1〜40質量%の範囲のコバルトを含むニッケルで被覆していることを特徴とするニッケル粉である。
本発明の第4の発明は、平均一次粒子径d1が0.5〜3.0μm、一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下、炭素含有量が0.7質量%以下、コバルト元素の含有量が40質量%以下のニッケル粒子を含む、有機分散剤を含有しない水系スラリーに、ニッケル元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の含有量が1〜40質量%であるニッケル塩とコバルト塩の混合水溶液と還元剤を添加して、水系スラリーに含まれるニッケル粒子の表面にコバルト元素を含有するニッケルを析出させることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第5の発明は、第4の発明における有機分散剤が、疎水基と親水基を有する有機界面活性剤であることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第6の発明は、第4及び第5の発明における有機分散剤を含有しない水系スラリーが、有機分散剤を含有しない水溶液に、ニッケル元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の含有量が1〜10質量%であるニッケル塩とコバルト塩の混合水溶液と還元剤を添加してニッケル粒子を析出させることにより形成した水系スラリーであることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第7の発明は、第6の発明における有機分散剤を含まない水溶液の液温を40〜70℃に維持した状態で、混合水溶液と還元剤を添加することを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第8の発明は、第4及び第5の発明における有機分散剤を含有しない水系スラリーが、炭素含有量が0.7質量%以下、コバルト元素の含有量が40質量%以下である原料ニッケル粉を、解砕、分級して、平均一次粒子径d1が0.5〜3.0μm、一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下であるニッケル粒子を形成した後、そのニッケル粒子を水と混合することにより形成した水系スラリーであることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第9の発明は、第8の発明における原料ニッケル粉が、ニッケル元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の含有量が40質量%以下であるニッケル塩水溶液に還元剤を添加することによりニッケルを析出させて形成したニッケル粉であることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明によれば、樹脂との混練物の電気抵抗が低く、長期間にわたり安定して使用でき、導電ペースト及び導電樹脂用の導電性粒子として極めて好適なニッケル粉が提供できる。
また、その製造方法は、特殊な装置を使用することなく、工業的規模において容易に得ることができるものであり、工業上顕著な効果を奏するものである。
また、その製造方法は、特殊な装置を使用することなく、工業的規模において容易に得ることができるものであり、工業上顕著な効果を奏するものである。
[ニッケル粉]
本発明のニッケル粉は、1〜40質量%のコバルト元素を含み、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されるニッケル粉であって、下記(1)〜(4)の特徴を有するニッケル粉である。
(1)平均一次粒子径d1が0.5〜3.0μm。
(2)平均二次粒子径d2が18〜50μm。
(3)一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下。
(4)炭素含有量が0.7質量%以下。
本発明のニッケル粉は、1〜40質量%のコバルト元素を含み、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されるニッケル粉であって、下記(1)〜(4)の特徴を有するニッケル粉である。
(1)平均一次粒子径d1が0.5〜3.0μm。
(2)平均二次粒子径d2が18〜50μm。
(3)一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下。
(4)炭素含有量が0.7質量%以下。
ここで、一次粒子は、外見上の幾何学的形態から判断して、単位粒子と考えられるものであり、一次粒子が凝集した粒子が二次粒子である。また、一次粒子と二次粒子を総称してニッケル粒子と呼ぶことがある。
一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと称す。)を用いて測定する。
具体的には、ニッケル粉をSEMのサンプルホルダーに導電性両面テープを用いて固定し、倍率2500倍で観察する。得られたSEM像から、粒子が重なり粒子径が判別できないものを除き、200個以上の一次粒子の一次粒子径を測定する。なお、測定は一粒子当たり2箇所以上の一次粒子径を測定して、その平均値を一次粒子径d1とする。さらに、得られた個々の粒子の測定値から一次粒子径の標準偏差σを算出する。
一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと称す。)を用いて測定する。
具体的には、ニッケル粉をSEMのサンプルホルダーに導電性両面テープを用いて固定し、倍率2500倍で観察する。得られたSEM像から、粒子が重なり粒子径が判別できないものを除き、200個以上の一次粒子の一次粒子径を測定する。なお、測定は一粒子当たり2箇所以上の一次粒子径を測定して、その平均値を一次粒子径d1とする。さらに、得られた個々の粒子の測定値から一次粒子径の標準偏差σを算出する。
