JP2014199269A - ローラの製造方法、ローラの製造装置、定着ローラ及び加圧ローラ - Google Patents
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【課題】しわや離型性チューブの被覆位置ずれの発生しがたいローラの製造装置を提供する。
【解決手段】円筒状または円柱状の芯金1と、該芯金外周に形成される弾性層2と、該弾性層外周に形成される離型層3と、からなるローラを製造するためのローラ製造装置であって、周面に貫通孔10A,10B,11が設けられ、当該貫通孔から周外に吸引可能な吸引筒8と、前記貫通孔10A,10B,11に吸引パイプ12,13を介して接続される吸引具14と、前記吸引筒8と同軸を維持したまま、当該吸引筒8に抜き差し方向に駆動する抜差駆動機構16と、円筒状で径方向に膨張収縮可能な膨張部材6、または、前記芯金1を前記抜差駆動機構16に支持させて、前記抜差駆動機構16の駆動に応じて、これらを前記吸引筒8内に抜き差しさせるチャック部材部材15と、を備える。
【選択図】図5
【解決手段】円筒状または円柱状の芯金1と、該芯金外周に形成される弾性層2と、該弾性層外周に形成される離型層3と、からなるローラを製造するためのローラ製造装置であって、周面に貫通孔10A,10B,11が設けられ、当該貫通孔から周外に吸引可能な吸引筒8と、前記貫通孔10A,10B,11に吸引パイプ12,13を介して接続される吸引具14と、前記吸引筒8と同軸を維持したまま、当該吸引筒8に抜き差し方向に駆動する抜差駆動機構16と、円筒状で径方向に膨張収縮可能な膨張部材6、または、前記芯金1を前記抜差駆動機構16に支持させて、前記抜差駆動機構16の駆動に応じて、これらを前記吸引筒8内に抜き差しさせるチャック部材部材15と、を備える。
【選択図】図5
Description
本発明は、複写機、プリンタ、FAXなどの画像形成装置の定着部に用いられるローラの製造方法、ローラの製造装置、定着ローラ及び加圧ローラに関するものである。
電子写真装置等の定着部に用いられる加圧ローラは、省エネのため定着時の熱を逃さないように高い断熱性が要求され、また、定着性向上のためローラを押しつぶしてニップを確保する必要があるので硬度が高すぎてはいけない。
これらの要求を満足するために、加圧ローラを構成する材料には、液状シリコーンゴム中の分散した水を気化することによって得られる水発泡ゴム、もしくはミラブルシリコーンゴムに揮発性の高い樹脂ビーズによって得られる化学発泡ゴムが多く用いられる。
加圧ローラは、さらに、通紙する際に紙と定着ローラ又はベルトとの離型性が必要となるため、弾性層外周に離型性の高いPFA(四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体)等のフッ素樹脂製のチューブが被覆される。また、定着側とのすべりを防止するため、グリップとしてローラ両端部にはタック性の高いゴムが塗布され硬化される。
従来工法で上記の加圧ローラを製造するためには、まず、芯金と、芯金外周部の弾性層と、からなるローラの弾性層両端部にグリップとなるゴムが塗布され硬化される。その後、グリップ部をマスクした状態で弾性層全体に接着剤が塗布され、長めのPFAチューブが軸方向に張架しながら被覆、硬化された後、PFAチューブがカットされ、グリップ部が露出される。
しかしながら上記の製造方法では、PFAチューブをカットする際に弾性層にわずかながら切れ目が入ってしまい、そこを起点にローラに裂け目が入ってしまうといった現象が発生することがあり、その場合は、ローラの耐久性を低下させてしまう。
そこで、本発明は、しわや離型性チューブの被覆位置ずれ等の発生しがたいローラの製造方法と、ローラの製造装置と、この方法または装置で製造される定着ローラ及び加圧ローラと、を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するため、請求項1に係る発明は、
円筒状または円柱状の芯金と、該芯金外周に形成される弾性層と、該弾性層外周に形成される離型層と、からなるローラの製造方法であって、
(1)前記離型層の前駆体である離型性チューブに、円筒状で径方向に膨張収縮可能な膨張部材を挿嵌し、これを、周面に設けられた貫通孔から周外に吸引可能な吸引筒内に挿入する離型性チューブ挿入工程と、
(2)前記吸引筒の吸引を開始して、前記膨張部材を膨張させることにより前記離型性チューブを拡径し、前記吸引筒内面に吸着させ、次いで前記膨張部材を収縮させて、前記離型性チューブを前記膨張部材から解放する離型性チューブ吸着工程と、
(3)前記弾性層の前駆体である弾性チューブに、その外周に接着剤を塗布した上で前記膨張部材を挿嵌し、または、前記膨張部材を挿嵌した上でその外周に接着剤を塗布し、前記吸引が維持された前記吸引筒と同軸を維持したまま、前記離型性チューブの内側に挿入する弾性チューブ挿入工程と、
(4)前記膨張部材を膨張させることにより前記弾性チューブを拡径し、前記吸引筒内面に吸着させて、前記離型性チューブの内周に密着させる層間密着工程と、
(5)前記離型性チューブと前記弾性チューブとの密着状態を維持させたまま、両者間の前記接着剤を硬化させて両者を接着する層間接着工程と、
(6)前記芯金を、その外周に接着剤を塗布した上で、前記吸引が維持された前記吸引筒と同軸上で、前記弾性チューブの内側に挿入する芯金挿入工程と、
(7)前記吸引筒の吸引を解除して、接着状態の前記離型性チューブ及び前記弾性チューブを収縮させ、前記芯金の外周に前記弾性チューブを密着させる芯金密着工程と、
(8)前記弾性チューブと前記芯金との密着状態を維持させたまま、両者間の前記接着剤を硬化させて両者を接着する芯金接着工程と、
が上記順序で行われることを特徴としている。
円筒状または円柱状の芯金と、該芯金外周に形成される弾性層と、該弾性層外周に形成される離型層と、からなるローラの製造方法であって、
