JP2014073445A - 磁性体含有吸着剤の洗浄装置及び洗浄方法 - Google Patents

磁性体含有吸着剤の洗浄装置及び洗浄方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁性体粒子を含む吸着剤から、当該磁性体粒子を高効率で回収することが可能な磁性体含有吸着剤の洗浄装置及び洗浄方法を提供する。
【解決手段】実施形態の磁性体含有吸着剤の洗浄装置は、水に不溶の油を吸着している磁性体含有吸着剤を含む分散媒に対して磁気力を作用させ、分散媒から磁性体含有吸着剤を磁気分離するための磁気発生手段を有するとともに、磁気分離した磁性体含有吸着剤から洗浄液によって吸着した油を洗浄除去する洗浄槽と、洗浄槽に対して分散媒を循環させるための循環ラインとを具える。また、磁性体含有吸着剤から洗浄除去した油を含む洗浄液において、油と洗浄液との比重差を利用して、油と洗浄液を沈降分離させて洗浄液を再生する再生槽と、再生槽から洗浄槽に、洗浄液を供給する供給ラインとを具える。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、磁性体含有吸着剤の洗浄装置及び洗浄方法に関する。
昨今、工業の発達や人口の増加により水資源の有効利用が求められている。そのためには、工業廃水などの廃水の再利用が非常に重要である。これらを達成するためには水の浄化、すなわち水中から他の物質を分離することが必要である。
液体からほかの物質を分離する方法としては各種の方法が知られており、たとえば膜分離、遠心分離、活性炭吸着、オゾン処理、凝集、さらには所定の吸着剤による浮遊物質の除去などが挙げられる。このような方法によって、水に含まれるリンや窒素などの環境に影響の大きい化学物質を除去したり、水中に分散した油類、クレイなどを除去したりすることができる。
これらのうち、膜分離はもっとも一般的に使用されている方法のひとつであるが、水中に分散した油類を除去する場合には膜の細孔に油が詰まり易く、膜の寿命が短くなりやすいという問題がある。このため、水中の油類を除去するには膜分離は適切でない場合が多い。
したがって、重油等の油類が含まれている水からそれらを除去する手法としては、例えば、水と重油との比重差に基づく重油の浮上性を利用し、水上に設置されたオイルフェンスにより水の表面に浮いている重油を集め、表面から吸引および回収する方法、または、重油に対して吸着性をもった疎水性材料を水上に敷設し、重油を吸着させて回収する方法等が挙げられる。
一方、近年においては、油分吸着剤を用い、油類が分散した水中内に浸漬させることによって、上記油分吸着剤に油類を吸着させ、水中から除去する試みがなされている。例えば、特許文献1には、磁性体コア粒子を新油性のポリマーをバインダーとして凝集させた吸着剤を用いて油分を除去する方法が開示されている。
しかしながら、本方法では、水中の油を迅速に回収できるが、吸着剤を再生して再利用する際には、吸着した油を溶媒に溶解させて洗浄しなければならず、溶媒の再生にかなりのエネルギーを使用したり、再生装置を防爆構造にしなくてはならなかったりなど、装置が複雑化かつ大型化してしまい、吸着剤の再生コストが増大してしまうという問題がある。
また、この磁性体粒子を含む吸着剤を再利用する際には、磁性体粒子の回収率が重要なファクターとなるが、上述のような吸着剤の再生装置では、十分な磁性体粒子の回収率を得ることができなかった。
特開2009−268976号公報
本発明が解決しようとする課題は、磁性体粒子を含む吸着剤から、当該磁性体粒子を高効率で回収することが可能な磁性体含有吸着剤の洗浄装置及び洗浄方法を提供することである。
実施形態の磁性体含有吸着剤の洗浄装置は、水に不溶の油を吸着している磁性体含有吸着剤を含む分散媒に対して磁気力を作用させ、前記分散媒から前記磁性体含有吸着剤を磁気分離するための磁気発生手段を有するとともに、磁気分離した前記磁性体含有吸着剤から洗浄液によって吸着した油を洗浄除去する洗浄槽と、前記洗浄槽に対して前記分散媒を循環させるための循環ラインとを具える。また、前記磁性体含有吸着剤から洗浄除去した油を含む前記洗浄液において、前記油と前記洗浄液との比重差を利用して、前記油と前記洗浄液を沈降分離させて前記洗浄液を再生する再生槽と、前記再生槽から前記洗浄槽に、前記洗浄液を供給する供給ラインとを具える。
