JP6066178B2 - 捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法、および捕捉性磁性粒子を用いた浄化システム - Google Patents

捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法、および捕捉性磁性粒子を用いた浄化システム Download PDF

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本発明は、捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法、および捕捉性磁性粒子を用いた浄化システムに関する。
太平洋三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震によって発生した福島第一原子力発電所の事故は、高濃度の放射能汚染水が復旧作業の大きな障壁となっている。例えば、福島原子力発電所の放射能汚染水中に含まれる放射性セシウム137の半減期は30.1年、放射性ストロンチウム90の半減期は28.9年であり、福島原子力発電所の放射能汚染水は大量に存在することから、極めて深刻な事態となっている。例えば、放射性セシウムは、食物連鎖により魚、動物の筋組織などに蓄積されることから、体内への取り込みにより、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌の確率を高めることが報告されている。
このような状況下、除染剤(非特許文献1)を汚染水に投入して放射性物質を捕捉し、液相と固相を分離して除染する技術等が提案されている。例えば、非特許文献2においては、放射性セシウムの解毒剤として利用されるフェロシアン化鉄(プルシアンブルー)を含む顔料を放射能汚染水に投入し、遠心力で分離した後に、放射性セシウムとともにフィルターで濾しとるシステムが提案されている。また、非特許文献3においては、放射能汚染水に天然のゼオライトなど数種類の鉱物や化学物質を投入することによって、放射性物質を回収する方法が提案されている。
また、非特許文献4において、マグネタイトとヘキサシアノ鉄(II)酸塩の複合体を放射性物質除去に用いる方法が提案されている。また、非特許文献5において、放射性廃液の汚染除去の分離方法として、末端にカルボキシル基を有するカリックスアレーン‐クラウン‐6誘導体とナノサイズの磁気フェリチン分子との複合体を用いる方法が提案されている。また、非特許文献6、7において、マグネタイトとヘキサシアノ鉄(II)酸塩の複合体をペロキシダーゼの検出に用いる方法が提案されている。
また、本発明者は、先般、放射性物質類を液体中で捕捉する除染用磁性複合粒子と、除染用磁性複合粒子を集積する磁力集積手段とを備える放射性物質類除染システムを提案した。除染用磁性複合粒子は、コア部に磁性ナノ粒子、表層に液体中の放射性物質類を捕捉する捕捉性化合物、および磁性ナノ粒子を直接被覆し、磁性ナノ粒子と捕捉性化合物の間に実質的に形成されている被覆層の多層構造からなるものである。なお、特許文献2、3、非特許文献8については後述する。
特許第4932054号 特許第4183047号 特開2012−217880号
"放射性物質の除去・回収技術のためのデータベース"、[online]、独立行政法人 物質・材料研究機構、2011年4月19日、[平成24年8月7日検索]、インターネット(http://reads.nims.go.jp/) "放射性物質:顔料使ってセシウム汚染水浄化 東工大が開発"、[online]、毎日新聞 2011年4月15日、[平成23年4月22日検索]、インターネット(http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110415k0000e040015000c.html) "放射性物質捕まえる粉開発 汚染水を浄化も 金沢大教授らが開発"、[online]、産経ニュース 2011年4月19日、[平成23年4月22日検索]、インターネット(http://sankei.jp.msn.com/science/news/110419/scn11041909150001-n1.htm) R.D. Ambashta, et al., Journal of Magnetic Materials, 2003, 267, 335-340 Urban I, et al., Chem. Commun., 2010, 46, 4583-4585 Zhang XQ, et al., J. Mater. Chem., 2010, 20, 5110-5116 Wang H, et al., J. Hazard. Mater., 2011, 191, 163-169 ' XANES を用いた水田土壌中のヨウ素の非破壊形態分析とその溶脱機構'、[online]、研究トピックス 農業環境技術研究所、[平成23年10月11日検索]、インターネット(http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/publish/niaesnews/072/news07209.pdf#search=) Yoshihisa Namiki, et al., Nature Nanotechnology 4, 598-606 (2009)
除染可能な磁性粒子を用いることにより、汚染水から高効率に除染できるようになった。しかしながら、本発明者がさらに検討を重ねた結果、放射性物質類の捕捉能と磁力による集積性の両者を合わせて向上させることが難しいという課題があることがわかった。具体的には、磁性除染剤の粒径を小さくして比表面積を大きくすることにより放射性物質類の捕捉能を大幅に向上させることができる一方で、磁性除染剤の粒径が小さくなるにつれて回収効率が低下するという課題があることがわかった。
なお、上記においては原子力発電所の放射能汚染水の問題について述べたが、液体中に含有する放射性物質の除染処理の分野において同様の課題が存在する。また、磁性粒子の対象として放射性物質を除染する例を説明したが、磁性粒子により捕捉可能な浄化対象化合物に対しても同様の課題が生じ得る。また、液体中において適用する例を述べたが、気体などの流体において同様の課題が生じ得る。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、集積性に優れる捕捉性磁性粒子を用いた浄化システムおよび捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法を提供することである。
本発明に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法は、強磁性体を含有し、浄化対象化合物を捕捉し得る捕捉性磁性粒子を用意する工程と、前記捕捉性磁性粒子を磁化させる磁化工程と、磁化させた前記捕捉性磁性粒子を浄化対象流体中に投入して、前記浄化対象化合物を捕捉する捕捉工程と、前記捕捉性磁性粒子の凝集塊を形成する凝集塊形成工程と、前記捕捉性磁性粒子を前記浄化対象流体中から回収する回収工程とを備えるものである。
本発明に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法によれば、浄化対象流体に捕捉性磁性粒子を投入する前に予め捕捉性磁性粒子を磁化させているので、浄化対象流体中で捕捉性磁性粒子を短時間で凝集塊とすることができる。その結果、捕捉性磁性粒子を浄化対象流体中から回収する際に高効率に回収できる。
ここに開示される捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法の好ましい一態様には、前記回収工程を、磁力、沈殿、濾過、遠心分離、浮遊選鉱の少なくともいずれかにより行うものがある。
