JP2014202584A - バイオセンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持基材と、上記支持基材上に形成された電極系、配線部および端子部と、上記電極系上に配置された反応部と、上記支持基材上に、上記電極系、上記反応部および上記端子部が露出し、上記配線部が覆われるように形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成され、上記電極系および上記反応部に試料を供給する試料供給路を形成するスペーサと、上記スペーサ上に配置されたカバーとを有するバイオセンサであって、上記支持基材は、第1基材と、上記第1基材上に形成され、モスアイ構造を有する第1親水層とを有し、上記カバーは、第2基材と、上記第2基材上に形成され、モスアイ構造を有する第2親水層とを有し、上記支持基材および上記カバーは上記第1親水層および上記第2親水層が対向するように配置され、上記第1親水層および上記第2親水層は少なくとも上記試料供給路が配置される領域に形成されていることを特徴とするバイオセンサ。
【選択図】図1
Description
例えば、被検体および試薬の混合物に電極を入れ、ディファレンシャルパルスボルタンメトリー(DPV)に基づく測定を行う技術が知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、いずれの方法においても純水の接触角を十分に小さくすることは難しく、所望の親水性が得られないという問題がある。さらに、バイオセンサの保管条件によっては大気中の水分と界面活性剤、親水性を有する樹脂、または化学的な表面処理が施された基材表面とが反応して親水性が劣化し、経時的に親水化効果が低下するという問題がある。また、電極系が形成される基材に親水化処理を施すと、電極系形成時に基材の親水性が劣化してしまうという問題もある。
図1(a)は本発明のバイオセンサの一例を示す分解斜視図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。図1(a)、(b)に例示するように、バイオセンサ1においては、支持基材10上に電極系4、配線部5および端子部6が形成され、電極系4および端子部6が露出し、配線部5が覆われるように絶縁層7がさらに形成されており、絶縁層7上に試料供給路21を形成するためのスペーサ8が配置され、スペーサ8上に試料供給路21を覆うようにカバー30が配置されている。支持基材10は、第1基材2と、第1基材2上に部分的に形成され、モスアイ構造を有する第1親水層3とを有しており、第1親水層3は試料供給路21が配置される領域に形成されている。カバー30は、第2基材31と、第2基材31上に部分的に形成され、モスアイ構造を有する第2親水層32と、試料供給路21に通じ、第2基材31を貫通する空気孔33とを有しており、第2親水層32は試料供給路21が配置される領域に形成されている。電極系4は作用極11および対極12を有しており、作用極11上に反応部15が形成されている。また、電極系4、配線部5および端子部6は一体に形成されている。
スペーサ8は、作用極11上の反応部15および対極12が露出するように、例えばカバー30の空気孔33に通じる試料供給路21を形成するように配置されている。
このバイオセンサ1においては、試料供給路21と空気孔33とが形成されていることで、試料供給路21から毛細管現象を利用し、測定する試料を作用極11上の反応部15および対極12の上部を通過させ、試料の目的成分を測定することができる。
このバイオセンサ1においては、試料供給路21と空気抜き流路22とが形成されていることで、試料供給路21から毛細管現象を利用し、測定する試料を作用極11上の反応部15および対極12の上部を通過させ、試料の目的成分を測定することができる。
従来のようなサンドブラスト処理等により基材表面を粗面化する方法では、表面積率γが小さいため、純水の接触角がそれほど変化せず、十分な親水性が得られない。これに対し、モスアイ構造では表面積率γが大きいため、純水の接触角を十分に小さくすることができ、親水化の効果が顕著に発揮される。
なお、図12(a)、(b)はモスアイ構造以外の凹凸構造の一例を示す平面図および断面図であり、図12(b)は図12(a)のC−C線断面図である。
また本発明においては、モスアイ構造がその構造上、親水性を示すため、親水性が経時的に劣化するのを抑制することが可能である。さらに、支持基材上に電極系、配線部および端子部を形成する際の親水性の劣化も抑制できる。
本発明に用いられる支持基材は、第1基材と、上記第1基材上に形成され、モスアイ構造を有する第1親水層とを有するものであり、電極系、配線部および端子部等を支持するものである。支持基材は第1親水層がカバーと対向するように配置される。
以下、支持基材における各構成について説明する。
本発明における第1親水層は、第1基材上に形成され、少なくとも試料供給路が配置される領域に形成されるものであり、モスアイ構造を有するものである。
