JP2014206279A - 回転伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外輪の軸方向長さのコンパクト化によって回転伝達装置の軽量化を図ることである。
【解決手段】外輪11の内周に形成された円筒面12と内輪13の外周に形成されたカム面14間に一対のローラ15およびその一対のローラを離反する方向に付勢する弾性部材とを組込む。一対のローラおよび弾性部材を保持する保持器16を制御保持器16Aと回転保持器16Bとで形成し、制御保持器と回転保持器をフランジ24、28の外周部に形成された柱部25、29が周方向に交互に並ぶ組み合わせとして、隣接する柱部間にポケットを形成し、ポケット内に組み込まれた一対のローラが制御保持器と回転保持器の相対回転により柱部で押されて係合解除位置まで変位させるようにする。制御保持器と回転保持器の柱部が外輪と内輪間に配置され、フランジが外輪の外部に配置される組込みとして、外輪の軸方向長さのコンパクトと軽量化を図る。
【選択図】図1

Description

この発明は、動力の伝達と遮断の切換えに用いられる回転伝達装置に関する。
FRベースの4輪駆動車において、補助駆動輪としての前輪に駆動力の伝達と遮断とを行う回転伝達装置として、特許文献1に記載されたものが従来から知られている。
上記特許文献1に記載された回転伝達装置においては、外輪とその内側に組み込まれた内輪との間に制御保持器と回転保持器とを、各保持器に形成された柱部が周方向で交互に配置されるよう組込み、隣接する柱部間に形成されたポケット内に対向一対のローラを組込み、その一対のローラをその対向部間に組み込まれた弾性部材で離反する方向に付勢して、外輪の内周に形成された円筒面と内輪の外周に形成されたカム面に係合する位置にスタンバイさせ、上記内輪の一方向への回転により一方のローラを円筒面およびカム面に係合させ、内輪の回転を外輪に伝達するようにしている。
また、内輪に接続された入力軸上に電磁クラッチを設け、その電磁クラッチにより制御保持器を軸方向に移動させ、その制御保持器のフランジと回転保持器のフランジの対向面間に設けられたトルクカムの作用によりポケットの周方向幅が小さくなる方向に制御保持器と回転保持器とを相対回転させて、各保持器の柱部で一対のローラを係合解除位置まで移動させ、内輪から外輪への回転伝達を遮断するようにしている。
上記回転伝達装置においては、電磁クラッチにより制御保持器のフランジが回転保持器のフランジから離反する方向に制御保持器を移動させると、対向一対のローラ間に組み込まれた弾性部材の押圧作用により制御保持器と回転保持器とがポケットの周方向幅が大きくなる方向に相対回転して対向一対のローラが円筒面およびカム面に直ちに係合するため、回転方向ガタがきわめて小さく、応答性に優れているという特徴を有している。
特開2009−293679号公報
ところで、上記特許文献1に記載された回転伝達装置においては、外輪内において制御保持器と回転保持器の全体を収容する構成であるため、軸方向長さの長い外輪を必要として重量も重くなり、その軽量化を図る上において改善すべき点が残されている。また、2方向クラッチを精度よく機能させる上においても改善すべき点が残されている。
この発明の課題は、回転伝達装置の軽量化を図ること、2方向クラッチを精度よく機能させることである。
上記の課題を解決するため、この発明においては、入力軸と、その入力軸と同軸上に配置された出力軸と、前記入力軸および出力軸の両軸の軸端部を覆うハウジングと、前記ハウジング内に組み込まれて前記入力軸と前記出力軸の相互間において回転の伝達と遮断とを行う2方向クラッチと、前記入力軸上に設けられた電磁石、その電磁石に対向配置されたロータおよびそのロータに対向配置されたアーマチュアを有し、前記電磁石に対する通電によりアーマチュアを軸方向に移動させてロータに吸着させる電磁クラッチを有し、前記アーマチュアの前記ロータに対する軸方向への吸着移動により前記2方向クラッチを係合解除させて回転遮断状態とし、前記電磁石に対する通電の解除により前記2方向クラッチを係合させて回転伝達状態とするトルクカムを備えた回転伝達装置において、前記2方向クラッチと前記電磁クラッチの軸方向の対向部間に前記トルクカムを配置した構成を採用したのである。
上記のように、2方向クラッチを制御するトルクカムを2方向クラッチと電磁クラッチの軸方向の対向部間に配置することによって、回転伝達装置の軸方向長さのコンパクト化を図ることができる。
また、アーマチュアを軸方向に間隔をおいた2箇所でもってスライド自在に支持することになり、アーマチュアをロータに対して常に平行状態に保持することができる。
