JP2014210557A - ガス発生器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】閉塞部材12に形成された脆弱部11が、交差点X2を通る互いに直交する2本の直線Y1、Y2を引いたとき、Y1上にある始点Aから、Y2上にある第1中間点B、Y1上にある第2中間点C、Y2上にある第3中間点Dを通り、Y1上にある終点Eまで延ばされた曲線の溝である。作動時において、ロッド部が閉塞部材12の中心X1を押すと、始点Aから終点Eまでの溝に沿って連続的に開裂していく。
【選択図】図2
Description
クロージャ部材50には図2(a)〜(e)に示すような様々な形の溝52a〜52eが形成されている。
図2(a)、(d)は、溝の形状から、中心部から外側方向に開裂して開口するものと考えられるが、図2(c)、(e)は、溝の形状および形成状態から、中央部が一体となって円形に脱落して開口するものと考えられ、図2(b)では、中心(基点)から等間隔で渦巻き状に溝が形成されていることから、やはり中央部が一体となって円形に脱落して開口するものと考えられる。
点火手段が収容されガス排出口を有している点火手段室と、加圧ガスが充填された加圧ガス室が、それぞれの中心軸が同じ軸X1となるように形成された筒状ハウジング内において、
前記点火手段室と前記加圧ガス室の間が円形の閉塞部材で閉塞されており、
前記点火手段室内には、少なくとも点火器と、作動時に前記筒状ハウジングの軸X1方向に移動可能なピストンが配置されており、
前記ピストンが、
前記点火手段からの燃焼生成物を受ける受圧面を含む基板部と、該基板部の一面から軸方向に伸びるロッド部を有しており、
前記ロッド部が、前記閉塞部材に当接または対向するように配置されたものであり、
前記閉塞部材がいずれか一方の面に脆弱部を有しているものであり、
前記脆弱部が、
前記閉塞部材のいずれか一方の面に交差点X2を通る互いに直交する2本の直線Y1、Y2を引いたとき、Y1上にある始点Aから、Y2上にある第1中間点B、Y1上にある第2中間点C、Y2上にある第3中間点Dを通り、終点Eまで延ばされた曲線からなる溝であり、
前記溝が、交差点X2からの各点までの距離が始点A<第1中間点B<第2中間点C<第3中間点D<終点Eとなり、前記終点Eが、Y2上にある第3中間点Dを通り、Y1と交差する点(E1)、前記交差点よりも第3中間点D側にある点(E2)、または前記交差点を通り過ぎた点(E3)である溝であり、
前記ロッド部が、作動時において軸方向に移動して前記閉塞部材を押すことで、前記閉塞部材が、前記脆弱部の始点A近傍から終点Eまでの溝に沿って開裂していくものであり、
前記ロッド部が、始点Aとは接触せず、かつ始点Aから第1中間点Bまでの間で前記溝に近接した位置で前記閉塞部材を押すものである、ガス発生器を提供する。
閉塞部材は、加圧ガス室と点火手段室の間に存在しており、ハウジングに対して固定されていてもよいし、一体成形されていてもよい。
ハウジングが、加圧ガス室ハウジングと点火手段室ハウジングからなるものであるときは、いずれか一方のハウジングに対して固定されていてもよいし、いずれか一方のハウジングと一体成形されていてもよい。
閉塞部材の交差点X2は、円形の閉塞部材の中心X1と一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
閉塞部材の溝は、始点Aから終点Eまでの各点の間が曲線で結ばれて形成されているものである。
前記曲線は各点の間を結ぶものであるが、例えば波線のような屈曲部を有する曲線ではなく、各点を通る、全体として一巻き程度の渦を形成する曲線である。
脆弱部となる溝は、連続した溝であってもよく、不連続な溝からなるものであってもよい。ただし、不連続な溝とする場合は、作動時に溝に沿って開裂が進むように隣接する溝の間隔を調整する。
溝の終点Eは、閉塞部材の円周部分から離れた位置にあってもよいし、円周部分に達した位置にあってもよい。
その結果、交差点X2に最も近い位置にある始点A、または始点Aと第1中間点Bの間のいずれかの部分から開裂が始まり、第1中間点B、第2中間点C、第3中間点Dを経て、終点Eまで連続して開裂し開口される。
開裂初期には、閉塞部材に形成される開口面積は小さく、排出されるガスの量も少ないが、終点Eに近づくにつれて開口面積が大きくなり、排出されるガスの量が多くなる。
つまり作動初期は出力が抑えられるが、後半になるにつれて出力が大きくできることで、エアバッグなどの乗員拘束装置と組み合わせた場合に、乗員に対して作動初期の衝撃が緩和されたガス発生器にすることができる(第1の作用効果)。
