JP2014205866A - 成膜装置用部材、及び、成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】防着面を有する基板材料と、前記基板材料の防着面とは反対側の面に、シリコーンゴム又はフッ素ゴムのエラストマー層と、を有することを特徴とする成膜装置用部材、及び、成膜容器内部に、前記成膜装置用部材を少なくとも備えた成膜装置。また、前記エラストマー層表面の粘着力は、80g重/cm2以上1,500g重/cm2以下であることが好ましく、また、前記成膜装置用部材は、成膜装置用防着板であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
また、特許文献1には、薄膜形成装置において、基板以外の周辺の機器に付着した物質を捕獲する金属箔を予め支持板に取付け、該金属箔を取付けた支持板の1又は複数枚を薄膜形成装置内の機器に取替え可能に設置したことを特徴とする薄膜形成装置用汚染防止装置が記載されている。
特許文献2には、基板類への成膜処理中に不要な付着膜が成膜される成膜装置用部品において、成膜装置用部品本体と、上記成膜装置用部品本体の表面に形成されて上記付着膜と共に剥離可能な保護膜と、を有することを特徴とする成膜装置用部品が記載されている。
やむを得ず耐熱性のカプトンテープ等を用いて防着板を含む構造体又は部材を貼り付けて固定する方法も一部では実際に行われているが、粘着層からのガスの放出(デガス)の問題や、高温化で使用された後の粘着層残りの問題が有り限られた条件でしか適用できていないという問題があった。
やむを得ず、蒸着素材が積層した装置壁面やホルダーなどにブラスト処理をかけて洗浄するなど、手間をかけて再生している状況である。
<1>防着面を有する基板材料と、上記基板材料の防着面とは反対側の面に、シリコーンゴム又はフッ素ゴムのエラストマー層と、を有することを特徴とする成膜装置用部材、
<2>上記エラストマー層表面の粘着力が、80g重/cm2以上1,500g重/cm2以下である、上記<1>に記載の成膜装置用部材、
<3>上記エラストマー層が、260℃で360分間加熱した際の質量の減少が1質量%以下である、上記<1>又は<2>に記載の成膜装置用部材、
<4>上記基板材料の引張強度が、200MPa未満である、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の成膜装置用部材、
<5>上記基板材料の引張強度が、150MPa未満である、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の成膜装置用部材、
<6>上記基板材料が、焼鈍処理された基板材料である、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の成膜装置用部材、
<7>上記シリコーンゴムが、シロキサン結合による主鎖骨格を有するシリコーンゴムである、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の成膜装置用部材、
<8>上記エラストマー層が、シリコーンゴムのエラストマー層である、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の成膜装置用部材、
<9>上記シリコーンゴムが、ポリジメチルシロキサン鎖を有するシリコーンゴムである、上記<8>に記載の成膜装置用部材、
<10>上記シリコーンゴムが、末端がシリケート変性されたポリジメチルシロキサンを少なくとも含む組成物より得られたシリコーンゴムである、上記<8>又は<9>に記載の成膜装置用部材、
<11>成膜装置用防着板である、上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の成膜装置用部材、
<12>成膜容器内部に、上記<1>〜<11>のいずれか1つに記載の成膜装置用部材を少なくとも備えた成膜装置。
なお、本明細書中、「xx〜yy」の記載は、xx及びyyを含む数値範囲を表す。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本発明の成膜装置用部材は、真空蒸着装置やスパッタ装置等の成膜装置用防着板として好適に用いることができる。
防着板とは、蒸着素材やスパッタリング素材等の成膜材料が成膜装置の内面に直接付着するのを防止し、成膜装置の内面を保護するために設けられた部材であり、定期的に交換可能な部材をいう。
また、本発明の成膜装置用部材は、高温下においてもガスの発生が少ないため、真空蒸着装置用部材として好適に用いることができる。
本発明の成膜装置用部材は、基板材料の防着面とは反対側の面に、シリコーンゴム又はフッ素ゴムのエラストマー層を有する。
本発明の成膜装置用部材は、上記エラストマー層を有することにより、装着性に優れ、高温下においてもガスや残留物の発生が少ない部材を得ることができる。