第1の実施形態の磁性体含有吸着剤の洗浄装置の概略構成を示す図である。 第2の実施形態の磁性体含有吸着剤の洗浄装置の概略構成を示す図である。
(吸着剤)
最初に、本実施形態の磁性体含有吸着剤の洗浄装置及び洗浄方法に用いる吸着剤について説明する。
<磁性体>
本実施形態における吸着剤は、磁性体によってコアが形成される。したがって、磁性体とは、磁鉄鉱、チタン鉄鉱、磁硫鉄鉱、マグネシムフェライト、コバルトフェライト、ニッケルフェライト、バリウムフェライト等の粒子を意味するものである。
上述した磁性粒子の中でも、水中での安定性に優れたフェライト系化合物からなる磁性粒子であればより好ましい。例えば磁鉄鉱であるマグネタイト(Fe)は安価であるだけでなく、水中でも磁性体として安定し、元素としても安全であるため、水処理に使用しやすいので好ましい。
この場合、上述した粒子は、球状、多面体、不定形など種々の形状を取り得るが特に限定されない。また、望ましい粒径や形状は、製造コストなどを鑑みて適宜選択すればよく、特に球状または角が丸い多面体構造が好ましい。
鋭角な角を持つ粒子であると、後の噴霧処理を経て形成するコア表面の被覆層を傷つけてしまい、目的とする吸着剤の形状を維持しにくく、その本来的な機能を有効に奏することができないためである。
特にコアを構成する粒子が上述のような磁性粒子である場合、以下に説明するような吸着剤の再生工程において、上記コアに磁力が作用し、磁力によって吸着剤が再生出来る限りにおいて、上記鋭角な角を被覆するために、Cuメッキ、Niメッキなど、通常のメッキ処理を施すこともできるし、腐食防止などの目的で表面処理することもできる。
なお、コアの総てが磁性粒子で構成される必要はない。すなわち、コアに磁力が作用し、磁力によって吸着剤が回収出来る限りにおいて、非常に細かい磁性体粉末が樹脂等のバインダーで結合されたものであってもよい。また、磁性粉の表面がメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシシランなどのアルコキシシラン化合物で疎水化処理されていてもよい。
また、磁性粒子の大きさは、処理設備の磁力、流速、吸着方法のほか、磁性粒子の密度、種々の条件によって最適な範囲が変化する。しかしながら、本実施形態における磁性粒子の平均粒子径は、一般に0.05〜100μmである。磁性粒子の平均粒子径の測定方法には、レーザー回折法により測定することができ、具体的には、株式会社島津製作所製のSALD−3100型測定装置(商品名)などにより測定することができる。なお、以下に“平均粒子径”なる文言が出現し、その具体的な数値が記載されている場合、別途説明がある場合を除き、当該“平均粒子径”は上述のようなレーザー回折法によって測定したものである。
磁性粒子の平均粒子径が100μmよりも大きいと、水中での沈降が激しくなり、水への分散が悪くなる傾向があり、また粒子の実効的な表面積が減少して、油類などの吸着量が減少する傾向にあるので好ましくない。また粒子径が0.05μmより小さくなると、粒子が緻密に凝集し、処理液の上層に浮遊する状態となり、分散性が低下する傾向があるので好ましくない。
<吸着層>
吸着材を構成する吸着層は、第1に、スチレン樹脂、水添加スチレン樹脂、ブタジエン樹脂、イソプレン樹脂、アクリロニトリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、及びフェノール樹脂、及びアルキルメタアクリレート樹脂等から構成することができる。これらの樹脂は親油性に優れるとともに耐油性にも優れる。したがって、上記樹脂から吸着層を構成することによって、廃液等の被処理水中から目的とする油分のみを効率的に吸着除去することができるとともに、被処理水に対して耐性を有するようになる。
吸着材を構成する吸着層は、第2に、カップリング剤の縮合物とすることができる。この場合、磁性体コア粒子の表面をカップリング剤で処理する。処理は、乾式及び湿式のいずれであってもよい。
カップリング剤としては、シランカップリング剤、すなわち、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、へキシルトリメトキシシラン、ドデカトリメトキシシランオクタデシルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等のアルキルシラン、フェニルトリメトキシシラン、ナフタレントリメトキシシラン等の芳香族シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、ビニルトリエトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシメトキシシラン等のビニルシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシランを挙げることができる。その他、チタネート、アルミキレート、ジルコアルミネート等のカップリング剤をも用いることができる。
