JP2014208574A - 水硬性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化体が必要な強度に到達するまでの時間を短縮することができる水硬性組成物を提供する。
【解決手段】グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、グリセリンの含有量が水硬性粉体100質量部に対し0.040質量部以上、0.280質量部以下であり、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩の含有量が水硬性粉体100質量部に対し0.010質量部以上、0.420質量部以下である、水硬性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、水硬性組成物、水硬性組成物用添加剤組成物、及び水硬性組成物の硬化体の製造方法に関する。
コンクリートは、セメント等の水硬性粉体と水とを混練した後、1日程度である程度の強度を発現することが要求される場合がある。例えば、コンクリート二次製品は、セメント、骨材、水、及び分散剤等の材料を混練し、様々な型枠に打設し、養生工程、すなわち、硬化工程を経て製品化される。型枠は同じものを何度も使用するので、初期材齢に高い強度を発現することは、生産性、即ち型枠の回転率の向上の観点から重要である。そのために、(1)セメントとして早強セメントを使用する、(2)混和剤として各種ポリカルボン酸系化合物を使用してセメント組成物中の水量を減少させる、(3)養生方法として蒸気養生を行う、などの対策が講じられている。
コンクリート製品の製造では、接水、すなわち、水硬性粉体と水が最初に接触した時点から脱型するまで、現在一般的に16〜24時間程度で行われており、脱型の際の硬化強度を確保するために、蒸気等による加熱養生が行われている。一方、今日では、環境に対する意識の向上から、養生工程のエネルギーの削減が望まれる。加熱養生に伴うエネルギーの削減、すなわち加熱養生の温度や時間の低減、さらには加熱養生を行わない方法が切望されている。
特許文献1には、加熱養生のエネルギーを削減しても初期強度の高い硬化体を得ることを目的として、グリセリンと、アルカリ金属硫酸塩及びアルカリ金属チオ硫酸塩から選ばれる1種以上の無機塩Aと、ナフタレン系分散剤と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、特定のグリセリンと無機塩Aのモル比を有する水硬性組成物が提案されている。
また、特許文献2には、アルデヒドおよび亜硫酸水素塩またはアルデヒドと亜硫酸水素塩との付加化合物ならびに水溶性チオシアン酸塩を含むセメント組成物が硬化後の強度を増加させることを開示している。
特開2011−162400号公報 特開昭61−117142号公報
本発明の課題は、硬化体が必要な強度に到達するまでの時間を短縮することができる水硬性組成物を提供することである。例えば、熱を加える養生をすることなしに、硬化体が必要な強度に到達するまでの時間を短縮することができる水硬性組成物を提供することである。
本発明は、グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、グリセリンの含有量が水硬性粉体100質量部に対し0.040質量部以上、0.280質量部以下であり、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩の含有量が水硬性粉体100質量部に対し0.010質量部以上、0.420質量部以下である、水硬性組成物に関する。
また、本発明は、グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤を含有し、グリセリン/ヒドロキシメタンスルフォン酸の質量比が、10/90以上、97/3以下である、水硬性組成物用添加剤組成物に関する。
また、本発明は、水硬性粉体に、骨材と、水と、水硬性粉体100質量部に対し0.040質量部以上、0.280質量部以下のグリセリンと、水硬性粉体100質量部に対し0.010質量部以上、0.420質量部以下のヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤とを添加し、水硬性組成物を調製する工程と、得られた水硬性組成物を型枠に充填し硬化させる工程と、硬化した水硬性組成物を型枠から脱型して水硬性組成物の硬化体を得る工程とを有する水硬性組成物の硬化体の製造方法に関する。
本発明の水硬性組成物は、硬化体が必要な強度に到達するまでの時間を短縮することができる。
本発明の水硬性組成物は、グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、特定量のグリセリンとヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩を含有することに特徴を有し、硬化体が必要な強度に到達するまでの時間を短縮することができるという効果を奏するものである。
このような効果を発現する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
水硬性組成物の初期硬化において、水硬性粉体中のエーライト、alite、すなわちC3Sは水和により結晶化することにより強度が発現する。また、カルシウムアルミノフェライト、calcium-aluminoferrite、すなわち、C4AFは水硬性粉体に含まれている石膏とともに水和し結晶性のエトリンガイト、Ettringiteを生成して、強度が発現する。さらに系中のカルシウムが消費されるとエトリンガイトがモノサルフェート、monosulphateとなって、さらに強度が発現する。
ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩はC3Sの水和を促進することにより、強度を向上すると考えられる。一方、グリセリンはC4AFがエトリンガイトになることを促進すると考えられる。
