JP2014210413A - シート材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シート状の裏基材2の一部又は全部に少なくともシート状の表面材3が接着されて2層以上を成す積層体4を有し、表面材3の3%伸長時応力Ff (単位:N/5cm)が、裏基材2の3%伸長時応力Fb (単位:N/5cm)より大きい。
【選択図】図1
Description
この壁紙は、ベースシート上に、発泡層、ガスバリヤー性フィルム層、次いで不織布層の順で該3層を積層してなる。
しかしながら、特許文献1の高発泡性壁紙は、不織布層も必須としており、この必須の不織布層が、ガスバリヤー性フィルム層の上に積層されている(つまり、不透過性のフィルム層で覆われていない)ため、不織布層が汚染物や水の滲出等に晒されることから、目開き等の問題が皆無とは言えず、又、反りの問題も生じ得る。
すなわち、特許文献2では、裏面側の層をより収縮しやすい(伸び難く、伸長時応力が大きい)構造とし、表面側の層をより収縮しにくい(伸び易く、伸長時応力が小さい)構造とすることで、反りの問題に対処している。
ここで、本発明における「3%伸長時応力」とは、50×250mmの試験片につき、荷重・伸度測定試験機を用い、4.9Nの初荷重の下で、つかみ間隔を150mmとなるように試験片を取り付け、1分間当たりつかみ間隔の100%(150mm)の引張速度(つまり、150mm/分)で、伸びが3%となるまで試験片を伸ばし、そのときの荷重(伸長時応力、単位:N/5cm)を言う。
又、「3%伸長時応力」については、上記の測定方法において、初荷重を、試験片の幅で1mの長さにかかる重力に相当する[整数位までの値(N)]とし、つかみ間隔を、200m又は500mmとし、引張速度を、1分間当たりつかみ間隔の100%の速度としたJIS−L−1096:2010によって測定した伸長力を、本発明における「3%伸長時応力」としても良い。
つまり、本発明では、同じ測定方法によって測定した表面材3の3%伸長時応力Ff と、裏基材2の3%伸長時応力Fb の大小を比べて、表面材3の3%伸長時応力Ff を、裏基材2の3%伸長時応力Fb より大きく設定することとなる。
尚、「表面材3の3%伸長時応力Ff が、裏基材2の3%伸長時応力Fb より大きい」とは、表面材3の表面3a又は裏面3bに沿う方向の3%伸長時応力のうち、一方向でも、裏基材2の3%伸長時応力(裏基材2の表面2a又は裏面2bに沿う何れかの方向における3%伸長時応力)より大きければ良いことを言う。
詳解すれば、仮に、積層体4の周縁4cぎりぎりまで加飾を行った際には、加飾部6に伴って、周縁4cの部分までが溶融されてしまい、周縁4cが加飾部6近傍で鉛直方向(例えば、上方)へ突き出したり、加飾部6に沿って水平方向外方へ飛び出したりもして、ツノ様のもの(以下「ツノ」)が形成される場合がある。
しかし、周縁4cから所定距離Lの範囲で溶融の加飾を行わなければ、加飾部6に沿って外方に飛び出すことはなく、積層体4(シート材1)の最外形の形状が安定する。
<第1実施形態>
図1〜3には、本発明の第1実施形態に係るシート材1が示されている。
このシート材1は、シート状の裏基材2と、シート状の表面材3と、これら裏基材2と表面材3との間にあるシート状の中層材5を備えて3層を成す積層体4を有している(換言すれば、積層体4自体で、シート材1を構成する)。
シート材1は、その最表面1a(表面材3の表面3a)などに表れて加飾する加飾部6(有底状の孔11)が形成されており、この加飾部6以外の部分で、未加飾部7を成している。
シート材1の形状については、上述した略矩形状の他、平面視で、円形、楕円形をはじめ、三角形、六角形等の多角形であっても良い。
シート材1全体としての厚みは、特に限定はないが、例えば、1mm以上50mm以下、好ましくは3mm以上30mm以下、更に好ましくは5mm以上20mm以下であっても良い。
図1に示された如く、裏基材2は、積層体4において、ベース(土台)として支えるシート状物であって、この裏基材2の表面(上面)2a側に、中層材5、表面材3が、この順で積層されている。逆に言えば、ベースである裏基材2は、表面材3等に覆われて、人目に触れる頻度が低い。
表面材3は、積層体4における最も上面(最表面)に位置し、中層材5の上に積層されるシート状物である。つまり、最表面にある表面材3は、当然、人目に触れる頻度が最も高く、意匠性(デザイン性)を発揮できる部分である。
中層材5は、裏基材2と表面材3に上下を覆われ、外部には露出していないシート状物である。
