JP2014208353A - アーク溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶接長が長かったり複雑形状であったりしても、溶込み不足及び余盛高さを抑えて母材にアーク溶接を行う。【解決手段】 アーク溶接方法が、溶接を行うべき溶接部101上の所定部位101Pで非溶極式アーク110を発生させて母材100を予熱する第1加熱工程S113と、所定部位101Pから溶接部101の延在方向一方側に向けて第1溶極式アーク溶接を行う第1溶接工程S116と、所定部位110Pで非溶極式アーク110を発生させて母材100を再加熱する第2加熱工程S163と、所定部位110Pから溶接部101の延在方向他方側に向けて第2溶極式アーク溶接を行う第2溶接工程S166と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、MIG溶接等の溶極式アーク溶接を用いたアーク溶接方法に関する。
熱伝導のよい金属を溶極式アーク溶接すると、アークの発生と同時に電極が溶融するので、溶接部の始点付近で溶込み不足が発生する。そこで従来、TIGアークを発生させて母材を必要な温度に加熱してからMIG溶接を行う、という溶接方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平3−264161号公報
特許文献1では、溶接部の短い溶接施工箇所への適用を念頭においている。しかし、溶接部が長かったり複雑形状であったりすると、1つの溶接部を1パスで処理することができない場合が生じる。例えば、治具に支持された母材に無端状の溶接部が設定される場合、1パスで処理することは困難である。
そこで本発明は、溶接部が長かったり複雑形状であったりしても、溶込み不足及び余盛高さを抑えて母材をアーク溶接することを目的としている。
本発明に係るアーク溶接方法は、溶接を行うべき溶接部上の所定部位で、非溶極式アークを発生させて母材を予熱する第1加熱工程と、前記所定部位から前記溶接部の延在方向一方側に向けて第1溶極式アーク溶接を行う第1溶接工程と、前記所定部位で非溶極式アークを発生させて前記母材を再加熱する第2加熱工程と、前記所定部位から前記溶接部の延在方向他方側に向けて第2溶極式アーク溶接を行う第2溶接工程と、を備える。
前記方法によれば、第1溶極式アーク溶接を行うに先立って、第1溶極式アーク溶接の始点付近が非溶極式アークで加熱される。非溶極式アークを利用するため母材が短時間で能率良く加熱され、第1溶極式アーク溶接の始点付近で十分な溶込みを得ることができて第1溶極式アーク溶接における溶接品質を高くすることができる。その後、同一の溶接部に沿って第2溶極式アーク溶接を行うに先立って、第2溶極式アーク溶接の始点付近も非溶極式アークで加熱されるので、第2溶極式アーク溶接における溶接品質も高くすることができる。非溶極式アークによる加熱工程を経て溶極式アーク溶接を行うと、ビード高さが始点付近で比較的小さくなる。第1及び第2溶極式アーク溶接の始点付近を同じ箇所に揃えているので、2つのビードを重ねることで1本のビードを連続的に一体的に形成しても、始点付近でのビード高さが残余部位でのビード高さと略同等になる。このように、1つの溶接部に沿って2回に分けて溶極式アーク溶接を行う場合に、溶込み不足を抑えると共に余盛高さを抑えた溶接ビードを得ることができる。
前記溶接部が無端状であり、前記第1溶接工程において、前記第1溶極式アーク溶接が、前記所定部位から前記溶接部上の終点まで前記溶接部の前記延在方向一方側に向けて行われ、前記第2溶接工程において、前記第2溶極式アーク溶接が、前記所定部位から前記終点まで前記延在方向他方側に向けて行われてもよい。
前記方法によれば、溶接部が無端状であっても、2回に分けて溶極式アーク溶接を行うことで上述の作用を奏するアーク溶接を行うことができる。
前記母材が車両用フレームであり、前記所定部位が前記フレームの外面側に位置し、前記終点が前記外面側と反対側に位置してもよい。
前記方法によれば、ビードの始点付近を外面側に位置させることができる。
前記母材がアルミニウム合金であり、前記非溶極式アークがTIGアークであり、前記溶極式アーク溶接がMIG溶接であってもよい。
前記方法によれば、熱伝導のよい金属に対し、溶接部が長かったり複雑であったりしても、溶込み不足を解消してアーク溶接を行うことができる。
前記第1加熱工程及び前記第2加熱工程それぞれで得られる溶融池の幅を、前記第1溶接工程及び前記第2溶接工程それぞれ得られるビード幅よりも小さくしてもよい。
前記方法によれば、溶融池が小さいので溶接ワイヤの消費が少なくなる。また、溶接痕が目立ちにくくなる。
本発明によれば、溶接部が長かったり複雑形状であったりしても、溶込み不足及び余盛高さを抑えて母材をアーク溶接することができる。
第1実施形態に係るアーク溶接装置の概要構成を示すブロック図である。 図1に示すアーク溶接装置により実行されるアーク溶接を示すフローチャートである。 図2に示すアーク溶接の手順を示す作用図である。図3(a)が第1加熱工程、図3(b)が第1溶接工程、図3(c)が第2加熱工程、図3(d)が第2溶接工程をそれぞれ示す。 第2実施形態に係るアーク溶接装置を用いて製造され得る自動二輪車のフレーム組立体を示す図である。図4(a)が左側面図、図4(b)が図4(a)のb矢視図、図4(c)が図4(a)のc矢視図である。 第2実施形態に係るアーク溶接装置を示す正面図である。 図5に示すアーク溶接装置により実行されるアーク溶接を示すフローチャートである。 図6に示すアーク溶接の手順を示す作用図である。図7(a)が第1加熱工程、図7(b)が第1溶接工程、図7(c)が第2加熱工程、図7(d)が第2溶接工程をそれぞれ示す。
