JP2014200819A - ろう付け装置およびろう付け方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロ波を用いて,異種材料を良好にろう付けするろう付け装置およびろう付け方法を提供する。【解決手段】 実施形態に係るろう付け装置は,第1の熱膨張率を有する第1の部材と,この第1の熱膨張率より大きい第2の熱膨張率を有する第2の部材と,をろう材を介して接触させた構造体,を保持する保持部と,前記構造体をマイクロ波で加熱するマイクロ波発生部と,前記構造体を覆う温度調節部材と,前記第1の部材の温度を前記第2の部材の温度より高く,かつ前記ろう材が溶融された第1の状態から,前記第1の部材の温度を前記第2の部材の温度より大きな速度で低減して,前記ろう材が凝固された第2の状態となるように,前記マイクロ波発生部を制御する制御部と,を具備する。【選択図】図3
Description
本発明の実施形態は,ろう付け装置およびろう付け方法に関する。
金属同士を接合する手法として,ろう付けが広く知られている。ろう付けでは,接合する母材よりも融点の低い合金(ろう)を溶融し,一種の接着剤として用いることにより母材自体を溶融させずに接合できる。
このろう付けに際し,マイクロ波を用いて,母材等を加熱して,ろうを溶融する手法が知られている。
このろう付けに際し,マイクロ波を用いて,母材等を加熱して,ろうを溶融する手法が知られている。
ここで,異種材料同士を接合する場合,それぞれの熱膨張率の違いにより,接合部に割れが発生する可能性がある。
本発明が解決しようとする課題は,マイクロ波を用いて,異種材料を良好にろう付けするろう付け装置およびろう付け方法を提供することである。
実施形態に係るろう付け装置は,第1の熱膨張率を有する第1の部材と,この第1の熱膨張率より大きい第2の熱膨張率を有する第2の部材と,をろう材を介して接触させた構造体,を保持する保持部と,前記構造体をマイクロ波で加熱するマイクロ波発生部と,前記構造体を覆う温度調節部材と,前記第1の部材の温度を前記第2の部材の温度より高く,かつ前記ろう材が溶融された第1の状態から,前記第1の部材の温度を前記第2の部材の温度より大きな速度で低減して,前記ろう材が凝固された第2の状態となるように,前記マイクロ波発生部を制御する制御部と,を具備する。
本発明によれば,マイクロ波を用いて,異種材料を良好にろう付けすることが可能となる。
以下,図面を参照して,実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は,本実施形態に係るろう付け装置50の構成を示す。ろう付け装置50は,マイクロ波発生器51と,出力調節器52と,チャンバー53と,真空ポンプ54と,温度情報取得部55と,制御部56とを備える。ろう付け装置50は,チャンバー53内において,異種材料からなる部材同士をろう付けする。
(第1の実施形態)
図1は,本実施形態に係るろう付け装置50の構成を示す。ろう付け装置50は,マイクロ波発生器51と,出力調節器52と,チャンバー53と,真空ポンプ54と,温度情報取得部55と,制御部56とを備える。ろう付け装置50は,チャンバー53内において,異種材料からなる部材同士をろう付けする。
マイクロ波発生器51は,制御部56の制御に応じて所定の周波数のマイクロ波を発生する。マイクロ波発生器51は,構造体8をマイクロ波で加熱するマイクロ波発生部として機能する。マイクロ波は,例えば,周波数300MHz〜300GHzまでの電磁波である。その内,周波数が約30GHz〜300GHzのものは,波長が数mmであることから,ミリ波と呼ばれる。
出力調節器52は,マイクロ波発生器51によって発生された所定の周波数のマイクロ波の出力を制御部56の制御に応じて調節する。出力調節器52で出力が調節されたマイクロ波は,チャンバー53内に設置された接合対象に照射される。なお,制御部56に応じた出力調節器52によるマイクロ波の出力調節については後で詳細に説明をする。
チャンバー53は,接合対象としての構造体8を保持し,その全体にマイクロ波の照射されるようにする。チャンバー53は,構造体8を保持する保持部として機能する。構造体8は,少なくとも2つの対象部材(ろう付けにより接合する対象)同士をろう材を介して接触させたものである。
真空ポンプ54は,チャンバー53内を真空引きして,真空状態とする。
真空ポンプ54は,チャンバー53内を真空引きして,真空状態とする。
図1において,構造体8は,円筒形状の対象部材1と,その上下端(両端)に,それぞれろう材3を介して接触する,円板形状の対象部材2A,2Bから構成される。対象部材1は,セラミック材料であるアルミナセラミックスからなる。対象部材2A,2Bは,金属材料であるステンレス鋼からなる。ろう材3は,チタン2%を含有したろう箔からなる。
このように仮に一体化された構造体8は,チャンバー内53に設置された保持機構によってチャンバー53内に設置される。例えば,チャンバー53内の保持機構は,上下端から構造体8を保持する機械的な保持機構11A,11Bである。これにより構造体8は挟持されチャンバー53内で安定に保持される。
このとき,図1に示すように,構造体8の上下端それぞれに,断熱材21A,21Bが設けられ,この断熱材21A,21Bを介して構造体8が保持されている。この断熱材21A,21Bは,後で詳細に説明をする,構造体8のろう付けに係る温度調節に必要な温度調節部となる。
このように,チャンバー53内に保持された構造体8は,ろう付けに係る温度調節のために側面が断熱材で覆われている。図1に示すように,構造体8の側面には,上部側に断熱材22A,下部側に断熱材22Bが周囲を覆うように巻かれている。なお,図1では,説明及び図面の煩雑さを回避するために,各断熱材を断面図で示している。この断熱材22A,22Bも,断熱材21A,21Bと同様に後で詳細に説明をする,構造体8のろう付けに係る温度調節に必要な温度調節部材となる。