このため、アーマチュアとロータとの対向面間に形成される磁気吸引隙間は周方向の全体にわたって均一な大きさとされ、電磁石への通電によってアーマチュアをロータに確実に磁気吸引することができ、ローラの係合および係合解除を精度よく行うことができる。
ここで、入力軸を非磁性金属により形成し、あるいは、入力軸に非磁性体からなるリングを嵌合してアーマチュアを移動自在に支持することにより、アーマチュアから入力軸に磁束が漏れるのを防止するため、電磁石として小型のものを採用することができる。
上記非磁性体は、非磁性金属であってもよく、樹脂であってもよい。樹脂を採用する場合において、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の自己潤滑性樹脂を採用することにより、アーマチュアの摺動抵抗を低減し、そのアーマチュアを軸方向にスムーズに移動させることができる。
この発明においては、上記のように、2方向クラッチを制御するトルクカムを2方向クラッチと前記電磁クラッチの軸方向の対向部間に配置することによって、回転伝達装置の軸方向長さのコンパクト化を図ることができる。
また、アーマチュアを軸方向に間隔をおいた2箇所でもってスライド自在に支持したことになり、アーマチュアをロータに対して常に平行状態に保持することができるため、アーマチュアとロータとの対向面間に形成される磁気吸引隙間を周方向の全体にわたって均一な大きさとすることができ、電磁石への通電によってアーマチュアをロータに確実に磁気吸引することができ、2方向クラッチを精度よく機能させることができる。
この発明に係る回転伝達装置の実施の形態を示す縦断正面図 図1の一部を拡大して示す断面図 アーマチュアを移動自在に支持するスライド案内部の他の例を示す断面図 アーマチュアを移動自在に支持するスライド案内部の他の例を示す断面図 図1のV−V線に沿った断面図 図1のVI−VI線に沿った断面図 (a)は、図6のVII−VII線に沿った断面図、(b)は弾性部材の他の例を示す断面図 図1のVIII−VIII線に沿った断面図 (c)は、図8のIX−IX線に沿った断面図、(d)は、作動状態を示す平面図 図1のX-X線に沿った断面図 図10のXI-XI線に沿った断面図
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係る回転伝達装置の実施の形態を示す。図示のように、回転伝達装置は、ハウジング1と、ハウジング1内に収容された2方向クラッチ10およびその2方向クラッチ10の係合、解除を制御する電磁クラッチ50とからなる。
ハウジング1は円筒状をなし、その一端部には小径の軸受筒2が設けられ、他端には外向きの取付フランジ3が形成されている。
図1および図5に示すように、2方向クラッチ10は、外輪11の内周に円筒面12を設け、外輪11の内側に組み込まれた内輪13の外周に複数のカム面14を周方向に等間隔に形成し、その複数のカム面14のそれぞれと円筒面12間に一対のローラ15を組込み、そのローラ15を保持器16で保持し、上記内輪13の一方向への回転により一対のローラ15の一方を円筒面12およびカム面14に係合させて内輪13の回転を外輪11に伝達し、また、内輪13の他方向への回転時に他方のローラ15を円筒面12およびカム面14に係合させて内輪13の回転を外輪11に伝達するようにしている。
ここで、外輪11は閉塞端を有し、その閉塞端に出力軸17が設けられ、その出力軸17がハウジング1の軸受筒2内に挿通されて端部が外部に臨んでおり、上記軸受筒2内に出力軸17を回転自在に支持する軸受4と波ばね5とが組み込まれている。
また、外輪11には閉塞端部の内面側に小径の凹部18が形成され、その凹部18内に組み込まれた軸受19によって外輪11と内輪13は相対的に回転自在とされている。
図5に示すように、内輪13の外周に形成されたカム面14は、相反する方向に傾斜する一対の傾斜面14a、14bから形成されて外輪11の円筒面12との間に周方向の両端が狭小のくさび形空間を形成しており、上記一対の傾斜面14a、14b間には内輪13の接線方向に向く平坦なばね支持面20が設けられ、そのばね支持面20によって弾性部材21が支持されている。
弾性部材21として、図7(a)では、断面が長方形の矩形コイルばねが示されているが、弾性部材21はこれに限定されるものではない。例えば、図7(b)に示すように、断面が長円形の長円形コイルばねであってもよい。これらの弾性部材21は長辺部がばね支持面20で支持されるようにして一対のローラ15間に組込まれ、その弾性部材21により一対のローラ15は長さ方向のほぼ全長にわたり押圧されて、離反する方向に付勢されている。