(1)まず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)または走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて微細突起の面内配列(微細突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いて、この求められた面内配列から各微細突起の高さの極大点(以下、単に極大点と称する。)を検出する。なお、極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。
(3)次に、検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。ここで、ドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(隣接突起間距離)の度数分布を求める。
(5)このようにして求めた隣接突起間距離dの度数分布から平均値dAVGおよび標準偏差σを求める。
また、静的接触角は、第1親水層を形成する樹脂組成物の成分、モスアイ構造の形状等を変更することにより、調整することができる。
樹脂としては、モスアイ構造を形成可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料および各種硬化形態の賦形用樹脂を使用することができる。また、非反応性重合体を含有してもよい。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
樹脂としては、中でも成形性および機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましい。電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性および/またはカチオン重合性結合を有する単量体または重合体を適宜混合したものであり、適宜重合開始剤を用いて電離放射線により硬化されるものである。また、成形性に優れるとは、所望の形状に精度良く成形できることをいう。
中でも、樹脂組成物は、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系の電離放射線硬化性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、さらに、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を有するアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
特に、樹脂は紫外線硬化性樹脂であることが好ましい。
ここで、親水層が樹脂組成物を硬化させてなるものである場合、上記の樹脂層の表面における純水の静的接触角は、樹脂組成物を硬化させて平坦な樹脂層を形成したときの樹脂層の表面における純水の静的接触角である。また、親水層が熱可塑性樹脂組成物で構成される場合であって、第1基材も熱可塑性樹脂組成物で構成される場合には、第1基材の表面に直にモスアイ構造を形成することができ、この場合、上記の樹脂層の表面における純水の静的接触角は、第1基材の表面における純水の静的接触角である。
ここで、第1親水層が少なくとも試料供給路が配置される領域に形成されているとは、試料供給路が配置される領域のうち、試料供給路の入口から電極系および反応部の下部までの領域に形成されていることをいう。すなわち、試料供給路が配置される領域のうち、電極系および反応部よりも奥の領域には第1親水層は形成されていなくてもよい。
図4(a)、(c)に例示するように、第1親水層3が第1基材2上に全面に形成されている場合には、モスアイ構造によるアンカー効果によって第1親水層3と電極系4、配線部5および端子部6、ならびに絶縁層7との密着性を向上させることができる。なお、図4(a)は本発明のバイオセンサにおける支持基材ならびに電極系、配線部および端子部の一例を示す概略平面図、図4(b)は本発明のバイオセンサにおけるカバーの一例を示す概略平面図、図4(c)は本発明のバイオセンサの他の例を示す概略断面図であり、図4(c)は図4(a)、(b)のB−B線断面図である。
一方、第1親水層が第1基材上に部分的に形成されている場合には、第1親水層の面積を小さくすることができ、製造コストを削減することができる。また、図5に例示するように、スペーサ8によって試料供給路21に加えて空気抜き流路22が形成されている場合であって、空気抜き流路22の出口の周辺に絶縁層7が形成されていない場合には、空気抜き流路22の出口の周辺に親水層3が形成されないように親水層3を部分的に形成することができ、空気抜き流路から試料が流れ出るのを防ぐことができる。
中でも、第1親水層は第1基材上に部分的に形成されていることが好ましい。
例えば図6に示すように、カバー30に第2基材31を貫通する空気孔33が形成されている場合には、空気孔33が配置される領域の周辺には第1親水層3が形成されていないことが好ましい。
また、図5に例示するように、スペーサ8によって試料供給路21に加えて空気抜き流路22が形成されている場合であって、空気抜き流路22の出口の周辺に絶縁層7が形成されていない場合には、空気抜き流路22の出口の周辺には第1親水層3が形成されていないことが好ましい。この場合、空気抜き流路22の全体にわたって第1親水層3が形成されていないことがより好ましい。
