JP2014205780A - 透明難燃性樹脂組成物ならびにそれを用いた透明難燃光ファイバリボンおよび透明難燃光ファイバケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】高い難燃性と透明性を達成し、柔軟性を有し、かつ、一括被覆からのブリードアウトが防止された透明難燃光ファイバリボンおよび透明難燃光ファイバケーブル、および、該透明難燃光ファイバリボンの一括被覆の製造時に使用する難燃性樹脂組成物の提供。【解決手段】紫外線硬化型樹脂、ビニル系シランカップリング剤で表面修飾された平均粒子径が0.01〜1μmの金属水酸化物、および、特定の環状ホスファゼン化合物を含有し、前記紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、前記金属水酸化物を5〜60質量部、前記ホスファゼンを10〜150質量部含有する難燃性樹脂組成物。【選択図】図1
Description
この発明は、透明難燃性樹脂組成物ならびにそれを用いた透明難燃光ファイバリボンおよび透明難燃光ファイバケーブルに関する。
近年、高度情報通信の発達に伴い、通信系幹線に光ファイバ網が張り巡らされ、光伝送による高速大容量通信が普及してきている。このような通信系幹線には、光伝送損失の低減化などの種々の理由によりシングルモードの石英系光ファイバが用いられ、数十ギガビットクラスの高速データ伝送が可能とされている。しかし、この通信系幹線の石英系光ファイバからオフィスまたは各家庭内にあるデータ通信装置に接続する際に、同じ石英系光ファイバを用いて接続する場合には、可撓性に乏しく取扱い性に難点があると共に、石英系光ファイバのコアの直径が数μm程度と非常に細径であるため、分岐、接続に多大なコストがかかるという問題があり、オフィスまたは各家庭内のデータ通信装置への接続の普及に対する障害の一つになっている。
このような通信系幹線の石英系光ファイバからオフィスまたは各家庭内にあるデータ通信装置への分岐、接続を容易にするために、コアが、石英系光ファイバに比べて大口径で分岐、接続性に優れると共に、可撓性に富み、取扱い性にも優れるプラスチック光ファイバを用いることが提案されている。
現在ではFTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)プロジェクトが進められており、各家庭、事業所周辺で使用されるユーザー系ケーブルの需要は飛躍的に増加することが予想され、環境負荷の小さいリボン構造やケーブル構造が要求される。
現在ではFTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)プロジェクトが進められており、各家庭、事業所周辺で使用されるユーザー系ケーブルの需要は飛躍的に増加することが予想され、環境負荷の小さいリボン構造やケーブル構造が要求される。
プラスチック光ファイバリボンやプラスチック光ファイバケーブルにおいては、いったん火災が発生すると、ケーブル線路に沿って燃え広がり、縦横に火災が拡大するため、UL 1581(Underwriters Laboratories)(UL VW−1)試験に合格する難燃性が求められている。プラスチック光ファイバリボンは通常複数本のプラスチック光ファイバを一括被覆して束ねたものである。一括被覆を構成する樹脂にも難燃性に優れたものを用いる必要がある。
難燃性に優れた樹脂組成物としては、難燃剤として、反応基含有環状ホスファゼン化合物を含むものが特許文献1〜4に開示されている。
難燃性に優れた樹脂組成物としては、難燃剤として、反応基含有環状ホスファゼン化合物を含むものが特許文献1〜4に開示されている。
上述した高い難燃性を達成するためには、難燃性を発揮するメカニズムが異なる複数種類難燃剤を一括被覆に配合する必要がある。反応基含有環状ホスファゼン化合物は、樹脂から脱水を行いチャーと呼ばれる酸素遮断作用と断熱作用を有する層の形成が主体の難燃剤である。これに対し、難燃性を発揮するメカニズムが異なる難燃剤としては、金属水酸化物がある。金属水酸化物は、熱分解し水分を放出した際の吸熱作用が主体の難燃剤である。金属水酸化物は、一括被覆中に分散させる必要があるため、ビニル基を有するシランカップリング剤で表面修飾された微細な粒子として配合される。
意匠性の観点から、光ファイバリボンに透明性が求められる場合がある。光ファイバリボンの透明性の指標としては、ヘイズ率を用いることができる。透明性が求められる用途の光ファイバリボンでは、ヘイズ率が15%以下であることが好ましい。
上記のヘイズ率を達成するためには、一括被覆中に金属水酸化物を均一に分散させる必要がある。このためには、反応基含有環状ホスファゼン化合物の配合量を高める必要があることを本願出願人は見出した。反応基含有環状ホスファゼン化合物が金属水酸化物の分散剤として作用するためである。この理由について、本願出願人は、反応基含有環状ホスファゼン化合物の芳香環と、金属水酸化物を表面修飾したシランカップリング剤のビニル基と、の相互作用によって、金属水酸化物の分散性が向上するためであると推測する。
しかしながら、反応基含有環状ホスファゼン化合物の配合量を高くすると、一括被覆からのブリードアウトが問題となることが明らかとなった。難燃剤である反応基含有環状ホスファゼン化合物が一括被覆からブリードアウトすると、一括被覆の難燃性が低下する。また、光ファイバリボンの周囲に存在する構成要素(例えば、回路基板)にブリードアウトした成分が付着して、種々の問題が生じる。
また、可撓性に富むプラスチック光ファイバの特性を生かすため、光ファイバリボンの一括被覆も柔軟性を有することが求められる。具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定される引っ張り伸びが2%以上であることが望ましい。
したがって、本発明は、高い難燃性と透明性を達成することができ、柔軟性を有し、かつ、一括被覆からのブリードアウトが防止された透明難燃光ファイバリボンおよび透明難燃光ファイバケーブル、ならびに、該透明難燃光ファイバリボンの一括被覆の製造時に使用する難燃性樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明は、紫外線硬化型樹脂、ビニル系シランカップリング剤で表面修飾された平均粒子径が0.01〜1μmの金属水酸化物、および、下記式(1)で示される環状ホスファゼン化合物を含有し、前記紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、前記金属水酸化物を5〜60質量部、前記環状ホスファゼン化合物を10〜150質量部含有する難燃性樹脂組成物を提供する。
(式(1)中、nは3〜15の整数を示し、Aは、環状ホスファゼン化合物1分子中のAの全数に対するA2基の平均個数が0.4〜2.0であることを条件に、下記A1基およびA2基からなる群から選択される基である。A1基:炭素−炭素二重結合を有しない炭素数6〜16のアリールオキシ基。A2基:炭素−炭素二重結合を有する炭素数8〜20のアリールオキシ基。)
本発明の難燃性樹脂組成物において、前記A2基が、ビニル基、アリル基、アクリル基、および、メタクリル基からなる群から選択されるいずれか1つの炭素−炭素二重結合を有する基を有する、炭素数8〜20のアリールオキシ基であることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物において、前記金属水酸化物が、水酸化アルミニウム、ベーマイト、および、水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物において、前記紫外線硬化型樹脂が、アクリル樹脂であることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物において、前記紫外線硬化型樹脂が、反応性可塑剤として、芳香環を有するアクリレートまたはメタクリレートを含有することが好ましい。
また、本発明は、本発明の難燃性樹脂組成物を用いて作製される透明難燃フィルムを提供する。
また、本発明は、複数本の光ファイバ心線を平行に配置し、前記複数本の光ファイバ心線の外周に一括被覆を備えたプラスチック光ファイバリボンであって、前記一括被覆が、本発明の難燃性樹脂組成物からなる、透明難燃光ファイバリボンを提供する。
本発明の透明難燃光ファイバリボンにおいて、前記ファイバ心線を構成する光ファイバが、C−H結合を実質的に有しない非晶質透明フッ素樹脂を材料とすることが好ましい。
本発明の透明難燃光ファイバリボンにおいて、前記ファイバ心線を構成する光ファイバの周囲が補強層で被覆され、さらに該補強層の周囲が、少なくとも1層以上の紫外線硬化型樹脂で被覆されていてもよい。
また、本発明は、光ファイバリボンの外周を、透明難燃性樹脂で被覆した光ファイバケーブルであって、前記光ファイバリボンが、本発明の透明難燃光ファイバリボンである、透明難燃光ファイバケーブルを提供する。
本発明によれば、透明性の指標としてヘイズ率が15%以下であり、高い難燃性を有し、一括被覆の引っ張り伸びが2%以上と、柔軟性を有する透明難燃光ファイバリボンおよび透明難燃光ファイバケーブルを提供できる。
以下、図面を参照して本発明について説明する。
