JP2014205378A - プラットホーム用転落防止装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】作動/解除の状態遷移のために電力を必要としないプラットホーム用転落防止装置を実現する。複数ある転落防止板の突出量を可変にする。
【解決手段】原動板30の端面はカム部を兼ねており、原動板30が進退方向に移動することで、ロックブロック52R、52Lが従動板40の進行方向前方に干渉可能に出現/退避する。各転落防止板16(16a,16b)には第2のステップ係合部162(162a,162b)が突設されており、メインフレーム14には、各第2ステップ係合部の突出方向前方にそれぞれ転落防止板用軌道側ストッパ146(146a,146b)が固定位置可変に突設されている。各転落防止板16(16a,16b)の突出量は、それぞれに対応する転落防止板用軌道側ストッパ146(146a,146b)の固定位置の調整で可変される。
【選択図】図21

Description

本発明は、鉄道における駅のプラットホームに設置され、列車とプラットホーム端縁との隙間を塞ぐプラットホーム用転落防止装置に関する。
近年、プラットホーム用転落防止装置が設置される駅が増加している。プラットホーム用転落防止装置は、可動ステップ装置等とも呼ばれ、列車への乗降時に転落防止板(ステップとも呼ばれる)をプラットホームから張り出して列車とプラットホームとの間の隙間を塞ぐ装置である。プラットホーム用転落防止装置は、乗降時以外は転落防止板をプラットホーム側に収納する一方、列車への乗降時にはこれを線路側へ突出させて、プラットホームと列車との隙間を狭くして乗降客の転落を防止する(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
特開2005−14805号公報 特開2009−126490号公報
従来のプラットホーム用転落防止装置は、1台の装置が、1枚の転落防止板を移動させる構成が一般的であった。例えば、曲線区間のホームに着目すると、プラットホーム端縁がカーブしている。一方、列車の乗降口の端縁は直線である。従って、列車の乗降口とホームとの隙間は、同じ乗降口であっても場所によって広狭異なる。対策として、1つの乗降口に対して複数のプラットホーム用転落防止装置を配列し、各装置の転落防止板の突出量を少しずつ違える方法が考えられるが、装置が複数になるために設置コストが大幅に増大してしまうという問題があった。
また、従来のプラットホーム用転落防止装置には、列車への乗降時に転落防止板がプラットホームから張り出した状態で乗降客が転落防止板を踏んだときの反力による転落防止板の移動を防止するためのブレーキ機構やロック機構が設けられている。
そして、従来のプラットホーム用転落防止装置におけるブレーキ機構やロック機構は、特許文献1や特許文献2に記載されているように電磁力を利用して動作するので作動状態と解除状態を変化させるために電力を必要とする。そのため、転落防止板が突出完了或いは収納完了に至らない状態で電源断が発生すると、電動駆動機構のブレーキが動作して手動駆動ができなくなる。転落防止板が突出或いは収納途中のままでは列車を運行させることができないので、電源が復旧するまで列車の運行ができなくなる。こうした事態を回避するためには、バックアップ電源が必要であった。
本発明は、こうした事情を鑑みてなされたものである。
第1の課題は、曲線区間のホームに設置する場合でも、1台で対応可能なプラットホーム用転落防止装置を実現することである。
また、第2の課題は、列車への乗降時に転落防止板がプラットホームから張り出した状態で乗降客が転落防止板を踏んだ時の反力による転落防止板の移動を防止し、且つ、作動/解除の状態遷移のために電力を必要としないロック機構を備えたプラットホーム用転落防止装置を実現することである。
また、第3の課題は、電源遮断時において、バックアップ電源が無くとも手動駆動で転落防止板を収納できるプラットホーム用転落防止装置を実現することである。
上記課題を解決するための第1の発明は、乗降時に第1及び第2の転落防止板(例えば、図21の転落防止板16,16a)を突出させてプラットホームと停車している列車との隙間を塞ぐプラットホーム用転落防止装置であって、
前記転落防止板を進退方向に駆動するための駆動力を発生させる駆動部(例えば、図1の駆動機構部20、図3,図21の駆動プーリ21、従動プーリ22、タイミングベルト23、モータ24)と、
前記第1の転落防止板に対応して設けられ、前記駆動力によって前記進退方向に移動する第1の従動板と、
前記第2の転落防止板(例えば、図21の転落防止板16a)に対応して設けられた第2の従動板(例えば、図21のサブ従動板80a)と、
前記第1の従動板と前記第2の従動板とを連結する連結部(例えば、図3,図21の連結ロッド70)と、を備え、
前記第1の従動板は、移動の際に前記第1の転落防止板の第1の被係合部(例えば、図3の第1のステップ係合部162)と係合して前記第1の転落防止板を前記進退方向に移動させる第1の係合部(例えば、図3の調整ストッパ48)を、当該進退方向に位置調整可能に有し、
前記第2の従動板は、連結された前記第1の従動板と共に移動する際に前記第2の転落防止板の第2の被係合部(例えば、図9の第1のステップ係合部162a)と係合して前記第2の転落防止板を前記進退方向に移動させる第2の係合部(例えば、図9の調整ストッパ88)を、当該進退方向に位置調整可能に有し、
前記第1及び第2の係合部それぞれの位置を調整することで前記第1及び第2の転落防止板それぞれの移動範囲を調整可能なプラットホーム用転落防止装置である。
第2の発明は、前記第1の係合部が、前記第1の従動板の固定位置に設けられた第1の収納移動時係合部(例えば、図3の固定ストッパ46)と、前記進退方向に位置調整可能に設けられた第1の突出移動時係合部(例えば、図3の調整ストッパ48)とを、前記第1の被係合部を挟むように有し、前記第2の係合部は、前記第2の従動板の固定位置に設けられた第2の収納移動時係合部(例えば、図9の固定ストッパ86)と、前記進退方向に位置調整可能に設けられた第2の突出移動時係合部(例えば、図9の調整ストッパ88)とを、前記第2の被係合部を挟むように有する、第1の発明のプラットホーム用転落防止装置である。
第3の発明は、前記第1の転落防止板が、第1の被ストッパー部(例えば、図3の第2のステップ係合部164)を固定位置に設けて有し、前記第2の転落防止板が、第2の被ストッパー部(例えば、図9の第2のステップ係合部164a)を固定位置に設けて有し、前記第1の被ストッパー部が当接することで、前記第1の転落防止板の移動範囲を超えた突出方向(図3の軌道方向)への移動を規制する第1のストッパー部(例えば、図3の転落防止板用軌道側ストッパ146)を、前記第1の係合部の位置調整範囲に合わせて位置変更可能に備え、前記第2の被ストッパー部が当接することで、前記第2の転落防止板の移動範囲を超えた突出方向への移動を規制する第2のストッパー部(例えば、図9の転落防止板用軌道側ストッパ146a)を、前記第2の係合部の位置調整範囲に合わせて位置変更可能に備えた、第1又は第2の発明のプラットホーム用転落防止装置である。