図1に示すように、内輪13には非磁性金属からなる入力軸22の軸端部が嵌合され、その嵌合部に形成されたセレーション23によって内輪13と入力軸22は相対的に回り止めされている。
保持器16は、制御保持器16Aと、回転保持器16Bとからなる。図1および図8に示すように、制御保持器16Aは、環状のフランジ24の片面外周部にカム面14と同数の柱部25を周方向に等間隔に設け、その隣接する柱部25間に円弧状の長孔26を形成し、外周には柱部25と反対向きに筒部27を設けた構成とされている。
一方、回転保持器16Bは、環状のフランジ28の外周にカム面14と同数の柱部29を周方向に等間隔に設けた構成とされている。
制御保持器16Aと回転保持器16Bは、制御保持器16Aの長孔26内に回転保持器16Bの柱部29が挿入されて、その柱部25、29が周方向に交互に並ぶ組み合わせとされている。そして、その組み合わせ状態で柱部25、29の先端部が外輪11と内輪13間に配置され、制御保持器16Aのフランジ24および回転保持器16Bのフランジ28が入力軸22の外周に設けられたフランジ30と外輪11間に位置する組込みとされている。
上記のような保持器16A、16Bの組込みによって、図5に示すように、制御保持器16Aの柱部25と回転保持器16Bの柱部29間にポケット31が形成され、そのポケット31は内輪13のカム面14と径方向で対向し、各ポケット31内に対向一対のローラ15および弾性部材21が組込まれている。
図1に示すように、制御保持器16Aのフランジ24および回転保持器16Bのフランジ28は入力軸22の外周に形成されたスライド案内面32に沿ってスライド自在に支持され、上記回転保持器16Bのフランジ28と入力軸22のフランジ30間にスラスト軸受33が組み込まれている。
図2、図8および図9(d)に示すように、制御保持器16Aのフランジ24と回転保持器16Bのフランジ28間には、トルクカム40が設けられている。トルクカム40は、制御保持器16Aのフランジ24と回転保持器16Bのフランジ28の対向面それぞれに周方向の中央部で深く両端に至るに従って次第に浅くなる対向一対のカム溝41、42を設け、一方のカム溝41の一端部と他方のカム溝42の他端部間にボール43を組み込んだ構成としている。
カム溝41、42として、ここでは円弧状の溝を示したが、V溝であってもよい。
上記トルクカム40は、制御保持器16Aのフランジ24が回転保持器16Bのフランジ28に接近する方向に制御保持器16Aが軸方向に移動した際に、図9(c)に示すように、ボール43がカム溝41、42の溝深さの最も深い位置に向けて転がり移動し、制御保持器16Aと回転保持器16Bをポケット31の周方向幅が小さくなる方向に相対回転させるようになっている。
図1および図6に示すように、内輪13の他側面には円筒部45が形成され、その円筒部45に環状の保持プレート46が嵌合されて内輪13に固定されている。保持プレート46の外周面には制御保持器16Aの柱部25と回転保持器16Bの柱部29間の各ポケット31内に配置される複数の回り止め片47が形成されている。
複数の回り止め片47は、制御保持器16Aと回転保持器16Bとがポケット31の周方向幅を縮小する方向に相対回転した際に、制御保持器16Aの柱部25および回転保持器16Bの柱部29を両側縁で受け止めて対向一対のローラ15を中立位置に保持するようになっている。
図6および図7に示すように、保持プレート46の外周部には複数の弾性部材21のそれぞれ外径側に張り出すばね押えアーム48が設けられ、そのばね押えアーム48によって弾性部材21は一対のローラ15間より外径側に逃げでるのが防止されている。
図1に示すように、電磁クラッチ50は、制御保持器16Aに形成された筒部27の端面と軸方向で対向するアーマチュア51と、そのアーマチュア51と軸方向で対向するロータ52と、そのロータ52と軸方向で対向する電磁石53とを有している。
図2に示すように、アーマチュア51は、入力軸22のフランジ30の外周に形成されたスライド案内面54に嵌合されて回転自在かつスライド自在に支持され、そのアーマチュア51の外周部に連結筒55が形成され、その連結筒55の内径面に制御保持器16Aの筒部27が圧入されて制御保持器16Aとアーマチュア51が連結一体化されている。その連結によってアーマチュア51は、フランジ30の外周のスライド案内面54と入力軸22の外周のスライド案内面32の軸方向の2箇所においてスライド自在の支持とされている。
ロータ52は、入力軸22に嵌合され、そのロータ52と入力軸22の外周に設けられたフランジ30との間に位置決めリング56が設けられて軸方向に位置決めされ、かつ、入力軸22に対して回り止めされている。