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、同一の又は対応する要素には全図を通じて同一の符号を付し、重複する詳細説明を省略する。
〔溶接装置〕
図1は、実施形態に係るアーク溶接装置1の概要構成を示す概念図である。図1に示すように、アーク溶接装置1は、溶接空間3を形成するフレーム2を有し、この溶接空間3内で母材100に溶極式アーク溶接を行う。アーク溶接装置1は、溶接治具11と、治具ロボット12と、非溶極式トーチ13と、溶極式トーチ14と、非溶極式溶接ロボット15と、溶極式溶接ロボット16とを更に備えている。これら装置11〜16は、溶接空間3内に配置されている。アーク溶接装置1は、その制御系の主要素として、非溶極式用制御器31及び溶極式用制御器32を備えている。
母材100は、拘束具を用いて溶接治具11に対する位置及び姿勢が変わらないようにして溶接治具11に固定及び支持される。溶接治具11は、フレーム2に設けられた治具ロボット12に装着されている。治具ロボット12は、溶接治具11及びこれに支持された母材100のフレーム2に対する位置及び姿勢を変位させる。
一例として、治具ロボット12は、フレーム2に対して水平な走行方向に直進走行可能な走行体21と、走行体21に対して水平な傾動軸線周りに傾動可能な傾動体22とを有する。溶接治具11は、傾動体22に対して傾動軸線に非平行の旋回軸線周りに旋回可能に装着されている。治具ロボット12は、走行体21をフレーム2に対して直進走行させるための走行アクチュエータ23と、傾動体22を走行体21に対して傾動させるための傾動アクチュエータ24と、溶接治具11を傾動体22に対して旋回させるための旋回アクチュエータ25とを備える。これらアクチュエータ23〜25が動作すると、溶接治具11及びこれに支持された母材100が、走行方向に位置を変えることができ、傾動軸線及び旋回軸線周りに姿勢を変えることができる。ただし、この治具ロボット12の構成は一例に過ぎず、適宜変更可能である。
非溶極式トーチ13は、非溶極式アーク溶接を行う能力がある溶接トーチであり、母材100を溶接する際に、溶接を行うべき溶接部101上の所定部位で非溶極式アークを発生させる。溶極式トーチ14は、溶極式アーク溶接を行う能力がある溶接トーチであり、母材100を溶接する際には、非溶極式トーチ13による加熱後に前記所定部位から溶接部101の延在方向に沿って溶極式アーク溶接を行う。
非溶極式トーチ13は、母材100に非溶極式アーク溶接を行うために利用されるのではなく、溶極式トーチ14を用いた溶極式アーク溶接の前に母材100を加熱するために利用される。これにより溶極式アーク溶接の始点付近での溶込み不足の解消が図られる。このため、非溶極式トーチ13は、溶接には必要とされる場合があっても加熱には不要である装置(例えば、溶加材送給のための装置)を備えていなくともよい。
なお、詳細図示を省略するが、母材100を溶接治具11に固定するときには、母材100が非溶極式トーチ13の溶接機アース電極(図示せず)及び溶極式トーチ14の溶接機アース電極(図示せず)それぞれとケーブル(図示せず)を介して接続される。それにより2つのトーチ13,14がアークを発生することができる。
非溶極式トーチ13には、不活性ガス(例えば、アルゴン)をシールドガスとして噴射しながらタングステン電極から非溶極式アークとしてのTIGアークを発生し、TIG溶接を行うことができるTIG溶接トーチを適用することができる。タングステンその他材料からなる電極からプラズマジェットを噴出してプラズマアーク溶接を行うことができるプラズマアーク溶接トーチを適用してもよい。
溶極式トーチ14には、不活性ガス(例えば、アルゴン)をシールドガスとして噴射しながらアークを発生させるための電極であって溶接材でもある溶接ワイヤを送給し、それによりMIG溶接を行うMIG溶接トーチを適用することができる。炭酸ガス(例えば二酸化炭素)をシールドガスに用いる炭酸ガスアーク溶接トーチ、又は、不活性ガス及び炭酸ガスの混合ガスをシールドガスに用いるMAG溶接トーチを適用してもよい。サブマージアーク溶接を行うことができるトーチ、又は、セルフシールドアーク溶接を行うことができるトーチを適用することもできる。
母材100がアルミニウム合金である場合、非溶極式トーチ14にTIG溶接トーチを適用して溶極式トーチ14にMIG溶接トーチを適用すると好適である。これにより、コストを抑えて溶接品質を高くすることができる。
非溶極式溶接ロボット15は、基台15aと、基台15aに設けられた多関節アーム15bとを備える多関節型の産業ロボットであり、多関節アーム15bの先端に非溶極式トーチ13が装着される。溶極式溶接ロボット16も、基台16aと、基台16aに設けられた多関節アーム16bとを備える多関節型の産業ロボットであり、多関節アーム16bの先端に溶極式トーチ14が装着される。一例として、多関節アーム15b,16bは垂直多関節型であり、多関節アーム15b,16bの動作に応じて非溶極式トーチ13及び溶極式トーチ14の位置及び姿勢が溶接空間3内で三次元的に変化する。
2つの溶接ロボット15,16は、天吊り状態で溶接空間3内に配置される。つまり、基台15a,16aがフレーム2の天井部内面に固定されて多関節アーム15b,16bが基台15a,16aから下方に屈曲可能に延在する状態で、2つの溶接ロボット15,16がフレーム2に支持される。治具ロボット12は、フレーム2の底部に設けられており、母材100は溶接空間3内で上下方向中央部に概ね配置される。