本発明のように特定量のグリセリンとヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩を水硬性組成物の調製の際に併用すると、グリセリンにより生成が促進されたエトリンガイトを、更にヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩がモノサルフェートになることを促進すると考えられる。その結果、グリセリンとヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩のそれぞれの強度向上効果が相乗的に発現し強度向上が加速され、硬化体が必要な硬度に到達するまでの時間を短縮することができると考えられる。
<水硬性組成物>
本発明の水硬性組成物は、グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有する。
グリセリンは、市販品を用いることができる。グリセリンとしては、市販品の精製グリセリン、例えば、ヤシ由来の油脂のエステル交換で得られたグリセリンを用いることができる。水硬性組成物の硬化体が必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、精製グリセリンが好ましい。
本発明の水硬性組成物中、グリセリンの含有量は、水硬性粉体100質量部に対し、0.040質量部以上、0.280質量部以下であり、水硬性組成物の硬化体が必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、好ましくは0.050質量部以上、より好ましくは0.100質量部以上であり、そして、好ましくは0.250質量部以下、より好ましくは0.230質量部以下、更に好ましくは0.200質量部以下である。
ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩は、市販品を用いることができる。塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩が挙げられ、水硬性組成物の硬化体が必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、アルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩としてはナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられ、アルカリ土類金属塩としてはカルシウム塩が挙げられる。
本発明の水硬性組成物中、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩の含有量は、水硬性粉体100質量部に対し、0.010質量部以上、0.420質量部以下であり、水硬性組成物の硬化体が必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、好ましくは0.030質量部以上、より好ましくは0.050質量部以上であり、そして、好ましくは0.410質量部以下、より好ましくは0.200質量部以下、更に好ましくは0.100質量部以下である。
本発明の水硬性組成物中、グリセリンとヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩の合計の含有量は、水硬性組成物の硬化体が必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、水硬性粉体100質量部に対し、好ましくは0.050質量部以上、より好ましくは0.100質量部以上、更に好ましくは0.130質量部以上、より更に好ましくは0.180質量部以上、より更に好ましくは0.230質量部以上、そして、好ましくは0.650質量部以下、より好ましくは0.500質量部以下、更に好ましくは0.400質量部以下、より更に好ましくは0.330質量部以下、より更に好ましくは0.280質量部以下である。
本発明の水硬性組成物において、グリセリンとヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩の質量比は、水硬性組成物の硬化体が必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、グリセリン/ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩で、好ましくは10/90以上、より好ましくは30/70以上、更に好ましくは60/40以上、より更に好ましくは65/35以上であり、そして、好ましくは97/3以下、より好ましくは95.5/4.5以下、更に好ましくは90/10以下、より更に好ましくは85/15以下である。
分散剤は、ナフタレン系重合体、メラミン系重合体、フェノール系重合体、リグニン系重合体、ポリカルボン酸系共重合体等が挙げられる。水硬性組成物の硬化体が必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、ナフタレン系重合体及びポリカルボン酸系共重合体から選ばれる分散剤が好ましく、ナフタレン系重合体がより好ましい。分散剤は、水硬性粉体用分散剤である。
ナフタレン系重合体としては、ナフタレンスルフォン酸ホルムアルデヒド縮合物及びその塩、例えば花王株式会社製マイテイ150を用いることができる。メラミン系重合体としてはメラミンスルフォン酸ホルムアルデヒド縮合物及びその塩、例えば花王株式会社製マイテイ150−V2を用いることができる。フェノール系重合体としては、フェノールスルフォン酸ホルムアルデヒド縮合物及びその塩、例えば、特開昭49−104919号公報に記載の化合物等を用いることができる。リグニン系重合体としてはリグニンスルフォン酸及びその塩、例えば、ボレガード社製ウルトラジンNA、Borregaard社製Ultrazine NA、日本製紙ケミカル株式会社製サンエキス、SAN X、バニレックス、VANILLEX、パールレックス、PEARLLEX等を用いることができる。
