JP2014198663A - 水素化クロロシランの製造方法および水素化クロロシラン製造用触媒 - Google Patents

水素化クロロシランの製造方法および水素化クロロシラン製造用触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】水素ガス雰囲気中でテトラクロロシランを還元して水素化クロロシランを製造する工程を安定なものとすること。【解決手段】本発明に係るテトラクロロシランを水素化クロロシランに還元する際の触媒は、金属ケイ素粒に、鉄成分、カルシウム成分、および、ニッケル成分を反応促進剤として加えて調整されている。この触媒は、テトラクロロシランを還元して水素化クロロシランとする反応が長時間にわたっても、活性が維持されるため、水素化クロロシランの製造工程がより安定的なものとなる。また、仮に、還元反応の途中で反応促進剤を系内に追加する場合でも、添加は少ない量で済む。【選択図】なし

Description

本発明は、多結晶シリコン等の製造用原料となる水素化クロロシランの製造技術に関し、特に、金属反応促進剤を含有する金属ケイ素粒をテトラクロロシランの還元用触媒として用いる水素化クロロシランの製造方法に関する。
高純度多結晶シリコンは、半導体デバイス用あるいは太陽電池用のシリコン基板の製造原料とされる。この高純度多結晶シリコンは、水素化クロロシラン、特に高純度に精製したトリクロロシランを、原料ガスとしたシーメンス法で製造されるのが一般的である。この方法では、水素雰囲気の反応炉内に原料ガスを供給し、高温に熱せられたシリコン芯線上に多結晶シリコンを析出させる。
このような析出反応により、副生成物として、多量のテトラクロロシランが生成する。このため、シリコン原料の利用効率を高めるためには、排ガスからテトラクロロシランを分離・回収し、これをトリクロロシラン等に還元するプロセスを設ける必要がある。
また、ジクロロシランやトリクロロシランを金属ケイ素から合成する場合には、一般に、治金級の金属ケイ素と塩化水素を反応させる方法が用いられる。この反応においても、テトラクロロシランが副生する。このため、高純度シリコン製造用のトリクロロシラン供給プロセスとして金属ケイ素と塩化水素の反応を組み込む場合にも、シリコン原料の利用効率を高めるために、副生したテトラクロロシランをトリクロロシランと分離・回収して還元するプロセスが必要になる。
テトラクロロシランを水素化クロロシランへと還元するための方法として種々の反応が提案されているが、(1)テトラクロロシランと水素を約900〜1100℃で気相反応させる方法と、(2)反応促進剤を含有させた金属ケイ素粒の表面で水素とテトラクロロシランを約350〜600℃で反応させる方法に大別される。これらの方法は何れも、特表2004−532786号公報(特許文献1)に開示されている。
これらの方法のうち、反応促進剤を含有させた金属ケイ素粒の表面で水素とテトラクロロシランを反応させる方法にも種々あるが、多くの場合、反応促進剤として銅化合物が用いられる。
例えば、特開昭56−73617号公報(特許文献2)に開示の方法では、促進剤として銅粒が用いられている。また、特開昭60−36318号公報(特許文献3)に開示の方法では、促進剤として塩化銅(I)が用いられている。さらに、特開平9−235114号公報(特許文献4)は、流動槽内に金属ケイ素と銅や銅塩を入れた後に水素雰囲気中で触媒の活性化を行うと凝集を起こす問題を指摘したうえで、金属ケイ素粒表面に銅シリサイドを形成した触媒の使用を提案している。
これらのほかにも、反応促進剤として、銅以外の金属を添加する方法も提案されている。例えば、特開平10−29813号公報(特許文献5)には、銅に加え、鉄とアルミニウムを含有させた反応促進剤を用いると、長期にわたって安定してテトラクロロシランの還元反応が行えるとの報告がなされている。
特表2004−532786号公報 特開昭56−73617号公報 特開昭60−36318号公報 特開平9−235114号公報 特開平10−29813号公報