本発明におけるエラストマーとは、ゴム状の弾力性を有する工業用材料の総称であり、シリコーンゴム及びフッ素ゴムが含まれる。
また、上記シリコーンゴム又はフッ素ゴムのエラストマー層は、主成分としてシリコーンゴム及び/又はフッ素ゴムを含み、また、シリコーンゴム又はフッ素ゴム以外に、必要に応じ、他の成分を含有していてもよい。他の成分については、後述する。
上記エラストマー層の材質は、粘着力の観点からは、シリコーンゴムが好ましく、高温下におけるガスの発生の観点からは、フッ素ゴムが好ましい。
なお、1g重/cm2=9.8×10-3N/cm2である。
上記粘着力の測定は、JIS Z3284・IIW・SC/IA−SP058、IPC・SP−819準拠の方法により好適に行うことができる。
成膜装置用部材の加熱前後における質量減少の測定方法として具体的には、例えば、成膜装置用部材を260℃で6時間連続加熱を行い、その前後の質量変化から質量減少を測定する方法が好適に挙げられる。また、加熱処理前後の質量測定は、25℃、50%RHの環境にサンプルを放置した後、測定を行うことが好ましい。
また、上記エラストマー層の表面硬度については、JIS−Aでの硬度が100以下であることが好ましい。上記態様であると、成膜装置内の貼り付ける対象部位の表面凹凸に容易に追従でき、当該対象部位への接着性に優れる。
上記エラストマー層の材質として、粘着力の観点から、シリコーンゴムが好適に挙げられる。シリコーンゴムは、耐熱性を有しかつ一定の粘着力を有する点で本願の構成には最適の素材である。
シリコーンゴムとしては、耐熱性の観点から、シロキサン結合による主鎖骨格を有するシリコーンゴムが好ましい。
本発明におけるシリケート化合物とは、ケイ素アルコキシド、及び、ケイ素アルコキシドを縮合して得られるオリゴマー、すなわち、シロキサン(−Si−O−Si−)骨格を有し、末端にアルコキシ基(RO)を有する化合物のことである。ここで、アルコキシ基(RO)のアルキル部分である(R)は、メチル基、エチル基、プロピル基等が例示される。例えば、Rがエチル基の化合物は、エチルシリケートともいう。
シリケート化合物は、高い化学反応性を有しており、縮合反応を円滑に進めることができる。
末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンとは、シリケート化合物によりポリジメチルシロキサンの末端を変性処理したものであり、例えば、両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンと、主鎖の片側又は両側にアルコキシ基を有するアルコキシシラン部分縮合物とを反応させて得られるものが挙げられる。
上記末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は、5,000以上100,000以下の範囲であることが好ましい。
SinO(n-1)(OR)2(n+1) (Si−1)
(式(Si−1)中、Rはそれぞれ独立に、アルキル基を表し、nは4〜16の整数を表す。)
SinO(n-1)(OR)2(n+1)−(OSi(CH3)2)m−SinO(n-1)(OR)2(n+1) (Si−2)
(式(Si−2)中、Rはそれぞれ独立に、アルキル基を表し、nは4〜16の整数を表し、mは50を超える整数を表す。)
式(Si−1)及び式(Si−2)におけるRはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、エチル基であることが更に好ましい。
また、式(Si−2)におけるmは、1,000以下の整数であることが好ましい。
また、シリコーンゴムのエラストマー層は、260℃以下でガスクロマトグラフ(GC−MS)により測定した場合に、シロキサン結合の数が15以下のシロキサン化合物を含まないことが好適である。
上記シリコーンゴムのエラストマー層の形成方法は、上記シリコーンゴムの原料を、基板材料の防着面の反対の面に塗布し、乾燥焼成処理によって、硬化させて成形することが好ましい。また、エラストマー層の形状は、シート状又は板状であることが好ましい。
また、基板材料とエラストマー層との密着性及び接着性の観点から、基板材料上でゴム化を行うことが好ましい。また、基板材料と密着しやすいように、基板材料とエラストマー層との間にプライマー層を設けてもよい。
上記エラストマー層の材質として、高温下におけるガスの発生を抑制する観点から、フッ素ゴムが好適に挙げられる。
フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム(FEPM)、テトラフルオロエチレン−パープルオロビニルエーテル系ゴム(FFKM)等を挙げられるが、フッ化ビニリデン系ゴムが好ましい。
