JP2014197302A - カード状媒体処理装置およびカード状媒体処理方法 - Google Patents

カード状媒体処理装置およびカード状媒体処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】たとえ不正行為によりカード状媒体が盗用されたとしても少なくとも磁気情報の盗用を回避することが可能なカード状媒体処理装置およびカード状媒体処理方法を提供する。
【解決手段】カード状媒体を搬送路34に沿って搬送する媒体搬送部35を駆動するモータ36と、搬送路におけるカード状媒体の存在および位置を検出する検出センサ40と、挿入口50領域に配置され、カード状媒体の磁気記録体mpを検知する磁気ヘッドPHと、を有し、制御部41は、カード状媒体の搬送において正常に搬送されていない異常搬送と判断した場合であって、カード状媒体を挿入口から排出する際、磁気ヘッドPHに書き込み電流を流し、カード状媒体の磁気記録体上に記録されている磁気情報の少なくとも一部を消去するように書き込み電流の供給制御を行う。
【選択図】図3

Description

本発明は、磁気カード等のカード状媒体の取り込みおよび排出を行うカード搬送機構を有するカード状媒体処理装置およびカード状媒体処理方法に関するものである。
一般に、ATM装置(現金自動預け払い機)や自動販売機などに装備されたカードリーダは、カード挿入口から挿入されたカード状媒体(以下、単にカードという)の情報を読み取りや書き込みを行うように構成されている。
このようなカードリーダにはカード挿入口の内側に防護シャッタが設けられ、カード挿入口からカード以外の異物が挿入されるのを防いだり、第三者による不正行為でカードが取り出されて盗用などされることを防止している。
防護シャッタは、カード挿入口から挿入されたカードを媒体検出センサが検出すると開き、カード挿入口の内側装置内にカードが取り込まれたことを検出すると閉じる。
第三者の不正行為による盗用とは次のような場合が考えられる。
顧客がカード挿入口からカードを挿入した直後、装置内部の機械部品や電気系統に何らかの故障が発生してカードが詰まって異常停止した場合、あるいは第三者が意図的に何らかの細工をしてカード状媒体を停止させたような場合、防護シャッタが開いた状態のまま顧客が係員呼び出しなどのためにその場を離れると、その隙に第三者がカードを取り出してしまう。
これらのカードの不正盗用(不正取得)は、一般にフィッシング(Fishing)と呼ばれる行為である。
このフィッシングを防止するための機構を備えるカードリードが種々提案されている(たとえば特許文献1,2参照)
これらのカードリーダは、基本的に、不正行為者がフィッシングを行うための仕掛けを取り外してカードリーダ内部に詰まったカードを引き抜こうとしたときに、カードの引き抜きを防止する引き抜き防止機構を備えている。
特開2006−155567号公報 特開2011−164808号公報
しかしながら、従来のカードのフィッシング対策として、上記特許文献1,2に開示された技術も含めて、フィッシングが発生していると判断した場合、カードを抜き取られないような対策を以って対抗する方法しか存在しなかった。
物理的にカードを取れらないような機構を設けるだけでは力任せなフィッシングを講じられると、機構を破壊したり、カードの破損(カードが破損してもそれが不正行為者に渡ってしまえばカード上の磁気データは奪われてしまう)などにより、結局は不正行為者にカード上のデータが奪われることとなってしまう。
このように、フィッシング対策として、機構的にカードを抜き取られないような構造を設けるだけでは不十分であった。
本発明の目的は、たとえ不正行為によりカード状媒体が盗用されたとしても少なくとも磁気情報の盗用を回避することが可能なカード状媒体処理装置およびカード状媒体処理方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、磁気情報が記録される磁気記録体が形成されたカード状媒体に所定の処理を行うカード状媒体処理装置であって、挿入口から挿入されたカード状媒体を当接した状態で搬送路に沿って搬送する媒体搬送部と、前記媒体搬送部を駆動するモータと、前記挿入口領域に配置され、前記カード状媒体の前記磁気記録体を検知する磁気ヘッドと、前記搬送路における前記カード状媒体の存在および位置を検出する検出センサと、少なくとも前記検出センサの検出結果に応じて前記モータの駆動により前記カード状媒体の搬送を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記カード状媒体の搬送において正常に搬送されていない異常搬送と判断した場合であって、前記カード状媒体を前記挿入口から排出する際、前記磁気ヘッドに書き込み電流を流し、前記カード状媒体の前記磁気記録体上に記録されている磁気情報の少なくとも一部を消去するように書き込み電流の供給制御を行う。
本発明の第2の観点のカード状媒体処理方法は、挿入口から挿入されたカード状媒体を当接した状態で搬送路に沿って搬送する媒体搬送部と、前記媒体搬送部を駆動するモータと、前記挿入口領域に配置され、前記カード状媒体の磁気記録体を検知する磁気ヘッドと、前記搬送路における前記カード状媒体の存在および位置を検出する検出センサと、を有し、少なくとも前記検出センサの検出結果に応じて前記モータの駆動により前記カード状媒体の搬送を制御するカード状媒体処理装置におけるカード状媒体処理方法であって、前記カード状媒体の搬送において正常に搬送されていない異常搬送と判断した場合であって、前記カード状媒体を前記挿入口から排出する際、前記磁気ヘッドに書き込み電流を流し、前記カード状媒体の前記磁気記録体上に記録されている磁気情報の少なくとも一部を消去するように書き込み電流の供給制御を行う。
本発明によれば、たとえ不正行為によりカード状媒体が盗用されたとしても少なくとも磁気情報(磁気データ)の盗用を回避することができる。
本発明の実施形態に係る情報処理システムの概要を示すブロック図である。 本実施形態に係る上位装置の構成例を概念的に示す図である。 本発明の実施形態に係るカード状媒体処理装置としてのカードリーダの構成例を示すブロック図である。 本実施形態に係るカードリーダのカード挿入口における構成例を概念的に示す図である。 本実施形態に係るカード検出用磁気ヘッドであるプリヘッドの構成の概要を示す図である。 本実施形態に係るカード検出用磁気ヘッドであるプリヘッドの信号駆動系を示すブロック図である。 本実施形態に係るプリヘッド(カード検出用磁気ヘッド)に対する書き込み電流の供給制御の概要を説明するための図である。 本実施形態に係るエネルギー量測定判定部の構成例を示す図である。 本実施形態に係るモータ駆動における加速時等の負荷が増えた場合と定速時の駆動パワー(負荷)と速度の変化を示す図である。 本発明の実施形態に係るカードリーダの構造を簡略的に示す平面断面図である。 本発明の実施形態に係るカードリーダの構造を簡略的に示す縦断面図である。 本実施形態に係るカードリーダにおけるカード挿入から取引終了までの処理を異常搬送(JAM)発生の有無を含めて説明するためのフローチャートである。 本実施形態に係るカードリーダにおけるフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第1例を説明するためのフローチャートである。 本実施形態に係るカードリーダにおけるフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第2例を説明するためのフローチャートである。 本実施形態に係るカードリーダにおけるフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第3例を説明するためのフローチャートである。 本実施形態に係るカードリーダにおけるフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第4例を説明するためのフローチャートである。 本実施形態に係るカードリーダにおけるフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第5例を説明するためのフローチャートである。 本実施形態に係るカードリーダにおけるフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第6例を説明するためのフローチャートである。 本実施形態に係るカードリーダにおけるフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第7例を説明するためのフローチャートである。 各センサの検出信号がONになるタイミングを説明するための図である。 実際に磁気カードがカード搬送路を移動していく様子を示す図である。 本実施形態に係るカードリーダにおける、カード搬送に伴う各センサの検出信号に関連する動作について説明するための第1のフローチャートである。 本実施形態に係るカードリーダにおける、カード搬送に伴う各センサの検出信号に関連する動作について説明するための第2のフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
以下の実施形態においては、カード状媒体処理装置として、磁気カードおよびICカード双方に対して情報の読み取り、書き込みを行うことが可能に(情報再生機能に加えて情報記録機能を併せ持つように)構成されたカードリーダ(カードリーダライタを含む)を例に説明する。
ただし、本実施形態において、カードを不正盗用するフィッシング対策は、後述するように、磁気カードに対する対策が施されている。
したがって、以下では、カードとしては基本的にIC接点ブロック機構部の説明を除いて磁気カードであるものとして説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システムの概要を示すブロック図である。
情報処理システム10は、情報処理装置としての上位装置(ホスト装置)20、カード状媒体処理装置としてのカードリーダ(電子機器装置)30、およびカードCRD(磁気カードまたはICカード)を含んで構成されている。
[上位装置の構成および機能]
上位装置20は、カードリーダ30との間で通信制御を行い、コマンドの送信に対応したレスポンス(応答)を受信する等の各種情報の授受を行って、カードリーダ30からの情報を取得する。
上位装置20は、カードリーダ30において、たとえばカードCRD搬送時に、不正行為者のフィッシング行為に伴い正常に搬送できなくなったり、カードの形状やカードの表面の状況(油などによる搬送ローラのスリップ)で正常に搬送できなくなる異常搬送、いわゆるジャム(JAM)が発生した場合等にその旨の情報を受信して取得する。
上位装置20は、カードリーダ30に挿入されて所定の取引が行われカードの識別番号や取引データ等の情報の授受をカードリーダ30との間で行う。
上位装置20は、カードリーダ30側からカードCRDがカードリーダ(装置)内にカードが残存しているとの情報を取得すると、たとえばカードリーダ30に対して、残存するカードCRDを排出するか否かを指示する命令(コマンド)をカードリーダ30に送信する。
あるいは、上位装置20は、カードCRDがカードリーダ(装置)内にカードが残存しているとの情報を取得すると、たとえば表示装置(LED,ランプ等も含む)への警告の表示や音声処理装置を通して警告音を発する等のアラーム処理を行うこともできる。
図2は、本実施形態に係る上位装置の構成例を概念的に示す図である。
図2の上位装置20は、基本的に、処理装置であるCPU21、ROM22、RAM23、ストレージユニット24、警告等の情報が表示される表示装置25、キーボード261やマウス262を含む操作部26、およびカードリーダ30との情報の授受を行うインタフェース回路27を含んで構成される。
