JP2017222293A - 転落防止装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】第1に、広い幅に対応すること。第2に、曲線区間への対応を可能とすること。【解決手段】転落防止装置10は、従来の転落防止装置1台分に相当するユニット(第1ユニット11a、第2ユニット11b)を複数備える。第1ユニット11aのリンク機構部18aは、当該ユニットのみが搭載する駆動機構部20と直接連携して転落防止板16aを進退動させる。第2ユニットのリンク機構部18bは、連結部19を介して駆動機構部20に連携して転落防止板16bを進退動させる。リンク機構部18a及びリンク機構部18bは、出力端ローラ67の設置位置を変えることで、転落防止板16a及び転落防止板16bの進退量を変更できる。【選択図】図4

Description

本発明は、鉄道における駅のプラットホームに設置され、列車とプラットホームとの間の隙間を塞ぐ転落防止装置に関する。
近年、プラットホームに転落防止装置が設置される駅が増加している。プラットホーム用の転落防止装置は、列車への乗降時に転落防止板をプラットホームから張り出して列車とプラットホームとの間の隙間を塞ぐ装置である。プラットホーム用の転落防止装置は、乗降時以外は転落防止板をプラットホーム側に収容する一方、列車への乗降時にはこれを線路側へ突出させて、プラットホームと列車との隙間を狭くして転落を防止する。
例えば、特許文献1には、転落防止装置を進退移動させるリンク機構をロック機構として利用する転落防止装置が開示されている。
また、特許文献2には、運搬や施工に好適な転落防止装置として、転落防止板を3つに分割構成し、現場でそれらを組み立てて一枚の転落防止板として運用することが可能な転落防止装置が開示されている。
また、特許文献3には、1つの転落防止装置を3つのユニットに分割構成し、その内の1つのユニットにのみ搭載されたモータの動力を、動力伝達シャフトを介して他の2つのユニットに伝達して3つのユニットを連動させる転落防止装置が開示されている。また、同文献には、動力伝達シャフトから動力を受けて転落防止板の進退方向へ移動させるベルト駆動機構のスプロケットやプーリの径をユニット毎に変更することで、各ユニットにおける転落防止板の突出量を違えて曲線区間に対応させる技術が開示されている。
特開2015−143052号公報 特開2005−14805号公報 特開2015−107779号公報
近年、プラットホームの軌道側端部には、旅客がプラットホームから軌道側へ転落するのを防止するホーム柵が設置されるようになった。駅に停車する車両の車種は様々で、車両のドア数や位置が様々ある。特に相互乗り入れする駅の場合は顕著である。そのため、それに対応するために、ホーム柵のドア位置を可変にしたり、開口幅を広くしたりしたものがある。このような多様な列車に対応する駅のホーム柵に転落防止装置を併用することになると、転落防止装置の転落防止板がカバーする範囲を広くさせる必要がある。
転落防止装置1台分でまかなえない広い幅に対応するには、特許文献2で示されているような転落防止装置を複数台用意してプラットホーム長手方向に隣り合わせて配置する方策が考えられる。しかし、複数台の転落防止装置の動作を同期させるには、複数台の転落防止板の変位を同一になるように監視しつつ迅速に制御することが求められるため、別途、変位センサーや制御装置が必要となり、高価なものになってしまう恐れがある。
更に、曲線区間において複数台の転落防止装置をプラットホーム長手方向に隣り合わせて配置する場合には、変位センサーの数や制御の仕組みがより複雑になる。
本発明は、広い幅に対応できる転落防止装置を提供することを第1の目的とする。それに加えて曲線区間への対応も可能な転落防止装置を提供することを第2の目的とする。
上記課題を解決するための第1の発明は、複数の転落防止板を連動させて軌道側へ突出させてプラットホームからの転落を防止する転落防止装置であって、前記複数の転落防止板それぞれに設けられ、対応する前記転落防止板を進退方向に移動させる複数のリンク機構部であって、原動端が移動されることで、従動端が揺動する第1リンクレバー部と、前記従動端と接触する接触面を有する入力端部が移動されることで出力端部が揺動する第2リンクレバー部と、前記出力端部の揺動運動を直線運動へ変換して前記転落防止板を進退方向に移動させる従動スライダと、を備えたリンク機構部と、前記複数のリンク機構部それぞれの前記原動端を連結する連結部と、前記連結部を移動させることで、前記複数のリンク機構部それぞれの前記原動端を連動して移動させる駆動機構部と、を具備する転落防止装置である。