したがって、上記のように一旦始点A近傍に荷重を集中させて開裂が開始されれば、開裂が終点Eまで連続的に進行するにはそれほど大きな力は必要ない。つまり必要な荷重は始点A近傍において開裂を生じさせるものであり、一旦開裂が発生すれば更なる荷重を加える必要がない。そのため、特許文献1のように、脆弱部全体を一度に開裂させる場合と比較して、必要な最大荷重を抑えることができる。よって点火手段部分を小型化でき、軽量なガス発生器を提供することができる(第2の作用効果)。
前記閉塞部材がいずれか一方の面に脆弱部を有しているものであり、
前記脆弱部が、
前記閉塞部材の中心(X1)とは異なる位置を中心(X3)とする、始点Aから終点Eまでの円形または楕円形に形成された溝(但し、始点Aと終点Eの近い方の距離間には溝が形成されていない)であり、
前記閉塞部材の中心(X1)からの始点Aと終点Eの距離が、始点A<終点Eとなっている、請求項1記載のガス発生器を提供する。
そして、上記した始点A、第1中間点B、第2中間点C、第3中間点D、終点Eまでを通る溝と比べると、溝の形状自体が簡単にできることから、加工作業が容易になる。
また、前記始点Aから前記終点Eまでの溝が形成されていない部分の長さが、前記円形の周長さまたは前記楕円形の周長さの5〜40%の範囲であるものにすることができる。
開裂停止手段を設けることで、終点Eまで達した開裂がそれ以上進行しないよう阻止できる。このため、開裂片を発生させることなく、千切れた開裂片によりガス排出経路が閉塞されるおそれがなくなる。
例えば、終点Eに対して厚みのある別の部材を当接させる方法、終点E部分に溶接などで熱を加え組織を硬くする方法、終点Eに達した応力を分散させること方法などを適用することができる。
応力を分散させる方法としては、特開2005−238948号公報に開示された応力分散部分(例えば、図1と段落番号0029〜0032に示された応力分散部分)、特開2012−171362号公報に開示された開裂阻止部(例えば、図1(a)と段落番号0047などに示された開裂阻止部14)などの応力分散手段を使用することができる。
このため、開裂に要する力を小さくすることができるほか、開裂が連続的に進行して開口部分の面積が連続的に大きくなるため、作動初期のエアバッグの膨張による乗員への衝撃を緩和できるガス発生器用として適している。
点火手段室ハウジング20と加圧ガス室ハウジング40は、それぞれの中心軸が軸X1となるようにして一体化されている。
加圧ガス室ハウジング40の内部には、アルゴンやヘリウムなどのガスが充填されている。前記ガスは、底面41に形成された加圧ガス充填孔から充填され、前記充填孔はピン42と共に溶接されて閉塞されている。
図1では、閉塞部材12は周壁部23と一体に形成されているが、周壁部23に対して別部材の閉塞部材12が溶接固定されたものでもよい。
なお、閉塞部材12は、加圧ガス室ハウジング40の開口部側(底面41と反対側)に取り付けられたものでもよい。
電気式点火器25は、点火手段室ハウジング20の内壁面21に形成された内向きの環状突起21aと、内側にかしめられた開口端部22で軸X1方向の両側から挟み付けられて固定されている。
ピストン30(基板部31)、点火手段室ハウジング20の内壁面21(周壁部23)、および閉塞部材12で囲まれた空間はプレナム室34を形成しており、ガス排出経路となる。プレナム室34には、公知のクーラントやフィルタを配置してもよい。
プレナム室34に面した周壁部23には、複数のガス排出口27が形成されており、内側から防湿の目的でシールテープが貼り付けられている。
基板部31は、厚さ方向に複数の貫通孔33を有している。複数の貫通孔33は、容易に破壊されるアルミニウム製の粘着テープなどで閉塞されていてもよい。
ロッド部32は、ハウジングの軸X1と同軸上に位置しており、先端部32aと基板部31までの間が同一外径を有している。またロッド部31の径は基板部31の外径よりも小さい。
閉塞部材12が加圧ガス室ハウジング40内からの圧力を受けても、ロッド部32、基板部31を介して圧力が点火手段室ハウジング20に分散されるため、耐圧性を高めるため閉塞部材12の厚みを過度に厚くする必要はない。
なお、先端部32aと閉塞部材12との間には僅かな間隔が設けられていてもよい。この場合、閉塞部材12が加圧ガス室ハウジング40からの圧力を受けて点火手段室ハウジング20側に突き出すように変形したとき、ロッド32の先端部32aが閉塞部材12に当接されるようにできればよい。
作動時において、基板部31は、環状突起21bと段差部(第2突起)26の間を摺動する。