図1は本発明の透明難燃光ファイバリボンを示した断面図である。図1に示す光ファイバリボン21は、複数本の光ファイバ心線11を平行に配置し、該複数本の光ファイバ心線11の外周に一括被覆4を施したものである。図1に示す光ファイバ心線11は、光ファイバ1の周囲を補強層2で被覆し、該補強層2の周囲を紫外線硬化型樹脂3で被覆したものである。ただし、本発明における光ファイバ心線11は、光ファイバ1の周囲を補強層2で被覆したものであればよく、該補強層2の周囲を紫外線硬化型樹脂3で被覆していないものであってもよい。
本発明の透明難燃光ファイバリボンの個々の構成要素について、以下に説明する。
図1は本発明の透明難燃光ファイバリボンを示した断面図である。図1に示す光ファイバリボン21は、複数本の光ファイバ心線11を平行に配置し、該複数本の光ファイバ心線11の外周に一括被覆4を施したものである。図1に示す光ファイバ心線11は、光ファイバ1の周囲を補強層2で被覆し、該補強層2の周囲を紫外線硬化型樹脂3で被覆したものである。ただし、本発明における光ファイバ心線11は、光ファイバ1の周囲を補強層2で被覆したものであればよく、該補強層2の周囲を紫外線硬化型樹脂3で被覆していないものであってもよい。
本発明の透明難燃光ファイバリボンの個々の構成要素について、以下に説明する。
光ファイバ1としては、屈折率分布型(GI型)光ファイバ、段階屈折率型(SI型)光ファイバ、シングルモード光ファイバ、マルチコア光ファイバなどがあり、本発明における光ファイバ1としては、これらいずれであってもよい。
GI型光ファイバとは、断面方向における屈折率に分布を持たせた光ファイバである。すなわち、GI型光ファイバは、断面方向の中心部で屈折率が高く、徐々に屈折率が低くなる屈折率分布によって構成されるので、GI型光ファイバ内を長手方向に進行する光は、屈折率の影響を受けて、GI型光ファイバの中心部近傍に集中する。これによって、高速大容量の伝送能力を実現している。
GI型光ファイバは、SI型光ファイバに比較してモード分散が小さく、数ギガビット以上のクラスの高速データ伝送用に特に適している。
GI型光ファイバは、SI型光ファイバに比較してモード分散が小さく、数ギガビット以上のクラスの高速データ伝送用に特に適している。
本発明における光ファイバ1としては、石英系光ファイバ、ガラス系光ファイバ、および、プラスチック光ファイバ(POF)のいずれも選択できる。ただし、難燃性の向上という観点からは、POFを使用した場合に、その効果がより発揮される。
POFの材料としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂やポリカーボネート樹脂などがあり、本発明において、光ファイバ1としてPOFを使用する場合、このような材料を使用した光ファイバを使用できる。しかしこれら材料からなるPOFには、分子内にC−H結合を有する樹脂を材料とすることより、C−H結合の伸縮運動による高調波吸収が、赤外線または可視光線領域のような特定波長領域に生じ、その波長領域での伝送損失が大きなものであった。加えてこれらの樹脂は、吸湿性が大きいために、温度条件等の環境条件によっては、伝送損失が大きく変化してしまうという問題がある。その結果、光伝送で使われる波長領域において、特に数ギガビットクラスの高速伝送をも可能にする赤外波長領域を使用することが不可能であった。
このような従来のPOFを、通信系幹線の石英系光ファイバからオフィスまたは各家庭内のデータ通信装置に分岐、接続する際に用いる場合、例えば、最近、オフィスまたは各家庭に普及の著しいインターネットへの接続に用いる場合、インターネットにおける音声、静止画像に加えて動画像等のような大容量データの高速伝送の要求に十分に応じることが困難という問題を有している。
本発明における光ファイバ1として、POFを使用する場合、C−H結合を実質的に有しない非晶質透明フッ素樹脂を材料とするPOFが好ましい。このPOFは赤外線や可視光線領域における吸収がなく、通信用POFとして特に優れた特性を有する。
非晶質透明フッ素樹脂としては主鎖に環構造を有するフッ素ポリマーからなるフッ素樹脂、特に主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するフッ素ポリマーからなるフッ素樹脂、が好ましい。このような非晶質フッ素樹脂を材料とするPOFとしては、例えば特開平8−5848号公報や特開平11−167030記載のGI型のPOFおよび特開平4−1704号公報記載のSI型のPOFなどがある。
光ファイバはコア−クラッドから構成されるが、一般的には、補強、機械特性を改善するために、クラッドの周囲に補強層が施された光ファイバ心線として使用される。本発明においても、光ファイバ1の周囲、より具体的には、光ファイバ1のクラッドの周囲を補強層2で被覆した光ファイバ心線11を用いる。
本発明で用いられる光ファイバ心線11は、光ファイバ1としてC−H結合を実質的に有しない非晶質透明フッ素樹脂を材料とするGI型のPOFを使用し、該GI型のPOFの周囲を、補強層2として熱溶融樹脂で被覆したものが好ましい。
本発明で用いられる光ファイバ心線11は、光ファイバ1としてC−H結合を実質的に有しない非晶質透明フッ素樹脂を材料とするGI型のPOFを使用し、該GI型のPOFの周囲を、補強層2として熱溶融樹脂で被覆したものが好ましい。
本発明の光ファイバ心線11では、該補強層2の周囲に、外力緩和のためのプライマリコート、外力耐性のためのセカンダリコート、色識別のためのカラーコートなどを形成するために、少なくとも1層以上の紫外線硬化型樹脂3でさらに被覆したものがより好ましい。
本発明の透明難燃光ファイバリボン21では、平行に配置した複数本の光ファイバ心線11の外周に施す一括被覆4が、以下に示す本発明の難燃性樹脂組成物を用いて作製されている。
本発明の難燃性樹脂組成物は、紫外線硬化型樹脂、ビニル系シランカップリング剤で表面修飾された平均粒子径が0.01〜1μmの金属水酸化物、および、下記式(1)で示される環状ホスファゼン化合物を含有し、該紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、該金属水酸化物を5〜60質量部、該環状ホスファゼン化合物を10〜150質量部含有する。
式(1)中、nは3〜15の整数を示し、Aは、環状ホスファゼン化合物1分子中のAの全数に対するA2基の平均個数が0.4〜2.0であることを条件に、下記A1基およびA2基からなる群から選択される基である。
A1基:炭素−炭素二重結合を有しない炭素数6〜16のアリールオキシ基。
A2基:炭素−炭素二重結合を有する炭素数8〜20のアリールオキシ基。
A1基:炭素−炭素二重結合を有しない炭素数6〜16のアリールオキシ基。
A2基:炭素−炭素二重結合を有する炭素数8〜20のアリールオキシ基。
本発明の難燃性樹脂組成物において、紫外線硬化型樹脂は、樹脂組成物のマトリクス樹脂である。本発明の難燃性樹脂組成物に用いる紫外線硬化型樹脂としては、アクリル樹脂が、透明性、高速塗工性の理由から好ましい。
なお、本発明の難燃性樹脂組成物に用いる紫外線硬化型樹脂は、少なくともアクリルオリゴマーとアクリルモノマーと紫外線反応型開始剤からなる液状組成物からなることが好ましい。ここで、アクリルオリゴマー、アクリルモノマーは、目標とする樹脂組成物の物性、または樹脂組成物の硬化物の物性、具体的には、樹脂組成物を用いて作製される一括被覆4や透明難燃フィルムの物性を考慮して、架橋密度や、親水基/疎水基のバランスを選択し組み合わせて使用される。また、紫外線反応開始剤は、樹脂組成物を用いて作製される一括被覆4や透明難燃フィルムの表面と深さ方向の硬化性を同時に対応できるように、種類と添加量と、分散度を考慮し使用される。
なお、本発明の難燃性樹脂組成物に用いる紫外線硬化型樹脂は、少なくともアクリルオリゴマーとアクリルモノマーと紫外線反応型開始剤からなる液状組成物からなることが好ましい。ここで、アクリルオリゴマー、アクリルモノマーは、目標とする樹脂組成物の物性、または樹脂組成物の硬化物の物性、具体的には、樹脂組成物を用いて作製される一括被覆4や透明難燃フィルムの物性を考慮して、架橋密度や、親水基/疎水基のバランスを選択し組み合わせて使用される。また、紫外線反応開始剤は、樹脂組成物を用いて作製される一括被覆4や透明難燃フィルムの表面と深さ方向の硬化性を同時に対応できるように、種類と添加量と、分散度を考慮し使用される。
本発明の難燃性樹脂組成物において、金属水酸化物、および、上記式(1)で示されるホスファゼンは、樹脂組成物を用いて作製される一括被覆4や、透明難燃フィルムの難燃剤である。金属水酸化物は、熱分解し水分を放出した際の吸熱作用が主体の難燃剤である。また、環状ホスファゼン化合物のようなリン化合物は、樹脂から脱水を行いチャーと呼ばれる酸素遮断作用と断熱作用を有する層の形成が主体の難燃剤である。
本発明の難燃性樹脂組成物は、ビニル系シランカップリング剤で表面修飾された平均粒子径が0.01〜1μmの金属水酸化物、および、上記式(1)で示される環状ホスファゼン化合物を含有することで、該樹脂組成物を用いて作製される、一括被覆4や透明難燃フィルムがが、透明性および難燃性に優れたものとなる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、ビニル系シランカップリング剤で表面修飾された平均粒子径が0.01〜1μmの金属水酸化物、および、上記式(1)で示される環状ホスファゼン化合物を含有することで、該樹脂組成物を用いて作製される、一括被覆4や透明難燃フィルムがが、透明性および難燃性に優れたものとなる。
