JP2014206469A - 磁気分離用磁性複合粒子 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚染物質を溶解させた水中に長時間浮遊して、汚染物質の吸着効率を高くすることができる低コストな磁気分離用磁性複合粒子を提供する。
【解決手段】磁気分離用磁性複合粒子10は、コア部に、ソフトフェライト材料を微粉砕してなるソフトフェライト微砕粉1と、表層に、汚染物質類を捕捉する捕捉性化合物3と、ソフトフェライト微砕粉1を直接被覆し、ソフトフェライト微砕粉1と捕捉性化合物3の間に実質的に形成されている被覆層2とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】磁気分離用磁性複合粒子10は、コア部に、ソフトフェライト材料を微粉砕してなるソフトフェライト微砕粉1と、表層に、汚染物質類を捕捉する捕捉性化合物3と、ソフトフェライト微砕粉1を直接被覆し、ソフトフェライト微砕粉1と捕捉性化合物3の間に実質的に形成されている被覆層2とを備える。
【選択図】図1
Description
水中から汚濁物質を取り除く方法の一つに磁気分離法がある。本発明は磁気分離法に用いるソフトフェライト微砕粉を含有する磁性複合粒子に関するものである。本手法はたとえば放射性セシウムの除去へも応用可能とされている。
平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震によって発生した福島第一原子力発電所の事故は、高濃度の放射能汚染水が復旧作業の大きな障壁となっている。放射能汚染水中に含まれる放射性セシウム137の半減期は約30.1年、放射性ストロンチウム90の半減期は約28.9年と長期間に及ぶため、大量に存在する放射能汚染水の処理が極めて深刻な事態となっている。たとえば、放射性セシウムは、食物連鎖により魚、動物の筋組織などに蓄積され、人体に取り込まれて、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がんの確率を高めることが報告されている。
このような状況において、吸着材として知られるゼオライトや、放射性セシウムの解毒剤として利用されるフェロシアン化鉄を含む物質を磁性粒子の周囲に被覆するように付着させた磁性複合粒子を放射能汚染水に投入して、放射性セシウムを吸着させた後に、電磁石の磁力により回収する方法やシステムが提案されている。これも磁気分離法の一種と考えられる。
特許文献1には、上述のような除染システムに用いる、硬質磁性体であるマグネタイトの磁性粒子をコア部として、コア部の周囲をフェロシアン化鉄で被覆した複合磁性粒子について記載されている。
文献1に記載された除染方法では、放射性セシウムを含んだ焼却飛灰を水中に投入、撹拌して、水中に溶解したセシウムイオンを磁性複合粒子を用いて吸着させる。このため、磁性複合粒子は、長時間水中を浮遊している方が、より効率よく放射性セシウムを吸着し、回収することができる。
しかしながら、マグネタイトは、硬質磁性体であるため、保磁力が大きく、一旦磁化されると、マグネタイトの磁性粒子同士が磁力により相互に凝集してしまい、水中に浮遊することなく沈降してしまう。また、磁性粒子が磁力により凝集すると、比表面積が減少してしまい、この点からも吸着効率が低下するとの問題がある。さらに、一旦磁化したマグネタイトの磁性粒子を減磁することは作業性の点で実用的でないため、1回ごとに使用した磁性粒子を廃棄して新しい磁性粒子を用いる必要があるので、資源再利用の観点での問題があり、マグネタイトの磁性粒子自体の製造コストが高いために、除染システムの費用増大が避けられないとの問題もある。
そこで、本発明では、たとえば、汚染物質であるセシウムイオンを溶解させた水中に長時間浮遊して、放射性セシウムの吸着効率を高くすることができる低コストな磁気分離用磁性複合粒子を提供することを目的とする。
本発明に係る磁気分離用磁性複合粒子は、コア部に、ソフトフェライト材料を微粉砕してなるソフトフェライト微砕粉と、表層に、汚染物質類を捕捉する捕捉性化合物と、ソフトフェライト微砕粉を直接被覆し、ソフトフェライト微砕粉と捕捉性化合物の間に実質的に形成されている被覆層とを備える。
好ましくは、ソフトフェライト微砕粉は、高透磁率材料を含み、結晶構造のスピネル度が98%以上である。
