JP7010767B2 - 溶接構造物の製造方法及び溶接構造物 - Google Patents

溶接構造物の製造方法及び溶接構造物 Download PDF

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本発明は、溶接構造物の製造方法及び溶接構造物に関する。
近年、生産手段として3Dプリンタを用いた造形のニーズが高まっており、金属材料を用いた造形の実用化に向けて研究開発が進められている。金属材料を造形する3Dプリンタは、レーザや電子ビーム、更にはアーク等の熱源を用いて、金属粉体や金属ワイヤを溶融させ、溶融金属を積層させることで溶接構造物を製造する。
ところで、バルク材等からなる母材へ溶着ビードを溶着して積層造形すると、母材の造形部近傍には、溶接時の熱の影響を受けて組織や特性が母材と異なる熱影響部(HAZ:Heat Affected Zone)が生じる。そして、熱影響部には、溶接時の熱の影響を受けてない母材と隣接する部分に、硬度が低下した軟化層が形成され、この軟化層で残留応力が大きくなる。このため、造形部に外力が作用した際の大きな引張応力が軟化層の位置に付加されると、この軟化層に作用する残留応力と引張応力とによって、疲労き裂が発生するおそれがある。
特許文献1では、内外面からシーム溶接を行った鋼管のシーム溶接部の外表面に切削加工を行い、溶接残留応力による水素起因の横割れを防止することが知られている。また、溶接構造物において、溶接ビードの止端近傍での溶接残留応力の影響による疲労損傷を抑制する技術として、特許文献2には、溶接部の溶接ビードと隣接する母材表面に、溶接ビードに沿って打撃痕を形成し、溶接ビードの止端近傍に圧縮残留応力を導入することが知られている。これらの特許文献1及び2は、溶接による残留応力を低減する技術であるが、いずれも積層造形に関する技術ではない。
特開2012-051033号公報 特開2013-136096号公報
本発明の目的は、積層造形によって母材上に形成される造形部の疲労強度が改善された溶接構造物を製造することが可能な溶接構造物の製造方法及び溶接構造物を提供することにある。
本発明は下記構成からなる。
(1) 母材の表面に造形部を形成した溶接構造物を製造する溶接構造物の製造方法であって、
前記母材の表面に溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを層状に積層させて前記造形部となる積層部を形成する積層工程と、
前記積層部を切削して前記造形部に加工する切削工程と、
を含み、
前記積層工程において、少なくも最下層の溶着ビードを形成する際に、前記造形部が接合される前記母材の接合領域の外側に、前記造形部となる前記溶着ビードに連続させて前記造形部とならない入熱用の前記溶着ビードを形成し、
前記切削工程において、前記入熱用の溶着ビードを切削して前記母材の表面から除去する
溶接構造物の製造方法。
(2) 母材と、
前記母材の表面に形成され、溶加材を溶融及び凝固させた複数の溶着ビードを積層した積層部を切削加工してなる造形部と、
を備え、
前記母材は、前記造形部が接合される前記母材の接合領域の外側に、前記積層部の一部を切削して前記母材の表面から除去した、前記溶着ビードのビード幅よりも大きな幅を有する切削領域を有する
溶接構造物。
本発明によれば、積層造形によって母材上に形成される造形部の疲労強度が改善された溶接構造物を製造することができる。
本発明の製造方法で製造する溶接構造物の断面図である。 溶接構造物を製造する製造システムの模式的な概略構成図である。 本発明の溶接構造物の製造方法における積層工程後の溶接構造物の断面図である。 参考例に係る溶接構造物を示す図であって、(a)は溶接構造物の断面図、(b)は溶接構造物の母材における残留応力を示す模式図、(c)は造形部に外力が作用した際に母材に発生する応力を示す模式図である。 本発明の溶接構造物を示す図であって、(a)は溶接構造物の断面図、(b)は溶接構造物の母材における残留応力を示す模式図、(c)は造形部に外力が作用した際に母材に発生する応力を示す模式図である。 変形例1を説明する図であって、(a)は積層工程後の溶接構造物の断面図、(b)は切削工程後の溶接構造物の断面図である。 変形例2を説明する図であって、(a)は積層工程後の溶接構造物の断面図、(b)は切削工程後の溶接構造物の断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る溶接構造物の製造方法及び溶接構造物について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る製造方法によって製造される溶接構造物Wは、母材51と、造形部53とを備えている。母材51は、鋼材からなる板材である。造形部53は、板状に形成されており、母材51の表面55に立設されている。造形部53は、複数の溶着ビード61を積層させて構成されている。造形部53は、溶着ビード61を積層させた後述する積層部57(図3参照)を切削加工することで形成される。