樹脂組成物に配合する難燃剤のうち、金属水酸化物は粒子として配合するため、平均粒子径が小さいものを使用するほうが、該樹脂組成物を用いて作製される、一括被覆4や透明難燃フィルムの透明性が向上するので好ましい。このため、金属水酸化物の平均粒子径は1μm以下とする。ただし、金属水酸化物の平均粒子径が小さすぎると、樹脂組成物の粘度が上昇して、ハンドリング性が悪化するので、金属水酸化物の平均粒子径の下限を0.01μmとする。
ただし、平均粒子径が小さい金属水酸化物を使用しても、樹脂組成物中で凝集すると、その優位性が失われて、該樹脂組成物を用いて作製される、一括被覆4や透明難燃フィルムの透明性が低下する。このため、本発明では、ビニル系シランカップリング剤、すなわち、ビニル基を有するシランカップリング剤で表面修飾された金属水酸化物を使用する。金属水酸化物をシランカップリング剤で表面修飾すると、樹脂組成物中での分散性が向上するが、ビニル系シランカップリング剤で表面修飾することで、樹脂組成物中での分散性が顕著に向上する。この理由について、本願出願人は以下のように推定している。
難燃剤として樹脂組成物に配合する、式(1)で示される環状ホスファゼン化合物は、リンに結合する側鎖(A)が、炭素−炭素二重結合を有しない炭素数6〜16のアリールオキシ基、または、炭素−炭素二重結合を有する炭素数8〜20のアリールオキシ基である。側鎖(A)は、芳香環を有することが好ましい。この芳香環と、金属水酸化物を表面修飾したシランカップリング剤のビニル基と、の相互作用によって、金属水酸化物の分散性が顕著に向上すると推測できるからである。
なお、ビニル系シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシランなどを使用できる。
難燃剤として樹脂組成物に配合する、式(1)で示される環状ホスファゼン化合物は、リンに結合する側鎖(A)が、炭素−炭素二重結合を有しない炭素数6〜16のアリールオキシ基、または、炭素−炭素二重結合を有する炭素数8〜20のアリールオキシ基である。側鎖(A)は、芳香環を有することが好ましい。この芳香環と、金属水酸化物を表面修飾したシランカップリング剤のビニル基と、の相互作用によって、金属水酸化物の分散性が顕著に向上すると推測できるからである。
なお、ビニル系シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシランなどを使用できる。
ここで、金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、および、水酸化カルシウムからなる群から選択される1種以上を使用できる。これらの中でも、吸熱作用が大きい点から、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、水酸化アルミニウムがさらに好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物において、金属水酸化物の平均粒子径は、0.01〜1μmであることが好ましく、0.03〜0.9μmであることがより好ましく、0.05〜0.8μmであることがさらに好ましい。
なお、金属水酸化物の平均粒子径は、適切な溶媒に分散させた分散液の状態でレーザー回折・散乱方式粒子径測定装置(マイクロトラックBlueRaytrac、日機装株式会社)を使用し求めることができる。
本発明において、金属水酸化物の平均粒子径が上記範囲であることに加えて、金属水酸化物の粒子分布が狭いことが好ましい。
なお、金属水酸化物の平均粒子径は、適切な溶媒に分散させた分散液の状態でレーザー回折・散乱方式粒子径測定装置(マイクロトラックBlueRaytrac、日機装株式会社)を使用し求めることができる。
本発明において、金属水酸化物の平均粒子径が上記範囲であることに加えて、金属水酸化物の粒子分布が狭いことが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物において、金属水酸化物の含有量は、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、5〜60質量部である。金属水酸化物の含有量が5質量部未満だと、難燃性の効果が発揮できず、樹脂組成物を用いて作製される一括被覆4や透明難燃フィルムの難燃性が低下する。一方、金属水酸化物の含有量が60質量部超だと、樹脂組成物を用いて作製される一括被覆4や透明難燃フィルムの透明性が低下するうえ、熱分解が急激に起こるために、樹脂組成物を用いて作製される一括被覆4や透明難燃フィルムの一部が火の粉となって飛び散り、UL VW−1試験が不合格となる場合がある。
本発明の難燃性樹脂組成物において、金属水酸化物の含有量は、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、5〜60質量部であることが好ましく、10〜60質量部であることがより好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物において、金属水酸化物の含有量は、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、5〜60質量部であることが好ましく、10〜60質量部であることがより好ましい。
次に、上記式(1)で示される環状ホスファゼン化合物について記載する。
上述したように、上記式(1)で示される環状ホスファゼン化合物は、樹脂組成物を用いて作製される一括被覆4や、透明難燃フィルムの難燃剤である。
本発明の難燃性樹脂組成物は、nやAが異なる二種以上の環状ホスファゼン化合物を含有してもよい。
上述したように、上記式(1)で示される環状ホスファゼン化合物は、樹脂組成物を用いて作製される一括被覆4や、透明難燃フィルムの難燃剤である。
本発明の難燃性樹脂組成物は、nやAが異なる二種以上の環状ホスファゼン化合物を含有してもよい。
また、式(1)中、Aは、環状ホスファゼン化合物1分子中のAの全数に対するA2基の平均個数が0.4〜2.0であることを条件に、下記A1基およびA2基からなる群から選択される基である。
A1基:炭素−炭素二重結合を有しない炭素数6〜16のアリールオキシ基。
A2基:炭素−炭素二重結合を有する炭素数8〜20のアリールオキシ基。
A1基:炭素−炭素二重結合を有しない炭素数6〜16のアリールオキシ基。
A2基:炭素−炭素二重結合を有する炭素数8〜20のアリールオキシ基。
A1基をなす炭素−炭素二重結合を有しない炭素数6〜16のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、エチルメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、イソプロピルメチルフェノキシ基、イソプロピルエチルフェノキシ基、ジイソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ペンチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基およびフェナントリルオキシ基等を挙げることができる。
A2基をなす炭素−炭素二重結合を有する炭素数8〜20のアリールオキシ基としては、A1基について例示した炭素−炭素二重結合を有しない炭素数6〜16のアリールオキシ基の一部を、ビニル基、アリル基、アクリル基、および、メタクリル基からなる群から選択される、いずれか1つの炭素−炭素二重結合を有する基で置換したものが挙げられる。
A2基としては、エテニルフェノキシ基、1−プロペニルフェノキシ基、イソプロペニルフェノキシ基、1−ブテニルフェノキシ基、sec−ブテニルフェノキシ基、1−ペンテニルフェノキシ基、1−ヘキセニルフェノキシ基、等が挙げられる。
また、A2基の一部に、紫外線硬化型樹脂と反応する、下記式(2)で示される、アクリオイルオキシアルキレンオキシ基、または、メタクリロイルオキシアルキレンオキシ基が含まれていてもよい。
式(2)中、mは0〜10の整数であり、0〜6の整数であることが好ましく、2〜4の整数であることが特に好ましい。Zは、Hまたは炭素数が1〜4のアルキル基であり、好ましくは、Hまたはメチル基である。
A2基としては、エテニルフェノキシ基、1−プロペニルフェノキシ基、イソプロペニルフェノキシ基、1−ブテニルフェノキシ基、sec−ブテニルフェノキシ基、1−ペンテニルフェノキシ基、1−ヘキセニルフェノキシ基、等が挙げられる。
また、A2基の一部に、紫外線硬化型樹脂と反応する、下記式(2)で示される、アクリオイルオキシアルキレンオキシ基、または、メタクリロイルオキシアルキレンオキシ基が含まれていてもよい。
なお、環状ホスファゼン化合物中のA1基は、全て同一であってもよいし、複数の異なる基を含んでいてもよい。また、A2基も全て同一であってもよいし、複数の異なる基を含んでいてもよい。
環状ホスファゼン化合物が難燃剤として作用するのは、化合物中にリンを含有するためである。したがって、A1基の炭素数やA2基の炭素数が大きくなると、難燃剤としての作用が低下するおそれがある。このため、環状ホスファゼン1分子中のA1基の炭素数は14以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。一方、環状ホスファゼン1分子中のA2基の炭素数は18以下であることが好ましく、14以下であることがより好ましく、12以下であることがさらに好ましい。