また、フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)としては、下記式(F−1)〜式(F−3)で表される構造を少なくとも有するフッ素ゴムであることがより好ましく、下記式(F−1)〜式(F−3)で表される構造で表されるフッ素ゴムであることが更に好ましい。
シロキサン結合を有するフッ素ゴムとしては、例えば、末端にシリコーン架橋性基を有するフッ素化ポリエーテル化合物を架橋して得られたフッ素樹脂が好ましく挙げられる。
シリコーン架橋性基としては、例えば、Si−OR基(Rは水素原子又はアルキル基を表す。)が好ましく挙げられる。
上記エラストマー層には、シリコーンゴム及びフッ素ゴム以外に、必要に応じて、公知の添加剤を添加してもよく、例えば、下記成分が挙げられる。
(1)粉末状の補強剤や充填剤、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、粉末シリカ、溶融シリカ、結晶シリカなどのケイ素化合物、ガラスビーズ等の透明フィラー、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、その他、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイト、二硫化モリブデン等。
補強剤及び充填剤の含有量は、シリコーンゴム及びフッ素ゴムの含有量100質量部に対し、10〜100質量部の範囲であることが好ましい。
上記エラストマー層は、補強剤及び/又は充填剤を添加することにより、高温下に曝しても、成膜装置用部材脱着時の残留物の発生を低減でき、また、接着力の制御が容易となる。
(2)難燃剤、例えば、三酸化アンチモン、臭素化合物及びリン化合物等。
本発明の成膜装置用部材は、防着面を有する基板材料を有する。
基板材料における防着面は、蒸着素材やスパッタリング素材等の成膜材料を付着させる面であり、上記エラストマー層が設けられている面とは、反対の面である。
上記防着面は、基板材料の材質が露出していてもよいし、露出していなくてもよい。基板材料の材質が露出している部材としては、例えば特開2012−153942号公報に記載されているような部材である。露出していない部材としては、例えば特開平1−316456号公報に記載されているような部材表面にめっきを施した部材、国際公開第2008/143088号に記載されているような部材表面に溶射膜を設けた部材である。
また、上記基板材料の形状は、板状であることが好ましい。また、板状であっても、防着面から見た上記基板材料の形状は、四角形であっても、他の形状でもよく、使用する成膜装置に応じて、任意の形状をとることができる。
上記基板材料の大きさは、特に制限はなく、使用する成膜装置に応じて、適宜選択すればよい。
上記基板材料の材質は、金属材料であることが好ましい。金属材料としては、真空チェンバーの材料として用いられているステンレス鋼(SUS)やアルミニウム、又は、安価な銅等の材料をいずれも使用することができる。中でも、アルミニウムが好ましい。
基板材料の防着面における防着機能を強化する方法及び手段についても、特に制限はなく、公知の方法や手段により行うことができる。例えば、サンドブラスト法、メッキ法、溶融メッキ法、溶着法、直流電解/交流電解法、化学処理法等の公知の粗面化手法が挙げられる。また、特開2008−223057号公報に記載されているような、有機層を用いた表面修飾などの技術を用いても構わない。
また、上記基板材料におけるエラストマー層を形成する面について、表面を処理しても処理しなくてもよい。処理する場合には、例えば、エラストマー層の密着などを確保する目的で上記のような粗面化技術を用いたり、陽極酸化処理などの金属の化成処理技術を用いることができる。
中でも、上記基板材料における防着面に少なくとも粗面化処理を行うことが好ましい。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流又は直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理された基板材料は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施してもよい。
また、基板材料は、陽極酸化処理を施されることが好ましい。
基板材料の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、適宜条件を選択して行うことができる。
焼鈍処理の条件は、特に制限はなく、使用する材質に合わせ適宜選択すればよい。
引張強度の測定方法は、公知の方法により行えばよいが、例えば、(株)島津製作所製の引張試験機(オートグラフAGS)を用いて測定する方法を好適に挙げることができる。
本発明の成膜装置における本発明の成膜装置用部材の数は、特に制限はなく、1つであっても、2以上であってもよい。
成膜装置としては、真空蒸着装置やスパッタ装置が好適に挙げられる。また、上記成膜容器としては、これら装置の真空容器が好適に挙げられる。