モスアイ構造形成用原版の凹凸形状は、多数の微細孔が密に形成されたものであり、モスアイ構造を構成する微細突起の形状に対応する形状である。
また、樹脂組成物を硬化させる方法は、樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
モスアイ構造形成用原版の凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
モスアイ構造形成用原版は、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接にまたは各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。母材は、アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化してもよい。
モスアイ構造形成用原版に凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によってアルミニウム層の表面に複数の微小孔を形成する陽極酸化工程と、アルミニウム層をエッチングすることにより微小孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、アルミニウム層を第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより微小孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
モスアイ構造形成用原版に凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理および/またはエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微小孔をそれぞれ目的とする深さおよび形状に作製することができる。
ロール金型としては、例えば、母材として円筒形状の金属材料を用い、母材の周側面に、直接にまたは各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
本発明に用いられる第1基材は、電極系、配線部および端子部を支持するものであり、電極系、配線部および端子部が形成される面は絶縁性を有する。
第1基材は、可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。また、第1基材は、剛性を有していてもよく、弾性を有していてもよい。
また、バイオセンサを多面付けで製造する場合、第1基材は長尺であってもよく枚葉であってもよい。第1基材が長尺である場合には、第1親水層の形成、ならびに電極系、配線部および端子部の形成をロールツーロール方式により連続して行うことができる。
この場合、上部基材としては、可撓性を有することが好ましく、上記の樹脂基材が好ましく用いられる。上部基材の厚みは、可撓性を有する程度であればよく、例えばPET基材の場合は12μm〜400μm程度とすることができる。
また、下部基材としては、上部基材よりも剛性が高いことが好ましく、例えば樹脂基材、セラミック基材、ガラス基材、半導体基材、金属基材等を用いることができる。下部基材の厚みとしては、上部基材を支持することができる程度であればよく、例えばPET基材の場合は50μm〜1mm程度とすることができる。
接着層に用いられる接着剤は、例えば、合成接着剤としてはアクリル系接着剤、エステル系接着剤、ビニル系接着剤、シリコーン系接着剤等、天然接着剤としてはニカワ、天然ゴム、樹液等の澱粉のり・天然高分子等を挙げることができる。
透明基材の場合、可視光領域における透過率は80%以上であることが好ましい。ここで、透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明のバイオセンサにおいて毛細管現象による試料供給を促進するための空気口が形成されている場合には、空気口の周辺には第1親水層よりも親水性が低い第1低親水性領域が形成されていることが好ましい。空気口から試料が流れ出るのを防ぐことができるからである。
第1低親水性領域が第1親水層が形成されていない領域である場合において、図8(a)に例示するように樹脂層3bが第1基材2上に部分的に形成され、樹脂層3b全体が第1親水層3になる場合には、第1基材2の表面が第1低親水性領域となり、図8(b)に例示するように樹脂層3bが第1基材2上に全面に形成され、樹脂層3bが部分的に第1親水層3になる場合には、樹脂層3bの第1親水層3ではない部分の表面が第1低親水性領域となる。
一方、第1低親水性領域が撥水処理された領域である場合において、図8(a)に例示するように樹脂層3bが第1基材2上に部分的に形成され、樹脂層3b全体が第1親水層3になる場合には、第1基材2の表面に撥水処理が施され、図8(b)に例示するように樹脂層3bが第1基材2上に全面に形成され、樹脂層3bが部分的に第1親水層3になる場合には、樹脂層3bの第1親水層3ではない部分の表面に撥水処理が施される。また、第1低親水性領域が撥水処理された領域である場合、絶縁層表面に撥水処理が施されていてもよい。