本例においては、図中のストレージユニット24内に保存されたオペレーティングシステム(OS)、ミドルウェアMW、アプリケーション等のプログラムがソフトウェアシステムの一部をなし、実行時にいわゆるコンピュータ(電子計算機)のソフトウェアとしてRAM23上に展開される。
上位装置20とカードリーダ30との間の通常の通信は、RS232CやUSB(Universal Serial Bus)などの専用線(有線の通信線)を用いた通信システムが適用される。
以上、上位装置20の構成および機能について説明した。
次に、カードリーダ30の構成および機能について説明する。
以下では、まず、本実施形態に係るカードリーダの特徴的なカード搬送に伴う信号処理系および駆動系の構成および機能の概要を説明した後、磁気カードリーダのカード搬送系等の具体的な構造を説明する。
ここでは、前述したように、磁気カードおよびICカード双方に対してデータの読みより、書き込みを行うことが可能に(情報再生機能に加えて情報記録機能を併せ持つように)構成されたカードリーダ(カードリーダライタ)を例に説明する。ただし、カードを不正盗用するフィッシング対策は、磁気カードに対する対策が施されている。
[フィッシング対策の概要]
ここではまず、本実施形態におけるカードリーダ30における特徴的な構成であるフィッシング対策の概要について説明する。
後で詳述するように、本実施形態によれば、磁気カードを扱うことが可能なカードリーダ30において、カードCRDが挿入されたことを検出できる検出スイッチ群を有する。検出センサ群にはその挿入されたカードを取り込む前に磁気の有無を判断することができる磁気ヘッドであるプリヘッドPHを装置の挿入口部(装置の外側)に有していている。
そのプリヘッド(カード検出(磁気検出)用磁気ヘッド)には電流を流せば書き込みヘッド(ライトヘッド(Write Head))としても機能する。
本カードリーダ30では、この磁気検出用ヘッドに電流を流し、磁気書き込み機能を有している。
また、カードリーダ30は、内部でカード搬送を行う際、モータの駆動中にセンサ等の状態を検出し、搬送が抑止された(以降、JAMと称する)場合、カードリーダ30に対し、何らかのカードトラッピングが仕掛けられたと判断することができる判定機能を有する。
トラッピングが仕掛けられたと判断した場合、プリヘッド(カード検出用磁気ヘッド)401に電流を流し、その時、そのカード検出用磁気ヘッドは書き込み機能を有することとなる。
この電流を流すタイミングを決定するアルゴリズムが本実施形態のカードリーダ30の特徴的な構成となる。
より具体的には、カードリーダ30は、カードCRDを挿入されたことをカード挿入検出用スイッチ(センサ)402,402(図3等)がオフからオンになったことで検知することが可能で、また、その付近に設置されている磁気ヘッドであるプリヘッドPHによって挿入されたカードの磁気情報(データ)の有無を判定できる。
通常、フィッシングなどのいたずら(不正行為)は、カードが装置内に取り込まれ、その後取引終了、もしくは取引中断などによってカードを再び外部に排出する際、カードが排出できなくしてしまい、カードの持ち主があきらめて去ってしまった後、特殊な手段(フィッシングを仕掛けた不正行為者はトラップされているカードを抜き出す手段は機知である)によってカードを持ち去る。
これで磁気情報(磁気データ)を持ったカードが盗まれ、フィッシング行為は成功することなる。
本実施形態のカードリーダ30は、その抜き去られるカードの磁気情報(磁気データ)を、フィッシング行為と思われる現象を検出するアルゴリズムと、その際に磁気データを消去してしまう構成を有している。
カードリーダ30は、自身のモータ駆動とカード位置を検出することができる複数のセンサ(検出センサ群の各センサ)によって、カードCRDが正常に搬送されているかどうかを知ることができる。
しかし、フィッシングが仕掛けられている場合、カードは正常に搬送できなくなってしまう異常搬送(カードJAM)が発生した場合、フィッシング行為が仕掛けられたと推測することができる。
このとき、カードの形状やカード表面の状況(油などによる搬送ローラのスリップ)により、いたずらがなくても異常搬送(JAM)の現象が発生する可能性もある。
この場合は、カードリーダ30自身も何回かの搬送処理のリトライ動作終了後、異常搬送(JAM)現象発生ということで次の動作は異常搬送(JAM)が修理担当などによる手動で解除されるまでは動作を行わない。
したがって、基本的にカードがその後移動することはありえない。
しかしながら、フィッシングなどのいたずら(不正行為)が成されていると、不正行為者が来てそのカードを装置内から抜き出そうとする。そのため、装置内のカードの移動がカードリーダ30の意思がなくとも始まり、その結果、センサなどの状態変化、カード検出用磁気ヘッドなどから磁気情報(磁気データ)が現れたりする。
そのような現象を検出したカードリーダ30は、カード挿入口部にある磁気ヘッドであるプリヘッドPHに電流を流すことにより、そのヘッド直下を通過したカードCRDの磁気情報(磁気データ)が消去される。
この磁気ヘッドは元来存在する磁気リード(Read)/ライト(Write)用の磁気ヘッドをそのまま流用し、磁気ヘッドに流す電流は通常の書き込み電流を切り替えて流せることにより実現は可能である。。
その結果、カードは不正行為者の手に渡るかもしれないが、肝心の磁気情報(磁気データ)が消去されているため、盗まれたカードがそのまま不正行為者が使うことは不可能となる。
異常搬送(JAM)が発生した際に、機械的にカード引抜を妨げるような機構も加わると、相乗効果も期待できる。
その際、異常搬送(JAM)が発生した場合、最初は機械的機構によってカードをロックし、さらにその状態でカードが動いた、あるいは動かされたと判断したら磁気検知用磁気ヘッドに電流を流すアルゴリズムが採用される。
[カードリーダの信号処理系の概要]
図3は、本発明の実施形態に係るカード状媒体処理装置としてのカードリーダの構成例を示すブロック図である。
図4は、本実施形態に係るカードリーダのカード挿入口における構成例を概念的に示す図である。
本カードリーダ30は、図3に示すように、磁気カード対応の磁気ヘッド31、ICカード対応のIC接点ブロック機構部32、差動増幅回路を含む磁気情報取得部33、カード搬送路34、カードCRDをカード搬送路34に沿って搬送するカード搬送部35、およびカード搬送部35を駆動するエンコーダ(E)361を備えたモータ(M)36を有する。
エンコーダ361は、モータ36の回転状態(回転数や配置位置)を検出するための検出部の一部として機能する。
カードリーダ30は、たとえばDCモータにより構成されるモータ36を駆動するドライバ37、カード挿入口50における搬送路の開閉を行うためのシャッタ38、シャッタ38を駆動するソレノイド39を有する。
さらに、カードリーダ30は、カード搬送路34におけるカードCRDの有無およびカードの搬送位置を検出するための検出センサ群40、制御部としてのCPU41、インタフェース回路42、およびカード検出用磁気ヘッド(プリヘッド)PHの読み取り書き込み用のリードライト回路43を含んで構成されている。
磁気ヘッド31は、磁気記録媒体であるカードCRDの磁気記録体である磁気ストライプmpに記録された、たとえばF2F変調方式により記録された磁気記録情報を、アナログ信号S31として読み出す。
磁気ヘッド31で読み取られた磁気記録情報のアナログ信号S31は磁気情報取得部33に供給される。
また、磁気ヘッド31は、カードCRDの磁気ストライプmpに対して磁気情報を書き込む。
カード搬送路34に配置された磁気ヘッド31は、挿入されたカードが磁気カードである場合に作動するものであり、カード表面上の磁気ストライプに接触・摺動することによって磁気データの読み書きを行う。
IC接点ブロック機構部32は、挿入されたカードがICカードである場合にCPU41の制御に従って作動する。
IC接点ブロック機構部32は、ICカード表面上の金属端子(外部端子)と接触できるように、カード搬送路34に沿って接触・当接可能なIC接点を有しており、これが接触・当接することによって電子データの読み書きを行う。
磁気情報取得部33においては、演算増幅器により構成される差動増幅回路が、磁気ヘッド31により読み出され再生されたアナログ信号S31をCPU41のゲイン制御の下、適正なレベルに増幅する。差動増幅回路は、信号の振幅を、たとえばフルレンジの1/4に設定するようにゲイン(利得)制御を行う。
また、差動増幅回路は、自動利得制御(AGC)機能を持つように構成することも可能である。
そして、磁気情報取得部33は、差動増幅回路から出力された磁気ヘッドで検出された磁気信号からカードCRDに記録された磁気情報を読み取り復調する機能を有する。
磁気情報取得部33は、たとえばピーク検出回路および復調回路を含んで構成される。
ピーク検出回路は、差動増幅回路の出力信号が、たとえばバンドパスフィルタ等を介して入力される。増幅信号のピーク点で出力を反転させ、周波数変調(F2F変調)された矩形波信号を得る。
復調回路は、矩形波信号に対してデジタル信号処理を行い、たとえばビットの区切りで出力されるリードクロック信号(復調データのサンプリング用クロックパルス)やそのビットのデータを示すリードデータ信号(復調データ)を得、CPU41、さらにはインタフェース回路42に出力する。
なお、ピーク検出回路は、たとえば微分回路や積分回路、デジタル方式等の種々の回路を適用することが可能である。
復調回路は、いわゆるワンショット方式、複数インターバル方式、パターンマッチング方式など、種々の方式を適用することが可能である。
カード搬送路34は、磁気ヘッド31等が配置され、カードCRDがカード搬送部35により磁気ヘッド31の配置位置に向かって、あるいは磁気ヘッド31の配置位置から遠ざかる方向に向かって搬送される。
カード搬送部35は、ドライバ37を通してのモータ36の駆動によりカードCRDをカード搬送路34に沿って搬送させる。
モータ36は、CPU41により制御されるドライバ37により駆動され、カード搬送部35を駆動してカードCRDを搬送させる。
モータ36の制御方式として、たとえばPWM制御方式が採用され、モータ36は、CPU41によりPWM制御を受ける。
シャッタ38は、カードリーダ30のカード挿入口50領域におけるカード搬送路34に配置され、CPU41により駆動制御されるソレノイド39の駆動状態に応じてカードリーダ30のカード挿入口50におけるカード搬送路34の開閉を行う。
このシャッタ38は、カード検出用磁気ヘッド(プリヘッド)PHによる検出結果から、挿入されたカードCRDがたとえば不正カードの場合は取り込みを阻止するよう閉状態を維持し、適正カードであれば開いてカード通過を許容するようにCPU41により開閉が制御される。
通常、カードリーダ30を稼働した時、店頭にて顧客がクレジットカードやプリペイカードなどの磁気カード方式のカードCRDをカード挿入口50から挿入する。挿入されたカードCRDは、まずカード検出用磁気ヘッドPHによって、その磁気ストライプmpが検出される。
CPU41において、磁気ストライプmpの検出によって適正カードと判断されると、その信号に基づいてソレノイド39が起動されてシャッタ38を開動作させる。シャッタ開放により、カードCRDはさらに奥方へと顧客の操作で押し込まれる。
検出センサ群40は、後で機構に関連付けて説明するように、カード搬送路34に沿って配置されるプリヘッド(PH、カード検出用磁気ヘッド)401、レバー402やマイクロスイッチ(SW)403、複数のフォトセンサ(光センサ)(PD1〜PD5)404〜408を含んで構成されている。
検出センサ群40は、各センサがカード挿入口50側から、プリヘッド(PH、カード検出用磁気ヘッド)401、レバー402やマイクロスイッチ(SW)403、複数のフォトセンサ(光センサ)(PD1〜PD5)404〜408のように表記した順に配置されている。