断熱材22A,22Bは,上下に分割して構造体8に巻かれているが,本実施形態はこれに限定されるものではなく,一体化して巻かれるようにしてもよい。上下に分割して巻いているのは,後述する第2の実施形態において説明するが,ろう付けに係る温度調節において断熱材22A,22Bを可動式として,機構的にろう付けに係る温度調節を実行するためである。
なお,断熱材21A,21B,22A,22Bとしては,例えばアルミナ繊維などが好適である。
このような構造体8の表面には,ろう付けに係る温度調節に必要な温度情報を取得するために温度センサとして熱電対5(5A〜5D),6(6A〜6D)が設置されている。
熱電対5は,対象部材1,2A,2Bのバルクの温度を測定し温度情報を温度情報取得部55へ伝える。対象部材1には熱電対5A,5B,対象部材2A,2Bにはそれぞれ熱電対5C,5Dが設けられている。
熱電対6は,対象部材1,2A,2Bとろう材3との近傍の温度を測定し温度情報を温度情報取得部55へ伝える。対象部材1には熱電対6A,6B,対象部材2A,2Bにはそれぞれ熱電対6C,6Dが設けられている。
温度情報取得部55は,熱電対5から伝えられたバルク温度情報と,熱電対6から伝えられたろう材近傍温度情報とを取得して制御部56に伝送する。
制御部56は,ろう付け装置50を統括的に制御する。具体的には,温度情報取得部55から伝送された温度情報に基づき,所定の温度プロファイルに従って異種材料同士がろう付けがなされるように,出力調節器52のマイクロ波出力を制御する。制御部56が異種材料同士をろう付けする際に用いる所定の温度プロファイルについては後で詳細に説明する。
(異種材料について)
ここで,ろう付け装置50によってろう付けされる異種材料の特性について説明をする。異種材料は,一般に熱膨張率が異なることから,ろう付け接合で割れが発生しやすい。このような異種材料同士として,例えば,セラミックス材料と金属材料との組み合わせが挙げられる。金属材料は,セラミックス材料と比較して熱膨張率が大きく,セラミックス材料と金属材料とで熱膨張率に差がある。本実施形態は,これに限定されるものではなく,熱膨張率の差により割れが発生しやすい異種材料同士であればどのようなものにも適用できる。
ここで,ろう付け装置50によってろう付けされる異種材料の特性について説明をする。異種材料は,一般に熱膨張率が異なることから,ろう付け接合で割れが発生しやすい。このような異種材料同士として,例えば,セラミックス材料と金属材料との組み合わせが挙げられる。金属材料は,セラミックス材料と比較して熱膨張率が大きく,セラミックス材料と金属材料とで熱膨張率に差がある。本実施形態は,これに限定されるものではなく,熱膨張率の差により割れが発生しやすい異種材料同士であればどのようなものにも適用できる。
(異種材料の温度に対する伸び特性について)
次に,異種材料の温度に対する伸び特性について説明をする。一般に,材料の温度を上昇させると,それに伴い材料がそれぞれ固有の割合で伸びていく。逆に,材料の温度を下降させると,それに伴い材料が縮んでいく。つまり,材料は温度変化に応じて膨張・収縮する。
次に,異種材料の温度に対する伸び特性について説明をする。一般に,材料の温度を上昇させると,それに伴い材料がそれぞれ固有の割合で伸びていく。逆に,材料の温度を下降させると,それに伴い材料が縮んでいく。つまり,材料は温度変化に応じて膨張・収縮する。
ここでは,伸びの定義として対象部材1,対象部材2A,2Bの接合前の段階で通常使用される温度環境やろう付けを開始する環境下,例えば常温(室温)を基準とし,それ以上の温度に晒されると伸びが発生するものとする。つまり温度を上昇させるろう付け時には伸びが発生し,温度を下降させて,ろう材を凝固させる時には縮んでいく。
次に,説明のため対象部材1をアルミナセラミックスとし,対象部材2A,2Bをステンレス鋼として,マイクロ波で加熱した場合のその温度と各材料の伸びの関係を図2に示す。図2において,対象部材1をASとし(以下,単にASとも呼ぶ)対象部材2A,2BをSK(以下,単にSKとも呼ぶ)として示した。
以下,ろう付け過程を例にして,説明をしていく。
以下,ろう付け過程を例にして,説明をしていく。
(1)ろう付けにおいて,ろう材が溶融を開始するろう付け温度TBまで,温度を上昇させる。ろう付け温度TBまで上昇させると,ASの伸びはLB1となり,SKの伸びはLB2となる。図2に示すように,LB2>>LB1であることから,ろう付け温度において,アルミナセラミックスよりもステンレス鋼の方が伸びている。
(2)次に,ろう付け温度TBから温度を下降させて,ろう材を凝固させる過程を検証する。ろう材が凝固を開始する温度(ろう材凝固温度TS(このとき,ASの温度をT1とする))において,ASの伸びはLS1となり,SKの伸びはLS2となる。図2に示すように,LS2>>LS1であることから,ろう材凝固温度において,アルミナセラミックスよりもステンレス鋼の方が伸びている。
一般に,ろう材3が,ろう材凝固温度以下となり,ろう材3を介して対象部材同士が接合し始めると,応力が生じる。冷却によりろう材3の凝固が進めば,ろう材3の近傍は,応力集中状態となっていく。熱膨張率の差が大きい対象部材同士,言い換えれば伸びの差が大きくなりやすい対象部材同士のろう付け接合で,熱膨張率の差に起因して,大きな応力が発生する。このように異種材料からなる対象部材同士をろう付けした場合,割れが発生する可能性がある。