〔アルミニウム基板A(基板材料A)の作製〕
住友軽金属工業(株)製の純度99.5%のアルミニウム圧延材(H18、厚さ0.2mm)を用意した。厚さ150μmのアルミニウム板(JIS 1050材)の一方の表面(防着面)に、平均粒径30μmのパミストンを研磨剤とする、比重1.12のスラリー液を供給し、回転するローラ状ナイロンブラシを2本にて、アルミニウム板上を移動させて、表面の粗面化処理を行った。使用した、ナイロンブラシの直径は0.5mm、毛密度は450本/cm2で、ブラシ回転数は150rpmとした。
上記防着面に対し、40℃に保温した硝酸濃度10g/Lの電解槽を用い、電気量総和が300C/dm2の条件下で電解処理を行った。
上記硝酸処理における交流電源波は、60Hzの台形波を使用した。電流密度は100A/dm2とした。
次いで、上記防着面に対し、45℃に保温した塩酸濃度10g/Lの電解槽を用い、電気量総和が70C/dm2の条件下で電解処理を行って、防着板を作製した。
上記塩酸処理における交流電源波は、60Hzの台形波を使用した。電流密度は50A/dm2とした。
更に、上記防着面に対し、硫酸濃度250g/Lで、アルミニウム濃度5%以下の溶液を用い、アルミニウム板を陽極として、直流電圧を45分間印加して、表面に厚さ1.0μmの陽極酸化皮膜を形成し、アルミニウム基板Aを得た。電流密度は50A/dm2とした。引張強度は180MPaであった。
−焼鈍処理−
上記で得られた防着板を250℃、8時間処理することで強度を変えたアルミニウム焼鈍材(アルミニウム基板B)を得た。引張強度は70MPaであった。
市販の銅板(厚さ0.2mm)を用意した。引張強度は280MPaであった。
<エラストマー層の形成>
下記素材を準備し、表1に記載の基板及びエラストマー層の材質の組み合わせで、それぞれ500μm程度の厚さになるように基板(上記粗面化した面、すなわち防着面の反対の表面)にコートし、各成膜装置用部材を作製した。
なお、フッ素ゴム及びエポキシ樹脂については120℃で2時間、シリコーンゴムについては200℃で1時間、コート後、それぞれ加熱して硬化膜とした。
フッ素ゴム1:ダイキン工業(株)製フッ素樹脂コーティング剤 エフトーンAT100(フッ素ゴム)を上記条件により硬化させたフッ素ゴム
フッ素ゴム2:信越化学工業(株)製液状フッ素エラストマーSIFEL2610(フッ素化ポリエーテル骨格と末端のシリコーン架橋反応基を複合させたフッ素エラストマー)を上記条件により硬化させたフッ素ゴム
シリコーンゴム3:信越化学工業(株)製1液性加熱硬化型シリコーン接着剤(液状ゴム)KE−1830を上記条件により硬化させたシリコーンゴム
シリコーンゴム4:信越化学工業(株)製シリコーン1液型RTVゴム(液状ゴム)X−32−1964を上記条件により硬化させたシリコーンゴム
シリコーンゴム5:a)アヅマックス(株)製シラノール末端ポリジメチルシロキサン DMS−S12に、b)多摩化学工業(株)製エチルシリケート(シリケート40,n=4〜6、一部テトラエチルシリケートを含む。)を1:20の比率で撹拌混合し、加水分解させた“ハイブリッドポリジメチルシロキサン”を上記条件により硬化させたシリコーンゴム
エポキシ樹脂6:DIC(株)製ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂EPICLON850を上記条件により硬化させたもの
シリコーンゴム7:シリコーンゴム(下記方法により得られたゴム)
撹拌装置、温度計、滴下ラインを取り付けた反応容器に、エチルシリケート(SinOn-1(OC2H5)2(n+1)、多摩化学工業(株)製、シリケート40,n=4〜6、又は、シリケート45,n=6〜8、それぞれ一部テトラエチルシリケートを含む。)1.0部と、エチルシリケートを両末端にアルコキシ変性したポリジメチルシロキサン(重量平均分子量;32,000相当)(荒川化学工業(株)製HBSIL039)32.0部とを入れ、大気中(室温)にて約30分間、撹拌混合し、混成物である原料液Aを得た。
ここで、エチルシリケートと、エチルシリケートを両末端にアルコキシ変性したポリジメチルシロキサンで用いられたエチルシリケートとは、同じ種類及び同じ特性を持つエチルシリケートを使用した。
そして、原料液Aに、必要量の水0.93部を約1時間かけて滴下して加え、撹拌混合し、加水分解反応及び縮合反応を行った。
その後、撹拌しながら約30分かけて室温まで自然冷却し、シリコーンゴム7の前駆体を含む組成物を得た。上記組成物を上記条件により硬化させ、シリコーンゴム7を得た。
a)粘着力
(株)レスカ製タッキング試験機を用い加圧10kgとし、加圧時間は10秒として粘着力を測定した。プローブは室温程度(25℃)に設定した。単位をg重/cm2として記載した。なお、上記粘着力の測定は、JIS Z3284・IIW・SC/IA−SP058、IPC・SP−819準拠の方法により行った。