本発明におけるニッケル粉は、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されているが、このような粒子形態を有することで、樹脂と混練した際に、ニッケル粒子は互いに絡み合ってネットワークを構成し、著しく低い電気抵抗を示すこととなる。
なお、本発明のニッケル粉は、二次粒子で全て構成されている必要はなく、上記平均一次粒子径および平均二次粒子径を満たす範囲で一次粒子を含んでもよい。
なお、本発明のニッケル粉は、二次粒子で全て構成されている必要はなく、上記平均一次粒子径および平均二次粒子径を満たす範囲で一次粒子を含んでもよい。
平均一次粒子径d1は0.5〜3.0μm、好ましくは0.5〜2.5μmの範囲とする。この範囲において、ニッケル粉は適度に凝集し、鎖状などの複雑な形状の二次粒子となり、著しく低い電気抵抗を示すこととなる。
一方平均一次粒子径d1が0.5μm未満の場合は、ニッケル粒子の表面の酸化の影響が大きくなり、樹脂と混練した状態での耐候性が低下するため、電気抵抗の経時的安定性が悪化する。他方、平均一次粒子径d1が3.0μmを超えると、樹脂と混練した状態において、ニッケル粒子間の接点が減少することで、混練物の抵抗の上昇が生じることとなる。
一方平均一次粒子径d1が0.5μm未満の場合は、ニッケル粒子の表面の酸化の影響が大きくなり、樹脂と混練した状態での耐候性が低下するため、電気抵抗の経時的安定性が悪化する。他方、平均一次粒子径d1が3.0μmを超えると、樹脂と混練した状態において、ニッケル粒子間の接点が減少することで、混練物の抵抗の上昇が生じることとなる。
一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1との比σ/d1は、一次粒子径の変動の程度を示す指標である。
σ/d1を0.4以下とすることで、酸化しやすい細かな一次粒子が減少するため、ニッケル粉の酸化が抑制され、耐候性が大幅に向上する。
σ/d1を0.4以下とすることで、酸化しやすい細かな一次粒子が減少するため、ニッケル粉の酸化が抑制され、耐候性が大幅に向上する。
平均二次粒子径d2は18〜50μmの範囲とする。この範囲において、樹脂と混練した状態で、ニッケル粉同士が接触する箇所が多くなり、電気抵抗が著しく低下する。
平均二次粒子径が18μm未満では、凝集が少ないため、粒子の絡み合う箇所が減少し、樹脂との混練物の抵抗値が高くなる。また、平均二次粒子径が50μmを超えると、樹脂中でのニッケル粉の分散が不均一となり、前記混連物の電気抵抗が悪化する。
平均二次粒子径が18μm未満では、凝集が少ないため、粒子の絡み合う箇所が減少し、樹脂との混練物の抵抗値が高くなる。また、平均二次粒子径が50μmを超えると、樹脂中でのニッケル粉の分散が不均一となり、前記混連物の電気抵抗が悪化する。
二次粒子の粒径は、レーザー粒度分布測定により測定する。
具体的には、ニッケル粉をヘキサメタリン酸ナトリウム0.2質量%水溶液中に投入し、300Wで10分間の超音波撹拌を行った後、体積積算50%径(D50)を測定し、これを平均二次粒子径d2とする。
具体的には、ニッケル粉をヘキサメタリン酸ナトリウム0.2質量%水溶液中に投入し、300Wで10分間の超音波撹拌を行った後、体積積算50%径(D50)を測定し、これを平均二次粒子径d2とする。
さらに、本発明のニッケル粉の炭素含有量は0.7質量%以下である。
このように炭素含有量を制限することにより、樹脂との混練物の電気抵抗がさらに低抵抗となる。
本発明のニッケル粉における炭素の含有は、有機化合物によるものであり、その多くはニッケル粒子表面に付着している。
このため、炭素含有量が0.7質量%を超えると、接触しているニッケル粒子間の電気抵抗が高くなり、樹脂との混練物の電気抵抗が増大する。
このように炭素含有量を制限することにより、樹脂との混練物の電気抵抗がさらに低抵抗となる。
本発明のニッケル粉における炭素の含有は、有機化合物によるものであり、その多くはニッケル粒子表面に付着している。
このため、炭素含有量が0.7質量%を超えると、接触しているニッケル粒子間の電気抵抗が高くなり、樹脂との混練物の電気抵抗が増大する。
さらに、本発明のニッケル粉は、平均一次粒子径d1と平均二次粒子径d2との比d2/d1の値が15〜50の範囲であることが好ましい。
平均二次粒子径d2/平均一次粒子径d1の値が15〜50の範囲にあると、樹脂と混練した際に、ニッケル粉子同士の接触が起きやすくなり、得られる混練物の電気抵抗は小さくなる。しかし、この比が15未満の場合は、ニッケル粉同士の接触が減少して混練物の電気抵抗が高くなることがある。また、この比が50を超えると、一次粒子の凝集が大きくなるため、樹脂中での分散が不均一となり、混練物の電気抵抗が高くなることがある。
平均二次粒子径d2/平均一次粒子径d1の値が15〜50の範囲にあると、樹脂と混練した際に、ニッケル粉子同士の接触が起きやすくなり、得られる混練物の電気抵抗は小さくなる。しかし、この比が15未満の場合は、ニッケル粉同士の接触が減少して混練物の電気抵抗が高くなることがある。また、この比が50を超えると、一次粒子の凝集が大きくなるため、樹脂中での分散が不均一となり、混練物の電気抵抗が高くなることがある。
さらに、タップ密度が0.5〜2.0g/mlであることが好ましい。
タップ密度が0.5g/ml未満の場合は、樹脂と混練できるニッケル粉を多くすることが困難となり、混練物の電気抵抗が高くなることがある。一方、タップ密度が2.0g/mlを超えると、樹脂中でニッケル粉が偏在してしまい、ニッケル粒子相互の接触が減少し、混練物の電気抵抗が大きくなり過ぎることがある。
タップ密度が0.5g/ml未満の場合は、樹脂と混練できるニッケル粉を多くすることが困難となり、混練物の電気抵抗が高くなることがある。一方、タップ密度が2.0g/mlを超えると、樹脂中でニッケル粉が偏在してしまい、ニッケル粒子相互の接触が減少し、混練物の電気抵抗が大きくなり過ぎることがある。