そこで,本実施形態では,ろう付けにおいて熱膨張率の小さい対象部材1と熱膨張率の大きい対象部材2A,2Bとの温度状態を調節する。
具体的には,ろう材凝固温度まで温度降下させた際に,対象部材1の伸びと,対象部材2A,2Bの伸びとに実質的な差がないように温度状態が調節される。そして,そのまま室温まで冷却していく。これにより,ろう材を介した接合が開始されてから,それぞれの部材の収縮量が,ほぼ同等の値となる。この結果,異種材料同士のろう付けにおける熱膨張率の差による割れの発生を防止できる。
具体的には,熱膨張率の小さい対象部材1の温度が,ろう材凝固温度になった時に,対象部材1の伸びと,対象部材2A,2Bの伸びに実質的な差がないように,対象部材2A,2Bの温度が設定される。
後述の図3に示すように,本実施形態では,対象部材2A,2Bの温度が対象部材1の温度より低い状態で,対象部材1,2A,2Bが冷却される。このため,対象部材2A,2B側が先にろう材凝固温度に達し,その後,対象部材1側がろう材凝固温度に達する。即ち,ろう材3には温度分布があり,先に対象部材1側が凝固し,対象部材2A,2B側に向かって凝固が進行する。ろう材3全体が凝固するまでは(ろう材3の一部が液体状態のときには),ろう材3の近傍での応力が緩和される。しかし,ろう材3全体が凝固したときに,ろう材3の近傍で応力が発生する。このため,対象部材1の温度が,ろう材凝固温度になった時の,対象部材1,2A,2Bの伸びが問題となる。
図2に示すように,ASの温度をろう材凝固温度TS,つまりT1まで降下させたときの伸びはLS1である。また,図2に示すように,常温(室温)を基準として,SKの伸びが,ASの伸びLS1と実質的に差がない状態(略同一),例えば,ASの伸びLS1を基準として,5%以下の状態をLSxとする。また,図2に示すように,伸びがLSxのとき,SKの温度は,Txである。
このように,本実施形態では,対象部材1側の温度がろう材凝固温度における,各対象部材の伸びの違いに着目する。そして,この伸びの違いを解消するような温度プロファイルにて,各対象部材を温度調節することで,異種材料同士のろう付けにおける熱膨張率の差による割れの発生を防止する。
<第1の温度プロファイル>
まず,構造体8へマイクロ波を照射する前に,制御部56の制御により,真空ポンプ54にてチャンバー53内を減圧する。制御部56は,マイクロ波発生器51,出力調節器52を制御して28GHzのマイクロ波をチャンバー53へと導入し,構造体8へとマイクロ波を照射する。ここまでの工程は,後述する各温度プロファイルの説明においても同様であるため以下,省略をする。
まず,構造体8へマイクロ波を照射する前に,制御部56の制御により,真空ポンプ54にてチャンバー53内を減圧する。制御部56は,マイクロ波発生器51,出力調節器52を制御して28GHzのマイクロ波をチャンバー53へと導入し,構造体8へとマイクロ波を照射する。ここまでの工程は,後述する各温度プロファイルの説明においても同様であるため以下,省略をする。
図3を用いて,異種材料同士のろう付け時における第1の温度プロファイルについて説明をする。
この温度プロファイルを実行するにあたり,温度調節には,対象部材1,2A,2Bの材質,形状,寸法に適した断熱材21A,21B,22A,22Bの厚さ,形状などの情報が必要となる。このような情報は,マイクロ波を構造体8に実際に照射し,熱電対5,6を用いて,そのときの温度を検出するといった事前の試験により決定できる。
これらの情報から,第1の温度プロファイルに基づいた温度調節がなされる対象部材1と対象部材2A,2Bの組み合わせと,温度調節部材である断熱材21A,21B,22A,22Bの構造体8に対する覆い量と,マイクロ波発生器51から照射するマイクロ波の出力とを決定できる。
マイクロ波の出力は,温度情報取得部55から取得した熱電対5による温度情報に基づいた制御部56の制御により,第1の温度プロファイルに従うように出力調節器52で調節される。
第1の温度プロファイルでは,時間tBSまでかけて,対象部材1(AS)をろう付け温度TBまで上昇させる。ここでは,対象部材1は,アルミナセラミックスであることからステンレス鋼よりもマイクロ波により加熱されやすいことを利用している。これにより,図3に示すように,対象部材1は,対象部材2A,2B(SK)よりも早くろう付け温度TBまで上昇する。つまり,第1の温度プロファイルでは,対象部材1の温度と対象部材2A,2Bの温度とに差をつけて上昇させる。
続いて,時間tBs〜tBEまでかけてろう付け時間を保持する。これにより,ろう材3全体を溶融させる。
次に,制御部56の制御により出力調節器52を制御してマイクロ波の出力を徐々に下げていき,時間tSにて対象部材1を温度T1(ろう材凝固温度TS)となるように下降させる。また,時間tSのとき,対象部材2A,2Bの温度をTxとなるように下降させる。
つまり,対象部材1と対象部材2A,2Bの組み合わせと,断熱材21A,21B,22A,22Bと,マイクロ波発生器51から照射するマイクロ波の出力とから,熱膨張率の小さい対象部材1より熱膨張率の大きい対象部材2A,2Bの温度を低い状態にしてろう材3を溶融させた後,対象部材2A,2Bよりも対象部材1の冷却速度を速くする。
さらに具体的には,対象部材1の温度が,ろう材凝固温度になった場合に,その時の対象部材1の伸びと,対象部材2A,2Bの伸びとに実質的な差がないような温度状態となるように,対象部材2A,2Bよりも対象部材1の冷却速度を速くする。これを室温まで冷却していった場合,異種材料の収縮量をほぼ同等の値とできる。