これら織物などの布帛は、その繊維が熱により溶融又は軟化する特性(熱融着性)を有している。この熱融着性を有する繊維を例示すれば、ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン、アクリル、ポリウレタン、アセテート、ビニロン等を挙げること出来るが、これらのみに限定されるものではない。
又、布帛を構成する繊維の繊度も、何れの値でも良いが、例えば、総繊度で、20dtex以上3000dtex以下である。
又、布帛が編物である際には、デンビー編(トリコット編)や、ラッシェル編、ダブルラッシェル編、バンダイク編(アトラス編)、コード編などの経編や、平編(天竺編)、ゴム編(リブ編)、パール編などの緯編など、それぞれ何れの組織であっても構わない。
不織布に用いられる繊維は、短繊維(ステープル)でも、長繊維(フィラメント)でも良いが、例えば、短繊維を用いる場合では、その繊維長は、10mm以上70mm以下、好ましくは20mm以上60mm以下、更に好ましくは30mm以上60mm以下である。
不織布は、繊維の結合を促すバインダー(樹脂バインダー)を用いていても良く、その際、バインダーは、練込みであったり、パウダー状、繊維状等の形態で添加されても良く、例えば、アクリル系、スチレン−ブタジエン共重合系、ビニルアセテート−エチレン共重合系、ビニルアセテート−アクリル共重合系、ポリ酢酸ビニル系、アクリロニトリル系、ナイロン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系等の接着剤が用いられる。
その他、不織布を構成する繊維を、鞘部の融点が芯部の融点より低い芯鞘構造等であっても良い。
上述した裏基材2、表面材3、中層材5の素材には、所望により、酸化チタン、炭酸カルシウム等の体質顔料やフィラー(充填材)を任意に添加できるほか、消臭剤、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤、撥水剤、防汚剤、着色剤、香料、発泡剤等を添加しても良い。
尚、上述したように、裏基材2、表面材3は、上述した何れの素材、構成でも構わないが、最も人目に触れる表面材3は、織物や編物など意匠性を発揮可能なものが好ましく(意匠性を発揮し難い不織布等は、表面材3として使用される頻度が低く)、その一方で、加工性・嵩高性などの機能面や、価格面から、裏基材2には、織物が使用される頻度は低い。
図1、2で示されるように、加飾部6は、平面視で略格子状(グリッド状)に一列を成した複数の孔11、11、11・・・が、溶融によって、所定間隔dごとに形成された部分で構成されている。
それぞれの孔11は、シート材1の最表面1a側が開口した有底状(逆に、加飾部6(孔11等)が有底状である場合、孔11の開口がある側がシート材1の表面1a(表面材3)側)であって、このように底を有することで、当然、積層体4(シート材1)の表裏で、孔11を通っての空気の移動はない(貫通させた場合よりも、孔内の空気移動が少なく、孔11の周辺(孔周部11a)に汚れが付き難い)。
又、各孔11の平面視での形状は、略楕円形状であるが、この他、略円形状や、略矩形状のほか、三角形状、六角形状等の多角形状であっても構わず、又、1つのシート材1の中で、孔11の形状が複数の種類であっても良い。
又、加飾部6のパターンは、平面視で略格子状でなくとも、略円形状や、略楕円形状、略三角形、略六角形状等の多角形状、略波線状、ハニカム状などであっても良く、これらが単独又は組み合わさって、それぞれが連続したり、互いに重なったりしても良い。
この他、加飾部6は、各孔11が、一列を成すだけでなく、縦横(行列状)に間隔をあけて並べられていても良く、これらの並びの最外形の孔11による図形も、略格子状をはじめ、略円形状、略楕円形状、略三角形等の多角形状、略波線状、ハニカム状などや、これらの組み合わせであっても良い。
又、これらの手段は、積層体4を構成する各層(裏基材2、表面材3、中層材5)をまとめて溶融することで、有底状の孔11を形成することから、当然、その孔11の周辺部分(孔周部11a)にも、溶融・軟化が起こっている。
尚、加飾部6が、所定間隔dをあけた複数の孔11が列を成して構成されているものである場合には、各孔11そのものだけでなく、各孔11間の部分(孔間部11b)も含めて、加飾部6とする。
又、孔間部11bは、孔周部11aでもあり、溶融や軟化や、各層の接着が起こっているものも含む。