脆弱部11は、図2に示すとおり、互いに直交する2本の直線Y1、Y2を引いたとき(交差点X2)、Y1上にある始点Aから、Y2上にある第1中間点B、Y1上にある第2中間点C、Y2上にある第3中間点Dを通り、Y1上にある終点Eまで延ばされた曲線の溝(例えば、幅方向の断面形状がV字の溝)からなるものである。
交差点X2は、円形の閉塞部材12の中心X1(軸X1と一致している)と一致している。
この曲線の溝は、上記したとおり、各点間を通る曲線であり、全体として一巻き(1周)程度の渦を形成する曲線からなる溝である。
始点Aまでの距離<第1中間点Bまでの距離<第2中間点Cまでの距離<第3中間点Dまでの距離<終点Eまでの距離、
となる溝であり、かつ始点Aは作動時においてピストンのロッド部とは接触しない位置にある。
ロッド部32の先端部32aは、作動時において、交差点X2を含む領域(交差点X2と中心X1が一致しているときは、中心X1を含む領域)を押すような位置になるように調整されている。
このとき、ロッド部32の先端部32aの中心と、交差点X2および中心X1は、一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
なお、図1に示すロッド部32の先端部32aの大きさは一実施形態であり、図1に示す大きさに限定されるものではなく、例えば、先端部32aが始点Aと第1中間点Bを結ぶ曲線上のいずれかの部分により近接するようにしてもよい。
終点Eの位置は、
図3(a)に示すようにY1と交差する点(E1)、
交差点(E1)よりも第3中間点D側にある点(E2)、
交差点(E1)を通り過ぎた点(E3)、
のいずれかにすることができる。
終点E2の位置は、始点Aから終点E1までを1周の曲線からなる溝(一巻きの渦を形成する曲線からなる溝)としたとき、0.5周以上1周未満が好ましく、0.6周以上0.9周以下がより好ましく、0.7周以上0.8周以下がさらに好ましい。特に好ましくは0.75周である。
終点E3の位置は、始点Aから終点E1までを1周の曲線からなる溝(一巻きの渦を形成する曲線からなる溝)としたとき、1.0周超1.5周以下が好ましく、1.1周以上1.3周以下がより好ましく、1.2周以上1.3周以下がさらに好ましい。特に好ましくは1.25周である。
よって、始点Aから終点E(終点E2、終点E1または終点E3)の曲線からなる溝の好ましい範囲は、0.75周(0.75巻き)の渦を形成する曲線からなる溝〜1.25周(1.25巻き)の渦を形成する曲線からなる溝である。
なお、終点Eは、円形の閉塞部材12の円周部12bとは接していないことが好ましいが、接触していてもよい。
図4(a)に示す開裂阻止手段111は、脆弱部11となる溝の終点Eに形成された矢印形状の溝である。終点Eと矢印形状の溝(開裂阻止手段111)は接触しているが、短い間隔をおいて配置されていてもよい。
図4(b)に示す開裂阻止手段211は、脆弱部11となる溝の終点Eに形成された凹部(好ましくは円形の凹部)である。終点Eと凹部(開裂阻止手段211)は接触しているが、短い間隔をおいて配置されていてもよい。
図4(c)に示す開裂阻止手段311は、脆弱部11となる溝の終点Eに形成されたV字の溝である。終点EとV字の溝(開裂阻止手段311)は接触しているが、短い間隔をおいて配置されていてもよい。
図4(a)〜(c)に示す開裂阻止手段を設けたとき、終点Eまで開裂が進行すると開裂阻止手段において開裂しようとする力が分散される結果、それ以上の開裂の進行が阻止される。
点火器25が作動すると、充填室37内のガス発生剤38が着火燃焼されて燃焼ガスが発生する。
発生した燃焼ガスの一部は、貫通孔33からプレナム室35に入り、シールテープを破ってガス排出口27から排出されてエアバッグが膨張される。
また一方で、燃焼ガスの発生により充填室37内の圧力が上昇すると、図5(a)の状態からピストン30の基板部31が軸X1方向に押されて、ロッド部32が軸X1方向に移動する。
このとき、基板部31が段差26に衝突することで、ロッド部32の軸X1方向への移動が停止される。
そしてロッド部32の移動により、その先端部32aが閉塞部材12の中心X1を含む部分を押圧し、中心X1に近接した始点Aから溝に沿った開裂が始まる。
図5(c)の状態では、開裂した開裂片12cは閉塞部材12と一体になったままで残っている。
このとき始点Aにおいてはせん断する面積が小さいため、加わる荷重も小さくてよい。
そして、一旦開裂が進行すれば、その後は連続的に開裂が進行するため、必要な荷重は少なくて済む。