また、捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法の好ましい一態様には、前記磁化工程が、前記捕捉性磁性粒子の凝集塊を形成する工程を含み、前記捕捉工程が、前記捕捉性磁性粒子の凝集塊が分散するように撹拌しながら行うものがある。
また、捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法の好ましい一態様には、前記浄化対象化合物が、放射性セシウム、放射性セシウムの安定同位体、放射性ストロンチウム、および放射性ストロンチウムの安定同位体、放射性タリウム、放射性タリウムの安定同位体の少なくともいずれかであるものがある。
また、捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法の好ましい一態様には、前記捕捉性磁性粒子が、鉄,コバルト、ニッケル、ガドリニウム、およびこれらの酸化物のいずれかを含むものがある。
また、捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法の好ましい一態様には、前記捕捉性磁性粒子が、金属フェロシアン化物、ゼオライト、イオン交換体、ナノ多孔材料、ハイドロキシアパタイトのいずれかを含むものがある。
また、捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法の好ましい一態様には、前記捕捉性磁性粒子が、フェロシアン化鉄、フェロシアン化ニッケル、又はフェロシアン化コバルト、フェロシアン化銅、フェロシアン化亜鉛、フェロシアン化クロム、フェロシアン化マンガンのいずれかを含むものがある。
また、捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法の好ましい一態様には、前記捕捉性磁性粒子が、コア部に磁性ナノ粒子、表層に前記浄化対象流体中の前記浄化対象化合物を捕捉する捕捉性化合物、及び、前記磁性ナノ粒子を直接被覆し、前記磁性ナノ粒子と前記捕捉性化合物の間に実質的に形成されている被覆層の多層構造からなるものがある。
本発明に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化システムは、捕捉性磁性粒子を用いた浄化システムであって、浄化対象化合物を浄化対象流体中で捕捉する捕捉性磁性粒子と、前記捕捉性磁性粒子を前記浄化対象流体中に投入する前に磁化させる磁化手段と、前記浄化対象流体中で、前記捕捉性磁性粒子を回収する回収手段とを備えるものがある。
ここに開示される捕捉性磁性粒子を用いた浄化システムの好ましい一態様には、前記回収手段が、磁力集積、沈殿、濾過、遠心分離、浮遊選鉱の少なくともいずれかであるものがある。
また、捕捉性磁性粒子を用いた浄化システムの好ましい一態様には、前記捕捉性磁性粒子が、コア部に磁性ナノ粒子、表層に前記浄化対象流体中の前記浄化対象化合物を捕捉する捕捉性化合物、及び、前記磁性ナノ粒子を直接被覆し、前記磁性ナノ粒子と前記捕捉性化合物の間に実質的に形成されている被覆層の多層構造からなるものがある。
本発明によれば、集積性に優れる捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法、および捕捉性磁性粒子を用いた浄化システムを提供することができるという優れた効果を有する。
第1実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法のフローチャート図。 第1実施形態に係る捕捉性磁性粒子の模式的説明図。 第1実施形態に係る捕捉性磁性粒子の一部分解図。 図2AのIIC−IIC切断部断面図。 磁性ナノ粒子がクラスターを形成している場合の一例を示す説明図。 図2Dのクラスターに、被覆層が形成されている場合の一例を示す説明図。 図2Eに、捕捉性化合物が形成される工程の一例を示す説明図。 クラスターを形成している場合の捕捉性磁性粒子の一例を示す説明図。 クラスターを形成している場合の被覆性磁性ナノ粒子の別の一例を示す説明図。 図2Hの切断部の模式的断面図。 第1実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法の説明図。 第1実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法の説明図。 第1実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法の説明図。 第1実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法の説明図。 第1実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法の説明図。 第1実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法の説明図。 第1実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化システムの一例を示す説明図。 第3実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化システムの説明図。 第3実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化システムの説明図。 実施例1に係るサンプルの時間に対する透過率変化を示すグラフ。 実施例2に係るサンプルの時間に対する透過率変化を示すグラフ。 比較例1に係るサンプルの時間に対する透過率変化を示すグラフ。 比較例2に係るサンプルの時間に対する透過率変化を示すグラフ。
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、下記の実施形態は、互いに好適に組み合わせられる。
[第1実施形態]
図1に、第1実施形態に係る捕捉性磁性粒子の浄化方法のフローチャート図を示す。第1実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法は、少なくとも以下の工程を備える。即ち、強磁性体を含有し、浄化対象化合物を捕捉し得る捕捉性磁性粒子を用意する工程(ステップ1)と、捕捉性磁性粒子を磁化させる磁化工程(ステップ2)と、磁化させた捕捉性磁性粒子を浄化対象流体中に投入して、浄化対象化合物を捕捉する捕捉工程(ステップ3)と、捕捉性磁性粒子の凝集塊を形成する工程(ステップ4)と、この捕捉性磁性粒子を浄化対象流体中から回収する工程(ステップ5)とを有する。ステップ3は、吸着効率を高める観点から撹拌しながら行うことが好ましい。撹拌を行うことにより凝集塊に対してばらける力が働き、捕捉性磁性粒子が液体中に分散する。その結果、浄化対象化合物の捕捉の高効率化を実現できる。以下、各ステップについて詳細に説明する。
(ステップ1)強磁性体を含有し、浄化対象化合物を捕捉し得る捕捉性磁性粒子を用意する。捕捉性磁性粒子は、磁場を印加することにより保磁する強磁性体を含有するものであり、当該粒子同士が凝集して凝集塊を形成可能な磁性特性と、浄化対象流体中から浄化対象化合物を捕捉可能な捕捉特性を有していればよい。捕捉性磁性粒子は、上記を満たす限りにおいて特に限定されないが、好適例として、上記特許文献1に開示した除染用磁性複合粒子や特許文献2に開示した磁性ナノ粒子を例示できる。以下、除染用磁性複合粒子を捕捉性磁性粒子として用いた例について説明する。
図2Aに、捕捉性磁性粒子の一例を示す模式的説明図を、図2Bに、捕捉性磁性粒子の一例を示す一部分解図を、図2Cに、図2AのIIC−IIC切断部断面図を示す。また、図2D〜図2Iは、捕捉性磁性粒子の磁性ナノ粒子がクラスターを形成している場合の説明図等を示す。図3A〜図3Dは、本発明に係る浄化システムの説明図である。