上述した吸着層の中でも、フェノール樹脂が最も好ましい。フェノール樹脂は表面にフェノール基を有するため、水となじみやすくハンドリングが優れる。また熱硬化性樹脂であるために、熱などの負荷に強いからである。
(磁性体含有吸着剤の洗浄装置及び洗浄方法)
次に、本実施形態の磁性体含有吸着剤の洗浄装置及び洗浄方法について説明する。
図1は、第1の実施形態の磁性体含有吸着剤の洗浄装置の概略構成を示す図である。
図1に示す洗浄装置10は、上述した磁性体含有吸着剤(以下、“吸着剤”と略す場合がある)に吸着した油を洗浄するための洗浄槽11と、吸着剤を洗浄する際に使用する洗浄液を再生するための再生槽12とを具えている。洗浄槽11内には、円筒部11Aが形成され、当該円筒部11A内には磁気発生手段としての永久磁石111が配設されている。また、以下の洗浄方法で説明するような作用効果を奏する撹拌機112が配設されている。
なお、磁気発生手段としては上述のような永久磁石111に限定されるものではなく、電磁石やその他公知の磁気発生手段を用いることができる。永久磁石111を用いる場合は、当該永久磁石111に対してエアシリンダーが取り付けられており、洗浄槽11内に磁気力を作用させる場合は、エアシリンダーによって永久磁石111を円筒部11A内に挿入し、洗浄槽11内に磁気力を作用させない場合は、エアシリンダーによって永久磁石111を円筒部11Aから取り出す。
洗浄液としては、以下に説明する再生槽12での洗浄液の再生方法に起因して、油とエマルジョン化する界面活性剤が好ましく、具体的には両性イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤を挙げることができる。これらの界面活性剤は油の洗浄能力が強いだけでなく、後述する油分を吸着する吸着剤に使用しても、それを劣化させる心配が少ないからである。
両性イオン界面活性剤としては、例えばアルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。また非イオン系界面活性剤としては、しょ糖脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが挙げられる。この中でも、特にアルキルアミンオキシド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが、コスト、油分分離性能、吸着剤洗浄能力の点で好ましい。
上記洗浄液は、上述のような界面活性剤を、例えば0.1〜3質量%程度の濃度に水で希釈したものとする。このような洗浄液は洗浄力が高いだけでなく不燃性であるため、装置全体を非防爆構造とすることができる。
洗浄槽11と再生槽12とは、配管22、ポンプ37、三方バルブ31及び配管25によって接続されており、また、ポンプ38、配管26及び配管23によって接続されている。なお、ポンプ38、配管26及び配管23は、以下に説明するように、再生槽12で再生した洗浄液を供給するための供給ラインを構成する。
また、洗浄槽11の下部及び上部は、配管22、ポンプ37、三方バルブ31、32及び配管23によって接続されており、これら配管22等は、洗浄槽11内に導入した吸着剤を含む分散媒(スラリー)を洗浄槽11内に循環させるための循環ラインを構成する。
なお、洗浄槽11の上部には配管21が接続されており、洗浄槽11内に上記吸着剤を含む分散媒を導入するための給水ラインを構成している。また、再生槽12の上部にも配管29が接続されており、再生槽12中に適宜洗浄液を供給するための洗浄液供給ラインを構成している。
次に、図1に示す洗浄装置10を用いた吸着剤の洗浄方法について説明する。
最初に、給水ラインである配管21から、上記吸着剤を例えば水に分散させた分散媒(スラリー)として洗浄槽11内に導入する。次いで、エアシリンダーによって洗浄槽11内の円筒部11A内に永久磁石111を挿入して、上記分散媒中の吸着剤を永久磁石111が挿入された円筒部11Aの周囲に捕捉する。