第2の発明は、前記第2リンクレバー部が、所定の変位設置可能方向に設置位置を変更可能なローラ部を有し、前記従動スライダが、前記ローラ部が転動可能なガイド溝を有し、前記転落防止板それぞれの進退動作可能な範囲が、前記ローラ部の設置位置に応じて突出限界位置が変更可能である一方、収納限界位置が固定である、第1の発明の転落防止装置である。
第3の発明は、前記リンク機構部が、前記第1リンクレバー部と前記第2リンクレバー部との係合関係が、前記転落防止板が突出完了状態及び収納完了状態にあるときに、前記第1リンクレバー部から前記第2リンクレバー部への順方向の運動伝達のみ有効となる逆動作防止構造を構成し、前記変位設置可能方向と、前記ガイド溝の方向とが、前記収納完了状態において平行となるように構成された、第2の発明の転落防止装置である。
第4の発明は、曲線区間において、前記リンク機構部別に前記ローラ部の設置位置が異なるように設定された、第2又は第3の発明の転落防止装置である。
第1の発明によれば、従来の転落防止装置1台分ではまかなえない広い幅に対応できる。すなわち、1つの駆動機構部からの動力を、複数の転落防止板それぞれに対応する複数のリンク機構部へ、連結部を介して一括して一体的に伝達することができる。よって、単に同じ型の転落防止装置を複数台ならべて、別途変位センサーや制御装置を設けるよりも、遥かに安価にして広い幅に対応できる。
第2の発明によれば、更に転落防止板それぞれの進退動作可能な範囲を、リンク機構部別に設定可能になるので、曲線区間へも対応することができる。
第3の発明によれば、更に転落防止板の突出動作を素早く効率的に行うことができるようになる。すなわち、変位設置可能方向とガイド溝の方向とが、収納完了状態において平行となるように構成されるため、収納完了状態から突出完了状態までの転落防止板の移動速度は、突出量の設定にかかわらず、第1リンクレバー部の均等な回転角度に対し、ローラ部は不均等な回転角度で変化することになる。すなわち、転落防止板は、素早く動き出して突出完了状態に近づくにつれてゆっくりと動くようになる。
第4の発明によれば、更にリンク機構部別のローラ部の設置位置を変えるだけで、簡単に曲線区間への対応が実現できるようになり、施工性を高めることができる。
設置状態にある転落防止装置の構成例を示す上面図。 図1におけるA−A断面図。 図1におけるB−B断面図。 転落防止装置の構成例を示す上面図であって、メインフレームと転落防止板を透視して示している図(突出完了状態)。 第2リンクレバー部周りの構成例を示す図であって、(1)上面図、(2)ローラ接触面側から見た側面視分解図。 転落防止装置の構成例を示す上面図であって、突出完了状態と収納完了状態との間の移行状態を示す図。 転落防止装置の構成例を示す上面図であって、収納完了状態を示す図。 転落防止装置の変形例を示す上面図(その1)。 転落防止装置の変形例を示す上面図(その2)。
本発明を適用した一実施形態である、鉄道用プラットホーム向けの転落防止装置の概要を説明する。図1は、設置状態にある転落防止装置10の構成例を示す上面図である。図2は、図1におけるA−A断面図である。図3は、図1におけるB−B断面図である。
転落防止装置10は、駅のプラットホームの側縁上部に凹設された設置空間に固定される。本実施形態の転落防止装置10の全幅(ホーム長手方向長さ、図1で言う所の図の上下方向長さ)は、従来の転落防止装置1台分のそれよりも大きい。分かり易くするために、本実施形態では、従来の転落防止装置2台分の全幅に相当するとして説明する。具体的には、転落防止装置10は、それぞれが従来の転落防止装置1台分の幅を有する第1ユニット11aと第2ユニット11bの2つで構成されている。
第1ユニット11aは、図1及び図2に示すように、設置空間に固定されるメインフレーム14aと、その蓋に当たる天板12aとで、軌道側に開口する薄型直方体形状の内部空間を画成し、当該内部空間にて転落防止板16aを天板12aで略水平にスライド自在に支持している。そして、転落防止板16aを、駆動機構部20により駆動されるリンク機構部18aによって軌道側/ホーム側へ進退動することができる。