本発明に係るニッケル粉は、ニッケル粉の全体の合計質量を基準として、コバルト元素を1〜40質量%含有しており、このコバルト元素により、ニッケル粉の耐候性は著しく向上し、樹脂との混練物として電子部品等において長期間使用されても電気抵抗の上昇が抑制される。
コバルト元素はニッケル元素よりわずかに卑であり、コバルト元素が優先的に腐食することに加えて、腐食したコバルト元素が導電性を有するからである。しかしながら、コバルト元素の含有量がニッケル粉全体の1質量%未満では耐侯性、すなわち、外的環境による特性劣化の抑制作用の向上の効果がなく、40質量%を超えて添加してもコスト的に高価となり好ましくない。コバルト元素の含有量を増加させると、混練物の初期の電気抵抗が高くなる傾向にあるため、電気抵抗を抑制するためには、コバルト元素の含有量を1〜20質量%とすることが好ましい。
コバルト元素はニッケル元素よりわずかに卑であり、コバルト元素が優先的に腐食することに加えて、腐食したコバルト元素が導電性を有するからである。しかしながら、コバルト元素の含有量がニッケル粉全体の1質量%未満では耐侯性、すなわち、外的環境による特性劣化の抑制作用の向上の効果がなく、40質量%を超えて添加してもコスト的に高価となり好ましくない。コバルト元素の含有量を増加させると、混練物の初期の電気抵抗が高くなる傾向にあるため、電気抵抗を抑制するためには、コバルト元素の含有量を1〜20質量%とすることが好ましい。
さらに、コバルト元素の含有量を、なるべく少なくしつつ、十分な耐侯性を確保するためには、ニッケル粒子の一次粒子の表層部に多くのコバルト元素を含有させることが好ましい。
そこで、本発明のニッケル粉は、コバルト元素の含有量が40質量%以下の一次粒子の表面が、コバルトを含むニッケルの被覆層を備える構造となっていることが好ましく、特に、被覆層のコバルト元素の含有量は一次粒子のコバルト元素の含有量以上で、1〜40質量%の範囲のコバルト元素の含有量であることが好ましい。なお、ニッケル粒子の表層部とは、ニッケル粒子が外部と接触する部位のことを示す。
そこで、本発明のニッケル粉は、コバルト元素の含有量が40質量%以下の一次粒子の表面が、コバルトを含むニッケルの被覆層を備える構造となっていることが好ましく、特に、被覆層のコバルト元素の含有量は一次粒子のコバルト元素の含有量以上で、1〜40質量%の範囲のコバルト元素の含有量であることが好ましい。なお、ニッケル粒子の表層部とは、ニッケル粒子が外部と接触する部位のことを示す。
このように表層部のコバルト元素の含有量を高めることで、耐候性は向上するが、特にニッケル粒子を構成する単位粒子である一次粒子が、コバルト含有層で被覆されることにより、より高い耐候性向上の効果が得られる。一方、上記コバルトの優先的腐食による耐候性の改善は、電気化学的な作用によるものであるため、一次粒子が部分的にコバルト含有ニッケル層で被覆されている状態でも必要な耐候性の改善効果が得られる。
上記コバルトを含むニッケルの被覆層におけるコバルト元素の含有量は、被覆層の全質量あたり1〜40質量%の範囲とすることが好ましい。被覆層のコバルト元素の含有量が1質量%未満であると、耐候性が低下し、電子部品等での長期間の使用により電気抵抗が上昇することがある。一方、被覆層のコバルト元素の含有量が40質量%を超えても、耐候性をさらに向上させることは難しい。また、40質量%を超えて添加すると、初期の電気抵抗が高くなることがあるとともに、ニッケル粉が強磁性を帯びるようになり、電子部品等に使用する場合に好ましくない。さらに必要な耐候性の改善効果を発揮するために、一次粒子のコバルト元素の含有量以上のコバルト元素を含むことが望ましい。
しかしながら、上述の説明から明らかなように、本発明は、ニッケル粒子の表面部にコバルトが存在していればよく、ニッケル粒子の内部にもコバルトが含まれている態様を排除するものではない。すなわち、ニッケル粒子の内部にもコバルトが含まれていてもよく、コバルト含有量が40質量%以下であることがより好ましい。
また、本発明のニッケル粉は、その酸素含有量が0.8質量%以下であることが好ましい。これにより、抵抗となるニッケル粒子表面の酸化皮膜が薄くなり、使用初期の電気抵抗値を低減させることができる。
[ニッケル粉の製造方法]
次に、本発明にかかるニッケル粉の製造方法を詳述する。
平均一次粒子径d1が0.5〜3.0μm、一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下であり、炭素含有量が0.7質量%以下、コバルト含有量が1〜40質量%以下であるニッケル粒子を含み、有機分散剤を含有しない水系スラリーに、ニッケル元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の含有量が1〜40質量%であるニッケル塩とコバルト塩の混合水溶液と還元剤を添加して、ニッケル粒子表面にコバルト元素を含有するニッケルを析出させることを特徴とする。
次に、本発明にかかるニッケル粉の製造方法を詳述する。
平均一次粒子径d1が0.5〜3.0μm、一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下であり、炭素含有量が0.7質量%以下、コバルト含有量が1〜40質量%以下であるニッケル粒子を含み、有機分散剤を含有しない水系スラリーに、ニッケル元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の含有量が1〜40質量%であるニッケル塩とコバルト塩の混合水溶液と還元剤を添加して、ニッケル粒子表面にコバルト元素を含有するニッケルを析出させることを特徴とする。
本発明の製造方法においては、まず、原料となるニッケル粒子(以下、原料ニッケル粒子と記載することがある)と水を混合してスラリーを得る。
原料ニッケル粒子の一次粒子の形骸は、最終的に得られるニッケル粉の一次粒子にほぼ引き継がれるため、平均一次粒子径d1が0.5〜2.0μm、一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下のニッケル粒子を用いることにより、最終的に得られるニッケル粉の一次粒子を本発明の範囲とすることができる。
