JP2014207265A - 多層セラミック基板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼成工程における材料の収縮挙動を適切に制御できる技術を提供する。
【解決手段】LTCC基板10は、第1と第2のセラミック絶縁層1a,1bが積層された多層構造を有する。第1のセラミック絶縁層1aは、焼成工程において結晶化するガラスを主成分とするガラス材料を含む。第2のセラミック絶縁層1bは、焼成工程において結晶化しないガラスを主成分とするガラス材料を含む。第1のセラミック絶縁層1aに含有されている結晶化するガラスの軟化点温度Taと、第2のセラミック絶縁層1bに含有されている結晶化しないガラスの結晶化温度Tbとは、以下の不等式(1)の関係を満たす。
Ta≦Tb≦Ta+100…(1)
【選択図】図1

Description

本発明は、多層セラミック基板に関する。
多層セラミック基板としては、低温焼成セラミック多層基板(以下、「LTCC基板」とも呼ぶ。「LTCC」は、Low Temperature Co-fired Ceramicsの略語である。)が知られている。LTCC基板はモジュール化や小型化に適しているため、移動体通信分野や自動車分野などにおいて多く利用されている。LTCC基板は、銀や、銅、金などを主成分とする未焼成の導体材料が配置された、未焼成のセラミックシート(グリーンシート)の積層体を低温焼成することによって作製される。
従来から、LTCC基板の焼成工程においては、積層されたセラミックシート同士の収縮挙動や、セラミックシートと導体材料との収縮挙動を一致させることが要求されてきた。ここで、「収縮挙動」には、例えば、焼成中に収縮が始まるタイミングや、焼成中における収縮によるサイズの時間変化の様子、焼成前後における材料の寸法変化率などが含まれる。下記特許文献1−3では、焼成工程における材料の収縮挙動を以下のように制御している。
特許文献1では、低温焼成基板材料を主成分とする第1のグリーンシートの表層に、第1のグリーンシートよりも高い焼結温度を有する無機組成物を主成分とする第2のグリーンシートが配置される。これによって、比較的低い焼成温度で実行される第1の焼成時においては、第2のグリーンシートによって第1のグリーンシートの収縮が抑制される。また、比較的高い焼成温度で実行される第2の焼成時においては、第1の焼成時に焼結済みの内層によって表層の第2のグリーンシートの収縮が抑制される。
特許文献2では、第1ガラス転移点を有するガラス成分を含む第1未焼結シートと、第1ガラス転移点よりも80℃以上低い第2ガラス転移点を有するガラス成分を含む第2未焼結シートと、を用いて未焼成の積層基板が構成される。特許文献2の焼成工程では、第1ガラス転移点よりも低く第2ガラス転移点よりも高い温度で焼成する第1工程と、第1ガラス転移点よりも高い温度で焼成する第2工程とが実行される。第1工程では、第2未焼結シートの収縮応力が第1未焼結シートによって緩和され、第2工程では、第1未焼結シートの収縮応力が第2未焼結シートによって緩和される。
特許文献3では、第1の無機組成物によって構成される第1絶縁層と、第1の無機組成物よりも高温で焼結に伴う収縮が開始される第2の無機組成物によって構成され、第1の絶縁層よりも厚みが厚い第2絶縁層と、が交互に積層されて積層体が構成される。また、当該積層体では、第1絶縁層と第2絶縁層との間に、第1絶縁層の収縮開始温度よりも高く第2絶縁層の収縮開始温度よりも低い温度で収縮が開始される導体層が配置される。特許文献3では、当該積層体の焼成工程として、第1絶縁層を主に焼結させる加熱工程と、導体層を主に焼結させる加熱工程と、第2絶縁層を主に焼結させる加熱工程とが順に実行される。
特開平6−97656号公報 特開2006−245628号公報 特開2004−304150号公報
ところで、LTCC基板の製造工程では、グリーンシートおよび導体材料を有する積層基板を焼成した後に、当該積層基板の表層に電極や抵抗体の未焼成材料を配置して再び焼成する二次焼成が実行される場合がある。この二次焼成においては焼成前後における積層基板の寸法変化率と表層に配置された導体材料の寸法変化率とが互いに一致することが望ましい。しかしながら、上述した特許文献1−3の技術はいずれも、一次焼成における材料の収縮挙動の制御については考慮されているが、一次焼成後の二次焼成における材料の収縮挙動の制御については一切考慮されていない。
このように、LTCC基板の製造工程においては、二次焼成における材料の収縮挙動の制御については、これまで十分な工夫がなされてこなかった。また、従来のLTCC基板の製造工程においては、二次焼成に限らず、一次焼成を含む焼成工程の全般における材料の収縮挙動の制御ついて依然として改良の余地があった。その他に、従来のLTCC基板の製造工程においては、工程の容易化や簡易化、工程数の低減、低コスト化、省資源化、使用される設備や器具の小型化、使い勝手の向上等が望まれていた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