得られた成膜装置用部材を260℃で6時間連続加熱を行い、その前後の質量変化から質量減少を測定した。加熱処理前の質量に対する減少量の割合を質量%で示した。25℃、50%RHの環境にサンプルを放置した後、測定を行った。
排気特性は、得られた成膜装置用部材を真空チャンバー内に置き、10-6torr(1.33×10-4Pa)まで排気するのに要した時間を測定し、評価した。評価基準は、0.36m2のアルミニウム板のみを真空チャンバー内に置き、10-6torrまで排気するのに要した時間を1として規格化し、基準とした。接着層などの脱ガスが起きる場合には排気時間が長くなる。1.5倍を超えるようでは作業ロスとなるため許容できない。
30cm四方の大きさとした成膜装置用部材を垂直な基材に貼付けて、実際に蒸着環境下に置き、蒸着終了後取り出して評価した。
蒸着環境としては、Auを蒸着する工程において、雰囲気温度として最高到達温度が200℃になる環境で、のべ30時間蒸着を実施した。
各項目の評価基準を以下に示す。
蒸着終了後、チャンバー内の成膜装置用部材を目視で確認しチャンバー壁面からの剥離がないものをA(Good)、一部分剥離していたものをB(Acceptable)、剥がれ落ちていたものをC(Bad)と評価した。
蒸着前にチャンバー内に成膜装置用部材を取り付ける際に、内部真空度モニター取付用の穴(サービスポート:直径30mmφ、深さ20mm)の中に、図1に示すように成膜装置用部材を押し入れて該穴形状に馴染むかどうか、取り外し易いかどうかを評価した。目視で円形がわかる場合をA(Good)、不自然な形になっている場合をB(Acceptable)、穴内部に入れることが容易で無かった場合をC(Bad)として評価した。ほぼ元の穴形状にぴったりと馴染んだ場合をA+(Excellent)と評価した。また、図2に各評価の場合の一例を示す。図2の(A)が成膜装置用部材を取り付ける前に図1に示す方向20から内部真空度モニター取付用の穴を目視した模式図であり、(B)がほぼ元の穴形状にぴったりと馴染んだ場合(Excellent)、(C)が目視で円形がわかる場合(Good)、(D)が不自然な形になっている場合(Acceptable)、(E)が穴内部に入れることが容易で無かった場合(Bad)の一例を示す模式図である。
蒸着終了後、成膜用部材を取り出した後チャンバー内を目視観察し残存物が無い場合をA(Good)、残存物がある場合をC(Bad)として評価した。
(株)島津製作所製の引張試験機(オートグラフAGS)を用いて、基板材料の引張強度を測定した。
Claims (12)
- 防着面を有する基板材料と、
前記基板材料の防着面とは反対側の面に、シリコーンゴム又はフッ素ゴムのエラストマー層と、を有することを特徴とする
成膜装置用部材。 - 前記エラストマー層表面の粘着力が、80g重/cm2以上1,500g重/cm2以下である、請求項1に記載の成膜装置用部材。
- 前記エラストマー層が、260℃で360分間加熱した際の質量の減少が1質量%以下である、請求項1又は2に記載の成膜装置用部材。
- 前記基板材料の引張強度が、200MPa未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の成膜装置用部材。
- 前記基板材料の引張強度が、150MPa未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の成膜装置用部材。
- 前記基板材料が、焼鈍処理された基板材料である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の成膜装置用部材。
- 前記シリコーンゴムが、シロキサン結合による主鎖骨格を有するシリコーンゴムである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の成膜装置用部材。
- 前記エラストマー層が、シリコーンゴムのエラストマー層である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の成膜装置用部材。
- 前記シリコーンゴムが、ポリジメチルシロキサン鎖を有するシリコーンゴムである、請求項8に記載の成膜装置用部材。
- 前記シリコーンゴムが、末端がシリケート変性されたポリジメチルシロキサンを少なくとも含む組成物より得られたシリコーンゴムである、請求項8又は9に記載の成膜装置用部材。
- 成膜装置用防着板である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の成膜装置用部材。
- 成膜容器内部に、請求項1〜11のいずれか1項に記載の成膜装置用部材を少なくとも備えた成膜装置。
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