第2ユニット11bは、図1及び図3に示すように、設置空間に固定されるメインフレーム14bと、その蓋に当たる天板12bとで、軌道側に開口する薄型直方体形状の内部空間を画成し、当該内部空間にて転落防止板16bを天板12bで略水平にスライド自在に支持している。そして、転落防止板16bをリンク機構部18bによって軌道側/ホーム側へ進退動することができる。
リンク機構部18bは、ロッド状の連結部19により、駆動機構部20及び第1ユニット11aのリンク機構部18aと連結されており、駆動機構部20の動力によって第1ユニット11aと第2ユニット11bとが同時に駆動される。
列車の乗降時以外では、第1ユニット11aの転落防止板16a及び第2ユニット11bの転落防止板16bは、その軌道側端が軌道側に規程位置以上は突出しないように内部空間に収納された位置にあって移動抑止状態で維持される。この状態を「収納完了状態」と呼ぶ。
列車への乗降時には、駆動機構部20が作動するのに伴って、転落防止板16a及び転落防止板16bは自動的に移動可能状態に遷移し、転落防止板16a及び転落防止板16bが軌道側へ突出されてプラットホームと列車との隙間を狭くして乗降者がプラットホームと列車との間に転落するのを防止する。この状態を「突出完了状態」と呼ぶ。図1〜図3は、何れもこの「突出完了状態」を示している。
突出完了状態になると、転落防止板16a及び転落防止板16bは移動可能状態から移動抑止状態へ自動的に切り換えられ、転落防止板16a或いは転落防止板16bからの入力(例えば、乗降者が転落防止板に踏み込んで乗り込もうとした時に生じる反力等)に抗して転落防止板16a及び転落防止板16bは現状位置を維持する。つまり、ロック状態となる。
そして、乗降が終了すると、駆動機構部20が反転動作する。転落防止板16a及び転落防止板16bが移動抑止状態にあっても、駆動機構部20の作動から始まる駆動力の順方向への伝達が開始されると、自動的に転落防止板16a及び転落防止板16bは移動可能状態に切り換えられる。そして、伝達された動力によって転落防止板16a及び転落防止板16bはホーム側へ移動され「収納完了状態」に戻され、自動的に転落防止板16a及び転落防止板16bは移動抑止状態となる。
では次に、駆動機構部20と、第1ユニット11aのリンク機構部18aと、第2ユニット11bのリンク機構部18bとについて詳細に説明する。
図4は、本実施形態の転落防止装置10の構成例を示す上面図であって、メインフレーム14(14a,14b)と転落防止板16(16a,16b)を透視して図示している。
駆動機構部20は、図示されない制御装置により電気制御される電動モータ21と、電動モータ21の出力軸の回転を適当に減速する減速機構22と、減速機構22の出力軸に連結されたボールネジ部23と、ボールネジ部23の回転によりスライドされる駆動スライダ24と、ボールネジ部23の先端を枢支する軸受25とを備える。つまり、電動モータ21と減速機構22とは、ボールネジ部23を回転駆動させる駆動部として機能する。ボールネジ部23と駆動スライダ24とは、直動機構として機能する。なお、駆動スライダ24は、後述する第1リンク部40(40a,40b)の一機能部でもある。また、直動機構はラックピニオン、チェーン、タイミングベルト等で構成してもよい。
駆動機構部20に関連して、メインフレーム14aには、ボールネジ部23に沿って駆動スライダ24の位置を検知するための検知センサーが適宜設けられる。本実施形態では、転落防止板16が突出完了状態にあるときの駆動スライダ24の位置を検出するための突出完了検知センサー30と、収納完了状態にあるときの駆動スライダ24の位置を検出するための収納完了検知センサー32とが設けられている。突出完了検知センサー30および収納完了検知センサー32は、例えばリミットスイッチで実現され、検知信号を電動モータ21の制御装置(図示略)に出力し、電動モータ21の回転制御に利用される。
第1ユニット11aでは、駆動機構部20と転落防止板16aは、リンク機構部18aを介して連係する。そして、第1ユニット11aのリンク機構部18aは、第1リンク部40aと第2リンク部60とを有する。