[1]本発明の一形態によれば、多層セラミック基板の製造方法が提供される。この製造方法は、(a)結晶化しないガラスを主成分とするガラス材料を含む第1の未焼成ガラス材料層と、結晶化するガラスを主成分とするガラス材料を含む第2の未焼成ガラス材料層と、を含む複数の未焼成絶縁材料層が積層されている未焼成積層基板であって、前記複数の未焼成絶縁材料層の間と、前記複数の未焼成絶縁材料層の最外層の表面と、に配置されている未焼成の配線材料と、前記配線材料と接続されるように、前記複数の未焼成絶縁材料層のそれぞれを厚み方向に貫通している貫通孔に配置されている未焼成の貫通電極材料と、を備える未焼成積層基板を準備する工程と;(b)前記未焼成積層基板を焼成して、結晶化しないガラスを主成分とするガラス材料を含む第1の絶縁層と、結晶化ガラスを主成分とするガラス材料を含む第2の絶縁層と、を含む複数の絶縁層と、前記複数の絶縁層の間と、前記複数の絶縁層の最外層の表面と、に配置されている配線と、前記複数の絶縁層のそれぞれを厚み方向に貫通している貫通電極と、を備える焼成積層基板を形成する工程と;(c)前記焼成積層基板の最外層の表面に未焼成の抵抗材料または未焼成の電極材料を配置して焼成することによって、前記最外層の表面において前記配線に接続されている抵抗または電極を形成する工程と、を備え;前記結晶化しないガラスの軟化点温度Ta(℃)と、前記結晶化ガラスの結晶化温度Tb(℃)と、が、 Ta≦Tb≦Ta+100の関係を満たす。この形態の製造方法によれば、工程(b)の焼成(一次焼成)中においては、第1の未焼成ガラス材料層の過度な収縮が第2の未焼成ガラス材料層によって抑制される。また、工程(c)の焼成(二次焼成)中においては、第1の絶縁層の過度な収縮が第2の絶縁層の収縮によって抑制される。
[2]上記形態の製造方法において、前記結晶化するガラス材料の結晶化温度は、前記工程(c)における焼成温度よりも高くても良い。この形態の製造方法によれば、二次焼成中における第1の絶縁層の過度な収縮をより確実に抑制することができる。
[3]本発明の他の形態によれば、多層セラミック基板が提供される。この多層セラミック基板は、積層されている複数の絶縁層と;前記複数の絶縁層の間と、前記複数の絶縁層の最外層の表面と、に配置されている配線と;前記配線に接続され、前記複数の絶縁層のそれぞれを厚み方向に貫通している貫通電極と;前記複数の絶縁層の最外層の表面において前記配線に接続されている抵抗または電極と;を備え、前記複数の絶縁層は、少なくとも、結晶化しないガラスを主成分とするガラス材料を含む第1の絶縁層と、結晶化ガラスを主成分とするガラス材料を含む第2の絶縁層と、を含み;前記結晶化しないガラスの軟化点温度Ta(℃)と、前記結晶化ガラスの結晶化温度Tb(℃)と、が、 Ta≦Tb≦Ta+100の関係を満たすことを特徴とする。この形態の多層セラミック基板によれば、焼成工程におけるセラミック材料と導体材料の収縮挙動が適切に制御されるため、焼成工程における材料の収縮に伴う不具合の発生が抑制される。
[4]上記形態の多層セラミック基板において、前記第1の絶縁層の厚みの合計taと、前記第2の絶縁層の厚みの合計tbとが、 tb≦ta×0.1の関係を満たしていても良い。この形態の多層セラミック基板によれば、焼成工程において、第2の絶縁層の収縮が第1の絶縁層によって過度に抑制されてしまうことを抑制できる。
本発明は、多層セラミック基板や多層セラミック基板の製造方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、多層セラミック基板を製造するための未焼成基板や、未焼成基板を焼成する方法、多層セラミック基板の最外層への抵抗または電極の配置方法、それらの方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
LTCC基板の構成を示す概略図。 LTCC基板の製造工程の手順を示す説明図。 LTCC基板の製造工程における各工程の内容を模式的に示す模式図。 LTCC基板の製造工程における各工程の内容を模式的に示す模式図。 LTCC基板の他の構成例を示す概略図。 LTCC基板の他の構成例を示す概略図。 LTCC基板のサンプルの製造条件とその評価とをまとめた表を示す説明図。 第2実施形態としてのLTCC基板の製造工程の手順を示す説明図。 LTCC基板の製造工程における各工程の内容を模式的に示す模式図。 第3実施形態としてのLTCC基板の製造工程の手順を示す説明図。 LTCC基板の製造工程における各工程の内容を模式的に示す模式図。
A.第1実施形態:
図1は、本発明の一実施形態としてのLTCC基板10の構成を示す概略図である。LTCC基板10は、コンピュータや通信機器等で用いられる高周波モジュールやICパッケージに用いられる回路基板である。LTCC基板10は、第1のセラミック絶縁層1aと第2のセラミック絶縁層1bとが積層された多層構造を有している。なお、本実施形態のLTCC基板10は、5層構造であり、1層の第2のセラミック絶縁層1bの両側にそれぞれ2層の第1のセラミック絶縁層1aが配置されている。
ここで、第1のセラミック絶縁層1aは、焼成工程において結晶化しないガラスを主成分として構成されており、第2のセラミック絶縁層1bは、焼成工程において結晶化するガラスを主成分として構成されている。本明細書において「主成分」とは、混合物において全体の50重量%以上の含有率を占める材料成分を意味する。本実施形態のLTCC基板では、第1と第2のセラミック絶縁層1a,1bを有することによって、焼成工程における材料の収縮挙動が適切に制御されているが、その詳細については後述する。