このとき、分散媒中の吸着剤の一部は洗浄槽11の底部に沈殿し、あるいは配管22内に滞留してしまって、吸着剤の捕捉効率が低下するので、ポンプ37を駆動させ、三方バルブ31の上下方向を開状態とし、三方バルブ32の左方側を開状態、右方側を閉状態とすることにより、配管22、ポンプ37、三方バルブ31、32及び配管23で構成される循環ライン中に上記分散媒を循環させ、洗浄槽11の底部に沈殿した吸着剤等を洗浄槽11の永久磁石111からの磁気力が作用する領域に導入して、吸着剤の捕捉効率を向上させる。
なお、上述のように分散媒を循環させることによって、吸着剤による配管22等の目詰まりを防止することもできる。
また、撹拌機112を駆動させることによっても、分散媒中に撹拌流が生じるので、洗浄槽11内に導入した分散媒中の吸着剤が、永久磁石111が挿入された円筒部11Aの周囲に捕捉するのを助長することができる。
次いで、分散媒を循環させて吸着剤を円筒部11Aの周囲に捕捉させた後は、三方バルブ31の上下方向を閉状態とし、右方を開状態として、分散媒中の溶媒(例えば水)を配管24を介して排出する。
次いで、再生槽12より洗浄液供給ラインである配管29を介して洗浄液を洗浄槽12内に供給し、ポンプ38を駆動させることにより、供給ラインであるポンプ38、配管26及び配管23を介して上記洗浄液を洗浄槽11内に供給する。
このとき、永久磁石111を円筒部11A内に挿入し、吸着剤を円筒部11Aの周囲に捕捉させた状態で上記洗浄液によって洗浄することもできるが、好ましくは永久磁石111をエアシリンダーによって円筒部11Aより取り出し、吸着剤を円筒部11Aから離脱させて上記洗浄液中に分散させることによって洗浄することもできる。後者の場合には、各吸着剤の洗浄液に対する接触面積を増大させることができるので、吸着剤に吸着した油の洗浄除去をより効率的に行うことができる。
但し、後者の方法では、洗浄液による吸着剤の洗浄が終了した後には、再度円筒部11A内にエアシリンダーによって永久磁石111を挿入し、円筒部11Aの周囲に吸着剤を捕捉させる必要がある。
また、洗浄液に吸着剤の洗浄効果を向上させるために、必要に応じて撹拌機112を駆動させ、洗浄液中に撹拌流を生ぜしめるとともに、この撹拌流に基づくせん断力を吸着剤に作用させて、吸着剤からの油の除去を促進させることもできる。
次いで、洗浄槽11内で吸着剤の洗浄が終了した後は、油を含む使用済みの洗浄液をポンプ37を駆動させ、三方バルブ31の上下方向を開状態とし、三方バルブ32の左方側を閉状態、右方側を開状態とすることにより、配管22、ポンプ37、三方バルブ31、32及び配管25を介して使用済みの洗浄液を再生槽12内に導入する。
再生槽12内では、導入した使用済みの洗浄液を数十分から数時間の間静置させて、使用済み洗浄液から油及び洗浄液を沈降させて分離する。
例えば、洗浄液に比較して油の比重が高い場合は、再生槽12の下部に油が溜まり、上部に洗浄液が溜まる。再生槽12の下部に溜まった油は、バルブ34を開として配管28より排出する。一方、再生槽12の上部に溜まった洗浄液は、バルブ33を開とし、図示しないポンプを駆動させることによって配管27より取り出し、再利用に供する。
また、洗浄液に比較して油の比重が低い場合は、再生槽12の上部に油が溜まり、下部に洗浄液が溜まる。再生槽12の上部に溜まった油は、バルブ33を開として配管27より排出する。一方、再生槽12の下部に溜まった洗浄液は、バルブ34を開とし、配管28より取り出し、再利用に供する。
また、配管27あるいは配管28を配管26あるいは配管23に接続すれば、再生した洗浄液を用いて再度洗浄槽11内で上述した吸着剤の洗浄を行うことができる。したがって、この場合、バルブ33、配管27及び配管26又は23若しくはバルブ34、配管28及び配管26又は23は、再生された洗浄液を供給するための供給ラインとして機能し、当初、配管29から再生槽12内に導入した洗浄液で上述した吸着剤の洗浄を長期に亘って行うことができる。
但し、この場合、洗浄液の一部は配管27又は配管28より外部に排出され、あるいは劣化して洗浄作用が低下するので、配管29から適宜洗浄液を追加投入して、洗浄液の洗浄作用を保つ必要がある。