図2A〜図2Cの例に係る捕捉性磁性粒子1は、磁性ナノ粒子10、被覆層15、捕捉性化合物18を有する。磁性ナノ粒子10の表面の少なくとも一部には、被覆層15が形成され、被覆層15を介して磁性ナノ粒子10と捕捉性化合物18が結合されている。換言すると、捕捉性磁性粒子1は、コア部に磁性ナノ粒子10、表層に液体中の浄化対象化合物を捕捉する捕捉性化合物18、および、磁性ナノ粒子10を直接被覆し、磁性ナノ粒子10と捕捉性化合物18の間に実質的に形成されている被覆層15を有する。被覆層15は、単一の被覆層のみならず、複数の被覆層から構成されてもよい。
磁性ナノ粒子10としては、(1)捕捉性化合物18と捕捉性磁性粒子1を形成する、(2)磁力集積手段によって、集積可能な磁性を有する、(3)強磁性特性、より具体的には保磁力を有するという条件を満たすものであれば、特に限定されずに適用することができる。磁性ナノ粒子10の好適な例として、鉄(Fe)、ニッケル、コバルト、ガドリニウムおよびこれらの酸化物、マグネタイト(Fe)、マグヘマイト(Fe)、一酸化鉄(FeO)、窒化鉄、鉄白金合金、鉄パラジウム合金、コバルト白金合金、鉄ネオジムボロン合金、およびサマリウムコバルト合金、その他保磁力を有するフェライト・合金等が挙げられる。なお、磁性ナノ粒子表面の耐食性を向上させるため、表面を各種酸化金属などで被覆してもよい。
磁性ナノ粒子10は、粒子径が小さくても高い磁気誘導特性を有する磁気異方性の高い材料が好ましい。磁性ナノ粒子10の好ましい材料としては、窒化鉄、鉄、FePt粒子や、FePt粒子と他の磁性金属元素を含むナノ粒子との捕捉性磁性粒子を挙げることができる。また、磁性分子が非磁性分子によって被覆されたナノ粒子、若しくはマイクロ粒子を用いてもよい。さらに、上記特許文献2に開示した自己会合型磁性脂質ナノ粒子、若しくは脂質被覆磁性ナノ粒子やポリマー被覆磁性ナノ粒子など有機物被覆磁性ナノ粒子を磁性ナノ粒子として用いてもよい。その他シリカ被覆磁性ナノ粒子など無機物被覆磁性ナノ粒子を磁性ナノ粒子として用いてもよい。
捕捉性化合物18としては、浄化対象化合物を捕捉できるものであればよく、捕捉したい放射性物質に応じて任意の公知のものを制限なく用いることができる。捕捉性化合物18としては、金属フェロシアン化物が挙げられる。また、ゼオライト、イライト、雲母(mica)、バーミキュライト(vermiculite)、スメクタイト(smectite)等の粘土鉱物全般、活性炭、イオン交換体全般、公知の天然・人工のナノ多孔体、ペクチンなどの食物繊維等が有効である。金属フェロシアン化物の具体例としては、フェロシアン化鉄(プルシアンブルー)、フェロシアン化ニッケル、フェロシアン化コバルト、フェロシアン化銅、フェロシアン化亜鉛、フェロシアン化クロム、フェロシアン化マンガンなどのフェロシアン化金属が好適な例として挙げられる。イオン交換体は、イオン交換樹脂、バーミキュライト・ベントナイトなどの天然イオン交換体、リン酸ジルコニウム・酸化アルミニウム・フェロシアン化鉄などの無機イオン交換体などが挙げられる。放射性物質類がセシウムの場合には、フェロシアン化鉄、フェロシアン化ニッケル、フェロシアン化コバルト、ゼオライト、粘土鉱物、ペクチン(食物繊維)が特に有効である。また、放射性物質類がストロンチウムの場合には、ハイドロキシ(ヒドロキシ)アパタイトなどが特に有効である。その他、グアー豆酵素分解物、アガロース、グルコマンナン、ポリデキストロース、アルギン酸ナトリウム、イヌリン、カラギーナン、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサンなども有効である。プルシアンブルーは、セシウムの他、タリウム除去などにも有効である。捕捉性化合物は、捕捉したい放射性物質に応じて適宜設計すればよい。捕捉性化合物は、必要に応じて、熱処理や圧熱処理等の処理を施してもよい。例えば、ゼオライトなどは、熱処理や圧熱処理によってセシウム吸着能を向上させることができる。複数種類の放射性物質を捕捉したい場合は、種類の異なる捕捉性化合物を被覆性磁性ナノ粒子に導入したり、複数の除染用磁性複合粒子を用いたりすればよい。
被覆層15は、コア部に形成された磁性ナノ粒子の被覆層として機能する。被覆層15は、磁性ナノ粒子10と捕捉性化合物18の間に実質的に設けられており、これらを接着させる機能を担う。磁性ナノ粒子10と被覆層15からなる被覆性磁性ナノ粒子は、市販されている磁性ビーズなどを好適に用いることができる。磁性ナノ粒子10と被覆層15の結合形態は、公知の技術を制限なく利用できる。例えば、分子(金属)の内部構造を構成する化学結合(分子内結合)、共有結合(非金属-非金属)、配位結合、金属-金属間結合や、分子(原子)集団を構成する化学結合 イオン結合(非金属-金属)、金属結合、水素結合、疎水結合、ファンデルワールス結合、若しくは狭義の分子間力が挙げられる。結合強度から、共有結合、若しくは静電結合が望ましい。例えば、磁性ナノ粒子を、高分子電解質を用いて容易に被覆することができる。
被覆層15と捕捉性化合物18の結合形態は特に限定されないが、好ましくは、静電結合、若しくは共有結合が挙げられる。被覆層15に、捕捉性化合物18と結合する反応基を有することが好ましい。被覆層15を設けることにより、除染用磁性複合粒子1の分解を効果的に防止することができる。換言すると、廃液汚染水、海水等において、分解を抑制して除染用磁性複合粒子を用いることができる。その結果、粒子の磁力を所望の値に保持することができるので、磁力集積手段による回収を高効率に行うことができる。また、被覆層15の反応基を調節することにより、所望量の捕捉性化合物18を磁性ナノ粒子10に導入することが可能となるというメリットも有する。なお、異種の磁性体、異種の捕捉性化合物を組み合わせて、複合粒子を製造することも可能である。
被覆層15の好適な例として、脂質、界面活性剤、高分子を挙げることができる。また、シリカ等の無機物でもよく、いわゆるプラスチック材でもよい。高分子としては、末端にアルコキシシリル基、クロロシリ基、イソシアナトシリル基、メルカプト基等を有するポリエチレングリコール等の高分子、ポリ―L−リジン、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、メチルグリコールキトサン(MGch)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ(アクリルアミド-co-ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ジアリルジメチルアンモニウム等のカチオン性ポリ電解質、4-スチレンスルホン酸ナトリウム、Poly(4-styrenesulfonic acid-co-maleic acid) sodium、Polyanetholesulfonic acid sodium、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(4-スチレンスルホン酸)アンモニウム、ポリ(4-スチレンスルホン酸)リチウム、ポリ(4-スチレンスルホン酸)、ポリ(4-スチレンスルホン酸)-co-マレイン酸) ナトリウム、ポリ(アクリル酸、ナトリウム塩)、ポリ(ビニルスルホン酸、ナトリウム塩)、ポリ(硫酸ビニル) カリウム塩、ポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリビニル硫酸カリウム(PVSK)等のポリア二オン性ポリ電解質などが挙げられる。被覆層15の反応基としては、アピジン-ビオチン系結合、エポキシ基、トシル基、エステル基、チオール基、アミノ基、ハロゲン化アシル基、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、アルデヒド基、マレイミド基、ビニルスルホン基、ベンゾトリアゾールカーボネート基、プロモアセトアミド基などが挙げられる。放射性照射により耐熱性・耐候性などの向上作用のあるポリエチレンなどの架橋型ポリマーを一部含んでもよい。また、磁性ナノ粒子に対し、公知の界面活性剤は全て使用できる。