各セラミック絶縁層1a,1bには、厚み方向に貫通する貫通孔2h(以下、「ビア2h」とも呼ぶ)が設けられており、各ビア2h内にはビア電極2が配置されている。また、各セラミック絶縁層1a,1bの間および最外層の表面には配線パターン3が配置されている。各層の配線パターン3同士は、ビア電極2を介して電気的に接続されている。
LTCC基板10の最外層の表面には、配線パターン3に電気的に接続されている電極5および抵抗体6が配置されている。以下では、電極5および抵抗体6を、特に、「表層電極5」および「表層抵抗体6」とも呼ぶ。本実施形態のLTCC基板10は、第1と第2のセラミック絶縁層1a,1bと、ビア電極2および配線パターン3と、を同時焼成する一次焼成と、表層電極5および表層抵抗体6の材料を焼成する二次焼成と、を経て製造される。具体的には以下の通りである。
図2は、LTCC基板10の製造工程の手順を示すフローチャートである。図3,図4は、LTCC基板10の製造工程における各工程の内容を模式的に示す模式図である。以下の説明では、図2のステップS10,S20の工程については図3を参照図とし、ステップS30〜S70の工程については図4を参照図として用いる。ステップS10では、未焼成のセラミック材料シートである第1と第2のグリーンシート1ag,1bgが準備される(図3)。第1と第2のグリーンシート1ag,1bgはそれぞれ、一次焼成によって第1と第2のセラミック絶縁層1a,1bになる。
第1と第2のグリーンシート1ag,1bgはそれぞれ、セラミック原料粉末と、バインダー成分と、可塑剤と、溶剤と、を混合したセラミックスラリーを、ドクターブレード法などによってシート状に成形することによって作製される。セラミック原料粉末は、ガラス粉末と無機フィラーとを混合した混合材料である。なお、第1のグリーンシート1agは、焼成工程において結晶化しないガラス材料を主成分として作製され、第2のグリーンシート1bgは、焼成工程において結晶化するガラス材料を主成分として作製される。
ステップS20では、各グリーンシート1ag,1bgにビア電極2および配線パターン3の未焼成材料である導体ペーストが配置される。具体的に、導体ペーストとしては、ビア電極2を形成するためのビア導体ペースト2gと、配線パターン3を形成するための配線導体ペースト3gと、が準備される。ビア導体ペースト2gおよび配線導体ペースト3gはそれぞれ、銀粉末などの導体粉末と、ガラス粉末と、バインダ成分と、溶剤とを混合することによって作製される。
ビア導体ペースト2gは、パンチ加工によって各グリーンシート1ag,1bgに形成されたビア2hに充填される。配線導体ペースト3gは、例えば、スクリーン印刷法などによって、各グリーンシート1ag,1bgの表面に所定のパターンを形成するように塗布される。導体ペースト2g,3gが配置された各グリーンシート1ag,1bgが所定の順序で積層されて圧着されることよって、未焼成積層基板10gが構成される。
ステップS30では、未焼成積層基板10gの両面に、拘束シート7が配置される(図3)。拘束シート7は、一次焼成において、未焼成積層基板10gの平面方向の収縮を適切に抑制する。拘束シート7は、第1のグリーンシート1agと同様に、セラミック原料粉末をシート状に成形することよって作製される。なお、拘束シート7は、一次焼成の後に除去される。
ステップS40では、拘束シート7が配置された未焼成積層基板10gが1000℃以下の焼成温度で焼成(一次焼成)され、焼成済積層基板10aが形成される。一次焼成においては、第1と第2のグリーンシート1ag,1bgにおけるセラミック材料と導体材料とが同時に焼結される同時焼結性が確保されるように、両者の収縮挙動が適切に制御されることが望ましい。セラミック材料と導体材料の同時焼結性が確保されることによって、ビア電極2や配線パターン3の周囲にボイドとも呼ばれる空隙が生じるなどの不具合が抑制される。
ステップS50では、焼成済積層基板10aの両面に、表層電極5および表層抵抗体6の未焼成材料である電極ペースト5gおよび抵抗ペースト6gが配置される。なお、抵抗ペースト6gの表層には、さらに、表層抵抗体6をガラスコーティングするためのガラスペーストが塗布されても良い。ステップS60では、電極ペースト5gおよび抵抗ペースト6gが配置された焼成済積層基板10aが再び1000℃以下の焼成温度で焼成(二次焼成)される。
ステップS70では、仕上げ工程として、焼成後の表層抵抗体6をレーザートリミング装置などによって抵抗値が調整される。また、ICやチップ部品などの所定の部品(図示及び詳細な説明は省略)が、表層電極5等にハンダやワイヤー(Au,Cu,Al等)によって接続される。これによって、LTCC基板10が完成される。
ところで、一次焼成によって既に焼成済みのセラミック絶縁層であっても、二次焼成中に収縮してしまう可能性がある。二次焼成においてセラミック絶縁層が過度に収縮してしまうと、表層の導体材料との間で寸法変化率の差が生じてしまい、表層電極および表層抵抗の接触不良などの不具合が生じてしまう可能性がある。なお、二次焼成においては、収縮を抑制するための拘束シートをセラミック絶縁層に配置しても、一次焼成済みのセラミック絶縁層と未焼成の拘束シートとの間では十分な接合性が確保されないため、セラミック絶縁層の収縮を十分に抑制することはできない。