そして、各孔11同士の所定間隔dも、特に限定されるものではなく、例えば、0.3mm以上3.0mm以下、好ましくは0.5mm以上2.5mm以下、更に好ましくは0.5mm以上2.0mm以下である。又、各孔11間の所定間隔dは、常に一定でなくとも構わない。
図1、2に示す如く、未加飾部7は、積層体4において、上述の加飾部6以外の部分であり、少なくとも積層体4の周縁4cから所定距離L(所定幅L)までの範囲に設けられている。
つまり、積層体4は、その周縁4cから所定幅Lの部分(周縁部4d)には、加飾されておらず、周縁部4dが未加飾部7となって、積層体4を囲んでいる。
ここで、所定距離Lは、何れの値でも構わないが、例えば、1mm以上30mm以下、好ましくは2mm以上20mm以下、更に好ましくは3mm以上10mm以下である。
このような周縁4cでの接着は、各層が接着されるのであれば、接着剤を用いるなど、何れでも構わないが、例えば、裏基材2、表面材3及び中層材5の各層が重ねられた後に、各層をまとめて略同じ外形(略矩形状等)となるように、溶融しながら切断(裁断)することで、行っても良い。
尚、この裁断は、溶融によって成されるのであれば、何れの手段であっても構わないが、例えば、ヒートカッターなどの熱を帯びた部材や、超音波ミシンを用いたり(押し切ったり)、高周波ウェルダー等を用いても良い。
又、裏基材2、表面材3及び中層材5の接着は、周縁4cの接着であるか、加飾部6の接着であるかを問わず、シート状である各層2、3、5を拡げて行われる(つまり、裏基材2、表面材3及び中層材5の接着は、自ずと、シート状の各層を拡げたり、寸法を合わせたりするための所定張力下で(所定のテンションをかけて)行われる)。
尚、裏基材2、表面材3及び中層材5(や、後述の表面補材12等)を、所定張力下で接着させるためには、例えば、ロールに巻回された長尺状の裏基材2、表面材3、中層材5等の各層をそれぞれに所定のテンションをかけつつ巻き出し、巻き出した各層を積層させた(重ねた)状態で、ヒートカッターによる裁断や、超音波ミシンによる加飾などを行うライン生産によって、各層2、3、5等の接着を行っても良い。
又、台座などの上に、各層2、3、5等を積層して拡げた状態(所定張力下)で、所定形状・大きさにヒートカッターの裁断や、超音波ミシンの加飾、接着剤による接着などを行っても構わない。
ここで、上述したように、加飾部6では、孔周部11a(及び/又は孔間部11b)で各層が互いに接着されているが、この加飾部6の間にある未加飾部7では、各層の裏基材2、表面材3、中層材5は、互いに接着されていない(つまり、未接着部8を持つ)。
これによって、積層体4(シート材1)全体が折り曲げられた際であっても、裏基材2、表面材3、中層材5で、互いに相対位置がずれ得るため、裏基材2、表面材3、中層材5における互いに向い合う面を全て接着したような場合に比べれば、折り曲げられて現れる皺を低減できる。
具体的には、積層体4(シート材1)における裏面4b側(つまり、裏基材2側)を、谷として折り曲げられた際には、表面4a側(つまり、表面材3の表面3a側であって、シート材1の最表面1a)に現れる皺を低減できる。
本発明に係るシート材1(積層体4)は、表面材3の3%伸長時応力Ff を、裏基材2の3%伸長時応力Fb より大きく(つまり、表面材3の方が、裏基材2よりも伸び難く)なるように設定されている。
これによって、シート材1が、表面材3側への反る(例えば、シート材1全体が表面材3側を谷としてカールしたように反る)ことが抑制できると同時に、裏基材2と表面材3の接着は、加熱などの余計な工程を要することは一切なく、ただ、裏基材2、表面材3等の接着工程だけで良いことから、製造負担の増加をなくすことが出来る。
尚、「表面材3の3%伸長時応力Ff が、裏基材2の3%伸長時応力Fb より大きい(つまり、Ff >Fb )」について、以下で詳解する。
「表面材3の3%伸長時応力Ff 」とは、表面材3の表面3a又は裏面3bに沿う方向における3%伸長時応力であって、この表面3a又は裏面3b沿う方向とは、例えば、表面材3が織物や編物であれば、経方向、緯方向、バイアス方向(経緯に対して、斜めの方向)等であり、不織布やフィルム等であれば、表面材3の表面3a又は裏面3bに沿うのであれば、何れの方向であっても構わない。
又、裏基材2においても同様で、「裏基材2の3%伸長時応力Fb 」とは、裏基材2の表面2a又は裏面2bに沿う方向(織物・編物であれば、経・緯・バイアス方向、不織布・フィルム等であれば、裏基材2の表面2a又は裏面2bに沿う何れの方向も含む)の3%伸長時応力を言う。