捕捉性磁性粒子のサイズは、10nm〜1mmの範囲であることが分散性・比表面積・磁気吸着性のバランスの観点から好ましく、50nm〜500μmの範囲であることがさらに好ましく、250nm〜50μmの範囲がさらに好ましい。また、捕捉性磁性粒子の飽和磁化は、磁力による集積効率を高める観点から、5emu/g以上であることが好ましく、より好ましくは10emu/g以上である。また、さらに好ましくは20emu/g以上である。磁石への吸着効率を高める上では、飽和磁化が高いほうが好ましいが、入手性の観点から、通常、220emu/g以下である。
捕捉性磁性粒子に用いる磁性ナノ粒子は、図2Dに示すように、複数の磁性ナノ粒子10が凝集しているクラスター90であってもよい。磁性ナノ粒子としてクラスターを用いる場合、クラスター90の表面に対して、直接、被覆層15を形成すればよい。図2Eに示すように、複数の磁性ナノ粒子10のクラスター90に対して、その表層に被覆層15をコーティングする被覆性磁性ナノ粒子91を挙げることができる。
また、図2Hの被覆性磁性ナノ粒子91の説明図、およびその断面図である図2Iに示すように、単分散の磁性ナノ粒子10それぞれに被覆層15がコーティングされたものが凝集したクラスター90であってもよい。いずれにしても、磁性ナノ粒子10の表層の少なくとも一部に被覆層15がコーティングされていればよい。なお、個々の磁性ナノ粒子を被覆する被覆層と、クラスター全体を被覆する被覆層の種類が異なっていてもよい。
捕捉性化合物18は、捕捉性磁性粒子の少なくとも一部の表層に形成されている(図2G参照)。図2Fには、静電結合によって捕捉性化合物18と被覆層15を結合させている例を示す。この例においては、捕捉性磁性粒子1は、負に帯電しているクラスター90に対し正に帯電している被覆層15を静電結合により結合させ、さらに、負に帯電している捕捉性化合物18を被覆層15に結合させている。磁性ナノ粒子10がクラスター90を形成することによって、捕捉性磁性粒子1の磁力による吸着力・吸着スピードを高めることができ、磁気集積効率を高めることができるというメリットを有する。
捕捉性磁性粒子1の分解を効果的に抑制する観点からは、磁性ナノ粒子の表層の50%以上が被覆層にコーティングされていることが好ましく、80%以上がコーティングされていることがさらに好ましい。
なお、浄化対象化合物とは、浄化すべき物質の総称であり、放射性物質およびその安定同位体等が挙げられる。放射性物質とは、放射能を持つ物質の総称で、ウラン、プルトニウム、トリウムのような核燃料物、放射性元素、若しくは放射性同位体、中性子を吸収または核反応を起こして生成された放射化物質全般を指す。本発明の捕捉性磁性粒子を用いる浄化システムおよび浄化方法は、放射性物質のみならず、放射性物質である放射性同位体の安定同位体に対しても同様に適用できるものである。放射性同位体と安定同位体は、物理化学的性質や環境中における挙動に差がないことが一般に知られている(例えば、非特許文献8)。即ち、放射性同位体と安定同位体とは、捕捉性の挙動が実質的に同一であると考えてよい。
(ステップ2)捕捉性磁性粒子を磁場環境下で磁化させる。磁化させる具体的な方法は特に限定されず、常套的に用いられている方法を制限なく利用できる。第1実施形態では、捕捉性磁性粒子を磁場タンク内に投入して捕捉性磁性粒子全体に磁気を照射させることにより磁化させ、凝集塊を形成させる例について説明する。磁気照射量は、捕捉性磁性粒子が浄化対象流体中で保磁力を有する程度であればよく、特に限定されない。
ここで、「凝集塊」とは、磁化工程を実施しない場合に比して、磁化工程を実施した場合に少しでも塊を形成していればよく、磁力集積手段の効率化の観点からは、サイズの大きい凝集塊であることがより好ましい。磁力集積手段を併用することにより、より短時間で凝集塊を形成することが可能となる。前述した製造工程で形成されるクラスターにおいては、ナノ粒子同士が集まることによってクラスターが形成される。
(ステップ3)磁化させた捕捉性磁性粒子の凝集塊を浄化対象流体中に投入して、浄化対象化合物を捕捉する。この際、浄化対象流体中において、捕捉性磁性粒子の凝集塊が良好に分散するように撹拌させる。浄化対象流体を撹拌することが困難な場合には、磁化した捕捉性磁性粒子の投入時に凝集塊の状態のものではなく、分散性が確保される程度の粒子会合体、若しくは単分散粒子を投入することが好ましい。
浄化対象流体とは、液体、若しくは気体、亜臨界、超臨界状態等であり、好ましくは液体である。好適な例としては、放射能汚染水、放射性廃液、放射能汚染気体、放射能汚染ミスト等が例示できる。浄化対象流体は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば特に限定されない。適用例としては、放射能汚染水等の水系、有機溶剤が一部に含まれている水系溶剤、有機溶剤系が挙げられる。また、空気に適用することも可能である。本発明の回収の対象となる液体は、例えば、雨水、地下水、雪解け水、海水、河川、湖、池、貯水槽等の水や、汚染土壌を含む土壌水、汚染した塵の分散水、汚染した埃の分散水、汚染がれき・装置・機械などの洗浄水、三輪車・自転車・オートバイ・自動車・電車・貨車・船・飛行機・ヘリコプターなど人・動物・荷物などの輸送手段を洗浄した水、上水道へ供給する水、中水道に供給する水、下水道から集められた水、下水汚泥、浄水汚泥、浄化対象化合物を含む焼却灰の分散水、牛乳、果汁、お茶などの食品を含む飲料水、収穫した茶葉等の洗浄水、母乳、内部被爆者の血清や体液、その他動物・植物・微生物由来の水分・汚染水・洗浄水を挙げることができる。なお、上水道、中水道に供給する水とは、例えば、各家庭に供給する水、工業用水、農業用水、林業・畜産業・水産業に使用する水を含む。
第1実施形態においては、原子力発電所の事故によって問題となっている放射性セシウムが含有している放射能汚染水を浄化対象流体とする例について説明する。図3Aに示すように、浄化対象化合物を含む放射能汚染水20に浄化対象化合物を捕捉する捕捉性磁性粒子1の磁化−凝集塊を投入する。第1実施形態の例では、浄化対象化合物である放射性セシウム21を捕捉する粒子を放射能汚染水20に投入する。捕捉性磁性粒子1の投入量は、適宜、放射能汚染水20中の放射性セシウム21の濃度を測定し、放射性セシウム21を捕捉するために十分な量を算出して投入する。なお、放射性ストロンチウム、放射性タリウム等の複数の放射性物質を同時に除去する場合には、除染したい放射性物質を捕捉する捕捉性化合物を含む複数種類の捕捉性磁性粒子を同時に、若しくは複数回に分けて放射能汚染水に投入すればよい。放射能汚染水20中に投入された捕捉性磁性粒子1によって、浄化対象化合物が捕獲せしめられる。凝集塊の捕捉性磁性粒子を投入した場合には、捕捉性磁性粒子が放射能汚染水20中で分散するように、撹拌することが好ましい。必要に応じて加温等を行ってもよい。
(ステップ4)捕捉性磁性粒子の凝集塊を形成する。第1実施形態では、除染対象化合物である放射性セシウム21を捕捉済みの捕捉性磁性粒子1の凝集塊8を形成させる。凝集塊8は、ステップ2において捕捉性磁性粒子を磁化させた残留磁化による結合力によって短時間で形成することが可能となる。即ち、残留磁化によって帯磁した捕捉性磁性粒子が互いに凝集して凝集塊を形成することが可能となる。また、捕捉性磁性粒子の互いの凝集力に併用して、若しくは、凝集塊形成の主原動力として磁石等の磁力集積手段を利用することができる。この場合、ステップ4とステップ5の回収工程の一部とを同時に行うことになる。