第1リンク部40aは、駆動機構部20により駆動される駆動スライダ24の直線状の運動を揺動運動に変換する機構部であって、駆動スライダ24に設けられたローラガイド42(図2参照)と、揺動体である第1リンクレバー部43とを有する。
第1リンクレバー部43は、上面視すると直線状を成しており、メインフレーム14aから略垂直に突設された揺動軸44で回転自在に枢支されている。そして、リンク機構部18aの第1リンクレバー部43は、駆動機構部20の一端(原動端)にローラガイド42のガイド溝内で転動して連結接続する原動端ローラ45を有し、揺動軸44を挟んで反対側の他端(従動端)に揺動端ローラ46を有する。そして、原動端ローラ45の軸には、連結部19の一端が揺動可能に連結されている。
第2リンク部60は、駆動機構部20の駆動によって第1リンク部40aが動作することで働く揺動運動を、転落防止板16aを進退方向に移動させる従動スライダ62の直線運動に変換する機構であって、第2リンクレバー部61と従動スライダ62とを有する。
第2リンクレバー部61は、上面視すると屈曲形(例えば略L字型や、略くの字型)を成しており、その屈曲部にて、メインフレーム14aから略垂直に突設された揺動軸63で回転自在に枢支されている。そして、第2リンクレバー部61は、屈曲部よりも駆動機構部20側の一端部(第1リンクレバー部43寄りの端部:入力端部)に、第1リンク部40aの揺動端ローラ46が接触して転動するためのローラ接触面64(図5参照)を有する。また、第2リンクレバー部61は、他端部(出力端部)に、従動スライダ62の下面に設けられたガイド溝66のガイド溝内で転動する出力端ローラ67を有する。そして、この出力端ローラ67の取り付け位置は変更可能に構成されている。
従動スライダ62は、転落防止板16aの裏面に固定されている。ガイド溝66は、従動スライダ62の裏面側に突設された平行又は略平行な板上部材により形成されており、転落防止板16aの進退方向に対して直交又は略直交する方向の溝を形成している(図2,図3参照)。
図5は、本実施形態の第2リンクレバー部61周りの構成例を示す図であって、(1)上面図、(2)ローラ接触面64側から見た側面視分解図である。
第2リンクレバー部61のローラ接触面64は、上面視略U字状の転換面64aと、当該転換面の両端から当該レバーの回転方向それぞれに向けて連なる突出完了状態鎖錠面64bおよび収納完了状態鎖錠面64cとを有する。
突出完了状態鎖錠面64bは、突出完了状態の第1リンクレバー部43と第2リンクレバー部61の位置関係において、第1リンクレバー部43の揺動軸44を中心とする曲面を有している。そして、第1リンク部40と第2リンク部60との突出完了状態における所定の対偶関係の幾何的条件を満たすように設計されており、突出完了状態鎖錠面64bにおける揺動端ローラ46との接触位置が、揺動端ローラ46と揺動軸44とを結ぶ直線上(または略直線上)となるように構成されている。
この結果、突出完了状態にあるとき、転落防止板16を移動抑止状態にすることができる。具体的には、図4に示すような突出完了状態にある転落防止板16aに対して、収納方向に移動させようとする作用力が生じると、従動スライダ62が出力端ローラ67を収納方向(軌道からプラットホームへ向かう方向)へ押す。これに伴って第2リンクレバー部61には反時計回りのトルクが生じ、ローラ接触面64が第1リンクレバー部43の揺動端ローラ46を作用力で押す。しかし、前述の幾何的関係により、揺動端ローラ46を押す作用力の方向は、揺動端ローラ46と揺動軸44とを結ぶ直線方向となる。そのため、揺動端ローラ46を押す作用力は揺動軸44により支えられて第1リンクレバー部43を回転させることはない。すなわち、ロック状態となる。
同様に、収納完了状態鎖錠面64cは、収納完了状態の第1リンクレバー部43と第2リンクレバー部61の位置関係において、第1リンクレバー部43の揺動軸44を中心とする曲面を有している。そして、第1リンク部40と第2リンク部60との収納完了状態における所定の対偶関係の幾何的条件を満たすように設計されており、収納完了状態鎖錠面64cにおける揺動端ローラ46との接触位置が、揺動端ローラ46と揺動軸44とを結ぶ直線上(または略直線上)となる。すなわち、収納完了状態において転落防止板16aを移動抑制状態に維持することができる。
