JP2014207288A - 磁心用軟磁性材料、圧粉磁心およびコイル部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い飽和磁束密度を有し、かつ鉄損を低減可能な磁心用軟磁性材料、また、これを用いた圧粉磁心、これを用いたコイル部材を提供する。
【解決手段】磁心用軟磁性材料1は、絶縁性セラミックスまたは絶縁性ガラスよりなるマトリックス相101と、マトリックス相101中に複数分散された磁性金属よりなる磁性金属粒子102とを有する複合磁性粒子10の集合体より構成されている。複合磁性粒子10における磁性金属粒子102の平均結晶粒径は10nm以下である。この磁心用軟磁性材料1を用いて圧粉磁心2を作製し、この圧粉磁心2をコイル部材3に用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁心用軟磁性材料、圧粉磁心およびコイル部材に関する。
従来、トランス、インダクタ、リアクトル等のコイル部材に用いられる磁心(コア)の材料として、電磁鋼板、鉄系ダスト材等の鉄系軟磁性材料や、フェライト等の酸化物系軟磁性材料が使用されている。また、近年では、新たな材料として、単ロール法や双ロール法によって製造されるアモルファスリボンや、アトマイズ法によって製造されるアモルファスダスト等のアモルファス系軟磁性材料の開発もなされている。
なお、磁心用軟磁性材料に関する技術文献ではないが、本願に先行する特許文献1には、電波吸収体に用いる複合磁性粒子として、Si酸化物がFe結晶粒界に分散しており、Fe粒子とSi酸化物とが交互に層状に形成された扁平形状の複合磁性粒子が開示されている。
特許第3925835号
従来の磁心用軟磁性材料は、以下の点で改善の余地がある。すなわち、近年、コイル部材を利用するスイッチング電源の高周波化に伴い、磁心における渦電流損失が増加している。そのため、フェライト等、電気抵抗の高い酸化物系軟磁性材料を磁心に用いることによって渦電流を低減し、渦電流損失の低減が図られている。
しかしながら、代表的な酸化物系軟磁性材料であるフェライトは、電磁鋼板、鉄系ダスト材等の鉄系軟磁性材料に比較して飽和磁束密度が低い。そのため、大電力を取り扱う場合には、コイル部材が大型化してしまうという欠点がある。
一方、電磁鋼板、鉄系ダスト材等の鉄系軟磁性材料は、飽和磁束密度が高いためコイル部材の小型化には有効である。しかし、電気抵抗が低いために渦電流損失と発熱が大きく、高周波域での使用は困難である。
また、近年開発されているアモルファス系材料は、鉄系軟磁性材料に比べ、比較的電気抵抗が高いため渦電流を比較的低減することができる。しかし、本質的に金属であることには変わりない。そのため、高周波域ではやはり渦電流が流れやすく、渦電流損失が増加してしまう。
高周波域において高効率で小型のコイル部材を実現するためには、高い飽和磁束密度を有し、かつ鉄損(渦電流損失とヒステリシス損失の和)を低減可能な磁心用軟磁性材料が求められている。
本発明は、上述した背景に鑑みてなされたものであり、高い飽和磁束密度を有し、かつ鉄損を低減可能な磁心用軟磁性材料、また、これを用いた圧粉磁心、これを用いたコイル部材を提供しようとして得られたものである。
本発明の一態様は、絶縁性セラミックスまたは絶縁性ガラスよりなるマトリックス相と、該マトリックス相中に複数分散された磁性金属よりなる磁性金属粒子とを有する複合磁性粒子の集合体より構成されており、
上記磁性金属粒子の平均結晶粒径は10nm以下であることを特徴とする磁心用軟磁性材料にある。
本発明の他の態様は、上記磁心用軟磁性材料を用いてなることを特徴とする圧粉磁心にある。
本発明のさらに別の態様は、上記圧粉磁心を有することを特徴とするコイル部材にある。
上記磁心用軟磁性材料は、複合磁性粒子のマトリックス相中に複数分散された磁性金属粒子により、高い飽和磁束密度を実現することができる。また、上記磁心用軟磁性材料は、絶縁性のマトリックス相によって複合磁性粒子中の磁性金属粒子が覆われている。そのため、磁性金属粒子間の電気抵抗が高くなり、これによって複合磁性粒子内の渦電流を遮断し、渦電流損失を低減することができる。また、磁性金属粒子の平均結晶粒径は10nm以下であるので、ヒステリシス損失の低減にも寄与できる。これは磁性金属粒子が単磁区粒径以下となるためであると考えられる。それ故、上記磁心用軟磁性材料は、低い鉄損(渦電流損失とヒステリシス損失の和)を実現することができる。
上記圧粉磁心は、高い飽和磁束密度を有し、かつ鉄損を低減可能な上記磁心用軟磁性材料を用いてなる。そのため、上記圧粉磁心は、コイル部材に適用した場合に、高周波域において高効率で小型のコイル部材の実現に寄与することができる。