プリヘッド401は、カード挿入口50から挿入されたカードCRDが取り込まれると、磁気、具体的には磁気記録体としての磁気ストライプmpにより磁気を検出することによりそのカード取り込みの事実を検知し、駆動モータ36を駆動する契機となる信号をCPU41に対して送信する。
そして、この信号を受信したCPU41が駆動モータ36に対して駆動信号を送信することで、挿入されたカードCRDの引き込み(搬送)が行われる。
その後、挿入されたカードCRDは、カード搬送部35を形成する駆動ローラ353d〜353fによって、カード搬送路34の奥へと搬送されることになる。
プリヘッド401は、基本的に、カード検出用磁気ヘッドとしてカード挿入口50に配置されている。
本実施形態において、プリヘッド401は、たとえフィッシングによる不正行為によりカードCRDが盗用されたとしても少なくとも磁気データの盗用を回避することが可能なように、後で詳述する所定の条件下において、カードCRDの磁気ストライプmpの磁気情報の少なくとも一部を消去するように、CPU41により書き込み電流の供給制御が行われる。
すなわち、プリヘッド401は、磁気ヘッド31と同様に、情報の読み取りに加えて、書き込み(消去)を行うことが可能に構成されている。
図5は、本実施形態に係るカード検出用磁気ヘッドであるプリヘッドの構成の概要を示す図である。
図6は、本実施形態に係るカード検出用磁気ヘッドであるプリヘッドの信号駆動系を示すブロック図である。
プリヘッド401(PH)は、図5に示すように、磁気ギャップ(磁気スペーサ)4015を挟んで対向配置された磁気コア4011と、磁気コア4011に巻回されたライト用巻き線4012(1次コイル)と、磁気コア4011に巻回されたリード用巻き線4013(2次コイル)と、これらを格納するケース4014と、を含んで構成されている。
ライト用巻き線4012には、磁気カードに対して磁気情報を書き込みあるいは消去するための書き込み電流が流れ、リード用巻き線4013には、磁気ギャップ4015近傍の磁束変化に基づいて電磁誘導により電流が流れるように構成されている。
ライト用巻き線4012に書き込み電流を流すと、ライト用巻き線4012内に誘導磁束が発生するとともに、磁気コア4011に沿って形成された磁路に誘導磁束が発生する。そして、磁気コア4011に沿って形成された磁路に誘導磁束が発生したことに起因して、磁気ギャップ4015近傍の磁束が変化し、電磁誘導によりリード用巻き線4013に誘導電流が発生する。
このような構成を有するプリヘッド401は、図6に示すように、CPU41の制御の下、リードライト回路43により駆動される。
リードライト回路43、書き込み駆動回路431と、増幅器(アンプ)432と、波形整形回路(たとえば帯域通過型濾波器BPFやコンパレータ等)433と、を備え、ライト用巻き線4012にライト電流を供給するとともに、リード用巻き線4013に発生するリード電流(上述した誘導電流を含む)を検出する機能を有している。
より具体的には、ライト用巻き線4012に接続された書き込み駆動回路431は、CPU41からの磁気情報の書き込み信号(ライト信号)に基づいて、ライト用巻き線4012に書き込み電流(ライト電流)を供給する。
ライト用巻き線4012には、消去する場合、一定(たとえばN極に固定)となるような書き込み電流が供給される。
また、リード用巻き線4013に接続されたアンプ432は、上述したリード電流を検出するとともに、その波形振幅を大きくして出力する。そして、アンプ432の出力は、波形整形回路433を通過して、高周波ノイズの除去、波形整形が行われた後、CPU41にリード信号(読み出し信号)として入力される。
CPU41は、検出センサ群40の各検出センサにより検出されるカード搬送路34におけるカードCRDの位置等を認識しながら、モータ36の駆動制御、カードの存在および位置の有無の認識処理、カード搬送の制御処理、カードCRDに対する情報(データ)の読み取り処理や書き込みの制御を行う。
CPU41は、プリヘッドPHによる磁気情報(磁気信号)の検出結果に応じてシャッタ38の開閉制御を行う。
CPU41は、挿入されたカードCRDがICカードの場合には、IC接点ブロック機構部32の駆動制御および接点を通してカード側ICとの情報の授受等の制御を行う。
CPU41は、カード搬送路34におけるカード搬送制御において、カードCRDの搬送において正常に搬送されていない異常搬送(本実施形態ではこの状態をジャム(JAM)という場合もある)であると判断した場合であって、カードCRDをカード挿入口50から排出する際、以下に図7に関連付けて説明する、プリヘッド(カード検出用磁気ヘッド)401に対する書き込み電流の供給制御を行う。
図7は、本実施形態に係るプリヘッド(カード検出用磁気ヘッド)に対する書き込み電流の供給制御の概要を説明するための図である。
図7(A)〜(E)は、本実施形態に係るカードリーダ30のカード搬送路34におけるカードCRDの搬送時に異常搬送(JAM)が発生したと判断された後に、カードCRDがカード挿入口50側に引き抜かれる場合の一例を示している。
本例では前述したように、検出センサ群40は、各センサがカード挿入口50側から、プリヘッド(PH、カード検出用磁気ヘッド)401、スイッチ(SW)402やレバー403、複数のフォトセンサ(光センサ)(PD1〜PD5)404〜408のように表記した順に配置されている。
図7(A)は、カード搬送路34の途中で異常搬送(JAM)が発生してカードCRDがカードリーダ30内に滞留している状態の一例を示している。
この例では、カードCRDがフォトセンサ405,406,407の配置領域に滞留している様子を示している。
図7(B)は、フィッシングの不正行為者によりカードCRDをカード挿入口50側に引き抜こうとする力が加えられてカードCRDがフォトセンサ407の配置位置が外れ、カード挿入口50側のフォトセンサ404,405,506の配置位置に移動された状態を示している。
図7(C)は、フィッシングの不正行為者によりカードCRDを、さらにカード挿入口50側に引き抜こうとする力が加えられてカードCRDがフォトセンサ406の配置位置が外れ、カード挿入口50側のプリヘッド401の一部およびフォトセンサ404,405の配置位置に移動された状態を示している。
図7(D)は、フィッシングの不正行為者によりカードCRDを、さらにカード挿入口50側に引き抜こうとする力が加えられてカードCRDがフォトセンサ406の配置位置が外れ、カード挿入口50側のプリヘッド401の長手方向の中央部およびフォトセンサ404,405の配置位置に移動された状態を示している。
図7(E)は、フィッシングの不正行為者によりカードCRDを、さらにカード挿入口50側に引き抜こうとする力が加えられてカードCRDがフォトセンサ405の配置位置が外れ、カード挿入口50側のプリヘッド401の全体およびフォトセンサ404の配置位置に移動された状態を示している。この状態では、カード挿入口50にカードCRDの半分程度が引き出された状態を示している。
CPU41は、基本的に、たとえば図7(A)に示すように、異常搬送(JAM)と判断した場合であって、カードCRDをカード挿入口50から排出する際、プリヘッド(カード検出用磁気ヘッド)401に書き込み電流を流し、カードCRDの磁気記録体である磁気ストライプmp上に記録されている磁気情報の少なくとも一部を消去するように書き込み電流の供給制御を行う。
異常搬送(JAM)と判断した後に、カードCRDの搬出動作が開始されたことを検出する方法として、たとえばカード挿入口50側に位置するフォトセンサがカードを検知したことをトリガーとする方法を採用することが可能である。
この場合、CPU41は、図7(A)に示す位置で異常搬送(JAM)であると判断した後、検出センサ、図7(B)に示す例では、フォトセンサ404でカードCRDが検出されると(フォトセンサ407では非検出となる)、プリヘッド(カード検出用磁気ヘッド)401の書き込み電流の供給制御を開始する。
この書き込み電流の供給制御を開始するが、本実施形態においては、書き込み電流の供給制御の開始時点で直ちに電流の供給を開始すると、カードCRDがプリヘッド401に配置位置に到達しない時点から電流が供給されることになり、無駄な電力が消費されることなる。
そこで、本実施形態では、CPU41は、必要な期間のみ電流を供給し消費電力の低減を図るため、図7(C)に示すように、カードCRDがカード挿入口50側に排出される方向に移送され、プリヘッド401で磁気記録体である磁気ストライプmpの磁気信号を検出するとプリヘッド401への書き込み電流の供給を開始するように構成してもよい。
以降、図7(D)および図7(E)に示すように、カードCRDがカード挿入口50側にさらに排出され、これに伴い、カードCRDの磁気ストライプmpに記録された磁気情報が消去される。
また、不正行為者のカードの引き抜きが一定の力をもってスムースに行われるとも限らない等の理由から、CPU41は、たとえばプリヘッド401への書き込み電流の供給を所定時間、たとえば5秒間行った後、書き込み電流の供給を停止する電流供給断続処理を行うことも可能である。
CPU41は、この電流供給断続処理を含んで上述した異常搬送であるとの判断後の処理からの書き込み電流供給制御を繰り返すように構成することも可能である。
このような、電流供給断続処理を採用することにより、消費電力のさらなる低減を図ることが可能である。
また、異常搬送(JAM)と判断した後に、カードCRDの搬出動作が開始されたことを検出する方法として、たとえばカードCRDにカード挿入口50側に向かって所定の力が加えられることにより、カード搬送部35を駆動するモータ36に負荷がかかり、モータ36のエネルギー量が増えたことをトリガーとする方法を採用することも可能である。
この場合、CPU41は、図7(A)に示す位置で異常搬送(JAM)であると判断した後、カードCRDにカード挿入口50側に向かって(図7(B)に示すような位置に向かって)所定の力が加えられることにより、モータ36のエネルギー量が増えたことを検出すると、プリヘッド(カード検出用磁気ヘッド)401の書き込み電流の供給制御を開始する。
CPU41は、モータの回転状態(回転数や配置位置)を検出するための検出部としてのエンコーダ361の出力に応じて、異常搬送(JAM)であると判断した後におけるモータ36のエネルギー量(負荷)を測定する。
そして、CPU41は、測定したエネルギー量と、保持部に保持されているカード搬送路34をカードが正常に搬送されていない異常搬送時または正常搬送時に相当するモータのエネルギー量とを比較して、滞留しているカードCRDがカード挿入口50側に移送されるか否かを判断し、この判断を契機としてプリヘッド401への書き込み電流の供給制御を開始するか否かを決定する。
すなわち、CPU41は、異常搬送(JAM)と判断した後に、たとえば検出センサがカードCRDを検出していない状態で(図7(A)の状態で)、検出部であるエンコーダ361の検出結果に基づいてモータのエネルギー量を測定した第1エネルギー量と保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とを比較する。
そして、CPU41は、測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量より増えた場合に、カードCRDがカード挿入口50側に移送されるものと判断し、この判断をトリガーとしてプリヘッド401への書き込み電流の供給制御を開始する。
このように、CPU41は、書き込み電流の供給制御開始のトリガーとして、モータのエネルギー量(負荷)が増加するか否かの判断とすることも可能である。
ただし、上述したように検出センサの検出結果を書き込み電流の供給制御開始のトリガーとする方法と組み合わせる等の構成も採用することも可能である。
また、本実施形態において、次のような構成も採用することが可能である。