従って、「表面材3の3%伸長時応力Ff が、裏基材2の3%伸長時応力Fb より大きい」とは、表面材3の表面3a又は裏面3bに沿う方向の3%伸長時応力のうち、一方向でも、裏基材2の表面2a又は裏面2bに沿う何れかの方向における3%伸長時応力より大きければ良いことを言う。
ここで、シート材1(積層体4)の平面視における縦横等の方向(裏基材2、表面材3及び中層材5それぞれの平面視における縦横方向等)は、表面材3と裏基材2などが接着されることで、規定される。
よって、表面材3、裏基材2等の何れもが、織物や、編物、延伸方向を有したフィルムなど方向性を持つ素材の場合には、表面材3と裏基材2の接着される向きによっては、表面材3自体における縦横方向と、裏基材2自体における縦横方向が食い違うケース(例えば、表面材3と裏基材2の両方が織物で、表面材3自体の経方向・緯方向と、裏基材2自体の経方向・緯方向が食い違う(ねじれの位置となる)ケース)もある。
このようなケースでも、シート材1における「表面材3の3%伸長時応力Ff >裏基材2の3%伸長時応力Fb 」とは、少なくとも「表面材3自体の経方向における3%伸長時応力が、裏基材2自体の緯方向における3%伸長時応力より大きい」や、「表面材3自体の緯方向における3%伸長時応力が、裏基材2自体の経方向における3%伸長時応力より大きい」などの何れかが、成り立っていれば良い。
これによって、「Ff >Fb 」となる方向(表面材3の経方向で且つ裏基材2の緯方向や、表面材3の緯方向で且つ裏基材2の経方向など)におけるシート材1の反りを、少なくとも抑えられる。
又、表面材3の3%伸長時応力Ff と裏基材2の3%伸長時応力Fb の差が最も大きい方向において「Ff >Fb 」となることが好ましい。
仮に、Ff とFb の差が最も大きい方向以外の方向において、表面材3の3%伸長時応力Ff と裏基材2の3%伸長時応力Fb の関係が逆(Ff <Fb )となっていても、Ff とFb の差が最も大きい方向で「Ff >Fb 」となっていれば、シート材1として、反りをより抑制できる。
図3には、本発明の第2実施形態に係るシート材1が示されている。
この第2実施形態において第1実施形態と最も異なるのは、積層体4の周縁4cにおいて、裏基材2、表面材3、中層材5が、互いに接着されていない点である。
このように、積層体4の周縁4cでは、各層が接着されていなくとも、周縁4cに最も近い加飾部6によって、裏基材2、表面材3、中層材5が接着されているため、各層の積層状態は周縁4c付近まで十分保たれると同時に、周縁4cを接着させる工程を省くことが出来るなど、製造効率の向上が図れる。
更には、裏基材2、表面材3、中層材5における互いに接着されていない(バラけた)周縁部4dを切って、シート材1の大きさを所望の寸法に調整する切り代とすることも可能であり、寸法調整の容易化が図れる。
その他のシート材1の構成、作用効果及び使用態様は、第1実施形態と同様である。
図4には、本発明の第3実施形態に係るシート材1が示されている。
この第3実施形態は、中層材5を2つ有している(上中層材5a、下中層材5b)ことが、第1、2実施形態と最も異なった点である。
このように、中層材5を増やすことによって、シート材1全体を肉厚に、又は、シート材1の厚みを調整することが出来る。
このように接着することで、各中層材5a、5bが、表面材3、裏基材2がより薄い(コシの弱い)場合であっても支えることが出来、製造時における表面材3、裏基材2の取扱いを容易にする。
その他のシート材1の構成、作用効果及び使用態様は、第1実施形態と同様である。
図5には、本発明の第4実施形態に係るシート材1が示されている。
この第4実施形態において第1〜3実施形態と最も大きい相違点は、表面材3の下面(裏面)3bに、シート状の表面下材(表面補材)12が設けられていることである。
尚、表面下材12と裏基材2との間に、2層(2つ)の中層材(上中層材5a、下中層材5b)を備えている。
又、この表面下材12は、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、フェノール、シリコーン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア、アクリル、ポリイミド等の樹脂発泡体のシート状物であっても良く、他の中層材5a、5b(例えば、不織布)と素材を変えても構わない。
この表面下材12(例えば、ポリポリウレタン樹脂発泡体をフレームラミネートしたウレタンラミ)によって、表面材3の表面3a側(シート材1の最表面1a)における皺が抑制できる。