ポリカルボン酸系共重合体としては、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体及びその塩、例えば特開平8−12397号公報に記載の化合物等を用いることができる。ポリカルボン酸系共重合体としては、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体及びその塩を用いることができる。ポリカルボン酸系共重合体としては、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールとマレイン酸等のジカルボン酸との共重合体及びその塩等を用いることができる。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるカルボン酸の意味である。
ポリカルボン酸系共重合体としては、下記の一般式(1)で表される単量体(1)と下記の一般式(2)で表される単量体(2)とを重合して得られる共重合体を用いることができる。下記の一般式(1)で表される単量体(1)と下記の一般式(2)で表される単量体(2)とを重合して得られる共重合体を、以下、ポリカルボン酸系共重合体(I)という。
Figure 2014208574
〔式中、
1、R2:水素原子、又はメチル基
l:0以上2以下の数
m:0又は1の数
AO:炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基
n:AOの平均付加モル数であり、5以上150以下の数
3:水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基
を表す。〕
Figure 2014208574
〔式中、
4、R5、R6:水素原子、メチル基、又は(CH2m1COOM2
1、M2:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム、アルキルアンモニウム、又は置換アルキルアンモニウム
m1:0以上2以下の数
を表す。なお、(CH2m1COOM2はCOOM1と無水物を形成していてもよい。〕
一般式(1)中、AOは、水硬性組成物の流動性の観点から、好ましくは炭素数2又は3、より好ましくは炭素数2のアルキレンオキシ基、すなわち、オキシエチレン基である。
nは、水硬性組成物の24時間後の強度向上の観点から、好ましくは9以上、更に20以上、より更に50以上、より更に70以上の数である。nは、水硬性組成物の初期流動性の観点から、好ましくは150以下、更に130以下の数である。
mが0の場合は、lは好ましくは1又は2である。mが1の場合は、lは好ましくは0である。共重合体の重合時の重合性の観点から、mは1が好ましい。mが0の場合は、単量体の製造の容易性の観点からR3は水素原子が好ましい。mが1の場合は、単量体の製造の容易性の観点からR3は炭素数1以上4以下のアルキル基が好ましく、さらに水溶性の観点からメチル基がより好ましい。
単量体(1)として、例えば、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル及びアルケニルアルコールにアルキレンオキシドが付加したエーテル等を用いることができる。単量体(1)は、共重合体の重合時の重合性の観点から、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましい。
ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステルとして、片末端封鎖されたアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル等を用いることができる。具体的には、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート及びエトキシポリエチレングリコールメタクリレート等の1種以上を用いることができる。
また、アルケニルアルコールにアルキレンオキシドが付加したエーテルとして、アリルアルコールのエチレンオキサイド付加物等を用いることができる。具体的には、メタリルアルコールのエチレンオキサイド付加物及び3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキサイド付加物等を用いることができる。
単量体(2)としては、アクリル酸又はその塩、メタクリル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、無水マレイン酸等から選ばれる1種以上を用いることができる。単量体(2)は、単量体(1)のmが1の場合は、共重合体の重合時の重合性の観点から、メタクリル酸又はその塩が好ましく、単量体(1)のmが0の場合は、共重合体の重合時の重合性の観点から、マレイン酸又はその塩、無水マレイン酸が好ましい。
本発明の水硬性組成物中、分散剤の含有量は、水硬性組成物の流動性の向上と硬化遅延を抑制する観点から、水硬性粉体100質量部に対して、0.005質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上が更に好ましく、そして、2.5質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましく、0.8質量部以下が更に好ましい。
水硬性粉体は、水と混合することで硬化する粉体であり、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)が挙げられる。これらの中でも、水硬性組成物の硬化体が必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、普通ポルトランドセメント、耐硫酸性ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントから選ばれるセメントが好ましく、普通ポルトランドセメントがより好ましい。
また、水硬性粉体には、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等が含まれてよく、また、非水硬性の石灰石微粉末等が含まれていてよい。セメントと混合されたシリカヒュームセメントや高炉セメントを用いてもよい。