しかし、本実施形態のLTCC基板10は、セラミック絶縁層として、焼成工程において結晶化しないガラス材料を主成分とする第1のセラミック絶縁層1aと、焼成工程において結晶化するガラス材料を主成分とする第2のセラミック絶縁層1bと、を備えている。第2のセラミック絶縁層1bは、一次焼成において結晶化したガラス成分によって緻密化されているため、二次焼成における収縮の度合いが、ガラス成分が結晶化していない第1のセラミック絶縁層1aよりも小さい。従って、二次焼成においては、第2のセラミック絶縁層1bによって第1のセラミック絶縁層1aの過度な収縮が抑制される。
ここで、第1のセラミック絶縁層1aを構成する結晶化しないガラスの軟化点温度Ta(℃)と、第2のセラミック絶縁層1bを構成する結晶化するガラスの結晶化温度Tb(℃)とは、以下の不等式(1)で表される関係を満たしていることが好ましい。この理由を以下に説明する。
Ta≦Tb≦Ta+100…(1)
セラミック絶縁層の焼成工程では、セラミック絶縁層は、含有しているガラスが軟化して空隙に流動することによって緻密化される。そのため、焼成工程における焼成温度は、セラミック絶縁層が含有するガラスが十分に流動するように、その軟化点温度よりも高い温度に設定されることが望ましい。
しかし、焼成温度がセラミック絶縁層が含有するガラスの軟化点温度よりも著しく高い温度に設定されると、セラミック絶縁層の収縮が促進されてしまい、セラミック材料と導体材料の収縮速度がずれてしまう可能性がある。セラミック材料と導体材料の収縮速度のずれが大きいと、セラミック材料と導体材料との同時焼結性が確保されなくなる。そのため、焼成温度は、セラミック絶縁層のガラスの軟化点温度との差が100℃以下になるように設定されることが望ましい。
よって、本実施形態のLTCC基板10の製造工程では、一次焼成の焼成温度TF1は、少なくとも、第1のセラミック絶縁層1aの軟化点温度Taに対して下記の不等式(2)の範囲内で設定されることが望ましい。
Ta≦TF1≦Ta+100…(2)
ここで、第2のセラミック絶縁層1bのガラスの結晶化温度Tbが一次焼成の焼成温度TF1に対して低すぎると、一次焼成において、第2のセラミック絶縁層1bが早期の段階で硬化を開始してしまう可能性がある。第2のセラミック絶縁層1bが硬化が早まると、第1のセラミック絶縁層1aの収縮が第2のセラミック絶縁層1bによって過度に抑制されてしまい、導体材料との同時焼結性が確保されなくなってしまう可能性がある。
一方、第2のセラミック絶縁層1bのガラスの結晶化温度Tbが一次焼成の焼成温度TF1に対して高すぎると、一次焼成において第2のセラミック絶縁層1bのガラスが十分に結晶化しなくなってしまう可能性がある。そのため、二次焼成において、第1のセラミック絶縁層1aの収縮が第2のセラミック絶縁層1bによって十分に抑制されなくなってしまう可能性がある。
しかし、第2のセラミック絶縁層1bのガラスの結晶化温度Tbと第1のセラミック絶縁層1aのガラスの軟化点温度Taとが上記の不等式(1)の関係を満たしていれば、当該結晶化温度Tbは一次焼成の焼成温度TF1から著しく乖離してしまうことが抑制される。従って、上述したような、不具合が抑制される。
また、本発明の発明者は、実験により、本実施形態のLTCC基板10では、第1のセラミック絶縁層1aの厚みtaと、第2のセラミック絶縁層1bの厚みtbとが以下の不等式(3)で表される関係を満たしていることが好ましいことを見出した。なお、厚みta,tbはそれぞれ、LTCC基板10に含まれる第1と第2のセラミック絶縁層1a,1bのそれぞれの厚みの合計を意味している。
tb≦ta×0.1…(3)
第2のセラミック絶縁層1bを構成する第2のグリーンシート1bgでは、一次焼成中にガラスが結晶化するため、焼成に伴う収縮の度合いは、第1のセラミック絶縁層1aを構成する第1のグリーンシート1agよりも大きい傾向にある。そのため、一次焼成中には、第2のグリーンシート1bgは、第1のグリーンシート1agによって、その収縮が抑制される。
しかし、第2のセラミック絶縁層1bの厚みtbが、第1のセラミック絶縁層1aの厚みtaに対して大きすぎると、一次焼成中に、第2のグリーンシート1bgの収縮が第1のグリーンシート1agによって十分に抑制されない可能性がある。この場合には、第2のグリーンシート1bgが過度に収縮してしまい、第2のグリーンシート1bgにおいてセラミック材料と導体材料との同時焼結性が低下してしまう可能性がある。
これに対して、第1のセラミック絶縁層1aの厚みtaと、第2のセラミック絶縁層1bの厚みtbとが上記の関係を満たしていれば、第1と第2のグリーンシート1ag,1bgの互いの収縮の度合いを適切に拮抗させることができる。従って、一次焼成中における第2のグリーンシート1bgの収縮を第1のグリーンシート1agによって適切に抑制することができ、セラミック材料と導体材料との同時焼結性が低下が抑制される。
なお、上記説明における厚みta,tbはそれぞれ、完成後のLTCC基板10における各セラミック絶縁層1a,1bの厚みである。しかし、上記説明における厚みta,tbはそれぞれ、焼成前の未焼成積層基板10gにおける第1と第2のグリーンシート1ag,1bgの厚みであるとしても良い。