したがって,熱膨張率に差がある部材同士の接合であっても,収縮量の差で割れが発生してしまうことを低減できる。これにより,異種材料からなる部材同士のろう付け接合を良好とできる。ここでは,簡易的にろう材凝固温度以下で応力が発生すると説明したが,実際には凝固後さらに温度が下がり,ろう材に相応の剛性が生じる温度をこの基準温度としても良い。
(構造体8の温度分布について)
既述のように,厚さ,形状などを決定された各断熱材21A,21B,22A,22Bを配置することにより,マイクロ波の出力を調節することでの対象部材1,2A,2Bの温度をある程度まで独立して制御できる。
既述のように,厚さ,形状などを決定された各断熱材21A,21B,22A,22Bを配置することにより,マイクロ波の出力を調節することでの対象部材1,2A,2Bの温度をある程度まで独立して制御できる。
しかしながら,構造体8は,一体化していることから,ろう材3を介して熱伝導により常に平衡状態となるような温度分布へ推移しようとする。したがって,対象部材1と対象部材2A,2Bとは,厳密に言えば完全に独立した温度状態ではなく,連続な温度勾配が生じた状態となっている。したがって,熱電対5で検出されるバルクの温度も対象部材の設置位置により異なっている。
つまり,ろう材3の実際の温度と,熱電対5で検出される温度とは異なっている可能性がある。
例えば,第1の温度プロファイルを実行する際,ろう材3でろう付け開始温度TBに達していたとしても,対象部材1に設置した熱電対5で検出された温度がその温度に達していない場合が考えられる。逆に,対象部材1に設置した熱電対5で検出された温度がろう付け開始温度TBに達していたとしても,ろう材3の温度がその温度に達していない場合も考えられる。
そこで,あらかじめの試行実験により得られた情報を用いて,制御部56により,熱電対5で検出される温度に対して補正処理をする。そして,この補正処理をした値をマイクロ波の出力を調節する際に用いるようにしてもよい。
なお,この構造体8の温度分布については,後述する第2〜第3の温度プロファイルを用いた実施形態および第2〜第5の実施形態においても同様である。
<第2の温度プロファイル>
次に,図4を用いて,異種材料同士のろう付け時における第2の温度プロファイルについて説明をする。
次に,図4を用いて,異種材料同士のろう付け時における第2の温度プロファイルについて説明をする。
この温度プロファイルを実行するにあたり,温度調節には,対象部材1,2A,2Bの材質,形状,寸法に適した断熱材21A,21B,22A,22Bの厚さ,形状などの情報が必要となる。このような情報は,マイクロ波を構造体8に実際に照射し,熱電対5,6を用いて,そのときの温度を検出するといった事前の試験により決定されることになる。
これらの情報から,第2の温度プロファイルに基づいた温度調節がなされる対象部材1と対象部材2A,2Bの組み合わせと,温度調節部材である断熱材21A,21B,22A,22Bの構造体8に対する覆い量と,マイクロ波発生器51から照射するマイクロ波の出力とが決まる。
マイクロ波の出力は,温度情報取得部55から取得した熱電対5による温度情報に基づいた制御部56の制御により,第2の温度プロファイルにしたがうように出力調節器52で調節される。
第2の温度プロファイルでは,時間tBSまでかけて,対象部材2A,2B(SK)をろう付け温度TBまで上昇させる。ここで,対象部材1(AS)は,アルミナセラミックスであることからステンレス鋼よりもマイクロ波により加熱されやすいため対象部材2A,2Bよりも高い温度上昇勾配となる。これにより,図4に示すように,対象部材2A,2Bは,温度TBまで上昇する。つまり,第2の温度プロファイルでは,対象部材1の温度と対象部材2A,2Bの温度とに差をつけて上昇させる。
続いて,時間tBs〜tBEまでかけてろう付け時間を保持する。これにより,ろう材3全体を溶融させる。
次に,制御部56の制御により出力調節器52を制御してマイクロ波の出力を徐々に下げていき,時間tSにて対象部材1を温度T1(ろう材凝固温度TS)となるように下降させる。また,時間tSのとき,対象部材2A,2Bの温度をTxとなるように下降させる。
つまり,対象部材1と対象部材2A,2Bの組み合わせと,断熱材21A,21B,22A,22Bと,マイクロ波発生器51から照射するマイクロ波の出力とから,熱膨張率の小さい対象部材1より熱膨張率の大きい対象部材2A,2Bの温度を低い状態にしてろう材3を溶融させた後,対象部材2A,2Bよりも対象部材1の冷却速度を速くする。
さらに具体的には,対象部材1の温度が,ろう材凝固温度になった場合に,その時の対象部材1の伸びと,対象部材2A,2Bの伸びとに実質的な差がないような温度状態となるように,対象部材2A,2Bよりも対象部材1の冷却速度を速くする。これを室温まで冷却していった場合,異種材料の収縮量をほぼ同等の値とできる。
したがって,熱膨張率に差がある部材同士の接合であっても,収縮量の差で割れが発生してしまうことを低減できる。これにより,異種材料からなる部材同士のろう付け接合を良好とできる。
(第2の実施形態)
本実施形態として図5に示すろう付け装置60は,第1の実施形態で示したろう付け装置50の断熱材22A,22Bを可動式として,機構的にろう付けに係る温度調節を可能とするものである。
本実施形態として図5に示すろう付け装置60は,第1の実施形態で示したろう付け装置50の断熱材22A,22Bを可動式として,機構的にろう付けに係る温度調節を可能とするものである。
このように断熱材22A,22Bを可動式とする場合には,断熱材可動機構12A,12Bが設けられる。断熱材可動機構12A,12Bは,機械的に可動な機構を有し,制御部56の制御に応じて各断熱材22A,22Bを可動させ,構造体8の覆い量を変化させることで,ろう付けに係る温度調節を実行できる。