骨材は、細骨材や粗骨材等が挙げられ、細骨材は山砂、陸砂、川砂、砕砂が好ましく、粗骨材は山砂利、陸砂利、川砂利、砕石が好ましい。用途によっては、軽量骨材を使用してもよい。なお、骨材の用語は、「コンクリート総覧」(1998年6月10日、技術書院発行)による。
骨材は、コンクリートやモルタルなどの調製に用いられる通常の範囲で用いることができる。水硬性組成物がコンクリートの場合、粗骨材の使用量は、水硬性組成物の強度の発現とセメント等の水硬性粉体の使用量を低減し、型枠等への充填性を向上する観点から、嵩容積50%以上が好ましく、55%以上がより好ましく、60%以上が更に好ましく、そして、100%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、80%以下が更に好ましい。また、水硬性組成物がコンクリートの場合、細骨材の使用量は、型枠等への充填性を向上する観点から、500kg/m3以上が好ましく、600kg/m3以上がより好ましく、700kg/m3以上が更に好ましく、そして、1000kg/m3以下が好ましく、900kg/m3以下がより好ましい。水硬性組成物がモルタルの場合、細骨材の使用量は、800kg/m3以上が好ましく、900kg/m3以上がより好ましく、1000kg/m3以上が更に好ましく、そして、2000kg/m3以下が好ましく、1800kg/m3以下がより好ましく、1700kg/m3以下が更に好ましい。
水硬性組成物中の水の含有量は、水硬性組成物の硬化体が必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、水硬性粉体100質量部に対し、好ましくは65質量部以下、より好ましくは60質量部以下、55質量部以下であり、そして、水硬性組成物の混練のしやすさ、打設時の型枠への充填性の向上等の作業性を向上する観点から、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。
水硬性組成物は、グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤と、水硬性粉体と、骨材と、水とを混合することにより調製することができる。詳細な調製方法については、後述の硬化体の製造方法で説明する。
水硬性組成物は、本発明の効果に影響ない範囲で、更にその他の成分を含有することもできる。例えば、AE剤、遅延剤、起泡剤、増粘剤、発泡剤、防水剤、流動化剤、消泡剤等が挙げられる。
本発明の水硬性組成物は、コンクリート、モルタルであってよい。本発明の水硬性組成物は、セルフレベリング用、耐火物用、プラスター用、軽量コンクリート用、重量コンクリート用、AE用、補修用、プレパックド用、prepacked用、トレーミー用、tremie用、地盤改良用、グラウト用、grout用、寒中用等の何れの分野においても有用である。水硬性組成物の硬化体が必要な強度に達するまでの時間を短縮でき、早期に型枠から脱型が可能になる観点から、コンクリート振動製品や遠心成形品等のコンクリート製品に用いることが好ましい。
<水硬性組成物用添加剤組成物>
本発明の水硬性組成物用添加剤組成物は、グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤を含有し、グリセリン/ヒドロキシメタンスルフォン酸の質量比が、10/90〜97/3である。グリセリンとヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と分散剤の詳細は、それぞれ前述の水硬性組成物と同様である。本発明の水硬性組成物用添加剤組成物は、本発明の水硬性組成物に好適に用いられる。
水硬性組成物用添加剤組成物は、水を含有する液体組成物、例えば水溶液であってよい。水溶液等の水を含有する液体組成物とする場合、水硬性組成物用添加剤組成物中のグリセリンとヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と分散剤の合計の含有量は、水硬性組成物の硬化体が必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、水硬性組成物用添加剤組成物の保存安定性の観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。水を含有する液体組成物である場合、水硬性組成物用添加剤組成物中の水の含有量は、水硬性組成物用添加剤組成物の保存安定性の観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、そして、水硬性組成物の硬化体が必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
水硬性組成物用添加剤組成物には、本発明の効果に影響ない範囲で、他の成分を含有することもできる。
水硬性組成物用添加剤組成物は、所定量のグリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤を混合することにより調製することができる。水を含有する液体組成物とする場合は、更に水を混合することにより調製することができる。
水硬性組成物用添加剤組成物は、水硬性粉体100質量部に対し、水硬性組成物の硬化体が必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.10質量部以上、更に好ましくは0.13質量部以上、より更に好ましくは0.18質量部以上、より更に好ましくは0.23質量部以上、そして、好ましくは0.50質量部以下、より好ましくは0.40質量部以下、更に好ましくは0.33質量部以下、より更に好ましくは0.28質量部以下、添加して用いる。
グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤を含有する水硬性組成物用添加剤組成物は、水硬性組成物硬化体の強度を向上するために使用される。
<水硬性組成物の硬化体の製造方法>