また、撥水処理としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーン系、ハイドロカーボン系、フルオロカーボン系、ワックス系、ポリエチレンイミン−オクタデシルイソシアネート系やポリ(メタ)アクリル酸エステル系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系樹脂等を有機溶剤や水に適宜溶解もしくは分散して塗布する方法が挙げられる。また、研磨により平滑性を付与することで撥水性を発現させることもできる。
例えば図6に示すようにカバー30に空気孔33が形成されている場合には、空気孔33が配置される領域の周辺に第1低親水性領域9が形成されていることが好ましい。図6において、第1低親水性領域9は第1親水層3が形成されていない領域である。
また、図5に例示するようにスペーサ8によって試料供給路21に加えて空気抜き流路22が形成されている場合には、空気抜き流路22の出口の周辺に第1低親水性領域が形成されていることが好ましい。図5において、空気抜き流路22の出口の周辺には第1親水層3が形成されていない第1低親水性領域が形成されている。この場合、空気抜き流路が配置される領域の全体にわたって第1低親水性領域が形成されていてもよい。
本発明に用いられるカバーは、第2基材と、上記第2基材上に形成され、モスアイ構造を有する第2親水層とを有するものであり、スペーサ上に試料供給路を覆うように配置されるものである。カバーは第2親水層が支持基材と対向するように配置される。
以下、カバーにおける各構成について説明する。
本発明における第2親水層は、第2基材上に形成され、少なくとも試料供給路が配置される領域に形成されるものであり、モスアイ構造を有するものである。
ここで、第2親水層が少なくとも試料供給路が配置される領域に形成されているとは、試料供給路が配置される領域のうち、試料供給路の入口から電極系および反応部の上部までの領域に形成されていることをいう。すなわち、試料供給路が配置される領域のうち、電極系および反応部よりも奥の領域には第2親水層は形成されていなくてもよい。
図4(b)、(c)に例示するように、第2親水層32が第2基材31上に全面に形成されている場合には、第2親水層32上にスペーサ8を形成する場合に、モスアイ構造によるアンカー効果によって第2親水層32とスペーサ8との密着性を向上させることができる。
一方、第2親水層が第2基材上に部分的に形成されている場合には、第2親水層の面積を小さくすることができ、製造コストを削減することができる。また、この場合、第2基材上の第2親水層が形成されていない領域に、バイオセンサを製造する際の位置合わせのためのアライメントマークを形成することもできる。さらに、この場合には、図1(a)に例示するようにカバー30に第2基材31を貫通する空気孔33が形成されている場合に、空気孔の周辺に第2親水層が形成されないように第2親水層を部分的に形成することができ、空気孔から試料が流れ出るのを防ぐことができる。
中でも、第2親水層は第2基材上に部分的に形成されていることが好ましい。
本発明に用いられる第2基材は、バイオセンサのカバーとして機能するものである。
第2基材としては、例えば、樹脂基材、セラミック基材、ガラス基材、半導体基材、金属基材等を用いることができる。樹脂基材としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエステル樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。
第2基材は、可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。また、第2基材は、剛性を有していてもよく、弾性を有していてもよい。
また、バイオセンサを多面付けで製造する場合、第2基材は長尺であってもよく枚葉であってもよい。第2基材が長尺である場合には、第2親水層の形成、およびカバーの貼合をロールツーロール方式により連続して行うことができる。
透明基材の場合、可視光領域における透過率は80%以上であることが好ましい。
空気孔は、試料供給路に通じるように配置される。通常、試料供給路が配置される領域において、電極系および反応部よりも奥の領域に空気孔が配置される。
空気孔の直径は、例えば0.3mm以上1mm以下の範囲内とすることができる。
空気孔の形状は、例えば、円形、楕円形、多角形等が挙げられる。
空気孔の形成方法としては、例えばレーザー加工、打ち抜き加工等が挙げられる。
本発明のバイオセンサにおいて毛細管現象による試料供給を促進するための空気口が形成されている場合には、空気口の周辺には第2親水層よりも親水性が低い第2低親水性領域が形成されていることが好ましい。空気口から試料が流れ出るのを防ぐことができるからである。
例えば図1(a)に示すようにカバー30に空気孔33が形成されている場合には、空気孔33の周辺に第2低親水性領域が形成されていることが好ましい。図1(a)において、第2低親水性領域は第2親水層3が形成されていない領域である。