ステップ2において、捕捉性磁性粒子を予め磁化させることにより、強磁性ナノ粒子を有する捕捉性磁性粒子は、保磁力をもつようになる。即ち、捕捉性磁性粒子自体が磁石として機能する。従って、浄化対象流体中に投入して撹拌等により分散させた場合であっても、再び、捕捉性磁性粒子同士が凝集塊を形成しやすくなる。また、捕捉性磁性粒子の濃度が低く、互いの磁力が及ばない分散状態にある場合であっても、回収用磁石等の磁力集積手段により、非帯磁の捕捉性磁性粒子に比して、強磁性ナノ粒子である捕捉性磁性粒子の方が磁力集積手段による回収を容易に行うことができる。その結果、集積効率を高めることができる。
(ステップ5)捕捉性磁性粒子を浄化対象流体中から回収する。即ち、ステップ4で形成した凝集塊8を回収する。回収手段は、捕捉性磁性粒子の少なくとも凝集塊を回収できる方法であれば特に限定されない。好ましい方法として、磁力、沈殿、濾過、遠心分離、浮遊選鉱の少なくともいずれかにより行う方法を例示できる。短時間で効率よく回収する観点からは、磁力集積手段を用いる方法が好ましいが、凝集塊を濾過により分別したり、上澄み液を回収したりする方法、遠心分離による回収方法、浮遊選鉱法なども好適である。浮遊選鉱法の場合には、捕捉性磁性粒子に浮力をつけるため、水に浮かびやすい粒子(例えばプラスチック粒子)等を必要に応じて結合させることが好ましい。第1実施形態においては、図3Eに示すように磁力集積手段30によって回収する。
磁力集積手段を用いる方法としては、種々の方法があり限定されないが、図3Eの例においては磁力集積手段30を放射能汚染水に浸漬して捕捉性磁性粒子1を集積する。次いで、磁力集積手段30を放射能汚染水から分離した後に、磁気発生をオフすることによって浄化対象化合物を回収する。即ち、磁力集積手段30の磁力により、浄化対象化合物をトラップした捕捉性磁性粒子1を集積し、捕捉性磁性粒子1を回収する。従って、簡便かつ効率よく浄化対象化合物を回収することができる。磁力集積手段30は、放射能汚染水内に浸漬せずに、容器の外壁に当接あるいは近接させることにより、捕捉性磁性粒子1を集積させて、分離・回収してもよい。
回収された捕捉性磁性粒子1は、減容化の観点から、磁性粒子と浄化対象化合物とを分離することが好ましい。浄化対象化合物が放射性物質の場合には、回収した放射性物質を分離して、癌治療用密封線源、測定装置用密封線源、その他の密封線源、非密封線源の材料として再利用することも可能である。
磁力集積手段30は、磁力のON−OFF可能な機能と、移動機構を備えている。例えば、電磁石、超電導磁石等が好適に用いられる。また、永久磁石とシールド手段とによって磁力のON−OFFを制御することも可能である。さらに、永久磁石等を用いて捕捉性磁性粒子1をまず回収し、その後、より強力な電磁石、超電導磁石等により捕捉性磁性粒子1を回収し、次いで、電磁石や超電導磁石等の磁力をオフすることにより、捕捉性磁性粒子1を分離することも可能である。
永久磁石を用いる場合には、特に限定されるものではないが、一例として、フェライト、Ne−Fe−B合金、サマリウム−コバルト合金を挙げることができる。強力な磁力を要する場合には、Ne−Fe−B合金が好ましい。磁力集積手段30は、電磁石や超電導磁石等を用いる場合にも、磁石の磁力線に指向性を付与させるために、シールド手段を設けることが有効である。磁力集積手段30を海水による腐食などから適切に保護するために、必要に応じて磁石等をケーシング内に密封する。
磁力集積手段30は、磁石の他、必要に応じてシールド手段等を備えているようにしてもよい。シールド手段により、磁石の磁界発生方向に指向性を付与することができる。シールド手段は、例えば、ヨーク(継鉄)により構成することができる。磁力集積手段30は、例えば、捕捉性磁性粒子1を回収後、より強力な電磁石や超電導磁石等によって捕捉性磁性粒子1を磁石31から分離し、次いで、より強力な電磁石や超電導磁石の磁力をオフすることにより捕捉性磁性粒子1のみを回収してもよい。
その後、放射能汚染水の放射能濃度をセンサー40によって再測定する(図3F参照)ようにし、浄化対象化合物の回収が必要と判断された場合には、上記工程を繰り返し行うようにしてもよい。浄化対象化合物の回収が不要と判断された場合には、浄化対象化合物の回収作業を終了する。浄化対象化合物が除去された水は、原子力発電所の冷却水等などに再利用することができる。
捕捉性化合物を導入する工程は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において限定されないが、被覆性磁性ナノ粒子と捕捉性化合物とを分散液中で混合撹拌することにより得る方法が好適である。例えば、捕捉性化合物、若しくは被覆性磁性ナノ粒子のいずれか一方の分散液を混合撹拌しながら、これに他方を加えて混合させる、(ii)捕捉性化合物と被覆性磁性ナノ粒子を含む分散液を、複数の容器間を陽圧、若しくは陰圧によって移動させることによって混合撹拌させる、工程の少なくともいずれかを含む方法が好適である。また、被覆性磁性ナノ粒子を形成する工程は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において限定されないが、好ましい例として磁性ナノ粒子と、被覆層を形成するための被覆層形成用化合物とを、分散液中で混合撹拌する方法が挙げられる。
第1実施形態の浄化システムは、磁化処理手段や回収手段を備えていればよく、特殊な設備等を必要としないので簡便に実施することができる。例えば、浄水場、下水処理場、焼却場、工場、農業用水等などに簡便に適用することができる。また、第1実施形態の浄化システムは、専用の処理設備を備えていてもよい。例えば、図4のように、浄化対象液体貯蔵タンク51、浄化タンク52、捕捉性磁性粒子貯蔵タンク53、磁化手段54、捕捉性磁性粒子の回収手段55等を有した浄化システム100を例示できる。例えば、浄化対象液体貯蔵タンク51からの液体注入に伴って浄化タンク52に、液体注入量や汚染度等に応じて予め磁化した捕捉性磁性粒子を投入する。そして、液体と捕捉性磁性粒子とを捕捉性磁性粒子混合タンク内でよく混合する。その後、捕捉性磁性粒子の回収手段55により捕捉性磁性粒子を回収する。例えば、磁力集積手段、濾過、沈殿等により回収する。その後、用途に応じて必要であれば、濾過装置を通過させる。このような浄化システムは、例えば、浄水器、上水処理施設、マンション等の上水処理システムとして好適に利用できる。
第1実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法によれば、捕捉性磁性粒子を浄化対象流体に投入する前に予め磁化させているので、浄化対象化合物を高効率で回収することができる。換言すると、浄化対象化合物を捕捉した捕捉性磁性粒子の回収を高効率で行うことができる。これは、予め磁化させた捕捉性磁性粒子の残留磁化により、捕捉性磁性粒子が相互に引き合い、凝集塊を短時間で形成させることができるためである。そして、凝集塊8の吸着力・吸着速度を高めることができるので、磁力集積手段を用いて高効率に除染対象化合物の除染を行うことができる。
特に、磁性除染剤の粒径が小さくなるにつれて磁石で回収しにくくなるという課題があったが、捕捉性磁性粒子を浄化対象流体に投入する前に予め磁化させることにより、これらの問題を解決し、しかも、磁性除染剤の粒径を小さくして比表面積を大きくすることにより放射性物質類の捕捉能を大幅に向上させることが可能となる。