表面下材12の厚みは、何れの値であっても構わないが、例えば、1mm以上10mm以下、好ましくは2mm以上8mm以下、更に好ましくは3mm以上7mm以下であっても良い。
尚、第4実施形態でも、表面材3の3%伸長時応力Ff が、裏基材2の3%伸長時応力Fb より大きい(つまり、表面材3の方が、裏基材2よりも伸び難い)が、この表面材3の3%伸長時応力Ff とは、表面材3のみの3%伸長時応力を含むことは勿論、表面材3と表面下材(表面補材)12を合わせたものの3%伸長時応力も含む。
従って、本発明に係る第4実施形態は、表面材3のみの3%伸長時応力と、表面材3と表面補材12を合わせたものの3%伸長時応力の少なくとも一方(何れか1つ)の応力Ff が、裏基材2の3%伸長時応力Fb より大きければ良い。
裏基材2、上中層材5a、下中層材5bは、それぞれ別の素材でも良いが、例えばこれら3層2、5a、5bを、ニードルパンチ法による不織布等の同一の素材で構成し、この3層の不織布を、超音波キルト(超音波ミシンによるキルティング縫製)や、高周波ウェルダー等で所定の間隔ごとに、接着(固着)させても構わない。
又、この固着のさせ方も、平面視で略格子状に固着しても良く、このとき固着された格子は、加飾部6の格子より間隔が狭かったり、格子における互いの縦横がズレていても良い。
尚、このように、裏基材2、上中層材5a、下中層材5bの3層の不織布が固着させている場合には、上中層材5a及び下中層材5bは、裏基上材(裏基補材)14でもある。 この裏基上材14をふまえ、裏基材2の3%伸長時応力Fb とは、裏基材2のみの3%伸長時応力を含むことは勿論、裏基材2と裏基上材(裏基補材)14を合わせたものの3%伸長時応力も含む。
従って、本発明に係る第4実施形態は、裏基材2のみの3%伸長時応力と、裏基材2と裏基補材14を合わせたものの3%伸長時応力の少なくとも一方(何れか1つ)の応力Fb が、表面材3の3%伸長時応力Ff (表面材3のみの3%伸長時応力と、表面材3と表面補材12を合わせたものの3%伸長時応力の少なくとも一方(何れか1つ)の応力Ff )より小さければ良い。
その他のシート材1の構成、作用効果及び使用態様は、第1実施形態と同様である。
図6には、本発明の第5実施形態に係るシート材1が示されている。
この第5実施形態は、中層材5を有さないことが、大きな特徴であって、これにより、構造を単純化できる。
尚、この実施形態では、裏基材2、表面材3を、他の実施形態よりも、若干厚手のものにしても良い。
この貫通孔15は、仮に、所定のテンションで張りながら、裏基材2、表面材3に対して、加飾部6を形成し、周縁4cの接着をした後に、テンションを解いた際の寸法のズレ(例えば、テンションがなくなり、シート材1全体が若干縮む等の縮みなど)が生じても貫通孔15が、そのズレをより吸収してくれる。
又、第5実施形態では、未加飾部7を、積層体4の周縁部4dに設けていない。
その他のシート材1の構成、作用効果及び使用態様は、第1実施形態と同様である。
尚、実施例における「3%伸長時応力」は、50×250mmの試験片につき、荷重・伸度測定試験機を用い、4.9Nの初荷重の下で、つかみ間隔を150mmとなるように試験片を取り付け、1分間当たりつかみ間隔の100%(150mm)の引張速度(つまり、150mm/分)で、伸びが3%(4.5mm)となるまで試験片を伸ばし、そのときの荷重(伸長時応力、単位:N/5cm)をもって、「3%伸長時応力」とする。
試験Aにおいて、表面材3としての織物は、紋織であって、経糸として、総繊度167dtexのポリエステル(詳しくは、PETであり、以下の試験A、Bにおけるポリエステルも同様)マルチフィラメント糸を使用し、緯糸には、総繊度356dtexのポリエステルマルチフィラメント糸と、総繊度500dtexのポリエステルマルチフィラメント糸と、綿番手20番単糸のポリエステル紡績糸(スパン糸)を使用し、経糸密度が622本/10cm、緯糸密度が314本/10cmで、目付が390g/m2 である(以下「織物A」)。
この織物Aに対し、裏基材2として、厚み50μmのPETフィルム(以下「フィルム」)を用いたもの(比較例A1)、ニードルパンチ法による、目付130g/m2 、厚み2mmでポリエステル繊維の不織布(以下「ニーパン130」)を用いたもの(実施例A1−1)、スパンボンド法による、目付100g/m2 、厚み1mmでポリエステル繊維の不織布(以下「スパンボンド」)を用いたもの(実施例A1−2)、ニードルパンチ法による、目付100g/m2 、厚み2mmでポリエステル繊維の不織布(以下「ニーパン100薄」)を用いたもの(実施例A1−3)によるシート材をそれぞれ得た。