CPU41は、プリヘッド401への書き込み電流の供給を開始した後に、検出部としてのエンコーダ361の検出結果に基づいてモータ36のエネルギー量を測定した第1エネルギー量と保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とを比較して、測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量に向かって(第2エネルギー量の近傍値)減少した場合、プリヘッド401への書き込み電流の供給を停止するように構成してもよい。
また、CPU41は、プリヘッド401への書き込み電流の供給を停止した後に、検出部であるエンコーダ361の検出結果に基づいてモータ36のエネルギー量を測定した第1エネルギー量と保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とを比較して、測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量より増えた場合、プリヘッド401への書き込み電流の供給を再開するように構成してもよい。
この電流供給の停止および再開処理を組み合わせ、たとえば繰り返すように構成することも可能で、また、上述した所定時間間隔での電流供給断続処理とは別に、あるいは、組み合わせることも可能で、これらの構成により電力消費の効率的な制御ができる利点がある。
本実施形態において、上述したように、モータ36としてDCモータが適用されており、モータ速度の制御はモータからのパルス信号(エンコーダパルス)の周期を基に、モータ駆動系へのエネルギー量をフィードバックする方式をとっている。
また、モータ駆動系へのエネルギー量は、加速制御時(駆動開始時、停止制動時、および速度変更時)を除く定速度制御時の統計をメモリ413に保管することが可能である。
カード搬送時、空転時(カードが内部に存在しない状態)、異常搬送時の力量は予め知ることが可能である。
なお、“モータ駆動系へのエネルギー量”は、たとえば、モータ駆動回路(ドライバ)のオン(On/オフ(Off)による一定時間中のOn時間に因ってその量を数値することが可能である。あるいは、モータに加える電圧をDA(Digital Analog)変換機を介し制御され、CPUは印加電圧の平均値を以って力量の数値化を実現させることが可能である。
上記したように、モータ駆動の状況としてCPU41は逐次数値化された値によってエネルギーの印加量を知ることができる。
その極短時間でのエネルギー量を見た場合、定速度あるいは異常搬送で駆動されているモータ36に印加される、それまでの統計によって得られているエネルギー量CENGに比べて、カードCRDが意に反して強い力で引き抜かれようとする場合のエネルギー量(負荷)MENGは明らかに異なる(たとえば大きくなる)。
図8は、本実施形態に係るエネルギー量測定判定部の構成例を示す図である。
図9は、本実施形態に係るモータ駆動における加速時等の負荷が増えた場合と定速時の駆動パワー(負荷)と速度の変化を示す図である。
図9において、Aで示す曲線がパワー変化を示し、Bで示す曲線が速度の変化および速度に応じたエネルギー量を示している。
図9において示すエネルギー量CENGは、正常搬送時の定速度時あるいは異常搬送(JAM)時のモータの統計的な第2エネルギー量を示している。
この第2エネルギー量CENGと測定した第1エネルギー量MENGとの比較により、プリヘッド401への書き込み電流の供給制御を開始すべきか否かが判定される。
図8のエネルギー量測定判定部410は、測定部411、判定部412、および保持部としてのメモリ413を含んで構成されている。
モータ36の出力軸362と同軸上には、モータ回転速度を検出する手段としてエンコーダ361が配置されている。エンコーダ361からは回転パルスの信号EPLがCPU41のエネルギー量測定判定部410の測定部411に送信される。
測定部411は、モータの回転状態(回転数や配置位置)を検出するための検出部としてのエンコーダ361の出力に応じてモータ36の所定状態となったときのエネルギー量CENGを測定する。
判定部412は、測定部411で測定した第1エネルギー量(負荷)MENGとメモリ413に保持されている正常搬送時の定速度時あるいは異常搬送(JAM)時のモータの統計的な第2エネルギー量CENGとを比較して、プリヘッド401への書き込み電流の供給制御を開始するか否かを判定する。
判定部412は、たとえば測定したエネルギー量CENGが定速度時あるいは異常搬送(JAM)時のエネルギー量IENGより大きい場合には、カードCRDが意に反して強い力で引き抜かれようとすると判断して、プリヘッド401への書き込み電流の供給制御を開始すべきと判定する。
メモリ413は、モータ36がカードCRDを搬送する搬送時における統計的な正常時の定速度時あるいは異常搬送(JAM)時のモータのエネルギー量(負荷)をあらかじめ保持(記憶)する。
本実施形態において、エネルギー量ENGは、モータ36の回転速度が起動時から所定の時間範囲で一定回転の定常速度(定速)になったときの回転数として置換することが可能である。
CPU41は、この測定回転数と、あらかじめ適正値として設定して回転数を比較することにより、プリヘッド401への書き込み電流の供給制御を開始するか否かを判定するように構成することが可能である。
また、CPU41は、カードリーダ30内において、異常搬送(JAM)が発生したと判定した場合に、その旨を上位装置20に報知した応答として、上位装置20からアラーム指令を受けると、図示しない表示部や音声処理部を通して警告(アラーム)を発するように構成することも可能である。
また、カードリーダ30は、上位装置20と、インタフェース回路42、さらには通信線を介して接続され、たとえば上位装置20に復調データや、カードの搬送状態等の情報を送信する。
インタフェース回路42としては、上位装置20とカードリーダとの通信を確立するためには、前述したように、RS232C方式、パラレルポート方式、USB接続方式など種々の通信方式が採用される。
以上、本実施形態に係るカードリーダ30のカード搬送に伴う信号処理系および駆動系の構成および機能の概要を説明した。
次に、カードリーダ30のカード搬送系等の具体的な構造を説明する。
[カードリーダの構造]
図10は、本発明の実施形態に係るカードリーダ30の構造を簡略的に示す平面断面図である。
図11は、本発明の実施形態に係るカードリーダ30の構造を簡略的に示す縦断面図である。
なお、図11における各矢印は、図10において対応する符号の位置を示している。
図10において、本発明の実施形態に係るカードリーダ30は、カードリーダ30へ挿入するカードCRDをカード搬送路34の中に取り込むカード挿入口50を有する。
カードリーダ30は、駆動モータ36を駆動する契機(トリガー)となる信号を送信するプリヘッド(PH)401、カード搬送路側板341からカード搬送路34内へ突出するレバー402、およびレバー402の機械的な動きを検知するマイクロスイッチ(SW)403を有する。
プリヘッド(カード検出用磁気ヘッド)401は、カード搬送路34におけるカード搬送制御において、カード状媒体の搬送において正常に搬送されていない異常搬送(JAM)であると判断された場合であって、カードCRDをカード挿入口50から排出する際、書き込み電流の供給制御が行われる。
カードリーダ30は、カード搬送路34内にあるカードCRDの存在の有無、位置確認やカードの長さ等を検出することを目的として、フォトダイオード(図示せず)と対向して配置されたフォトセンサ404〜408(PD1〜PD5)を有する。
これらのプリヘッド401、レバー402、マイクロスイッチ403、およびフォトセンサ404〜408により検出センサ群40が形成されている。
そして、カードリーダ30は、カード搬送路34の長手方向のほぼ中央部分のフォトセンサ406,407の配置位置寄りに、カードCRDに対して磁気情報(磁気データ)の記録再生を行う磁気ヘッド31が配置されている。
カードリーダ30においては、カード搬送部35を形成する伝達ベルト351a,351bおよび駆動軸を介して駆動ローラ353d〜353f(図11)を回転駆動する駆動モータ36(図中の点線枠内)、その他、様々な機械部品・電気部品(図示せず)が配置されて構成されている。
プリヘッド401は、カード挿入口50から挿入されたカードCRDが取り込まれると、その事実を検知し、駆動モータ36を駆動する契機となる信号をCPU41に対して送信する。
そして、この信号を受信したCPU41が駆動モータ36に対して駆動信号を送信することで、挿入されたカードCRDの引き込み(搬送)が行われる。
その後、挿入されたカードCRDは、カード搬送部35を形成する駆動ローラ353d〜353fによって、カード搬送路34の奥(図10では右方向)へと搬送されることになる。
レバー402およびマイクロスイッチ403は、挿入されたカードCRDの位置を検出する「カード位置検出センサ」の一例であって、カード挿入検出用スイッチとして機能する。
カード挿入口50から挿入されたカードCRDが取り込まれると、カード搬送路34内へ一部が突出したレバー402と挿入されたカードCRDとが接触して、レバー402が図10における下方に変位することを契機として、マイクロスイッチ403がレバー402の機械的な動きを検知する。
そして、マイクロスイッチ403は、CPU41に対して、レバー402の機械的な動きを検知した旨の検知信号を送信し、この検知信号に基づいて、CPU41は挿入されたカードCRDの存在を検出(認識)する。
なお、これらレバー402およびマイクロスイッチ403は、挿入されたカードの長さ等を検出することもできる。
フォトセンサ404〜408は、それぞれ発光素子と受光素子の組合せからなる光学式センサであって、本実施形態では、発光素子と受光素子との間(すなわちカード搬送路34)をカードCRDが通過すると、その表面に形成された磁気ストライプmpによって発光素子からの光が遮られるため、カードの存在を検出できるようになっている。
なお、フォトセンサ404〜408として、磁気式センサや超音波センサなども考えられるが、前者は周囲の磁気環境に感度が左右されやすいため、後者は周囲の温度や湿度に感度が左右されやすいため、これらに左右されない光学式センサを用いることが好ましい。
また、検出センサとして赤外線センサを用いても構わない。また、フォトセンサ404〜408は、挿入されたカードCRDの位置を検出する「カード位置検出センサ」の一例として機能する。
また、フォトセンサ404〜408のみを「カード位置検出センサ」の一例としてもよい。
IC接点ブロック機構部32は、挿入されたカードがICカードである場合にCPU41の制御に従って作動する。
IC接点ブロック機構部32は、ICカード表面上の金属端子(外部端子)と接触できるように、カード搬送路34に沿って接触・当接可能なIC接点322を有しており、これが接触・当接することによって電子データの読み書きを行う。
また、カード搬送路34に配置された磁気ヘッド31は、挿入されたカードが磁気カードである場合に作動するものであり、カード表面上の磁気ストライプに接触・摺動することによって磁気データの読み書きを行う。
より具体的には、図11において、本発明の実施形態に係るカードリーダ30に搭載されたIC接点ブロック機構部32は、挿入されたカード(ICカード)CRDのカード表面上の外部端子に接触・当接して情報の送受信を行う接点ブロック321を備えている。
その接点ブロック321に配置され外部端子に接触・当接するIC接点322と、そのIC接点322を接触・離脱せしめる回動アーム323と、その回動アーム323を、軸326を中心として回動させるために駆動する駆動源(アクチュエータ)324を有している。
駆動源324は、回動アーム323に連結したプランジャ325を直線上に往復運動させることによって回動アーム323を駆動する。