この結果、収納完了状態にあるとき、転落防止板16を移動抑止状態にすることができる。具体的には、後述する図7に示すような収納状態にある転落防止板16aに対して、突出方向に移動させようとする作用力が生じると、従動スライダ62が出力端ローラ67を突出方向(軌道方向)へ押す。これに伴って第2リンクレバー部61には時計回りのトルクが生じ、ローラ接触面64が第1リンクレバー部43の揺動端ローラ46を作用力で押す。しかし、前述の幾何的関係により、揺動端ローラ46を押す作用力の方向は、揺動端ローラ46と揺動軸44とを結ぶ直線方向となる。そのため、揺動端ローラ46を押す作用力は揺動軸44により支えられて第1リンクレバー部43を回転させることはない。すなわち、ロック状態となる。
第2リンクレバー部61の出力端部には、揺動軸63の挿通孔611からの距離を違えた複数のネジ孔612が変位設置可能方向Lに沿って直列に設けられている。本実施形態では変位設置可能方向Lは、揺動軸63の挿通孔611、より具体的には揺動軸63の中心を通るように設定されている。また、本実施形態ではネジ孔612は3つであるが、その数は複数であれば幾つでもよい。ネジ孔612同士の間隔も適宜設定可能である。そして、複数のネジ孔612のうち何れかに出力端ローラ67が装着される。
出力端ローラ67は、例えば、ベアリングの外周に樹脂環を嵌め込んだローラ本体671と、高さ調整用のローラ台座672とを通しボルト673で同軸に挿通してネジ孔612に螺合させて設置される。出力端ローラ67をどのネジ孔612に固定するかで、第2リンク部60によるレバー比(すなわち揺動運動から直線運動への変換率)を変更し、転落防止板16aの突出量を変更することができる。
図4に戻って、第2ユニット11bでは、駆動機構部20と転落防止板16bは、連結部19とリンク機構部18bを介して連係する。そして、第2ユニット11bのリンク機構部18bは、第1リンク部40bと第2リンク部60とを有する。
第2ユニット11bの第1リンク部40bは、連結部19の直線状の運動を揺動運動に変換する機構部であり、揺動体である第1リンクレバー部43を有する。第1リンク部40bの第1リンクレバー部43の原動端には、垂直又は略垂直な揺動軸47を介して連結部19の他端が揺動可能に連結されている。よって、連結部19がホーム長手方向に直線状の運動をすることにより、第2ユニット11bの第1リンク部40bに揺動運動が生じることになる。
リンク機構部18bの第2リンク部60は、第1ユニット11aのリンク機構部18aのそれと同じ構成であるため、説明を省略する。
では次に、図4,図6,図7を参照しつつ転落防止装置10の動作について説明する。なお、図6は、本実施形態の転落防止装置10の構成例を示す上面図であって、突出完了状態と収納完了状態との間の移行状態を示す図である。図7は、本実施形態の転落防止装置10の構成例を示す上面図であって、収納完了状態を示す図である。図6及び図7では、メインフレーム14と転落防止板16を透視して図示している。
先ず、図4に示すように、突出完了状態にある転落防止装置10では、ローラ接触面64の突出完了状態鎖錠面64bにて第1リンクレバー部43の揺動端ローラ46が当接している。前述の如く、この状態では第2リンクレバー部61から第1リンクレバー部43への逆方向の動力伝達によってリンク機構が作動することはない。つまり、転落防止板16と駆動機構部20を繋ぐリンク機構はロック状態(逆転防止状態)にあり、転落防止板16は鎖錠されている。
転落防止板16a,16bを収納するために、電動モータ21が所定方向へ回転駆動されると、駆動スライダ24は(図4で言うところの下方へ)移動され、駆動スライダ24のローラガイド42(図2参照)で係合する原動端ローラ45も移動される。これにより、第1ユニット11aのリンク機構部18aでは、第1リンクレバー部43が時計回りに回転し、揺動端ローラ46が突出完了状態鎖錠面64bから転換面64aに移動する。つまり、突出完了状態におけるリンク機構のロック状態は自動的に且つスムーズに解除される。
そして、揺動端ローラ46が転換面64aに移動すると、転換面64aが成す上面視略U字型の内側に揺動端ローラ46が収まり、第1リンクレバー部43の回転運動が第2リンクレバー部61を反時計回りに回転させる。第2リンクレバー部61が反時計回りに回転すると、出力端ローラ67は相対的にホーム側へ移動し、従動スライダ62及び転落防止板16aをホーム側へ移動させる。