(1)前記離型層の前駆体である離型性チューブに、円筒状で径方向に膨張収縮可能な膨張部材を挿嵌し、これを、周面に設けられた貫通孔から周外に吸引可能な吸引筒内に挿入する離型性チューブ挿入工程と、
(2)前記吸引筒の吸引を開始して、前記膨張部材を膨張させることにより前記離型性チューブを拡径し、前記吸引筒内面に吸着させ、次いで前記膨張部材を収縮させて、前記離型性チューブを前記膨張部材から解放する離型性チューブ吸着工程と、
(3)前記弾性層の前駆体である弾性チューブに、その外周に接着剤を塗布した上で前記膨張部材を挿嵌し、または、前記膨張部材を挿嵌した上でその外周に接着剤を塗布し、前記吸引が維持された前記吸引筒と同軸を維持したまま、前記離型性チューブの内側に挿入する弾性チューブ挿入工程と、
(4)前記膨張部材を膨張させることにより前記弾性チューブを拡径し、前記吸引筒内面に吸着させて、前記離型性チューブの内周に密着させる層間密着工程と、
(5)前記離型性チューブと前記弾性チューブとの密着状態を維持させたまま、両者間の前記接着剤を硬化させて両者を接着する層間接着工程と、
(6)前記芯金を、その外周に接着剤を塗布した上で、前記吸引が維持された前記吸引筒と同軸上で、前記弾性チューブの内側に挿入する芯金挿入工程と、
(7)前記吸引筒の吸引を解除して、接着状態の前記離型性チューブ及び前記弾性チューブを収縮させ、前記芯金の外周に前記弾性チューブを密着させる芯金密着工程と、
(8)前記弾性チューブと前記芯金との密着状態を維持させたまま、両者間の前記接着剤を硬化させて両者を接着する芯金接着工程と、
が上記順序で行われることを特徴としている。
請求項1に記載された発明によれば、離型性チューブをカットすることなく所定の長さの離型性チューブを弾性層チューブに被覆することが可能であり、被覆時にしわが発生しにくい。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るローラの製造方法を実施する製造装置で製造されるローラを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。ローラ22は、この実施形態では定着装置で使用される加圧ローラである。加圧ローラ22は、図1のように、円筒状または円柱状の芯金1と、シリコーンゴムチューブ2と、PFAチューブと、からなる。シリコーンゴムチューブ2は、円筒状の発泡体であり、芯金1の外周部に接着剤4で接着される。PFAチューブ3は、内面がエッチング処理された、厚さ30〜50μmの円筒状のものであり、シリコーンゴムチューブ2の外周部に接着剤4で接着される。シリコーンゴムチューブ2は、弾性層の前駆体であり、請求項における弾性チューブに相当し、PFAチューブ3は、離型層の前駆体であり、請求項における離型性チューブに相当する。シリコーンゴムチューブ2の両端部の長さ5〜15mmのグリップ部5には、接着剤4(例えば、KE−1880(信越化学工業製))が塗布・硬化されている。芯金1の外径やシリコーンゴムチューブ2の厚さ及び全長は、使用状況により異なるが、例えば芯金外径Φ15〜Φ20(両端ジャーナル径Φ8〜Φ12)、シリコーンゴムチューブ2の厚さ2〜5mm、全長310〜400mm程度が使用される。また、弾性層の形状としては、一般的に通紙時の紙しわ発生防止のため、外径が両端部に比べ中央部が約0.1〜1%程度小さいツヅミ形状となっている。
(実施例1)
以下、電子写真装置における、一般的な印字速度で用いられるA3サイズの加圧ローラを製造する製造方法及び製造装置について、実施例1として説明する。
以下、電子写真装置における、一般的な印字速度で用いられるA3サイズの加圧ローラを製造する製造方法及び製造装置について、実施例1として説明する。
シリコーンゴムチューブ2は、以下のようにして製造される。水発泡や化学発泡等の発泡性のシリコーンゴムラテックスは、撹拌によって微細なセルが分散された状態になっている。このセルは、水発泡では水または粘度調整などを行った水溶液、化学発泡では中空のマイクロ樹脂ビーズなどである。上記シリコーンゴムを、所望のローラ形状のキャビティを有する金型に注型し、80〜120℃加熱硬化(一次加硫)させローラ形状に成型する。金型のキャビティ形状は、加熱硬化後のローラの収縮径及びツヅミ形状を考慮した寸法となるように、最終寸法より外径でΦ0.5〜1.5mm度大きくしておく。金型から取り出したシリコーンゴムチューブ2は、両端のバリ取り除去加工を施され、200〜230℃で本硬化(2次加硫)を行う。このとき、シリコーンゴムチューブ2内の水は気化することにより微細なセルが空泡となってローラ部材として使用する場合に断熱性を発揮する。断熱構造自体は、耐久性を上げるためにセルが小さい方が望ましく、1〜20μm程度とする。
また、PFAチューブ3は、通紙する際に紙と定着ローラ又はベルトとの離型性が必要となるため、シリコーンゴムチューブ2の外周に被覆するが、摩擦力が低いため定着ローラ又はベルトとつれ回る際にすべり、空回りを発生させる可能性がある。そのため、ローラ両端部にすべりを防止するためタック性の高いゴムを塗布し硬化したグリップ部5を設ける。PFAチューブ3は予めカットするなどして、シリコーンゴムチューブ2を被覆した時、シリコーンゴムチューブ2両端のグリップ部5が5〜15mm程度露出する長さのものを用いる。
(製造装置の構成)
製造装置は、図5に示すように、吸引筒8と、吸引具としての真空ポンプ14と、抜差駆動機構16と、チャック部材15とを備えている。吸引筒8は、離型性チューブ及び弾性層チューブが吸着される断面円形の内面を有し、周面に貫通孔10A,10B,11が開けられている。真空ポンプ14は、吸引筒8の貫通孔10A,10B,11に吸引パイプ12,13で接続される。抜差駆動機構16は、膨張部材6または芯金1を、吸引筒8と同軸を維持したまま、吸引筒8に抜き差し方向に駆動するものである。チャック部材15は、膨張部材6または芯金1を抜差駆動機構16に支持させて、抜差駆動機構16の駆動に応じて、これらを吸引筒8内に抜き差しさせるものである。