また、図2に例示するようにバイオセンサ1においてスペーサ8によって試料供給路21に加えて空気抜き流路22が形成されている場合には、空気抜き流路22の出口の周辺に第2低親水性領域が形成されていることが好ましい。図2において、第2低親水性領域は第2親水層3が形成されていない領域である。また、この場合、空気抜き流路が配置される領域の全体にわたって第2低親水性領域が形成されていてもよい。
カバーの配置方法としては、バイオセンサの構成等に応じて適宜選択される。例えば、スペーサまたは絶縁層に両面テープを用いる場合には、スペーサまたは絶縁層を介して電極系、配線部および端子部が形成された支持基材とカバーとを貼合することができる。また、支持基材上に光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いてスペーサを形成する場合には、接着層を介してスペーサが形成された支持基材とカバーとを貼合することができる。
本発明における電極系、配線部および端子部は、支持基材の第1親水層側の面に形成されるものである。
また、本発明のバイオセンサがエンドトキシンセンサである場合には、図9(c)に例示するような電極系4の形態とすることができ、参照極13には銀塩化銀電極を用いることができる。
電極系、配線部および端子部は、同一の材料で構成されていてもよく、異なる材料で構成されていてもよい。また、電極系、配線部および端子部は、一体に形成されていてもよく、別に形成されていてもよい。
また、電極系、配線部および端子部は、単層であってもよく、複数の導電層を積層したものであってもよい。
中でも、金属ペーストを印刷する方法、物理蒸着法、カーボンおよびバインダー樹脂を含有するインキを印刷する方法のように、予め導電層をパターン状に形成する場合には、第1親水層によって密着性の良好な導電層を得ることができる。
本発明における反応部は、電極系の上部に配置されるものである。
本発明において、反応部は生体由来物質を含み、基質特異的な物質の変化移動に伴う、化学ポテンシャル、熱あるいは光学的な変化を電気信号へ変換する。
グルコース濃度を測定する場合には、酵素として、グルコースオキシダーゼ(GOD)、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を用いることができる。グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼは、純度の高いものが好ましく、後述の範囲の活性を有するものであれば特に由来となる生物種は限定されず、例えば、グルコースオキシダーゼとしては、東洋紡社製GLO−201を用いることができる。
電子受容体としては、フェリシアン化カリウム、フェロセン誘導体、キノン誘導体、オスミューム誘導体等を用いることができる。
この場合、エンドトキシンを含む試料を、C因子、B因子、凝固酵素前駆体、および色素が結合したペプチドを含む反応部に接触させて、C因子から活性型C因子を、B因子から活性型B因子を、凝固酵素前駆体から活性型凝固酵素を次々に発生させるカスケード反応と、活性型凝固酵素によるペプチドからの色素の遊離反応とを生じさせて、遊離反応後の試料および反応部に対して、ディファレンシャルパルスボルタンメトリを適用し、測定される電流値に基づいてエンドトキシンを定量することができる。
カスケード反応により生じた活性型凝固酵素によって、試料および反応部中には、色素が結合したペプチドから色素が遊離する。例えば、色素が結合したペプチドがBoc−Leu−Gly−Arg−pNAである場合、色素はpNAである。
なお、このようなエンドトキシン濃度の測定方法については、例えば特開2012−127695号公報を参照することができる。
酵素および電子受容体はそれぞれ1試験体当り0.3ユニット以上10ユニット以下の範囲内および0.5μg以上200μg以下の範囲内とすることが好ましい。反応部の酵素および電子受容体は、酵素量(力価/ユニット)に準じた反応量が得られるが、反応部の性能を担保する最適重量部の小過剰でよい。
親水性高分子としては、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニル酢酸、ポリビニルブチラール等、またはこれらの混合物を用いることができる。
反応部に用いる界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、若しくはポリエチレングリコール類等が挙げられる。
酵素および電子受容体を含む溶液の塗布方法としては、例えばディスペンサー法を用いることができる。
反応部を形成する場合、酵素は40℃以上で長時間放置すると活性を失うため、溶媒の乾燥は40℃以下で行い、乾燥後は速やかに室温に戻すことが好ましい。
本発明に用いられる絶縁層は、支持基材上に、電極系および端子部が露出し、配線部が覆われるように形成されるものである。配線部を覆うように絶縁層が形成されていることにより、配線部の酸化を防ぐとともに、ショートを防ぐことができる。
接着剤としては、例えば、合成接着剤としてはアクリル系接着剤、エステル系接着剤、ビニル系接着剤、シリコーン系接着剤等、天然接着剤としてはニカワ、天然ゴム、樹液等の澱粉のり・天然高分子等を用いることができる。また、ホットメルト型接着剤を用いることもできる。また、接着剤として両面テープを用いてもよい。