本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法は、水硬性粉体に、骨材と、水と、水硬性粉体100質量部に対し0.040質量部以上、0.280質量部以下のグリセリンと、水硬性粉体100質量部に対し0.010質量部以上、0.420質量部以下のヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩を添加し、水硬性組成物を調製する工程と、得られた水硬性組成物を型枠に充填し硬化させる工程と、硬化した水硬性組成物を型枠から脱型して水硬性組成物の硬化体を得る工程とを有する。なお、本発明により、水硬性粉体に、骨材と、水と、水硬性粉体100質量部に対し0.040質量部以上、0.280質量部以下のグリセリンと、水硬性粉体100質量部に対し0.010質量部以上、0.420質量部以下のヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤とを添加し、水硬性組成物を調製する工程を有する、水硬性組成物の製造方法もまた提供される。
水硬性組成物を調製する工程では、水硬性粉体に、骨材と、水と、グリセリンとヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤とを添加し混合することにより、水硬性組成物が得られる。安定した物性を有する水硬性組成物を得る観点から、グリセリンとヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩とを予め混合した添加剤や、グリセリンとヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤とを含有する前記水硬性組成物用添加剤組成物を用いることが好ましい。
グリセリン、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩、分散剤、水硬性粉体、骨材及び水を円滑に混合する観点から、グリセリン、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と水と分散剤とを予め混合し、水硬性粉体と骨材に混合することが好ましい。また、水硬性粉体と骨材とを予め混合することが好ましい。水硬性粉体、骨材及び水との混合は、モルタルミキサー、強制二軸ミキサー等のミキサーを用いて行うことができる。水に、グリセリンとヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と分散剤を添加した混合物を用いることが好ましい。また、好ましくは1分間以上、より好ましくは2分間以上、そして、好ましくは5分間以下、より好ましくは3分間以下混合する。水硬性組成物の調製にあたっては、水硬性組成物で説明した材料や薬剤及びそれらの量を用いることができる。
水硬性組成物を型枠に充填し硬化させる工程では、調製後の未硬化の水硬性組成物を型枠に充填し養生を行い硬化させる。型枠として、建築物の型枠、コンクリート製品用の型枠等が挙げられる。型枠への充填方法として、ミキサーから直接投入する方法、水硬性組成物をポンプで圧送して型枠に導入する方法等が挙げられる。型枠に充填する際及び充填後には、充填性を向上させる観点から、振動や遠心力を付加しても良い。
本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法では、水硬性組成物の養生の際、硬化を促進するために蒸気加熱等の追加的なエネルギーを必要とせず、加熱養生をしないでコンクリート製品等の水硬性組成物の硬化体を製造することが可能となる。ここで、加熱養生は、50℃以上100℃以下の温度で水硬性組成物を保持して行うものとすることができ、本発明では、この条件での加熱養生を行なわずに実施でき、追加的なエネルギーを削減する観点から、蒸気養生を含まないことが好ましい。本発明では、型枠に充填した水硬性組成物の養生温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上が好ましく、そして、50℃未満が好ましく、40℃以下がより好ましく、30℃以下が更に好ましい。養生として室温での気中養生などを行うことができる。
オートクレーブ養生、蒸気等の加熱養生をする場合でも、エネルギーを削減する観点から、加熱養生の時間は短いことが好ましく、具体的な養生条件として、水硬性組成物が養生温度50℃以上100℃以下に保持される時間が1時間以下で行うことが好ましく、0.5時間以下で行うことがより好ましい。また、この加熱養生の時間は0時間以上であるが、0時間であってもよい。つまり前記温度条件の加熱養生を行わなくても良い。すなわち、本発明は、型枠に充填した水硬性組成物の養生を、養生温度50℃以上100℃以下に保持される時間が0時間以上1時間以下である養生条件で行うことができる。
硬化した水硬性組成物を型枠から脱型して水硬性組成物の硬化体を得る工程では、型枠から脱型して水硬性組成物の硬化体を得る。得られた硬化体は、水硬性組成物で述べた用途に用いることができる。
本発明では、水硬性組成物の調製で水硬性粉体に水を接触させてから脱型するまでの時間は、脱型に必要な強度を得る観点と製造サイクルを向上する観点から、4時間以上48時間以下が好ましい。本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法は、水硬性組成物の硬化が促進されるため、水硬性組成物の調製から脱型するまでの時間を短縮することも可能である。
本明細書において、水硬性組成物の項で説明した事項は、本発明の硬化体の製造方法にも適用することができる。その場合、水硬性組成物の項におけるグリセリン、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩、分散剤、水のそれぞれの「含有量」は「配合量」ないし「添加量」と読み替えることができる。
本発明の態様を以下に例示する。
<1> グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、グリセリンの含有量が水硬性粉体100質量部に対し0.040質量部以上、0.280質量部以下であり、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩の含有量が水硬性粉体100質量部に対し0.010質量部以上、0.420質量部以下である、水硬性組成物。