より具体的には、プランジャ325は、コイルバネによって突出する方向に付勢されていて、駆動源324に設置されたソレノイドに通電していない時は、接点ブロック321を挿入されたカードから離反させる一方、駆動源324に設置されたソレノイドに通電している時は、回動アーム323が軸326を中心として回転駆動することによって接点ブロック321を挿入カードに近づける。
接点ブロック321aに配置されたIC接点322は、ICカードの規格に応じて配置された2列のくさび形状のばねより構成され、挿入されたカードの進行方向と直交する方向に並べられ、挿入されたカードと接触・当接する時に撓むことが可能な部材で形成されている。
そして、このIC接点322の一端は、IC接点ブロック機構部32内に配置された制御回路基板に半田付けされ、この制御回路基板と電気的に接続されている。これにより、挿入されたカード(ICカード)に格納された電子データを読み取ったり(再生)、挿入されたカード(ICカード)に対して新たな電子データを書き込んだり(記録)することが可能となる。
磁気ヘッド31は、磁気ギャップ(ギャップスペーサ)を挟んで対向配置された少なくとも一対の磁気コアからなり、一方の磁気コアには再生用コイル、他方の磁気コアには記録用コイルが巻かれ、挿入されたカードに対してヘッド部が摺接して移動する。
これにより、磁気ヘッド31は、挿入されたカードCRDに格納された磁気情報(磁気データ)を読み取ったり(再生)、挿入されたカードCRDに対して新たな磁気データを書き込んだり(記録)することが可能となる。
磁気ヘッド31は、図5に示すプリヘッド401と同様の構成を有する。
なお、図11において、駆動モータ36によって回転駆動する駆動ローラ353d〜353fは、挿入されたカードを挟持するために、従動ローラ353a〜353cと対になっている。
すなわち、従動ローラ353a〜353cは、駆動ローラ353d〜353fのそれぞれに向かって付勢されている。
具体的には、従動ローラ353a〜353cのそれぞれは、挿入カードの上面に当接可能となるように、カード搬送路34の上側から駆動ローラ353d〜353fのそれぞれに向かって付勢されている。
ここで、一般に、上述した磁気ヘッド31が読み取ったり書き込んだりする磁気情報(磁気データ)は、挿入されるカードCRDの表面に印刷等された磁気ストライプmpに記録されているため、カード搬送路34内では、この磁気ストライプmpと磁気ヘッド31は対向することになる。
また、本実施形態に係るカードリーダ30では、図10に示すように、フォトセンサ404、405、および408は、磁気ヘッド31とカード搬送方向の一直線上に配置されている。
そのため、フォトセンサ404、405、および408は、カード搬送路34において磁気ストライプmpが通過する位置に配置されていることになる。
これにより、たとえば規格外の透明カードがカードリーダ30に挿入された場合であっても、その表面に磁気ストライプが形成されているので、基本的に、フォトセンサ404、405、および408が磁気ストライプを検知することで、そのカードCRDの位置を検出することができる。
また、図11中の下向き矢印で示すように、「カード位置検出センサ」として挙げたレバー402、フォトセンサ404〜408のうち、フォトセンサ404,405は、磁気ヘッド31の位置を基準として、カードを挿入するカード挿入口50側に配置されている。
一方、フォトセンサ408は、磁気ヘッド31の位置を基準として、磁気ヘッド31よりも搬送方向下流側(図11でいえば右側)に配置されている。
これにより、規格外の透明カードを含めて、カードCRDがカードリーダ30に挿入されても、そのカードの位置を的確に検出することができる。
上記構成を有する本実施形態に係るカードリーダ30おいては、まず前提として、カード挿入口50より挿入したカードCRD上の磁気ストライプmpにおいて磁気情報を磁気ヘッド31により再生または記録する。
そして、カードリーダ30は、駆動モータ36によって駆動される駆動ローラ353d〜353fを用いて挿入されたカードCRDをカード搬送路34内において搬送し、カード搬送路34に設けた複数のフォトセンサ404〜408からの検出信号に基づき、挿入されたカードの位置を検出して搬送を制御する。
本実施形態では、フォトセンサ404〜408は、カードCRDの磁気ストライプmpが通過する位置に配置されたフォトセンサ404、405、および408と、磁気ヘッド31近傍に配置されたフォトセンサ406,407と、から構成されている。
そして、本実施形態では、たとえば、磁気ヘッド31または磁気ヘッド31近傍に配置されたフォトセンサ406,407のいずれかの検出信号を用いて、挿入されたカードが正常なカードであることを判定し、処理を続行するように構成することも可能である。
この場合、挿入されたカードが正常なカードと判定された場合には、カードリーダ30は、挿入されたカード表面上の磁気ストライプmpに磁気ヘッド31を接触・摺動させることで、カードに格納された磁気データを読み取ったり、カードCRDに対して新たな磁気情報を書き込んだりする。
また、挿入されたカードがICカードの場合には、ICカード表面上の金属端子(外部端子)にIC接点322を接触・当接させることで、ICカードに格納された電子データを読み取ったり、ICカードに対して新たな電子データを書き込んだりする。
本実施形態におけるカードリーダ30は、挿入されたカードCRDの取り込み時に、斑状に透明となっているカードも含め、規格外の透明カードかあるいは正常なカードか、を判定する。
そして、次のカード取り込み動作が開始されるまでその情報を保持しておき、その間のカード搬送を含む内部動作アルゴリズムを、判定結果に従って分離するようにしている。
これにより、正常なカードについては通常どおりのアルゴリズムが実行され、規格外の透明カードの場合には、後述する規格外の透明カードに対応した処理が実行され(後述する図22,図23のフローチャート参照)、規格外の透明カードが挿入されても問題なく稼動できる(処理を続行する)。
なお、カード取り込み時のカードの特徴を判定する方法として、カードの磁気面からの信号を検出している間は、磁気ヘッド31のヘッド部付近にカードが存在するので、磁気ヘッド31を、磁気信号取込手段として使用するだけでなく、カード有無を判定するセンサとしても使用することができる。
[フィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御]
次に、本実施形態におけるフィッシング対策である磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御の具体的な処理を図12〜図19のフローチャートに関連付けて説明する。
ここでは、フィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理を第1〜第7の処理を例として説明する。
図12は、本実施形態に係るカードリーダにおけるカード挿入から取引終了までの処理異常搬送(JAM)発生の有無を含めて説明するためのフローチャートである。
図13は、本実施形態に係るカードリーダにおけるフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第1例を説明するためのフローチャートである。
図14は、本実施形態に係るカードリーダにおけるフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第2例を説明するためのフローチャートである。
図15は、本実施形態に係るカードリーダにおけるフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第3例を説明するためのフローチャートである。
図16は、本実施形態に係るカードリーダにおけるフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第4例を説明するためのフローチャートである。
図17は、本実施形態に係るカードリーダにおけるフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第5例を説明するためのフローチャートである。
図18は、本実施形態に係るカードリーダにおけるフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第6例を説明するためのフローチャートである。
図19は、本実施形態に係るカードリーダにおけるフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第7例を説明するためのフローチャートである。
まず、カードリーダ30のCPU41において、スイッチSW1(レバー402)等がONされたか否かが判定されることにより、顧客のカードCRDの挿入があったか否かを判定される(ステップST0、ST1)。
なお、カードCRDが挿入されたことの検出は、ユーザが選択することができる動作モードによって異なり、挿入検出スイッチか、挿入検出スイッチと磁気検出用プリヘッド401からの磁気検出の両方の検出があったことを条件件に判断されることが通常である。
CPU41においては、カードCRDが挿入されたと判定されると、モータ36が駆動制御されて、搬送ローラ(駆動ローラ)353d〜353fが駆動され、カード取り込みが開始される(ステップST2)。
そして、さらにカードCRDが奥に挿入され、検出センサのフォトセンサの検出結果に応じて磁気ヘッド31の配置領域にカードCRDが搬送され、磁気情報の読み取りや書き込みを伴ういわゆるカード取引が行われる(ステップST3)。
次に、カードの異常搬送、すなわちカードJAMが発生したか否かが判定される(ステップST4)。
ステップST4において、JAMが発生していないと判定されると(ステップST4:No)、取引が終了したか否かが判定される(ステップST5)。
ステップST5において、取引が終了したと判定されると(ステップST5:Yes)、カードCRDの排出動作が開始される(ステップST6)。
そして、この排出動作において、カードの異常搬送、すなわちカードJAMが発生したか否かが判定される(ステップST7)。
ステップST7において、JAMが発生していないと判定されると(ステップST7:No)、排出動作が終了したか否かが判定される(ステップST8)。
ステップST8において、排出動作が終了したと判定されると(ステップST8:Yes)、取引が正常終了する(ステップST9)。
なお、JAMが発生したか否かの判定は、フローチャートを簡素化するために、“JAM発生”となる過程に、何回かの搬送をリトライする動作が含まれ、その結果、それでも搬送ができない場合に“JAM”という状態になったこととする。
一方、ステップST4またはステップST7において、JAMが発生したと判定されると(ステップST4:Yes、ステップST7:Yes)、図13〜図19のフィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理のいずれかに移行する。
以下では、同様の処理であるステップには理解を容易にするために同じステップ番号STを付して説明する。
<磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第1例>
まず、フィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第1例を図13に関連付けて説明する。
この場合、CPU41においては、基本的に、たとえば図7(A)に示すように、異常搬送(JAM)と判断した場合であって、たとえばカード挿入口50側に位置するフォトセンサがカードを検知したか否かが判定される(ステップST0)。
たとえば、図7(B)に示す例では、フォトセンサ404でカードCRDが検出された否かが判定される。