図1に示すように、電磁石53は、電磁コイル53aと、その電磁コイル53aを支持するコア53bとからなり、上記コア53bはハウジング1の他端部開口内に嵌合され、ハウジング1の他端部開口内に取付けた止め輪57によって抜止めされている。また、コア53bは入力軸22に嵌合された軸受80を介して入力軸22と相対的に回転自在とされている。
図10および図11に示すように、コア53bは開口部内にほぼぴったりと嵌まり込む嵌合とされてカバーを兼用している。また、コア53bの外周には突出部58が設けられ、その突出部58はハウジング1の他端開口部の内周に形成された回り止め溝59に嵌合し、その嵌合によりコア53bは回り止めされ、電磁コイル53aから引き出されたリード線(図示省略)に捩じれが生じて断線することのないようにされている。
図1に示すように、ハウジング1の軸受筒2から外側に位置する出力軸17の端部にはダストカバー60が嵌合されている。ダストカバー60は、出力軸17の外径面に嵌合される円筒部61の一端に軸受筒2の端面と軸方向で対向する円板部62を設け、その円板部62の外周に軸受筒2の端部外周を覆う筒部63を設けた構成とされて、軸受筒2内に異物が侵入するのを防止している。
実施の形態で示す回転伝達装置は上記の構造からなり、図1は、電磁石53の電磁コイル53aに対する通電の遮断状態を示し、アーマチュア51はロータ52から離反する状態にある。また、2方向クラッチ10の対向一対のローラ15は、図5に示すように、外輪11の円筒面12および内輪13のカム面14に対して係合するスタンバイ位置に位置している。なお、図1では、アーマチュア51とロータ52は密着した状態が示されているが、実際には両者間に隙間が存在している。
2方向クラッチ10のスタンバイ状態において、電磁コイル53aに通電すると、アーマチュア51に吸引力が作用し、アーマチュア51が軸方向に移動してロータ52に吸着される。
ここで、アーマチュア51は制御保持器16Aに連結一体化されているため、アーマチュア51の軸方向への移動に伴って制御保持器16Aは、そのフランジ24が回転保持器16Bのフランジ28に接近する方向に移動する。
このとき、図9(d)に示すボール43が図9(c)に示すように、カム溝41、42の溝深さの最も深い位置に向けて転がり移動し、制御保持器16Aと回転保持器16Bはポケット31の周方向幅が小さくなる方向に相対回転し、図5に示す対向一対のローラ15が制御保持器16Aの柱部25と回転保持器16Bの柱部29で押されて互いに接近する方向に移動する。このため、ローラ15は円筒面12およびカム面14から係合解除して中立状態となり、2方向クラッチ10は係合解除状態とされる。
2方向クラッチ10の係合解除状態において、入力軸22に回転トルクを入力して内輪13を一方向に回転すると、保持プレート46に形成された回り止め片47が制御保持器16Aの柱部25と回転保持器16Bの柱部29の一方を押圧するため、内輪13と共に制御保持器16Aおよび回転保持器16Bが回転する。このとき、対向一対のローラ15は係合解除された中立位置に保持されているため、内輪13の回転は外輪11に伝達されず、内輪13はフリー回転する。
ここで、制御保持器16Aと回転保持器16Bがポケット31の周方向幅を小さくなる方向に相対回転すると、制御保持器16Aの柱部25と回転保持器16Bの柱部29が保持プレート46の回り止め片47の両側縁に当接して相対回転量が規制される。
このため、弾性部材21は必要以上に収縮することはなくなり、伸長と収縮が繰り返し行われても疲労によって破損するようなことはない。
内輪13のフリー回転状態において、電磁コイル53aに対する通電を解除すると、アーマチュア51は吸着が解除されて回転自在となる。その吸着解除により、弾性部材21の押圧によって制御保持器16Aと回転保持器16Bがポケット31の周方向幅が大きくなる方向に相対回転し、対向一対のローラ15のそれぞれが、図5に示すように、円筒面12およびカム面14に係合するスタンバイ状態とされ、その対向一対のローラ15の一方を介して内輪13と外輪11の相互間で一方向の回転トルクが伝達される。
ここで、入力軸22を停止して、その入力軸22の回転方向を切換えると、他方のローラ15を介して内輪13の回転が外輪11に伝達される。
このように、電磁コイル53aに対する通電の遮断により、制御保持器16Aと回転保持器16Bがポケット31の周方向幅が大きくなる方向に相対回転して、対向一対のローラ15のそれぞれが円筒面12およびカム面14に直ちに噛み込むスタンバイ状態とされるため、回転方向ガタは小さく、内輪13の回転を外輪11に直ちに伝達することができる。