<2> グリセリンの含有量が、水硬性粉体100質量部に対し、0.040質量部以上、好ましくは0.050質量部以上、より好ましくは0.100質量部以上、そして、0.280質量部以下、好ましくは0.250質量部以下、より好ましくは0.230質量部以下、更に好ましくは0.200質量部以下である、前記<1>記載の水硬性組成物。
<3> ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩の含有量が、水硬性粉体100質量部に対し、好ましくは0.030質量部以上、より好ましくは0.050質量部以上、そして、0.420質量部以下、好ましくは0.410質量部以下、より好ましくは0.200質量部以下、更に好ましくは0.100質量部以下である、前記<1>又は<2>記載の水硬性組成物。
<4> グリセリンとヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩の合計の含有量が、水硬性粉体100質量部に対し、好ましくは0.050質量部以上、より好ましくは0.100質量部以上、更に好ましくは0.130質量部以上、より更に好ましくは0.180質量部以上、より更に好ましくは0.230質量部以上、そして、好ましくは0.650質量部以下、より好ましくは0.500質量部以下、更に好ましくは0.400質量部以下、より更に好ましくは0.330質量部以下、より更に好ましくは0.280質量部以下である、前記<1>〜<3>の何れか記載の水硬性組成物。
<5> グリセリン/ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩の質量比が、好ましくは10/90以上、より好ましくは30/70以上、更に好ましくは60/40以上、より更に好ましくは65/35以上、そして、好ましくは97/3以下、より好ましくは95.5/4.5以下、更に好ましくは90/10以下、より更に好ましくは85/15以下である、前記<1>〜<4>の何れか記載の水硬性組成物。
<6> 分散剤が、ナフタレン系重合体及びポリカルボン酸系共重合体から選ばれる一種以上の分散剤である、好ましくはナフタレン系重合体である、前記<1>〜<5>の何れか記載の水硬性組成物。
<7> 水の含有量が、水硬性粉体100質量部に対し、好ましくは65質量部以下、より好ましくは60質量部以下、55質量部以下、そして、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である、前記<1>〜<6>の何れか記載の水硬性組成物。
<8> グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤を含有し、グリセリン/ヒドロキシメタンスルフォン酸の質量比が、10/90以上、好ましくは30/70以上、より好ましくは60/40以上、更に好ましくは65/35以上、そして、97/3以下、好ましくは95.5/4.5以下、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは85/15以下である、好ましくは前記<1>〜<7>の何れか記載の水硬性組成物に用いる、水硬性組成物用添加剤組成物。
<9> 水硬性粉体100質量部に対し、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.10質量部以上、更に好ましくは0.13質量部以上、より更に好ましくは0.18質量部以上、より更に好ましくは0.23質量部以上、そして、好ましくは0.50質量部以下、より好ましくは0.40質量部以下、更に好ましくは0.33質量部以下、より更に好ましくは0.28質量部以下の割合で添加して用いる、前記<8>記載の水硬性組成物用添加剤組成物。
<10> 水硬性粉体に、骨材と、水と、水硬性粉体100質量部に対し0.040質量部以上、好ましくは0.050質量部以上、より好ましくは0.100質量部以上、そして、0.280質量部以下、好ましくは0.250質量部以下、より好ましくは0.230質量部以下、更に好ましくは0.200質量部以下のグリセリンと、水硬性粉体100質量部に対し0.010質量部以上、好ましくは0.030質量部以上、より好ましくは0.050質量部以上、そして、0.420質量部以下、好ましくは0.410質量部以下、より好ましくは0.200質量部以下、更に好ましくは0.100質量部以下のヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤とを添加し、水硬性組成物を調製する工程と、得られた水硬性組成物を型枠に充填し硬化させる工程と、硬化した水硬性組成物を型枠から脱型して水硬性組成物の硬化体を得る工程とを有する水硬性組成物の硬化体の製造方法。
<11> 蒸気養生を含まない、前記<10>記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
<12> 分散剤が、ナフタレン系重合体及びポリカルボン酸系共重合体から選ばれる一種以上の分散剤である、好ましくはナフタレン系重合体である、前記<10>又は<11>に記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
<13> 水の添加量が、水硬性粉体100質量部に対し、20質量部以上65質量部以下である、前記<10>〜<12>の何れか記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
<14> 水硬性粉体に、骨材と、水と、水硬性粉体100質量部に対し0.040質量部以上、好ましくは0.050質量部以上、より好ましくは0.100質量部以上、そして、0.280質量部以下、好ましくは0.250質量部以下、より好ましくは0.230質量部以下、更に好ましくは0.200質量部以下グリセリンと、水硬性粉体100質量部に対し0.010質量部以上、好ましくは0.030質量部以上、より好ましくは0.050質量部以上、そして、0.420質量部以下、好ましくは0.410質量部以下、より好ましくは0.200質量部以下、更に好ましくは0.100質量部以下のヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤とを添加し、水硬性組成物を調製する工程を有する、水硬性組成物の製造方法。