製造装置は、図5に示すように、吸引筒8と、吸引具としての真空ポンプ14と、抜差駆動機構16と、チャック部材15とを備えている。吸引筒8は、離型性チューブ及び弾性層チューブが吸着される断面円形の内面を有し、周面に貫通孔10A,10B,11が開けられている。真空ポンプ14は、吸引筒8の貫通孔10A,10B,11に吸引パイプ12,13で接続される。抜差駆動機構16は、膨張部材6または芯金1を、吸引筒8と同軸を維持したまま、吸引筒8に抜き差し方向に駆動するものである。チャック部材15は、膨張部材6または芯金1を抜差駆動機構16に支持させて、抜差駆動機構16の駆動に応じて、これらを吸引筒8内に抜き差しさせるものである。
膨張部材6は、図2に示すように、エアー等を注入・排出することで径方向に膨張収縮可能な円筒形状の材質のものに、エアーを密封するために円筒内径よりも僅かに大きい栓7で両端を塞いだ構成を有する。両端の栓7の中心間に芯棒18を通し、一方の端部から空気注入・排出口19よりエアーを注入・排出可能な機能を備えている。シリコーンゴムチューブ2及びPFAチューブ3を後述する吸引筒8の内部に挿入する際に、吸引筒8と同軸を保持したまま挿入が可能で、両者を拡径させる際に、均一に拡径し、吸引筒8の内面に密着させることが可能である。
膨張部材6は、空気の供給量により段階的に拡径可能な機構を備えたバルーン形状をしており、耐久性及び耐熱性も考慮し厚さ0.5〜2mm程度のシリコーンゴムを使用する。
また、膨張部材6の長さは、弾性層の長さより長くする。
また、膨張部材6の長さは、弾性層の長さより長くする。
吸引筒8は、図3に示すように、内径が弾性層の外径より2〜8%程度大きく、また、PFAチューブ3を密着させた時に跡が残らないように周面にΦ2mm以下の貫通孔が空けてある。この貫通孔から周外に真空吸引を行なうことで、PFAチューブ3及びシリコーンゴムチューブ2を吸引筒内面に吸着することが可能となる。この実施形態では、吸引筒8は、PFAチューブ3が吸着する領域において両端部に対応する位置の円周方向に均等間隔で多数(例えば、12個)開けられたPFAチューブ用貫通孔10Bを有する。また、吸引筒8は、中央部付近の円周方向に例えば90度間隔で明けられた4個のPFAチューブ用貫通孔(離型層用貫通孔)10Aを有する。さらに、吸引筒8は、吸引筒8における前記領域より両端部側に円周方向に均等間隔で多数(例えば、12個)開けられたシリコーンゴムチューブ用貫通孔(弾性層用貫通孔)11を有する。吸引筒8は、外筒20及びマニホールド21と共に吸引装置ベース9上に配置され、吸引装置30を構成する。
吸引装置30は、図4に示すように、吸引筒8、吸引装置ベース9、マニホールド21及び外筒20から構成されている。吸引筒8は、吸引装置ベース9の中央に配置され、吸引筒8の外側には、円筒状のマニホールド21が配置され、マニホールド21の外側には円筒状の外筒20が配置されている。吸引装置ベース9には、上面に凹部9aが形成されている。マニホールド21は、分岐通路21a,21b,21cを有する。外筒20は、通気穴20a,20b,20cを有する。外筒20の通気穴20aと、マニホールド21の分岐通路21aと、吸引筒8のシリコーンゴムチューブ用貫通孔11とは互いに連通されている。外筒20の通気穴20bと、マニホールド21の分岐通路21bと、吸引筒21のPFAチューブ用貫通孔10及び12とは互いに連通されている。外筒20の通気穴20cと、マニホールド21の分岐通路21cと、吸引筒8のシリコーンゴムチューブ用貫通孔11とは互いに連通されている。
(製造方法)上記製造装置を用いて加圧ローラを製造する製造方法の工程について、以下に説明する。
(1.離型性チューブ挿入工程)(図5)
まず、PFAチューブ3に膨張部材6を挿篏し、膨張部材6にエアーを注入して膨張部材6の外径を膨らませることにより、PFAチューブ3の内径を膨張部材6の外周面に密着させ、保持させる。この状態で、チャック部材15で膨張部材6を把持し、抜差駆動機構16で吸引筒8内に、吸引筒8との同軸を保持したままPFAチューブ3及び膨張部材6を挿入する。そして、所定位置(膨張部材6の一方の栓7の先端が吸引装置ベース9の凹部9aに挿入された位置)で保持する。
まず、PFAチューブ3に膨張部材6を挿篏し、膨張部材6にエアーを注入して膨張部材6の外径を膨らませることにより、PFAチューブ3の内径を膨張部材6の外周面に密着させ、保持させる。この状態で、チャック部材15で膨張部材6を把持し、抜差駆動機構16で吸引筒8内に、吸引筒8との同軸を保持したままPFAチューブ3及び膨張部材6を挿入する。そして、所定位置(膨張部材6の一方の栓7の先端が吸引装置ベース9の凹部9aに挿入された位置)で保持する。
(2.離型性チューブ吸着工程)(図6)
次に、吸引筒8の吸引を開始する。次に、PFAチューブ3が吸引筒8の内面に密着するまで膨張部材6をさらに膨張させ、PFAチューブ3が弾性を保ったままの状態で、PFAチューブ3を吸引筒8の内面に密着させる。吸引筒8のPFAチューブ用貫通孔10A,10Bは、外筒20との間に形成されるマニホールド21とPFAチューブ用吸引パイプ12を介して真空ポンプ14に繋がっている。真空ポンプ14で吸引させることにより、PFAチューブ用貫通孔10A,10B内部は負圧となり、吸引筒8に接しているPFAチューブ3を吸引筒8の内面に吸着させる。このときの真空圧は、ゲージ圧にて−50kPa〜−80kPa程度が望ましい。これより低い(低真空側)場合は、PFAチューブ3の弾性による収縮力に抗して保持できない。また、これより高い(高真空側)場合は、PFAチューブ3を部分的に塑性変形させてしまい、吸引痕が残るかまたは破損させてしまう。次いで、膨張部材6内のエアーを排出して膨張部材を収縮させて、PFAチューブ3を膨張部材6から解放する。