なお、後工程でスラリー中のニッケル粒子表面にコバルト元素を含有するニッケルを析出させるため、その析出量によっては一次粒子径が増加することがある。このような場合には、予め析出量を考慮して、原料ニッケル粒子の一次粒子径を選定すればよい。
原料ニッケル粒子の一次粒子の形骸は、最終的に得られるニッケル粉の一次粒子にほぼ引き継がれるため、平均一次粒子径d1が0.5〜2.0μm、一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下のニッケル粒子を用いることにより、最終的に得られるニッケル粉の一次粒子を本発明の範囲とすることができる。
なお、後工程でスラリー中のニッケル粒子表面にコバルト元素を含有するニッケルを析出させるため、その析出量によっては一次粒子径が増加することがある。このような場合には、予め析出量を考慮して、原料ニッケル粒子の一次粒子径を選定すればよい。
また、上記スラリーに有機分散剤を添加すると、ニッケル粉に有機分散剤が吸着するため、ニッケル粉の炭素含有量が増加し、ニッケル粉と樹脂とを混練した際に、その混練物の電気抵抗が高くなる。したがって、上記スラリーからは、有機分散剤、特にニッケルに吸着しやすい有機分散剤、具体的には、疎水基と親水基を有する有機界面活性剤を排除することが必要である。一方、スラリー中でのニッケル粒子表面へのニッケルの析出を安定化させる目的で、酒石酸などの多価カルボン酸やエチレンジアミンなどの通常使用されている錯化剤を添加してもよい。
また、pH調整用の水酸化ナトリウム等を添加することができる。錯化剤はニッケルへの吸着力が弱いため、吸着しても洗浄により容易に除去することができる。錯化剤は、スラリーに添加してする混合水溶液に混入させてもよい。
また、pH調整用の水酸化ナトリウム等を添加することができる。錯化剤はニッケルへの吸着力が弱いため、吸着しても洗浄により容易に除去することができる。錯化剤は、スラリーに添加してする混合水溶液に混入させてもよい。
次に、スラリーを撹拌しながら、ニッケル元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の含有量が1〜40質量%であるニッケル塩とコバルト塩の混合水溶液と還元剤を添加して、ニッケル粒子表面にコバルト元素を含有するニッケルを析出させる。ここで、撹拌は、スラリー中の原料ニッケル粒子が沈殿しない程度に撹拌すればよく、過度に撹拌して空気を巻き込むと、混合液中のニッケル元素やコバルト元素が酸化して、組成ずれや析出物の密着性不良を起こすことがある。
上記粒径を有する原料ニッケル粒子は、スラリー化する際に適度に凝集した二次粒子となる。しかしながら、その凝集力は弱く、樹脂との混錬の際に、容易に分離してしまう。
そこで、スラリーに混合水溶液と還元剤を添加して、ニッケル粒子表面にコバルト元素を含有するニッケルを析出させることによって、さらに析出したニッケルにより凝集が強固となり、樹脂との混錬の際にも分離することなく適度な凝集を維持でき、こうして得たニッケル粉と樹脂との混錬による成形体の電気抵抗も著しく低いものとなる。
そこで、スラリーに混合水溶液と還元剤を添加して、ニッケル粒子表面にコバルト元素を含有するニッケルを析出させることによって、さらに析出したニッケルにより凝集が強固となり、樹脂との混錬の際にも分離することなく適度な凝集を維持でき、こうして得たニッケル粉と樹脂との混錬による成形体の電気抵抗も著しく低いものとなる。
上記スラリーの濃度は、原料ニッケル粒子が沈殿しない程度に撹拌可能であればよいが、10〜150g/lとすることが好ましい。
10g/l未満では生産性が悪く、150g/lを超えると、原料ニッケル粒子表面へのニッケルの析出が不均一になることがある。
また、上記製造方法に用いられる装置は、ニッケル粒子を含有したスラリーを撹拌しながら混合水溶液を添加できるものであればよく、撹拌装置付の反応槽などが用いられる。
10g/l未満では生産性が悪く、150g/lを超えると、原料ニッケル粒子表面へのニッケルの析出が不均一になることがある。
また、上記製造方法に用いられる装置は、ニッケル粒子を含有したスラリーを撹拌しながら混合水溶液を添加できるものであればよく、撹拌装置付の反応槽などが用いられる。
上記混合水溶液の組成は、ニッケル粒子への析出物の組成と概略一致するため、混合水溶液の組成を上記範囲とすることで、原料ニッケル粒子表面にコバルトを含有するニッケルを析出させることができる。
添加する混合液水溶液の量は、原料ニッケル粒子のコバルト含有量を考慮して、最終的に得られるニッケル粉全体のコバルト含有量が1〜40質量%、好ましくは1〜20質量%となるように調整すればよい。
添加する混合液水溶液の量は、原料ニッケル粒子のコバルト含有量を考慮して、最終的に得られるニッケル粉全体のコバルト含有量が1〜40質量%、好ましくは1〜20質量%となるように調整すればよい。
使用するニッケル塩およびコバルト塩は、容易に還元される2価の塩であることが好ましい。特に、残留不純物が少ない硫酸塩あるいは塩化物であることが好ましい。
スラリーに添加する還元剤は、添加される混合水溶液中のニッケルおよびコバルトを還元できる量とすればよく、残留不純物が少ないヒドラジン系還元剤を用いることが好ましい。
スラリーに添加する還元剤は、添加される混合水溶液中のニッケルおよびコバルトを還元できる量とすればよく、残留不純物が少ないヒドラジン系還元剤を用いることが好ましい。
原料ニッケル粒子は、平均一次粒子径d1、一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1の比、炭素含有量およびコバルト含有量が上記範囲であればよいが、有機分散剤を含有しない水溶液に、ニッケル元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の含有量が1〜10質量%であるニッケル塩とコバルト塩の混合水溶液と還元剤を添加して析出させることにより得られるニッケル粒子を用いることができる。この場合、析出した粒子は適度に凝集しているので、析出後に固液分離せず、析出が終了した反応溶液をそのまま上記スラリーとして用いることができる。