ステップST10において、フォトセンサ404の状態に変化がなく、カードCRDが検出されていないと判定されると(ステップST10:No)、次に、図7(C)に示すように、カードCRDがカード挿入口50側に排出される方向に移送され、プリヘッド401で磁気記録体である磁気ストライプmpの磁気信号が検出されたか否かが判定される(ステップST11)。
ここで、ステップST10において、フォトセンサ404の状態に変化があり、カードCRDが検出されたと判定された場合(ステップST10:Yes)、またはステップST11において、磁気信号が検出されたと判定されると(ステップST11:Yes)、磁気検出用ヘッドであるプリヘッド401に書き込み電流が供給され通電される(ステップST12)。
以降、図7(D)および図7(E)に示すように、カードCRDがカード挿入口50側にさらに排出され、これに伴い、カードCRDの磁気ストライプmpに記録された磁気情報が消去され、プリヘッド401への書き込み電流の供給が停止される(ステップST13)。
この例では、カードCRDがカード挿入口50側に排出される方向に移送され、プリヘッド401で磁気記録体である磁気ストライプmpの磁気信号を検出するとプリヘッド401への書き込み電流の供給が開始されることから、必要な期間のみ電流を供給することが可能となり、消費電力の低減を図ることができる。
また、ステップST10において、フォトセンサ404の状態に変化があり、カードCRDが検出されたと判定されると(ステップST10:NoをYesとする)、次に、図7(C)に示すように、カードCRDがカード挿入口50側に排出される方向に移送され、プリヘッド401で磁気記録体である磁気ストライプmpの磁気信号が検出されたか否かが判定される(ステップST11)ように構成することも可能である。
この場合も、必要な期間のみ電流を供給することが可能となり、消費電力の低減を図ることができる。
<磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第2例>
次に、フィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第2例を図14に関連付けて説明する。
この第2例が上記した第1例と異なる点は、書き込み電流の供給制御開始のトリガーとして、図13のステップST10の検出センサの検出結果を適用する代わりに、ステップST14としてモータのエネルギー量(負荷)が増加するか否かの判断としている点にある。
すなわち、第2例では、CPU41において、異常搬送(JAM)と判断した後に、ステップST14でたとえば検出センサがカード状媒体を検出していない状態で(図7(A)の状態で)、検出部であるエンコーダ361の検出結果に基づいてモータのエネルギー量を測定した第1エネルギー量と保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とが比較される。
そして、測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量が増えていないと判断して場合に、ステップST11における磁気信号の検出判定処理に移行する。
また、ステップST14において、測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量が増えていると判断して場合には(ステップST14:Yes)、ステップST12の書き込み電流の供給開始処理に移行する。
<磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第3例>
次に、フィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第3例を図15に関連付けて説明する。
この第3例が上記した第1例と異なる点は、書き込み電流の供給制御開始のトリガーとして、図13のステップST10の検出センサの検出結果を適用することに加えて、検出センサの検出結果を判定する前に、ステップST14においてモータのエネルギー量(負荷)が増加するか否かの判断としている点にある。
この構成により電力消費の効率的な制御ができる利点がある。
<磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第4例>
次に、フィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第4例を図16に関連付けて説明する。
この第4例が上記した第1例と異なる点は、以下の通りである。
第4例においては、ステップST12の書き込み電流の供給ステップと、ステップST13の書き込み電流供給停止ステップとの間に、ステップST15として、プリヘッド401への書き込み電流の供給を所定時間、たとえば5秒間行った後、書き込み電流の供給を停止する電流供給断続処理を行うように構成されている。
そして、第4例では、ステップST13の書き込み電流供給停止処理後に、ステップST10の処理に戻り、以降の処理を繰り返すように構成されている。
すなわち、この例では、無限ループとなっている。異常が生じて保守員を呼び出す状況となっているため、通常状態でのこのループからの抜け道は無く、この状況は無限に継続され、電源リセットのみで復旧する。
このような、電流供給断続処理を採用することにより、消費電力のさらなる低減を図ることが可能である。
<磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第5例>
次に、フィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第5例を図17に関連付けて説明する。
この第5例が上記した第4例と異なる点は、書き込み電流の供給制御開始のトリガーとして、図16のステップST10の検出センサの検出結果を適用する代わりに、ステップST14としてモータのエネルギー量(負荷)が増加するか否かの判断としている点にある。
すなわち、第2例では、CPU41において、ステップST14で異常搬送(JAM)と判断した後に、たとえば検出センサがカード状媒体を検出していない状態で(図7(A)の状態で)、検出部であるエンコーダ361の検出結果に基づいてモータのエネルギー量を測定した第1エネルギー量と保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とが比較される。
そして、測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量が増えていないと判断して場合に、ステップST11における磁気信号の検出判定処理に移行する。
また、ステップST14において、測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量が増えていると判断して場合には(ステップST14:Yes)、ステップST12の書き込み電流の供給開始処理に移行する。
<磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第6例>
次に、フィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第6例を図18に関連付けて説明する。
この第6例が上記した第4例と異なる点は、書き込み電流の供給制御開始のトリガーとして、図16のステップST10の検出センサの検出結果を適用することに加えて、検出センサの検出結果を判定する前に、ステップST14においてモータのエネルギー量(負荷)が増加するか否かの判断としている点にある。
この構成により電力消費の効率的な制御ができる利点がある。
<磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第7例>
次に、フィッシング対策の磁気ヘッドへの書き込み電流供給制御処理の第7例を図19に関連付けて説明する。
この第7例が上記した第6例と異なる点は、次の通りである。
この例では、ステップST12の書き込み電流の供給ステップの以降に、ステップST16、ステップST17、およびステップST18の処理を設け、ステップST18の肯定的な判定後はステップST12の処理から繰り返す。
すなわち、ステップST12において、書き込み電流の供給を開始して、プリヘッド401に通電している際に、ステップST16において、検出部としてのエンコーダ361の検出結果に基づいてモータ36のエネルギー量を測定した第1エネルギー量と保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とが比較されて、測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量に減少した場合(ステップST16:Yes)、プリヘッド401への書き込み電流の供給を停止する(ステップST17)。
そして、ステップST18において、プリヘッド401への書き込み電流の供給を停止した後に、検出部であるエンコーダ361の検出結果に基づいてモータ36のエネルギー量を測定した第1エネルギー量と保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とが比較されて、測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量より増えた場合(ステップST18:Yes)、ステップST12の処理に移行してプリヘッド401への書き込み電流の供給が再開される。
この電流供給の停止および再開処理を組み合わせ、たとえば繰り返すように構成することも可能で、また、上述した所定時間間隔での電流供給断続処理とは別に、あるいは、組み合わせることも可能で、これらの構成により電力消費の効率的な制御ができる利点がある。
[本カードリーダ30の通常の処理]
次に、本実施形態に係るカードリーダ30における通常の処理について、図20〜図23に関連付けて詳細に説明する。
以下では、透明でない通常カードと規格外の透明カードを処理する場合を説明する。
[各センサの検出信号がONになるタイミングおよび実際の磁気カードの移動の様子]
次に、本実施形態に係る検出センサ群の各センサの検出信号がONになるタイミングおよび実際に磁気カードがカード搬送路34を移動していく様子を、図20および図21に関連付けて説明する。
図20は、各センサの検出信号がONになるタイミングを説明するための図である。
図21は、実際に磁気カードがカード搬送路を移動していく様子を示す図である。
なお、図20において、スイッチSW1は、顧客がカードを挿入してきたことを認識するためのカード位置検出センサを示し、図10のレバー402に相当する。
また、フォトセンサPD1,PD2,PD3,PD4,およびPD5は、いずれも光学式センサであって、それぞれ図3でいうフォトセンサ404,405,406,407,および408に相当する。これらの配置関係は、図20(A)に示すとおりである。
まず、図20(B)に示すように、通常のカードCRDが挿入されたときを考える。
スイッチSW1でカード挿入が検知されると、そのカードCRDをカードリーダ30内に取り込む方向(Backward方向:図10(A)に右側に向かって)にローラ駆動を開始し、フォトセンサPD1とPD2の検出信号DT1、DT2がON(図ではハイレベル)となることにより、挿入されたカードCRDの存在が検知される。
そして、磁気ヘッド31近傍のフォトセンサPD3およびPD4の検出信号DT3,DT4がON(図ではハイレベル)となり、フォトセンサPD3、PD4の位置を通過したと判断した場所から、磁気信号の取り込み(読み込み)を開始し、フォトセンサPD5の位置に挿入された通常カードが到達して規定値分走行後、磁気カードの取り込みと搬送が終了する。
このように、フォトセンサPD3およびPD4において挿入された通常カードの通過を検出できる。