本発明によれば、コア部にソフトフェライト微砕粉を用いているために、保磁力が小さく、互いに凝集しにくいので、長時間水中を浮遊することができ、効率よく放射性物質類を吸着して回収することができる。
また、本発明によれば、高透磁率材料を含んでいるので、磁気分離用磁性複合粒子を磁力吸引してより高い効率で放射性物質類を回収することが可能になる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることはもちろんである。
本明細書で述べる汚染物質のうち、放射性物質とは、ウラン、プルトニウム、トリウムのような核燃料物質、放射性元素、放射性同位体、又は中性子を吸収若しくは核反応を起こして生成された放射化物全般を指す。また、放射性物質類とは、ウラン、プルトニウム、トリウムのような核燃料物質、放射性元素、放射性同位体、又は中性子を吸収若しくは核反応を起こして生成された放射化物質全般、及び放射性同位体の安定同位体(非放射性物質)も含むものとする。本発明の放射性物質類の除染方法は、放射性物質のみならず、放射性物質である放射性同位体の安定同位体に対しても同様に適用できる。
本発明の回収の対象となる液体、すなわち、汚染物質類が含有された液体は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば特に限定されない。好適な例としては、放射能汚染水等の水系、有機溶剤が一部に含まれている水系溶剤を挙げられるが、有機溶剤系に適用することも可能である。本発明の回収の対象となる液体は、たとえば、雨水、地下水、雪解け水、海水、河川、湖、池、貯水槽等の水や、汚染土壌を含む土壌水、汚染した塵の分散水、汚染した埃の分散水、汚染がれき・装置・機械などの洗浄水、三輪車・自転車・オートバイ・自動車・電車・貨車・船・飛行機・ヘリコプタ等、人・動物・荷物などの輸送手段を洗浄した水、上水道へ供給する水、中水道に供給する水、下水道から集められた水、下水汚泥、浄水汚泥、放射性物質類を含む焼却灰の分散水、牛乳、果汁、お茶などの食品を含む飲料水、収穫した茶葉等の洗浄水、母乳、内部被爆者の血清や体液、その他動物・植物・微生物由来の水分・汚染水・洗浄水を挙げることができる。なお、上水道、中水道に供給する水とは、たとえば、各家庭に供給する水、工業用水、農業用水、林業・畜産業・水産業に使用する水を含む。
なお、説明は、以下の順序により行う。
1.磁気分離用磁性複合粒子の構成
2.磁気分離用磁性複合粒子の構成の変形例1
3.磁気分離用磁性複合粒子の構成の変形例2
4.磁気分離用磁性複合粒子の製造方法
(1)ソフトフェライト微砕粉の製造方法
(2)磁気分離用磁性複合粒子の製造方法
5.磁気分離用磁性複合粒子を用いた除染方法の原理及び手順
6.磁気分離用磁性複合粒子に用いるソフトフェライト微砕粉の磁気的特性
1.磁気分離用磁性複合粒子の構成
2.磁気分離用磁性複合粒子の構成の変形例1
3.磁気分離用磁性複合粒子の構成の変形例2
4.磁気分離用磁性複合粒子の製造方法
(1)ソフトフェライト微砕粉の製造方法
(2)磁気分離用磁性複合粒子の製造方法
5.磁気分離用磁性複合粒子を用いた除染方法の原理及び手順
6.磁気分離用磁性複合粒子に用いるソフトフェライト微砕粉の磁気的特性
1.磁気分離用磁性複合粒子の構成
図1(A)及び図1(B)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る磁気分離用磁性複合粒子10は、コア部にソフトフェライト微砕粉1と、表層に汚染物質を捕捉する捕捉性化合物3とを備える。磁気分離用磁性複合粒子10は、ソフトフェライト微砕粉1を直接被覆し、ソフトフェライト微砕粉1と捕捉性化合物3の間に実質的に形成されている被覆層2を備えており、ソフトフェライト微砕粉1、被覆層2、及び捕捉性化合物3の多層構造からなる。
図1(A)及び図1(B)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る磁気分離用磁性複合粒子10は、コア部にソフトフェライト微砕粉1と、表層に汚染物質を捕捉する捕捉性化合物3とを備える。磁気分離用磁性複合粒子10は、ソフトフェライト微砕粉1を直接被覆し、ソフトフェライト微砕粉1と捕捉性化合物3の間に実質的に形成されている被覆層2を備えており、ソフトフェライト微砕粉1、被覆層2、及び捕捉性化合物3の多層構造からなる。