ここで、原料ニッケル粒子の析出に用いる混合水溶液は、ニッケル元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の含有量を1〜10質量%とすることが好ましい。これにより、原料ニッケル粒子として適した粒子が得られる。詳細は不明であるが、コバルト塩は触媒的な働きをして還元析出を促進すると考えられ、コバルト塩により核生成と核成長が適度に生じて粒径が揃った粒子が得られると考えられる。コバルト塩の添加が1質量%未満では反応速度が遅く、核生成と核成長が同時に進行して粒径の均一性が低下することがある。10質量%を超えると核生成が多くなり過ぎて微細な一次粒子となってしまうことがある。
原料ニッケル粒子を得るため、混合水溶液と還元剤を添加する際に、混合水溶液を40〜70℃に加熱してもよい。加熱することで上記還元析出を促進し、粒径が揃った粒子が得られる。40℃未満では、還元析出の促進が十分でないことがあり、70℃を超えると還元析出が過度に進行して、粒径の均一性が低下することがある。
上記原料ニッケル粒子表面へコバルト元素を含有するニッケルを析出させた後、洗浄し、乾燥させる。
乾燥は、ニッケルの酸化を抑制するため、大気雰囲気中80〜100℃で行うか、あるいは真空雰囲気あるいは不活性雰囲気中で行うことが好ましい。乾燥後、二次粒子の平均粒子径および平均一次粒子径と平均二次粒子径との比を調整するため、解砕を行い、本発明のニッケル粉を得る。
乾燥は、ニッケルの酸化を抑制するため、大気雰囲気中80〜100℃で行うか、あるいは真空雰囲気あるいは不活性雰囲気中で行うことが好ましい。乾燥後、二次粒子の平均粒子径および平均一次粒子径と平均二次粒子径との比を調整するため、解砕を行い、本発明のニッケル粉を得る。
また、上記製造方法の別の態様として、炭素含有量が0.7質量%以下、コバルト含有量が40質量%以下である原料ニッケル粉を、解砕し、分級して、平均一次粒子径d1が0.5〜3.0μm、一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下である原料ニッケル粒子を得た後、水と混合して、前記スラリーとして用いてもよい。原料ニッケル粉は、上記ニッケル塩水溶液を還元析出させることにより得られたものでもよく、一次粒子径が上記範囲にあるものであれば、他の製造方法により得られたものも用いることができる。
この態様においては、原料ニッケル粉の二次粒子を、解砕し、分級して上記平均二次粒子径およびd2/d1の範囲に調整することができる。
この場合には、適度に二次粒子が形成されているため、スラリー化する際の凝集はほとんど起こらず、ニッケル粒子表面にコバルトを含有するニッケルを析出させることによって、凝集を強固なものとして、樹脂との混錬の際にも分離することなく適度な凝集を維持させることができる。
この場合には、適度に二次粒子が形成されているため、スラリー化する際の凝集はほとんど起こらず、ニッケル粒子表面にコバルトを含有するニッケルを析出させることによって、凝集を強固なものとして、樹脂との混錬の際にも分離することなく適度な凝集を維持させることができる。
このようにして得られたニッケル粉は、原料ニッケル粒子表面へコバルト元素を含有するニッケルを析出させた後の解砕、分級が不要となる。
表面に析出させた後に解砕、分級を行うと、耐候性に効果のある表面のコバルト含有ニッケル層が破損する場合があり、耐候性を低下させる原因となることがある。さらに、解砕、分級により微粉が発生することがあり、微粉が存在すると、樹脂と混練して得た導電性ペーストや導電樹脂中で電気的に不安定な伝導パスを形成し、発熱、放電の原因となり 、電子材料として信頼性の問題が発生する場合があるためである。
表面に析出させた後に解砕、分級を行うと、耐候性に効果のある表面のコバルト含有ニッケル層が破損する場合があり、耐候性を低下させる原因となることがある。さらに、解砕、分級により微粉が発生することがあり、微粉が存在すると、樹脂と混練して得た導電性ペーストや導電樹脂中で電気的に不安定な伝導パスを形成し、発熱、放電の原因となり 、電子材料として信頼性の問題が発生する場合があるためである。
以上の製造方法によって、コバルト元素の含有量が1〜40質量%の一次粒子が凝集した二次粒子で構成されるニッケル粉であって、平均一次粒子径d1が0.5〜3.0μm、一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下、平均二次粒子径d2が18〜50μmであり、炭素含有量が0.7質量%以下であり、導電ペースト用及び導電樹脂用の導電性粒子として好適なニッケル粉が得られる。
純水2280mlに水酸化ナトリウム98.4g及び酒石酸12.6gを添加し、撹拌しながら70℃まで加温した。この水溶液にヒドラジン180mlを加え、さらに塩化コバルト水溶液および塩化ニッケル水溶液を混合した混合水溶液(Co含有量がNi+Co量に対し1質量%となるように混合した水溶液)を還元析出後のNiとCoの合計で39gとなるように加え、還元反応により原料ニッケル粉を析出させた。
次に、この原料ニッケル粉の析出終了後の水溶液に、ヒドラジン45ml、および塩化コバルト水溶液と塩化ニッケル水溶液を混合した水溶液(Co含有量がNi+Co量に対し10質量%となるように混合した水溶液)を還元析出後のNiとCoの合計で39gとなるように加え、ニッケル粒子表面にコバルトを含有するニッケルを析出させた。その後、ろ過及び水洗した後、真空雰囲気中にて80℃で乾燥させ、解砕処理してニッケル粉を得た。