母材51は、造形部53が接合される接合領域JAと、該接合領域JAの外側で、母材51の表面55に形成された積層部57の一部を切削して除去した切削領域SAと、を有する。この切削領域SAは、少なくとも溶着ビード61のビード幅Wbよりも大きな幅W3を有している。
また、母材51の表面55側には、溶着ビード61が溶接される、即ち、積層部57が形成される際の熱の影響を受けて組織や特性が母材51と異なる熱影響部(HAZ:Heat Affected Zone)HAが形成される。この熱影響部HAは、積層部57よりも広い範囲に形成される。特に、本実施形態では、造形部53の板幅方向において、熱影響部HAは、造形部53が形成されている接合領域JAの幅W1及び積層部57が形成されて切削除去された切削領域SAの幅W3の合計よりも広い幅W2の範囲に形成されている。
次に、上記の溶接構造物Wを製造する製造システムについて図2を参照して説明する。
図2に示すように、本構成の製造システム100は、積層造形装置11と、切削装置12と、積層造形装置11及び切削装置12を統括制御するコントローラ15と、を備える。
積層造形装置11は、先端軸にトーチ17を有する溶接ロボット19と、トーチ17に溶加材(溶接ワイヤ)Mを供給する溶加材供給部21とを有する。トーチ17は、溶加材Mを先端から突出した状態に保持する。
溶接ロボット19は、多関節ロボットであり、先端軸に設けたトーチ17には、溶加材Mが連続供給可能に支持される。トーチ17の位置や姿勢は、ロボットアームの自由度の範囲で3次元的に任意に設定可能となっている。
トーチ17は、不図示のシールドノズルを有し、シールドノズルからシールドガスが供給される。本構成で用いられるアーク溶接法としては、被覆アーク溶接や炭酸ガスアーク溶接等の消耗電極式、TIG溶接やプラズマアーク溶接等の非消耗電極式のいずれであってもよく、製造する溶接構造物Wに応じて適宜選定される。
例えば、消耗電極式の場合、シールドノズルの内部にはコンタクトチップが配置され、溶融電流が給電される溶加材Mがコンタクトチップに保持される。トーチ17は、溶加材Mを保持しつつ、シールドガス雰囲気で溶加材Mの先端からアークを発生する。溶加材Mは、ロボットアーム等に取り付けた不図示の繰り出し機構により、溶加材供給部21からトーチ17に送給される。そして、トーチ17を移動しつつ、連続送給される溶加材Mを溶融及び凝固させると、後述の母材51上に溶加材Mの溶融凝固体である線状の溶着ビード61が形成される。
なお、溶加材Mを溶融させる熱源としては、上記したアークに限らない。例えば、アークとレーザとを併用した加熱方式、プラズマを用いる加熱方式、電子ビームやレーザを用いる加熱方式等、他の方式による熱源を採用してもよい。電子ビームやレーザにより加熱する場合、加熱量を更に細かく制御でき、溶着ビードの状態をより適正に維持して、溶接構造物Wの更なる品質向上に寄与できる。
溶加材Mは、あらゆる市販の溶接ワイヤを用いることができる。例えば、軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ(JIS Z 3312)、軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ(JIS Z 3313)等で規定されるワイヤを用いることができる。
切削装置12は、切削ロボット41を備えている。切削ロボット41は、溶接ロボット19と同様に、多関節ロボットであり、先端アーム43の先端部に、例えば、エンドミルや研削砥石などの金属加工工具45を備える。これにより、切削ロボット41は、コントローラ15により、その加工姿勢が任意の姿勢を取り得るように、3次元的に移動可能となっている。
切削ロボット41は、積層造形装置11の溶接ロボット19によって母材51に溶着ビード61を積層した積層部57を金属加工工具45で切削して造形部53に加工する。
コントローラ15は、CAD/CAM部31と、軌道演算部33と、記憶部35と、これらが接続される制御部37と、を有する。
CAD/CAM部31は、製造しようとする溶接構造物Wの形状データを作成した後、複数の層に分割して各層の形状を表す層形状データを生成する。軌道演算部33は、生成された層形状データに基づいてトーチ17の移動軌跡を求める。また、軌道演算部33は、形状データに基づいて、金属加工工具45の移動軌跡を求める。記憶部35は、溶接構造物Wの形状データ、生成された層形状データ、トーチ17の移動軌跡及び金属加工工具45の移動軌跡等のデータを記憶する。