第4の発明は、前記第1の転落防止板を移動させるための第1の従動板(例えば、図21の従動板40)の移動を抑止するロック作動状態と当該抑止を解除するロック解除状態とに状態遷移するロックブロック(例えば、図21の軌道側ロックブロック52K,ホーム側ロックブロック52H)と、傾斜したカム面(例えば、図5のスロープ51c)を端部に有するカム部(例えば、図5のカム部51)を有し、駆動範囲の端部域において前記ロックブロックを状態遷移させる所定構造を有した原動板(例えば、図21の原動板30)と、を更に備え、
前記駆動部は前記原動板を前記進退方向に駆動し、
前記第1の従動板は、前記端部域において前記原動板と係合せず、前記端部域を超えた前記原動板の前記進退方向の移動の際に係合して従動し、
前記ロックブロックは、付勢部材(例えば、図3のコイルスプリング59)によって前記カム面に向かって押し付けられており、前記カム面に沿って動作することで前記端部域で前記状態遷移が行われる、第1〜第3の何れかの発明のプラットホーム用転落防止装置である。
第5の発明は、前記駆動機構部が、モータによる電動駆動の他、手回しハンドルによる手動駆動が可能に構成された、第1〜第4の何れかの発明のプラットホーム用転落防止装置である。
第1の発明によれば、第1及び第2の転落防止板のそれぞれの被係合部(第1の被係合部、第2の被係合部)に係合する第1及び第2の従動板の係合部の位置を調整可能とすることで、進退方向における従動板と転落防止板との相対位置を各転落防止板毎に可変できる。曲線区間のプラットホームであっても各転落防止板の突出量を個別に設定すれば、プラットホームのカーブに1台で対応可能となる。1つの乗車口に対して1台のプラットホーム用転落防止装置を設置すれば良く、従来のように1つの乗降口に複数台の装置を設置する場合または1台に同一駆動機構を複数内蔵する場合に比べてはるかに設置コストが安価になる。
第2の発明によれば、従動板から転落防止板への進退方向に移動するための力が伝わる時期を調整可能にしている。これにより、転落防止板の突出量を変更できる。
第3の発明によれば、転落防止板の過度な突出を規制する位置を、転落防止板の突出量の変更に応じて可変に設定できる。
第4の発明によれば、従動板は、駆動部により移動される原動板と係合することで間接的に移動され、従動板が移動することで転落防止板が突出/収容される。原動板の端部域では、原動板と従動板との係合が解除され、転落防止板がそれ以上は進退方向へ移動しなくなるのに伴って、ロックブロックが、転落防止板の移動を抑止するロック作動状態と当該抑止を解除するロック解除状態とに状態遷移する。つまり、転落防止板が突出した状態や収容した状態になるのに伴って自動的にロックが作動する機構を構成する。仮に、列車へ乗り降りする乗降客が転落防止板を踏んで、転落防止板の移動方向に対する反力が生じても転落防止板が移動することはない。また、ロックブロックの状態遷移は原動板の動きに伴って従動的且つ機構的に実現されるので、従来のようにロックの解除/作動のために別途動力源を設ける必要がない。更に言えば、従来に比べて駆動部品の点数が減るので製造コストや重量を低減する効果は勿論、故障頻度の低下などの効果が得られる。
第5の発明によれば、原動板および転落防止板を移動させる駆動機構部を、手回しハンドルによる駆動が可能である。従って、電源遮断時に手動で装置を動かすことが可能であって、従来のように事故や電源遮断時に備えた特別なコントローラや予備電源を用意する必要がない。また、従来のプラットホーム用転落防止装置は、1台の装置が1枚の転落防止板を移動させる構成であったため、手動駆動する場合には、転落防止板それぞれに対応する人員を配置して別々に手動駆動する必要があった。言うなれば、1つの手動駆動口に対応する転落防止板は1枚であった。これに対して、第5の発明によれば、1つの手動駆動口での手動駆動により、第1の従動板及び第2の従動板を介して複数の転落防止板を一度に移動させることができる。すなわち、1つの手動駆動口に対応する転落防止板が複数になる。
設置状態にあるプラットホーム用転落防止装置の上面図。 図1のA−A断面における同装置の断面図。 メインユニットの内部構造を示す透視上面図。 メインユニットを軌道側から見た側面図。 原動板の構成例を示す図。 従動板の構成例を示す図。 従動板周りの拡大図。 ロックブロックの構成例を示す図。 サブAユニットの上面図。 サブAユニットを軌道側から見た側面図。 サブAユニット周りの拡大図。 サブ従動板の構成例を示す図。 メインユニットの動作の内、軌道方向へ移動するための力が原動板から従動板へ伝達される状態、およびロック機構部が解除された状態を示す図。 メインユニットの動作の内、軌道方向へ移動するための力が従動板から転落防止板へ伝達される状態を示す図。 メインユニットの動作の内、従動板および転落防止板の移動規制が作用した状態、およびロック機構部が作動した状態を示す図。 メインユニットの動作の内、転落防止板の移動が完了した状態を示す図。 メインユニットの動作の内、ホーム方向へ移動するための力が原動板から従動板へ伝達される状態、およびロック機構部が解除された状態を示す図。 メインユニットの動作の内、ホーム方向へ移動するための力が従動板から転落防止板へ伝達される状態を示す図。 図13の状態よりも、転落防止板の突出量を小さく調整した状態を示す図。 図19の調整状態で、転落防止板を突出させた状態を示す図。 プラットホーム用転落防止装置の動作の内、収納完了状態を示す図。 プラットホーム用転落防止装置の動作の内、メインユニットの従動板が軌道方向(突出方向)への従動を開始した状態を示す図。 プラットホーム用転落防止装置の動作の内、サブBユニットにて転落防止板が軌道方向(突出方向)への従動を開始した状態を示す図。 プラットホーム用転落防止装置の動作の内、メインユニットにて転落防止板が軌道方向(突出方向)への従動を開始した状態を示す図。 プラットホーム用転落防止装置の動作の内、サブAユニットにて転落防止板が軌道方向(突出方向)への従動を開始した状態を示す図。 プラットホーム用転落防止装置の動作の内、各転落防止板の突出方向への移動規制が作用している状態を示す図。 プラットホーム用転落防止装置の動作の内、メインユニットの従動板がホーム方向(収納方向)への従動を開始した状態を示す図。 プラットホーム用転落防止装置の動作の内、メインユニット及びサブBユニットの各転落防止板が、ホーム方向(収納方向)へ従動している状態を示す図。 プラットホーム用転落防止装置の動作の内、メインユニットとサブBユニットとサブAユニットの各転落防止板が、ホーム方向(収納方向)へ従動している状態を示す図。 手回しハンドルと、その取り付け構成の例を示す図。
本発明を適用したプラットホーム用転落防止装置の実施形態について説明する。
図1は、設置状態にあるプラットホーム用転落防止装置10の上面図である。図2は、図1のA−A断面における同装置の断面図である。
本実施形態のプラットホーム用転落防止装置10は、メインユニット11Uと、当該ユニットのプラットホーム長手方向両サイドに設けられるサブAユニット11a及びサブBユニット11bと、を備えた3ユニット構造の転落防止装置である。プラットホーム用転落防止装置10は、駅のプラットホーム2の線路側端部上部に凹設された設置空間3に嵌め込み固定されている(図2)。