次に、この原料ニッケル粉の析出終了後の水溶液に、ヒドラジン45ml、および塩化コバルト水溶液と塩化ニッケル水溶液を混合した水溶液(Co含有量がNi+Co量に対し10質量%となるように混合した水溶液)を還元析出後のNiとCoの合計で39gとなるように加え、ニッケル粒子表面にコバルトを含有するニッケルを析出させた。その後、ろ過及び水洗した後、真空雰囲気中にて80℃で乾燥させ、解砕処理してニッケル粉を得た。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に示す。ただし、ニッケル粉全体におけるCo含有量は分析値であるが、内部及び表層部のCo含有量は、原料ニッケル粉及びニッケル粒子表面へのコバルト含有ニッケルの還元析出工程における水溶液中の各塩をNi換算した値とCo換算した値の合計質量に対するCo換算値(質量%)から計算した値である。
表1に示す粉体特性および表2に示す体積抵抗率は、下記の方法により評価した。
(1)平均一次粒子径d1:
ニッケル粉をサンプルホルダーに導電性両面テープを用いて固定し、日本電子株式会社製JSM−6360LAにて加速電圧20kV、倍率2500倍で観察した。
得られたSEM像に、装置付属の画像処理ソフト(SmileView)を適用し、粒子が重なり粒子径が判別できないものを除き、200個以上の一次粒子について粒子径を測定して、一次粒子の平均粒子径d1を求めた。また、得られたデータから一次粒子径の標準偏差σも算出した。
(1)平均一次粒子径d1:
ニッケル粉をサンプルホルダーに導電性両面テープを用いて固定し、日本電子株式会社製JSM−6360LAにて加速電圧20kV、倍率2500倍で観察した。
得られたSEM像に、装置付属の画像処理ソフト(SmileView)を適用し、粒子が重なり粒子径が判別できないものを除き、200個以上の一次粒子について粒子径を測定して、一次粒子の平均粒子径d1を求めた。また、得られたデータから一次粒子径の標準偏差σも算出した。
(2)平均二次粒子径d2:
日機装株式会社製のMICROTRAC HRA MODEL 9320−X100を用い、ニッケル粉をヘキサメタリン酸ナトリウム0.2質量%水溶液中に投入し、300Wで10分間の超音波撹拌を行った後、FRAモードで平均粒子寸法(D50)を測定し、これを平均二次粒子径d2とした。
日機装株式会社製のMICROTRAC HRA MODEL 9320−X100を用い、ニッケル粉をヘキサメタリン酸ナトリウム0.2質量%水溶液中に投入し、300Wで10分間の超音波撹拌を行った後、FRAモードで平均粒子寸法(D50)を測定し、これを平均二次粒子径d2とした。
(3)炭素含有量:
炭素、硫黄同時分析装置(LECO社製、GS−600)にて、測定した。
(4)酸素含有量:
酸素・窒素・アルゴン分析装置(LECO社製、TC−336)を用いて測定した。
炭素、硫黄同時分析装置(LECO社製、GS−600)にて、測定した。
(4)酸素含有量:
酸素・窒素・アルゴン分析装置(LECO社製、TC−336)を用いて測定した。
(5)タップ密度:
ニッケル粉15gを秤量して20mlメスシリンダー内に入れ、タップ速度を120回/分とし、タップ高さ20mmで500回のタップを行った。その後、ニッケル粉の容積をメスシリンダーの目盛りから読み取り、ニッケル粉の質量(g)を読み取った容積で除して算出した。
ニッケル粉15gを秤量して20mlメスシリンダー内に入れ、タップ速度を120回/分とし、タップ高さ20mmで500回のタップを行った。その後、ニッケル粉の容積をメスシリンダーの目盛りから読み取り、ニッケル粉の質量(g)を読み取った容積で除して算出した。
(6)体積抵抗率:
ニッケル粉2.4gを熱硬化性樹脂(フェノール樹脂)3gと混練し、シート状に成形して硬化させた。その硬化させたシート状試料の体積抵抗率を、低抵抗率計(ダイアインスツルメンツ製、「ロレスタ−GP」)で測定して体積抵抗率を求めた。
さらに、耐侯性を評価するため、同じニッケル粉を、85℃−85%RHに設定した恒温恒湿槽中に1000時間保持する耐湿試験を行った後、同様に熱硬化樹脂(フェノール樹脂)と混練して得られたシートの体積抵抗率を測定した。なお、測定単位である[Ω・cm]は、単位体積あたりの抵抗すなわち体積抵抗率(JIS K 6911)を意味する。
ニッケル粉2.4gを熱硬化性樹脂(フェノール樹脂)3gと混練し、シート状に成形して硬化させた。その硬化させたシート状試料の体積抵抗率を、低抵抗率計(ダイアインスツルメンツ製、「ロレスタ−GP」)で測定して体積抵抗率を求めた。
さらに、耐侯性を評価するため、同じニッケル粉を、85℃−85%RHに設定した恒温恒湿槽中に1000時間保持する耐湿試験を行った後、同様に熱硬化樹脂(フェノール樹脂)と混練して得られたシートの体積抵抗率を測定した。なお、測定単位である[Ω・cm]は、単位体積あたりの抵抗すなわち体積抵抗率(JIS K 6911)を意味する。
加温を68℃までとしたこと、原料ニッケル粉の還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し5質量%となるように混合した水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
加温を65℃までとしたこと、原料ニッケル粉の還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し10質量%となるように混合した水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
加温を65℃までとしたこと、原料ニッケル粉の還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し10質量%となるように混合した水溶液を用いたこと、ニッケル粒子表面への還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し25質量%となるように混合した水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
加温を65℃までとしたこと、ニッケル粒子表面への還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し39質量%となるように混合した水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