尚、上述した比較例A1、実施例A1−1〜実施例A1−3における中層材5には、ニードルパンチ法による、目付100g/m2 、厚み8mmでポリエステル繊維の不織布(以下「ニーパン100厚」)を1枚用いた。
更に、試験Aでは、表面材3として、上記織物Aの裏面に、ウレタンラミ、つまり、シート状で厚さ3mmのウレタン発泡体(つまり、表面補材12)をフレームラミネートにより貼り付けたもの(以下「織物Aラミ」)を用い、裏基材2として、フィルムを用いたもの(比較例A2)、ニーパン130を用いたもの(実施例A2−1)、スパンボンドを用いたもの(実施例A2−2)、ニーパン100薄を用いたもの(実施例A2−3)によるシート材をそれぞれ得た。
尚、上述の比較例A2、実施例A2−1〜実施例A2−3における中層材5には、上記ニーパン130の不織布を2層重ねた状態で超音波キルトにより平面視で略格子状に固着させたものを用いた。
この加飾部6(連続した複数の孔11)は、シート材1の周縁1c(積層体4の周縁4c)から303mm間隔で、略格子状を成している。この略格子状の加飾部6は、シート材1の周縁1cまで設けられている(つまり、図6中の加飾部6の如く、周縁1cからの所定距離Lがゼロ(0)となっている)。
尚、比較例A1、A2、実施例A1−1〜実施例A2−3(及び後述する比較例B1、B2、実施例B1−1〜実施例B2−3)は、ロールに巻回された長尺状の裏基材2、表面材3、中層材5等の各層をそれぞれに所定のテンションをかけつつ(所定張力下で)巻き出し、巻き出した各層を積層させた状態で、シート材の長辺が巻き出し方向に沿う向きに超音波ミシンの押し切りによって裁断され、超音波ミシンによって加飾されるライン生産により、得られている。
これら比較例A1、A2、実施例A1−1〜実施例A2−3において、表面材3の経方向・緯方向の3%伸長時応力Ff (織物Aラミでは、表面材3と表面補材12を合わせたものの経方向・緯方向の3%伸長時応力Ff )と、裏基材2の各素材ごとの3%伸長時応力Fb を、図7と、以下の表1で示し、更に、表1では、表面材3、裏基材2の3%伸長時応力Ff 、Fb の大小、反りの具合、シート材の状態を示す。
しかし、実施例A1−実施例1〜A2−3のように、表面材3における緯方向・経方向両方の3%伸長時応力Ff が、裏基材2の3%伸長時応力Fb より大きい場合には、シート材としての反りが発生しない。
更に、ウレタンラミ(表面補材12)が、表面材3の表面3a(シート材1の最表面1a)における皺を抑制している(仮に、平面置きをした際の圧縮特性に寄与する)。
又、ウレタンラミは、織物Aに対する緯方向・経方向の3%伸長時応力Ff (伸縮特性)には、ほぼ影響を与えていないこともわかる。
試験Bにおける試験Aとの違いは、表面材3が異なる点である。
試験Bにおいて、表面材3としての織物は、紋織であって、経糸として、総繊度84dtexのポリエステルマルチフィラメント糸を使用し、緯糸には、総繊度167dtexのポリエステルマルチフィラメント糸と、綿番手30番双糸のポリエステル紡績糸(スパン糸)を使用し、経糸密度が687本/10cm、緯糸密度が483本/10cmで、目付が310g/m2 である(以下「織物B」)。
この表面材3の織物Bに対し、裏基材2として、フィルムを用いた比較例B1、ニーパン130を用いた実施例B1−1、スパンボンドを用いた実施例B1−2、ニーパン100薄を用いた実施例B1−3のシート材をそれぞれ得た。
尚、上述の比較例B1、実施例B1−1〜実施例B1−3における中層材5には、上記ニーパン100厚を1枚用いた。
更に、試験Bでも、上記織物Bの裏面に、シート状で厚さ3mmのウレタンラミをした(つまり、表面補材12を貼り付けた)もの(以下「織物Bラミ」)を用い、裏基材2に、フィルムを用いた比較例B2、ニーパン130を用いた実施例B2−1、スパンボンドを用いた実施例B2−2、ニーパン100薄を用いた実施例B2−3のシート材もそれぞれ得た。
尚、上述の比較例B2、実施例B2−1〜実施例B2−3における中層材5には、上記ニーパン130の不織布を2層重ねた状態で超音波キルトにより平面視で略格子状に固着させたものを用いた。
これら比較例B1、B2、実施例B1−1〜実施例B2−3において、表面材3の経方向・緯方向の3%伸長時応力Ff (織物Bラミでは、表面材3と表面補材12を合わせたものの経方向・緯方向の3%伸長時応力Ff )と、裏基材2の各素材ごとの3%伸長時応力Fb を、図7と、以下の表2で示し、更に、表2では、表面材3、裏基材2の3%伸長時応力Ff 、Fb の大小、反りの具合、シート材の状態を示す。