また、駆動スライダ24の移動により連結部19もまた図4で言うところの下方へ移動される。そして、この移動によって、第2ユニット11bのリンク機構部18bでも第1リンクレバー部43が時計回りに回転し、揺動端ローラ46が突出完了状態鎖錠面64bから転換面64aに移動する。以下、第1ユニット11aのリンク機構部18aと同様にして、突出完了状態におけるリンク機構のロック状態は自動的に且つスムーズに解除され、第1リンクレバー部43の回転運動が第2リンクレバー部61を反時計回りに回転させ、従動スライダ62及び転落防止板16bをホーム側へ移動させる。
電動モータ21の回転駆動が続けられると、図6の移行状態を経て、やがて揺動端ローラ46が転換面64aから抜けて収納完了状態鎖錠面64cへ移動する。そして、駆動スライダ24が所定の収納完了位置まで移動するに至ると電動モータ21が停止され、図7に示す収納完了状態となる。
なお、収納完了状態における転落防止板16a,16bの収納位置は、出力端ローラ67の設置位置にかかわらず同じとなる。つまり、転落防止板16a,16bの収納限界位置は一定である。
収納完了状態にある転落防止装置10では、ローラ接触面64の収納完了状態鎖錠面64cにて第1リンクレバー部43の揺動端ローラ46が当接している。前述の如く、この状態では第2リンクレバー部61から第1リンクレバー部43への逆方向の動力伝達によってリンク機構が作動することはない。つまり、転落防止板16と駆動機構部20を繋ぐリンク機構はロック状態にあり、転落防止板16a,16bは鎖錠されている。
また、収納完了状態にあるとき、第2リンクレバー部61の複数のネジ孔612の配列方向(変位設置可能方向L)と、従動スライダ62のガイド溝66の溝方向とが、平行(厳密な意味での平行は勿論のこと、略平行も含む意味である)となる。
図7の収納完了状態から、転落防止板16aや転落防止板16bを軌道側へ突出させるには、電動モータ21を先ほどとは逆向きに回転駆動させればよい。駆動スライダ24は(図7で言うところの上方へ)移動され、ローラガイド42と係合する原動端ローラ45も移動される。これにより、第1リンクレバー部43は反時計回りに回転し、揺動端ローラ46が収納完了状態鎖錠面64cから転換面64aに移動する。これにより、収納完了状態におけるリンク機構のロック状態が自動的に且つスムーズに解除されて、やがて図6の移行状態を経て、図4の突出完了状態に戻る。
ここで、収納完了状態から突出完了状態までの転落防止板16a,16bの移動速度に着目すると、収納完了状態における従動スライダ62のガイド溝66のガイド溝方向が、転落防止板16a,16bの移動方向に対して直交又は略直交となるため、第1リンクレバー部43の均等な回転角度に対し、出力端ローラ67は不均等な回転角度で変化することになる。すなわち、素早く動き出して突出完了状態に近づくにつれてゆっくりと動くようになる。
なお、本実施形態では、第1ユニット11aと第2ユニット11bとで、第2リンクレバー部61に対する出力端ローラ67の設置位置を同じにして図示したので、第1ユニット11aの転落防止板16aと、第2ユニット11bの転落防止板16bの突出量が同じになっている。しかし、適宜、出力端ローラ67の設置位置を違えることで2つの転落防止板の突出量を変えて曲線区画へ対応することが可能となる。
以上、本実施形態によれば、広い幅に対応可能な転落防止装置を提供することができる。また、転落防止板それぞれの進退動作可能な範囲をユニット別に設定することで曲線区間へ対応することができる。
なお、本発明の適用形態は、上記実施形態に限らず、適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
例えば、上記実施形態では転落防止装置10を第1ユニット11aと第2ユニット11bによる2ユニットの分割構成としたが、3つ以上のユニットによる分割構成とすることもできる。勿論、各ユニットで出力端ローラ67の設置位置を違えることで曲線区画に対応することも可能である。