ソフトフェライト微砕粉1は、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化銅又は酸化亜鉛等の原料を、後述する所定の工程により粉砕し、焼成等して生成される。なお、本明細書では、ソフトフェライトとは、軟磁性特性を示すフェライト材料を言うものとし、ソフトフェライトを後述する所定の工程により形成された粒子、微粒子、ナノ粒子、粒状態、粉末、破砕粉、粉状体をソフトフェライト微砕粉と言うものとする。
本発明が適用された磁気分離用磁性複合粒子10に用いられるソフトフェライト微砕粉1には、粒径の制限はないが、水中で分散して長時間浮遊させるために、ソフトフェライト微砕粉1の粒子径は小さいことが有利であり、粒径が1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがさらに好ましい。
ソフトフェライト微砕粉1は、電磁石や磁石に吸引されることによって水中から回収されるため、磁気的特性が高いこと、特に初透磁率μiが高いことが必要であり、初透磁率μiが2.5以上であることが好ましく、7.5以上であることがさらに好ましい。
本発明が適用された磁気分離用磁性複合粒子10に用いられるソフトフェライト微砕粉1は、ソフトフェライト材料を粉砕して生成されるので、表面に多くの凹凸があることにより、被覆層2を介して、表層である捕捉性化合物3の結合を強くすることができる。
捕捉性化合物3は、汚染物質類を捕捉できるものであればよく、捕捉したい汚染物質に応じて任意の公知のものを制限なく用いることができる。捕捉性化合物3としては、金属フェロシアン化物を用いることができる。また、ゼオライト、イライト、雲母、バーミキュライト(vermiculite)、スメクタイト(smectite)等の粘土鉱物全般、活性炭、イオン交換体全般、公知の天然・人工のナノ多孔体、ペクチンなどの食物繊維等を用いてもよい。金属フェロシアン化物の具体例としては、フェロシアン化鉄(プルシアンブルー)、フェロシアン化ニッケル、フェロシアン化コバルト、フェロシアン化銅などのフェロシアン化金属が好適な例として挙げられる。イオン交換体は、イオン交換樹脂、バーミキュライト・ベントナイト等の天然イオン交換体や、リン酸ジルコニウム、あるいは酸化アルミニウム等の無機イオン交換体などが挙げられる。放射性物質類がセシウムの場合には、フェロシアン化鉄、フェロシアン化ニッケル、フェロシアン化コバルト、ゼオライト、粘土鉱物、ペクチン(食物繊維)を用いるのが特に好ましい。その他、グアー豆酵素分解物、アガロース、グルコマンナン、ポリデキストロース、アルギン酸ナトリウム、イヌリン、カラギーナン、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン等も有効である。なお、プルシアンブルーは、セシウムの他、タリウム除去などにも有効である。捕捉性化合物3は、捕捉したい放射性物質類に応じて適宜設計すればよい。捕捉性化合物3には、必要に応じて、熱処理や圧熱処理等の処理を施してもよい。たとえば、ゼオライトなどは、熱処理や圧熱処理によってセシウム吸着能を向上させることができる。複数種類の放射性物質を捕捉したい場合には、種類の異なる捕捉性化合物を被覆性磁性粒子に導入したり、複数の磁気分離用磁性複合粒子を用いればよい。
被覆層2は、コア部に形成されたソフトフェライト微砕粉1を直接被覆する層として機能する。被覆層2は、ソフトフェライト微砕粉1と捕捉性化合物3の間に実質的に設けられており、これらを接着させる機能を担う。ソフトフェライト微砕粉1と被覆層2との結合形態は、公知の技術を制限なく用いることができる。結合強度の観点からは、共有結合、あるいは静電結合を用いることが好ましい。たとえば、ソフトフェライト微砕粉1では、高分子電解質を用いることによって容易に被覆することができる。
被覆層2と捕捉性化合物3の結合形態は、特に限定されることはないが、静電結合、又は共有結合が好ましい。被覆層2には、捕捉性化合物3と結合する反応基を有することが好ましい。また、被覆層2の反応基を調節することにより、所望量の捕捉性化合物3をソフトフェライト微砕粉1に導入することが可能となる。なお、異種のソフトフェライト材料からなるソフトフェライト微砕粉、異種の捕捉性化合物を組み合わせて、磁性複合粒子を製造することも可能である。