非溶極式用制御器31は、非溶極式溶接ロボット15を制御する。つまり、非溶極式溶接ロボット15の関節15cそれぞれに対応した複数のアームアクチュエータ15dを制御し、それにより多関節アーム15b及び非溶極式トーチ13の位置及び姿勢を制御する。非溶極式用制御器31は、非溶極式トーチ13の動作(すなわち、アークの発生及び停止)を併せて制御してもよい。
溶極式用制御器32は、溶極式溶接ロボット16を制御する。つまり、溶極式溶接ロボット16の関節16cそれぞれに対応した複数のアームアクチュエータ16dを制御し、それにより多関節アーム16b及び溶極式トーチ14の位置及び姿勢を制御する。溶極式制御器32は、溶極式トーチ14の動作(すなわち、アークの発生及び停止と溶接ワイヤの送給及び停止)を併せて制御してもよい。
溶極式用制御器32は、治具ロボット12を併せて制御してもよい。つまり、治具ロボット12の各アクチュエータ23〜25を制御し、それにより溶接治具11及びこれに支持された母材100の位置及び姿勢を制御してもよい。このようにして治具ロボット12に専用の制御器を廃すると、制御系ハードウェアが簡略化される。
〔動作〕
図2は、図1に示すアーク溶接装置1により実行されるアーク溶接の手順を示すフローチャートである。図3は、図2に示すアーク溶接の作用図である。本実施形態では詳細図示を省略するが、アーク溶接装置1にアーク溶接を自動的に行わせる準備として、オペレータが母材100を溶接治具11に取り付け、操作盤(図示せず)で溶接開始の指令を入力する。この指令を受けて、母材100へのアーク溶接が、図2に示す手順に従って自動的に進行していく。以降の説明におけるトーチ13,14及び母材100の動作は、特段断らない限り、対応する制御器31,32により制御される。
ここでは、一例として、母材100に溶接を行うべき溶接部101が1本のみ存在し、位置及び姿勢を拘束した状態にして母材100を溶接治具11に取り付けても当該溶接部101が溶接治具11又は傾動体22で隠されないものとする。溶接部101を複数とした場合や、母材100を溶接治具11にどのようにして取り付けたとしても或る溶接部101の一部が溶接治具11又は傾動体22で隠されてしまう場合も、後述のとおり本実施形態に係るアーク溶接を応用することで、母材100に所要の溶接作業を行うことができる(第2実施形態及び図4〜図7を参照)。
―エアーカット(溶接・加熱準備)―
溶接開始の指令が入力されると、まず、溶極式溶接ロボット16及び治具ロボット12が駆動されて溶極式トーチ14及び母材100のエアーカットが行われる(ステップS111)。これにより、溶極式トーチ14はその原点位置から第1溶接準備位置まで移動し、溶接治具11及び母材100はその原点位置から第1治具待機位置まで移動する。溶極式トーチ14及び母材100のエアーカットは並行して実施されてもよいし、順次実施されてもよい。溶極式トーチ14が第1溶接準備位置まで移動し且つ母材100が第1治具待機位置まで移動すると、溶極式トーチ14が、母材100と近接対向し、溶接を行うべき溶接部101上の所定部位101Pから若干離隔するように配置される(図3(a)に示す溶極式トーチ14の母材100に対する位置関係を参照)。
「所定部位101P」は、溶接部101が閉線分状(換言すれば、2つの端点に挟まれた直線状)であれば当該溶接部101上における2端点間の部位であり、溶接部101が無端状であれば当該溶接部101上における任意の部位である。逆に言えば、溶接部101は、当該所定部位101Pからその延在方向両側に延びている。
次に、非溶極式ロボット15が駆動されて非溶極式トーチ13のエアーカットが行われ(ステップS112)、非溶極式トーチ13がその原点位置から第1加熱位置まで移動する。母材100が第1治具待機位置に位置したうえで非溶極式トーチ13が第1加熱位置まで移動すると、非溶極式トーチ13は、溶極式トーチ14よりも前記所定部位101Pに近接し、当該所定部位101Pで非溶極式アーク110を発生させることができるようになる(図3(a)に示す非溶極式トーチ13の母材100に対する位置関係を参照)。
―第1加熱―
非溶極式トーチ13の第1加熱位置へのエアーカットが完了すると、非溶極式トーチ13が非溶極式アーク110を所定期間発生させる(第1加熱工程S113)。これにより、前記所定部位101Pが加熱され、それにより当該所定部位101Pに溶融池102が形成される(図3(a)を参照)。
―エアーカット(退避・溶接開始)―
非溶極式アーク110が停止すると、非溶極式溶接ロボット15が駆動されて非溶極式トーチ13のエアーカットが行われ(ステップS114)、非溶極式トーチ13が第1加熱位置から第1溶接退避位置まで移動する。第1溶接退避位置は、次の溶極式アーク溶接の実行時に母材100や溶極式溶接ロボット16との干渉を避けるためにこれらから十分に離れた位置であり、原点位置とは異なっていてもよい。
非溶極式トーチ13のエアーカットと並行して、溶極式溶接ロボット16が駆動されて溶極式トーチ14のエアーカットが行われる(ステップS115)。溶極式トーチ14は、第1溶接準備位置から第1溶接開始位置まで移動する。溶極式トーチ13のエアーカットの開始時点は、非溶極式トーチ14の第1溶接退避位置へのエアーカットの開始時点と同じでもよいが、非溶極式アークの停止直前(すなわち、アーク発生中)の時点にまで早めてもよい。
―第1溶極式アーク溶接―
溶極式トーチ14のエアーカットが完了すると、溶極式トーチ13を用いて、前記所定部位101Pから溶接部101の延在方向一方側に向けて第1の溶極式アーク溶接が行われる(第1溶接工程S116)。すなわち、溶極式トーチ14は、溶接ワイヤを送給しながら溶接ワイヤから溶極式アーク115を発生させ、所定部位101P内の或る位置を始点とした第1の溶極式アーク溶接を開始する。