つまり閉塞部材12の全体を一度に開裂させて開口する場合と比べると、必要とされる最大荷重(力)を小さくすることができるため、点火器25を小型軽量化できる。
なお、図1のガス発生器10は、ガス発生剤38を使用するハイブリッドタイプであることから、閉塞部材12の脆弱部11と点火器25の小型化が直接関連するものではなく、ガス発生剤38から発生する燃焼ガスのより多くの部分をエアバッグ展開用に使用できるという点で効果がある。
しかし、加圧ガスのみでエアバッグを展開させるストアード式ガス発生器の場合には、点火器のみで閉塞部材を開裂させるものであるため、上記した脆弱部11を有する閉塞部材12と組み合わせることで、点火器の小型軽量化が達成できることが考えられる。
脆弱部111は、円形の閉塞部材112の中心X1とは異なる位置を中心(X3)とする、始点Aから終点Eまでの円形または楕円形に形成された溝である。
但し、始点Aと終点Eの近い方の距離間には溝(脆弱部)は形成されていない。
円形の閉塞部材112の中心X1からの始点Aと終点Eの距離は、始点Aまでの距離<終点Eまでの距離となっている。
始点Aから終点Eまでの溝が形成されていない部分の長さは、前記円形の周長さまたは前記楕円形の周長さの5〜40%の範囲であることが好ましい。
始点Aから終点Eまでの溝が形成されていない部分が存在することから、開裂片が閉塞部材112から脱落することはない。
11 脆弱部
12 閉塞部材
20 点火手段室ハウジング
25 点火器
30 ピストン
31 基板部
32 ロッド
32a ロッド先端部
40 加圧ガス室ハウジング
Claims (6)
- 点火手段が収容されガス排出口を有している点火手段室と、加圧ガスが充填された加圧ガス室が、それぞれの中心軸が同じ軸X1となるように形成された筒状ハウジング内において、
前記点火手段室と前記加圧ガス室の間が円形の閉塞部材で閉塞されており、
前記点火手段室内には、少なくとも点火器と、作動時に前記筒状ハウジングの軸X1方向に移動可能なピストンが配置されており、
前記ピストンが、
前記点火手段からの燃焼生成物を受ける受圧面を含む基板部と、該基板部の一面から軸方向に伸びるロッド部を有しており、
前記ロッド部が、前記閉塞部材に当接または対向するように配置されたものであり、
前記閉塞部材がいずれか一方の面に脆弱部を有しているものであり、
前記脆弱部が、
前記閉塞部材のいずれか一方の面に交差点X2を通る互いに直交する2本の直線Y1、Y2を引いたとき、Y1上にある始点Aから、Y2上にある第1中間点B、Y1上にある第2中間点C、Y2上にある第3中間点Dを通り、終点Eまで延ばされた曲線からなる溝であり、
前記溝が、交差点X2からの各点までの距離が始点A<第1中間点B<第2中間点C<第3中間点D<終点Eとなり、前記終点Eが、Y2上にある第3中間点Dを通り、Y1と交差する点(E1)、前記交差点よりも第3中間点D側にある点(E2)、または前記E1を通り過ぎた点(E3)である溝であり、
前記ロッド部が、作動時において軸方向に移動して前記閉塞部材を押すことで、前記閉塞部材が、前記脆弱部の始点A近傍から終点Eまでの溝に沿って開裂していくものであり、
前記ロッド部が、始点Aとは接触せず、かつ始点Aから第1中間点Bまでの間で前記溝に近接した位置で前記閉塞部材を押すものである、ガス発生器。 - 前記軸X1が、前記円形の閉塞部材の中心を通るものであり、前記円形の閉塞部材の中心(X1)と前記交差点X2が一致している、請求項1記載のガス発生器。
- 前記軸X1が、前記円形の閉塞部材の中心を通るものであり、前記円形の閉塞部材の中心(X1)と前記交差点X2が一致していない、請求項1記載のガス発生器。
- 前記閉塞部材がいずれか一方の面に脆弱部を有しているものであり、
前記脆弱部が、
前記閉塞部材の中心(X1)とは異なる位置を中心(X3)とする、始点Aから終点Eまでの円形または楕円形に形成された溝(但し、始点Aと終点Eの近い方の距離間には溝が形成されていない)であり、
前記閉塞部材の中心(X1)からの始点Aと終点Eの距離が、始点A<終点Eとなっている、請求項1記載のガス発生器。 - 前記始点Aから前記終点Eまでの溝が形成されていない部分の長さが、前記円形の周長さまたは前記楕円形の周長さの5〜40%の範囲である、請求項4記載のガス発生器。
- 前記脆弱部において終点Eが開裂停止手段を有している。請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス発生器。
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