プラットホーム用転落防止装置10は、設置空間3に固定されるメインフレーム14とその蓋に当たる着脱式の天板12,12a,12bとを有し、これらで軌道側に開口する薄型直方形の内部空間を画成する。そして、当該内部空間内に、メインユニット11Uの転落防止板16を略水平に「ホーム〜軌道」の進退方向にスライド自在に支持する直動機構18と、転落防止板16を進退方向に移動させるための駆動機構部20とを内蔵する。
転落防止板16,16a,16bはステップとも呼ばれる。乗降時以外では、転落防止板16,16a,16bは、その軌道側端(突出側の端)が軌道側(線路側)に突出しないように板全体が各ユニットの内部空間に収納されている。このとき、ロック機構部50は、ロック作動状態となり従動板40,サブ従動板80a,80b(図21参照)の移動を抑止することで転落防止板16,16a,16bの移動を抑止する。この状態を「収納完了状態」と呼ぶ。
そして、列車への乗降時には、駆動機構部20が作動するのに伴ってロック機構部50がロック解除状態に変化し、転落防止板16,16a,16bが軌道側へ突出されてプラットホームと列車との隙間を狭くして転落を防止する。この状態を「突出完了状態」と呼ぶ。「突出完了状態」になるとロック機構部50はロック作動状態に自動的に変化する。転落防止板16bの移動は抑止されロック機構部50により突出完了状態で維持される。図1,図2は、この「突出完了状態」を示している。
乗降が終了すると、駆動機構部20が反転動作してロック機構部50がロック解除状態に変化する。転落防止板16,16a,16bがホーム方向(収納方向)へ移動し、「収納完了状態」になるとロック機構部50が再びロック作動状態に自動的に遷移する。転落防止板16は収納完了状態へ戻り、その状態でロックされる。
つまり、本実施形態のロック機構部50は、駆動機構部20が収納完了状態/突出完了状態にあるときに自動的にロック作動状態に変化し、転落防止板16,16a,16b側からの入力(例えば、乗降客が転落防止板16,16a,16bに踏み込んで乗り込もうとした時に生じる反力等)には抗してロック作動状態を維持することができる。その一方で、ロック機構部50は、駆動機構部20の作動から始まる正常な転落防止板16,16a,16bの動作に対しては従動し、自動的にロック解除状態に変化することができる。ロックの解除には、電力を必要としない。
そして、本実施形態のプラットホーム用転落防止装置10は、転落防止板16,16a,16bのそれぞれの突出量(ストローク量)を設定することができる。
[駆動機構部の説明]
次に、駆動機構部20の構成について詳細に説明する。
図3および図4は、メインユニット11Uの内部構造を示す図であって、図3は図1の天板12と転落防止板16を透視した上面図に相当し、図4は軌道側から見た側面図に相当する。なお、直動機構部18は適宜公知技術を利用できるので説明を省略している。また、両図ともに「収納完了状態」を示している。
駆動機構部20は、メインフレーム14の底面に転落防止板の進退方向に沿って配列された駆動プーリ21および従動プーリ22と、これらに回し掛けられたタイミングベルト23と、駆動プーリ21を回転させるモータ24とを備える。
モータ24は、外部に設置されたコントローラからの信号を受信して駆動制御される。なお、後述する電源遮断時の対応に関連して、モータ24は内蔵ブレーキ機構を備えない、或いは備えるとしても手動で回転させた際にブレーキを解除できるか、手動で回転できる程度の制動力とする。また、モータ24に電力を供給したり、モータ24を制御するコントローラに制御信号を送信するための信号ケーブル等は、適宜設けることととし、本明細書ではそれらの説明・図示は省略する。
また、駆動機構部20は、タイミングベルト23の回転に伴い転落防止板の進退方向にスライドする原動板30と、原動板30の移動に従動する従動板40とを備える。なお、タイミングベルト23に代えて、ベルト、チェーン、ボールねじを用いる構成も可能である。
図5は、原動板30の構成例を示す図であって、(1)上面図、(2)タイミングベルト側から見た側面図、(3)軌道側すなわち図1の左側から見た側面図に相当する。
原動板30は、転落防止板16の進退方向に長尺の主部31と、主部31の下面に彫られたガイド溝33と、主部31からタイミングベルト23へ向けて延設された連結腕34とを備える。
ガイド溝33は、主部31の下面にメインフレーム14の底面に固定されたガイドレール32(図4)とスライド自在に嵌合し、原動板30を転落防止板の進退方向に沿って案内する。連結腕34は、ガイドレール32と平行に張られているタイミングベルト23に把持・連結されている。つまり、タイミングベルト23が回ると、原動板30はガイドレール32に沿って移動し、転落防止板の進退方向に沿って直動する。
図6は、従動板40の(1)上面図、(2)B−B断面図である。
従動板40の主板41の下面には、転落防止板の進退方向に沿って配列された一対のホーム側係合片42と軌道側係合片44とを備える。ホーム側係合片42と軌道側係合片44との設置間隔L1は、原動板30の連結腕34の幅W(転落防止板の進退方向の幅:図5)よりも大きく設定されている。
また、従動板40の主板41の上面には、転落防止板16の進退方向に沿って配列された一対の固定ストッパ46と調整ストッパ48とを備える。
固定ストッパ46の上面にはネジ孔45が設けられている。
調整ストッパ48は、主板41に転落防止板の進退方向に沿って設けられた長孔47にボルト49で固定されている。つまり、調整ストッパ48は長孔47の方向に固定位置可変に取り付けられている。調整ストッパ48の取り付け位置は、所望する転落防止板16のストローク量により決まる。
そして、図7に示すように、従動板40は、ホーム側係合片42と軌道側係合片44とで、連結腕34を転落防止板の進退方向に沿って挟むようにして、原動板30の上に重ねて組み合わされる。連結腕34とホーム側係合片42および軌道側係合片44の関係に着目すれば、原動板30と従動板40は、余裕長L2(=L1−W)の遊びをもって係合されている。
ホーム側係合片42および軌道側係合片44の突設長は、連結腕34の側面に届くように設定されているので、原動板30が転落防止板16の進退方向に沿って直動すると、連結腕34がホーム側係合片42および軌道側係合片44の何れかに当たり、移動するための力を伝える。
このように、原動板30と従動板40とが余裕長L2を持って係合する構成であることから、移動方向の反転の際に連結腕34が一方の係合片から他方の係合片へ移動するまで、原動板30は移動するが従動板40は移動しない(係合していない)期間が生まれる。この余裕長L2、換言すると原動板30の移動開始と従動板40の移動開始との時間差が、ロック機構部50のロック解除に重要な要素となる。加えて、原動板40の進退方向への駆動可能な範囲のうち、端部域に、原動板30と従動板40とが係合しない期間があることが重要である。
なお、従動板40の移動経路軌道側には、メインフレーム14の底面から従動板用軌道側ストッパ142(図3)が立設されており、従動板40の軌道側の側面がこれに当たり、それ以上の軌道方向への移動が制限される。つまり、従動板用軌道側ストッパ142により従動板40の軌道方向への移動限界位置が設定される。