このように、従来の方法では、銅を反応促進剤として用いているが、かかる反応促進剤の効果は反応時間に伴って低下する傾向がある。このような反応促進剤の効果の低下は、触媒活性中心である銅ケイ素化合物から塩化銅が再生成し、系外に排出されてしまうためと考えられる。このため、還元反応を長時間にわたって継続する場合には、プロセスの途中で、反応促進剤を追加する必要がある。つまり、銅を反応促進剤として用いる場合には、その活性管理等を頻繁に行う作業が不可欠となる。
本発明はこのような従来方法の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、テトラクロロシランを還元して水素化クロロシランを製造する際の反応を、長期間にわたって安定的に成し得る新規な反応促進剤を提供し、これにより、水素化クロロシランの製造をより安定的なものとすることにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る水素化クロロシランの製造方法は、水素ガス雰囲気中でテトラクロロシランを還元して水素化クロロシランを製造する方法であって、テトラクロロシランから水素化クロロシランへの変換の反応促進剤として、鉄成分とカルシウム成分とニッケル成分を含む反応促進剤を用いる。
例えば、前記反応促進剤は、鉄成分として金属鉄または鉄化合物を含み、カルシウム成分として金属カルシウムまたはカルシウム化合物を含み、ニッケル成分として金属ニッケルまたはニッケル化合物を含む。
例えば、前記反応促進剤は、金属ケイ素粒に、前記鉄成分、前記カルシウム成分、および、前記ニッケル成分を加えて調製され、テトラクロロシランを水素化クロロシランに還元する際の触媒とされたものである。
好ましくは、前記金属ケイ素粒中に含まれる前記鉄成分、前記カルシウム成分、および、前記ニッケル成分の量は、前記反応促進剤を含む金属ケイ素粒の全体に対して、前記鉄成分が0.1〜5質量%、前記カルシウム成分が0.1〜5質量%、前記ニッケル成分が400〜3000質量ppmである。
一態様において、前記触媒は、反応槽中で前記金属ケイ素粒を水素ガスと共に加熱して該金属ケイ素粒の表面酸化被膜を除去した後、更に水素雰囲気中で、前記鉄成分、前記カルシウム成分、および、前記ニッケル成分を加えて加熱し、触媒活性化させて得られたものである。
また、他の態様において、前記触媒は、反応槽中に、前記金属ケイ素粒と、前記鉄成分、前記カルシウム成分、および、前記ニッケル成分を入れ、水素雰囲気中で加熱して、前記金属ケイ素粒の表面酸化被膜の除去と触媒活性化を同時に行って得られたものである。
これらの態様において、例えば、前記水素雰囲気には、テトラクロロシランが含まれる。
好ましくは、前記テトラクロロシランを還元する際の反応温度は、350〜600℃である。
本発明に係る水素化クロロシラン製造用の金属ケイ素粒の活性化方法は、鉄成分とカルシウム成分とニッケル成分を含む反応促進剤を用いて、テトラクロロシランを水素化クロロシランに還元する際の触媒として用いる金属ケイ素粒を活性化する。
また、本発明に係る水素化クロロシラン製造用触媒は、テトラクロロシランから水素化クロロシランへの変換の反応促進剤として、鉄成分とカルシウム成分とニッケル成分を含む反応促進剤が金属ケイ素粒中に含有されている。
本発明に係るテトラクロロシランを水素化クロロシランに還元する際の触媒は、金属ケイ素粒に、鉄成分、カルシウム成分、および、ニッケル成分を反応促進剤として加えて調整されている。この触媒は、長時間にわたり活性が維持されるため、水素化クロロシランの製造工程がより安定的なものとなる。また、仮に、還元反応の途中で反応促進剤を系内に追加する場合でも、添加は少ない量で済む。
本発明では、水素ガス雰囲気中でテトラクロロシランを還元して水素化クロロシランを製造するに際し、テトラクロロシランから水素化クロロシランへの変換の反応促進剤として、鉄成分とカルシウム成分とニッケル成分を含む反応促進剤を用いる。この触媒系を用いる場合、通常は銅成分を添加しない。
このような反応促進剤は、例えば、鉄成分として金属鉄または鉄化合物を含み、カルシウム成分として金属カルシウムまたはカルシウム化合物を含み、ニッケル成分として金属ニッケルまたはニッケル化合物を含む。