上記コイル部材は、上記圧粉磁心を用いている。そのため、上記コイル部材は、高周波域において高効率化、小型化を図ることができる。
実施例1の磁心用軟磁性材料を模式的に示した図である。 実施例2の圧粉磁心を模式的に示した図である。 実施例3のコイル部材の一例を模式的に示した図である。 実験例において各試料の作製に用いたFe粉末のSEM写真である。 実験例において各試料の作製に用いたSiO粉末のSEM写真である。 実験例において作製した試料1の軟磁性粉末のSEM写真である。 実験例において作製した試料2の軟磁性粉末のSEM写真である。 実験例において作製した試料1の軟磁性粉末を構成する複合磁性粒子のTEM写真(30k倍)である。 実験例において作製した試料1の軟磁性粉末を構成する複合磁性粒子のTEM写真(150k倍)である。 図9に示す分析点A1のTEM−EDXによる定性分析結果である。 図9に示す分析点A2のTEM−EDXによる定性分析結果である。
上記磁心用軟磁性材料は、複合磁性粒子の集合体より構成されている。つまり、磁心用軟磁性材料は、複合磁性粒子が集まってなる粉体材料ということができる。複合磁性粒子は、マトリックス相と、マトリックス相中に複数分散された磁性金属粒子とを有している。
上記複合磁性粒子において、マトリックス相は絶縁性セラミックスまたは絶縁性ガラスよりなる。マトリックス相を構成できる絶縁性セラミックスとしては、例えば、SiO、Al、ZnO、ZrO、MgO等の酸化物などを例示することができる。また、マトリックス相を構成できる絶縁性ガラスとしては、例えば、非晶質SiO、ソーダガラス、リン酸塩ガラスなどを例示することができる。マトリックス相は、1種類または2種以上の絶縁性セラミックスおよび/または絶縁性ガラスから構成することができる。マトリックス相としては、具体的には、電気抵抗が高く、渦電流損失を低減しやすい、資源枯渇の問題が少ないなどの観点から、SiO、Alなどを好適に用いることができる。
上記複合磁性粒子において、磁性金属粒子は磁性金属(合金含む)よりなる。用いることができる磁性金属としては、例えば、Fe、Fe合金、Cr、Cr合金、Co、Co合金、Ni、Ni合金等の金属、合金、これら金属、合金に希土類元素が添加されたもの、上記金属、合金にメタロイド元素が添加されたもの、上記金属、合金に炭素が添加されたもの、上記金属、合金に窒素が添加されたものなどを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
この場合は、高い飽和磁束密度を実現するのに有利である。また、比透磁率が高い、保持力が低いなどの利点がある。上記磁性金属としては、具体的には、例えば、Fe、Fe合金、Cr、Cr合金、Co、Co合金、Ni、Ni合金等の金属、合金、これら金属、合金にNd、Pr、La、Sm、Gd、Ce、Eu、Tb、Dy、Ho、および、Erから選択される1種または2種以上の希土類元素が添加されたもの、これら金属、合金にSi、P、B等のメタロイド元素、炭素、および、窒素から選択される1種または2種以上が添加されたものなどを挙げることができる。
マトリックス相中には、1種類の磁性金属粒子が分散されていてもよいし、2種以上の磁性金属粒子が分散されていてもよい。磁性金属粒子としては、より具体的には、Fe、Fe合金や、Fe、Fe合金にNd、Pr、La、Sm、Gd、Ce、Eu、Tb、Dy、Ho、および、Erから選択される1種または2種以上の希土類元素が添加されたもの、Fe、Fe合金にSi、P、B等のメタロイド元素、炭素、および、窒素から選択される1種または2種以上が添加されたもの等の磁性金属よりなる磁性金属粒子を特に好適に用いることができる。高い飽和磁束密度を実現しやすい、比透磁率が高い、保持力が低いなどの利点があるからである。
上記複合磁性粒子において、磁性金属粒子の平均結晶粒径は10nm以下とされる。磁性金属粒子の平均結晶粒径が10nmを超えると、ヒステリシス損を低減し難くなり、低い鉄損を実現し難くなる。磁性金属粒子の平均結晶粒径は、好ましくは10nm未満、より好ましくは9nm以下、さらに好ましくは8nm以下とすることができる。なお、磁性金属粒子の平均結晶粒径の下限は、製造性、酸化抑制等の観点から、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、さらに好ましくは3nm以上とすることができる。