また、従動板40の移動経路ホーム側には、メインフレーム14の底面から従動板用ホーム側ストッパ144(図3)が立設されており、従動板40のホーム側の側面がこれに当たることでそれ以上の収納方向への移動が制限される。つまり、従動板用ホーム側ストッパ144により従動板40のホーム方向への移動限界位置が設定される。
一方、従動板40の上には、転落防止板16が配置される。
そして、図3に示すように、転落防止板16の下面には、下方に向けて第1のステップ係合部162と、第2のステップ係合部164とが突設されている。第1のステップ係合部162は、固定ストッパ46と調整ストッパ48の間に位置するようにして組み立てられる。第2のステップ係合部164は、メインフレーム14の底面に対して転落防止板16の進退方向(突出/収納方向)に対向するように配置される転落防止板用軌道側ストッパ146と転落防止板用ホーム側ストッパ148との間に位置するように組み立てられる。
転落防止板用軌道側ストッパ146は、固定位置可変に取り付けられる。本実施形態では、転落防止板16の進退方向に沿ってメインフレーム14の底面に開けられた長孔147にボルト149で取り付けられる。転落防止板用軌道側ストッパ146の固定位置は、所望する転落防止板16の突出量(ストローク量)に応じて決まる。
転落防止板16が従動板40とともに軌道方向(突出方向)に移動すると、やがて第2のステップ係合部164が転落防止板用軌道側ストッパ146のホーム側の側面に当接し、それ以上の軌道方向への移動が制限される。つまり、転落防止板用軌道側ストッパ146により、転落防止板16の突出限界位置が設定される。
反対に、転落防止板16が従動板40とともにホーム側に移動すると、やがて第2のステップ係合部164が転落防止板用ホーム側ストッパ148の軌道側の側面に当接し、転落防止板16はそれ以上ホーム方向へ移動できなくなる。つまり、転落防止板ホーム側ストッパ148により、転落防止板16の収納限界位置が設定される。
[ロック機構部の説明]
次に、ロック機構部50の構成について説明する。
図3に示すように、ロック機構部50は、原動板30を挟んでタイミングベルト23とは反対側に設置される。ロック機構部50は、原動板30に設けられたカム部51(図5参照)と、これに追従する2つのホーム側ロックブロック52H,軌道側ロックブロック52Kとを備える。ホーム側ロックブロック52Hと軌道側ロックブロック52Kは、カム部51に対して係合するロッド状のカムフォロワであり、転落防止板16の進退方向と直交する方向に沿って、メインフレーム14に立設された一対のブロックガイド53の間に配置される。
カム部51(図5参照)は、原動板30の駆動範囲の端部域においてホーム側ロックブロック52Hと軌道側ロックブロック52Kを状態遷移させる所定構造を、原動板30の主部31の側面を利用して構成される。
具体的には、原動板30のタイミングベルト23とは反対側(図3に向かって上側)の側面がカム面として機能する。ガイドレール32から当該側面までの距離の違いがカムプロフィールを決定する。本実施形態のカムプロフィールは、図5に示すように、主部31の中央に高リフト域51bを有し、主部31の進退方向の両端部(換言すれば原動板30の駆動範囲の両端部)に低リフト域51aを有する。そして、これらのリフト域を傾斜したスロープ51cで繋いで構成される。両端部それぞれにおいて、低リフト域51aおよびスロープ51cの合計幅(進退方向の長さ)は、少なくとも余裕長L2(図7参照)を有するように設定されている。
図8は、ホーム側ロックブロック52Hと軌道側ロックブロック52Kの構成例を示す図である。(1)ホーム側ロックブロック52Hの上面図、(2)同ロックブロックをホーム側から見た側面図、(3)軌道側ロックブロック52Kの上面図、(4)同ロックブロックをホーム側から見た側面図、にそれぞれ相当する。
ホーム側ロックブロック52Hと軌道側ロックブロック52Kは、一端部(図8での下側)の背面側(図8(2)、(4)に向かって右側)に、ローラ56を片持ちの軸で枢支する。
また、ホーム側ロックブロック52Hと軌道側ロックブロック52Kは、原動板30とは反対側の他端部(図8での上側)の側面に立設されたガイドピン58と、コイルスプリング59とを備える。ガイドピン58は、一端(図8での下端)がロックブロック52に固定され、他端(図8での上端)がメインフレーム14の底面から立設されたガイドピン支持部60のガイド孔61に挿通される(図3参照)。コイルスプリング59は、フレーム14に固定されたガイドピン支持部60とロックブロックとの間に設けられ、コイルの内側にガイドピン58が挿通されている。
従って、ホーム側ロックブロック52Hと軌道側ロックブロック52Kは、ブロックガイド53とガイドピン58とにガイドされて、転落防止板16の進退方向と直交する方向にメインフレーム14の底面に沿ってスライド自在に支持されつつも、コイルスプリング59により常に原動板30方向に付勢される。ホーム側ロックブロック52Hと軌道側ロックブロック52Kの一端部の角は、ローラ56の軸周りにカム部51のスロープ51cと略同じ角度で面取りされている。
ホーム側ロックブロック52Hと軌道側ロックブロック52Kの状態は、それぞれのホーム側の側面、軌道側の側面に設けられたホーム側リミットスイッチ66H、軌道側リミットスイッチ66K(図3)により検出される。これらのスイッチは、例えば、押し込み型スイッチにより実現される。
ホーム側ロックブロック52Hのホーム側の側面および軌道側ロックブロック52Kの軌道側の側面には、図8に示すように、それぞれ段差形状部55が設けられている。段差形状部55は、ホーム側ロックブロック52Hと軌道側ロックブロック52Kがカム部51に追従し、ロック作動状態からロック解除状態に変化する過程で、リミットスイッチの前を通過する位置に設けられている。
従って、ホーム側リミットスイッチ66Hおよび軌道側リミットスイッチ66Kの押し込みの有無により、ホーム側ロックブロック52Hおよび軌道側ロックブロック52Kが、それぞれロック作動状態にあるかロック解除状態にあるかを検知することができる。
ここで重要な寸法関係を述べると、ホーム側ロックブロック52Hと軌道側ロックブロック52Kの上下方向の厚さは、原動板30の上下方向の厚さよりも大きくなるように設定されている。メインフレーム14の底面を基準にして述べると、ホーム側ロックブロック52Hと軌道側ロックブロック52Kのローラ56を片持ちしている一端部側の上端までの高さH(図8参照)は、原動板30の上端高さHg(図5参照)よりも大きくなるように設定されている。
[連結構造の説明]
図7に戻って、従動板40の固定ストッパ46には、連結ロッド70が固定される。例えば、ボルト75によりネジ孔45(図6参照)へ固定される。
連結ロッド70は、転落防止板16と従動板40との間を通り、一端はメインユニット11UからサブAユニット11aへ至り、他端はメインユニット11UからサブBユニット11bへ至る。そして、従動板40の移動を、サブAユニット11a,サブBユニット11bへ伝える。
[サブユニットの構成]
次に、サブAユニット11aの構造について説明する。なお、サブBユニット11bは、サブAユニット11aと左右対称なので説明は省略する。
図9は、サブAユニット11aの上面図である。図10は、同ユニットを軌道側から見た側面図である。