実用的には、例えば、上述の反応促進剤は、金属ケイ素粒に、鉄成分、カルシウム成分、および、ニッケル成分を加えて調製され、テトラクロロシランを水素化クロロシランに還元する際の触媒とされる。
本発明に係る反応促進剤を用いて水素化クロロシランを製造するに当たり、実用プラントで大量のテトラクロロシランを処理する場合には、特許文献4に開示されているとおり、還元反応には流動槽を用いることが好ましい。
上記金属成分を含有させる金属ケイ素粒は、ケイ素含有率が98%以上の治金グレードのものであればよく、それ以外に特別な制約はない。好ましくは、機械的な粉砕によりその粒径および粒度分布を調製したものが使用される。なお、流動槽中での流動を良好なものとするためには、金属ケイ素粒の平均粒径は100〜300μm1に調製されていることが好ましい。
反応促進剤として添加される鉄成分、カルシウム成分、及びニッケル成分はそれぞれ、各元素を単体金属のまま金属ケイ素粒に調製することができる。この場合、各単体金属を粉砕して粒状のものとして調製(添加)することが好ましい。添加の際の粒径は、良好な混合が得られるように、300μm以下であることが好ましく、数ミクロン以下の微粉末でもよい。
鉄成分、カルシウム成分、及びニッケル成分は、鉄化合物、カルシウム化合物、ニッケル化合物として添加してもよく、それぞれの酸化物や金属塩等を使うことができる。このうち、金属ハロゲン化物塩は活性化が容易であるため特に好ましい。具体的には、塩化鉄(II)または塩化鉄(III)、塩化カルシウム、塩化ニッケル(II)または塩化ニッケル(III)を例示することができる。これらの金属塩は、粉末状や小粒径のものとして容易に入手可能であるため、金属ケイ素粒との機械的混合が容易である。
金属ケイ素粒中に含まれる鉄成分、カルシウム成分、および、ニッケル成分の量は、反応促進剤を含む金属ケイ素粒の全体(100質量%)に対して、鉄成分(鉄元素)が0.1〜5質量%、カルシウム成分(カルシウム元素)が0.1〜5質量%、ニッケル成分(ニッケル元素)が400〜3000質量ppmであることが好ましい。
より好ましくは、金属ケイ素粒中に含まれる鉄成分、カルシウム成分、および、ニッケル成分の量はそれぞれ、鉄成分(鉄元素)が1〜5質量%、カルシウム成分(カルシウム元素)が1〜3質量%、ニッケル成分(ニッケル元素)が1000〜2000質量ppmである。
金属ケイ素粒に、鉄成分、カルシウム成分、および、ニッケル成分を加えて調製された触媒は、流動槽内でテトラクロロシランの還元反応を行う条件で、その触媒としての活性化を行うことができるという利点もある。
テトラクロロシランを水素雰囲気中で水素化クロロシランに還元する際の触媒活性は、シリサイド化された反応促進剤によるものと考えられているが、この活性化を、テトラクロロシランの還元反応を行う条件下で成し得るのである。つまり、本発明に係る触媒を用いることで、テトラクロロシランの還元反応と触媒の活性化を、同時に進行させることができる。本発明に係る上記触媒の場合、銅成分を反応促進剤とする従来の触媒とは異なり、この活性化プロセスにおいて流動性不良は起きにくい。
鉄成分、カルシウム成分、および、ニッケル成分のそれぞれを金属塩化物の形態で添加すると、水素ガスによる還元性雰囲気中で加熱されることで、それぞれの金属シリサイドが形成される。この際、還元性ガスを高温で流していても、銅塩の場合のように一部が消失してしまうことがない。つまり、本発明に係る触媒の調製プロセスでは、特許文献4に記載されているように一旦別の条件で調製を行う必要がない。
それぞれの金属シリサイドを形成させるための加熱は、銅塩を用いる特許文献4に開示の方法のように250℃以上で350℃以下としても良いが、そのままテトラクロロシランの還元反応温度に相当する350〜600℃の温度範囲で行うこともできる。
このような触媒の活性化は、反応槽中で、金属ケイ素粒を、水素ガスと共に加熱して該金属ケイ素粒の表面酸化被膜を除去した後、更に水素雰囲気中で、鉄成分、カルシウム成分、および、ニッケル成分を加えて加熱してシリサイド化合物を生成させることでなし得る。
別法として、反応槽中に、金属ケイ素粒と、鉄成分、カルシウム成分、および、ニッケル成分を充填した後に、水素雰囲気中で加熱して、金属ケイ素粒の表面酸化被膜の除去と触媒活性化(シリサイド化合物の生成)を同時に行うようにしてもよい。