A2基が有する炭素−炭素二重結合は、紫外線照射時に、紫外線硬化型樹脂とともに架橋重合を形成する。このため、難燃性樹脂組成物における環状ホスファゼン化合物の含有量を高めても、ブリードアウトを発生することがない。
ただし、環状ホスファゼン化合物中のA2基の個数が多すぎると、紫外硬化型樹脂との架橋重合が過度に進行して、一括被覆の柔軟性が低下し、引っ張り伸びが2%未満となる。環状ホスファゼン化合物1分子中のAの全数に対するA2基の平均個数を0.4以上とすることで、ブリードアウトを防止する効果が好ましく発揮される。一方、環状ホスファゼン化合物1分子中のAの全数に対するA2基の平均個数を2.0以下であれば、紫外硬化型樹脂との架橋重合が過度に進行することがなく、一括被覆の柔軟性を有しており、一括被覆の引っ張り伸びが2%以上となる。
環状ホスファゼン化合物1分子中のAの全数に対するA2基の平均個数は、0.4〜1.8であることが好ましく、0.5〜1.6であることがより好ましい。
なお、1分子中のA2基の平均個数という記載から明らかなように、本発明の難燃性樹脂組成物は、1分子中のA2基の個数が異なる複数種類の環状ホスファゼン化合物を含有してもよい。
ただし、環状ホスファゼン化合物中のA2基の個数が多すぎると、紫外硬化型樹脂との架橋重合が過度に進行して、一括被覆の柔軟性が低下し、引っ張り伸びが2%未満となる。環状ホスファゼン化合物1分子中のAの全数に対するA2基の平均個数を0.4以上とすることで、ブリードアウトを防止する効果が好ましく発揮される。一方、環状ホスファゼン化合物1分子中のAの全数に対するA2基の平均個数を2.0以下であれば、紫外硬化型樹脂との架橋重合が過度に進行することがなく、一括被覆の柔軟性を有しており、一括被覆の引っ張り伸びが2%以上となる。
環状ホスファゼン化合物1分子中のAの全数に対するA2基の平均個数は、0.4〜1.8であることが好ましく、0.5〜1.6であることがより好ましい。
なお、1分子中のA2基の平均個数という記載から明らかなように、本発明の難燃性樹脂組成物は、1分子中のA2基の個数が異なる複数種類の環状ホスファゼン化合物を含有してもよい。
なお、式(1)中のAがA1基およびA2基からなる群から選択される基であり、1分子中のAの全数に対するA2基の平均個数が0.4〜2.0である環状ホスファゼン化合物は、式(1)中のAがハロゲン原子である環状ホスホニトリルジハライドを原料として使用し、ビニル基、アリル基、アクリル基、および、メタクリル基からなる群から選択される、いずれか1つの炭素−炭素二重結合を有する基を有するフェノール化合物で、環状ホスホニトリルジハライド中のハロゲン原子の一部を置換した後、残りのハロゲン原子を、上記の炭素−炭素二重結合を有する基を持たないフェノール化合物で置換することで得ることができる。ここで、得られる環状ホスファゼン化合物中にハロゲン原子が残っていると、難燃性樹脂組成物から得られる一括被覆で黄変が発生するおそれがあるため、全てのハロゲン原子をフェノール化合物で置換する必要がある。
本発明の難燃性樹脂組成物において、式(1)で示される環状ホスファゼン化合物の含有量は、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、10〜150質量部である。環状ホスファゼン化合物の含有量が10質量部未満だと、難燃性の効果が発揮できず、樹脂組成物を用いて作製される一括被覆4や透明難燃フィルムの難燃性が低下する。また、樹脂組成物中での金属水酸化物の分散性が低下し、金属水酸化物が凝集する。この結果、樹脂組成物を用いて作製される、一括被覆4や透明難燃フィルムの透明性が低下する。
一方、環状ホスファゼン化合物の含有量が150質量部超だと、難燃性樹脂組成物の粘度が低くなりすぎで、一括被覆ができなくなるおそれがある。
本発明の難燃性樹脂組成物において、式(1)で示される環状ホスファゼン化合物の含有量は、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、10〜140質量部であることが好ましく、20〜120質量部であることがより好ましい。
一方、環状ホスファゼン化合物の含有量が150質量部超だと、難燃性樹脂組成物の粘度が低くなりすぎで、一括被覆ができなくなるおそれがある。
本発明の難燃性樹脂組成物において、式(1)で示される環状ホスファゼン化合物の含有量は、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、10〜140質量部であることが好ましく、20〜120質量部であることがより好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物において、紫外線硬化型樹脂は、反応性可塑剤として、芳香環を有するアクリレートを含有することが好ましい。
一括被覆4や透明難燃フィルム樹脂組成物の作製に用いる樹脂組成物には、これらの可塑性を高めるために、樹脂組成物に配合する紫外線硬化型樹脂には、可塑剤が添加される。このような目的で添加する可塑剤としては、樹脂組成物の硬化物からの可塑剤の移行を防止するために、反応性可塑剤が好ましく用いられる。反応性可塑剤としては、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどが通常用いられる。また上記アクリレートの代わりに、メタクリレートを用いてもよい。
本発明の難燃性樹脂組成物では、上記のアクリレートまたはメタクリレートの中でも、芳香環を有するアクリレートまたはメタクリレートを、反応性可塑剤として含有する紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
上述したように、本発明の難燃性樹脂組成物では、式(1)で示される環状ホスファゼン化合物の芳香環と、金属水酸化物を表面修飾したシランカップリング剤のビニル基と、の相互作用によって、金属水酸化物の分散性が顕著に向上すると考えられる。芳香環を有するアクリレートまたはメタクリレートを、反応性可塑剤として含有する紫外線硬化型樹脂を用いた場合、アクリレートまたはメタクリレートの芳香環と、金属水酸化物を表面修飾したシランカップリング剤のビニル基と、の相互作用によって、金属水酸化物の分散性がさらに向上する。その結果、該樹脂組成物を用いて作製される、一括被覆4や透明難燃フィルムの透明性がさらに向上する。
なお、芳香環を有するアクリレートまたはメタクリレートとしては、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、または、これらに相当するメタクリレート等を用いることができる。これらの中でも、ベンジルアクリレートまたはベンジルメタクリレートが、樹脂組成物の粘度を過度に増加させることがないため、樹脂組成物のハンドリング性の点から好ましい。
一括被覆4や透明難燃フィルム樹脂組成物の作製に用いる樹脂組成物には、これらの可塑性を高めるために、樹脂組成物に配合する紫外線硬化型樹脂には、可塑剤が添加される。このような目的で添加する可塑剤としては、樹脂組成物の硬化物からの可塑剤の移行を防止するために、反応性可塑剤が好ましく用いられる。反応性可塑剤としては、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどが通常用いられる。また上記アクリレートの代わりに、メタクリレートを用いてもよい。
本発明の難燃性樹脂組成物では、上記のアクリレートまたはメタクリレートの中でも、芳香環を有するアクリレートまたはメタクリレートを、反応性可塑剤として含有する紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
上述したように、本発明の難燃性樹脂組成物では、式(1)で示される環状ホスファゼン化合物の芳香環と、金属水酸化物を表面修飾したシランカップリング剤のビニル基と、の相互作用によって、金属水酸化物の分散性が顕著に向上すると考えられる。芳香環を有するアクリレートまたはメタクリレートを、反応性可塑剤として含有する紫外線硬化型樹脂を用いた場合、アクリレートまたはメタクリレートの芳香環と、金属水酸化物を表面修飾したシランカップリング剤のビニル基と、の相互作用によって、金属水酸化物の分散性がさらに向上する。その結果、該樹脂組成物を用いて作製される、一括被覆4や透明難燃フィルムの透明性がさらに向上する。
なお、芳香環を有するアクリレートまたはメタクリレートとしては、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、または、これらに相当するメタクリレート等を用いることができる。これらの中でも、ベンジルアクリレートまたはベンジルメタクリレートが、樹脂組成物の粘度を過度に増加させることがないため、樹脂組成物のハンドリング性の点から好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物を用いて、透明難燃光ファイバリボン21の一括被覆4を作製する場合、複数本の光ファイバ心線11を平行に配置した後、該光ファイバ心線11の外周で、本発明の難燃性樹脂組成物で被覆した後、紫外線照射により樹脂組成物を硬化させればよい。
本発明の難燃性樹脂組成物を用いて作製される一括被覆は透明性が高く、後述する実施例に記載の手順で測定されるヘイズ率が15%以下であり、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