次に、吸引筒8の吸引を開始する。次に、PFAチューブ3が吸引筒8の内面に密着するまで膨張部材6をさらに膨張させ、PFAチューブ3が弾性を保ったままの状態で、PFAチューブ3を吸引筒8の内面に密着させる。吸引筒8のPFAチューブ用貫通孔10A,10Bは、外筒20との間に形成されるマニホールド21とPFAチューブ用吸引パイプ12を介して真空ポンプ14に繋がっている。真空ポンプ14で吸引させることにより、PFAチューブ用貫通孔10A,10B内部は負圧となり、吸引筒8に接しているPFAチューブ3を吸引筒8の内面に吸着させる。このときの真空圧は、ゲージ圧にて−50kPa〜−80kPa程度が望ましい。これより低い(低真空側)場合は、PFAチューブ3の弾性による収縮力に抗して保持できない。また、これより高い(高真空側)場合は、PFAチューブ3を部分的に塑性変形させてしまい、吸引痕が残るかまたは破損させてしまう。次いで、膨張部材6内のエアーを排出して膨張部材を収縮させて、PFAチューブ3を膨張部材6から解放する。
(3.弾性チューブ挿入工程)(図7)
次に、前記加工にて製造された、弾性層の前駆体であるシリコーンゴムチューブ2の外周全面に接着剤を塗布する。接着剤4は、定着プロセスに耐えうる耐熱性を有している必要があり、一般的にはシリコン系の接着剤が望ましい。一例として、KE−1880(信越化学工業)が挙げられる。塗布方法としては、有機溶剤等により接着剤4を希釈、粘度を低下させて、スプレーなどにて膜厚を均一に塗布し、常温または乾燥炉などにて有機溶剤を揮発させる。他の塗布方式としては、ディップ工法、リングディップ工法、リングブレード工法などが挙げられる。ディップ工法は、シリコーンゴムチューブ2に芯金となる軸を挿入し、両端をマスクして所望の粘度に調整した接着剤4の中に浸漬させるものである。リングディップ工法は、逆にシリコーンゴムチューブ2及びマスクを固定させて接着剤4を溜めた円盤状の桶を上下に可動させて、塗布を行うものである。膜厚は10〜100μm程度で全領域均一に塗ることで、PFAチューブ3被覆後の最終形状をシリコーンゴムチューブ2の型成型にて作りこむことができる。
次に、前記加工にて製造された、弾性層の前駆体であるシリコーンゴムチューブ2の外周全面に接着剤を塗布する。接着剤4は、定着プロセスに耐えうる耐熱性を有している必要があり、一般的にはシリコン系の接着剤が望ましい。一例として、KE−1880(信越化学工業)が挙げられる。塗布方法としては、有機溶剤等により接着剤4を希釈、粘度を低下させて、スプレーなどにて膜厚を均一に塗布し、常温または乾燥炉などにて有機溶剤を揮発させる。他の塗布方式としては、ディップ工法、リングディップ工法、リングブレード工法などが挙げられる。ディップ工法は、シリコーンゴムチューブ2に芯金となる軸を挿入し、両端をマスクして所望の粘度に調整した接着剤4の中に浸漬させるものである。リングディップ工法は、逆にシリコーンゴムチューブ2及びマスクを固定させて接着剤4を溜めた円盤状の桶を上下に可動させて、塗布を行うものである。膜厚は10〜100μm程度で全領域均一に塗ることで、PFAチューブ3被覆後の最終形状をシリコーンゴムチューブ2の型成型にて作りこむことができる。
次に、接着剤4が塗布されたシリコーンゴムチューブ2に挿篏された膨張部材6にエアーを注入して膨張部材6を膨張させることで、シリコーンゴムチューブ2を膨張部材6の外周面に保持する。この時、シリコーンゴムチューブ2の外径は、吸引筒8に密着したPFAチューブ3の内径に対して小さくなるようにする。この状態で、チャック部材15で膨張部材6を把持する。次いで、抜差駆動機構16で吸引筒8内のPFAチューブ3の内側に、吸引筒8との同軸を保持したままシリコーンゴムチューブ2及び膨張部材6を、PFAチューブ3の中心とシリコーンゴムチューブ2の中心が等しい位置まで挿入する。
(4.層間密着工程)(図8)
次に、膨張部材6にさらにエアーを注入して膨張部材6をより膨張させ、シリコーンゴムチューブ2を拡径し、吸引筒8内面に吸着しているPFAチューブ3の内周に接着剤4を介して密着させる。この密着工程では、吸引筒8による吸引は、PFAチューブ用貫通孔10a,10Bとシリコーンゴムチューブ用貫通孔11の両方で行われるように切り替えられる。すなわち、シリコーンゴム用貫通孔11は、外筒20との間に形成されるマニホールド21とPFAチューブ用吸引パイプ13を介して吸引具としての真空ポンプ14に繋がっている。真空ポンプ14で吸引させることにより、貫通孔11内部は負圧となり、吸引筒8に接しているシリコーンゴムチューブ2を吸引筒8の内面に密着させる。なお、真空ポンプ14によるPFAチューブ用貫通孔10A,10bを介するPFAチューブ3の吸引は継続されている。
次に、膨張部材6にさらにエアーを注入して膨張部材6をより膨張させ、シリコーンゴムチューブ2を拡径し、吸引筒8内面に吸着しているPFAチューブ3の内周に接着剤4を介して密着させる。この密着工程では、吸引筒8による吸引は、PFAチューブ用貫通孔10a,10Bとシリコーンゴムチューブ用貫通孔11の両方で行われるように切り替えられる。すなわち、シリコーンゴム用貫通孔11は、外筒20との間に形成されるマニホールド21とPFAチューブ用吸引パイプ13を介して吸引具としての真空ポンプ14に繋がっている。真空ポンプ14で吸引させることにより、貫通孔11内部は負圧となり、吸引筒8に接しているシリコーンゴムチューブ2を吸引筒8の内面に密着させる。なお、真空ポンプ14によるPFAチューブ用貫通孔10A,10bを介するPFAチューブ3の吸引は継続されている。
(5.層間接着工程)(図9)