被覆層2の好適な例として、脂質、界面活性剤、高分子を挙げることができる。また、シリカ等の無機物でもよく、いわゆるプラスチック材でもよい。高分子としては、末端にアルコキシシリル基、クロロシリ基、イソシアナトシリル基、メルカプト基等を有するポリエチレングリコール等の高分子、ポリ−L−リジン、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、メチルグリコールキトサン(MGch)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ(アクリルアミド−co−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ジアリルジメチルアンモニウム等のカチオン性ポリ電解質、4−スチレンスルホン酸ナトリウム、ポリ(4−スチレンスルホン酸−co−マレイン酸)ナトリウム、ポリアネトールスルホン酸ナトリウム、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、ポリ(4−スチレンスルホン酸)アンモニウム、ポリ(4−スチレンスルホン酸)リチウム、ポリ(4−スチレンスルホン酸)、ポリ(4−スチレンスルホン酸−co−マレイン酸)ナトリウム、ポリ(アクリル酸、ナトリウム塩)、ポリ(ビニルスルホン酸、ナトリウム塩)、ポリ(硫酸ビニル)カリウム塩、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリビニル硫酸カリウム(PVSK)等のポリア二オン性ポリ電解質等が挙げられる。被覆層2の反応基としては、アピジン−ビオチン系結合、エポキシ基、トシル基、エステル基、チオール基、アミノ基、ハロゲン化アシル基、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、アルデヒド基、マレイミド基、ビニルスルホン基、ベンゾトリアゾールカーボネート基、プロモアセトアミド基などが挙げられる。放射性照射により耐熱性・耐候性などの向上作用のあるポリエチレンなどの架橋型ポリマーを一部含んでも良い。また、ソフトフェライト微砕粉に対して、公知の界面活性剤を使用することができる。
2.磁気分離用磁性複合粒子の構成の変形例1
本発明の磁気分離用磁性複合粒子は、単一の複合粒子のみならず、複数のソフトフェライト微砕粉1がクラスタを形成した形態であってもよい。すなわち、図2に示すように、磁気分離用磁性複合粒子10aは、コア部に複数のソフトフェライト微砕粉1と、表層に捕捉性化合物3とを備える。磁気分離用磁性複合粒子10aは、複数のソフトフェライト微砕粉1を直接被覆し、ソフトフェライト微砕粉1と捕捉性化合物3の間に実質的に形成されている被覆層2を備えている。これらの各層が多層構造をなして磁気分離用磁性複合粒子10aを構成している。
本発明の磁気分離用磁性複合粒子は、単一の複合粒子のみならず、複数のソフトフェライト微砕粉1がクラスタを形成した形態であってもよい。すなわち、図2に示すように、磁気分離用磁性複合粒子10aは、コア部に複数のソフトフェライト微砕粉1と、表層に捕捉性化合物3とを備える。磁気分離用磁性複合粒子10aは、複数のソフトフェライト微砕粉1を直接被覆し、ソフトフェライト微砕粉1と捕捉性化合物3の間に実質的に形成されている被覆層2を備えている。これらの各層が多層構造をなして磁気分離用磁性複合粒子10aを構成している。
ソフトフェライト微砕粉1がクラスタを形成する場合には、隣接するソフトフェライト微砕粉1同士が離間しており、それぞれのソフトフェライト微砕粉1の表層を被覆層2を介して捕捉性化合物3が覆うように形成されていればよい。また、隣接するソフトフェライト微砕粉1が密着しており、ソフトフェライト微砕粉1のクラスタの表層、すなわちクラスタを凸包体としてこれを覆うように形成されていてもよい。この例においては、磁気分離用磁性複合粒子10は、負に帯電しているクラスタに対し正に帯電している被覆層2を静電結合により結合させ、さらに、負に帯電している捕捉性化合物3を被覆層2に結合させる。ソフトフェライト微砕粉1がクラスタを形成することによって、磁気分離用磁性複合粒子10の磁力による吸着力及び吸着スピードを高めることができ、磁気集積効率を高めることができる。
3.磁気分離用磁性複合粒子の構成の変形例2
磁気分離用磁性複合粒子10bのソフトフェライト微砕粉1は、隣接するソフトフェライト微砕粉1同士が密着し、内部に中空を有するカゴ状骨格をなすようにすることもできる。図3に示すように、捕捉性化合物3は、被覆層2を介して、磁性粒子の内部に内包するようにしてもよい。