なお、本実施形態では、洗浄槽11に対して配管21から吸着剤を導入して当該吸着剤を洗浄するようにしているが、洗浄槽11はカートリッジ化することもできる。この場合は、カートリッジ化された洗浄槽内に予め吸着剤を含む分散媒が充填されているので、配管21を設ける必要はない。また、円筒部11A、永久磁石111及び撹拌機112はカートリッジの蓋に装備されているので、当該蓋によるカートリッジの開閉によって磁気力の印加の有無や撹拌流の形成の有無が決定される。
図2は、第2の実施形態の磁性体含有吸着剤の洗浄装置の概略構成を示す図である。
図2に示す洗浄装置40は、図1に示す第1の実施形態の洗浄装置10において、再生槽12の中部に加熱装置であるヒータ41が配設され、さらに再生槽12の下部に衝撃波負荷手段であるエアハンマー42が配設されている点で相違し、その他の構成については同様である。したがって、以下では本実施形態の第1の実施形態に対する相違点を中心に説明する。
なお、本実施形態では、加熱装置としてヒータ41を用い、衝撃波負荷手段としてエアハンマー42を用いているが、加熱装置及び衝撃波負荷手段はこれらに限定されるものではなく、現状使用されている任意の加熱装置及び衝撃波負荷手段を用いることができる。
また、図1に示す洗浄装置10における構成要素と同一あるいは類似の構成要素に関しては、同一の参照符号を用いている。
さらに、吸着剤及び洗浄液についても、第1の実施形態で説明したものと同じものを用いることができる。
本実施形態における洗浄装置40を用いた洗浄方法は、給水ラインである配管21から、上記吸着剤を例えば水に分散させた分散媒(スラリー)として洗浄槽11内に導入し、エアシリンダーによって洗浄槽11内の円筒部11A内に永久磁石111を挿入して、上記分散媒中の吸着剤を永久磁石111が挿入された円筒部11Aの周囲に捕捉する。
さらに、配管22、ポンプ37、三方バルブ31、32及び配管23で構成される循環ライン中に上記分散媒を循環させ、また、必要に応じて撹拌機112を駆動させることによって分散媒中に撹拌流が生ぜしめ、洗浄槽11の底部に沈殿した吸着剤等を洗浄槽11の永久磁石111からの磁気力が作用する領域に導入して、吸着剤の捕捉効率を向上させる。
次いで、分散媒中の溶媒(例えば水)を配管24を介して排出した後、再生槽12より洗浄液供給ラインである配管29を介して洗浄液を洗浄槽12内に供給し、ポンプ38を駆動させることにより、供給ラインであるポンプ38、配管26及び配管23を介して上記洗浄液を洗浄槽11内に供給し、洗浄槽11内に存在する吸着剤を上記洗浄液で洗浄する。
なお、第1の実施形態で述べたように、洗浄槽11内で吸着剤を洗浄する際には、吸着剤を永久磁石111からの磁気力によって円筒部11Aの周囲に捕捉させた状態で上記洗浄液によって洗浄することもできるし、吸着剤を円筒部11Aから離脱させて上記洗浄液中に分散させることによって洗浄することもできる。なお、洗浄液による吸着剤の洗浄効果を向上させるために、必要に応じて撹拌機112を駆動させ、洗浄液中に撹拌流を生ぜしめ、この撹拌流に基づくせん断力を吸着剤に作用させることもできる。
次いで、油を含む使用済みの洗浄液を再生槽12内に導入する。このとき、再生槽12に配設されたヒータ41によって、使用済み洗浄液の温度を例えば40℃〜70℃に加熱すると、界面活性剤によって安定していた油が分離して、例えばバルブ33を介して配管27より外部に排出することができる。またこの時の温度は、非イオン界面活性剤の場合、界面活性剤の曇点以上にすると、油の分離が促進される。曇点以上になった界面活性剤は洗浄液中に微細に分散して凝集しにくいが、油は凝集して分離されるため、油を分離後に洗浄液を再利用することができる。この結果、使用済み洗浄液中に含まれる油の量を減らすことができる。
次いで、再生槽12内で、使用済みの洗浄液を数十分から数時間の間静置させるとともに、エアハンマー42で再生槽12に衝撃を与えることにより、使用済み洗浄液に衝撃波を負荷し、使用済み洗浄液から油及び洗浄液を沈降させて分離する際に、同じ比重の物質を凝集させる。例えば、洗浄液に比較して油の比重が高い場合は、再生槽12の下部に油が凝集して溜まり易くなり、上部に洗浄液が凝集して溜まり易くなる。一方、洗浄液に比較して油の比重が低い場合は、再生槽12の上部に油が凝集して溜まり易くなり、下部に洗浄液が凝集して溜まり易くなる。
なお、洗浄液に比較して油の比重が高い場合は、再生槽12の下部に油が溜まり、上部に洗浄液が溜まる。再生槽12の下部に溜まった油は、バルブ34を開として配管28より排出する。一方、再生槽12の上部に溜まった洗浄液は、バルブ33を開とし、図示しないポンプを駆動させることによって配管27より取り出し、再利用に供する。