サブAユニット11aは、直動機構18により転落防止板16aを、メインユニット11Uの転落防止板16と同じ高さにて、進退方向へスライド自在に支持している。また、サブAユニット11aのメインフレーム14の底面には、転落防止板16aの進退方向に沿って、ガイドレール72aが設けられている。
図11は、サブ従動板80a周りの(1)拡大上面図、(2)側面図である。ガイドレール72aの上には、スライド自在に案内されるようにサブ従動板80aが載せられている。メインユニット11Uから伸びる連結ロッド70は、メインフレーム14の底面と転落防止板16aの中間を通って、サブAユニット11aに至る。その先端がサブ従動板80aに連結される。
図12は、サブ従動板80aの構成例を示す図であり、(1)上面図、(2)C?C断面図、(3)ホーム側から見た側面図に、それぞれ相当する。
サブ従動板80aの構成は、従動板40の構成と類似している。
サブ従動板80aの主板81の下面には、転落防止板の進退方向に沿ってガイドレール72aとスライド自在に遊嵌するガイド溝83が設けられている。
また、主板81の上面には、転落防止板16の進退方向に沿って配列された一対のストッパを有する。軌道側が固定ストッパ86、ホーム側が調整ストッパ88となる。
固定ストッパ86の上面には連結ロッド70を固定するボルト75を締め込むためのネジ穴85が設けられている。
調整ストッパ88は、主板81に転落防止板16の進退方向に沿って設けられた長孔87にボルト89で固定されている。つまり、調整ストッパ88は長孔87の方向に固定位置可変に取り付けられている。調整ストッパ88の取り付け位置は、所望するサブAユニット11aにおける転落防止板16aの突出量により決まる。
図9,図11に示すように、サブAユニット11aのサブ従動板80aの上には、転落防止板16aが配置される。そして、図10に示すように、転落防止板16aの下面には、下方に向けて第1のステップ係合部162aと、第2のステップ係合部164aとが突設されている。第1のステップ係合部162aは、サブAユニット11aの固定ストッパ86と調整ストッパ88の間に位置するようにして組み立てられる(図9参照)。第2のステップ係合部164aは、メインフレーム14の底面に対して転落防止板16aの進退方向(突出/収納方向)に対向するように配置される転落防止板用軌道側ストッパ146aと転落防止板用ホーム側ストッパ148aとの間に位置するように組み立てられる(図9参照)。
図9及び図10に示すように、転落防止板用軌道側ストッパ146aは、固定位置可変に取り付けられる。本実施形態では、転落防止板16aの進退方向に沿ってメインフレーム14の底面に開けられた長孔147aにボルト149aで取り付けられる。転落防止板用軌道側ストッパ146aの固定位置は、所望する転落防止板16aの突出量(ストローク量)に応じて決まる。
転落防止板16aがサブ従動板80aとともに軌道側に移動すると、やがて第2のステップ係合部164aが転落防止板用軌道側ストッパ146aのホーム側の側面に当接し、それ以上の軌道方向への移動が制限される。つまり、転落防止板用軌道側ストッパ146aにより、転落防止板16aの突出限界位置が設定される。
反対に、転落防止板16aがサブ従動板80aとともにホーム側に移動すると、やがて第2のステップ係合部164aが転落防止板用ホーム側ストッパ148aの軌道側の側面に当接し、転落防止板16aはそれ以上ホーム方向へ移動できなくなる。つまり、転落防止板用ホーム側ストッパ148aにより、転落防止板16aの収納方向の移動限界位置が設定される。
[動作の説明]
次に、プラットホーム用転落防止装置10の動作を説明するにあたり、先ずメインユニット11Uの動作について説明する。
先ず、図3,図13〜図16を参照しながら転落防止板16を収納完了状態から突出させる動作について説明する。
図3は、前述のように転落防止板16がメインフレーム14にホーム側いっぱいに収納された「収納完了状態」を示している。当該状態では、原動板30の連結腕34は、従動板40のホーム側係合片42に当接した状態であり、従動板40は従動板用ホーム側ストッパ144に当接して止まっている。また、従動板40の固定ストッパ46には、転落防止板16の第1のステップ係合部162が当接している。転落防止板16のもう一つの係合部である第2のステップ係合部164は、転落防止板用ホーム側ストッパ148に当接している。
また、ロック機構部50に着目すれば、軌道側ロックブロック52Kのローラ56が、カム部51の左端の低リフト域51aにあり、ホーム側ロックブロック52Hはカム部51の高リフト域51bにある。つまり、軌道側ロックブロック52Kがロック状態にある。よって、軌道側リミットスイッチ66Kがオンになり、ホーム側リミットスイッチ66Hがオフになっている。
この状態では、軌道側ロックブロック52Kが従動板40の軌道側に差し込まれた格好となる。よって、従動板40が軌道方向に移動しようとしても、従動板40の軌道側でロックブロック寄りの角が、軌道側ロックブロック52Kに当たり移動できない。結果、転落防止板16が軌道側に出ようとしても、第1のステップ係合部162が従動板40の固定ストッパ46に当って軌道側へは移動できないこととなる。つまり、転落防止板16はロックされた状態にある。
次に、図3から図13へ変化する過程について述べる。
モータ24を反時計周りに駆動させると、原動板30が係合している側のタイミングベルト23は軌道方向(突出方向)へ移動する。これに伴って原動板30が軌道方向(突出方向)へ移動を開始すると、連結腕34がホーム側係合片42から離れる。この段階では、まだ従動板40は動かない。
ここで、ロック機構部50に目を移すと、原動板30が軌道方向へ移動することにより、軌道側ロックブロック52Kのローラ56が低リフト域51aからスロープ51cを登り高リフト域51bに達する。ローラ56がスロープ51cを登る過程は、従動板40の進行方向前方に差し込まれていたロックブロックが抜かれることに相当する。よって、ロックが解除される。この段階でも未だ従動板40は動かない。
原動板30が軌道方向へ移動を続けると、やがて図13の状態に至る。原動板30の連結腕34が軌道側係合片44に当たり、以降は軌道方向へ移動するための力が原動板30を介して従動板40に伝達され、従動板40は従動し原動板30と一体となって軌道方向へ移動する。この段階では、転落防止板16は動いていない。
モータ24が更に駆動すると、原動板30および従動板40が更に軌道方向へ移動する。すると、やがて図14に示すように、固定ストッパ46が転落防止板16の第1のステップ係合部162から離れ、代わりに調整ストッパ48が近づいてくる。第1のステップ係合部162に調整ストッパ48が当たると、従動板40が軌道方向へ移動するための力が転落防止板16へ伝達される。以降、転落防止板16は従動し、原動板30および従動板40と一体となって軌道方向へ移動することとなる。当然、これに伴って転落防止板16の第2のステップ係合部164は、転落防止板用ホーム側ストッパ148から離れ、転落防止板用軌道側ストッパ146へ近づく。