本発明の難燃性樹脂組成物を用いて作製される一括被覆は柔軟性を有しており、後述する実施例に記載の手順で測定される引っ張り伸びが2%以上であり、好ましくは4%以上、より好ましくは10%以上である。
本発明の難燃性樹脂組成物を用いて作製される一括被覆は難燃性が高く、JIS K721で規定される酸素指数が22.9(暫定値)以上であり、好ましくは24.0以上、より好ましくは25.0以上である。本発明の難燃性樹脂組成物を用いて作製される一括被覆は、UL−VW1の試験規格に合格する難燃性を有する。
本発明の難燃性樹脂組成物を用いて作製される一括被覆は透明性が高く、後述する実施例に記載の手順で測定されるヘイズ率が15%以下であり、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
本発明の難燃性樹脂組成物を用いて作製される一括被覆は柔軟性を有しており、後述する実施例に記載の手順で測定される引っ張り伸びが2%以上であり、好ましくは4%以上、より好ましくは10%以上である。
本発明の難燃性樹脂組成物を用いて作製される一括被覆は難燃性が高く、JIS K721で規定される酸素指数が22.9(暫定値)以上であり、好ましくは24.0以上、より好ましくは25.0以上である。本発明の難燃性樹脂組成物を用いて作製される一括被覆は、UL−VW1の試験規格に合格する難燃性を有する。
図2は本発明の透明難燃光ファイバケーブルを示した断面図である。図2に示す光ファイバケーブル31は、図1に示す光ファイバリボン21の外周を、透明難燃性樹脂5で被覆したものである。ここで、光ファイバリボン21としては、上述した本発明の透明難燃光ファイバリボンを用いる。
図2に示す光ファイバケーブル31の強度を向上させるために、テンションメンバーなど補強材を透明難燃性樹脂5の被覆内に含有させてもよい。
本発明の透明難燃光ファイバリボン21を用いて、透明難燃光ファイバケーブル31を作製する場合、 透明難燃ファイバリボン21の外側に、透明難燃性樹脂5を、クロスヘッドダイを備えた被覆装置などで被覆する。
図2に示す光ファイバケーブル31の断面形状は略楕円形状であるが、光ファイバケーブルの断面形状はこれに限定されず、円形や角が丸みを帯びた長方形であってもよい。これらの中でも、取扱が容易であることから、略楕円形状または円形が好適である。
透明難燃性樹脂5の材料として、具体的にはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、安価で加工しやすいことからポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂が好ましい。これらの樹脂材料のみでは難燃性が不十分な場合、透明難燃性樹脂5には難燃剤が添加される。この目的で添加する難燃剤としては、難燃剤が添加された透明難燃性樹脂5の透明性が失われないリン酸エステルなどが好ましい。
図2に示す光ファイバケーブル31の強度を向上させるために、テンションメンバーなど補強材を透明難燃性樹脂5の被覆内に含有させてもよい。
本発明の透明難燃光ファイバリボン21を用いて、透明難燃光ファイバケーブル31を作製する場合、 透明難燃ファイバリボン21の外側に、透明難燃性樹脂5を、クロスヘッドダイを備えた被覆装置などで被覆する。
図2に示す光ファイバケーブル31の断面形状は略楕円形状であるが、光ファイバケーブルの断面形状はこれに限定されず、円形や角が丸みを帯びた長方形であってもよい。これらの中でも、取扱が容易であることから、略楕円形状または円形が好適である。
透明難燃性樹脂5の材料として、具体的にはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、安価で加工しやすいことからポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂が好ましい。これらの樹脂材料のみでは難燃性が不十分な場合、透明難燃性樹脂5には難燃剤が添加される。この目的で添加する難燃剤としては、難燃剤が添加された透明難燃性樹脂5の透明性が失われないリン酸エステルなどが好ましい。
また、本発明の難燃性樹脂組成物を用いて、透明難燃フィルムを作製する場合、本発明の難燃性樹脂組成物を基材上に厚さが均一になるように塗布した後、紫外線照射により樹脂組成物を硬化させればよい。このようにして得られる透明難燃フィルムは、例えば、屋外の屋根や外壁、屋内のパーティションやカーテン等の用途に使用できる。
なお、透明難燃フィルムとして使用する場合、その厚さは500μm以下であることが、透明性に優れることから好ましく、400μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましい。
なお、透明難燃フィルムとして使用する場合、その厚さは500μm以下であることが、透明性に優れることから好ましく、400μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましい。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。以下、例1〜6は実施例、例7〜13は比較例である。
〔例1〕
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)0.8g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらにフェノール(関東化学株式会社製)7.5gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が0.7の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
〔例1〕
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)0.8g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらにフェノール(関東化学株式会社製)7.5gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が0.7の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(難燃性樹脂組成物の調製)
紫外線硬化型樹脂原料(デソライトR3194,JSR株式会社)4.2gをプラスチック容器に量り取り、ベンジルアクリレート(BZA,大阪有機化学工業株式会社)0.8gを加え均一になるまでよく撹拌し紫外線硬化型樹脂(アクリル樹脂)とした。紫外線硬化型樹脂(100質量部)に、ビニル系シランカップリング剤で表面修飾された水酸化アルミニウム粉末(APYRAL 200VS1,Nabaltec AG)1.5g(30質量部)、および、上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物5g(100質量部)を加えた。均一になるまでよく撹拌し、難燃性樹脂組成物を得た。
得られた難燃性樹脂組成物を、ガラス基板上に、ドクターブレード(横幅50mm、スリット幅300μm)を用いて薄膜化し、窒素雰囲気下で、紫外線(高圧水銀ランプ、強度:37mW/cm2)を30秒間照射し硬化させて膜厚58μmの透明難燃フィルムを得た。この透明難燃フィルムを用いて以下の評価を実施した。
紫外線硬化型樹脂原料(デソライトR3194,JSR株式会社)4.2gをプラスチック容器に量り取り、ベンジルアクリレート(BZA,大阪有機化学工業株式会社)0.8gを加え均一になるまでよく撹拌し紫外線硬化型樹脂(アクリル樹脂)とした。紫外線硬化型樹脂(100質量部)に、ビニル系シランカップリング剤で表面修飾された水酸化アルミニウム粉末(APYRAL 200VS1,Nabaltec AG)1.5g(30質量部)、および、上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物5g(100質量部)を加えた。均一になるまでよく撹拌し、難燃性樹脂組成物を得た。
得られた難燃性樹脂組成物を、ガラス基板上に、ドクターブレード(横幅50mm、スリット幅300μm)を用いて薄膜化し、窒素雰囲気下で、紫外線(高圧水銀ランプ、強度:37mW/cm2)を30秒間照射し硬化させて膜厚58μmの透明難燃フィルムを得た。この透明難燃フィルムを用いて以下の評価を実施した。
透明性(ヘイズ率)
ヘイズメータ(ヘイズ−ガード プラス,BYKガードナー社)を用いて透明難燃フィルムのヘイズ率を測定した。ヘイズ率は4.1%であった。
ヘイズメータ(ヘイズ−ガード プラス,BYKガードナー社)を用いて透明難燃フィルムのヘイズ率を測定した。ヘイズ率は4.1%であった。
柔軟性(引っ張り伸び)
幅1cm、長さ5cm、厚さ約60μmのフィルムにて、小型卓上試験機EZTestシリーズ(株式会社島津製作所)を用いて、透明難燃フィルムの引っ張り伸びを測定した。引っ張り伸びは17.3%であった。
幅1cm、長さ5cm、厚さ約60μmのフィルムにて、小型卓上試験機EZTestシリーズ(株式会社島津製作所)を用いて、透明難燃フィルムの引っ張り伸びを測定した。引っ張り伸びは17.3%であった。
ブリードアウト
透明難燃フィルムを85℃、85%Rhの高温多湿環境に置き、ブリードアウトの有無を観察した。1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。