次に、このように、シリコーンゴムチューブ2とPFAチューブ3が膨張部材6の膨張圧と吸引筒8の吸引力により密着している状態で、外部からヒータもしくは電磁誘導過熱等の加熱具17で熱せられる。それにより、シリコーンゴムチューブ2とPFAチューブ3間の接着剤4が硬化温度に達するまで加熱される。例としてあげたKE−1880(信越化学工業)では120〜180℃、1時間程度がよい。吸引筒8内面に密着したPFAチューブ3とシリコーンゴムチューブ2は、密着状態を維持したまま接着される。なお、加熱具17は、円筒形状を有し図9では概略的に図示されているが、吸引パイプ12,13の配置に影響を与えることなく配置されるものである。要するに、加熱具17は、PFAチューブ3及びシリコーンゴムチューブ2間の接着剤を360度の全方向から加熱するものである。次に、膨張部材6内のエアーを排出して、シリコーンゴムチューブ2を膨張部材6から解放する。このとき、シリコーンゴムチューブ2及びPFAチューブ3は、吸引筒8の貫通孔10A、10B及び11により吸引されており、吸引筒8の内面に沿って拡径状態で保持され続ける。
次に、このように、シリコーンゴムチューブ2とPFAチューブ3が膨張部材6の膨張圧と吸引筒8の吸引力により密着している状態で、外部からヒータもしくは電磁誘導過熱等の加熱具17で熱せられる。それにより、シリコーンゴムチューブ2とPFAチューブ3間の接着剤4が硬化温度に達するまで加熱される。例としてあげたKE−1880(信越化学工業)では120〜180℃、1時間程度がよい。吸引筒8内面に密着したPFAチューブ3とシリコーンゴムチューブ2は、密着状態を維持したまま接着される。なお、加熱具17は、円筒形状を有し図9では概略的に図示されているが、吸引パイプ12,13の配置に影響を与えることなく配置されるものである。要するに、加熱具17は、PFAチューブ3及びシリコーンゴムチューブ2間の接着剤を360度の全方向から加熱するものである。次に、膨張部材6内のエアーを排出して、シリコーンゴムチューブ2を膨張部材6から解放する。このとき、シリコーンゴムチューブ2及びPFAチューブ3は、吸引筒8の貫通孔10A、10B及び11により吸引されており、吸引筒8の内面に沿って拡径状態で保持され続ける。
(6.芯金挿入工程)(図10)
次に、芯金1の全周に接着剤4を塗布する。このとき、接着剤4との密着を上げるために、芯金1表面にメッキ処理などがされている場合にはメッキ部分を剥離し、さらに微細な凹凸を形成させることが望ましい。方法としてはサンドブラスト、不織布ローラによる表面研磨などが有効である。
次に、芯金1の全周に接着剤4を塗布する。このとき、接着剤4との密着を上げるために、芯金1表面にメッキ処理などがされている場合にはメッキ部分を剥離し、さらに微細な凹凸を形成させることが望ましい。方法としてはサンドブラスト、不織布ローラによる表面研磨などが有効である。
次に、接着剤塗布後の芯金1の端部をチャック部材15で把持する。次いで、抜差駆動機構16で吸引筒8と円周方向同軸を維持したまま、シリコーンゴムチューブ2の内側に接触することの無いように、シリコーンゴムチューブ2の中心と芯金1の中心が等しい位置まで差し込む。
(7.芯金密着工程)(図11)
その後、真空ポンプ14を停止し、吸引筒8による吸引を解除する。それにより、接着状態のPFAチューブ3及びシリコーンゴムチューブ2が拡径状態から半径方向に収縮することにより、芯金1の外周とシリコーンゴムチューブ2の内面が、接着剤4を介して密着する。この時、シリコーンゴムチューブ2の軸方向は、体積一定のため軸方向に収縮していた分だけ元に戻ろうとする。この割合は、厚さ5mmのシリコーンゴムチューブ2にて2mm拡径により1〜2%となる。そのため、PFAチューブ3の軸方向の収縮率1%〜1.5%と同程度であるため、PFAチューブ3は、吸引解除時に、シリコーンゴムチューブ2の軸方向の位置ずれが発生しない。
その後、真空ポンプ14を停止し、吸引筒8による吸引を解除する。それにより、接着状態のPFAチューブ3及びシリコーンゴムチューブ2が拡径状態から半径方向に収縮することにより、芯金1の外周とシリコーンゴムチューブ2の内面が、接着剤4を介して密着する。この時、シリコーンゴムチューブ2の軸方向は、体積一定のため軸方向に収縮していた分だけ元に戻ろうとする。この割合は、厚さ5mmのシリコーンゴムチューブ2にて2mm拡径により1〜2%となる。そのため、PFAチューブ3の軸方向の収縮率1%〜1.5%と同程度であるため、PFAチューブ3は、吸引解除時に、シリコーンゴムチューブ2の軸方向の位置ずれが発生しない。
(8.芯金接着工程)(図12)
また、シリコーンゴムチューブ2が芯金1に密着した加圧ローラは、チャック部材15で把持して、吸引筒8内面に接触しないように抜差駆動機構16で吸引筒8から抜き出す。その後、加圧ローラを図示しない熱風循環炉内で加熱して、芯金1とシリコーンゴムチューブ2間の接着剤4を硬化させ、芯金1とシリコーンゴムチューブ2を接着させる。加熱条件は120〜150℃、1時間程度でよいが、炉内ではローラを横向きに寝かせて置くようにする。これにより、加熱時の接着剤の粘度低下により自重でシリコーンゴムチューブ2が芯金1からズレてしまうのを防ぐ。軸方向に障害物が無い状態では、シリコーンゴムチューブ2は熱により膨張する。一方、PFAチューブ3は、加熱による収縮でしわが発生するが、シリコーンゴムチューブ2と接着剤4を介して固定されているため、軸方向に膨張する方向に力が常時加わることとになり、しわがない状態にて加熱硬化する。
また、シリコーンゴムチューブ2が芯金1に密着した加圧ローラは、チャック部材15で把持して、吸引筒8内面に接触しないように抜差駆動機構16で吸引筒8から抜き出す。その後、加圧ローラを図示しない熱風循環炉内で加熱して、芯金1とシリコーンゴムチューブ2間の接着剤4を硬化させ、芯金1とシリコーンゴムチューブ2を接着させる。加熱条件は120〜150℃、1時間程度でよいが、炉内ではローラを横向きに寝かせて置くようにする。これにより、加熱時の接着剤の粘度低下により自重でシリコーンゴムチューブ2が芯金1からズレてしまうのを防ぐ。軸方向に障害物が無い状態では、シリコーンゴムチューブ2は熱により膨張する。一方、PFAチューブ3は、加熱による収縮でしわが発生するが、シリコーンゴムチューブ2と接着剤4を介して固定されているため、軸方向に膨張する方向に力が常時加わることとになり、しわがない状態にて加熱硬化する。