また、洗浄液に比較して油の比重が低い場合は、再生槽12の上部に油が溜まり、下部に洗浄液が溜まる。再生槽12の上部に溜まった油は、バルブ33を開として配管27より排出する。一方、再生槽12の下部に溜まった洗浄液は、バルブ34を開とし、配管28より取り出し、再利用に供する。
また、再生済みの洗浄液は、配管26あるいは23を介して、洗浄槽11内に供給することもできる。
また、本実施形態でも、洗浄槽11はカートリッジ化することもできる。この場合は、上述したように、カートリッジ化された洗浄槽内に予め吸着剤を含む分散媒が充填されているので、配管21を設ける必要はない。また、円筒部11A、永久磁石111及び撹拌機112はカートリッジの蓋に装備されているので、当該蓋によるカートリッジの開閉によって磁気力の印加の有無や撹拌流の形成の有無が決定される。
(実施例1)
(試験材料の準備)
レゾール型フェノールの固形分30質量部を、3Lの水中に溶解させて溶液とし、その溶液中に平均粒子径2μmのマグネタイト粒子300質量部を分散させて組成物を得た。この組成物を、ミニスプレードライヤー(柴田科学株式会社製、B−290型)を用いて噴霧し、球状に凝集した粒子径が約25μmの吸着剤を作製した。この吸着剤を150℃で2時間硬化させた後、粉砕して120メッシュの篩を通過させたものを試験材料とした。
次いで、上述のようにして得た吸着剤1gに対し、油としてシェルトナオイルS68の0.3gが吸着するように水中でそれぞれを混合し、油の吸着した吸着剤を得た。また、洗浄液として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル1%を含む水を用意した。
(磁性粒子洗浄試験)
図1に示す装置を用いて試験をおこなった。最初に、水中に作製した油の吸着した吸着剤をまぜてスラリー状とした後、配管21から洗浄槽11へ導入した。この時に撹拌機112とポンプ37を作動させて循環させ、吸着剤のすべてを円筒部11Aに固定した。この後、バルブ31を作動させ、ポンプ37を使用して水を配管24より排出した。
この後、あらかじめ洗浄液を充填させてあった再生槽12からポンプ38を作動させて洗浄液を洗浄槽11に供給し、図示しないエアシリンダーで永久磁石111を上昇させ、撹拌機111によって撹拌流を生ぜしめるとともに、ポンプ37を作動させて循環させたところ、洗浄液中に油の分散した状態になった。この後、再度エアシリンダーで永久磁石111を下降させて洗浄槽11内に磁場を発生させたところ、円筒部11Aに吸着剤を保持することができた。
次いで、ポンプ37を動作させ、三方バルブ32を切り替えて油の混合した洗浄液を再生槽12に移送し、60分静置したところ、上部に油の層が分離されたので、バルブ33を動作させ、配管27より油を除去した。
また洗浄の終わった吸着剤は、配管21から水道水が供給され、吸着剤のスラリーとして回収された。この工程による吸着剤からの油の回収率は約92%であり、吸着剤の回収率は99.9%であった。
(比較例1)
実施例1の工程において、吸着剤の洗浄時にポンプ37を動かさず、撹拌機112のみを動作させたところ、油と洗浄液の混合液と共に一部の磁性粒子が再生槽12へ流出した。この時の油の回収量は約90%であり、吸着剤の回収率は95%であった。
(実施例2)
実施例1で使用したポリオキシアルキレンアルキルエーテルからアルキルアミンオキシドに変えたこと以外は同様に試験をおこなった。この工程による吸着剤からの油の回収率は約91%であり、吸着剤の回収率は99.9%であった。
(実施例3)
実施例1と同様に洗浄槽11で吸着剤の洗浄を実施した後、ポンプ37を駆動させるとともに、三方バルブ32を切り替え、油の混合した洗浄液を再生槽12に移送し、ヒータ41で界面活性剤の曇点以上である60℃まで洗浄液を加温し、さらにエアハンマーで5秒に一回再生槽12に衝撃を与えたところ、実施例1より短い20分で概ね上部に油の層が分離されたのバルブ33を動作させ配管27から油を排出した。
また洗浄の終わった吸着剤には、配管21から水道水が供給され、エアシリンダーで磁石23を上昇させた後、混合機21を動かすと、洗浄の終わった磁性粒子のスラリーとして回収された。この工程による磁性体からの油の回収率は約92%であり、吸着剤の回収率は99.9%であった。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10,40 磁性体含有吸着剤の洗浄装置