しかし、規格外の透明カードの場合には、フォトセンサPD3およびPD4において、フォトセンサPD3およびPD4は、磁気ヘッド31近傍に配置されているので、挿入されたカードの磁気ストライプmp上には配置されていない。
そのため、光が透明な部分を透過し、挿入されたカードの通過を検出できない場合があり、この場合には、一般的なカードリーダは、規格外のカードが挿入されたあるいはカードが抜き取られた等と判定し、強制排出などのエラー(Error)処理が実行されていた。
そこで、本実施形態に係るカードリーダ30においては、フォトセンサPD3およびPD4までカードCRDが搬送されているはずなのに、これらでカード検出ができない、あるいは、一旦フォトセンサPD3およびPD4でカード検出されたものの、フォトセンサPD3およびPD4からカードが消えたと判断した場合に、"規格外の透明カード"であると判定する。
そして、この取り込み時に"規格外の透明カード"と判定された場合には、それ以降、フォトセンサPD3およびPD4が正しい動きをしないことを前提に制御を行い、カード上の磁気ストライプに記録されている磁気データの読み取り処理だけを行うようにする。
その後、搬送ローラ353d〜353fを駆動させて規格外の透明カードをカードリーダ30から排出するようにしている。
なお、規格外の透明カードの場合には、機能的にも、フォトセンサPD3およびPD4を必須とする処理、たとえばカードの精緻な位置を把握する必要がある処理はできないようになっている。
具体的には、規格外の透明カードに対して、新たな磁気データを書き込む処理や、挿入されたカードがICカードの場合にはICカードに格納された電子データを読み取ったり、ICカードに対して新たな電子データを書き込んだりする処理等である。
なお、"規格外の透明カード"でない場合には、カードリーダ30は一般の処理どおりの動作を行うので、ここでの説明は省略する。
また、磁気ヘッド31から磁気信号が周期的に発せられている間は、磁気ヘッド31近傍にカードCRDが存在することを意味し、磁気ヘッド31からの信号が出力され続けているにもかかわらず、フォトセンサPD3およびPD4の配置領域にカードが存在しない場合には、"規格内の透明カード"と判定するようにしてもよい。
さらに、従来は、挿入されたカードのカード長の測定をスイッチSW1とフォトセンサPD3およびPD4とカード搬送量を使って算出していたが、たとえば、スイッチSW1と磁気ヘッド31からの磁気信号に基づき、カードが磁気ヘッド31のヘッド部に到達したことと、カード搬送量とを使ってカードのカード長を算出するようにしてもよい。
図20(C)および図21には、挿入されたカードCRDが各検出センサで検出されていく場合の各検出信号が示されている。
各図の(a)〜(k)は、対応関係にある。
順に説明すると、(a)で示すタイミングで、レバー402に相当するスイッチSW1がONし、(b)で示すタイミングで、フォトセンサ404に相当するフォトセンサPD1がONし、(c)で示すタイミングで、フォトセンサ405に相当するフォトセンサPD2がONする。
(d)で示すタイミングで、スイッチSW1がOFFし、(e)で示すタイミングで、フォトセンサ406に相当するフォトセンサPD3がONし、(f)で示すタイミングで、フォトセンサ407に相当するPD4がONする。
(g)で示すタイミングで、フォトセンサPD1がOFFし、(h)で示すタイミングで、フォトセンサPD2がOFFし、(i)で示すタイミングで、フォトセンサ408に相当するPD5がONする。
(j)で示すタイミングで、フォトセンサPD3がOFFし、(k)で示すタイミングで、フォトセンサPD4がOFFする。
ここで、図20(C)中の縦縞模様で表わした部分が、"規格外の透明カード"に反応しない部分に相当する。具体的には、規格外の部分に透明な部分があった場合に、フォトセンサPD3およびPD4から検出信号が得られないことがある。
そこで、本実施形態では、フォトセンサPD1、D2、およびPD5と一直線に配置された磁気ヘッド31から得られる磁気信号であって、かつ、フォトセンサPD3およびPD4からの検出信号とほぼ同じタイミングでON・OFFされる磁気信号を、カード位置検出に用いるようにしている。これにより、上述した場合であっても、可能な範囲で磁気/電子データの記録再生処理を継続することができる。
[カードリーダのカード搬送時の動作]
次に、本実施形態に係るカードリーダ30の動作を、カード搬送に伴う各センサの検出信号に関連する動作を中心に説明する。
図22および図23は、本実施形態に係るカードリーダにおける、カード搬送に伴う各センサの検出信号に関連する動作について説明するためのフローチャートである。
まず、カードリーダ30のCPU41は、顧客のカードCRDの挿入があったか否かを判定するために、スイッチSW1(レバー402)がONされたか否かを判定する(ステップST101)。
スイッチSW1(レバー402)がOFFからONになったとき(ステップST11:YES、図21(a)参照)、それを契機(トリガー)としてCPU41によりモータ36が駆動制御され、搬送ローラ(駆動ローラ)353d〜353fの駆動が開始される(ステップST102)。
そして、さらにカードが奥に挿入され、フォトセンサPD1(PDa)がONになったとき(ステップST103:YES、図21(b)参照)、カード搬送が始まり、CPU41により図示しないタイマーTM1が、たとえば2秒にセットされる(ステップST104)。
なお、カード搬送が開始されると、搬送ローラ(駆動ローラ)353d〜353fの回転によって刻まれるエンコーダパルス数により、挿入されたカードの搬送距離を算出することができる。また、機構的には、スイッチSW1からフォトセンサPD1、フォトセンサPD1からフォトセンサPD3、フォトセンサPD3からフォトセンサPD5までの各距離は既知となっている。
次に、カードリーダ30のCPU41は、フォトセンサPD3(PDb)がONされたか否かを判定する(ステップST105)。
挿入されたカードで、磁気ヘッド31から磁気信号の検出が始まったにもかかわらず、フォトセンサPDbがON状態とならないカードは(ステップST105:NO、かつ、ステップST106:YES)、"規格外の透明カード"と判定(第一の判定)される。
具体的には、CPU41は、RAM等の記憶領域に、"規格外の透明カードFlag"を立てる(図13のステップST109)。
一方で、フォトセンサPDbがON状態となった場合には(ステップST105:YES)、特に"規格外の透明カードFlag"を立てることなく、処理は図23のステップST110に移される。
また、フォトセンサPDbがON状態とならず、かつ、磁気ヘッド31からの磁気信号の検出も始まらない場合には(ステップST105:NO、かつ、ステップST16:NO)、ステップST104でたとえば2秒にセットされたタイマーTM1が0になったか否かが判定される(ステップST107)。
0になっていたら(ステップST107:YES)、JAMが発生したとして(ステップST108)、取込動作を終了する。
なお、ステップST108を経て、取込動作を終了した後の処理については、各種考えられる。たとえば強制排出してもよいし、サービスマンが到着するまでカードをカードリーダ30内に取り込んだままにしておいてもよいし、カードリーダ30を通じて上位装置内部に取り込んでしまってもよい。
次に、図23において、カードリーダ30のCPU41のタイマーTM2がセットされる(ステップST110)。そして、フォトセンサPDbがOFFされたか否かがCPU41によって判定される(ステップST111)。
仮にフォトセンサPDbがOFF状態となった場合には(ステップST111:YES)、RAM等の記憶領域に、"規格外の透明カードFlag"を立てられる(ステップST22)。これは、透明カードがあることを意味する。
一方、フォトセンサPDbがON状態となった場合には(ステップST111:NO)、カードCRDは、規格外の透明カードではなく、通常カードとして処理される。なお、通常カードについては一般的などおりのアルゴリズムが実行され、この処理(動作)についてはここでの説明は省略する。
次に、タイマーTM2が0になるまでの間に(ステップST114)、フォトセンサ(PD5(PDc)がON状態になるか否かが判定される(ステップST113)。フォトセンサPDcがON状態とならなかった場合には(ステップST113:NO、かつ、ステップST114:YES)、装置内の中央付近で動かなくなってしまう現象(いわゆるJAM)が発生したとして(ステップST115)、取込動作を終了する。取込動作終了後の処理については、上述同様である。
一方で、タイマーTM2が0になる前に、フォトセンサPDcがON状態となった場合には(ステップST113:YES)、搬送距離がセットされ(ステップST116)、挿入されたカードが所定距離移動する。そして、所定の距離搬送されたら(ステップST117:YES)、カード搬送が終了したとして、駆動モータ36を停止させ(ステップST118)、カード取込が終了する(ステップST119)。
上述したステップST109およびステップST112の処理において、"規格外の透明カードFlag"が立てられた場合には、次のような処理がなされる。
なお、ここでいう"規格外の透明カード"の定義は、フォトセンサPDaおよびPDcでは正確にカード有無が判定できているが、磁気信号を検出するための磁気ヘッド31付近のフォトセンサPDbは、正しくカード有無を判定できていないようなカードである。
少なくとも、カード搬送制御および磁気信号読み出しが可能であって、磁気データが既に書き込まれたカードであるものとする。また、規格外の透明カードではない通常カードは、通常の機能全てを可能とし、以降の制御はこの判定によって分離した制御が行われる。
まず、"規格外の透明カード"である場合、フォトセンサPDbからの検出信号は信用できないため、以降の搬送制御には使えない。
たとえば、後部(図10でいえば右方)に存在するカードを前部(図10でいえば左方)に搬送する場合、駆動ローラ353d〜353fを駆動させてからフォトセンサPDbがON状態となる。その後、フォトセンサPDcがOFF状態、さらにフォトセンサPDaがON状態となり、フォトセンサPDbがOFF状態となって、ある一定距離走行させた後、前部(前方の)停止位置で停止する。
そのため、このような前部停止位置でカードを止めるにあたっても、フォトセンサPDbが正常に働いていなければならない。
そこで、本実施形態に係るカードリーダ30においては、後部からカードが搬送し始めて、その後、フォトセンサPDaがいずれON状態となり、前部停止位置の決定は、このフォトセンサPDaのOFFからON状態のタイミングからの搬送量によって決定される。
さらに、異常状態としてカードが装置内で、たとえば、装置内の中央付近で動かなくなってしまう現象(いわゆるJAM)の発生にも注意すべきである。
なぜなら、中央付近でJAMしてしまい、その後、復旧作業に入ろうとした際には、その時点では何れのセンサにもカードが反応していない状況、すなわち、装置内にカードがない状態となってしまうためで、以降の動作が続かない、あるいはカードなしの状態なので次のカードを取り込める状態になってしまうからである。
このため、規格外の透明カードと判定されている場合のJAM発生時には、リトライ動作が実施されるだけでなく、そこまでのローラ駆動とは逆方向に駆動してみる等、すなわち、同一処理内でカードを何れかのセンサで検出できるところまで移動させる等が必要になる。
ただし、どうしてもフォトセンサPDbを使った制御が必要であれば、規格外の透明カードの扱いと排他的である必要がある。たとえば、接触式のICカードが処理可能な手動式カードリーダに際しては、そのカードをIC接点位置まで移動する必要があり、この接点位置は、現状でいえば、カードを搬送させながらカード端がフォトセンサPDbを通過してからの搬送距離をもって規定されている。