つまり、本発明では、鉄成分とカルシウム成分とニッケル成分を含む反応促進剤を用いて、テトラクロロシランを水素化クロロシランに還元する際の触媒として用いる金属ケイ素粒を活性化する。
なお、上記の何れの場合でも、反応槽中に投入された各金属成分は、流動層中の気流による流動で十分な混合状態が得られる。
上述の活性化時に用いるガスは、水素以外に窒素やアルゴンが加えられていても良いが、実プラントでは通常、水素のみが使用される。
ここで、鉄、カルシウム、及びニッケルを含有する金属ケイ素の活性化は速やかに進行するため、水素のみの雰囲気で加熱を行って活性化を行ってもよいが、反応装置内を水素雰囲気とした後に、加熱と共にテトラクロロシランを含む水素ガスを供給して、還元反応をすぐにスタートさせる方法をとってもよい。
このようにして調製された触媒が充填されている流動槽内を350〜600℃に保ち、水素と共にテトラクロロシランを導入すると、テトラクロロシランの水素化が起こり、水素化クロロシラン、特にトリクロロシランが高効率に得られる。なお、この際に導入する水素とテトラクロロシランの割合は、2:1から5:1の割合とすることが好ましい。
従来の反応促進剤を用いると、その反応活性を維持するために、高い頻度で反応促進剤を反応系に追加する必要があった。しかし、本発明の反応促進剤は長時間にわたり活性が維持されるため、水素化クロロシランの製造工程がより安定的なものとなる。また、追加する金属ケイ素中にも、微量の各金属成分が含まれ、長期的な運転により各成分が活性に必要な濃度に濃縮されると考えられるが、仮に、還元反応の途中で反応促進剤を系内に追加する場合でも、添加は少ない量で済む。
なお、鉄及びカルシウムとニッケルの組み合わせによる金属ケイ素の活性化は、金属ケイ素と塩化水素の反応による水素化クロロシラン類、クロロシラン類の製造にも同様に適用することができる。
反応器としてSUS316製のテスト用流動槽(50A <ID φ49.5mm>×100cm)を用い、下記の実施例および比較例につき検討した。
[比較例1]
反応器内に金属ケイ素粒500gを投入し、窒素置換した後、水素ガスを供給しながら、圧力3.0MPaまで昇圧し、500℃に加温して1hr放置した。
その後、水素ガスを0.5Nm3/hrの量で流し、反応器内でのモル比が2となるようにテトラクロロシランを1.85kg/hr供給し、1時間の運転後、排出された生成ガス中のトリクロロシランの分率をガスクロマトグラフィ分析した。
その結果、反応率は26.3mol%であった。
高純度金属ケイ素を触媒として使用した場合の反応活性はほとんどないことが知られているが、上記反応率は、用いた金属ケイ素中に含有されていた遷移金属不純物によるものと考えられる。そこで、この比較例1において使用した金属ケイ素が含有する不純物起因の反応率の値を、バックグラウンド(ブランク)とした。
[実施例1]
反応器内に金属ケイ素粒400gを投入し、窒素置換した後、水素ガスを供給しながら、圧力3.0MPaまで昇圧し、500℃に加温して1hr放置した。
その後、水素ガスを0.5Nm3/hrの量で流し、反応器内でのモル比が2となるようにテトラクロロシランを1.85kg/hr供給し、1時間の放置後、反応器内に、金属ケイ素100gと、金属鉄15g、金属カルシウム5g、金属ニッケル0.75gを混合して供給した。
1時間の運転後、排出された生成ガス中のトリクロロシランの分率をガスクロマトグラフィ分析した。
その結果、反応率は30.3mol%であった。
つまり、上記バックグラウンド(反応率26.3mol%)に比較して、高い値を示した。
[比較例2]
反応器内に金属ケイ素粒400gを投入し、窒素置換した後、水素ガスを供給しながら、圧力3.0MPaまで昇圧し、500℃に加温して1hr放置した。
その後、水素ガスを0.5Nm3/hrの量で流し、反応器内でのモル比が2となるようにテトラクロロシランを1.85kg/hr供給し、1時間の放置後、反応器内に、金属ケイ素100gと、金属鉄15g、金属カルシウム5gを混合して供給した。
1時間の運転後、排出された生成ガス中のトリクロロシランの分率をガスクロマトグラフィ分析した。