11 洗浄槽
11A 円筒部
111 永久磁石
112 撹拌機
12 再生槽
21〜28 配管
31,32 三方バルブ
33,34 バルブ
37,38 ポンプ

Claims (10)

  1. 水に不溶の油を吸着している磁性体含有吸着剤を含む分散媒に対して磁気力を作用させ、前記分散媒から前記磁性体含有吸着剤を磁気分離するための磁気発生手段を有するとともに、磁気分離した前記磁性体含有吸着剤から洗浄液によって吸着した油を洗浄除去する洗浄槽と、
    前記洗浄槽に対して前記分散媒を循環させるための循環ラインと、
    前記磁性体含有吸着剤から洗浄除去した油を含む前記洗浄液において、前記油と前記洗浄液との比重差を利用して、前記油と前記洗浄液とを沈降分離させて前記洗浄液を再生する再生槽と、
    前記再生槽から前記洗浄槽に、前記洗浄液を供給する供給ラインと、
    を具えることを特徴とする、磁性体含有吸着剤の洗浄装置。
  2. 前記再生槽から前記洗浄槽に、再生された前記洗浄液を供給する追加の供給ラインを具えることを特徴とする、請求項1に記載の磁性体含有吸着剤の洗浄装置。
  3. 前記洗浄液は、両性イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の磁性体含有吸着剤の洗浄装置。
  4. 前記洗浄液が、アルキルアミンオキシド及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルの少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項3に記載の磁性体含有吸着剤の洗浄装置。
  5. 前記洗浄槽の外部に配設した、前記油を含む洗浄液を加熱する加熱機構を具えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の磁性体含有吸着剤の洗浄装置。
  6. 前記洗浄槽の外部に配設した、前記油を含む洗浄液に衝撃波を負荷する衝撃波負荷機構を具えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の磁性体含有吸着剤の洗浄装置。
  7. 洗浄槽に、循環ラインを介して、水に不溶の油を吸着している磁性体含有吸着剤を含む分散媒を循環させるステップと、
    前記洗浄槽内に配設された磁気発生手段によって、前記分散媒に対して磁気力を作用させ、前記分散媒から前記磁性体含有吸着剤を磁気分離するステップと、
    再生槽から供給ラインを介して前記洗浄槽に洗浄液を供給し、前記洗浄槽内において、磁気分離した前記磁性体含有吸着剤を洗浄して、前記磁性体含有吸着剤から吸着した油を洗浄除去するステップと、
    再生槽内に前記磁性体含有吸着剤から洗浄除去した油を含む前記洗浄液を導入し、前記油と前記洗浄液との比重差を利用して、前記油と前記洗浄液を沈降分離させ、前記洗浄液を再生するステップと、
    を具えることを特徴とする、磁性体含有吸着剤の洗浄方法。
  8. 前記再生槽から追加の供給ラインを介して、再生された前記洗浄液を供給するステップを具えることを特徴とする、請求項7に記載の磁性体含有吸着剤の洗浄方法。
  9. 前記洗浄槽の外部に配設した加熱機構により、前記油を含む洗浄液を加熱するステップを具えることを特徴とする、請求項7又は8に記載の磁性体含有吸着剤の洗浄方法。
  10. 前記洗浄槽の外部に配設した衝撃波負荷機構により、前記油を含む洗浄液に衝撃波を負荷するステップを具えることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一に記載の磁性体含有吸着剤の洗浄方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101864242B1 (ko) * 2017-09-08 2018-06-04 주식회사 포스코건설 분리조를 이용한 마그네타이트 재생장치 및 이를 이용한 마그네타이트 재생방법
CN111704262A (zh) * 2020-05-18 2020-09-25 华东理工大学 一种抗生素废水的磁分离处理净化方法

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