しかし、実施例B1−1〜B2−3のように、表面材3における緯方向・経方向のうち、少なくとも何れの3%伸長時応力Ff が、裏基材2の3%伸長時応力Fb より大きい場合には、表面材3の素材の相違に拠らず、シート材としての反りが発生しない。
尚、実施例B1−2と実施例B2−2では、表面材3における緯方向・経方向のうち何れか(緯方向)の3%伸長時応力Ff が、裏基材2の3%伸長時応力Fb より大きくなっている。
一方、実施例B1−1、実施例B1−3、実施例B2−1、実施例B2−3では、表面材3における緯方向・経方向の3%伸長時応力Ff うちの両方が、裏基材2の3%伸長時応力Fb より大きくなっており、実施例B1−2と実施例B2−2より、ツノが飛び出る頻度を抑えることが出来、更に好ましい。
又、試験A、Bにおいて、裏基材2が、ニーパン130やニーパン100薄である(つまり1枚当たりの3%伸長時応力Fb が「8.6N/5cm」や「16.1N/5cm」である)際に、裏基補材14として、同じ素材のニーパン130やニーパン100薄を1、2枚、裏基材2に固着させたとしても、裏基材2と裏基補材14を合わせたものの3%伸長時応力Fb は、2倍の「17.2N/5cm」や「32.2N/5cm」や、3倍の「25.8N/5cm」や「48.3N/5cm」にしかならず、これらFb の値より、表面材3(又は表面材3と表面補材12を合わせたもの)における3%伸長時応力Ff の方が大きければ、シート材の反りを抑えられる。
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。シート材1の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
裏基材2が表面材3や中層材5を支えるのであれば、シート材1(積層体4)において、最も下面(最裏面)1bに位置することは必須ではなく、この裏基材2の裏面2b側に、更に、ポリエチレン樹脂等で樹脂コーティング等や、シート状物の貼付が施されていても良い。
又、表面材3も、意匠性(デザイン性)を発揮させるためであれば、シート材1の最も上面(最表面)1aに位置することは必須ではなく、表面材3の表面3a側を、レース地などの間隙の多いシート状物や樹脂コーティング等で、更に覆っても構わない。
上述のように、裏基材2の裏面2b側にコーティング等がされたり、表面材3の表面3a側がシート状物等で覆われている場合、第4実施形態で示した如く、表面下材(表面補材)12や、裏基上材(裏基補材)14を備えている場合の3%伸長時応力Ff 、Fb について、以下に述べる。
本発明における表面材3の3%伸長時応力Ff とは、表面材3のみの3%伸長時応力を含むことは勿論、表面材3と表面下材(表面補材)12を合わせたものの3%伸長時応力と、表面材3とその表面3a側を覆うシート状物等を合わせたものの3%伸長時応力と、表面材3とその表面3a側を覆うシート状物等と表面下材(表面補材)12を合わせたものの3%伸長時応力も含む。
一方、本発明における裏基材2の3%伸長時応力Fb とは、裏基材2のみの3%伸長時応力を含むことは勿論、裏基材2と裏基上材(裏基補材)14を合わせたものの3%伸長時応力と、裏基材2とその裏面2b側のコーティング等を合わせたものの3%伸長時応力と、裏基材2とその裏面2b側のコーティング等と裏基上材(裏基補材)14を合わせたものの3%伸長時応力も含む。
従って、本発明では、表面材3のみの3%伸長時応力と、表面材3と表面補材12を合わせたものの3%伸長時応力と、表面材3とその表面3a側を覆うシート状物等を合わせたものの3%伸長時応力と、表面材3とその表面3a側を覆うシート状物等と表面下材(表面補材)12を合わせたものの3%伸長時応力の少なくとも何れか1つの応力Ff が、裏基材2のみの3%伸長時応力と、裏基材2と裏基上材(裏基補材)14を合わせたものの3%伸長時応力と、裏基材2とその裏面2b側のコーティング等を合わせたものの3%伸長時応力と、裏基材2とその裏面2b側のコーティング等と裏基上材(裏基補材)14を合わせたものの3%伸長時応力の少なくとも何れか1つの応力Fb より大きければ良い。