具体的には,制御部56の制御により断熱材可動機構12A,12Bを可動させ,断熱材22A,22Bの各対象部材1,2A,2Bに対する覆い量を変化させる。
上述したような温度プロファイルを実行するにあたり,温度調節には,対象部材1,2A,2Bの材質,形状,寸法に適した断熱材21A,21B,22A,22Bの厚さ,形状などの情報が必要となる。このような情報は,マイクロ波を構造体8に実際に照射し,熱電対5,6を用いて,そのときの温度を検出するといった事前の試験により決定されることになる。
これらの情報から,各温度プロファイルに基づいた温度調節がなされる対象部材1と対象部材2A,2Bの組み合わせと,温度調節部材である断熱材21A,21B,22A,22Bの構造体8に対する覆い量と,マイクロ波発生器51から照射するマイクロ波の出力とが決まる。
断熱材22A,22Bは,制御部56の制御により断熱材可動機構12A,12Bによって可動できるため,決定された覆い量となるように変化させればよい。
これにより,制御部56は,マイクロ波の出力を調節することで,各温度プロファイルに基づいた温度調節を可能とする。さらに,制御部56は,各温度プロファイルに基づいた温度調節をマイクロ波の出力を調節するだけではなく,断熱材可動機構12A,12Bにより断熱材22A,22Bを移動することで調節してもよい。つまり,マイクロ波の出力の調節,断熱材22A,22Bの覆い量の変化により,各温度プロファイルに基づいた温度調節を実行してもよい。
これにより,より確実に各温度プロファイルに基づく温度調節を実現できる。
したがって,熱膨張率に差がある部材同士の接合であっても,収縮量の差で割れが発生してしまうことを低減できる。これにより,異種材料からなる部材同士のろう付け接合を良好とできる。
(第3の実施形態)
本実施形態で用いられる装置は,第1,第2の実施形態で用いたろう付け装置50,60とほぼ同一であるため説明のため省略をする。なお,構造体8に対する断熱材の覆い方に変更があるため説明をする。具体的には,図6(a)に示すように,対象部材1,2A,2Bそれぞれを覆うように断熱材31,32A,32Bが独立して巻かれている。なお,図6では,説明及び図面が煩雑となるのを回避するため各断熱材のみを断面図として示している。
本実施形態で用いられる装置は,第1,第2の実施形態で用いたろう付け装置50,60とほぼ同一であるため説明のため省略をする。なお,構造体8に対する断熱材の覆い方に変更があるため説明をする。具体的には,図6(a)に示すように,対象部材1,2A,2Bそれぞれを覆うように断熱材31,32A,32Bが独立して巻かれている。なお,図6では,説明及び図面が煩雑となるのを回避するため各断熱材のみを断面図として示している。
<第3の温度プロファイル>
本実施形態においては,図7に示す第3の温度プロファイルに基づいて,ろう付けに係る温度調節が実行される。図7を用いて,異種材料同士のろう付け時における第3の温度プロファイルについて説明をする。
本実施形態においては,図7に示す第3の温度プロファイルに基づいて,ろう付けに係る温度調節が実行される。図7を用いて,異種材料同士のろう付け時における第3の温度プロファイルについて説明をする。
この温度プロファイルを実行するにあたり,温度調節には,対象部材1,2A,2Bの材質,形状,寸法に適した断熱材31,32A,32Bの厚さ,形状などの情報が必要となる。このような情報は,マイクロ波を構造体8に実際に照射し,熱電対5,6を用いて,そのときの温度を検出するといった事前の試験により決定されることになる。
これらの情報から,第3の温度プロファイルに基づいた温度調節がなされる対象部材1と対象部材2A,2Bの組み合わせと,温度調節部材である断熱材31,32A,32Bの構造体8に対する覆い量と,マイクロ波発生器51から照射するマイクロ波の出力とが決まる。
マイクロ波の出力は,温度情報取得部55から取得した熱電対5,6による温度情報に基づいた制御部56の制御により,第3の温度プロファイルにしたがうように出力調節器52で調節される。
・ステップ(a)
図7に示すように,第3の温度プロファイルでは,時間tBSまでかけて,対象部材1(AS)と対象部材2A,2B(SK)をろう付け温度TBまで上昇させる。ここでは,熱膨張率の小さい対象部材1の温度と熱膨張の大きい対象部材2A,2Bの温度とを略同一(例えば,温度差が10℃以下)にして上昇させる。
図7に示すように,第3の温度プロファイルでは,時間tBSまでかけて,対象部材1(AS)と対象部材2A,2B(SK)をろう付け温度TBまで上昇させる。ここでは,熱膨張率の小さい対象部材1の温度と熱膨張の大きい対象部材2A,2Bの温度とを略同一(例えば,温度差が10℃以下)にして上昇させる。
続いて,時間tBs〜tBEまでかけてろう付け時間を保持する。これにより,ろう材3全体を溶融させる。
・ステップ(b)
次に,図7に示すように,制御部56の制御により出力調節器52を制御してマイクロ波の出力を徐々に下げていく。
次に,図7に示すように,制御部56の制御により出力調節器52を制御してマイクロ波の出力を徐々に下げていく。
このとき,図6(b)に示すように,対象部材1(AS)と対象部材2A,2B(SK)とを分離させる。なお,この分離は,図示しないチャンバー53に設けられた機械的機構部によって実行される。この際,各対象部材間に挿入されているろう材3の箔は,すでに溶融しているため両対象部材の接合面には溶融したろう層が形成されている。この機械的機構部は,「ろう材が溶融された後,前記第1,第2の部材を分離し,前記第2の部材の温度が低減された後,前記第1,第2の部材を接触させることで,前記第1,第2の部材を接合する接合機構」に対応する。