磁気分離用磁性複合粒子10bのソフトフェライト微砕粉1は、隣接するソフトフェライト微砕粉1同士が密着し、内部に中空を有するカゴ状骨格をなすようにすることもできる。図3に示すように、捕捉性化合物3は、被覆層2を介して、磁性粒子の内部に内包するようにしてもよい。
このようなソフトフェライト微砕粉1からなるカゴ状骨格には、多孔体状に多数の空隙4が形成される。空隙率が1%未満の場合には、密着形成されたソフトフェライト微砕粉1自体の骨格構造や磁気分離用磁性複合粒子10bの製造が困難となる恐れがある。一方、空隙率が50%を超えると、骨格を保持することが難しくなる恐れがあるため、カゴ状骨格の空隙率は、1%以上、50%以下とすることが好ましい。製造安定性の観点からは、空隙率は、5%以上、30%以下とすることが好ましい。なお、空隙4のサイズや形状は、カゴ状骨格の骨格を維持できるものであれば特に限定されない。
このように、ソフトフェライト微砕粉1を中空を有するカゴ状骨格に形成することによって、磁気分離用磁性複合粒子10bの比重を小さくして水中での分散性を高めて水中での浮遊時間を長くすることができる。
4.磁気分離用磁性複合粒子の製造方法
(1)ソフトフェライト微砕粉の製造方法
上述したように、ソフトフェライトでは、マグネタイトに比べて保磁力Hcが格段に低いので、磁界印加後も磁化が残留せずに、繰り返し用いることができる。一方で、ソフトフェライトでは、粒径が小さくなるように製造すると、透磁率等の磁気的性能が低下することが知られている。これは、ソフトフェライトが酸化工程を経て、組成式AFe2O4(AはMn、Cu,Ni等)で表わされる結晶スピネル構造を形成するところ、粒径が小さい場合には酸化反応が進み過ぎて、AFe2O3が形成されて結晶スピネル構造が維持できなくなることによるものと考えられる。
(1)ソフトフェライト微砕粉の製造方法
上述したように、ソフトフェライトでは、マグネタイトに比べて保磁力Hcが格段に低いので、磁界印加後も磁化が残留せずに、繰り返し用いることができる。一方で、ソフトフェライトでは、粒径が小さくなるように製造すると、透磁率等の磁気的性能が低下することが知られている。これは、ソフトフェライトが酸化工程を経て、組成式AFe2O4(AはMn、Cu,Ni等)で表わされる結晶スピネル構造を形成するところ、粒径が小さい場合には酸化反応が進み過ぎて、AFe2O3が形成されて結晶スピネル構造が維持できなくなることによるものと考えられる。
そこで、本発明が適用された磁気分離用磁性複合粒子のコア部に用いられるソフトフェライト微砕粉では、通常のフェライトの製造工程において、酸化還元雰囲気及び温度の設定・管理を行うことで、微砕粉でありながら、高い割合で結晶スピネル構造を形成し、高い磁気的性能を発揮することができる。
以下、具体的な製造の手順について説明する。
Mn−Zn系のフェライトの場合には、酸化鉄、酸化マンガン、酸化亜鉛等を、Ni−Zn系のフェライトの場合には、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛等を所定の割合だけ配合し、これと純水と混合してスラリーを作製し、ボールミル等でこれらの原料を粉砕する。
次に、粉砕したスラリーをプレスして脱水し、乾燥機を用いて乾いた粉にする。
ロータリキルン炉やバッチ式焼成炉等を用いて、乾いた粉末を所定の時間だけ焼成する。この際、酸化還元雰囲気・流量及び焼成温度を制御してフェライトへの化学変化を進行させることで、結晶スピネル構造の粒状粉を生成する。
そして、結晶スピネル構造の硬く焼けた粒状粉を、アトマイザやロールクラッシャ等の粉砕装置を用いてさらに細かく粉砕する。より微細な微砕粉を得るために、この際に粒径が1μm〜2μm程度まで細かく粉砕することが好ましい。
細かく粉砕された焼粉を、再度純水と混合してスラリーを作成し、ボールミルやアトライタ等の粉砕装置を用いて、メジアン径1μmになるまでさらに細かく粉砕する。磁気分離用磁性複合粒子として用いる場合に、十分な水中の浮遊時間を確保するためには、メジアン径0.5μm以下になるまで粉砕することが好ましい。
このようにして微小な粉砕粉まで微粉砕されたスラリーをスプレードライヤ等の乾燥機を用いて乾燥し、ソフトフェライト微砕粉1を得る。