<15> グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤を含有する水硬性組成物用添加剤組成物の、水硬性組成物硬化体の強度を向上するための使用。
<16> グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤を含有し、グリセリン/ヒドロキシメタンスルフォン酸の質量比が、10/90以上、好ましくは30/70以上、より好ましくは60/40以上、更に好ましくは65/35以上、そして 、97/3以下、好ましくは95.5/4.5以下、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは85/15以下である、水硬性組成物用添加剤組成物の、水硬性組成物硬化体の強度を向上するための使用。
評価に用いたグリセリン、ヒドロキシメタンスルフォン酸、分散剤、水硬性粉体、骨材及び水を下記に示す。
<グリセリン>
「精製グリセリン」(花王株式会社製)
<ヒドロキシメタンスルフォン酸ナトリウム>
試薬(東京化成株式会社製) 純度:97.0質量%以上
<分散剤(1)>
ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物〔マイテイ150、MIGHTY150(花王株式会社製)、固形分40質量%、表中の添加量は固形分換算の添加量〕
<分散剤(2)>
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート/メタクリル酸共重合体のナトリウム塩の水溶液〔一般式(1)において、R1が水素原子、R2がメチル基、lが0、mが1、AOがエチレンオキシ基、nが120、R3がメチル基である単量体(1)と、一般式(2)において、R4及びR5が共に水素原子、R6がメチル基、M1が水素原子である単量体(2)との共重合体のナトリウム塩の水溶液、単量体(1)/単量体(2)の質量比
は94/6、固形分40質量%、表中の添加量は固形分換算の添加量〕
<水硬性粉体>
セメント(C):普通ポルトランドセメント〔太平洋セメント株式会社製の普通ポルトランドセメント/住友大阪セメント株式会社製の普通ポルトランドセメント=1/1、質量比〕、密度3.16g/cm3
<骨材>
細骨材(S):城陽産、山砂、FM(粗粒率、Finess modulus)=2.67、密度2.56g/cm3
<水>
水道水(W)
<水硬性組成物用添加剤組成物の製造>
表2及び表3に示す添加量の比になるように、グリセリン、ヒドロキシメタンスルフォン酸ナトリウム、分散剤及び水を混合し、グリセリン、ヒドロキシメタンスルフォン酸ナトリウム及び分散剤の合計量が35質量%の水溶液である水硬性組成物用添加剤組成物を調製した。なお、以下、グリセリン及び/又はヒドロキシメタンスルフォン酸を、便宜的に「早強剤」として示す場合もある。
<水硬性組成物(モルタル)の製造>
水、水硬性粉体、骨材の配合比の異なる試験群1〜6の水硬性組成物(モルタル)を調製した。試験群1〜6における水硬性粉体、骨材、水の配合比は、表1に示す比に設定した。
モルタルミキサー、株式会社ダルトン社製、万能混合撹拌機、型式:5DM-03-γを用いて、各試験群において表1に示す所定量の水硬性粉体、骨材を投入し空練りを10秒行い、表2及び表3に示す添加量になるように水硬性組成物用添加剤組成物を含んだ練り水を加え、低速回転にて60秒、更に高速回転にて120秒間本混練りし、水硬性組成物を得た。
なお、分散剤の配合量は、水硬性組成物用添加剤組成物として分散剤のみを添加した水硬性組成物、即ち、比較例1−1、比較例2−1及び比較例3〜6の水硬性組成物のモルタルフロー値が180〜200mmの範囲、目標空気連行量2±1%となるように調整した。
また、フロー値は以下のように求めた。
(フロー試験)
調製した水硬性組成物を、JIS R 5201に基づき、直ちにフローコーン、flow coneに2層詰めし、フローコーン、flow coneを正しく上の方に取り去り、最大と認める方向と、これに直角な方向の長さを測定し、これらの平均値を算出した。尚、JIS R 5201記載の落下運動は行っていない。
<モルタル評価>
得られた水硬性組成物について、以下に示す試験法にしたがって、脱型時の圧縮強度を評価した。評価結果を表2、3に示す。
(1)硬化体の強度の評価
JIS A 1132に基づき、底面の直径が5cm、高さが10cmの円柱型プラスチックモールドの型枠に、二層詰め方式によりモルタルを充填し、20℃の室内にて大気中で養生を行い硬化させた。各モルタルそれぞれに対して型枠4個に充填した。モルタル調製から12時間後に2個の型枠、24時間後に2個の型枠の硬化したモルタルを型枠から脱型して硬化体を得た。そして、12時間後、24時間後、それぞれの硬化体について、JIS A 1108に基づいて硬化体の圧縮強度を測定し、2個の平均値を算出した。
(2)時間短縮効果の評価
得られた12時間後強度と24時間強度の比例計算より、脱型時に必要な圧縮強度の到達に必要な所要養生時間、すなわち、到達時間を算出した。脱型時に必要な圧縮強度は、以下、必要脱型強度ともいう。
また、同じ試験群で、早強剤を添加しない水硬性組成物の到達時間を100とした場合の、各水硬性組成物の到達時間の相対値である相対時間を求めた。早強剤を添加しない水硬性組成物は、比較例1−1、比較例2−1及び比較例3〜6の水硬性組成物である。相対時間の数値が小さいほど、必要脱型強度に到達する所要養生時間の短縮効果に優れることを意味する。
各試験群の早強剤を添加しない水硬性組成物の必要脱型強度及び到達時間を表1に示す。早強剤を添加しない水硬性組成物は、比較例1−1、比較例2−1及び比較例3〜6の水硬性組成物である。