その結果、反応率は26.3mol%であった。
つまり、ニッケル成分を含まない場合には、バックグラウンド(反応率26.3mol%)と等しい値となった。
[比較例3]
反応器内に金属ケイ素粒400gを投入し、窒素置換した後、水素ガスを供給しながら、圧力3.0MPaまで昇圧し、500℃に加温して1hr放置した。
その後、水素ガスを0.5Nm3/hrの量で流し、反応器内でのモル比が2となるようにテトラクロロシランを1.85kg/hr供給し、1時間の放置後、反応器内に、金属ケイ素100gと、金属カルシウム5gと、ニッケル0.75gを混合して供給した。
1時間の運転後、排出された生成ガス中のトリクロロシランの分率をガスクロマトグラフィ分析した。
その結果、反応率は26.3mol%であった。
つまり、鉄成分を含まない場合には、バックグラウンド(反応率26.3mol%)と等しい値となった。
[実施例2]
反応器内に金属ケイ素粒400gを投入し、窒素置換した後、水素ガスを供給しながら、圧力3.0MPaまで昇圧し、500℃に加温して1hr放置した。
その後、水素ガスを0.5Nm3/hrの量で流し、反応器内でのモル比が2となるようにテトラクロロシランを1.85kg/hr供給し、1時間の放置後、反応器内に、金属ケイ素100gと、金属鉄15g、金属カルシウム5g、金属ニッケル0.75gを混合して供給した。
適宜、金属ケイ素のみを供給しながら10日間の運転を行い、この間、排出された生成ガス中のトリクロロシランの分率をガスクロマトグラフィ分析した。
反応スタート直後の反応率は30.1mol%であり、10日間運転後の反応率は30.0mol%であった。
つまり、上記バックグラウンド(反応率26.3mol%)に比較して高い値を示し、しかも、長時間の運転後でもその値に顕著な低下は認められなかった。
また、運転停止後に反応炉内部の触媒を取出したところ、金属ケイ素粒全体の質量は520gであった。この金属ケイ素粒の一部(0.5g)に、約30質量%の硝酸(約10ml)を加え、さらにフッ化水素酸約5mlを滴加して完全溶解した。この溶液をICP−MASS(装置名:Agilent社製 7500CS)で分析したところ、鉄、カルシウム、ニッケルのそれぞれの金属ケイ素粒全体に対する含有量は、鉄が0.28質量%、カルシウムが0.95質量%、ニッケルが1400質量ppmであった。
[比較例4]
反応器内に金属ケイ素粒400gを投入し、窒素置換した後、水素ガスを供給しながら、圧力3.0MPaまで昇圧し、500℃に加温して1hr放置した。
その後、水素ガスを0.5Nm3/hrの量で流し、反応器内でのモル比が2となるようにテトラクロロシランを1.85kg/hr供給し、1時間の放置後、反応器内に、金属ケイ素100gと、金属鉄15g、金属カルシウム5g、金属銅5gを混合して供給した。
適宜、金属ケイ素のみを供給しながら10日間の運転を行い、この間、排出された生成ガス中のトリクロロシランの分率をガスクロマトグラフィ分析した。
反応スタート直後の反応率は30.1mol%であったが、10日間運転後の反応率は26.5mol%に低下していた。
つまり、初期には上記バックグラウンド(反応率26.3mol%)に比較して高い値を示したものの、長時間の運転中に反応率が顕著に低下していた。
また、運転停止後に反応炉内部の触媒を取出したところ、金属ケイ素粒全体の質量は520gであった。この金属ケイ素粒の一部(0.5g)を、上述の実施例2と同様に分析したところ、鉄、カルシウム、銅のそれぞれの金属ケイ素粒全体に対する含有量は、鉄が0.28質量%、カルシウムが0.95質量%、銅が0.03質量%であった。
この結果は、反応プロセス中に、銅が顕著に消失することを示している。
上述のとおり、テトラクロロシランから水素化クロロシランへの変換の反応促進剤として、鉄成分とカルシウム成分とニッケル成分を含む反応促進剤が金属ケイ素粒中に含有されている、水素化クロロシラン製造用触媒を用いると、テトラクロロシランを還元して水素化クロロシランを製造する際の反応が長期間にわたって安定的となり、これにより、水素化クロロシランの製造がより安定的なものとなる。
[実施例3]