制御部37は、記憶部35に記憶された層形状データやトーチ17の移動軌跡に基づく駆動プログラムを実行して、溶接ロボット19を駆動する。つまり、溶接ロボット19は、コントローラ15からの指令により、軌道演算部33で生成したトーチ17の移動軌跡に基づき、溶加材Mをアークで溶融させながらトーチ17を移動する。また、制御部37は、記憶部35に記憶された形状データや金属加工工具45の移動軌跡に基づく駆動プログラムを実行して、切削ロボット41を駆動する。これにより、切削ロボット41の先端アーム43に設けられた金属加工工具45によって溶接構造物Wに対して切削加工を行う。
次に、本実施形態の溶接構造物の製造方法について図1及び図3を参照して説明する。
(積層工程)
まず、製造システム100に、母材51をセットする。次いで、設定された層形状データから生成されるトーチ17の移動軌跡に沿って、積層造形装置11のトーチ17を溶接ロボット19の駆動により移動させながら、溶加材Mを溶融させ、図3に示すように、溶融した溶加材Mを母材51の表面55に供給する。これにより、母材51の表面55に複数の線状の溶着ビード61をそれぞれ平行に配列して各層を形成し、さらに各層を積層させて積層部57を形成する。
ここで、最下層の溶着ビード61を形成する際に、造形部53が接合される接合領域JAの外側に、造形部53となる溶着ビード61に連続させて造形部53とならない入熱用の溶着ビード61aを形成する。この入熱用の溶着ビード61aは、造形部53の板幅方向において、接合領域JAの外側に、少なくとも1つずつ形成されればよいが、好ましくは、母材51の接合領域JAの幅W1以上の範囲を形成するように複数ずつ形成される。
例えば、造形部53の板幅方向において、最下層の積層部57の幅をW0、溶着ビード61のビード幅をWb、入熱用の溶着ビード61aの数をnとしたときに、次式(1)を満たすように、入熱用の溶着ビード61aを形成する。
W0-W1≧n×Wb…(1)
(切削工程)
切削ロボット41を駆動させて金属加工工具45によって積層部57を切削加工し、母材51の表面55に板状の造形部53が立設された溶接構造物Wを形成する。具体的には、造形部53の両側面の外側に位置する積層部57を切削するとともに、母材51の表面55に形成した積層部57の入熱用の溶着ビード61aを切削して除去する。
そして、上記の積層工程及び切削工程によって製造された溶接構造物Wでは、母材51の表面55に板状の造形部53が形成され、母材51における造形部53の板幅方向の両側に、積層部57の一部を切削して除去した切削領域SAが形成される。したがって、この切削領域SAは、少なくとも溶着ビード61のビード幅Wbよりも大きな幅を有している。具体的には、造形部53の板幅方向において、切削領域SAは、接合領域JAの外側で、母材51の接合領域JAの幅W1以上の範囲に設けられる。同様に、造形部53の板幅方向において、熱影響部HAは、接合領域JAの外側で、母材51の接合領域JAの幅W1以上の範囲に設けられることになる。
ここで、図4(a)に示す参考例では、入熱用の溶着ビード61aを形成せずに積層部57を形成し、切削工程によって積層部57を切削して造形部53を形成している。この参考例では、入熱用の溶着ビード61aを形成せずに積層部57を形成していることから、母材51に形成される熱影響部HAは、積層部57の最下層の溶着ビード61が形成された箇所を含む造形部53の近傍部分にわたって形成される。
したがって、この参考例では、熱影響部HAのうち、熱の影響を受けていない母材との境界付近に形成される軟化層Nの位置が造形部53の近傍となる。このため、図4(b)に示すように、母材51の残量応力σ1は、軟化層Nが形成された造形部53の近傍位置で最大となる。また、図4(c)に示すように、板幅方向に沿う外力Fが造形部53に作用すると、その外力Fによって母材51に付加される引張応力σ2は、造形部53に近付くにしたがって大きくなる。
したがって、この参考例では、造形部53に外力Fが作用した際に、大きな残留応力σ1を有する母材51における軟化層Nの近傍箇所に、大きな引張応力σ2が付加されることとなる。つまり、母材51における軟化層Nの位置には、残留応力σ1に大きな引張り応力σ2が加わった合計の応力(σ1+σ2)が集中的に付加されることとなり、疲労き裂が生じるおそれがある。