さらに、本実施形態のLTCC基板10の製造工程においては、二次焼成における焼成温度が、第2のセラミック絶縁層1bの主成分である結晶化するガラスの結晶化温度よりも高いことが好ましい。二次焼成の焼成温度がこのように設定されていれば、二次焼成において第2のセラミック絶縁層1bのガラスをより確実に結晶化させることができ、第2のセラミック絶縁層1bを十分に硬化させることができる。従って、二次焼成における第1のセラミック絶縁層1aの収縮を第2のセラミック絶縁層1bによってより確実に抑制することができる。
図5A,図5Bは、本実施形態のLTCC基板10の他の構成例を示す概略図である。図5AのLTCC基板10Aは、4層の第1のセラミック絶縁層1aと、2層の第2のセラミック絶縁層1bと、を備えている。LTCC基板10Aでは、2層の第2のセラミック絶縁層1bのそれぞれが、第1のセラミック絶縁層1aの間に配置されている。このように、第2のセラミック絶縁層1bを複数備えている構成であっても、図1で説明したLTCC基板10と同様に、一次焼成および二次焼成におけるセラミック材料と導体材料の収縮挙動が適切に制御される。
図5BのLTCC基板10Bは、3層の第1のセラミック絶縁層1aと、1層の第2のセラミック絶縁層1bを備えている。LTCC基板10Bでは、第2のセラミック絶縁層1bは最外層に配置されている。このように、第2のセラミック絶縁層1bは、第1のセラミック絶縁層1aの間に配置されていなくても良い。LTCC基板10Bのように、第2のセラミック絶縁層1bが最外層に配置されていても、図1で説明したLTCC基板10と同様に、一次焼成および二次焼成におけるセラミック材料と導体材料の収縮挙動が適切に制御される。
以上のように、LTCC基板10の構成は図1に示された構成に限定されることはない。LTCC基板10は、少なくとも、焼成工程において結晶化しないガラスを主成分とするガラス材料を含む第1のセラミック絶縁層1aと、焼成工程において結晶化するガラスを主成分とするガラス材料を含む第2のセラミック絶縁層1bとを備えていれば良い。
ただし、第1のセラミック絶縁層1aのガラスの軟化点温度Taと、第2のセラミック絶縁層1bのガラスの結晶化温度Tbとは、上述した不等式(1)の関係を満たしていることが望ましい。また、第1と第2のセラミック絶縁層1a,1bの厚みta,tbは上述した不等式(3)の関係を満たしていることがより好ましい。さらに、その製造工程では、二次焼成の焼成温度が第2のセラミック絶縁層1bのガラスの結晶化温度Tbよりも高いことが好ましい。
図6は、本発明の発明者が作製したLTCC基板のサンプルの製造条件とその評価とをまとめた表を示す説明図である。本発明の発明者は、異なる材料によって構成された第1と第2のセラミック絶縁層を有する多層構造のLTCC基板のサンプルT1〜T10を作製し、その評価を行った。各サンプルT1〜T10の具体的な製造条件および評価結果は以下の通りである。
1.製造条件:
<第1のグリーンシート>
第1のセラミック絶縁層を構成する第1のグリーンシートを以下のように作製した。なお、第1のグリーンシートは、各サンプルT1〜T10において共通であり、軟化点温度は758℃であった。
[1]材料:
(1)ガラス粉末(結晶化しないガラス材料):酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ホウ素(B23)を主成分とするホウケイ酸系ガラス粉末
(2)無機フィラー:アルミナ粉末(平均粒径3μm,比表面積1.8m2/g)
(3)バインダー成分:アクリル系バインダー
(4)可塑性分:ジオクチルフタレート(DOP)
(5)溶剤:メチルエチルケトン(MEK)
[2]製法:
(1)ホウケイ酸系ガラス粉末と、アルミナ粉末と、を体積比60:40となるように秤量して(総量1kg)、アルミナ製ポットに投入した。
(2)アルミナ製ポットに、さらに、アクリル樹脂(120g)と、MEKおよびDOP(所望のスラリー粘度とシート強度とを確保できる量)と、を投入した。
(3)アルミナ製ポットに投入された上記の材料を5時間混合してセラミックスラリーを得た。
(4)上記セラミックスラリーを用いて、ドクターブレード法により、厚み0.15mmのグリーンシートを作製した。
<第2のグリーンシート>
第2のセラミック絶縁層を構成する第2のグリーンシートを以下のように作製した。なお、下記のガラス粉末は、各サンプルT1〜T10用のものを準備した。サンプルT1〜T8用のガラス粉末は、サンプルごとに結晶化温度が異なるように組成が調整されたものを使用した。サンプルT9,T10用のガラス粉末は非晶質となるように組成が調整されたものを使用した。
[1]材料:
(1)ガラス粉末(結晶化するガラス材料):酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ホウ素(B23)、酸化バリウム(BaO)を主成分とするバリウムホウケイ酸系ガラス粉末
(2)無機フィラー:アルミナ粉末(平均粒径3μm,比表面積1.8m2/g)
(3)バインダー成分:アクリル系バインダー
(4)可塑性分:ジオクチルフタレート(DOP)
(5)溶剤:メチルエチルケトン(MEK)
[2]製法:
(1)バリウムホウケイ酸系ガラス粉末と、アルミナ粉末と、を体積比60:40(サンプルT3のみ65:35)となるように秤量して(総量1kg)、アルミナ製ポットに投入した。