絶縁層の形成方法としては、所定のパターン状に絶縁層を形成することができる方法であればよく、絶縁層の材料等に応じて適宜選択される。例えば、光硬化性樹脂組成物を用いる場合には、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法が挙げられる。また、接着剤として両面テープを用いる場合には、両面テープを打ち抜き加工等によりパターニングした後、支持基材上に両面テープを貼付する方法が挙げられる。
本発明に用いられるスペーサは、支持基材とカバーとの間に間隙を設け、電極系および反応部に試料を供給するための試料供給路を形成するために設けられるものである。
なお、接着剤については、絶縁層に用いられる接着剤と同様であるので、ここでの説明は省略する。
接着層に用いられる接着剤としては、スペーサに用いられる接着剤と同様とすることができる。
本発明における試料供給路は、支持基材とカバーとの間の間隙から構成され、スペーサにより形成される。試料供給路は、スペーサを水平方向に貫通して設けられた流路であり、外部から供給される試料を電極系および反応部に導く。
試料供給路の幅は0.5mm以上5mm以下の範囲内であることが好ましい。試料供給路の幅が狭すぎると、毛細管現象による安定した試料供給が困難になる場合や、また反応部の面積が小さくなり感度が低くなる場合がある。また、試料供給路の幅が広すぎると、バイオセンサを多面付けで製造した場合に個々のバイオセンサに切断する際、スペーサがアーチ状につぶれ、試料供給路内の容積が変化し易くなるおそれがある。試料供給路の幅は、全体にわたって均一の幅であってもよく、試料供給路の奥から入口に向かって幅が広くなっていてもよい。
空気抜き流路は、試料供給路に通じるように配置される。通常、試料供給路が配置される領域において、電極系および反応部よりも奥の領域に空気抜き流路が配置される。
空気抜き流路の形状としては、毛細管現象による試料供給を促進することができれば特に限定されるものではなく、例えば、試料供給路と空気抜き流路とを合わせてT字状の流路を構成することができる。このような構成とすることで、外部から試料が供給された場合に、試料供給路内の空気が逃げる空気抜き流路が機能する。
空気抜き流路の幅は、例えば0.3mm以上10mm以下の範囲内とすることができる。
本発明のバイオセンサは多面付けされたものであってもよい。
図10(a)、(b)は、本発明のバイオセンサを測定装置に接続した様子を示す模式図であり、図10(a)は全体図であり、図10(b)は図10(a)の破線部における測定装置の内部を説明する図である。
図10(a)、(b)に例示するように、測定装置60は、公知の測定装置であって、バイオセンサ1を接続して、試料中に含まれる被検出物を検出する装置である。測定装置60は、例えば、バイオセンサ1で生じた電気信号を受信するための接続電極63、演算部(図示せず)、電源(図示せず)、表示部61および操作部62を備える。バイオセンサ1は、測定装置60の装着部に装着されると、バイオセンサ1の2本の端子部6が測定装置60の接続電極63にそれぞれ接続される。この接続により、バイオセンサ1で生じた電気信号は、測定装置60に伝達される。
(1)モスアイ構造形成用原版の作製
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に、複数の微細孔を備えた凹凸形状を有する陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、モスアイ構造形成用金型Aを得た。なお、アルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均隣接微細孔間距離200nm、平均深さ200nm、孔径100nmで、深さ方向に徐々に断面積が小さくなり、先端部が曲面を有する多数の微細孔が密に形成された微細凹凸形状であった。
厚さ2mmのシート状のポリメタクリル酸メチル(PMMA)基材(三菱レイヨン社製)を準備し、基材を150℃で加熱して軟化させた後、基材に上記モスアイ構造形成用金型Aを接触させて10MPaで加圧した。加圧したまま基材を冷却し、次いでモスアイ構造形成用金型Aを剥離することにより、隣接する突起間の距離の平均値が200nm、平均突起高さ200nmで、突起付け根位置より頂部に向かうに従って、水平断面の断面積が徐々に小さくなるモスアイ構造を得た。
公知のサンドブラスト法によって、厚さ2mmのシート状のポリメタクリル酸メチル(PMMA)基材へ粗面加工し、Ra=0.05μmの粗面を得た。
(1)モスアイ構造形成用原版の作製
実施例1と同様の方法で原版を作製した。
(2)モスアイ構造の形成
実施例1と同様の方法で、ポリアクリロニトリル(PAN)基材(三井化学社製)にモスアイ構造を作製した。
比較例1と同様の方法で、ポリアクリロニトリル(PAN)基材(三井化学社製)に粗面加工し、Ra=0.05μmの粗面を得た。
(1)モスアイ構造形成用原版の作製
実施例1と同様の方法で原版を作製した。
(2)モスアイ構造の形成
実施例1と同様の方法で、ポリエチレン・ポリビニルアルコール共重合体(エバール)基材(クラレ製)にモスアイ構造を作製した。