反応器内に金属ケイ素粒500gを投入し、窒素置換した後、水素ガスを供給しながら、圧力3.0MPaまで昇圧し、500℃に加温して1hr放置した。
その後、水素ガスを0.5Nm3/hrの量で流し、反応器内でのモル比が2となるようにテトラクロロシランを1.85kg/hr供給し、その後、適宜、金属ケイ素のみを供給しながら15000hr間の運転を行い、この間、排出された生成ガス中のトリクロロシランの分率をガスクロマトグラフィ分析した。
反応スタート直後の反応率は26.4mol%であったが、15000hr間運転後の反応率は30.2mol%となった。
また、運転停止後に反応炉内部の触媒を取出したところ、金属ケイ素粒全体の質量は490gであった。この金属ケイ素粒の一部(0.5g)に、約30質量%の硝酸(約10ml)を加え、さらにフッ化水素酸約5mlを滴加して完全溶解した。この溶液をICP−MASS(装置名:Agilent社製 7500CS)で分析したところ、鉄、カルシウム、ニッケルのそれぞれの金属ケイ素粒全体に対する含有量は、鉄が0.35質量%、カルシウムが1.25質量%、ニッケルが1900質量ppmであった。
本発明は、水素ガス雰囲気中でテトラクロロシランを還元して水素化クロロシランを製造する工程を安定なものとする。

Claims (11)

  1. 水素ガス雰囲気中でテトラクロロシランを還元して水素化クロロシランを製造する方法であって、
    テトラクロロシランから水素化クロロシランへの変換の反応促進剤として、鉄成分とカルシウム成分とニッケル成分を含む反応促進剤を用いる、水素化クロロシランの製造方法。
  2. 前記反応促進剤は、鉄成分として金属鉄または鉄化合物を含み、カルシウム成分として金属カルシウムまたはカルシウム化合物を含み、ニッケル成分として金属ニッケルまたはニッケル化合物を含む、請求項1に記載の水素化クロロシランの製造方法。
  3. 前記反応促進剤は、金属ケイ素粒に、前記鉄成分、前記カルシウム成分、および、前記ニッケル成分を加えて調製され、テトラクロロシランを水素化クロロシランに還元する際の触媒とされたものである、請求項2に記載の水素化クロロシランの製造方法。
  4. 前記金属ケイ素粒中に含まれる前記鉄成分、前記カルシウム成分、および、前記ニッケル成分の量は、前記反応促進剤を含む金属ケイ素粒の全体に対して、前記鉄成分が0.1〜5質量%、前記カルシウム成分が0.1〜5質量%、前記ニッケル成分が400〜3000質量ppmである、請求項3に記載の水素化クロロシランの製造方法。
  5. 前記触媒は、反応槽中で前記金属ケイ素粒を水素ガスと共に加熱して該金属ケイ素粒の表面酸化被膜を除去した後、更に水素雰囲気中で、前記鉄成分、前記カルシウム成分、および、前記ニッケル成分を加えて加熱し、触媒活性化させて得られたものである、請求項3または4に記載の水素化クロロシランの製造方法。
  6. 前記水素雰囲気には、テトラクロロシランが含まれる、請求項5に記載の水素化クロロシランの製造方法。
  7. 前記触媒は、反応槽中に、前記金属ケイ素粒と、前記鉄成分、前記カルシウム成分、および、前記ニッケル成分を入れ、水素雰囲気中で加熱して、前記金属ケイ素粒の表面酸化被膜の除去と触媒活性化を同時に行って得られたものである、請求項3または4に記載の水素化クロロシランの製造方法。
  8. 前記水素雰囲気には、テトラクロロシランが含まれる、請求項7に記載の水素化クロロシランの製造方法。
  9. 前記テトラクロロシランを還元する際の反応温度は、350〜600℃である、請求項1乃至4の何れか1項に記載の水素化クロロシランの製造方法。
  10. 鉄成分とカルシウム成分とニッケル成分を含む反応促進剤を用いて、テトラクロロシランを水素化クロロシランに還元する際の触媒として用いる金属ケイ素粒を活性化する、水素化クロロシラン製造用の金属ケイ素粒の活性化方法。
  11. テトラクロロシランから水素化クロロシランへの変換の反応促進剤として、鉄成分とカルシウム成分とニッケル成分を含む反応促進剤が金属ケイ素粒中に含有されている、水素化クロロシラン製造用触媒。
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