粉砕に用いる粉砕機としては、上述のほか、衝撃摩擦粉砕機、遠心力粉砕機、チューブミル、コンパウンドミル、円錐形ボールミル、ロッドミル、振動ミル、コロイドミル、摩擦円盤ミル又はジェットミル等周知の粉砕装置を用いることができるのは言うまでもない。また、焼成装置としては、上述以外にも、ローラーハースキルン、プッシャーキルン、多段炉、流動炉等周知の焼成装置を用いることができるのは言うまでもない。
上述したように、通常のフェライト材料及びフェライト製造工程を用いて、所定の焼成条件管理を行うことによって、1μm未満のサブミクロン粒子のソフトフェライト微砕粉であっても、ソフトフェライト微砕粉中の結晶スピネル構造の粒子の重量比率であるスピネル度が98%以上の磁気特性に優れた磁気分離用磁性複合粒子を形成することができる。
(2)磁気分離用磁性複合粒子の製造方法
本発明が適用された磁気分離用磁性複合粒子10は、上述したソフトフェライト微砕粉1を用いて製造される。
本発明が適用された磁気分離用磁性複合粒子10は、上述したソフトフェライト微砕粉1を用いて製造される。
まず、ソフトフェライト微砕粉1の分散液、被覆層を形成する化合物(以下、「被覆層形成用化合物」という。)の分散液、捕捉性化合物の分散液を調製する。なお、本明細書でいう分散液とは、粒子の溶解の有無等は問わない。分散液は、水系、有機溶媒系、水/有機溶媒混合系の溶媒が好適に用いられる。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、添加剤を任意に加えてもよい。
次に、ソフトフェライト微砕粉1に被覆層2が形成された被覆性磁性粒子を形成する。被覆性磁性粒子の形成方法も、特に限定されず、公知の方法を制限なく利用することができる。被覆層形成用化合物の分散液、ソフトフェライト微砕粉の分散液を調製し、これらを混合撹拌することにより被覆性磁性粒子を得ることができる。混合撹拌する方法は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において特に限定されない。たとえば、被覆層形成用化合物の分散液を浴槽型超音波破砕装置で分散させつつ、ソフトフェライト微砕粉1の分散液を滴下して超音波処理し、次いで、遠心分離を行って上澄みを取り除く操作を1回から複数回行うことにより被覆性磁性粒子を得ることができる。所望の粒子形態に応じて、適宜、混合撹拌条件や、分散液を変更することにより、図2に示すようなソフトフェライト微砕粉1がクラスタを形成した被覆性磁性粒子を形成することができ、図3に示すような多数のソフトフェライト微砕粉がカゴ状骨格をなす被覆性磁性粒子を得ることができる。なお、被覆層形成用化合物の分散液、ソフトフェライト微砕粉の分散液を混合する例を挙げたが、この方法に限定されるものではなく、たとえば、溶媒中に、直接、被覆層形成用化合物、ソフトフェライト微砕粉1を投入して、被覆性磁性粒子を生成するようにしてもよい。
次に、磁気分離用磁性複合粒子10を形成する。磁気分離用磁性複合粒子10の形成方法は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の方法を取り得る。捕捉性化合物3の分散液と被覆性磁性粒子の分散液とを混合撹拌することにより得ることができる。より具体的には、捕捉性化合物3の分散液を撹拌しながら、被覆性磁性粒子の分散液を滴下し、混合させる。被覆性磁性粒子の分散液を滴下する際は、捕捉性化合物3の分散液を入れた容器に超音波破砕機のプローブを挿入し、超音波照射を用いて、撹拌効率を高めるようにしてもよい。捕捉性化合物3の分散液と被覆性磁性粒子の分散液の混合割合は、磁気分離用磁性複合粒子10を形成できる範囲において特に限定されないが、10:1〜1:10の範囲が好ましく、2:1〜1:8がより好ましく、1:1〜1:6の範囲がさらに好ましく、1:3〜1:4の範囲が特に好ましい。また、被覆層2を形成する化合物に、捕捉性化合物3と結合する反応基が導入されている場合には、必要に応じて、分散液に反応を促進する触媒等の添加剤を適宜、加えてもよい。なお、被覆性磁性粒子の分散液を攪拌しながら、捕捉性化合物3の分散液を滴下して混合してもよい。
5.磁気分離法の一例として、磁気分離用磁性複合粒子を用いた除染方法の原理及び手順の説明。