溶極式アーク溶接を開始すると、溶極式溶接ロボット16及び治具ロボット12を駆動して溶極式トーチ14を母材100に対して溶接部101の延在方向一方側に相対移動させる(図3(b)参照)。この相対移動は、フレーム2に対して溶極式トーチ14を移動させるのみによっても実現されるし、フレーム2に対して溶接治具11及び母材100を移動させるのみによっても実現されるし、これら2種類の移動を組み合せることによっても実現される。
当該溶接部101上で予め定められた終点101Qまで溶極式アーク溶接が進むと、溶接ワイヤの送給が停止すると共にアークが停止する。溶接を行うべき溶接部101上には、前記所定部位101P内の始点から当該終点101Qに至るまでビード121が置かれる。ビード121の始端121Sは所定部位101P内に置かれ、ビード121の終端121Eは終点101Q上に置かれる。
「終点101Q」は、溶接部101が閉線分状に形成される場合には前記所定部位101Pから見て延在方向一方側の端点に設定されることができ、溶接部101が無端状に形成される場合には溶接部101上にて前記所定部位101Pから外れた任意の位置に設定される。なお、第1溶接工程S116の実行により、溶極式トーチ14は、第1溶接開始位置から第1溶接終了位置まで移動し、母材100は、第1治具待機位置から第1溶接終了位置まで移動する。
―エアーカット(溶接・加熱準備)―
このようにして第1の溶極式アーク溶接が完了すると、溶極式溶接ロボット16及び治具ロボット12が駆動されて溶極式トーチ14及び母材100のエアーカットが行われる(ステップS161)。すなわち、溶極式トーチ14が、その第1溶接終了位置から次に溶接を行うべき溶接部101の所定部位101Pに対応した位置(第2溶接準備位置)に移動し、母材100が、その第1溶接終了位置から当該所定部位101Pに対応した位置(第2治具待機位置)に移動する。本実施形態では、溶接部101が1本である場合を想定しているので、「次に溶接を行うべき溶接部101」は、先の第1溶接工程S116で溶接対象になった溶接部101のうち、未だビードが置かれていない部分である。ここでの「所定部位101P」は、先の第1加熱工程S113で非溶極式アークを発生させ、また、先の第1溶接工程S116で第1の溶極式アーク溶接の始点121Sを位置させた前記所定部位101Pと同一である。
溶極式トーチ14が第2溶接準備位置まで移動し且つ母材100が第2治具待機位置まで移動すると、溶極式トーチ14が、母材100と近接対向し、溶接を行うべき溶接部101上の所定部位101Pから若干離隔するように配置される。
溶極式トーチ14及び母材100のエアーカットが完了すると、非溶極式溶接ロボット15が駆動されて非溶極式トーチ13のエアーカットが行われ(ステップS162)、非溶極式トーチ13が、第1溶接退避位置から所定部位101Pに対応した第2加熱位置に移動する。
なお、先の第1の溶極式アーク溶接及び次の第2の溶極式アーク溶接は、最終的には1本に連続する溶接部101を溶接対象としながらも溶接方向は反対に向いている。第2の溶極式アーク溶接における溶極式トーチ14の母材100に対する相対移動の便宜を考慮して、第2溶接準備位置(特に姿勢)は、第1溶接準備位置と一致していなくてもよいし、また、第2治具待機位置(特に姿勢)は、第1治具待機位置と一致していなくてもよい。第2加熱位置も、第2治具待機位置が第1治具待機位置と異なる場合には特に、第1加熱位置と一致していなくてもよい。
溶極式トーチ14が第2溶接準備位置まで移動し且つ母材100が第2治具待機位置まで移動すると、溶極式トーチ14が、母材100と近接対向し、溶接を行うべき溶接部101上の所定部位101Pから若干離隔するように配置される(図3(c)に示す溶極式トーチ14の母材100に対する位置関係を参照)。母材100が第2治具待機位置に位置したうえで非溶極式トーチ13が第2加熱位置まで移動すると、非溶極式トーチ13は、溶極式トーチ14よりも所定部位101Pに近接し、当該所定部位101Pで非溶極式アーク110を発生させることができるようになる(図3(c)に示す非溶極式トーチ13の母材100に対する位置関係を参照)。
―第2加熱―
非溶極式トーチ13の第2加熱位置へのエアーカットが完了すると、非溶極式トーチ13が非溶極式アーク110を所定期間発生させる(第2加熱工程S163)。これにより所定部位101Pが再加熱され、それにより当該所定部位101Pに溶融池102が再形成される(図3(c)を参照)。
この所定部位101P内には、第1の溶極式アーク溶接においてビード121の始端121Sが置かれている。第2加熱工程S163では、第1溶接工程S116で置かれたビード121の始端121Sにも非溶極式アーク110を発生させ、それによりビード121の始端121Sを溶融させてもよい。
―エアーカット(退避・溶接開始)―
非溶極式アーク110が停止すると、非溶極式溶接ロボット15が駆動されて非溶極式トーチ13のエアーカットが行われ(ステップS164)、非溶極式トーチ13が第2加熱位置から第2溶接退避位置まで移動する。第2溶接退避位置は、次の溶極式アーク溶接の実行時に母材100や溶極式溶接ロボット16との干渉を避けるためにこれらから十分に離れた位置であり、原点位置とは異なっていてもよいし、第1溶接退避位置と同一でも異なっていてもよい。
非溶極式トーチ13のエアーカットと並行して、溶極式溶接ロボット16が駆動されて溶極式トーチ14のエアーカットが行われる(ステップS165)。溶極式トーチ14は、第2溶接準備位置から第2溶接開始位置まで移動する。溶極式トーチ13のエアーカットの開始時点は、非溶極式トーチ14の第1溶接退避位置へのエアーカットの開始時点と同じでもよいが、非溶極式アークの停止直前(すなわち、アーク発生中)の時点にまで早めてもよい。
―第2溶極式アーク溶接―