(2)アルミナ製ポットに、さらに、アクリル樹脂(120g)と、MEKおよびDOP(所望のスラリー粘度とシート強度とを確保できる量)と、を投入した。
(3)アルミナ製ポットに投入された上記の材料を5時間混合してセラミックスラリーを得た。
(4)セラミックスラリーを用いて、ドクターブレード法により、厚み0.05mmの第2のグリーンシートを作製した。
<配線導体ペースト>
配線導体ペーストを以下の材料によって作製した。
[1]材料:
(1)銀粉末(平均粒径0.9μm)
(2)ホウケイ酸ガラス(軟化点温度700℃)
(3)樹脂、有機溶剤:エチルセルロース樹脂、ターピネオール
[2]製法:
銀粉末(100重量部)に対してホウケイ酸ガラス(2重量部)を添加し、さらに、エチルセルロース樹脂とターピネオールとを加えて、3本ロールミルによって混練して作製した。
<ビア導体ペースト>
ビア導体ペーストを以下の材料によって作製した。
[1]材料:
(1)銀粉末(平均粒径3.5μm)
(2)ホウケイ酸ガラス(軟化点温度800℃)
(3)樹脂、有機溶剤:エチルセルロース樹脂、ターピネオール
[2]製法:
銀粉末100重量部に対してホウケイ酸ガラス5重量部を添加し、さらに、エチルセルロース樹脂とターピネオールとを加えて、3本ロールミルによって混練して作製した。
<未焼成積層基板>
(1)各グリーンシートのサンプルにビアを形成してビア導体ペーストを充填した。また、各グリーンシートのサンプルに配線導体ペーストを用いて配線パターンを形成した。
(2)第1のグリーンシートのサンプル(4層)と第2のグリーンシートのサンプル(1層)とを組み合わせて積層し、厚みが0.65mmの未焼成積層基板のサンプルT1〜T10を作製した。
<拘束シート>
一次焼成において未焼成積層基板の各サンプルT1〜T10の表層に配置する拘束シートを作製した。拘束シートは、セラミック原料粉末としてアルミナ粉末のみを用いた点以外は、第1のグリーンシートと同様な製法によって、厚さ0.30mmで作製した。
<一次焼成>
未焼成積層基板の各サンプルT1〜T10の表層に拘束シートを配置し、以下の条件で一次焼成を行った。
(1)焼成温度:850℃
(2)焼成時間:30分
(3)荷重(積層方向に付与):0.2MPa
<二次焼成>
一次焼成された後の焼成済み積層基板の各サンプルT1〜T10から拘束シートを除去した後、それぞれの表層に抵抗ペーストを塗布し、以下の条件で二次焼成を行った。
(1)焼成温度:850℃
(2)焼成時間:30分
2.評価結果:
<基板評価>
一次焼成の前に、各サンプルT1〜T10の基板面内の所定の3カ所にピッチ100mmで寸法測定用の穴(直径0.5mm)を形成しておき、二次焼成後に前記ピッチを測定し、一次焼成前と二次焼成後における平面方向の寸法変化率を算出した。また、導体(ビア電極、配線パターン、表層抵抗体)の周囲における基板の様子を観察して評価を行った。
[1]サンプルT1〜T5について
サンプルT1〜T5では、第2のセラミック絶縁層が焼成工程において結晶化するガラスを主成分としていた。また、第2のセラミック絶縁層のガラスの結晶化温度は、第1のセラミック絶縁層のガラスの軟化点温度より高く、当該軟化点温度との差が100℃以下であった。従って、サンプルT1〜T5の寸法変化率はいずれも0.05以下であり良好であった。また、導体の周囲にボイドなどの不具合が生じることはなかった。
ここで、第2のセラミック絶縁層のガラスの結晶化温度が二次焼成温度よりも5℃以上高いサンプルT2,T3では、サンプルT1,T4,T5よりも著しく寸法変化率が小さくなった。具体的に、サンプルT2,T3では、寸法変化率が0.02よりも小さかった。これは、二次焼成において、第2の絶縁セラミック絶縁層のガラスの結晶化が促進されたためであると考えられる。
[2]サンプルT6,T7について
サンプルT6,T7では、第2のセラミック絶縁層のガラスの結晶化温度が、第1のセラミック絶縁層のガラスの軟化点温度よりも100℃以上高く、一次焼成および二次焼成の焼成温度よりも50℃以上高かった。サンプルT6,T7では、寸法変化率が0.4を超えており、著しく大きくなった。これは、第2のセラミック絶縁層のガラスが一次焼成において十分に結晶化しなかったため、二次焼成において、第1のセラミック絶縁層の収縮が十分に抑制されなかったためであると考えられる。
[3]サンプルT8について
サンプルT8では、第2のセラミック絶縁層のガラスの結晶化温度が、第1のセラミック絶縁層のガラスの軟化点温度よりも50℃以上低かった。サンプルT8では、寸法変化率が0.05を超えるとともに、導体の周囲にボイドが生じていた。これは、一次焼成の焼成温度に対して第2のグリーンシートのガラスの結晶化温度が低すぎたために、一次焼成中に第2のグリーンシートのガラスが早期に結晶化してしまい、セラミック材料と導体材料の収縮挙動が乖離してしまったためであると考えられる。
[4]サンプルT9,T10について
サンプルT9,T10では、第2のセラミック絶縁層のガラス成分は結晶化するガラスを主成分として有していなかった。サンプルT9,T10では、寸法変化率が0.5を超えて著しく大きくなってしまった。これは、第2のセラミック絶縁層が結晶化ガラスを含有していなかったため、二次焼成において、第1のセラミック絶縁層の収縮が十分に抑制されなかったためであると考えられる。