これに対して、本実施形態に係る製造方法で製造された溶接構造物Wでは、図5(a)に示すように、造形部53の板幅方向の両側に、造形部53となる溶着ビード61に連続させて造形部53とならない入熱用の溶着ビード61aを形成することで、熱影響部HAの範囲を広げ、熱影響部HAの軟化層Nを造形部53から離れた位置にすることができる。つまり、図5(b)に示すように、大きな残留応力σ1を有する軟化層Nの位置を造形部53からなるべく離れた位置に配置させることができる。一方、図5(c)に示すように、板幅方向に沿う外力Fが造形部53に作用することで母材51に付加される引張応力σ2は、前述したように、造形部53に近付くにしたがって大きくなる。したがって、軟化層Nが造形部53から大きく離れた位置にされた溶接構造物Wでは、軟化層Nの位置で付加される引張応力σ2が小さくなる。
このように、本実施形態では、大きな残留応力σ1を有する軟化層Nの位置が、外力Fによって付加される引張応力σ2が小さくなる造形部53から十分に離れた位置とされている。つまり、母材51における軟化層Nの位置には、残留応力σ1に比較的小さな引張応力σ2が加わった合計の応力(σ1+σ2)が付加されることとなり、応力集中を抑えて疲労き裂を抑制することが可能となる。
以上、説明したように、本実施形態によれば、造形部53の板幅方向の両側に、造形部53となる溶着ビード61に連続させて造形部53とならない入熱用の溶着ビード61aを形成する。これにより、熱影響部HAの範囲を広げ、熱影響部HAの軟化層Nを造形部53から離れた位置にすることができる。したがって、大きな残留応力σ1が存在する軟化層Nの位置で生じる引張応力σ2を小さくすることができ、軟化層Nの位置における応力集中を抑えて、疲労き裂を抑制することができる。
また、軟化層Nの位置を造形部53から離すために形成する入熱用の溶着ビード61aは、積層部57を切削して造形部53に加工する際に併せて切削して除去するので、入熱用の溶着ビード61aを形成しても切削工程の手間を極力抑えることができる。
しかも、本実施形態では、積層工程において、造形部53の板幅方向の両側に、入熱用の溶着ビード61aを、少なくとも接合領域JAの幅W1以上の範囲にわたって形成する。これにより、軟化層Nの位置を造形部53から十分に離すことができ、軟化層Nの位置における耐久性を確実に確保することができる。
特に、造形部53の板幅方向において、接合領域JAの幅をW1、積層部の幅をW0、溶着ビード61のビード幅をWb、入熱用の溶着ビード61aの数をnとしたときに、W0-W1≧n×Wbを満たすように、入熱用の溶着ビード61aを形成する。これにより、十分な入熱用の溶着ビード61aを無駄なく形成して、軟化層Nの位置における耐久性を高めることができる。
このように、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、入熱用の溶着ビード61aは、母材51の表面55に接する最下層のみに形成されているが、本発明は、母材51に形成される熱影響部HAの範囲が造形部53から必要なだけ離れた位置まで形成されればよい。このため、入熱用の溶着ビード61aは、最下層から所定数の層に亘って、造形部となる溶着ビード61と共に形成されてもよい。具体的に、図6に示す変形例1のように、入熱用の溶着ビード61aは、最下層から所定数の層に亘って、板幅方向の幅が徐々に狭くなるように、斜めに積層されてもよい。或いは、図7に示す変形例2のように、入熱用の溶着ビード61aは、最下層から所定数の層に亘って、板幅方向の幅を変えずに、積層されてもよい。
また、本実施形態では、母材51を板材とし、造形部53を板状に形成しているが、これに限らず、例えば、母材51は、柱状部材であってもよい。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 母材の表面に造形部を形成した溶接構造物を製造する溶接構造物の製造方法であって、
前記母材の表面に溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを層状に積層させて前記造形部となる積層部を形成する積層工程と、
前記積層部を切削して前記造形部に加工する切削工程と、
を含み、
前記積層工程において、少なくも最下層の溶着ビードを形成する際に、前記造形部が接合される前記母材の接合領域の外側に、前記造形部となる前記溶着ビードに連続させて前記造形部とならない入熱用の前記溶着ビードを形成し、
前記切削工程において、前記入熱用の溶着ビードを切削して除去する
溶接構造物の製造方法。
この溶接構造物の製造方法によれば、熱影響部の範囲を広げ、熱影響部と熱の影響を受けていない部分との境界の軟化層を造形部から離れた位置にすることができる。したがって、板幅方向に沿う外力が造形部に作用した場合でも、大きな残留応力が存在する軟化層の位置で生じる引張応力を小さくすることができ、また、造形部での応力集中を抑えて造形部の疲労強度を改善することができる。
また、軟化層の位置を造形部から離すために形成する入熱用の溶着ビードは、積層部を切削して造形部に加工する際に併せて切削して除去するので、入熱用の溶着ビードを形成しても切削工程の手間を極力抑えることができる。