原動板30・従動板40・転落防止板16の一体的な移動は、図15の状態になるまで続く。この状態に至ると、従動板40の軌道側の側面がメインフレーム14に突設された従動板用軌道側ストッパ142に当たり、それ以上軌道方向へ移動できないようになる。また、転落防止板用軌道側ストッパ146の固定位置が適切に調整されていることにより、従動板40が従動板用軌道側ストッパ142に当たるのとほぼ同じタイミングで、転落防止板16の第2のステップ係合部164が転落防止板用軌道側ストッパ146に当たる、或いは極近い位置まで接近する。
もし、転落防止板16がそれ以上軌道方向へ移動しようとしても、第2のステップ係合部164が転落防止板用軌道側ストッパ146に当たって移動できない。つまり、転落防止板16の設計以上の突出が制限されることになる。従って、ロック機構部50のロック機構を無視して考えると、モータ24の駆動力に基づいて転落防止板16が移動される範囲の外に、何らかの原因で転落防止板16が移動する可能性があるとしても、その範囲は、転落防止板用軌道側ストッパ146と転落防止板用ホーム側ストッパ148との間に制限され、これを超えて転落防止板16が移動することはない。
ここでロック機構部50に着目して説明する。図15の状態に至ると、ホーム側ロックブロック52Hのローラ56が、カム部51の高リフト域51bからスロープ51cを下り、低リフト域51aに至る。ローラ56がスロープ51cを降りる過程は、従動板40のホーム側にロックブロックが差し込まれ、ロックが作動することに相当する。ホーム側ロックブロック52Hがロック作動状態になったことは、ホーム側リミットスイッチ66Hがオンになることで検知される。すると、図16に示すように、モータ24の動作が停止され、転落防止板16が軌道側に突出しきった「突出完了状態」となる。
次に、突出完了状態において、転落防止板16がホーム側に移動しようした場合を考える。転落防止板16がホーム側へ移動しようとすると、第1のステップ係合部162が従動板40の調整ストッパ48をホーム方向へ押す。しかし、従動板40の右端のロック機構部50寄りの角部が、ロック作動状態にあるホーム側ロックブロック52Hに当たるので移動できない。よって、突出完了状態では、転落防止板16は軌道側へもホーム側へも移動が規制された状態、つまりロックされた状態となっている。
次に、図16〜図18を参照して、転落防止板16を突出完了状態から収納させる動作について説明する。
図16の突出完了状態から、モータ24を時計回りに駆動させると、タイミングベルト23の原動板側の部分はホーム方向(収納方向)に移動する。連結されている原動板30もホーム方向(収納方向)へ移動を開始する。連結腕34は従動板40の軌道側係合片44から離れ、ホーム側係合片42に向かって移動する。やがて図17に示すように両者は当接し、原動板30から従動板40へ、ホーム方向へ移動するための力が伝わる。以降、原動板30と従動板40とは一体となってホーム方向へ移動する。この段階では、転落防止板16はまだ移動しない。
一方、ロック機構部50では、ホーム側ロックブロック52Hのローラ56が、カム部51の低リフト域51aからスロープ51cを昇り、高リフト域51bに至ってロックが解除される。ホーム側ロックブロック52Hがロック解除状態になったことは、ホーム側リミットスイッチ66Hがオフになることで検知される。
図17の状態から、原動板30および従動板40が一体的にホーム側へ移動を開始すると、相対的に調整ストッパ48は転落防止板16の第1のステップ係合部162から離れ、代わりに固定ストッパ46が第1のステップ係合部162へ近づく。やがて図18に示すように、固定ストッパ46が第1のステップ係合部162へ当たり、ホーム方向へ移動するための力が従動板40から転落防止板16へ伝わる。以降、原動板30と従動板40と転落防止板16とは一体的にホーム側(収納方向)へ移動する。
原動板30・従動板40・転落防止板16が、更にホーム側へ移動すると、図18から図3の状態へ変化する。この過程では、転落防止板16の第2のステップ係合部164が、転落防止板用軌道側ストッパ146から離れ、転落防止板用ホーム側ストッパ148に近づき、やがて当接する。それ以降、転落防止板16はそれ以上ホーム方向へは移動できなくなる。つまり、収納完了位置に止められる。そして、これと時をほぼ同じくして、従動板40のホーム側端部が従動板用ホーム側ストッパ144に当接し、それ以上ホーム側へは移動できないようになる。
また、ロック機構部50では、軌道側ロックブロック52Kのローラ56が高リフト域51bからスロープ51cを下って低リフト域51aに至る。つまり、軌道側ロックブロック52Kが従動板40の軌道側に差し込まれ、ロック作動状態となる。軌道側ロックブロック52Kがロック作動状態になったことは、軌道側リミットスイッチ66Kがオンになることで検知され、モータ24が停止される。図3の収納完了状態となる。
[転落防止板の突出量調整について]
転落防止板16の突出量(ストローク量)は、調整ストッパ48の固定位置の調整により可変され、これに伴って転落防止板用軌道側ストッパ146も固定位置が調整される。
具体的には、天板12(図1、図2)を外し、転落防止板16を外すと、従動板40と転落防止板用軌道側ストッパ146とが露出する。調整ストッパ48および転落防止板用軌道側ストッパ146の固定位置をよりホーム側に変えると、転落防止板16の突出量(ストローク量)は減少する。反対に、両者の固定位置をより軌道側へ変えると転落防止板16の突出量(ストローク量STu)は増加する。
より具体的には、図19では、調整ストッパ48および転落防止板用軌道側ストッパ146の固定位置は、図3の調整状態に比べてどちらもホーム側に変更されている。調整状態(固定位置)は違っても、転落防止板16の収納完了状態における転落防止板16のメインフレーム14に対する位置関係は変わらない。
この図19の調整状態(固定位置)で転落防止板16を軌道方向へ移動させると、図20に示す突出完了状態に至る。同じ突出完了状態に当る図16と比較すると、転落防止板16の突出量(ストローク量STu’<STu)の違いが明らかである。
[ユニットの連動]
次に、上述のメインユニット11Uの動作を念頭に、メインユニット11Uと、サブAユニット11aと、サブBユニット11bとの連動、そして連動の結果なされるプラットホーム用転落防止装置10としての動作について説明する。
なお、前提として各ユニットの転落防止板の突出量は、サブBユニット<メインユニット<サブAユニットの関係となるように設定されているものとする。具体的には、サブAユニット11aのサブ従動板80aの調整ストッパ88aの固定位置は、同型のサブBユニット11bのサブ従動板80bの調整ストッパ88bの固定位置よりも、ホーム側となるように調整されている。
図21は、収納完了状態におけるプラットホーム用転落防止装置10の内部構造の状態を示す図である。メインユニット11Uの従動版40と、サブAユニット11aのサブ従動板80aと、サブBユニット11bの従動板80bとは、連結ロッド70によって一体に連結されている。
図22に示すように、モータ24が反時計回りに駆動すると、メインユニット11Uでは、原動板30が従動板40と当接し、従動板40が軌道方向(突出方向)へ移動を開始する(図13に相当)。これに伴い連結ロッド70で連結されているサブ従動板80a,80bも軌道方向(突出方向)へ移動を開始する。この従動板40が移動を始めた時点では、メインユニット11Uの転落防止板16、サブAユニット11aの転落防止板16a、及びサブBユニット11bの転落防止板16bの何れもまだ移動を開始していない。