比例計算について、比較例1−1の場合、12時間後の強度が22.3N/mm2、16時間後で33.1N/mm2、20時間後で42.9N/mm2、24時間後で53.4N/mm2であった。したがって、12時間から16時間までの強度の1時間当たりの増加量が2.7N/mm2/hr、16時間から20時間では2.5N/mm2/hr、20時間から24時間では2.6N/mm2/hrであり、時間と強度が比例関係に増加することがわかる。一般的に、モルタル硬化体においては、凝結が始まり強度を示すようになれば、一定強度までは、時間と強度の増加量には比例関係が成り立つといわれている。一定強度とは、例えばW/Cが25までのときは、60N/mm2程度である。本発明では、具体的には、到達時間は、12+{(必要脱型強度*−12時間強度)/[(24時間強度−12時間強度)/12]}の計算式により計算した。
*試験群1では40N/mm2
なお、必要脱型強度については、以下を想定して決定した。
試験群1、2:遠心成型の高強度パイル製品、脱型強度=40N/mm2
試験群3:振動製品の小物製品、必要脱型強度=8N/mm2
試験群4:振動製品の中物製品、必要脱型強度=10N/mm2
試験群5:振動製品の大物製品、必要脱型強度=15N/mm2
試験群6:遠心成型のパイル製品、必要脱型強度=40N/mm2
必要脱型強度は、脱型時の製品損傷の防止のためや、プレストレス製品、prestressed concreteでは変形防止のためや、吊り上げ運搬時の破損防止のために、経験的に上記が一般的と言われている。
Figure 2014208574
Figure 2014208574
*1 セメント100質量部に対する質量部
表2から明らかなように、所定量のグリセリンとヒドロキシメタンスルフォン酸塩を含有する実施例1−1〜1−19、実施例2−1及び実施例2−2の水硬性組成物は、硬化速度が速く、必要脱型強度に到達する時間が短縮された。
Figure 2014208574
*1 セメント100質量部に対する質量部
水/水硬性粉体の質量比を変えても、実施例3〜6の水硬性組成物は、硬化速度が速く、必要脱型強度に到達する時間が短縮された。

Claims (14)

  1. グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、グリセリンの含有量が水硬性粉体100質量部に対し0.040質量部以上、0.280質量部以下であり、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩の含有量が水硬性粉体100質量部に対し0.010質量部以上、0.420質量部以下である、水硬性組成物。
  2. グリセリン/ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩の質量比が、10/90以上、97/3以下である、請求項1記載の水硬性組成物。
  3. グリセリンとヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩の合計の含有量が、水硬性粉体100質量部に対し、0.050質量部以上、0.650質量部以下である、請求項1又は2記載の水硬性組成物。
  4. 分散剤が、ナフタレン系重合体及びポリカルボン酸系共重合体から選ばれる一種以上の分散剤である、請求項1〜3の何れか1項記載の水硬性組成物。
  5. 分散剤が、ナフタレン系重合体である、請求項1〜4の何れか1項記載の水硬性組成物。
  6. 水の含有量が、水硬性粉体100質量部に対し、20質量部以上、65質量部以下である、請求項1〜5の何れか1項記載の水硬性組成物。
  7. 請求項1〜6の何れか1項記載の水硬性組成物に用いる水硬性組成物用添加剤組成物であって、
    グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤を含有し、グリセリン/ヒドロキシメタンスルフォン酸の質量比が、10/90以上、97/3以下である、水硬性組成物用添加剤組成物。
  8. 水硬性粉体に、骨材と、水と、水硬性粉体100質量部に対し0.040質量部以上、0.280質量部以下のグリセリンと、水硬性粉体100質量部に対し0.010質量部以上、0.420質量部以下のヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤とを添加し、水硬性組成物を調製する工程と、得られた水硬性組成物を型枠に充填し硬化させる工程と、硬化した水硬性組成物を型枠から脱型して水硬性組成物の硬化体を得る工程とを有する水硬性組成物の硬化体の製造方法。
  9. 蒸気養生を含まない請求項8記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
  10. 分散剤が、ナフタレン系重合体及びポリカルボン酸系共重合体から選ばれる一種以上の分散剤である請求項8又は9に記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
  11. 分散剤が、ナフタレン系重合体である請求項8〜10の何れか1項記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
  12. 水の添加量が、水硬性粉体100質量部に対し、20質量部以上、65質量部以下である請求項8〜11の何れか1項記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
  13. グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤を含有する水硬性組成物用添加剤組成物の、水硬性組成物硬化体の強度を向上するための使用。
  14. グリセリンと、ヒドロキシメタンスルフォン酸又はその塩と、分散剤を含有し、グリセリン/ヒドロキシメタンスルフォン酸の質量比が、10/90以上、97/3以下である水硬性組成物用添加剤組成物の、水硬性組成物硬化体の強度を向上するための使用。
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