(1)モスアイ構造形成用原版の作製
実施例1と同様の方法で原版を作製した。
(2)モスアイ構造の形成
実施例1と同様の方法で、ポリカーボネート(PC)基材(帝人化成製)にモスアイ構造を作製した。
比較例1と同様の方法で、ポリカーボネート(PC)基材(帝人化成製)に粗面加工し、Ra=0.05μmの粗面を得た。
厚さ2mmのシート状のポリメタクリル酸メチル(PMMA)基材(三菱レイヨン社製)を準備し、コロナ放電処理(電力量:400W、放電処理速度:30m/min)によって親水化した。
(1)凹凸構造形成用原版の作製
8インチのSiウェハ上に、ポジ型レジスト(日本ゼオン社製、ZEP520)を塗布し、電子線描画装置(日本電子製、JBX9300)にて電子線を露光後、現像して、所定の形状のレジストパターンを形成した。次に、レジストパターンをマスクとして、SiウェハをCF4ガスでドライエッチングした後、O2プラズマアッシングでレジストを除去し、Siウェハ表面に多数の円柱状の微細孔を有する凹凸形状を形成した。凹凸形状は、微細孔間の距離100nm、孔径40nm、平均深さ200nmで、多数の円柱状の微細孔が正方格子状に配列されたものであった。
実施例1と同様の方法で、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)基材(三菱レイヨン社製)に凹凸構造を作製した。凹凸構造は多数の円柱状の突起を有し、突起間の距離100nm、直径40nm、平均高さ200nmで、多数の円柱状の突起は正方格子状に配列されていた。
協和界面科学社製 接触角計(DM 500)を使って、θ/2法によって静的接触角を測定した。この際、着滴1秒後および10秒後に接触角を測定した。また、接触角の測定は、モスアイ構造の形成の直後、2週間後および6ヵ月後に実施した。
一方、比較例4では、コロナ放電処理直後は親水性が良好であったが、2週間後には親水性が劣化した。
また、比較例5では、水の濡れ広がりが遅いため、着滴10秒後に接触角は低くなるが、バイオセンサにおける支持基材およびカバーには不向きであった。
2 … 第1基材
3 … 第1親水層
4 … 電極系
5 … 配線部
6 … 端子部
7 … 絶縁層
8 … スペーサ
10 … 支持基材
11 … 作用極
12 … 対極
13 … 参照極
15 … 反応部
21 … 試料供給路
22 … 空気抜き流路
30 … カバー
31 … 第2基材
32 … 第2親水層
33 … 空気孔
Claims (7)
- 支持基材と、
前記支持基材上に形成された電極系、配線部および端子部と、
前記電極系上に配置された反応部と、
前記支持基材上に、前記電極系および前記端子部が露出し、前記配線部が覆われるように形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成され、前記電極系および前記反応部に試料を供給する試料供給路を形成するスペーサと、
前記スペーサ上に配置されたカバーと
を有するバイオセンサであって、
前記支持基材は、第1基材と、前記第1基材上に形成され、モスアイ構造を有する第1親水層とを有し、
前記カバーは、第2基材と、前記第2基材上に形成され、モスアイ構造を有する第2親水層とを有し、
前記支持基材および前記カバーは前記第1親水層および前記第2親水層が対向するように配置され、
前記第1親水層および前記第2親水層は少なくとも前記試料供給路が配置される領域に形成されていることを特徴とするバイオセンサ。 - 前記第1親水層および前記第2親水層が樹脂組成物を用いて形成されたものであり、前記樹脂組成物を用いて平坦な樹脂層を形成したときの前記樹脂層の表面における純水の静的接触角が、θ/2法で50°以上75°以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ。
- 前記第1親水層が前記第1基材上に部分的に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバイオセンサ。
- 前記第2親水層が前記第2基材上に部分的に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のバイオセンサ。
- 前記第2基材は前記第2基材を貫通する空気孔を有し、前記カバーの前記空気孔の周辺に前記第2親水層よりも親水性が低い第2低親水性領域が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のバイオセンサ。
- 前記支持基材の前記空気孔が配置される領域の周辺に前記第1親水層よりも親水性が低い第1低親水性領域が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のバイオセンサ。
- 前記スペーサにより空気抜き流路が形成されており、前記カバーの前記空気抜き流路の出口の周辺に前記第2親水層よりも親水性が低い第2低親水性領域が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のバイオセンサ。
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