なお、磁性金属粒子の平均結晶粒径は、次のようにして求めることができる。上記磁心用軟磁性材料を樹脂で固定し、FIB(Focused Ion Beam)装置にて観察サンプルを作製する。その後、観察サンプルをTEM(透過型電子顕微鏡)観察し、複合磁性粒子のTEM画像を撮影する。併せて、EDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy)装置等を用いて構成元素の定性分析を行うこともできる。得られたTEM画像における複合磁性粒子の面積範囲を画像解析ソフト(三谷商事(株)、「WinROOF」)を用いて二値化処理し、複合磁性粒子に含まれる各磁性金属粒子の結晶粒径(円面積相当径)を測定して平均値を算出し、これを磁性金属粒子の平均結晶粒径とする。なお、二値化処理の手順は、WinROOFのユーザーマニュアルVersion5.8に従って実施することができる。
上記複合磁性粒子において、磁性金属粒子は等方形状を有していることが好ましい。なお、「等方形状」とは、扁平状、柱状等の異方形状に対する形状のことであり、典型的には、球や球状(球に近い形状)など、一方向に渦電流が流れ難い形状を意味する。
この場合は、複合磁性粒子の粒内における渦電流を遮断しやすくなるため、渦電流損失が増加し難く、低い鉄損を実現しやすくなる。
磁性金属粒子は、上記効果をより確実なものとする観点から、球状であることが好ましい。なお、上記と同様にして、複合磁性粒子のTEM画像を画像解析ソフト(三谷商事(株)、「WinROOF」)を用いて二値化処理し、複合磁性粒子に含まれる各磁性金属粒子の円形度を測定して円形度0.85以上のものが70%以上のときに、全体として球状の磁性金属粒子で構成されていると判断する。
上記複合磁性粒子は、不定形等の形状であることができる。複合磁性粒子は、例えば、非扁平状とすることができる。複合磁性粒子が扁平状になると、形状磁気異方性による残留磁束密度の増加、透磁率の低下などのおそれがある。
上記磁心用軟磁性材料は、その50%粒子径が100nm以上1mm以下であるとよい。なお、「50%粒子径」とは、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準の累積度数分布が50%を示すときの粒子径(直径)d50を意味する。
この場合は、適度な流動性を有するので、磁心製造時の成形性に優れる。そのため、複雑な形状の磁心であっても比較的容易に製造しやすい利点がある。
上記50%粒子径は、流動性、製造性、取扱いの容易さ、複合の安定性などの観点から、好ましくは500nm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは10μm以上とすることができる。上記50%粒子径は、流動性などの観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは80μm以下とすることができる。
上記磁心用軟磁性材料は、例えば、次のようにして製造することができる。すなわち、上記磁心用軟磁性材料は、絶縁性セラミックスまたは絶縁性ガラスの粉末と、磁性金属の粉末とをメカニカルアロイング法によって処理することにより製造することができる。絶縁性セラミックスまたは絶縁性ガラスの粉末としては、例えば、50%粒子径が1nm〜0.5μm程度ものを使用することができる。磁性金属の粉末としては、例えば、50%粒子径が0.1〜80μm程度のものを使用することができる。これら絶縁性セラミックスまたは絶縁性ガラスの粉末と磁性金属の粉末との質量比は、例えば、10:90〜50:50程度とすることができる。メカニカルアロイング法ではボールミルを用いることができ、ボールと粉末の質量比は、80:1〜50:1程度、ボールミルの回転速度は、250〜500rpm程度、処理時間は24〜100時間程度、処理雰囲気は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気などとすることができる。
上記圧粉磁心は、上記磁心用軟磁性材料を用いてなる。上記圧粉磁心は、具体的には、例えば、上記磁心用軟磁性材料(必要に応じてバインダーを添加可能)を圧縮成形し、必要に応じてこれを熱処理することなどによって製造することができる。上記圧粉磁心は、絶縁性セラミックスまたは絶縁性ガラスよりなるマトリックス相と、該マトリックス相中に複数分散された磁性金属よりなる磁性金属粒子とを有する複合磁性粒子の集合体より構成される上記磁心用軟磁性材料を用いているので、圧縮成形時に複合磁性粒子間の絶縁を不要とすることができる。そのため、バインダー量を低減、あるいは不要とすることができ、バインダーによって使用温度が制限され難く、耐熱性向上に有利である。なお、圧粉磁心の形状は、適用するコイル部材に最適な形状とすることができ、特に限定されるものではない。
上記コイル部材は、上記圧粉磁心を有している。コイル部材は、具体的には、例えば、トランス、インダクタ、リアクトル等を例示することができる。
実施例の磁心用軟磁性材料、圧粉磁心、コイル部材について、図面を用いて説明する。なお、同一部材については同一の符号を用いて説明する。