溶極式トーチ14のエアーカットが完了すると、溶極式トーチ13を用いて、所定部位101Pから溶接部101の延在方向他方側に向けて第2の溶極式アーク溶接が行われる(第2溶接工程S166)。すなわち、溶極式トーチ14は、溶接ワイヤを送給しながら溶接ワイヤから溶極式アーク115を発生させ、所定部位101P内の或る位置を始点として第1の溶極式アーク溶接とは反対側に向けて第2の溶極式アーク溶接を開始する。溶極式アーク溶接を開始すると、溶極式溶接ロボット16及び治具ロボット12を駆動して溶極式トーチ14を母材100に対して溶接部101の延在方向一方側に相対移動させる(図3(d)参照)。
当該溶接部101上で予め定められた終点101Rまで溶極式アーク溶接が進むと、溶接ワイヤの送給が停止すると共にアークが停止する。溶接を行うべき溶接部101上には、前記所定部位101P内の始点から当該終点101Rに至るまでビード122が置かれる。ビード122の始端121Sは所定部位101P内に置かれ、ビード121の終端122Eは終点101R上に置かれる。そしてビード122の始端122Sがビード121の始端121Sに連続し、溶接部101上には、ビード121,122から成る1本に連続したビード120が置かれる。ただし、このビード120は、ビード121,122の溶接方向が互いに反対を向いているので、これらビード121,122の始端121S,1222Sを基準にしてビード波が対称に形成される。
「終点101R」は、溶接部101が閉線分状に形成される場合には前記所定部位101Pから見て延在方向他方側の端点に設定されることができ、溶接部101が無端状に形成される場合には、第1の溶極式アーク溶接において設定された終点と同一又はその付近の位置に設定される。なお、第2溶接工程S166の実行により、溶極式トーチ14は第2溶接開始位置から第2溶接終了位置まで移動し、母材100は、第2治具待機位置から第2溶接終了位置まで移動する。
―エアーカット(帰還)―
所要の溶接作業が終わると、溶極式溶接ロボット16及び治具ロボット12が駆動されて溶極式トーチ14及び母材100のエアーカットが行われる(ステップS171)。すなわち、溶極式トーチ14がその第2溶接終了位置から原点位置に帰還し、母材100がその第2溶接終了位置から原点位置に帰還する。溶極式トーチ14及び母材100のエアーカットが完了すると、非溶極式溶接ロボット15が駆動されて非溶極式トーチ13のエアーカットが行われ(ステップS172)、非溶極式トーチ13が第2溶接退避位置から原点位置に帰還する。トーチ13,14及び母材100が全て原点位置に帰還すると、アーク溶接が終了する。
〔作用〕
上述したアーク溶接の方法によると、第1の溶極式アーク溶接を行うに先立ち、第1の溶極式アーク溶接の始点付近(所定部位101P)が非溶極式アークで加熱される。非溶極式アークを利用するので母材100が短時間で能率良く加熱されるし、第1の溶極式アーク溶接の始端付近で十分な溶込みを得ることができる。よって、第1の溶極式アークにおける溶接品質を高くすることができる。その後、同一の溶接部101に沿って第2の溶極式アーク溶接を行うに先立って、第2の溶極式アーク溶接の始端付近も非溶極式アーク110で加熱されるので、第2の溶極式アーク溶接における溶接品質も高くすることができる。
非溶極式アーク110による加熱工程を経て溶極式アークを行うと、溶極式アークを溶込み確保のために溶接始点で留まらせる必要性がなくなる。よって、溶接始点付近での余盛高さを抑えることができる。特に、第1及び第2溶極式アーク溶接の始点を揃えているので、2つのビード121,122から1本に連続するビード120を形成するようにしても、これら2つのビード121,122の始点付近でのビード高さを残余部位でのビード高さと略同等にそろえることができる。このように、1つの溶接部101に沿って2回に分けて溶極式アーク溶接を行う場合に、溶込み不足及び余盛高さを抑えることができる。本実施形態では、第2加熱工程S163において第1溶接工程S116で置かれたビード121の始端121Sを溶融させるようにしているので、第2溶接工程S166で置かれるビード122が第1溶接工程S116で置かれたビード121の上に重なるのを良好に防ぐことができ、余盛高さを抑えるうえで有益である。
図3(b)に示すように、第1加熱工程S113で形成される溶融池102の幅を、その後の第1溶接工程S116で形成されるビード121の幅よりも小さくしている。これにより、溶接ワイヤの節約を図ることができると共に、溶接痕が目立ちにくくなり、美観を向上したビード121を溶接部上に置くことができる。このような幅の管理は、非溶極式トーチ13で非溶極式アーク110を発生させるに際し、溶極式トーチ13の溶接機においてクリーニング幅を狭くするように設定するなどの方法により実現可能である。また、このような幅の管理は、第1加熱工程S113及び第1溶接工程S116の組合せに加えて又はこれに替えて、第2加熱工程S163及び第2溶接工程S166の組合せに対して行われてもよい。すなわち、第1溶接工程S116及び第2溶接工程S166のうち少なくともいずれか一方において、溶融池102の幅がビード120の幅よりも小さければよい。
(第2実施形態)
〔母材〕
以下、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るアーク溶接方法は、溶接を行うべき溶接部が無端状である場合に母材にアーク溶接を行うための方法に関するものであり、以降の説明では、かかる溶接部に溶接を行うことで製造される物として、自動二輪車のフレーム組立体を例示する。