また、第1実施形態の捕捉性磁性粒子によれば、磁性体の径を小さくすることにより比表面積を増やすことができる。その結果、磁性体表面への被覆性化合物の密着性を向上させ、被覆性化合物とフェロシアン化物との結合力も増えるため、磁性体への捕捉性化物のハードなコーティングができるというメリットもある。
また、磁力集積手段30を放射能汚染水に浸漬して引き上げ、引き上げ後に磁気発生をオフすれば浄化対象化合物を回収するので、操作性がよく、効率も高い。しかも、磁力集積手段は、何度も利用可能であるという優れたメリットがある。
なお、汚染土壌に対して浄化対象化合物回収を実施する際には、汚染土壌、若しくは汚染土壌の分散液に対して捕捉性磁性粒子を投入する前に、汚染土壌中、若しくは汚染土壌の分散液中に含まれる磁性体を事前に磁気選別により回収しておくことが望ましい。これにより、捕捉性磁性粒子による浄化対象化合物の捕捉、および回収を高効率で実現することができる。
[第2実施形態]
次に、上記実施形態とは異なる捕捉性磁性粒子を用いる浄化方法および浄化システムの一例について説明する。第2実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いる浄化方法は、以下の点を除く基本的な方法は上記第1実施形態と同様である。即ち、第2実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いる浄化方法は、捕捉性磁性粒子の回収方法が第1実施形態と相違する。第1実施形態においては、浄化対象化合物を含む液体における回収工程は、磁力集積手段を用いて凝集塊の回収を行っていたが、第2実施形態においては、凝集塊を自然沈殿により回収している点において相違する。
ステップ5において、磁力により行うことにより、極短時間で浄化を実施することができる。しかしながら、ニーズによっては、浄化スピードよりも既存の設備のみで浄化したい場合もある。第2実施形態によれば、磁力集積手段を用いずに自然沈殿法を用いているので磁力集積手段の設備を用意する必要がないというメリットがある。第2実施形態によれば、捕捉性磁性粒子を予め磁化させることにより、浄化対象流体中に捕捉性磁性粒子を投入して撹拌させた後に回収する工程で、高効率に凝集塊を形成させることが可能となる。
[第3実施形態]
第3実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いる浄化方法および浄化システムは、以下の点を除く基本的な方法は上記第1実施形態と同様である。即ち、第3実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いる浄化方法は、捕捉性磁性粒子の回収方法が第1実施形態と相違する。第1実施形態においては、浄化対象化合物を含む液体中に磁力集積手段を浸漬させて凝集塊を回収していたが、第3実施形態においては、磁気フィルターを用いて凝集塊を回収している点において相違する。
図5Aおよび図5Bは、第3実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いる浄化方法の一例を示す模式的説明図である。第3実施形態においては、図5Aに示すように、磁力集積手段である磁性フィルター41と磁力制御部42を具備する。また、磁性フィルター41が設置されている浄化管43、磁性フィルター41を支持する支持部44、接合部47等が設けられている。
浄化管43は、円筒体により構成されている。支持部44は、磁性フィルター41を保持する機能を担っており、浄化管43の内壁に円周状に形成されている。接合部47は、浄化管43から磁性フィルター41を着脱自在にするための部分である。換言すると、接合部47の個所で浄化管43は分割可能に構成されている。なお、浄化管43および支持部44の形状は、任意に変更可能である。磁性フィルター41の形状も任意に変更可能である。
磁性フィルター41は、捕捉性磁性粒子をトラップ可能であればよく特に限定されない。好ましい例としては、少なくとも複数枚の磁性金網を積層して焼結したものからなり、空隙部が多数形成されている焼結金網フィルターが挙げられる(上記特許文献3参照)。磁性フィルター41として、磁性金網を積層して焼結した焼結金網フィルターを用いることにより、剛性、耐久性を高めることができる。また、磁性ナノ粒子の捕捉効率を高めることができる。また、支持部44を設けずに、浄化管43の内壁に磁性フィルター41を嵌合させる溝部などを設けてもよい。また、粗大粒子などによる目詰まりを防止するために、プレフィルターなどを磁性フィルター41の前段に設けてもよい。
磁性フィルターとしては、特に限定されないが、好適な例として、上記特許文献2に開示した磁性金網が複数枚積層されたものを例示できる。なお、第3実施形態においては、磁性フィルターを用いる例を説明したが、非磁性フィルターを用いることも可能である。
捕捉性磁性粒子を用いる浄化方法は、磁性フィルター41の表面で凝集塊を回収する。また、磁性フィルターの空隙部において磁力制御部42の磁力を利用して凝集塊を形成しなかった捕捉性磁性粒子を捕捉する。従って、捕捉する磁性ナノ粒子に応じて、適切な空隙部のサイズを選定する。磁性金網45の製造方法は、公知のものを制限なく利用することができる。例えば、磁性細線を編み込んで磁性金網を製造したり、コイル状の細線同士を熱融着することにより製造したりすることができる。コイル状の細線同士を熱融着することにより磁性金網を製造する場合には、接触面積を大きくすることができるので、磁性ナノ粒子の吸着面を大きくすることができるという優れた効果がある。
磁力制御部42は、浄化管43の外部側壁において磁性フィルター41と対向する領域に形成されている。第3実施形態においては、枠体状に磁力制御部42を設ける構成としているが、磁性フィルター41に対して磁気を照射可能であれば、その形状や設置位置は問わない。磁力制御部42は、磁石、シールド手段を有する。シールド手段は、磁力遮蔽部材により構成する。これにより、磁石の磁力線に指向性を付与させることが可能となる。
また、浄化管43と磁石の間に、着脱自在なシールド板を取り付け可能なように設置してもよい。これにより、磁性フィルター41への磁気照射のオン、オフを制御することが可能となる。また、電磁石からなる磁石を浄化管43に固設させ、電気のオン、オフにより、磁力線の発生をオン、オフ可能なように構成してもよい。
次に、第3実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いる浄化方法について説明する。まず、浄化対象流体を浄化管43に誘導し、磁気照射を行いながら磁性フィルター41によって濾過する。これによって、捕捉性磁性粒子1が磁性フィルター41表面およびフィルター内にトラップされる。この際、必要に応じて圧力等を加えてもよい。次いで、捕捉性磁性粒子1の回収を行う。まず、浄化対象流体の供給を止める。そして、磁性フィルター41の磁力をオフすることにより、磁性フィルター41に捕獲されている捕捉性磁性粒子1を磁性フィルター41から分離する。若しくは、磁性フィルター41を取り出して、磁性フィルター41を放射能遮蔽部材内に保管してもよい。また、フィルター吸着物剥離手段を設けてもよい。
第3実施形態によれば、濾過法と磁力制御部42を併用して、捕捉性磁性粒子を捕捉して回収するので、高効率に浄化対象化合物を回収することができる。第3実施形態に係る方法は、第1実施形態の方法と組み合わせて行ってもよい。例えば、第1実施形態によって、浄化対象化合物の大半を取り除き、その後、第3実施形態の磁性フィルターを使って、より確実に浄化対象化合物を回収するようにしてもよい。また、磁性フィルターとして、磁性金網45を積層すれば、磁気吸着効率を高めることができる。また、図5Aおよび図5Bに示す磁性フィルターを用いる場合には、磁性金網45を積層し、これを焼結しているので、積層した磁性金網45が外力でずれたり、形状変形したりするのを防止し、耐久性の高い磁性フィルターを提供することができる。なお、磁性フィルターの好適な例として磁性金網45を積層して焼結したフィルターを挙げたが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の磁性フィルターを利用可能である。
