JP2014206013A - 回転貫入鋼管杭の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る回転貫入鋼管杭1の製造方法は、円形鋼板3またはドーナツ形鋼板5の外周から径方向に切り込みを入れて翼7を製造する翼製造工程と、杭本体となる鋼管11における翼7が取り付く部位に略V字状のスリット13を形成するスリット形成工程と、鋼管11のスリット13に翼製造工程で製造された翼7を挿入して鋼管11の内外に翼7の一部が張り出すように翼7を取り付ける翼取付工程と、取付された翼7を鋼管11に溶接接合する翼接合工程とを備えてなることを特徴とするものである。
【選択図】 図5
Description
一方で近年、騒音・振動、残土処理、地下水汚染などに対する環境対策として、回転杭工法の採用が増加している。本工法は、低騒音・低振動での施工はもちろん、杭打設中に排土が発生せず、さらにセメントミルクなどを用いないため地下水汚染もないという特長を有している。
この回転杭工法に用いられる回転貫入鋼管杭として、特許文献1および2が提案されている。
また、特許文献2の翼付き鋼管杭は、特許文献1のドーナツ形の螺旋翼を、2以上に分割したドーナツ状の板からなる翼に置き換え、同様に延長管を結合したものである。
これら特許文献1、2に記載の鋼管杭は、杭本体(延長管を含む)の下端部より少し上方の位置(杭径の1.5倍前後とされる)に、螺旋翼またはドーナツ状板が、杭本体の内外側に突出して設けられたものとなっている。換言すると、杭下端部に翼を取り付けた従来の回転貫入鋼管杭の先端に、さらに短い鋼管杭が突出しているものであると言える。
また、従来の回転貫入鋼管杭の施工時に生じていた、翼下の土砂の押さえ込みによる杭本体下端部の閉塞を回避でき、施工効率の向上を図ることができるとされている。
さらに、翼下面の延長管内の土砂の抵抗作用(アーチ作用)により、杭先端を閉塞した場合と同様の高い先端支持力が得られるとされている。
また、特許文献3には、半リング状の掘進翼を2枚1組として、杭全長に亘って杭外周に複数設けたものが提案されている。
これらはいずれも、杭外周の複数の翼により大きな支持力(鉛直支持力、水平力、引き抜き力)が得られるとされている。
特許文献1および2の翼付き鋼管杭は、この従来の回転貫入鋼管杭の先端にさらに延長管を溶接で取り付けるものである。
しかも、杭本体と同心状態にして延長管を溶接する必要があるが、端面が直角でも同心状態での正確な溶接取付けは難しいのに、まして端面は翼に対応する複雑な形状であり、溶接取付がより難しい。そのため、取付け精度の管理を十分に行わないと、延長管が杭本体の軸からずれて首折れなどの加工不良を起こす可能性がある。特に、杭径が大きい場合や、延長管が長い場合は、わずかな精度不良でもそれが顕著となる。
このため、従来の回転貫入鋼管杭は、もともと高い製造コストであったのにさらにコストがかさみ、しかも製造上の精度管理が難しくなるという課題があった。
したがって、杭本体の外側の翼と内側の翼が共同して荷重を受けて、杭本体に発生する曲げ応力が大幅に軽減され、杭本体の板厚を薄くすることができるのは、特許文献1および2の最下段の翼の取付け位置のみである。つまり、特許文献1,2のものでは、複数の翼を設ける場合であっても、コスト低減効果は全体から見るとごくわずかである。このことは、特許文献1,2では杭本体の内外側に張り出すように翼を取り付けるのが難しいということに起因していると考えられる。
この延長管内に侵入してきた土砂は、杭本体の内側に突設された最下段の翼の回転により、さらに上方に送られるため、ある深度までは能率よく施工可能と考えられる。
しかしながら、さらに深度が深くなり、土砂(管内土)の量が多くなるにつれて、その管内土自体の重量のために土砂が詰まり、内部閉塞状態となってしまう。
このことから、上段の翼も杭本体の内外側に張り出すように取り付けるのが好ましいが、そのようになっていないのは、杭本体の内外側に張り出す翼の取り付け方法が難しいという点に起因していると考えられる。