図4(a)〜(c)は、第2実施形態に係るアーク溶接装置を用いて製造され得る自動二輪車のフレーム組立体150を示す図である。図4(a)は、フレーム組立体150の左側面図、図4(b)は、図4(a)のb矢視図(すなわち、フレーム組立体150をヘッドパイプ部151の軸線方向下側から見て示す図)、図4(c)は、図4(a)のc矢視図(すなわち、フレーム組立体150の背面図)である。なお、図4を参照して説明するフレーム組立体150の方向の概念は、当該フレーム組立体150を備えた自動二輪車に騎乗した運転者から見た方向を基準としている。
図4(a)〜(c)に示すように、図示例によるフレーム組立体150は、円筒状のヘッドパイプ部151と、ヘッドパイプ部151から左右に分かれて後方へと延びる一対のメインフレーム部152,153(図4(a)では右メインフレーム部153の図示を省略)とを有する。図4(c)に示すように、図示例によるフレーム組立体150は、メインフレーム部152,153をその前後中央部にて左右方向に接続するセンタクロスバー部154と、メインフレーム部152,153をその後端部にて左右方向に接続するリアクロスバー部155とを有している。
図4(a)〜(c)において、フレーム組立体150は、5つの金属材161〜165を母材とするアーク溶接を行うことで製造される。第1金属材161は、ヘッドパイプ部151に概略対応し、ヘッドパイプ部151を成す部位から左右に分かれて後方に突出する継手部161a,161bを有する。第2金属材162は、左メインフレーム部152に概略対応し、前端部に形成されて継手部161aと溶接される継手部162aと、左メインフレーム部152を成す部位の前後中央部及び後端部それぞれにおいて当該部位の内面から車幅方向内側へと突出する継手部162b,162cとを有する。第3金属材163は、右メインフレーム部153に概略対応し、第2金属材162と同様にして継手部163a〜cを有する。第4金属材164は、センタクロスバー部154に概略対応し、左端部に形成されて継手部162bと溶接される継手部164aと、右端部に形成されて継手部163bと溶接される継手部164bとを有する。第5金属材165は、リアクロスバー部155に概略対応し、左端部に形成されて継手部162cと溶接される継手部165aと、右端部に形成されて継手部163cと溶接される継手部165bとを有している。
図4(a)〜(c)において、フレーム組立体150は、合計6つの溶接個所171〜176にアーク溶接を行うことで製造される。当該溶接個所171〜176には、継手部161a,162aを溶接する第1溶接個所171と、継手部161b,163aを溶接する第2溶接個所172と、継手部162b,164aを溶接する第3溶接個所173と、継手部163b,164bを溶接する第4溶接個所174と、継手部162c,165aを溶接する第5溶接個所175と、継手部163c,165bを溶接する第6溶接個所176とが含まれる。
一般に自動二輪車のフレーム組立体150では、その製造において母材となる金属材161〜165が、略角形状断面を有する管状に成形されるので、前記6つの溶接個所171〜176ではいずれも溶接を行うべき溶接部(又は溶接線)181〜186が無端状になる。
〔溶接装置〕
図5は、第2実施形態に係るアーク溶接装置201を示す正面図である。第2実施形態に係るアーク溶接装置201は、前述の金属材161〜165を母材としてその継手部に設定される溶接部181〜186を対象とするアーク溶接を行ってフレーム組立体を製造するのに好適に利用されることができる。このアーク溶接装置201も、その基本的な構成は、第1実施形態で示したものと同様である。フレーム202は、平面視で略矩形状の底板材204及び天井板材205と、底板材204及び天井板材205の四隅同士を上下方向に接続する4本の柱材206(図5では正面2本のみを図示)とを備え、溶接空間203は、これら部材204〜206の内側に形成されて平面視で略矩形状である。
治具ロボット212の走行体221は、底板材204に走行方向に直進方向可能に支持されたスライダ221aと、スライダ221aから上方に延びる一対の立設部221bとを有し、スライダ221aは溶接空間203内で走行方向に直交する水平方向において中央部に配置され、立設部221bは、当該走行直交方向に対向している。傾動体222は、一対の立設部221bそれぞれに傾動可能に支持され、走行直交方向に向けられた傾動軸線周りにスライダ221aの上方で傾動する。溶接治具211は、このような傾動体222に旋回可能に装着されており、溶接治具211及びこれに支持される母材161〜165は、溶接空間203内で上下方向において中央部に位置する。
溶接ロボット215,216は、その基台215a,216aが天井板材205の内面側に固定され且つその多関節アーム215b,216bが対応する基台215a,216aから屈曲可能に下方に延在する状態で、溶接空間203内に配置される。2つの溶接ロボット15,16は、平面視で溶接治具211を挟むようにして略対角方向に離れて配置されていてもよい。
〔動作〕
図6は、図2に示すアーク溶接装置201により実行されるアーク溶接の手順を示すフローチャートである。図7は、図6に示すアーク溶接の手順を示す作用図である。なお、詳細図示を省略しているが、本実施形態に係るアーク溶接装置201も、上記実施形態と同様にしてロボット212,215,216を制御する1以上の制御器(図示せず)を備え、以降の説明におけるトーチ213,214及び母材161〜166の動作は、特段断らない限り対応する制御器によって制御される。
図4及び図5に例示した金属材161〜165を母材とする場合、母材161〜165をどのような姿勢で取り付けても、溶接部181〜186が部分的に溶接治具211又は傾動体222で隠されてしまう。そこで、各溶接部181〜186それぞれに対する溶接を2パスで済ませるための2つの異なる姿勢(第1及び第2の姿勢)を予め把握しておく。