以下の手順で説明するように、磁気分離用磁性複合粒子を用いた除染方法では、磁気分離用磁性複合粒子10のコア部をなすソフトフェライト微砕粉1の磁気特性によって、強力な磁界を発生する電磁石等に吸引させて、磁気分離用磁性複合粒子10の表層をなす捕捉性化合物3に吸着された放射性セシウムを回収する。
以下の手順で説明するように、磁気分離用磁性複合粒子を用いた除染方法では、磁気分離用磁性複合粒子10のコア部をなすソフトフェライト微砕粉1の磁気特性によって、強力な磁界を発生する電磁石等に吸引させて、磁気分離用磁性複合粒子10の表層をなす捕捉性化合物3に吸着された放射性セシウムを回収する。
ここで、コア部として硬質磁性体であるマグネタイト等の磁性粒子を用いると、保磁力が高いために一旦強磁界化に置くと、磁化状態が維持されて複数の粒子同士が凝集してしまう。粒子が凝集すると、凝集粒子の比重が大きいために、水中に投入した場合に粒子が水中を浮遊する時間が短くなり、焼却飛灰とともに沈殿してしまう。磁性粒子が沈殿して静止状態になると、放射性セシウムの吸着機会が減少するため、吸着効率が低下する。そこで、保磁力の低いソフトフェライトの微砕粉を磁気分離用磁性複合粒子10のコア部に用いることによって、外部磁界除去後に磁化されることがなくなり、磁化による相互の粒子凝集が生じにくくなる。したがって、磁気分離用磁性複合粒子10は、より長時間、水中を浮遊することになり、より高い効率で放射性セシウムを吸着することができる。
マグネタイトでは保磁力Hc(m)が、たとえば4.8[kA/m](60[Oe])であり、Mn−Zn系フェライトでは、保磁力Hc(f)は、たとえば8[A/m]であり、マグネタイトの1/600である。そのため、ソフトフェライトでは磁化が残留しにくく、磁化による粒子の凝集が生じにくい。したがって、本発明が適用された磁性複合粒子では、より高い効率で放射性セシウムを回収することができる。
図4には、本発明が適用された磁気分離法の一例として、磁気分離用磁性複合粒子を用いて除染を行う手順を概念的に示す。この除染方法では、放射性セシウムに汚染されたがれきや表土等を焼却した後に回収される焼却飛灰を好ましくは水に投入して、イオン化した放射性セシウムを磁気分離用磁性複合粒子に吸着させて、磁力によって回収する。以下の説明では、図1に示した単一のソフトフェライト微砕粉1を備える磁気分離用磁性複合粒子10を用いて説明をするが、ソフトフェライト微砕粉1が、図2及び図3に示したクラスタ状やカゴ状骨格を形成している磁気分離用磁性複合粒子10a,10bであっても同様に用いることができるのは言うまでもない。
図4(A)に示すように、放射性セシウム30を含む焼却飛灰31を投入する水20aをためる水槽20と、水槽20の周囲に磁界を発生して、放射性セシウム30を吸着した磁気分離用磁性複合粒子10を磁力で吸引する電磁コイル21とを準備する。電磁コイル21は、直流電源22にSW23を介して接続されており、SWを閉じると、電磁コイル21に電流が流れ、磁界が発生する。
図4(B)に示すように、図4(A)で準備した水槽20の水20aに放射性セシウムが含まれた焼却飛灰を投入して撹拌すると、放射性セシウム30はイオン化して水20aに溶解するので、焼却飛灰31と水中で分離する。
図4(C)に示すように、図4(B)の状態をしばらく放置すると、焼却飛灰31の部分が水20aの底に沈殿するので、焼却飛灰31の沈殿物31aをろ過等によって取り除く。
図5(A)に示すように、図4(C)の状態の後に放射性セシウム30のイオンが溶けている水20aに、磁気分離用磁性複合粒子10を投入し撹拌すると磁気分離用磁性複合粒子10の表層の捕捉性化合物3にイオン化した放射性セシウム30が吸着される。
図5(B)に示すように、SW23を閉じて、電磁コイル21に直流電圧を印加すると電磁コイル21に磁力が発生し、放射性セシウム30を吸着した状態の磁気分離用磁性複合粒子10が吸引される。
図5(C)に示すように、セシウムイオンを吸着した磁気分離用磁性複合粒子10をろ過等によって除去すれば、水中には少量のセシウムイオンのみが残る。
上述の除染方法によれば、焼却飛灰中から効率よく放射性セシウムを回収することができ、また、焼却飛灰に限らず、溶媒を選ばずに適用することができるので、放射性セシウムが溶解した汚染水や雨水等の貯水等からの分離、回収も可能である。また、上述したように、捕捉性化合物3の材料には制限がないので、捕捉性化合物3を選定することによって、放射性セシウム以外の放射化物質類の分離、回収も可能であることは言うまでもない。