透明難燃フィルムを85℃、85%Rhの高温多湿環境に置き、ブリードアウトの有無を観察した。1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。
難燃性
透明難燃フィルムの難燃性評価は、JIS K 7201−2 (プラスチック−酸素指数による燃焼性の試験法、第2部:室温における試験)による酸素指数で評価した。酸素指数は25.3であった。
透明難燃フィルムの難燃性評価は、JIS K 7201−2 (プラスチック−酸素指数による燃焼性の試験法、第2部:室温における試験)による酸素指数で評価した。酸素指数は25.3であった。
〔例2〕
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)1.8g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらにフェノール(関東化学株式会社製)6.99gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が1.7の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)1.8g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらにフェノール(関東化学株式会社製)6.99gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が1.7の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(難燃性樹脂組成物の調製)
ビニル系シランカップリング剤で表面修飾された水酸化アルミニウム粉末、および、環状ホスファゼン化合物の配合量を、それぞれ2g(40質量部)、および、1.25g(25質量部)に変えて、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を得た。
得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は12.7%、引っ張り伸びは2.0%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が23.5%であった。
ビニル系シランカップリング剤で表面修飾された水酸化アルミニウム粉末、および、環状ホスファゼン化合物の配合量を、それぞれ2g(40質量部)、および、1.25g(25質量部)に変えて、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を得た。
得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は12.7%、引っ張り伸びは2.0%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が23.5%であった。
〔例3〕
(難燃性樹脂組成物の調製)
環状ホスファゼン化合物の配合量を2.5g(50質量部)に変えて、例2と同様の手順で難燃性樹脂組成物を得た。
得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は11.7%、引っ張り伸びは4.3%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が24.3%であった。
(難燃性樹脂組成物の調製)
環状ホスファゼン化合物の配合量を2.5g(50質量部)に変えて、例2と同様の手順で難燃性樹脂組成物を得た。
得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は11.7%、引っ張り伸びは4.3%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が24.3%であった。
〔例4〕
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)1.5g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらにフェノール(関東化学株式会社製)7.2gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が1.5の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)1.5g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらにフェノール(関東化学株式会社製)7.2gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が1.5の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(難燃性樹脂組成物の調製)
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は2.3%、引っ張り伸びは12.4%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が25.1%であった。
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は2.3%、引っ張り伸びは12.4%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が25.1%であった。
〔例5〕
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)0.45g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらにフェノール(関東化学株式会社製)7.8gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が0.5の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)0.45g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらにフェノール(関東化学株式会社製)7.8gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が0.5の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(難燃性樹脂組成物の調製)
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は10.5%、引っ張り伸びは27.9%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が25.3%であった。
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は10.5%、引っ張り伸びは27.9%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が25.3%であった。
〔例6〕
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)0.45g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらに3,4−メチルフェノール(関東化学株式会社製)10.2gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基が3,4−メチルフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が0.42の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)0.45g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらに3,4−メチルフェノール(関東化学株式会社製)10.2gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基が3,4−メチルフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が0.42の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(難燃性樹脂組成物の調製)
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は5.0%、引っ張り伸びは37.2%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が24.9%であった。
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は5.0%、引っ張り伸びは37.2%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が24.9%であった。
〔例7〕