―第1加熱・第1溶接―
図6に示すように、そのうえで、オペレータは、まず母材161〜165を第1の姿勢で溶接治具211に取り付け(ステップS201)、第1プログラムの実行開始の指令をアーク溶接装置201の制御系に与える(ステップS202)。この第1プログラムは、第1実施形態におけるステップS111〜S116と同様の処理を繰り返すことで、複数の溶接部181〜186それぞれに対して前半1パス分のアーク溶接(すなわち、第1加熱と第1の溶極式アーク溶接)を順次行う。
第1プログラムが実行開始すると、溶極式トーチ214及び母材161〜165のエアーカットを行い(ステップS211)、溶極式トーチ214を原点位置から最初の溶接部(例えば、溶接部181)に対応した第1溶接準備位置に移動させ、母材を当該溶接部に対応した第1治具待機位置に移動させる。次に、非溶極式トーチ213のエアーカットを行い(ステップS212)、非溶極式トーチ213を原点位置から当該溶接部181に対応した第1加熱位置に移動させる。
次に、非溶極式トーチ213が非溶極式アークを所定期間発生し(第1加熱工程S213)、それにより当該溶接部181の所定部位181Pを加熱し、当該所定部位181Pに溶融池を形成する(図7(a)を参照)。所定期間が経過すると非溶極式トーチ213のエアーカットを行い(ステップS214)、非溶極式トーチ13を第1加熱位置から第1溶接退避位置に移動させる。この非溶極式トーチ213のエアーカットと並行して、溶極式トーチ214のエアーカットを行い(ステップS215)、溶極式トーチ214を第1溶接準備位置から第1溶接開始位置まで移動させる。
次に、溶極式トーチ214を用いて所定部位181Pから溶接部181の延在方向一方側に向けて第1の溶極式アーク溶接を行う(第1溶接工程S216)。溶極式アーク溶接を開始すると、溶極式トーチ214を母材161〜165に対して溶接部181の延在方向一方側に対して相対移動させる。溶極式アーク溶接が当該溶接部181の前半1パス分として予め定められた終点181Qまで進むと、溶接ワイヤの送給を停止させると共にアークを停止させる。溶接を行うべき溶接部181上には、所定部位181P内の始点から当該終点181Qに至るまでビード191が置かれる(図7(b)を参照)。ビード191の始端191Sは所定部位181P内に置かれ、ビード191の終端191Eは当該終点181Q上に置かれる。
このようにして第1の溶極式アーク溶接が完了すると、母材161〜165に設定された全ての溶接部181〜186に対して前半1パス分の溶接処理が終了するまで(すなわち、ステップS217にてNOである限り)、上記手順S211〜S216が繰り返される。
例えば、1つ目の溶接部181に対する第1の溶極式アーク溶接が完了して2つ目の溶接部182に対して第1の溶極式アーク溶接を行うにあたっては、まず、ステップS211にて、溶極式トーチ214を、溶接処理済の溶接部181に対応した第1溶接終了位置から、次に溶接を行うべき溶接部182に対応した第1溶接準備位置へと移動させることとなる。ステップS211にて、母材161〜165を溶接部181に対応した第1溶接終了位置から溶接部182に対応した第1治具待機位置へと移動させることとなる。ステップS212にて、非溶極式トーチ213を、溶接部181に対応した第1溶接退避位置から溶接部182に対応した第1加熱位置へと移動させることとなる。
全ての溶接部181〜186について前半1パス分の溶接処理が完了すると(S217:YES)、溶極式トーチ214及び母材161〜165のエアーカットを行い(ステップS221)、溶極式トーチ214を最後の溶接部(例えば、溶接部186)に対応した第1溶接終了位置からその原点位置まで帰還させ、母材161〜165を当該溶接部186に対応した第1溶接終了位置からその原点位置まで帰還させる。次に、非溶極式トーチ213のエアーカットを行い(ステップS222)、非溶極式トーチ213を当該溶接部186に対応した第1溶接退避位置からその原点位置まで帰還させる。
―第2加熱・第2溶接―
次に、オペレータが、一旦母材161〜165を溶接治具211から取り外し、取り外された母材161〜165を前述の第2の姿勢で溶接治具211に取り付け直し(ステップS251)、第2プログラムの実行開始の指令をアーク溶接装置201の制御系に与える(ステップS252)。この第2プログラムは、第1実施形態におけるステップS161〜S166と同様の処理を繰り返すことで、複数の溶接部181〜186それぞれに対して後半1パス分のアーク溶接(すなわち、第2加熱と第2の溶極式アーク溶接)を順次行う。
第2プログラムが実行開始すると、溶極式トーチ214及び母材161〜165のエアーカットを行い(ステップS261)、溶極式トーチ214を原点位置から最初の溶接部(例えば、溶接部181)に対応した第2溶接準備位置に移動させ、母材161〜165を原点位置から当該溶接部181に対応した第2治具待機位置に移動させる。次に、非溶極式トーチ213のエアーカットを行い(ステップS262)、非溶極式トーチ213を原点位置から当該溶接部181に対応した第2加熱位置に移動させる。
次に、非溶極式トーチ213が非溶極式アークを所定期間発生し(第2加熱工程S263)、それにより当該溶接部181の所定部位181Pを加熱し、当該所定部位181Pに溶融池を形成する(図7(c)を参照)。所定期間が経過すると非溶極式トーチ213のエアーカットを行い(ステップS264)、非溶極式トーチ213を第2加熱位置から第2溶接退避位置に移動させる。この非溶極式トーチ213のエアーカットと並行して、溶極式トーチ214のエアーカットを行い(ステップS265)、溶極式トーチ214を第2溶接準備位置から第2溶接開始位置まで移動させる。