図23に示すように、軌道方向への移動が進むにつれ、まずサブBユニット11bのサブ従動板80bの調整ストッパ88bが、転落防止板16bの第1のステップ係合部162bに接近し当接する。これにより、軌道方向へ移動しようとする力は、従動板40・連動ロッド70・サブ従動板80bを経て、サブBユニット11bの転落防止板16bにも伝えられることになる。よって、以降は転落防止板16bは従動板40やサブ従動板80bとともに軌道方向へ一体的に移動する。しかし、この時点では、メインユニット11Uの転落防止板16と、サブAユニット11aの転落防止板16aとはまだ移動を開始していない。
更に軌道方向への移動が進行すると、図24に示すように、メインユニット11Uにおいて、従動板40の調整ストッパ88が転落防止板16の第1のステップ係合部162に当たる。以降は、転落防止板16も従動板40とともに軌道方向へ一体的に移動する(図14相当)。
更に軌道方向への移動が進行すると、図25に示すように、次にサブAユニット11aにおいて、サブ従動板80aの調整ストッパ88aが、転落防止板16aの第1のステップ係合部162aに接近し当接する。これにより、従動板40→連動ロッド70→サブ従動板80aの順に伝えられる軌道方向へ移動しようとする力は、サブAユニット11aの転落防止板16aにも伝えられることになる。よって、以降は、転落防止板16bは従動板40やサブ従動板80aとともに軌道方向へ一体的に移動する。
更に、軌道方向への移動が進行すると、図26に示すように、サブAユニット11aにおいて、転落防止板16aの第2のステップ係合部164aが、転落防止板用軌道側ストッパ146aに接近し、やがて当接する。転落防止板16aはそれ以上軌道方向へは移動できなくなる。これによりサブAユニット11aにおける突出量は設定突出量STaに達したことになる。
時をほぼ同じくして、メインユニット11Uでは、従動板40が従動板用軌道側ストッパ142に当たり、それ以上軌道方向へは移動できないようになる(図15相当)。また、転落防止板16の第2のステップ係合部164が転落防止板用軌道側ストッパ146に当接し、転落防止板16はそれ以上軌道方向へは移動できなくなる。これによりメインユニット11Uにおける突出量は設定突出量STuに達したことになる。
また、サブBユニット11bでも、転落防止板16bの第2のステップ係合部164bが転落防止板用軌道側ストッパ146bに当接し、転落防止板16bはそれ以上軌道方向へは移動できなくなる。これによりサブBユニット11bにおける突出量は設定突出量STbに達したことになる。
よって、プラットホーム用転落防止装置10は、全ての転落防止板を突出完了させた突出完了状態に至ったことになる。
突出完了状態では、前述のようにメインユニット11Uの従動板40はロック機構部50によりホーム側への移動が規制される。もしサブAユニット11aにおいて何らかの要因で転落防止板16aがホーム方向へ移動しようとしても、第1のステップ係合部162aがサブ従動板80aの調整ストッパ88aを押すが、サブ従動板80aは従動板40と連結ロッド70により一体的に連結されていてホーム方向へは移動できないようになっている。よって、サブAユニット11aの転落防止板16aは、ロックされた状態にあって移動が規制される。同様のことは、サブBユニット11bにおいても言えるので、サブBユニット11bの転落防止板16bもまたロックされた状態にあり、たとえ何らかの要因でホーム方向へ移動しようとする力が働いても規制される。
次に、突出完了状態から収納する動作について説明する。
図27に示すように、モータ24が時計回りに駆動されると、メインユニット11Uの従動板40がホーム方向へ移動を開始する。同時に、連結ロッド70により連結されているサブ従動板80a,80bもホーム方向へ移動を開始する。サブAユニット11aでは調整ストッパ88aが第1のステップ係合部162aから離れ、サブBユニット11bでは調整ストッパ88bが第1のステップ係合部162bから離れる。この段階では、何れのユニットの転落防止板もホーム方向(収納方向)へは移動しない。
ホーム方向への移動が進行すると、図28に示すように、まずサブBユニット11bにおいて、サブ従動板80bの固定ストッパ86bが、転落防止板16bの第1のステップ係合部162bに近づき当接する。これ以降、転落防止板16bは従動板40やサブ従動板80bとともに一体的にホーム方向へ移動する。
更にホーム方向への移動が進行すると、次にメインユニット11Uの従動板40の固定ストッパ46が、転落防止板16の第1のステップ係合部162に当接する。これ以降、転落防止板16は従動板40とともに一体的にホーム方向へ移動する。
また更にホーム方向への移動が進行すると、図29に示すように、サブAユニット11aのサブ従動板80aの固定ストッパ86aが、転落防止板16aの第1のステップ係合部162aに当接する。これ以降、転落防止板16aは従動板40やサブ従動板80aとともに一体的にホーム方向へ移動する。
そして、図21に示すように、メインユニット11Uの従動板40が従動板用ホーム側ストッパ144に当接してそれ以上の移動ができなくなることとほぼ時を同じくして、サブAユニット11aでは、転落防止板16aの第2のステップ係合部164aが、転落防止板用ホーム側ストッパ148aに当接して、それ以上のホーム方向への移動が規制される。また、サブBユニット11bでは、転落防止板16bの第2のステップ係合部164bが、転落防止板用ホーム側ストッパ148bに当接して、それ以上のホーム方向への移動が規制される。ここ至って、プラットホーム用転落防止装置10は、収納完了状態となる。
本実施形態のプラットホーム用転落防止装置10は、それぞれに軌道側への突出量を調整可能な複数の転落防止板16,16a,16bを備える。よって、各転落防止板の突出量を適切に調整することで、曲線区間のプラットホームに対応することができる。しかも、設置するのは1台の装置で良いので、複数台の装置を設置する場合に比べて設置コストを大幅に削減できる。
[電源断対策について]
次に、プラットホーム用転落防止装置10の電源断対策について説明する。
図30(1)に示すように、プラットホーム用転落防止装置10には手回しハンドル90が用意されている。そして、駆動プーリ21の回転軸上端には、手回しハンドル90を差し込んで連結する連結孔92が設けられている。
また、プラットホーム用転落防止装置10は、ロックの状態を目視確認できるように、天板12に確認窓96が設けられている(図1)。また、ホーム側ロックブロック52H,軌道側ロックブロック52Kの上面には、それぞれロック作動状態になると、確認窓96に対して所定位置(例えば、直下)に来るように予め調整された位置に印98を有している(図8)。すなわち、印98が所定位置に表示されるか否か、或いは印98の表示位置によってロックの状態を目視確認できる。
電源遮断時には、天板12に設けられたハンドル用ハッチ94を開け(図1)、図30(2)に示すように、手回しハンドル90を駆動プーリ21の連結孔92に差し込んで連結させる。上述のように、本実施形態のロック機構部50は、ロック作動状態/ロック解除状態に変化するには、駆動機構部20が駆動して原動板30が移動さえすれば良い。更に言えば、駆動プーリ21が回りさえすれば良い。駆動プーリ21は、手回しハンドル90により回すことができる。