円形またはドーナツ形の鋼板の外周から径方向に切り込みを入れて翼を製造する翼製造工程と、杭本体となる鋼管における前記翼が取り付く部位に略V字状のスリットを形成するスリット形成工程と、前記鋼管の前記スリットに前記翼製造工程で製造された翼を挿入して前記鋼管の内外に前記翼の一部が張り出すように前記翼を取り付ける翼取付工程と、
取付された翼を前記鋼管に溶接接合する翼接合工程とを備えてなることを特徴とするものである。
その結果、スリットを入れることができる部位であれば鋼管のどこでも任意の箇所に翼を取り付けることが容易にでき、複数段のすべての翼を杭本体の内外に張り出すように取り付けることができ、すべての翼の取付け位置の杭本体の板厚を薄くすることが可能となり、大きなコスト低減効果を得られる。
さらに、上段の翼を杭本体の内外側に張り出すように取り付ければ、杭本体の内側に張り出す翼の回転により、管内土を順次上方に送ることができ、内部閉塞状態を起こさずに効率よく施工することも可能となる。
以下、各工程を詳細に説明する。
翼製造工程は、円形鋼板3またはドーナツ形鋼板5の外周から径方向に切り込み9を入れて翼7を製造する工程である。
円形鋼板3に切り込み9を入れて翼7を製造する例を図1(A)に示し、ドーナツ形鋼板5に切り込み9を入れて翼7を製造する例を図1(B)に示す。
図8〜図10において、Dwは鋼板(翼7)の外径、Dpは鋼管11の外径、wは切り込み9の幅をそれぞれ示している。図10において、Dwiはドーナツ形鋼板5における開口部の直径を示している。
鋼板の外径Dwは、貫入性と支持力のバランスを考慮すると1.2Dp≦Dw≦3Dpの範囲が望ましい。また、ドーナツ形鋼板5の内径Dwiは、回転貫入時の土砂進入および支持層内での閉塞促進用突起としての機能を考慮すると0.25Dp≦Dwi≦0.9Dpの範囲が望ましい。
ドーナツ形の鋼板の場合には、図10(b)に示すように、翼7の端部7aを水平になるように曲げ加工をしてもよい。
なお、翼7となる鋼板が薄い場合には、翼製造工程では略Y字形への曲げ加工はせずに、翼7を鋼管11に挿入する翼取付工程で挿入と共に曲げるようにしてもよい。
スリット形成工程は、杭本体となる鋼管11における翼7が取り付く部位に略V字状のスリット13を形成する工程である(図2参照)。
なお図2(b)は、図2(a)の状態から図2(a)中の矢印Xが正面に来るように鋼管11を90°回転させた状態を示したものである。
スリット形成工程は、造管後の鋼管11に鋼管11の外周部から切り込みをいれることでスリット13を形成する。具体的には、翼7端部の段差が所定の翼ピッチhとなるように略V字の開き部を設け、開き部から180°反対側は翼7の切り込み幅w分を残すようにして、鋼管11にガス切断もしくはワイヤーソー切断などでスリット13を入れる。なお、スリット13幅は取り付ける翼7の板厚程度とする。
この方法を図11〜図16に基づいて説明する。
スパイラル鋼管15は、図11に示すように、コイル17(熱延コイル)を一旦巻き戻して両端を開先加工した後、成形ロールなどでスパイラル状に成形され、互いに接するコイル端部(スパイラルビード部)を外面および内面から溶接して製造される。
そこで、コイル17にあらかじめ所定のスリット13を設けておけば、スパイラル造管した時にはすでにスリット13が入った状態となる。具体的なスリット13の入れ方を図12に示す。
このコイル17を左巻きで巻いていくと、図12中の星印の位置が一致した状態で両コイル端部が溶接される。これにより、スパイラル造管後には左回転で貫入する回転貫入杭として翼ピッチhがπDp・tanγとなる略V字状のスリット13が入った状態となる。
なお、もちろんスパイラル鋼管15でも、造管後に別途スリット13を入れるようにしてもよい。
翼取付工程は、鋼管11に形成したスリット13に翼製造工程で製造された翼7を挿入して鋼管11の内外に翼7の一部が張り出すように翼7を取り付ける工程である。
略Y字形に折り曲げ加工した翼7を取り付ける場合を例に挙げて翼取付工程について図3〜図6に基づいて説明する。