純水138リットルに25質量%水酸化ナトリウム水溶液25.2リットル及び酒石酸806gを添加し、撹拌しながら70℃まで加温した。この水溶液に、60%水加ヒドラジン19.2リットルを加え、さらに塩化コバルト水溶液および塩化ニッケル水溶液を混合した水溶液(Co含有量がNi+Co量に対し3質量%となるように混合した水溶液)を還元析出後のNiとCoの合計で2.5kgとなるように加え、還元析出反応により原料ニッケル粉を析出させた。
次に、この原料ニッケル粉の析出終了後の水溶液に、60質量%水加ヒドラジン4.8リットル、および塩化コバルト水溶液と塩化ニッケル水溶液を混合した水溶液(Co含有量がNi+Co量に対し10質量%となるように混合した水溶液)を還元析出後のNiとCoの合計で2.5kgとなるように加え、ニッケル粒子表面にコバルトを含有するニッケルを析出させた。その後、ろ過及び水洗した後、真空雰囲気中にて80℃で乾燥させ、解砕処理してニッケル粉を得た。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
原料ニッケル粉の還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し5質量%となるように混合した水溶液を用いたこと以外は、実施例6と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
加温を65℃までとしたこと、原料ニッケル粉の還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し7質量%となるように混合した水溶液を用いたこと以外は、実施例6と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
純水306リットルに25質量%水酸化ナトリウム水溶液51リットル及び酒石酸1620gを添加し、撹拌しながら65℃まで加温した。この水溶液に、60質量%水加ヒドラジン39リットルを加え、さらに還元析出後のNi量で5kgとなるように塩化ニッケル水溶液を加え、還元析出反応により原料ニッケル粉を析出させた。その後、ろ過及び水洗した後、大気雰囲気中にて80℃で乾燥させ、解砕・分級し粒子径をそろえた。得られた原料ニッケル粉は、平均一次粒子径d1が0.7μm、平均二次粒子径は19.8μmであった。
次に、純水306リットルに水25質量%水酸化ナトリウム水溶液51リットルおよび酒石酸1620gを添加し、撹拌しながら65℃まで加温した。加温した水溶液に粒子径をそろえた原料ニッケル粉を投入して撹拌し、ニッケル粒子スラリーとした。
さらにニッケル粒子スラリーに、60質量%水加ヒドラジン39リットル、および塩化コバルト水溶液と塩化ニッケル水溶液を混合した混合水溶液(Co含有量がNi+Co量に対し10質量%となるように混合した水溶液)を還元析出後のNiとCoの合計で5kgとなるように加え、ニッケル粒子表面にコバルトを含有するニッケルを析出させた。その後、ろ過及び水洗した後、大気雰囲気中にて100℃で乾燥させ、ニッケル粉を得た。
さらにニッケル粒子スラリーに、60質量%水加ヒドラジン39リットル、および塩化コバルト水溶液と塩化ニッケル水溶液を混合した混合水溶液(Co含有量がNi+Co量に対し10質量%となるように混合した水溶液)を還元析出後のNiとCoの合計で5kgとなるように加え、ニッケル粒子表面にコバルトを含有するニッケルを析出させた。その後、ろ過及び水洗した後、大気雰囲気中にて100℃で乾燥させ、ニッケル粉を得た。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
原料ニッケル粉の還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し5質量%となるように混合した水溶液を還元析出後のNiとCoの合計で5kgとなるように加えたこと以外は、実施例9と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
なお、得られた原料ニッケル粉は、平均一次粒子径d1が0.7μm、平均二次粒子径は21.2μmであった。
なお、得られた原料ニッケル粉は、平均一次粒子径d1が0.7μm、平均二次粒子径は21.2μmであった。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
原料ニッケル粉として一次粒子が鎖状に連結した市販のニッケル粉を解砕・分級し粒子径をそろえたニッケル粉5kを用いたこと、ニッケル粒子表面への還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し10質量%となるように混合した水溶液を還元析出後のNiとCoの合計で5kgとなるように加えたこと以外は、実施例9と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。なお、得られた原料ニッケル粉は、平均一次粒子径d1が1.2μm、平均二次粒子径は21.0μmであった。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
(比較例1)
加温を65℃までとしたこと、原料ニッケル粉の還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し15質量%となるように混合した水溶液を用いたこと、ニッケル粒子表面への還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し20質量%となるように混合した水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
加温を65℃までとしたこと、原料ニッケル粉の還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し15質量%となるように混合した水溶液を用いたこと、ニッケル粒子表面への還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し20質量%となるように混合した水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