6.磁気分離用磁性複合粒子に用いるソフトフェライト微砕粉の磁気的特性
<実施例>
ソフトフェライト微砕粉を形成するフェライト原料として、Fe2O3:49mol%、CuO:10mol%、ZnO:31mol%、残部NiOを用いてNi−Cu−Zn系のフェライトを形成する。上述したように、これらの原料を純水と混合してスラリーを作成し、ボールミルで1時間以上の時間をかけて粉砕し、乾燥させた。
<実施例>
ソフトフェライト微砕粉を形成するフェライト原料として、Fe2O3:49mol%、CuO:10mol%、ZnO:31mol%、残部NiOを用いてNi−Cu−Zn系のフェライトを形成する。上述したように、これらの原料を純水と混合してスラリーを作成し、ボールミルで1時間以上の時間をかけて粉砕し、乾燥させた。
乾燥させたフェライト原料の粉砕粉を、焼成炉に投入し、大気圧(100kPa)のAir雰囲気、かつ比較的低温850℃±50℃の環境下で、3時間±15分だけ焼成し、そして、硬く焼けた粒状粉をアトマイザを用いて細かく粉砕し、さらに850±50℃の環境下で、3時間±15分焼成した。
再度、焼成したフェライトの粉砕粉をボールミルに投入し、5時間、10時間、20時間と粉砕時間をふって、粒径の調整を行った。
<比較例>
上述した実施例と同じ組成で純水と混合してスラリーを作成し、ボールミルで粉砕後、乾燥させた。
上述した実施例と同じ組成で純水と混合してスラリーを作成し、ボールミルで粉砕後、乾燥させた。
乾燥させたフェライト原料の粉砕粉を、焼成炉で、850±50℃、3時間±15分焼成した。
実施例と同様に粉砕時間によって粒径の調整を行った。
<結果>
図6に示すように、実施例のソフトフェライト微砕粉では、粒径が1μ以下であっても初透磁率μiとして、15程度が得られている。
図6に示すように、実施例のソフトフェライト微砕粉では、粒径が1μ以下であっても初透磁率μiとして、15程度が得られている。
一方、比較例のソフトフェライト微砕粉では、粒径の低下とともに磁気特性の劣化が顕著であり、粒径が1μm以下となると、初透磁率が5程度以下となった。比較例のソフトフェライトの製造条件は、通常、高周波特性のよいノイズ対策素子やコモンモードチョーク用に高飽和磁束密度特性を有するように設定されたものであり、一般的な原料及び条件である。
焼成温度条件及び時間と、還元雰囲気流量による製造条件管理を行うことによって、本発明が適用された磁気分離用磁性複合粒子に用いるソフトフェライト微砕粉は、スピネル度を高く保つことができるので、より小さい粒径においても、高い磁気的性能を発揮することができる。かかるソフトフェライト微砕粉を用いることによって、より効率よく放射性セシウムを吸着し、回収することができる。
1 ソフトフェライト微砕粉、2 被覆層、3 捕捉性化合物、4 空隙、10,10a,10b 磁気分離用磁性複合粒子、20 水槽、20a 水、21 電磁コイル、22直流電源、23 SW、30 放射性セシウム、31 焼却飛灰、31a 焼却飛灰沈殿物
Claims (6)
- コア部に、ソフトフェライト材料を微粉砕してなるソフトフェライト微砕粉と、
表層に、汚染物質類を捕捉する捕捉性化合物と、
上記ソフトフェライト微砕粉を直接被覆し、該ソフトフェライト微砕粉と上記捕捉性化合物の間に実質的に形成されている被覆層とを備える多層構造の磁気分離用磁性複合粒子。 - 上記ソフトフェライト微砕粉は、高透磁率材料を含むことを特徴とする請求項1記載の磁気分離用磁性複合粒子。
- 上記ソフトフェライト微砕粉は、初透磁率が2.5以上であることを特徴とする請求項2記載の磁気分離用磁性複合粒子。
- 上記ソフトフェライト微砕粉は、結晶構造のスピネル度が98%以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の磁気分離用磁性複合粒子。
- 上記ソフトフェライト微砕粉は、クラスタを形成していることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の磁気分離用磁性複合粒子。
- 上記ソフトフェライト微砕粉は、内部に中空を有するカゴ状骨格を成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気分離用磁性複合粒子。
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