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)6.5g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらにフェノール(関東化学株式会社製)4.1gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が5.0の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)6.5g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらにフェノール(関東化学株式会社製)4.1gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が5.0の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(難燃性樹脂組成物の調製)
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例2と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は14.6%であった。透明難燃シートをガラス基板から剥離できなかったため引っ張り伸びの測定は実施できなかった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が23.0%であった。
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例2と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は14.6%であった。透明難燃シートをガラス基板から剥離できなかったため引っ張り伸びの測定は実施できなかった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が23.0%であった。
〔例8〕
(難燃性樹脂組成物の調製)
環状ホスファゼン化合物の配合量を2.5g(50質量部)に変えて、例7と同様の手順で難燃性樹脂組成物を得た。
得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は9.9%であった。透明難燃シートをガラス基板から剥離できなかったため引っ張り伸びの測定は実施できなかった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が23.9%であった。
(難燃性樹脂組成物の調製)
環状ホスファゼン化合物の配合量を2.5g(50質量部)に変えて、例7と同様の手順で難燃性樹脂組成物を得た。
得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は9.9%であった。透明難燃シートをガラス基板から剥離できなかったため引っ張り伸びの測定は実施できなかった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が23.9%であった。
〔例9〕
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)3.6g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらに3,4−メチルフェノール(関東化学株式会社製)5.9gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が3.2の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)3.6g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらに3,4−メチルフェノール(関東化学株式会社製)5.9gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が3.2の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(難燃性樹脂組成物の調製)
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例8と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は27.7%、引っ張り伸びは0.3%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が24.1%であった。
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例8と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は27.7%、引っ張り伸びは0.3%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が24.1%であった。
〔例10〕
(難燃性樹脂組成物の調製)
環状ホスファゼン化合物として例9と同じものを使用し、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は7.6%、引っ張り伸びは0.8%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が25.0%であった。
(難燃性樹脂組成物の調製)
環状ホスファゼン化合物として例9と同じものを使用し、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は7.6%、引っ張り伸びは0.8%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後でもブリードアウトは観察されなかった。難燃性評価では酸素指数が25.0%であった。
〔例11〕
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)0.45g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらに3,4−メチルフェノール(関東化学株式会社製)7.8gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が0.35の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)0.45g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらに3,4−メチルフェノール(関東化学株式会社製)7.8gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がフェノキシ基、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が0.35の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(難燃性樹脂組成物の調製)
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は6.3%、引っ張り伸びは69.8%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後、ブリードアウトが観察された。難燃性評価では酸素指数が24.4%であった。
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は6.3%、引っ張り伸びは69.8%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後、ブリードアウトが観察された。難燃性評価では酸素指数が24.4%であった。
〔例12〕
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、フェノール(関東化学株式会社製)8.1g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら36時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、Aが全てフェノキシ基(A1基)の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。したがって、1分子中のA2基の平均個数が0である。
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、フェノール(関東化学株式会社製)8.1g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら36時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、Aが全てフェノキシ基(A1基)の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。したがって、1分子中のA2基の平均個数が0である。
(難燃性樹脂組成物の調製)
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は2.6%、引っ張り伸びは32.3%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後、ブリードアウトが観察された。難燃性評価では酸素指数が25.4%であった。