(実施例1)
実施例1の磁心用軟磁性材料1は、図1に示すように、絶縁性セラミックスまたは絶縁性ガラスよりなるマトリックス相101と、マトリックス相101中に複数分散された磁性金属よりなる磁性金属粒子102とを有する複合磁性粒子10の集合体より構成されており、磁性金属粒子102の平均結晶粒径は10nm以下とされている。
本例では、具体的には、マトリックス相101は、SiOである。磁性金属粒子102は、球状のFe粒子である。また、本例の磁心用軟磁性材料1は、その50%粒子径が20〜50μmの範囲にある。
(実施例2)
実施例2の圧粉磁心2は、図2に示すように、実施例1の磁心用軟磁性材料1を用いてなる。本例では、具体的には、圧粉磁心2は、圧縮成形によって磁心用軟磁性材1を固めたものである。なお、磁心用軟磁性材料1における複合磁性粒子10の表面は、従来のFe粉末等の軟磁性材料にて行われる絶縁被覆処理が施されていない。
(実施例3)
実施例3のコイル部材3は、図3に示すように、実施例1の磁心用軟磁性材料1を用いてなる圧粉磁心2を有している。本例では、コイル部材3は、具体的には、トランスである。トランス3は、ギャップを有する圧粉磁心2と、圧粉磁心2の一部の周囲を取り巻くように導体線220を巻いてなる一次コイル22と、圧粉磁心2の一部の周囲を取り巻くように導体線220を巻いてなるとともに一次コイル22への通電により発生する磁束の誘導起電力によって電流が流れるよう構成されている二次コイル23とを有している。一次コイル22に取り巻かれてなる圧粉磁心2の一部と二次コイル23に取り巻かれてなる圧粉磁心2の一部との間に、ギャップ24が形成されている。
本例では、圧粉磁心2は、具体的には、互いに対向させた断面略E字形状の一対のコア部21を組み合わせてなる。そして、一対のコア部21はそれぞれ、平板状の底面部210と、底面部210の端縁から垂直に立ち上がる側面部211と、底面部210の略中央に形成された中央磁脚212とを有する。一次コイル22は、一次コイル22の導体線220が中央磁脚212の外周を取り巻いてなる。二次コイル23は、ギャップ24の周囲を取り巻くように平板状の導体線を円環状に一回巻いてなる。
(実験例)
次に、上記実施例をさらに具体的に説明するために試料1の軟磁性粉末と、試料2の軟磁性粉末とを作製し、両者の比較を行った。以下、これについて説明する。
<試料1>
ガスアトマイズ法によるFe粉末(d50=5μm、図4参照)と、SiO粉末(d50=0.3μm、電気化学工業(株)製、超微粒子球状タイプ「SFP−20M」、図5参照)とジルコニアボール(直径15mm)とを、ジルコニア製ボールミル内に入れ、ボールミルを300rpmの回転速度で50時間回転させることにより、メカニカルアロイング法による処理(以下、「MA処理」ということがある。)を行い、試料1の軟磁性粉末を得た。この際、Fe粉末:SiO粉末の質量比は、70:30とした。また、ジルコニアボール:粉末(Fe粉末およびSiO粉末)の質量比は、80:1とした。
<試料2>
ボールミルを100rpmの回転速度で5時間回転させることにより、メカニカルミリング法による処理(以下、「MM処理」ということがある。)を行った点、ジルコニアボール:粉末(Fe粉末およびSiO粉末)の質量比を、10:1とした点以外は、試料1の軟磁性粉末の作製と同様にして、試料2の軟磁性粉末を得た。
<SEM観察>
得られた各試料の微細構造をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した。その結果を図6および図7に示す。図7に示すように、MM処理にて作製した試料2の軟磁性粉末は、球状のSiO粒子が球状を保ったまま残っていることがわかる。つまり、試料2の粉末は、Fe粒子とSiO粒子との混合粉末であるといえる。これに対し、図6に示すように、MA処理にて作製した試料1の軟磁性粉末は、不定形の粒子の集合体より構成されており、SiO粒子が球状を保ったまま残っていないことがわかる。この結果から、試料1の軟磁性粉末を構成する粒子は、FeとSiOとが複合化された複合磁性粒子(コンポジット粒子)であるといえる。
<TEM観察およびEDXによる点分析>
次に、試料1の軟磁性粉末を樹脂で固定し、FIB装置にて観察サンプルを作製した。次いで、得られた観察サンプルについて、試料1の軟磁性粉末を構成する複合磁性粒子の粒内の微細構造をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察するとともに、EDXを用いて粒内を点分析した。図8および図9にTEM観察結果を示す。また、図10および図11に、図9のTEM画像で示した分析点A1および分析点A2の定性分析結果を示す。