次に、溶極式トーチ214を用いて所定部位181Pから溶接部181の延在方向他方側に向けて第2の溶極式アーク溶接を行う(第2溶接工程S266)。溶極式アーク溶接を開始すると、溶極式トーチ214を母材161〜165に対して溶接部181の延在方向他方側に対して相対移動させる。溶極式アーク溶接が当該溶接部181の後半1パス分として予め定められた終点181Rまで進むと、溶接ワイヤの送給を停止させると共にアークを停止させる。溶接を行うべき溶接部181上には、所定部位181P内の始点から当該終点181Rに至るまでビード192が置かれる(図7(d)を参照)。ビード192の始端192Sは所定部位181P内に置かれ、ビード192の終端192Eは当該終点181R上に置かれる。そして、ビード192の始端192Sがビード191の始端191Sに連続する。溶接部181は無端状であるところ、終点181Rは、第1溶接工程における終点181Qと同一又はその付近である。そのため、ビード192の終端192Eもビード191の終端191Eに連続する。これにより、無端状の溶接部181上には、ビード191,192から成る1本に周状に連続したビード190が置かれる。
このようにして第2の溶極式アーク溶接が完了すると、母材161〜165に設定された全ての溶接部181〜186に対して後半1パス分の溶接処理が終了するまで(すなわち、ステップS267にてNOである限り)、上記手順S261〜S266が繰り返される。
全ての溶接部181〜186について後半1パス分の溶接処理が完了すると(S267:YES)、溶極式トーチ214及び母材161〜165のエアーカットを行い(ステップS271)、溶極式トーチ214を最後の溶接部(例えば、溶接部186)に対応した第2溶接終了位置からその原点位置まで帰還させ、母材161〜165を当該溶接部186に対応した第2溶接終了位置からその原点位置まで帰還させる。次に、非溶極式トーチ213のエアーカットを行い(ステップS272)、非溶極式トーチ213を当該溶接部186に対応した第2溶接退避位置からその原点位置まで帰還させる。
〔作用〕
上述したアーク溶接の方法によると、溶接部が無端状であっても、2回に分けて溶極式アーク溶接を行うことで上記実施形態と同様の作用を奏するアーク溶接を行うことができる。上述した方法を採用することで溶込み不足及び余盛高さを抑えてフレーム組立体150を製造することができ、フレーム組立体150の品質が向上する。このようにフレーム組立体150を対象とする場合には、外観を成す表面上に所定部位181Pを設定し、外観を形成しない表面(外観を成す外面側とは反対側の面)上に終点181Q,181Rを設定してもよい。
以上、実施形態について説明したが、上記構成及び方法は一例に過ぎず本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更、削除、追加可能である。
本発明は、溶接部が長かったり複雑形状であったりしても溶込み不足及び余盛高さを抑えて母材にアーク溶接を行うことができるとの作用効果を奏し、例えば自動二輪車の車体フレームの製造などに適用することができる。
1,201 アーク溶接装置
11,211 溶接治具
12,212 治具ロボット
13,213 非溶極式トーチ
14,214 溶極式トーチ
15,215 非溶極式溶接ロボット
16,216 溶極式溶接ロボット
100 母材
101 溶接部
101P 所定部位
101Q,101R 終点
102 溶融池
120,121,122 ビード
150 フレーム組立体
161〜165 金属材(母材)
171〜176 溶接個所
181〜186 溶接部
190,191,192 ビード
S113,S213 第1加熱工程
S116,S216 第1溶接工程
S163,S263 第2加熱工程
S166,S266 第2溶接工程

Claims (5)

  1. 溶接を行うべき溶接部上の所定部位で、非溶極式アークを発生させて母材を予熱する第1加熱工程と、
    前記所定部位から前記溶接部の延在方向一方側に向けて第1溶極式アーク溶接を行う第1溶接工程と、
    前記所定部位で非溶極式アークを発生させ又はビームを照射して前記母材を再加熱する第2加熱工程と、
    前記所定部位から前記溶接部の延在方向他方側に向けて第2溶極式アーク溶接を行う第2溶接工程と、を備える、アーク溶接方法。
  2. 前記溶接部が無端状であり、
    前記第1溶接工程において、前記第1溶極式アーク溶接が、前記所定部位から前記溶接部上の終点まで前記溶接部の前記延在方向一方側に向けて行われ、
    前記第2溶接工程において、前記第2溶極式アーク溶接が、前記所定部位から前記終点まで前記延在方向他方側に向けて行われる、請求項1に記載のアーク溶接方法。
  3. 前記母材が車両用フレームであり、前記所定部位が前記フレームの外面側に位置し、前記終点が前記外面側と反対側に位置する、請求項2に記載のアーク溶接方法。
  4. 前記母材がアルミニウム合金であり、前記非溶極式アークがTIGアークであり、前記溶極式アーク溶接がMIG溶接である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアーク溶接方法。
  5. 前記第1加熱工程及び前記第2加熱工程それぞれで得られる溶融池の幅を、前記第1溶接工程及び前記第2溶接工程それぞれ得られるビード幅よりも小さくする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアーク溶接方法。
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