よって、プラットホーム用転落防止装置10は、手動で転落防止板16を収納させることも突出させることも可能である。そして、転落防止板16が収納完了状態になれば機構的に拘束状態(ロックされた状態)となり、その状態を目視確認することもできる。プラットホーム用転落防止装置10には、予備電源を用意する必要が無い。また、各機構が分散していないので各機構間の動作確認の為のセンサが不要となる。更には、ロック機構のためのソレノイドやブレーキを備える必要がないので、機器故障の頻度が下がり、また点検の頻度も下げることができる。
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明の適用形態は上記に限るものでは無く、適宜構成要素の変更・追加・省略が可能である。
例えば、突出完了状態と収納完了状態それぞれのロックに対応する2つのホーム側ロックブロック52H,軌道側ロックブロック52Kを備えることとして説明したが、突出完了状態と収納完了状態とを1本のロックブロックでロック可能に構成することとしてもよい。その場合、ホーム側リミットスイッチ66H,軌道側リミットスイッチ66Kは、例えば従動板用軌道側ストッパ142や従動板用ホーム側ストッパ144近傍に設け、従動板40とそれらストッパとの当接を検知することで代用する等すればよい。
また、上記実施形態では、一つのメインユニットと二つのサブユニットで1台のプラットホーム用転落防止装置10を構成したが、サブユニットの構成数は適宜変更可能である。例えば、メインユニットとサブユニットを各1台で構成することもできる。あるいは、サブAユニット11a又はサブBユニット11bの更にその隣に、第3以降のサブユニットを設ける構成も可能である。
2…プラットホーム、3…設置空間、10…プラットホーム用転落防止装置、11U・・・メインユニット、11a・・・サブAユニット、11b・・・サブBユニット、12(12a,12b)…天板、14…メインフレーム、16(16a,16b)…転落防止板、18…直動機構、20…駆動機構部、21…駆動プーリ、22…従動プーリ、23…タイミングベルト、24…モータ、30…原動板、31…主部、32…ガイドレール、33…ガイド溝、34…連結腕、40…従動板、41…主板、42…ホーム側係合片、44…軌道側係合片、45・・・ネジ孔、46…固定ストッパ、47…長孔、48…第1係合部、49…ボルト、50…ロック機構部、51…カム部、51a…低リフト域、51b…高リフト域、51c…スロープ、52H…ホーム側ロックブロック、52K…軌道側ロックブロック、53…ブロックガイド、55…段差形状部、56…ローラ、58…ガイドピン、59…コイルスプリング、60…ガイドピン支持部、61…ガイド孔、66H…ホーム側リミットスイッチ、66K…軌道側リミットスイッチ、70・・・連結ロッド、72・・・ガイドレール、75・・・ボルト、80a,80b…サブ従動板、81…主板、82…ホーム側係合片、84…軌道側係合片、85・・・ねじ穴、86(86a,86b)…固定ストッパ、87…長孔、88(88a,88b)…調整ストッパ、89…ボルト、90…ハンドル、92…連結孔、92…連結高、94…ハンドル用ハッチ、96…確認窓、98…印、142(142a,142b)…従動板用軌道側ストッパ、144(144a,144b)…従動板用ホーム側ストッパ、146(146a,146b)…転落防止板用軌道側ストッパ、147…長孔、148(148a,148b)…転落防止板用ホーム側ストッパ、149…ボルト、162(162a,162b)…第1のステップ係合部、164(164a,164b)…第2のステップ係合部

Claims (5)

  1. 乗降時に第1及び第2の転落防止板を突出させてプラットホームと停車している列車との隙間を塞ぐプラットホーム用転落防止装置であって、
    前記転落防止板を進退方向に駆動するための駆動力を発生させる駆動部と、
    前記第1の転落防止板に対応して設けられ、前記駆動力によって前記進退方向に移動する第1の従動板と、
    前記第2の転落防止板に対応して設けられた第2の従動板と、
    前記第1の従動板と前記第2の従動板とを連結する連結部と、
    を備え、
    前記第1の従動板は、移動の際に前記第1の転落防止板の第1の被係合部と係合して前記第1の転落防止板を前記進退方向に移動させる第1の係合部を、当該進退方向に位置調整可能に有し、
    前記第2の従動板は、連結された前記第1の従動板と共に移動する際に前記第2の転落防止板の第2の被係合部と係合して前記第2の転落防止板を前記進退方向に移動させる第2の係合部を、当該進退方向に位置調整可能に有し、
    前記第1及び第2の係合部それぞれの位置を調整することで前記第1及び第2の転落防止板それぞれの移動範囲を調整可能なプラットホーム用転落防止装置。
  2. 前記第1の係合部は、前記第1の従動板の固定位置に設けられた第1の収納移動時係合部と、前記進退方向に位置調整可能に設けられた第1の突出移動時係合部とを、前記第1の被係合部を挟むように有し、
    前記第2の係合部は、前記第2の従動板の固定位置に設けられた第2の収納移動時係合部と、前記進退方向に位置調整可能に設けられた第2の突出移動時係合部とを、前記第2の被係合部を挟むように有する、
    請求項1に記載のプラットホーム用転落防止装置。
  3. 前記第1の転落防止板は、第1の被ストッパー部を固定位置に設けて有し、
    前記第2の転落防止板は、第2の被ストッパー部を固定位置に設けて有し、
    前記第1の被ストッパー部が当接することで、前記第1の転落防止板の移動範囲を超えた突出方向への移動を規制する第1のストッパー部を、前記第1の係合部の位置調整範囲に合わせて位置変更可能に備え、
    前記第2の被ストッパー部が当接することで、前記第2の転落防止板の移動範囲を超えた突出方向への移動を規制する第2のストッパー部を、前記第2の係合部の位置調整範囲に合わせて位置変更可能に備えた、
    請求項1又は2に記載のプラットホーム用転落防止装置。
  4. 前記第1の転落防止板を移動させるための第1の従動板の移動を抑止するロック作動状態と当該抑止を解除するロック解除状態とに状態遷移するロックブロックと、
    傾斜したカム面を端部に有するカム部を有し、駆動範囲の端部域において前記ロックブロックを状態遷移させる所定構造を有した原動板と、
    を更に備え、
    前記駆動部は前記原動板を前記進退方向に駆動し、
    前記第1の従動板は、前記端部域において前記原動板と係合せず、前記端部域を超えた前記原動板の前記進退方向の移動の際に係合して従動し、
    前記ロックブロックは、付勢部材によって前記カム面に向かって押し付けられており、前記カム面に沿って動作することで前記端部域で前記状態遷移が行われる、
    請求項1〜3の何れか一項に記載のプラットホーム用転落防止装置。
  5. 前記駆動機構部は、モータによる電動駆動の他、手回しハンドルによる手動駆動が可能に構成された、
    請求項1〜4の何れか一項に記載のプラットホーム用転落防止装置。
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