図8〜図11に示されるように、試料1の軟磁性粉末を構成する複合磁性粒子の粒内における薄い灰色の部分(分析点A1で代表される部分)はSiO、黒点(分析点A2で代表される部分)はFeであった。この結果から、試料1の軟磁性粉末を構成する複合磁性粒子は、絶縁性のSiOを主体とするマトリックス相と、このマトリックス中に複数分散された微細なFe粒子とを有していることが確認された。さらに、上述した方法によってTEM画像からFe粒子の平均結晶粒径を測定した結果、Fe粒子の平均結晶粒径は、10nmであった。なお、二値化処理の手順は、上述したソフトウェアの基本機能だけを用い、WinROOFのユーザーマニュアルVersion5.8に従って実施した。また、上述した方法によってTEM画像から複合磁性粒子に含まれる各Fe粒子の円形度を測定した結果、円形度が0.85以上のものが72%以上あった。そのため、複合磁性粒子に含まれるFe粒子は、球状であると判断した。
<磁気測定>
各試料を交流BHトレーサーを用いて交流磁気特性を測定するとともに、VSMを用いて直流磁気特性を測定した。表1に磁気測定結果を、表2に鉄損Pcvの周波数依存性を示す。なお、表2における磁場はいずれも0.03Tである。表1によれば、試料1の軟磁性粉末は、試料2の軟磁性粉末に比べ、高い飽和磁束密度Bsを有し、かつ、100kHzの高周波域でも鉄損Pcvが低減されていることがわかる。また、表2によれば、試料1の軟磁性粉末は、いずれの周波数域においても、試料2の軟磁性粉末に比べて鉄損Pcvが低減されていることがわかる。
以上の結果に示されるように、試料1の軟磁性粉末は、複合磁性粒子のマトリックス相中に複数分散された磁性金属粒子により、高い飽和磁束密度を実現することができた。また、試料1の軟磁性粉末は、絶縁性のマトリックス相によって複合磁性粒子中の磁性金属粒子が覆われている。そのため、磁性金属粒子間の電気抵抗が高くなり、これによって複合磁性粒子内の渦電流を遮断し、渦電流損失を低減することができた。また、試料1の軟磁性粉末は、磁性金属粒子の平均結晶粒径が10nm以下であるので、ヒステリシス損失の低減にも寄与できる。これは磁性金属粒子が確実に単磁区粒径以下となるためであると考えられる。それ故、試料1の軟磁性粉末は、低い鉄損(渦電流損失とヒステリシス損失の和)を実現することができた。したがって、試料1の軟磁性粉末は、磁心用として好適であるといえる。
また、高い飽和磁束密度を有し、かつ鉄損が低減された上記軟磁性粉末を用いて圧粉磁心を作製することにより、コイル部材に適用した場合に、高周波域において高効率で小型のコイル部材の実現に寄与することができるといえる。
また、上記圧粉磁心を有するコイル部材は、高周波域において高効率化、小型化を図ることができるといえる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
1 磁心用軟磁性材料
10 複合磁性粒子
101 マトリックス相
102 磁性金属粒子
2 圧粉磁心
3 コイル部材

Claims (6)

  1. 絶縁性セラミックスまたは絶縁性ガラスよりなるマトリックス相(101)と、該マトリックス相(101)中に複数分散された磁性金属よりなる磁性金属粒子(102)とを有する複合磁性粒子(10)の集合体より構成されており、
    上記磁性金属粒子(102)の平均結晶粒径は10nm以下であることを特徴とする磁心用軟磁性材料(1)。
  2. 上記磁性金属は、Fe、Fe合金、Cr、Cr合金、Co、Co合金、Ni、Ni合金、これら金属、合金に希土類元素が添加されたもの、上記金属、合金にメタロイド元素が添加されたもの、上記金属、合金に炭素が添加されたもの、上記金属、合金に窒素が添加されたものから選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁心用軟磁性材料(1)。
  3. その50%粒子径が100nm以上1mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁心用軟磁性材料(1)。
  4. 上記磁性金属粒子(102)は、等方形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁心用軟磁性材料(1)。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁心用軟磁性材料(1)を用いてなることを特徴とする圧粉磁心(2)。
  6. 請求項5項に記載の圧粉磁心(2)を有することを特徴とするコイル部材(3)。
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