以上のように、本実施形態のLTCC基板10およびその製造工程によれば、一次焼成および二次焼成におけるセラミック材料と導体材料の収縮挙動が適切に制御される。従って、焼成工程における材料の収縮に伴う不具合の発生が抑制される。
B.第2実施形態:
図7は、本発明の第2実施形態としてのLTCC基板の製造工程の手順を示すフローチャートである。第2実施形態の製造工程は、ステップS10の工程に換えてステップS11,S12の工程が実行される点以外は、第1実施形態で説明した製造工程(図2)と同様である。図8は、図3と同様な模式図であり、ステップS11〜S20の工程内容を示している。以下では、図7のステップS11〜S20の各工程を、図8を参照図として用いて説明する。
ステップS11では、第1のセラミック絶縁層1aを構成する第1のグリーンシート1agが準備される。第1のグリーンシート1agは、第1実施形態で説明したのと同様な方法によって作製される。ステップS12では、第2のセラミック絶縁層1bを構成する第2のグリーンシート1bgが準備される。
第2実施形態の製造工程では、第2のグリーンシート1bgは、ステップS11において作製された第1のグリーンシート1agの中から適宜選択されたものの表面に絶縁体ペーストを塗布することによって作製される。以下では、この一体的に形成された第1と第2のグリーンシート1ag,1bgを「合体グリーンシート1cg」とも呼ぶ。絶縁体ペーストは、ガラス粉末と無機フィラーとが混合されたセラミック原料粉末と、バインダー成分と、可塑剤と、溶剤と、を混練してペースト状にした未焼成のセラミック材料である。より具体的には、絶縁ペーストは、以下の作製方法によって得られる。
<絶縁ペースト>
[1]材料:
(1)ガラス粉末(結晶化するガラス):酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ホウ素(B23)、酸化バリウム(BaO)を主成分とするバリウムホウケイ酸系ガラス粉末
(2)無機フィラー:アルミナ粉末(平均粒径3μm,比表面積1.8m2/g)
(3)樹脂、有機溶剤:エチルセルロース樹脂、ターピネオール
[2]製法:
ホウケイ酸系ガラス粉末と、アルミナ粉末と、を重量比65:35で混合し、さらに、エチルセルロース樹脂と、ターピネオールと、を添加して、3本ロールミルによって混練する。
ステップS20では、ステップS11で作製された第1のグリーンシート1agと、ステップS12で作製された合体グリーンシート1cgと、に導体ペースト2g,3gが配置される。導体ペースト2g,3gは第1実施形態で説明したものと同じであり、その配置方法も、第1実施形態で説明した方法と同じである。ステップS20では、さらに、導体ペースト2g,3gが配置された第1のグリーンシート1agおよび合体グリーンシート1cgが所定の順序で積層・圧着されることによって、未焼成積層基板10gCが作製される。なお、ステップS30以降の工程は、第1実施形態で説明した工程と同様であるため、その説明は省略する。
以上のように、第2実施形態の製造工程であっても、第1と第2のセラミック絶縁層を有するLTCC基板を製造することができる。なお、第2実施形態の製造工程であれば、第2のグリーンシート1bgが第1のグリーンシート1agに支持された状態で形成されるため、第2のグリーンシート1bgを薄型化することができる。従って、第2のセラミック絶縁層1bを薄型化することができる。
C.第3実施形態:
図9は、本発明の第3実施形態としてのLTCC基板の製造工程の手順を示すフローチャートである。第3実施形態の製造工程は、ステップS12,S20の工程に換えてステップS21〜S23の工程が実行される点以外は、第2実施形態で説明した製造工程(図2)と同様である。図10は、図8と同様な模式図であり、ステップS11〜S23の工程内容を示している。以下では、図9のステップS11〜S23の各工程を、図10を参照図として用いて説明する。
ステップS11では、第1のセラミック絶縁層1aを構成する第1のグリーンシート1agが第1実施形態で説明したのと同様な方法によって作製される。ステップS21では、ステップS11で作製された第1のグリーンシート1agのそれぞれに、導体ペースト2g,3gが配置される。導体ペースト2g,3gは第1実施形態で説明したものと同じであり、その配置方法も、第1実施形態で説明した方法と同じである。
ステップS22では、ステップS21において導体ペースト2g,3gが配置された第1のグリーンシート1agの中から適宜選択されたものの表面に、絶縁ペーストを塗布して、第2のグリーンシート1bgを作製する。絶縁ペーストは、第2実施形態で説明したものと同じである。以下では、この工程において作製された、第1と第2のグリーンシート1ag,1bgが一体化されたシートを「合体グリーンシート1dg」とも呼ぶ。
なお、ステップS22では、絶縁ペーストは、完成後のLTCC基板において各セラミック絶縁層間に配置された配線パターン同士の電気的導通が阻害されないように、導電経路を考慮して塗布される。絶縁ペーストは、例えば、図10に示されているように、第1のグリーンシート1agの表面に配置されている配線導体ペースト3gの周囲に塗布されても良い。