このステップ(b)では,上述の分離後,第1の実施形態などと同様に,時間tSにて対象部材1を温度T1(ろう材凝固温度TS)となるように下降させる。また,時間tSのとき,対象部材2A,2Bの温度をTxとなるように下降させる。このとき,対象部材2A,2Bの温度が,ろう材凝固温度TSとなるまで,対象部材1よりも対象部材2A,2Bの冷却速度を速くする。
本実施形態では,断熱材を分割式にし,対象部材2A,2Bの周囲の断熱材32A,32Bの覆い量を少なくすることで放熱量を増加させればよい。このように温度差をつけると第1の実施形態と同様に,対象部材1と対象部材2A,2Bとの分離段階から室温までの収縮量の差がほとんどなくなる。
ステップ(b)で,対象部材1と対象部材2A,2Bとを分離させるのは,冷却の途中で,対象部材1よりも温度を低くする対象部材2A,2B側のろう材3が先に凝固し始め,両対象部材間に拘束力が発生し,温度TSの段階で接合面の両側で収縮量に差が発生する可能性を排除するためである。
・ステップ(c)
対象部材2A,2Bの温度がTxに達した以降のステップ(c)では,図7(c)に示すように,対象部材1と対象部材2A,2Bをろう材3を介して接触させる。対象部材間の間隔は通常のろう付き隙間と同様の例えば0.05〜0.1mm程度とする。このステップ(c)では,対象部材1と対象部材2A,2Bがほぼ同様に収縮しながら室温まで冷却される。
対象部材2A,2Bの温度がTxに達した以降のステップ(c)では,図7(c)に示すように,対象部材1と対象部材2A,2Bをろう材3を介して接触させる。対象部材間の間隔は通常のろう付き隙間と同様の例えば0.05〜0.1mm程度とする。このステップ(c)では,対象部材1と対象部材2A,2Bがほぼ同様に収縮しながら室温まで冷却される。
本実施形態によれば,第1の実施形態と同様に,熱膨張率が異なり,ろう付けで割れが発生しやすいセラミックス材料と金属材料といった異種材料間でのろう付けにおいて,ろう材凝固開始時における両対象部材間の伸びに実質的な差がない状態とした。このため,その後の室温までの冷却過程での両対象部材の収縮量をほぼ同様の値とできる。これにより,アルミナセラミックス製の対象部材1の割れ発生を防止できる。
したがって,熱膨張率に差がある部材同士の接合であっても,収縮量の差で割れが発生してしまうことを低減できる。これにより,異種材料からなる部材同士のろう付け接合を良好とできる。
このように説明した第1乃至第3の温度プロファイルは,図示しないメモリなどに当該温度プロファイルを実行するのに必要な各種情報とともにプログラムとして記憶されている。制御部56は,これらの温度プロファイル,各種情報を適宜読み出して実行することでろう付け装置50,60によるろう付けを行う。
(第4の実施形態)
上述した第1の実施形態,第3の実施形態における第1乃至第3の温度プロファイルを実行するために構造的な温度調節手法の構成の一例について図8,図9を用いて説明をする。
上述した第1の実施形態,第3の実施形態における第1乃至第3の温度プロファイルを実行するために構造的な温度調節手法の構成の一例について図8,図9を用いて説明をする。
まず,図8,図9に示すように,温度調節対象について説明をする。円筒形状の対象部材1と,その一端(下端)に,ろう材3を介して円筒形状の対象部材2を接合する。対象部材1は,アルミナセラミックス製からなる。対象部材2は,ステンレス鋼からなる。ろう材3は,チタン2%を含有したろう箔からなる。これらを,互いに接触させ密着させることでマイクロ波の照射対象となる構造体8となる。
このように仮に一体化された構造体8は,図示しないチャンバー内に設置された保持機構によってチャンバー内に設置される。例えば,チャンバー内の保持機構は,上下端から構造体8を保持する機械的な保持機構11A,11Bである。これにより構造体8は挟持されチャンバー内で安定保持される。
このとき,図8に示すように,構造体8の上下端それぞれには,断熱材21A,21Bが設けられておりこの断熱材21A,21Bを介して構造体8が保持されている。
続いて,図8に示す構成について説明をする。アルミナセラミックス製の対象部材1の周囲には,発熱材からなる発熱体41が配置されている。また,ステンレス鋼製の対象部材2の周囲には放熱材からなる放熱カバー42が配置されている。さらに発熱体41の周囲には対象部材1のための断熱材からなる断熱カバー43が配置され,放熱カバー42の周囲には対象部材2のための断熱材からなる断熱カバー44がそれぞれ配置されている。
上述した発熱材は,マイクロ波で加熱されやすい材料である。また,放熱材は,マイクロ波による発熱を放熱しやすい材料である。さらに,断熱材は,マイクロ波を透過しやすく断熱効果のある材料である。
なお,発熱体41,放熱カバー42,断熱カバー43,44は,それぞれ対象部材1,2の周囲を覆うような略円筒の形状であるが,説明及び図面の煩雑さを回避するため断面図で示している。
これらの発熱体41,放熱カバー42,断熱カバー43,44は,温度調節部材であり,各々独立で対象部材1,対象部材2に対する覆い量を変化できるように機械的に動作する可動機構48A〜48Dを備えている。可動機構48A〜48Dは,制御部56の制御に応じて発熱体41,放熱カバー42,断熱カバー43,44を可動させ,対象部材1,対象部材2の覆い量を変化させることで,ろう付けに係る温度調節を実行できる。
つまり,発熱体41,断熱カバー43を可動機構48A,48Cにてそれぞれ独立に移動することで対象部材1の温度調節を実行する第1の可動機構が構築される。また,放熱カバー42,断熱カバー44を可動機構48B,48Dにてそれぞれ独立に移動することで対象部材2の温度調節を実行する第2の可動機構が構築される。この第1の可動機構,第2の可動機構は,上述した第1乃至第3の温度プロファイルを実行可能であれば,少なくともいずれか一方のみ設けられていればよい。