[第4実施形態]
第4実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いる浄化方法および浄化システムは、以下の点を除く基本的な構成は上記第1実施形態と同様である。即ち、第4実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いる浄化方法は、磁化させた捕捉性磁性粒子において凝集塊を実質的に形成させずに、単分散、クラスター若しくは微集塊のものを浄化対象流体である放射能汚染水に投入している点において、第1実施形態とは相違する。
単分散、クラスター若しくは微集塊のものを浄化対象流体に投入する方法としては、ステップ2において磁化させる際に凝集塊を形成させ、投入時に、例えば、圧縮空気などを利用して凝集塊を壊すことにより実施する方法が例示できる。また、単分散等の状態を保持したまま磁化させて、浄化対象流体中に捕捉性磁性粒子を投入してもよい。なお、吸着効率の観点から撹拌することが好ましいが、撹拌を行わずに処理することも可能である。撹拌以外の方法で吸着効率を高める方法としては、温度差を利用した自然対流や、投入時の水流により吸着効率を高めたりする方法が例示できる。
第4実施形態によれば、凝集塊を投入せずに投入前に圧縮空気などを利用して単分散、クラスター、若しくは微集塊を浄化対象流体に投入させているので、撹拌設備を有していない場合においても、好適に、浄化対象流体中で捕捉性磁性粒子を分散させることが可能となる。既存の設備に、撹拌装置を設置する場合が難しいケースもあり、特にこのような場合において有用である。単分散、クラスター、若しくは微集塊を投入する方法としては、ステップ2の磁化装置において、粉体を気流中で分散させた状態で磁化させ、凝集塊を形成しない条件で浄化対象流体中に投入する方法を例示できる。
第4実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いる浄化方法および浄化システムによれば、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、撹拌設備を有していなくて高効率に浄化を実施することができる。
[第5実施形態]
第5実施形態に係る捕捉性磁性粒子の浄化方法および浄化システムは、浄化対象流体である放射能汚染水に捕捉性化合物と磁化させた磁性ナノ粒子を別々に投入し、放射能汚染水中で捕捉性化合物と磁性ナノ粒子との複合体を形成するものである。磁性ナノ粒子は、上記第1実施形態で述べたように被覆層を有していてもよい。
第5実施形態に係る浄化方法は、放射能汚染水中で、磁性ナノ粒子と捕捉性化合物を別々に投入し、液体中で捕捉性磁性粒子を形成させる。次いで、磁性ナノ粒子が、浄化対象化合物を捕捉する。なお、捕捉性化合物がまず浄化対象化合物を捕捉し、磁性ナノ粒子が、浄化対象化合物を捕捉した捕捉性化合物を捕獲するものであってもよい。また、両者が混在していてもよい。以降の工程は、上記実施形態と同様の方法により除染すればよい。
第5実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いる浄化方法および浄化システムによれば、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、放射能汚染水中で複合体を形成させるので、予め捕捉性磁性粒子を形成する必要がないというメリットがある。
[第6実施形態]
第6実施形態に係る捕捉性磁性粒子の浄化方法および浄化システムは、浄化対象流体として液体ではなく、気体に適用した例について説明する。第6実施形態に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法は、汚染気体中に、ステップ2において磁化させた捕捉性磁性粒子を投入し、汚染気体中の浄化対象化合物を捕捉性磁性粒子により捕捉せしめるものである。例えば、浄化装置の浄化タンク内に汚染気体を収容し、その中に磁化させた捕捉性磁性粒子を投入する方法を例示できる。
浄化タンク内は、撹拌や送風などにより、汚染気体および捕捉性磁性粒子の衝突確率を高めることが好ましい。捕捉性磁性粒子の粒子径を小さくさせることにより、気体中での分散性を高めることができる。しかも、捕捉性磁性粒子の粒径を小さくすることにより、比表面積が大きくなるので捕捉能も大幅に高めることができる。さらに、捕捉性磁性粒子の粒径が小さくなるにつれて回収効率が低下するという課題があるが、これに対しては、汚染気体に捕捉性磁性粒子を投入する前に予め磁化させておくことにより、捕捉性磁性粒子の集積性を高めることができる。
第6実施形態によれば、汚染気体に対しても好適に適用できる。また、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
[実施例]
(捕捉性磁性粒子)
強磁性体の粉末(ナノ鉄の粉(H857)、Chengdu Nuclear 857 New Materials 社製)12gに対し、0.08%(固形分は0.25/8%)DADMAC102L(工業用PDDAポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド))/1%アンモニア水360mLを用いて被覆性磁性粒子を得た。被覆後、自然沈殿により余分なポリマーを除いた。具体的には、得られたポリマー・アンモニアを含む磁性体スラリー全量に440mLの水を加え、さらにpH9になるように少量の1N塩酸を加え、沈殿時間を短縮させた。最終的に全量が500mLになるように水を加え、一晩静置することにより自然沈殿させた。
上清を吸引ポンプで取り除き、硫酸ニッケルを加えてよく撹拌した後、フェロシアン化カリウムを加えることによりフェロシアン化ニッケルを混合液中で合成した。さらに、振盪器にて3時間ほど攪拌し、最後にマイクロリアクターを通し、1回高圧処理することにより、ポリマーがバインダーのフェロシアン化Ni被覆磁性体の水分散液を作製した。続いて、当該水分散液をスプレードライヤーで処理することにより紛体サンプルを得た(噴射圧40mmHg、出口温度93℃、ポンプ回転数14%)。
試料A:飛灰40gに水400mLを加え、12時間撹拌することにより飛灰分散水を得た。得られた飛灰分散水に、上記捕捉性磁性粒子0.01質量部(400mg)を添加することにより磁気回収前のサンプルa1を得た。なお、添加量は、捕捉性磁性粒子の残存によるコントラストを高めるために過剰量加えた。サンプルa1に対し、磁気を30秒間照射することによりサンプルa2を得た。また、サンプルa2に対し、磁気をさらに90秒間照射(合計120秒照射)することによりサンプルa3を得た。
試料B:飛灰40gに水400mLを加え、12時間撹拌することにより飛灰分散水を得た。得られた飛灰分散水に、次に、予め磁化処理(ステップ2の処理)を行った上記捕捉性磁性粒子0.01質量部(400mg)を添加することにより磁気回収前のサンプルb1を得た。なお、添加量は、捕捉性磁性粒子の残存によるコントラストを高めるために過剰量加えた。サンプルb1に対し、磁気を30秒間照射することによりサンプルb2を得た。また、サンプルa2に対し、磁気をさらに90秒間照射(合計120秒照射)することによりサンプルb3を得た。