(2) 前記造形部は、板状に形成され、
前記積層工程は、前記造形部の板幅方向において、前記母材の接合領域の外側に、前記入熱用の溶着ビードを、前記母材の接合領域の幅以上の範囲にわたって形成する(1)に記載の溶接構造物の製造方法。
この溶接構造物の製造方法によれば、軟化層の位置を造形部から十分に離すことができ、造形部の疲労強度を改善することができる。
(3) 前記造形部は、板状に形成され、
前記造形部の板幅方向において、前記母材の接合領域の幅をW1、前記積層部の幅をW0、前記溶着ビードのビード幅をWb、前記入熱用の溶着ビードの数をnとしたときに、
W0-W1≧n×Wb
を満たすように、前記積層工程において、前記入熱用の溶着ビードを形成する(1)または(2)に記載の溶接構造物の製造方法。
この溶接構造物の製造方法によれば、十分な入熱用の溶着ビードを無駄なく形成して、造形部の疲労強度を改善することができる。
(4) 母材と、
前記母材の表面に形成され、溶加材を溶融及び凝固させた複数の溶着ビードを積層した積層部を切削加工してなる造形部と、
を備え、
前記母材は、前記造形部が接合される前記母材の接合領域の外側に、前記積層部の一部を切削して除去した、前記溶着ビードのビード幅よりも大きな幅を有する切削領域を有する
溶接構造物。
この溶接構造物によれば、母材における熱影響部の範囲が広げられ、熱影響部と熱の影響を受けていない部分との境界の軟化層が造形部から離れた位置にされる。したがって、板幅方向に沿う外力が造形部に作用した場合でも、大きな残留応力が存在する軟化層の位置で生じる引張応力を小さくすることができ、また、造形部での応力集中を抑えて造形部の疲労強度を改善することができる。
また、切削領域は、積層部を切削して造形部に加工する際に併せて切削して形成することができるので、切削領域を形成するための手間を極力抑えることができる。
(5) 前記造形部は、板状に形成され、
前記切削領域は、造形部の板幅方向において、前記母材の接合領域の外側に、前記母材の接合領域の幅以上の範囲にわたって設けられている(4)に記載の溶接構造物。
この溶接構造物によれば、軟化層の位置を造形部から十分に離すことができ、造形部の疲労強度を改善することができる。
51 母材
53 造形部
55 表面
57 積層部
61,61a 溶着ビード
M 溶加材
n 入熱用の溶着ビードの数
SA 切削領域
W 溶接構造物
W0 積層部の幅
W1 接合領域の幅
Wb ビード幅

Claims (5)

  1. 母材の表面に造形部を形成した溶接構造物を製造する溶接構造物の製造方法であって、
    前記母材の表面に溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを層状に積層させて前記造形部となる積層部を形成する積層工程と、
    前記積層部を切削して前記造形部に加工する切削工程と、
    を含み、
    前記積層工程において、少なくも最下層の溶着ビードを形成する際に、前記造形部が接合される前記母材の接合領域の外側に、前記造形部となる前記溶着ビードに連続させて前記造形部とならない入熱用の前記溶着ビードを形成し、
    前記切削工程において、前記入熱用の溶着ビードを切削して前記母材の表面から除去する
    溶接構造物の製造方法。
  2. 前記造形部は、板状に形成され、
    前記積層工程は、前記造形部の板幅方向において、前記母材の接合領域の外側に、前記入熱用の溶着ビードを、前記母材の接合領域の幅以上の範囲にわたって形成する請求項1に記載の溶接構造物の製造方法。
  3. 前記造形部は、板状に形成され、
    前記造形部の板幅方向において、前記母材の接合領域の幅をW1、前記積層部の幅をW0、前記溶着ビードのビード幅をWb、前記入熱用の溶着ビードの数をnとしたときに、
    W0-W1≧n×Wb
    を満たすように、前記積層工程は、前記入熱用の溶着ビードを形成する請求項1または請求項2に記載の溶接構造物の製造方法。
  4. 母材と、
    前記母材の表面に形成され、溶加材を溶融及び凝固させた複数の溶着ビードを積層した積層部を切削加工してなる造形部と、
    を備え、
    前記母材は、前記造形部が接合される前記母材の接合領域の外側に、前記積層部の一部を切削して前記母材の表面から除去した、前記溶着ビードのビード幅よりも大きな幅を有する切削領域を有する
    溶接構造物。
  5. 前記造形部は、板状に形成され、
    前記切削領域は、前記造形部の板幅方向において、前記母材の接合領域の外側に、前記母材の接合領域の幅以上の範囲にわたって設けられている請求項4に記載の溶接構造物。
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