チャンバー53内に導入されるマイクロ波の出力を照射対象毎に変化させることは容易でない。そこで,上述した第1乃至第3の温度プロファイルに基づく制御を実現するために,このように対象部材1と対象部材2との間に温度差を設けて独立して温度調節をする。
具体的には,発熱体41,放熱カバー42,断熱カバー43,44の覆い量を変化させて対象部材1,対象部材2の温度調節するものである。
対象部材1に対する発熱体41の覆い量を少なくすると,対象部材1の温度上昇を抑えることができる。一方,対象部材2の放熱カバー42の覆い量を少なくすると対象部材2の温度上昇を速めることができる。
また,対象部材1の断熱カバー43の覆い量を少なくすると対象部材1の温度上昇を抑えたり,温度降下を速くしたりできる。一方,対象部材2の断熱カバー44の覆い量を少なくすると対象部材2の温度上昇を抑えたり,温度降下を速くしたりできる。
上述したような温度プロファイルを実行するにあたり,温度調節には,対象部材1,2の材質,形状,寸法に適した発熱体41,放熱カバー42,断熱カバー43,44の厚さ,形状などの情報が必要となる。このような情報は,マイクロ波を構造体8に実際に照射し,熱電対5,6を用いて,そのときの温度を検出するといった事前の試験により決定されることになる。
これらの情報から,各温度プロファイルに基づいた温度調節がなされる対象部材1と対象部材2の組み合わせと,温度調節部材である発熱体41,放熱カバー42,断熱カバー43,44の構造体8に対する覆い量と,マイクロ波発生器51から照射するマイクロ波の出力とが決まる。
発熱体41,放熱カバー42,断熱カバー43,44は,制御部56の制御により可動機構48A,48B,48C,48Dによって可動できるため,決定された覆い量となるように変化させればよい。
これにより,制御部56は,マイクロ波の出力を調節することで,各温度プロファイルに基づいた温度調節を可能とする。さらに,制御部56は,各温度プロファイルに基づいた温度調節をマイクロ波の出力を調節するだけではなく,可動機構48A,48B,48C,48Dにより発熱体41,放熱カバー42,断熱カバー43,44を移動することで調節してもよい。つまり,マイクロ波の出力の調節,発熱体41,放熱カバー42,断熱カバー43,44の覆い量の変化により,各温度プロファイルに基づいた温度調節を実行してもよい。
このようにして,第1乃至第3の温度プロファイルに基づき,制御部56にて可動機構48A,48B,48C,48Dを制御することで,ろう付けに係る温度調節をより正確で良好に実行できる。
また,図9に示すように,図8で示した対象部材1の周囲に設けられた発熱体41と断熱カバー43との間に放熱カバー45を設けるようにしてもよい。また,さらには,図8で示した対象部材2の周囲に設けられた放熱カバー42の内側に,発熱体46を設けるようにしてもよい。新たに設けられた放熱カバー45,発熱体46も制御部56の制御により,可動機構48E,48Fによって独立に制御できる。
これにより,対象部材1,対象部材2には,それぞれ発熱体41,46,放熱カバー45,42,断熱カバー43,44という3種類の機能層が設置されることになる。これらの材料の覆い量の変化により内部の対象部材1,2の温度上昇と降下速度をよりきめ細かく調節できるようになる。
また,図8,図9に示す例では,発熱体,放熱カバー,断熱カバーは各々1層であるが,これらの機能層を適宜複数層にしてもよい。これにより,対象部材1,2に対する覆い量を変化させることで,さらにきめ細かな温度調節を実行できるようになる。
ここでは,発熱体41,46に炭化ケイ素,放熱カバー42,45に純銅,断熱カバー43,44にアルミナファイバーを用いているが,使用するマイクロ波の周波数に対して,発熱しやすい材料(発熱材),発熱しにくく放熱しやすい材料(放熱材),マイクロ波を透過しやすく断熱性に優れる材料(断熱材)であれば上記の材料に限定されるものではない。また,ここでは,各層は単純な円筒形であるが,複雑形状の構造体8の温度を均一にしたり,あるいは部品の接合部のみを選択的に加熱するために,対象部材1,2に対する各位置で厚さや形状が異なるものとしたり,部品の一部分にこれらを設けたりすることも可能である。
本実施形態によれば,一定出力のマイクロ波が導入されたチャンバー53内に配置された構造体8間に対して物理的に温度差をつけて温度を上昇,降下させることが容易となる。したがって,制御部56の制御による第1乃至第3の温度プロファイルに基づいた制御によって,熱膨張率に差がある部材同士の接合であっても,収縮量の差で割れが発生してしまうことを低減できる。これにより,異種材料からなる部材同士のろう付け接合を良好とできる。
(第5の実施形態)
上述した第1,第2の実施形態では,ろう材3を介して接合部に温度差をつけた状態で温度上昇させている。また,第1乃至第3の温度プロファイルのように,ろう付け温度保持時も温度差をつけている場合などでは,温度が低い側の対象部材の接合面に対するろう材の接合性が低下してしまうことがある。
上述した第1,第2の実施形態では,ろう材3を介して接合部に温度差をつけた状態で温度上昇させている。また,第1乃至第3の温度プロファイルのように,ろう付け温度保持時も温度差をつけている場合などでは,温度が低い側の対象部材の接合面に対するろう材の接合性が低下してしまうことがある。
これを防止するために,図10(a)のようにあらかじめ対象部材1と対象部材2A,2Bの各々の接合面にろう材3の層を設けておき,図10(b)のように接合をする。これにより,上述したようなろう材3の接合性の低下を防止することが可能となる。また,接合面の温度が低い側である対象部材2A,2Bに対するろう材3のぬれ性低下を防止できる。