サンプルa1〜サンプルb3に対して、それぞれNaI(Tl)シンチレーションスペクトロメーター(エムエス機器社製 放射能測定システムMUCHA)より放射線量を測定した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、磁化処理を行わない場合、磁気照射30秒のサンプルで除去率が49.7%であるのに対し、磁化処理を行った場合、磁気照射30秒で除去率が77.4%になるという結果を得た。即ち、磁化処理により除去率が1.5倍以上になるという結果が得られた。ステップ2の磁化処理を行うことにより、磁化処理を行わない場合に比して捕捉性磁性粒子の回収効率を高められることがわかる。
(実施例1)
鉄粉表面にフェロシアン化ニッケルを被覆した上記捕捉性磁性粒子10mg(乾燥重量)を15mLチューブに加えた。そして、ステップ2の磁化処理を行うために、チューブの外側より、0.5テスラのネオジウム磁石をチューブに接するように、内部の磁性除染剤に10秒間照射した。次いで、チューブに10mLの水を加えて1分間ほど、よく撹拌した。得られた磁性除染剤の分散液を吸光度計(紫外可視近赤外(UV-Vis-NIR) 分光光度計UV-1800 島津製作所製)の測定用セルに入れ、吸光度系のセルホルダーに装着した。そして、セル内の分散水を、ピペットを用いて吸引・排出を繰り返した後に、吸光度を測定した。リファレンスの水の透過率を100%として規格化したときのセル内の分散水の光透過率(500nm)の結果を図6に示す。
(実施例2)
セル内の分散水を、ピペットを用いて吸引・排出を繰り返した直後に、電磁石のスイッチをオンした以外は実施例1と同様にしてサンプルの透過率を測定した。その結果を図7に示す。
(比較例1)
ステップ2に対応する磁化処理(ネオジウム磁石による磁気照射)を省いた以外は、実施例1と同様にした。その結果を図8に示す。
(比較例2)
セル内の分散水を、ピペットを用いて吸引・排出を繰り返した直後に、電磁石のスイッチをオンした以外は実施例1と同様にしてサンプルの透過率を測定した。その結果を図9に示す。
図6より、実施例1のサンプルは、約1分半の磁気照射により透過率が100%となるという結果を得た。これは、捕捉性磁性粒子の磁化処理により、捕捉性磁性粒子が効率よく凝集していることを示唆するものである。
図7より、実施例2のサンプルは、約40秒の磁気照射により透過率が100%となるという結果を得た。これは、捕捉性磁性粒子の磁化処理、および電磁石のスイッチオンの両者により、捕捉性磁性粒子が効率よく凝集できたことを示すものである。
図8より、比較例1のサンプルは、10分経過後も、透過率が40%以下であるという結果を得た。これより、磁化処理によって(実施例1)、捕捉性磁性粒子の回収速度を格段に高められることがわかる。
図9より、比較例2のサンプルは、10分経過後も透過率が50%強に過ぎないという結果を得た。これより、磁化処理によって(実施例2)、捕捉性磁性粒子の回収速度を格段に高められることがわかる。
本発明に係る捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法および浄化システムは、液体や気体等の流体中に混入した浄化対象化合物を除去するシステムや浄化方法に好適に利用できる。本発明の浄化方法および浄化システムは、海水等の天然由来、血清等の生体由来、飲料水等の食品分野、浄水、中水、下水、汚泥、各種洗浄水等の分野をはじめとする液体や気体等の流体中に分散した浄化対象化合物の除染・浄化に対して、広範囲に利用できる。
1 捕捉性磁性粒子
5 凝集塊
8 凝集塊
10 磁性ナノ粒子
12 磁性籠状骨格
15 被覆層
18 捕捉性化合物
20 放射能汚染水
21 放射性セシウム(浄化対象化合物)
30 磁力集積手段
40 センサー
41 磁性フィルター
42 磁気制御部
43 浄化管
44 支持部
51 浄化対象液体貯蔵タンク
52 浄化タンク
53 捕捉性磁性粒子貯蔵タンク
54 磁化手段
55 捕捉性磁性粒子の回収手段
90 クラスター
91 被覆性磁性ナノ粒子
100 浄化システム

Claims (10)

  1. 強磁性体を含有し、浄化対象化合物を捕捉し得る捕捉性磁性粒子を用意する工程と、
    前記捕捉性磁性粒子を磁化させる磁化工程と、
    磁化させた前記捕捉性磁性粒子を浄化対象流体中に投入して、前記浄化対象化合物を捕捉する捕捉工程と、
    前記捕捉性磁性粒子の凝集塊を形成する凝集塊形成工程と、
    前記捕捉性磁性粒子を前記浄化対象流体中から回収する回収工程とを備え
    前記磁化工程は、前記捕捉性磁性粒子の凝集塊を形成する工程を含み、
    前記捕捉工程は、前記捕捉性磁性粒子の凝集塊が分散するように撹拌しながら行う捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法。
  2. 前記回収工程は、磁力、沈殿、濾過、遠心分離、浮遊選鉱の少なくともいずれかにより行う請求項1に記載の捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法。
  3. 前記浄化対象化合物は、放射性セシウム、放射性セシウムの安定同位体、放射性ストロンチウム、および放射性ストロンチウムの安定同位体、放射性タリウム、放射性タリウムの安定同位体の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法。
  4. 前記捕捉性磁性粒子は、鉄,コバルト、ニッケル、ガドリニウム、およびこれらの酸化物のいずれかを含む請求項1〜のいずれか1項に記載の捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法。
  5. 前記捕捉性磁性粒子は、金属フェロシアン化物、ゼオライト、イオン交換体、ナノ多孔材料、ハイドロキシアパタイトのいずれかを含む請求項1〜のいずれか1項に記載の捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法。
  6. 前記捕捉性磁性粒子は、フェロシアン化鉄、フェロシアン化ニッケル、又はフェロシアン化コバルト、フェロシアン化銅、フェロシアン化亜鉛、フェロシアン化クロム、フェロシアン化マンガンのいずれかを含む請求項1〜のいずれか1項に記載の捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法。
  7. 前記捕捉性磁性粒子は、コア部に磁性ナノ粒子、
    表層に前記浄化対象流体中の前記浄化対象化合物を捕捉する捕捉性化合物、
    及び、前記磁性ナノ粒子を直接被覆し、前記磁性ナノ粒子と前記捕捉性化合物の間に実質的に形成されている被覆層の多層構造からなる請求項1〜のいずれか1項に記載の捕捉性磁性粒子を用いた浄化方法。
  8. 捕捉性磁性粒子を用いた浄化システムであって、
    浄化対象化合物を浄化対象流体中で捕捉する捕捉性磁性粒子と、
    前記捕捉性磁性粒子を前記浄化対象流体中に投入する前に磁化させる磁化手段と、
    前記浄化対象流体中で、前記捕捉性磁性粒子を撹拌する撹拌手段と、
    前記浄化対象流体中で、前記捕捉性磁性粒子を回収する回収手段とを備え
    前記磁化手段は、前記捕捉性磁性粒子の凝集塊を形成する手段を含む捕捉性磁性粒子を用いた浄化システム。
  9. 前記回収手段は、磁力集積、沈殿、濾過、遠心分離、浮遊選鉱の少なくともいずれかである請求項に記載の捕捉性磁性粒子を用いた浄化システム。
  10. 前記捕捉性磁性粒子は、
    コア部に磁性ナノ粒子、
    表層に前記浄化対象流体中の前記浄化対象化合物を捕捉する捕捉性化合物、
    及び、前記磁性ナノ粒子を直接被覆し、前記磁性ナノ粒子と前記捕捉性化合物の間に実質的に形成されている被覆層の多層構造からなる請求項又はに記載の捕捉性磁性粒子を用いた浄化システム。
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