以上説明した(1)〜(8)の各工程がこの順序で行われる製造方法で製造された加圧ローラでは、また、被覆後のPFAチューブ3をカットする工程も不要となるため、シリコーンゴムチューブ2に切れ目が入る現象も発生することがない。また、シリコーンゴムチューブ2とPFAチューブ3が、拡径状態で接着された後収縮して芯金1に接着されるので、PFAチューブ3の位置ずれやしわ等が発生がしにくい。
また、図3に示すように、吸引筒8の端部に設けられた離型層用貫通孔10Bが、その中央部に設けられた離型層用貫通孔10Aより個数が多くかつ円周方向に均等間隔になるように開けられている。そのため、吸引筒8内面にPFAチューブ3及びシリコーンゴムチューブ2を吸引する力が両端部で向上し、安定した拡径・保持が可能となり、しわや位置ずれのない、PFAチューブ3の被覆が可能となる。
(実施例2)
実施例1の製造方法において、図3に記載のように吸引筒8では、中央部に設けられた離型層用貫通孔10Aより両端部に設けられた離型層用貫通孔10Bの方が個数が多くかつ円周方向に均等間隔になるように開けられている。実施例2では、中央部と両端部の離型層用貫通孔10A,10Bが同じ個数(例えば、4〜8個)だけ円周方向に均等間隔になるように開けられている構成の吸引筒8を使用して加圧ローラを製造してみた。
実施例1の製造方法において、図3に記載のように吸引筒8では、中央部に設けられた離型層用貫通孔10Aより両端部に設けられた離型層用貫通孔10Bの方が個数が多くかつ円周方向に均等間隔になるように開けられている。実施例2では、中央部と両端部の離型層用貫通孔10A,10Bが同じ個数(例えば、4〜8個)だけ円周方向に均等間隔になるように開けられている構成の吸引筒8を使用して加圧ローラを製造してみた。
(実施例3)
実施例1及び2の製造方法において、吸引筒8の内面にある離型層用貫通孔と弾性層用貫通孔とで真空吸引する際に、どちらか片方もしくは両方が吸引可能なように切り替える機能を備える。それにより、PFAチューブ3及びシリコーンゴムチューブ2を安定して吸着可能な装置となり、しわや位置ずれの無いPFAチューブの被覆が可能となる。
実施例1及び2の製造方法において、吸引筒8の内面にある離型層用貫通孔と弾性層用貫通孔とで真空吸引する際に、どちらか片方もしくは両方が吸引可能なように切り替える機能を備える。それにより、PFAチューブ3及びシリコーンゴムチューブ2を安定して吸着可能な装置となり、しわや位置ずれの無いPFAチューブの被覆が可能となる。
(比較例1)
実施例1と同様の芯金1と、弾性層の前駆体であるシリコーンゴムチューブ2と、ローラ全長よりも長い、離型層の前駆体であるPFAチューブ3を用いてローラを製造してみた。まず、シリコーンゴムチューブ2に芯金1を挿入する。挿入方法は、実施例1の芯金挿入方法と同様で、吸引筒8内面にシリコーンゴムチューブ2を吸着させ内径を拡径する。その後、全周に接着剤4を塗布した芯金1をシリコーンゴムチューブ2と同軸を保持した状態で垂直に挿入し、所定の位置にセット後シリコーンゴムチューブ2の吸着を開放し、芯金1と密着させる。その後、180℃で60分加熱し、接着剤4を硬化させる。
実施例1と同様の芯金1と、弾性層の前駆体であるシリコーンゴムチューブ2と、ローラ全長よりも長い、離型層の前駆体であるPFAチューブ3を用いてローラを製造してみた。まず、シリコーンゴムチューブ2に芯金1を挿入する。挿入方法は、実施例1の芯金挿入方法と同様で、吸引筒8内面にシリコーンゴムチューブ2を吸着させ内径を拡径する。その後、全周に接着剤4を塗布した芯金1をシリコーンゴムチューブ2と同軸を保持した状態で垂直に挿入し、所定の位置にセット後シリコーンゴムチューブ2の吸着を開放し、芯金1と密着させる。その後、180℃で60分加熱し、接着剤4を硬化させる。
次に、シリコーンゴムチューブ2の外周面両端部7.5mm幅で接着剤4を塗布・硬化させてグリップ部5を形成する。その後、両端部7.5mm幅をマスキングして、シリコーンゴムチューブ2外周部に接着剤4を塗布し、PFAチューブ3を内径φ26mmの吸引筒上部に吊るすように固定する。次いで、PFAチューブ3下端を封止して、吸引筒8の下部より、真空吸引具14により、真空吸引を行いPFAチューブ3を吸引筒8内面に密着せしめ、また下方に張架しながら拡径する。これにより、拡径時に軸方向に収縮したPFAチューブ3が被覆時に戻り切らずしわが発生してしまうことを防ぐことができる。次に、芯金をPFAチューブ3と接触することが無い様、同軸を保ちながら垂直に挿入し、ローラ全長にPFAチューブ3を被覆する。被覆後、180℃で30分加熱し、接着剤4を硬化させ、冷却後シリコーンゴムチューブ2の両端7.5mmの箇所でPFAチューブ3をカットして、両端のPFAチューブ3を除去し、接着剤4を塗布した部分を露出させる。しかしながら、このPFAチューブ3カットの際に僅かながらシリコーンゴムチューブ2に切れ込みがはいってしまい、ローラの耐久性が低下する。また、ローラ製造の工数も増えてしまうため、コストも実施例1と比較し増加してしまう。
(比較例2)
実施例1と同様の、芯金1と、弾性層の前駆体であるシリコーンゴムチューブ2と、離型層の前駆体であるPFAチューブ3を用いてローラを製造してみた。実施例1の方法と同様に、PFAチューブ3を拡径して吸引筒内面に吸着させる。次いで、比較例1に記載の方法で作成した、芯金1と芯金外周部のシリコーンゴムチューブ2からなるローラの全周に接着剤4を塗布する。次いで、ローラをPFAチューブ3と接触することが無い様、同軸を保ちながら垂直に挿入し、所定の位置(PFAチューブ3の中心とシリコーンゴムチューブの中心が等しい位置)にセット後、吸引筒8の吸引を解除する。それにより、PFAチューブ3をシリコーンゴムチューブ2に被覆させる。PFAチューブ3を被覆後、180℃で30分加熱し、接着剤を硬化させる。PFAチューブ3は実施例1と同様にシリコーンゴムチューブ2の両端部が露出する長さであるので、被覆後のカットがなくシリコーンゴムチューブ2に切れ目が入ることなく被覆できる。しかし、この方法ではPFAチューブを拡径させている状態から収縮させる際に、シリコーンゴムチューブ2とPFAチューブが接着されていない。そのため、PFAチューブの軸方向の収縮により決められた位置からずれてしまう現象ややしわが発生してしまう現象が発生することがあった。