ステップS23では、ステップS21において導体ペースト2g、3gが配置された第1のグリーンシート1agと、ステップS22において合体グリーンシート1dgとが、所定の順序で積層・圧着されることによって、未焼成積層基板10gDが作製される。なお、ステップS30以降の工程は、第1実施形態で説明した工程と同様であるため、その説明は省略する。
以上のように、第3実施形態の製造工程であっても、第1と第2のセラミック絶縁層1a,1bを有するLTCC基板を製造することができる。また、第3実施形態の製造工程においも、第2実施形態の製造工程と同様に、第2のセラミック絶縁層1bを薄型化することができる。
D.変形例:
D1.変形例1:
上記各実施形態では、一次焼成の後に、焼成済積層基板10aの最外層に表層電極5および表層抵抗体6の未焼成材料が配置されていた(図2のステップS50)。しかし、一次焼成の後には、焼成済積層基板10aの最外層に表層電極5および表層抵抗体6の両方の未焼成材料が配置されなくても良く、表層電極5および表層抵抗体6のうちのいずれか一方の未焼成材料が配置されれば良い。例えば、表層電極5の未焼成材料は、一次焼成の前に、未焼成積層基板10gの最外層に配置されても良い。
D2.変形例2:
上記実施形態では、一次焼成の前に、未焼成積層基板10gの両面に拘束シート7が配置されていた。しかし、一次焼成における拘束シート7の使用は省略されても良い。ただし、一次焼成において拘束シート7を使用すれば、LTCC基板10の焼成における収縮をより適切に制御することができる。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
1a…第1のセラミック絶縁層
1ag…第1のグリーンシート
1b…第2のセラミック絶縁層
1bg…第2のグリーンシート
1cg…合体グリーンシート
1dg…合体グリーンシート
2…ビア電極
2g…ビア導体ペースト
2h…ビア
3…配線パターン
3g…配線導体ペースト
5…表層電極
5g…電極ペースト
6…表層抵抗体
6g…抵抗ペースト
7…拘束シート
10,10A,10B…LTCC基板
10a…焼成済積層基板
10g,10gC,10gD…未焼成積層基板

Claims (4)

  1. 多層セラミック基板の製造方法であって、
    (a)結晶化しないガラスを主成分とするガラス材料を含む第1の未焼成ガラス材料層と、結晶化するガラスを主成分とするガラス材料を含む第2の未焼成ガラス材料層と、を含む複数の未焼成絶縁材料層が積層されている未焼成積層基板であって、
    前記複数の未焼成絶縁材料層の間と、前記複数の未焼成絶縁材料層の最外層の表面と、に配置されている未焼成の配線材料と、
    前記配線材料と接続されるように、前記複数の未焼成絶縁材料層のそれぞれを厚み方向に貫通している貫通孔に配置されている未焼成の貫通電極材料と、
    を備える未焼成積層基板を準備する工程と、
    (b)前記未焼成積層基板を焼成して、
    結晶化しないガラスを主成分とするガラス材料を含む第1の絶縁層と、結晶化ガラスを主成分とするガラス材料を含む第2の絶縁層と、を含む複数の絶縁層と、
    前記複数の絶縁層の間と、前記複数の絶縁層の最外層の表面と、に配置されている配線と、
    前記複数の絶縁層のそれぞれを厚み方向に貫通している貫通電極と、
    を備える焼成積層基板を形成する工程と、
    (c)前記焼成積層基板の最外層の表面に未焼成の抵抗材料または未焼成の電極材料を配置して焼成することによって、前記最外層の表面において前記配線に接続されている抵抗または電極を形成する工程と、
    を備え、
    前記結晶化しないガラスの軟化点温度Ta(℃)と、前記結晶化ガラスの結晶化温度Tb(℃)と、が、
    Ta≦Tb≦Ta+100
    の関係を満たす、製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法であって、
    前記結晶化するガラス材料の結晶化温度は、前記工程(c)における焼成温度よりも高い、製造方法。
  3. 積層されている複数の絶縁層と、
    前記複数の絶縁層の間と、前記複数の絶縁層の最外層の表面と、に配置されている配線と、
    前記配線に接続され、前記複数の絶縁層のそれぞれを厚み方向に貫通している貫通電極と、
    前記複数の絶縁層の最外層の表面において前記配線に接続されている抵抗または電極と、
    を備える多層セラミック基板において、
    前記複数の絶縁層は、少なくとも、
    結晶化しないガラスを主成分とするガラス材料を含む第1の絶縁層と、
    結晶化ガラスを主成分とするガラス材料を含む第2の絶縁層と、
    を含み、
    前記結晶化しないガラスの軟化点温度Ta(℃)と、前記結晶化ガラスの結晶化温度Tb(℃)と、が、
    Ta≦Tb≦Ta+100
    の関係を満たすことを特徴とする、多層セラミック基板。
  4. 請求項3記載の多層セラミック基板であって、
    前記第1の絶縁層の厚みの合計taと、前記第2の絶縁層の厚みの合計tbとが、
    tb≦ta×0.1
    の関係を満たす、多層セラミック基板。
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