なお,このろう材3の層の形成は,マイクロ波加熱に限定されるものではなく,通常用いられるバーナ,加熱炉,高周波誘導,レーザ等の方法を用いても良い。
なお,このろう材3の層の形成は,マイクロ波加熱に限定されるものではなく,通常用いられるバーナ,加熱炉,高周波誘導,レーザ等の方法を用いても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが,これらの実施形態は,例として提示したものであり,発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は,その他の様々な形態で実施されることが可能であり,発明の要旨を逸脱しない範囲で,種々の省略,置き換え,変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は,発明の範囲や要旨に含まれるとともに,特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1,2(2A,2B) 対象部材
3 ろう材
5(5A〜5D),6(6A〜6D) 熱電対
8 構造体
11A,11B 保持機構
12A,12B 断熱材可動機構
21A,21B,22A,22B 断熱材
31,32A,32B 断熱材
41,46, 発熱体
42,45 放熱カバー
43,44 断熱カバー
48A〜48F 可動機構
50,60 ろう付け装置
51 マイクロ波発生器
52 出力調節器
53 チャンバー
54 真空ポンプ
55 温度情報取得部
56 制御部
3 ろう材
5(5A〜5D),6(6A〜6D) 熱電対
8 構造体
11A,11B 保持機構
12A,12B 断熱材可動機構
21A,21B,22A,22B 断熱材
31,32A,32B 断熱材
41,46, 発熱体
42,45 放熱カバー
43,44 断熱カバー
48A〜48F 可動機構
50,60 ろう付け装置
51 マイクロ波発生器
52 出力調節器
53 チャンバー
54 真空ポンプ
55 温度情報取得部
56 制御部
Claims (10)
- 第1の熱膨張率を有する第1の部材と,この第1の熱膨張率より大きい第2の熱膨張率を有する第2の部材と,をろう材を介して接触させた構造体,を保持する保持部と,
前記構造体をマイクロ波で加熱するマイクロ波発生部と,
前記構造体を覆う温度調節部材と,
前記第1の部材の温度を前記第2の部材の温度より高く,かつ前記ろう材が溶融された第1の状態から,前記第1の部材の温度を前記第2の部材の温度より大きな速度で低減して,前記ろう材が凝固された第2の状態となるように,前記マイクロ波発生部を制御する制御部と,
を具備するろう付け装置。 - 前記第2の部材の温度が前記ろう材の凝固点のときに,前記第1の部材の温度が前記ろう材の凝固点より大きく,かつ室温からの前記第1の部材の伸び量と,前記第2の部材の伸び量が,略同一である
請求項1記載のろう付け装置。 - 前記第1の部材が,セラミック材料であり,前記第2の部材が,金属材料である
請求項1または2に記載のろう付け装置。 - 前記温度調節部材が,熱を遮断する断熱材,熱を放出する放熱材,または前記マイクロ波によって発熱する発熱材のいずれかである
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のろう付け装置。 - 前記温度調節部材が,前記第1,第2の部材それぞれを覆う第1,第2の温度調節部材を有し,
前記第1,第2の温度調節部材を移動させ,前記第1,第2の部材それぞれの覆い量を変化させる可動機構をさらに具備する,
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のろう付け装置。 - 前記制御部が,前記第1,第2の部材に温度差がある状態で前記ろう材を溶融することで,前記第1の状態に至るように,前記マイクロ波発生部を制御する
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のろう付け装置。 - 前記制御部が,前記第1,第2の部材の温度が略同一の状態で前記ろう材が溶融された後,前記第2の部材の温度を低減することで,前記第1の状態に至るように,前記マイクロ波発生部を制御する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のろう付け装置。 - 前記ろう材が溶融された後,前記第1,第2の部材を分離し,前記第2の部材の温度が低減された後,前記第1,第2の部材を接触させることで,前記第1,第2の部材を接合する接合機構,
をさらに具備する請求項7記載のろう付け装置。 - 前記第1,第2の部材の少なくともいずれかに,前記ろう材が塗布されている
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のろう付け装置。 - 第1の熱膨張率を有する第1の部材と,この第1の熱膨張率より大きい第2の熱膨張率を有する第2の部材と,をろう材を介して接触させ,温度調節部材で覆われた構造体,をマイクロ波で加熱し,前記第1の部材の温度を前記第2の部材の温度より高く,かつ前記ろう材が溶融された第1の状態とするステップと,
前記第1の部材の温度を前記第2の部材の温度より大きな速度で低減して,前記ろう材が凝固された第2の状態となるように,前記マイクロ波を制御するステップと,
を具備するろう付け方法。
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