(比較例2)
原料ニッケル粉の還元析出時に塩化コバルトを添加していない塩化ニッケル水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
原料ニッケル粉の還元析出時に塩化コバルトを添加していない塩化ニッケル水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
(比較例3)
原料ニッケル粉の還元析出時にHLB値が9の変性シリコンオイル系界面活性剤を添加した塩化ニッケル水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
原料ニッケル粉の還元析出時にHLB値が9の変性シリコンオイル系界面活性剤を添加した塩化ニッケル水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
(比較例4)
原料ニッケル粉の還元析出時に塩化コバルトを添加していない塩化ニッケル水溶液を用いたこと、ニッケル粒子表面への還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し40質量%となるように混合した水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
原料ニッケル粉の還元析出時に塩化コバルトを添加していない塩化ニッケル水溶液を用いたこと、ニッケル粒子表面への還元析出時の混合水溶液としてCo含有量がNi+Co量に対し40質量%となるように混合した水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得るとともに評価した。
得られたニッケル粉のCo含有量およびその粉体特性を表1に、体積抵抗率の測定結果を表2にそれぞれ示す。
Claims (9)
- 1〜40質量%のコバルト元素を含み、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたニッケル粉であって、
前記ニッケル粉の炭素含有量が0.7重量%以下、
前記ニッケル粉の一次粒子における
平均一次粒子径d1が0.5〜3.0μm、
一次粒子径の標準偏差σと前記平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下、
前記ニッケル粉の二次粒子における平均二次粒子径d2が18〜50μmであり、
炭素含有量が0.7質量%以下であることを特徴とするニッケル粉。 - 前記平均一次粒子径d1と前記平均二次粒子径d2との比d2/d1の値が、15〜50の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉。
- コバルト元素の含有量が40質量%以下の一次粒子の表面を、コバルト元素の含有量が、一次粒子のコバルト元素の含有量以上、且つ1〜40質量%の範囲のコバルトを含むニッケルで被覆していることを特徴とする請求項1または2に記載のニッケル粉。
- 平均一次粒子径d1が0.5〜3.0μm、一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下で、炭素含有量が0.7質量%以下、コバルト元素の含有量が40質量%以下のニッケル粒子を含む、有機分散剤を含有しない水系スラリーに、
ニッケル元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の含有量が1〜40質量%であるニッケル塩とコバルト塩の混合水溶液と、
還元剤を
添加して、前記水系スラリーに含まれるニッケル粒子の表面にコバルト元素を含有するニッケルを析出させることを特徴とするニッケル粉の製造方法。 - 前記有機分散剤が、疎水基と親水基を有する有機界面活性剤であることを特徴とする請求項4に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記有機分散剤を含有しない水系スラリーが、
有機分散剤を含有しない水溶液に、
ニッケル元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の含有量が1〜10質量%であるニッケル塩とコバルト塩の混合水溶液と
還元剤を
添加してニッケル粒子を析出させることにより形成した水系スラリーであることを特徴とする請求項4又は5に記載のニッケル粉の製造方法。 - 前記有機分散剤を含まない水溶液の液温を40〜70℃に維持した状態で、前記混合水溶液と還元剤を添加することを特徴とする請求項6に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記有機分散剤を含有しない水系スラリーが、
炭素含有量が0.7質量%以下、コバルト元素の含有量が40質量%以下である原料ニッケル粉を、解砕、分級して、
平均一次粒子径d1が0.5〜3.0μm、一次粒子径の標準偏差σと平均一次粒子径d1の比σ/d1が0.4以下であるニッケル粒子を形成した後、
前記ニッケル粒子を水と混合することにより形成した水系スラリーであることを特徴とする請求項4または5に記載のニッケル粉の製造方法。 - 前記原料ニッケル粉が、
ニッケル元素とコバルト元素の合計に対するコバルト元素の含有量が40質量%以下であるニッケル塩水溶液に還元剤を添加することによりニッケルを析出させて形成したニッケル粉であることを特徴とする請求項8に記載のニッケル粉の製造方法。
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CN105436498B (zh) * | 2015-11-18 | 2017-12-01 | 山东大学 | 一种多孔镍‑碳纳米复合微球电磁波吸收材料及其制备方法与应用 |
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