尚、上記3%伸長時応力Ff 、Fb の大小関係の判断は、これら表面下材(表面補材)12、表面材3の表面3a側を覆うシート状物等、裏基上材(裏基補材)14、裏基材2の裏面2b側のコーティング等の数(層数)は問わず、シート材1において、最表面1a側と最裏面1b側に未接着部8などにより分けられるものや、表面材3や裏基材2それぞれに全面接着や固着されているものにおける表面材3の3%伸長時応力Ff と裏基材2の3%伸長時応力Fb であっても、当て嵌まる。
又、シート材1としての3%伸長時応力を測定したとすれば、それぞれの方向(縦(経)方向・横(緯)方向・斜め(バイアス)方向等)において、当該方向における表面材3の3%伸長時応力Ff と裏基材2の3%伸長時応力Fb を合算したものとなる。従って、Ff 、Fb それぞれの値は、シート材1(積層体4)として積層された裏基材2、表面材3等を剥がして測定したものであっても良く、剥がした裏基材2、表面材3との間における何れかの方向で、「Ff >Fb 」が成り立っていれば良い。
このような刳り抜き・切り欠きは、加飾部6であると共に、シート材1を刳り抜いた縁(刳り抜き縁)や、切り欠いた縁(切り欠き縁)は、シート材1の周縁1c(積層体4の周縁4c)であるとも言え、この場合、刳り抜き縁(周縁4c)等から外方側へ所定距離Lまでの範囲に、未加飾部7を設けても良い。
又、加飾部6自体を設けていなくとも良い。
更に、加飾部6は、孔11ではなく、所定深さの溝(有底状の溝)としてもよく、この溝における平面視形状(溝のパターン)も、略格子状や、略円形状、略楕円形状、略三角形、略六角形状等の多角形状、略波線状、ハニカム状などであっても良く、これらが単独又は組み合わさって、それぞれが連続したり、互いに重なったりしても良い。
尚、加飾部6を全く設けない場合、シート材1(積層体4)全体が未加飾部7となる。
裏基材2と表面材3は、積層体4の周縁4cや、加飾部6の周辺(孔11の孔周部11a等)で互いに接着されているとされたが、裏基材2と表面材3は、積層体4の周縁4c及び加飾部6の周辺以外の何れか一部で接着していても良く、逆に、裏基材2と表面材3の互いに向い合う面が、全部接着されていても良い。
又、裏基材2、表面材3、中層材5のうち少なくとも何れか2つが、少なくとも一部で 更に、加飾部6を、有底状の孔11や溝とした際には、加飾部6であっても、各層の裏基材2、表面材3、中層材5のうち、互いに接着されていない層があっても良く、このように未接着となる部分が層間で生じるように(又は、シート材1を、超音波ミシンや高周波ウェルダー等で押しきってしまわない程度に)、有底状の孔11や溝を浅めに設定しても構わない。
又、この他の各層2、3、5等に用いる素材の組合せとして、表面材3及び表面補材12には、上記織物Bの裏面にシート状で厚さ7mmのウレタンラミをしたものを用い、中層材5は用いず、裏基材2には、ニードルパンチ法による、目付150g/m2 、厚み2mmでポリエステル繊維(詳しくは、PET)の不織布を用いても良く、このとき、裏基材2の裏面2b(シート材1の裏面1b)に、ポリエチレン樹脂で厚み50μmの樹脂コーティングを施しても構わない。
2 裏基材
2a 裏基材の表面
2b 裏基材の裏面
3 表面材
3a 表面材の表面
3b 表面材の裏面
4 積層体
4c 積層体の周縁
5 中層材
6 加飾部
7 未加飾部
Ff 表面材の3%伸長時応力
Fb 裏基材の3%伸長時応力
L 所定距離
Claims (4)
- シート状の裏基材の一部又は全部に少なくともシート状の表面材が接着されて2層以上を成す積層体を有し、前記表面材の3%伸長時応力(単位:N/5cm)が、前記裏基材の3%伸長時応力(単位:N/5cm)より大きいことを特徴とするシート材。
- 前記積層体は、前記裏基材と前記表面材の間に1つ以上のシート状の中層材を備えて3層以上を成し、前記裏基材と前記表面材と前記中層材のうち少なくとも何れか2つの層間が、少なくとも一部で未接着であることを特徴とする請求項1に記載のシート材。
- 前記積層体は、前記積層体が溶融により加飾された加飾部と、前記加飾がされていない未加飾部を備え、前記未加飾部が、少なくとも前記積層体の周縁から所定距離までの範囲に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート材。
- 前記表面材の表面又は裏面に沿う何れの方向の3%伸長時応力であっても、前記裏基材の表面又は裏面に沿う何れの方向の3%伸長時応力より大きいことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のシート材。
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