実施例1と同様の、芯金1と、弾性層の前駆体であるシリコーンゴムチューブ2と、離型層の前駆体であるPFAチューブ3を用いてローラを製造してみた。実施例1の方法と同様に、PFAチューブ3を拡径して吸引筒内面に吸着させる。次いで、比較例1に記載の方法で作成した、芯金1と芯金外周部のシリコーンゴムチューブ2からなるローラの全周に接着剤4を塗布する。次いで、ローラをPFAチューブ3と接触することが無い様、同軸を保ちながら垂直に挿入し、所定の位置(PFAチューブ3の中心とシリコーンゴムチューブの中心が等しい位置)にセット後、吸引筒8の吸引を解除する。それにより、PFAチューブ3をシリコーンゴムチューブ2に被覆させる。PFAチューブ3を被覆後、180℃で30分加熱し、接着剤を硬化させる。PFAチューブ3は実施例1と同様にシリコーンゴムチューブ2の両端部が露出する長さであるので、被覆後のカットがなくシリコーンゴムチューブ2に切れ目が入ることなく被覆できる。しかし、この方法ではPFAチューブを拡径させている状態から収縮させる際に、シリコーンゴムチューブ2とPFAチューブが接着されていない。そのため、PFAチューブの軸方向の収縮により決められた位置からずれてしまう現象ややしわが発生してしまう現象が発生することがあった。
以上、実施例1と比較例1、2で製造されたローラを用い、ローラの品質と、ローラを加圧ローラとして定着ユニットに組み込み連続通紙(または空回し)させた状態でのランニング耐久性と、製造コストと、を評価したところ、次の表1に示される結果を得た。
なお、表1中の各項目の評価指標は、以下の通りである。
(ローラ完成品質)
◎:シワ等外観異常無(不良率が0〜1%未満)
○:シワ等外観異常少(不良率が1%以上〜5%未満)
△:シワ等外観異常中(不良率が5%以上〜10%未満)
×:シワ等外観異常多(不良率が10%以上〜)
なお、不良率とは、生産数に対する不良品の発生率である。
(ローラ完成品質)
◎:シワ等外観異常無(不良率が0〜1%未満)
○:シワ等外観異常少(不良率が1%以上〜5%未満)
△:シワ等外観異常中(不良率が5%以上〜10%未満)
×:シワ等外観異常多(不良率が10%以上〜)
なお、不良率とは、生産数に対する不良品の発生率である。
(ランニング耐久性)
◎:ランニング耐久60万枚以上持続。
○:ランニング耐久40万枚以上〜60万枚未満持続。
△:ランニング耐久20万枚以上〜40万枚未満持続。
×:ランニング耐久20万枚未満で持続。
なお、持続とは、ローラが破壊等の不具合を生じ、移動不可となることなく使用し続けられることである。
◎:ランニング耐久60万枚以上持続。
○:ランニング耐久40万枚以上〜60万枚未満持続。
△:ランニング耐久20万枚以上〜40万枚未満持続。
×:ランニング耐久20万枚未満で持続。
なお、持続とは、ローラが破壊等の不具合を生じ、移動不可となることなく使用し続けられることである。
(製造コスト)
◎:実施例1同等
○:実施例1より高い(10%以上〜20%未満)
△:実施例1より高い(20%以上〜50%未満)
×:実施例1より高い(50%以上)
◎:実施例1同等
○:実施例1より高い(10%以上〜20%未満)
△:実施例1より高い(20%以上〜50%未満)
×:実施例1より高い(50%以上)
表1から分かるように、実施例1及び3について特に良好な評価が得られた。
以上の通り、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。かかる変形、応用によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
例えば、上記の実施例では、接着剤は加熱硬化型の物が使用されているが、これに限らず、紫外線硬化型等の他のタイプのものを使用してもよい。
また、上記の実施例では、弾性チューブ(シリコーンゴムチューブ)への接着剤の塗布は、膨張部材の挿篏前に行っているが、これに限らず膨張部材の挿篏後に行ってもよい。
また、上記の実施例では、加圧ローラの製造例について説明したが、本発明の製造方法及び製造装置は、定着装置の定着ローラの製造にも適用可能であり、そのほか、芯金と弾性層と離型層と、を有するローラならばどの分野のローラの製造にも適用可能である。
また、上記の実施例では、弾性層チューブとしてシリコーンゴムチューブ、離型層チューブとしてPFAチューブを使用している。しかし、これに限らず、他の適宜な材質(前者は各種エラストマー、後者はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)のチューブを使用することができる。
1 芯金
2 シリコーンゴムチューブ(弾性層チューブ)
3 PFAチューブ(離型層チューブ)
4 接着剤
5 グリップ部
6 膨張部材
7 栓
8 吸引筒
9 吸引装置ベース
10A,10B 離型性チューブ用貫通孔
11 弾性チューブ用貫通孔
12 離型性チューブ用吸引パイプ
13 弾性チューブ用吸引パイプ
14 真空ポンプ(吸引具)
15 チャック部材
16 垂直駆動機構
17 加熱具
18 芯棒
19 空気注入口
20 外筒
21 マニホールド
22 ローラ
2 シリコーンゴムチューブ(弾性層チューブ)
3 PFAチューブ(離型層チューブ)
4 接着剤
5 グリップ部
6 膨張部材
7 栓
8 吸引筒
9 吸引装置ベース
10A,10B 離型性チューブ用貫通孔
11 弾性チューブ用貫通孔
12 離型性チューブ用吸引パイプ
13 弾性チューブ用吸引パイプ
14 真空ポンプ(吸引具)
15 チャック部材
16 垂直駆動機構
17 加熱具
18 芯棒