具体的には、図8に示す転落防止装置10Bのように、第1ユニット11aと、第2ユニット11bと、第3ユニット11cとによる3分割構成とすることもできる。第3ユニット11cは、第2ユニット11bと同様の構成を有し、第1ユニット11aを中央にして第2ユニット11bとは反対側に設けられている。そして、当該構成における連結部19は、第1ユニット11aのリンク機構部18aの第1リンクレバー部43の原動端と、第2ユニット11bのリンク機構部18bの第1リンクレバー部43の原動端と、第3ユニット11cのリンク機構部18cの第1リンクレバー部43の原動端と、を連結する。
図8に示す例では、第3ユニット11cのリンク機構部18cの出力端ローラ67は、3ユニットのうちで最も揺動軸63に近いネジ孔612(図5参照)に装着されている。第2ユニット11bのリンク機構部18bの出力端ローラ67は、3ユニットのうちで最も揺動軸63から遠い位置のネジ孔612に装着され、第1ユニット11aのリンク機構部18aの出力端ローラ67は中間位置のネジ孔612に装着されている。これにより、第3ユニット11c<第1ユニット11a<第2ユニット11bの順に徐々に列車がプラットホームから離れるような曲線区間でも、列車とプラットホームとの隙間を適切に塞ぐことができる。
もし、図9に示す転落防止装置10Cのように、第1ユニット11aのリンク機構部18bの出力端ローラ67を、3ユニットのうちで最も揺動軸63から遠い位置のネジ孔612(図5参照)に装着し、それ以外のユニットの出力端ローラ67を揺動軸63により近い位置のネジ孔612に装着することで、転落防止装置10Cの長手方向中央付近にて列車がプラットホームから最も離れるような曲線区間でも、列車とプラットホームとの隙間を適切に塞ぐことができる。
10…転落防止装置
12(12a,12b)…天板
14(14a,14b,14c)…メインフレーム
16(16a,16b,16c)…転落防止板
19…連結部
20…駆動機構部
21…電動モータ
22…減速機構
23…ボールネジ部
24…駆動スライダ
25…軸受
40…第1リンク部
42…ローラガイド
43…第1リンクレバー部
44…揺動軸
45…原動端ローラ
46…揺動端ローラ
47…揺動軸
60…第2リンク部
61…第2リンクレバー部
611…挿通孔
612…ネジ孔
62…従動スライダ
63…揺動軸
64…ローラ接触面
64a…転換面
64b…突出完了状態鎖錠面
64c…収納完了状態鎖錠面
66…ガイド溝
67…出力端ローラ
671…ローラ本体
672…ローラ台座
673…通しボルト
L…変位設置可能方向

Claims (4)

  1. 複数の転落防止板を連動させて軌道側へ突出させてプラットホームからの転落を防止する転落防止装置であって、
    前記複数の転落防止板それぞれに設けられ、対応する前記転落防止板を進退方向に移動させる複数のリンク機構部であって、原動端が移動されることで、従動端が揺動する第1リンクレバー部と、前記従動端と接触する接触面を有する入力端部が移動されることで出力端部が揺動する第2リンクレバー部と、前記出力端部の揺動運動を直線運動へ変換して前記転落防止板を進退方向に移動させる従動スライダと、を備えたリンク機構部と、
    前記複数のリンク機構部それぞれの前記原動端を連結する連結部と、
    前記連結部を移動させることで、前記複数のリンク機構部それぞれの前記原動端を連動して移動させる駆動機構部と、
    を具備する転落防止装置。
  2. 前記第2リンクレバー部は、所定の変位設置可能方向に設置位置を変更可能なローラ部を有し、
    前記従動スライダは、前記ローラ部が転動可能なガイド溝を有し、
    前記転落防止板それぞれの進退動作可能な範囲が、前記ローラ部の設置位置に応じて突出限界位置が変更可能である一方、収納限界位置が固定である、
    請求項1に記載の転落防止装置。
  3. 前記リンク機構部は、
    前記第1リンクレバー部と前記第2リンクレバー部との係合関係が、前記転落防止板が突出完了状態及び収納完了状態にあるときに、前記第1リンクレバー部から前記第2リンクレバー部への順方向の運動伝達のみ有効となる逆動作防止構造を構成し、
    前記変位設置可能方向と、前記ガイド溝の方向とが、前記収納完了状態において平行となるように構成された、
    請求項2に記載の転落防止装置。
  4. 曲線区間において、前記リンク機構部別に前記ローラ部の設置位置が異なるように設定された、
    請求項2又は3に記載の転落防止装置。
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