製造された翼7と、スリット13が形成された鋼管11を準備し(図3参照)、まず略Y字形に曲げ加工した翼7を一旦平板状に戻し(図4参照)、略V字状のスリット13を設けた鋼管11における翼7の切り込み幅w分を残した側から、翼7をその切り込み幅を跨いで挿入する(図5参照)。
その後は、スリット13の形状なりに翼7を曲げ戻しながら、翼7の切り込み9端部が翼7と鋼管11外周の取付け部に位置するまで挿入する(図6参照)。
翼接合工程は、取付された翼7を鋼管11に溶接接合する工程である。
具体的には図7に示すように、溶接ワイヤ21を用いて翼7と鋼管11の取付け部の上下隅角部に溶接接合部23を形成する。溶接方法としては、隅肉溶接または開先を取って部分溶け込み溶接あるいは完全溶け込み溶接を行う。
ここで、回転貫入鋼管杭1の施工時の回転トルクの伝達という点から言うと、本発明のように鋼管11にスリット13を入れることは鋼管断面を欠損させるため不利に働くが、その断面欠損分を溶接断面で補うようにすればよい。
また、鋼管11の強度よりも高強度の溶接ワイヤ21を用いて、溶接断面自体を減少させることも効果的である。
なお本発明では、鋼管11の内外面に翼7が張り出すようにしているが、翼7と鋼管11の溶接に必要な長さを張り出すようにする。
その結果、スリット13を入れることができる部位であれば鋼管11のどこでも任意の箇所に翼7を取り付けることが容易にでき、複数段のすべての翼7を鋼管11の内外に張り出すように取り付けることができる。そのため、すべての翼7の取付け位置の鋼管11の板厚を薄くすることが可能となり、大きなコスト低減効果を得られる。
さらに、上段の翼7を鋼管11の内外側に張り出すように取り付ければ、鋼管11の内側に張り出す翼7の回転により、管内土を順次上方に送ることができ、内部閉塞状態を起こさずに効率よく施工することも可能となる。
なお、回転貫入中の中間地盤の撹乱を最小限とするために、翼ピッチhで地盤に貫入した際に取り付けた翼7が同じ箇所を通過するように、図23および図24に示すように翼7の間隔と方向を考慮して設けるとともに、極力、翼ピッチhに近い1回転当たりの貫入量で施工することが望ましい。
3 円形鋼板
5 ドーナツ形鋼板
7 翼
7a 端部
9 切り込み
11 鋼管
13 スリット
15 スパイラル鋼管
17 コイル
19 切欠き部
21 溶接ワイヤ
23 溶接接合部
25 掘削補助刃
27 鉄筋
Claims (4)
- 鋼管からなる杭本体の内外に突出する翼を有する回転貫入鋼管杭の製造方法であって、
円形またはドーナツ形の鋼板の外周から径方向に切り込みを入れて翼を製造する翼製造工程と、杭本体となる鋼管における前記翼が取り付く部位に略V字状のスリットを形成するスリット形成工程と、前記鋼管の前記スリットに前記翼製造工程で製造された翼を挿入して前記鋼管の内外に前記翼の一部が張り出すように前記翼を取り付ける翼取付工程と、取付された翼を前記鋼管に溶接接合する翼接合工程とを備えてなることを特徴とする回転貫入鋼管杭の製造方法。 - 前記スリット形成工程は、造管後の鋼管に該鋼管の外周部から切り込みをいれてスリットを形成することを特徴とする請求項1記載の回転貫入鋼管杭の製造方法。
- 前記スリット形成工程は、予めスリットを設けた鋼管コイルをスパイラル造管することによって鋼管にスリットを形成することを特徴とする請求項1記載の回転貫入鋼管杭の製造方法。
- 前記スリット形成工程は、鋼管コイルをスパイラル造管する際に、前記スリットとなる部位を溶接せずにそれ以外を溶接することで当該部位にスリットを形成することを特徴とする請求項1記載の回転貫入鋼管杭の製造方法。
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JP2021063356A (ja) * | 2019-10-11 | 2021-04-22 | 株式会社ガイアF1 | 先端翼付回転貫入鋼管杭の製法 |
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