19 空気注入口
20 外筒
21 マニホールド
22 ローラ
Claims (8)
- 円筒状または円柱状の芯金と、該芯金外周に形成される弾性層と、該弾性層の外周に形成される離型層と、からなるローラの製造方法であって、
(1)前記離型層の前駆体である離型性チューブに、円筒状で径方向に膨張収縮可能な膨張部材を挿嵌し、これを、周面に設けられた貫通孔から周外に吸引可能な吸引筒内に挿入する離型性チューブ挿入工程と、
(2)前記吸引筒の吸引を開始して、前記膨張部材を膨張させることにより前記離型性チューブを拡径し、前記吸引筒内面に吸着させ、次いで前記膨張部材を収縮させて、前記離型性チューブを前記膨張部材から解放する離型性チューブ吸着工程と、
(3)前記弾性層の前駆体である弾性チューブに、その外周に接着剤を塗布した上で前記膨張部材を挿嵌し、または、前記膨張部材を挿嵌した上でその外周に接着剤を塗布し、前記吸引が維持された前記吸引筒と同軸を維持したまま、前記離型性チューブの内側に挿入する弾性チューブ挿入工程と、
(4)前記膨張部材を膨張させることにより前記弾性チューブを拡径し、前記吸引筒内面に吸着させて、前記離型性チューブの内周に密着させる層間密着工程と、
(5)前記離型性チューブと前記弾性チューブとの密着状態を維持させたまま、両者間の前記接着剤を硬化させて両者を接着する層間接着工程と、
(6)前記芯金を、その外周に接着剤を塗布した上で、前記吸引が維持された前記吸引筒と同軸上で、前記弾性チューブの内側に挿入する芯金挿入工程と、
(7)前記吸引筒の吸引を解除して、接着状態の前記離型性チューブ及び前記弾性チューブを収縮させ、前記芯金の外周に前記弾性チューブを密着させる芯金密着工程と、
(8)前記弾性チューブと前記芯金との密着状態を維持させたまま、両者間の前記接着剤を硬化させて両者を接着する芯金接着工程と、
が上記順序で行われることを特徴とするローラの製造方法。 - 請求項1に記載のローラの製造方法において、
前記貫通孔は、前記吸引筒における前記離型性チューブが吸着する領域に設けられた離型性チューブ用貫通孔と、前記吸引筒における前記領域よりも両端部側に設けられた弾性チューブ用貫通孔とを有することを特徴とするローラの製造方法。 - 円筒状または円柱状の芯金と、該芯金外周に形成される弾性層と、該弾性層外周に形成される離型層と、からなるローラを製造するためのローラの製造装置であって、
周面に貫通孔が設けられ、当該貫通孔から周外に吸引可能な吸引筒と、
前記貫通孔に吸引パイプを介して接続される吸引具と、
前記吸引筒と同軸を維持したまま、当該吸引筒に抜き差し方向に駆動する抜差駆動機構と、
円筒状で径方向に膨張収縮可能な膨張部材、または、前記芯金を前記抜差駆動機構に支持させて、前記抜差駆動機構の駆動に応じて、これらを前記吸引筒内に抜き差しさせるチャック部材と、
を備えることを特徴とするローラの製造装置。 - 請求項3に記載のローラの製造装置において、
前記貫通孔は、前記吸引筒における前記離型性チューブが吸着する領域に設けられた離型性チューブ用貫通孔と、前記吸引筒における前記領域よりも両端部側に設けられた弾性チューブ用貫通孔とを有することを特徴とするローラの製造装置。 - 請求項4に記載のローラの製造装置において、
前記離型層用貫通孔は、前記吸引筒の中央部の周方向と、前記離型性チューブの両端部に対応する前記吸引筒の位置の周方向と、に開けられ、
前記離型性チューブの両端部に対応する前記吸引筒の位置の周方向に開けられた離型層用貫通孔と、前記弾性チューブ用貫通孔と、は前記吸引筒の中央部の周方向に開けられた前記離型層用貫通孔より個数が多くかつ均等間隔に設けられていることを特徴とするローラの製造装置。 - 請求項5記載のローラの製造装置において、
前記吸引具が、前記離型層用貫通孔と前記弾性層用貫通孔と、で吸引する際に、どちらか片方もしくは両方が吸引可能なように切り替える機能を備えたことを特徴とするローラの製造装置。 - 請求項1または2記載の製造方法あるいは請求項3から6のいずれか1項に記載の製造装置により製造されることを特徴とする加圧ローラ。
- 請求項1または2記載の製造方法あるいは請求項3から6のいずれか1項に記載の製造装置により製造されることを特徴とする定着ローラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013063830A JP2014199269A (ja) | 2013-03-15 | 2013-03-26 | ローラの製造方法、ローラの製造装置、定着ローラ及び加圧ローラ |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013053329 | 2013-03-15 | ||
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JP (1) | JP2014199269A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016177175A (ja) * | 2015-03-20 | 2016-10-06 | 富士ゼロックス株式会社 | 管状体、定着装置および画像形成装置 |
JP2018116132A (ja) * | 2017-01-18 | 2018-07-26 | 富士ゼロックス株式会社 | ロール部材、定着装置、画像形成装置 |
JP2020093478A (ja) * | 2018-12-13 | 2020-06-18 | 富士ゼロックス株式会社 | 筒体被覆部材の製造装置、及び筒体被覆部材の製造方法 |
-
2013
- 2013-03-26 JP JP2013063830A patent/JP2014199269A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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