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は2.6%、引っ張り伸びは32.3%であった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後、ブリードアウトが観察された。難燃性評価では酸素指数が25.4%であった。
〔例13〕
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)0.45g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらにドデシルフェノール(関東化学株式会社製)21.9gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がドデシルフェノキシ基(炭素数18)、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が0.43の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(環状ホスファゼン化合物の合成)
ホスホニトリルクロライドの三量体(Phosphonitrilic chloride trimer)(aldrich社製)2gをフラスコに量り取り、4−エテニル−2−メトキシフェノール(aldrich社)0.45g、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)11.9g、および、溶媒として、アセトン(関東化学株式会社製)150mLを加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら12時間還流した。さらにドデシルフェノール(関東化学株式会社製)21.9gをフラスコに加えて、窒素環境下、60℃で撹拌しながら24時間還流した。反応終了後、溶液を遠心分離し、上澄みを取り出して溶媒をエバポレータで除去した。濃縮された液をトルエン−炭酸カリウム水溶液に入れ、分液してトルエン層に溶解しているフェノールを水層に抽出した。有機層を取り出しエバポレータで除去し、オレンジ色の液体を得た。生成物について、1H−NMRと31P−NMR測定を行い、得られた化合物が式(1)中のnが3、A1基がドデシルフェノキシ基(炭素数18)、A2基が4−エテニル−2−メトキシフェノキシ基、1分子中のA2基の平均個数が0.43の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
(難燃性樹脂組成物の調製)
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は25.0%であった。透明難燃シートが硬化しなかったため引っ張り伸びは測定できなかった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後、ブリードアウトが観察された。透明難燃シートが硬化しなかったため、難燃性評価はできなかった。
上記の手順で得られた環状ホスファゼン化合物を使用し、例1と同様の手順で難燃性樹脂組成物を調製した。得られた難燃性樹脂組成物について、例1と同様の手順で各評価を実施した。ヘイズ率は25.0%であった。透明難燃シートが硬化しなかったため引っ張り伸びは測定できなかった。85℃、85%Rh環境下、1000時間経過後、ブリードアウトが観察された。透明難燃シートが硬化しなかったため、難燃性評価はできなかった。
例1〜6は、いずれも引っ張り伸びが2%以上であり、ヘイズ率が15%以下であり、ブリードアウトは発生しなかった。
環状ホスファゼン化合物1分子中のA2基の平均個数が2.0より高い例9,10は、引っ張り伸びが2%未満であった。A2基の平均個数がさらに高い例7,8では引っ張り伸びが測定できなかった。また、例9ではヘイズ率が15%より高かった。
環状ホスファゼン化合物1分子中のA2基の平均個数が0.4より低い例11、および、環状ホスファゼン化合物がA2基を持たない例12ではブリードアウトが発生した。
A1基がドデシルフェノキシ基(炭素数18)の環状ホスファゼン化合物を使用した例13は、透明難燃シートが硬化せず、引っ張り伸びを測定できなかった。また、ヘイズ率が15%より高く、ブリードアウトが発生した。
環状ホスファゼン化合物1分子中のA2基の平均個数が2.0より高い例9,10は、引っ張り伸びが2%未満であった。A2基の平均個数がさらに高い例7,8では引っ張り伸びが測定できなかった。また、例9ではヘイズ率が15%より高かった。
環状ホスファゼン化合物1分子中のA2基の平均個数が0.4より低い例11、および、環状ホスファゼン化合物がA2基を持たない例12ではブリードアウトが発生した。
A1基がドデシルフェノキシ基(炭素数18)の環状ホスファゼン化合物を使用した例13は、透明難燃シートが硬化せず、引っ張り伸びを測定できなかった。また、ヘイズ率が15%より高く、ブリードアウトが発生した。
1 プラスチック光ファイバ
2 補強層
3 紫外線硬化型樹脂
4 一括被覆
5 透明難燃性樹脂
11 光ファイバ心線
21 プラスチック光ファイバリボン
31 プラスチック光ファイバケーブル
2 補強層
3 紫外線硬化型樹脂
4 一括被覆
5 透明難燃性樹脂
11 光ファイバ心線
21 プラスチック光ファイバリボン
31 プラスチック光ファイバケーブル
Claims (10)
- 紫外線硬化型樹脂、ビニル系シランカップリング剤で表面修飾された平均粒子径が0.01〜1μmの金属水酸化物、および、下記式(1)で示される環状ホスファゼン化合物を含有し、前記紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、前記金属水酸化物を5〜60質量部、前記環状ホスファゼン化合物を10〜150質量部含有する難燃性樹脂組成物。
- 前記A2基が、ビニル基、アリル基、アクリル基、および、メタクリル基からなる群から選択されるいずれか1つの炭素−炭素二重結合を有する基を有する炭素数8〜20のアリールオキシ基である、請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記金属水酸化物が、水酸化アルミニウム、ベーマイト、および、水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記紫外線硬化型樹脂が、アクリル樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記紫外線硬化型樹脂が、反応性可塑剤として、芳香環を有するアクリレートを含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を用いて作製される透明難燃フィルム。
- 複数本の光ファイバ心線を平行に配置し、前記複数本の光ファイバ心線の外周に一括被覆を備えた光ファイバリボンであって、前記一括被覆が、請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物からなる、透明難燃光ファイバリボン。
- 前記ファイバ心線を構成する光ファイバが、C−H結合を実質的に有しない非晶質透明フッ素樹脂を材料とする、請求項7に記載の透明難燃光ファイバリボン。
- 前記ファイバ心線を構成する光ファイバの周囲が補強層で被覆され、さらに該補強層の周囲が、少なくとも1層以上の紫外線硬化型樹脂で被覆されている、請求項7または8に記載の透明難燃光ファイバリボン。
- 光ファイバリボンの外周を、透明難燃性樹脂で被覆した光ファイバケーブルであって、前記光ファイバリボンが、請求項7〜9のいずれかに記載の透明難燃光ファイバリボンである、透明難燃光ファイバケーブル。
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---|---|---|---|---|
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JP2017211472A (ja) * | 2016-05-25 | 2017-11-30 | 東レ株式会社 | 照光プラスチック光ファイバライトガイドおよびその製造方法 |
US9977179B2 (en) | 2016-06-07 | 2018-05-22 | Asahi Glass Company, Limited | Plastic optical fiber ribbon |
US10268008B2 (en) | 2016-06-07 | 2019-04-23 | AGC Inc. | Plastic optical fiber ribbon |
JP7052100B1 (ja) | 2021-01-25 | 2022-04-11 | 古河電気工業株式会社 | 光ファイバテープ心線 |
WO2023195131A1 (ja) * | 2022-04-07 | 2023-10-12 | 古河電気工業株式会社 | 光ファイバテープ心線 |
-
2013
- 2013-04-12 JP JP2013083965A patent/JP2014205780A/ja active Pending
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