また、内輪13から外輪11への回転トルクの伝達は、カム面19と同数のローラ15を介して行われるため、内輪13から外輪11に大きな回転トルクを伝達することができる。
なお、制御保持器16Aと回転保持器16Bがポケット31の周方向幅が大きくなる方向に相対回転すると、ボール43は対向一対のカム溝41、42の浅溝部に向けて転がり移動して、図9(d)に示す状態となる。
図1に示す実施の形態では、制御保持器16Aおよび回転保持器16Bを、その柱部25、29が外輪11と内輪13間に位置し、軸方向で対向するフランジ24,28が外輪11とアーマチュア51間に配置される組込みとしているため、外輪11の軸方向長さのコンパクト化と軽量化とを図ることができる。
また、アーマチュア51に設けた連結筒55と制御保持器16Aのフランジ外周部に形成された筒部27とを圧入による嵌合として一体化し、そのアーマチュア51の内径面を入力軸22のフランジ30外周面に形成されたスライド案内面54でスライド自在に支持し、かつ、制御保持器16Aのフランジ内径面を入力軸22の外周に形成されたスライド案内面32で移動自在に支持したことによって、アーマチュア51をロータ52に対して常に平行状態に保持することができ、電磁石53への通電によってアーマチュア51をロータ52に確実に磁気吸引することができる。このため、ローラ15の係合および係合解除を精度よく行うことができる。
さらに、実施の形態では、入力軸22を非磁性金属により形成しているため、アーマチュア51から入力軸22に磁束が漏れるのを防止するため、電磁石53として小型のものを採用することができる。
実施の形態では、上記のように、入力軸22を非磁性金属で形成したが、上記入力軸22を磁性金属で形成し、その入力軸22に、図3に示すように、非磁性金属リング70を嵌合し、あるいは、図4に示すように、樹脂リング71を嵌合して磁束の漏洩を防止するようにしてもよい。
樹脂リング71を採用する場合において、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の自己潤滑性樹脂を採用することにより、アーマチュア51の摺動抵抗を低減し、そのアーマチュア51を軸方向にスムーズに移動させることができることになる。
図3に示す非磁性金属リング70および図4に示す樹脂リング71のいずれのリングも入力軸22の外周に形成された段部72で軸方向に位置決めして、その入力軸22に固定する。
1 ハウジング
10 2方向クラッチ
16A 制御保持器
16B 回転保持器
22 入力軸
27 筒部
32 スライド案内面
40 トルクカム
50 電磁クラッチ
51 アーマチュア
52 ロータ
53 電磁石
54 スライド案内面
55 連結筒

Claims (3)

  1. 入力軸と、
    その入力軸と同軸上に配置された出力軸と、
    前記入力軸および出力軸の両軸の軸端部を覆うハウジングと、
    前記ハウジング内に組み込まれて前記入力軸と前記出力軸の相互間において回転の伝達と遮断とを行う2方向クラッチと、
    前記入力軸上に設けられた電磁石、その電磁石に対向配置されたロータおよびそのロータに対向配置されたアーマチュアを有し、前記電磁石に対する通電によりアーマチュアを軸方向に移動させてロータに吸着させる電磁クラッチを有し、
    前記アーマチュアの前記ロータに対する軸方向への吸着移動により前記2方向クラッチを係合解除させて回転遮断状態とし、前記電磁石に対する通電の解除により前記2方向クラッチを係合させて回転伝達状態とするトルクカムを備えた回転伝達装置において、
    前記2方向クラッチと前記電磁クラッチの軸方向の対向部間に前記トルクカムを配置したことを特徴とする回転伝達装置。
  2. 前記2方向クラッチが、制御保持器と回転保持器を有し、その両保持器の相対回転によりローラを係合および係合解除するローラクラッチからなり、前記トルクカムが、前記制御保持器の電磁クラッチ側への軸方向への移動により回転保持器を相対回転させて2方向クラッチを係合解除させる構成とされ、前記制御保持器の外周部に設けられた筒部を前記アーマチュアの外周部に設けられた連結筒に圧入固定した請求項1に記載の回転伝達装置。
  3. 前記入力軸には前記アーマチュアの内径面を移動自在に支持するスライド案内面と、前記制御保持器の内径面を移動自在に支持するスライド案内面を設けた請求項2に記載の回転伝達装置。
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