しかし、フォトセンサPDbが正常動作しない、規格外の透明カードの場合には、このようなことができないため、この動作コマンドは実行前に排除されなければならない(Errorコードとして"実行不可能"を返すなど)。
同様に、磁気データ書き込み動作においても、磁気書き込み開始位置はカードを搬送させながらカード端がフォトセンサPDbを通過してからの距離で規定されるため、実行前に排除される必要がある。このようにして、一部のコマンドは排除せざるを得ずとも、可能な範囲で実行できるコマンドは、正常に動作できるように振舞う。なお、規格外の透明カードの判定は、次のカードが挿入されるまで継続される。
なお、図22および図23において、3つのフォトセンサPD1またはPD2、PD3、およびPD5を用いて上述した搬送およびゲイン制御を行うことも可能である。
[実施形態の効果]
上述したように、本実施形態のカードリーダ30においては、基本的に、異常搬送(JAM)と判断した場合であって、カードCRDをカード挿入口50から排出する際、プリヘッド(カード検出用磁気ヘッド)401に書き込み電流を流し、カードCRDの磁気記録体である磁気ストライプmp上に記録されている磁気情報の少なくとも一部を消去するように書き込み電流の供給制御を行う。
異常搬送(JAM)と判断した後に、カードCRDの搬出動作が開始されたことを検出する方法として、たとえばカード挿入口50側に位置するフォトセンサ等がカードを検知したことをトリガーとする方法を採用することが可能である。
この書き込み電流の供給制御を開始するが、本実施形態においては、書き込み電流の供給制御の開始時点で直ちに電流の供給を開始すると、カードCRDがプリヘッド401に配置位置に到達しない時点から電流が供給されることになり、無駄な電力が消費されることなる。
そこで、本実施形態では、必要な期間のみ電流を供給し消費電力の低減を図るため、カードCRDがカード挿入口50側に排出される方向に移送され、プリヘッド401で磁気記録体である磁気ストライプmpの磁気信号を検出するとプリヘッド401への書き込み電流の供給を開始する。
以降、カードCRDがカード挿入口50側にさらに排出されることに伴い、カードCRDの磁気ストライプmpに記録された磁気情報が消去される。
また、不正行為者のカードの引き抜きが一定の力をもってスムースに行われるとも限らない等の理由から、カードリーダ30は、たとえばプリヘッド401への書き込み電流の供給を所定時間、たとえば5秒間行った後、書き込み電流の供給を停止する電流供給断続処理を行うように構成される。
カードリーダ30は、この電流供給断続処理を含んで上述した異常搬送であるとの判断後の処理からの書き込み電流供給制御を繰り返すように構成することも可能である。
このような、電流供給断続処理を採用することにより、消費電力のさらなる低減を図ることが可能である。
また、異常搬送(JAM)と判断した後に、カードCRDの搬出動作が開始されたことを検出する方法として、たとえばカードCRDにカード挿入口50側に向かって所定の力が加えられることにより、カード搬送部35を駆動するモータ36に負荷がかかり、モータ36のエネルギー量が増えたことをトリガーとする方法を採用することも可能である。
このように、CPU41は、書き込み電流の供給制御開始のトリガーとして、モータのエネルギー量(負荷)が増加するか否かの判断とすることも可能である。
ただし、上述したように検出センサの検出結果を書き込み電流の供給制御開始のトリガーとする方法と組み合わせる等も構成も採用することも可能である。
また、本実施形態において、次のような構成も採用することが可能である。
CPU41は、プリヘッド401への書き込み電流の供給を開始した後に、検出部としてのエンコーダ361の検出結果に基づいてモータ36のエネルギー量を測定した第1エネルギー量と保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とを比較して、測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量に減少した場合、プリヘッド401への書き込み電流の供給を停止する。
また、CPU41は、プリヘッド401への書き込み電流の供給を停止した後に、検出部であるエンコーダ361の検出結果に基づいてモータ36のエネルギー量を測定した第1エネルギー量と保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とを比較して、測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量より増えた場合、プリヘッド401への書き込み電流の供給を再開する
この電流供給の停止および再開処理を組み合わせ、たとえば繰り返すように構成することも可能で、また、上述した所定時間間隔での電流供給断続処理とは別に、あるいは、組み合わせることも可能で、これらの構成により電力消費の効率的な制御ができる利点がある。
したがって、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
たとえ不正行為によりカード状媒体が盗用されたとしても少なくとも磁気データの盗用を回避することができる。
すなわり、フィッシングによってカードを盗まれるような状況が発生して、少なくとも磁気データが盗まれなければ最悪な状況は回避できる。
また、機械(メカニカル)的な機構を付加し、フィッシングからカードを守る方法は、機械的機構の追加、および、その機械的機構を駆動するためのハードウェアの追加が必要となる。さらに機械的機構の追加の場合、その機構を設置するスペースを確保する必要がある。
これに対して、本実施形態のように、異常を検出し、フィッシングされようとしているカードの磁気情報を消去する方法ならば、すでに装着されている磁気検出用磁気ヘッドに電流を流す回路を追加する変更にとどまり、装置の大型化を抑止することが可能となる。
また、ヘッドの構造を変える必要性が生じたとしても、従来から使われている磁気の書き込み可能なヘッドを応用すれば、容易に新しいヘッドの作製は可能である。
さらに、磁気消去を行うには、相当量の電流を流す必要があるため、異常状態(JAMなどのトリガー)の検知、その後、カードが動かされた(要は不正行為者がカードを抜き出そうとする動作が始まった)検知などの新たなアルゴリズムが有効な消費電力抑制となる。
10・・・情報処理システム、20・・・上位装置(ホスト装置)、30・・・カードリーダ(カード状媒体処理装置)、31・・・磁気ヘッド、32・・・IC接点ブロック機構部、33・・・磁気情報取得部、34・・・カード搬送路、35・・・カード搬送部、36・・・駆動モータ、37・・・ドライバ、38・・・シャッタ、39・・・ソレノイド、40・・・検出センサ群、401・・・プリヘッド、402・・・レバー、403・・・マイクロスイッチ(SW)、404〜408・・・フォトセンサ、41・・・CPU(制御部)、42・・・インタフェース回路、43・・・リードライト回路、50・・・カード挿入口、CRD・・・カード(記録媒体)、mp・・・磁気ストライプ。

Claims (16)

  1. 磁気情報が記録される磁気記録体が形成されたカード状媒体に所定の処理を行うカード状媒体処理装置であって、
    挿入口から挿入されたカード状媒体を当接した状態で搬送路に沿って搬送する媒体搬送部と、
    前記媒体搬送部を駆動するモータと、
    前記挿入口領域に配置され、前記カード状媒体の前記磁気記録体を検知する磁気ヘッドと、
    前記搬送路における前記カード状媒体の存在および位置を検出する検出センサと、
    少なくとも前記検出センサの検出結果に応じて前記モータの駆動により前記カード状媒体の搬送を制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、
    前記カード状媒体の搬送において正常に搬送されていない異常搬送と判断した場合であって、前記カード状媒体を前記挿入口から排出する際、前記磁気ヘッドに書き込み電流を流し、前記カード状媒体の前記磁気記録体上に記録されている磁気情報の少なくとも一部を消去するように書き込み電流の供給制御を行う
    カード状媒体処理装置。
  2. 前記制御部は、
    異常搬送であると判断した後、さらに前記検出センサで前記カード状媒体が検出されると、前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給制御を開始する
    請求項1記載のカード状媒体処理装置。
  3. 前記制御部は、
    前記カード状媒体が前記挿入口側に排出される方向に移送され、前記磁気ヘッドで前記磁気記録体の磁気信号を検出すると前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給を開始する
    請求項1または2記載のカード状媒体処理装置。
  4. 前記制御部は、
    前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給を所定時間行った後、当該書き込み電流の供給を停止する電流供給断続処理を行う
    請求項1から3のいずれか一に記載のカード状媒体処理装置。
  5. 前記制御部は、
    前記電流供給断続処理を含んで前記異常搬送であるとの判断後の処理からの書き込み電流供給制御を繰り返す
    請求項4記載のカード状媒体処理装置。
  6. 前記モータの回転状態を検出するための検出部と、
    前記搬送路をカード状媒体が正常に搬送されていない異常搬送時または正常搬送時に相当するモータのエネルギー量をあらかじめ保持する保持部と、を含み、
    前記制御部は、
    前記異常搬送と判断した後に、前記検出センサが前記カード状媒体を検出していない状態で、前記検出部の検出結果に基づいて前記モータのエネルギー量を測定した第1エネルギー量と前記保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とを比較して、測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量より増えた場合に、カード状媒体が前記挿入口側に移送されるものと判断し、当該判断を契機として前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給制御を開始する
    請求項1から5のいずれか一に記載のカード状媒体処理装置。
  7. 前記制御部は、
    前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給を開始した後に、前記検出部の検出結果に基づいて前記モータのエネルギー量を測定した第1エネルギー量と前記保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とを比較して、測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量に減少した場合、前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給を停止する
    請求項6記載のカード状媒体処理装置。
  8. 前記制御部は、
    前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給を停止した後に、前記検出部の検出結果に基づいて前記モータのエネルギー量を測定した第1エネルギー量と前記保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とを比較して、測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量より増えた場合、前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給を再開する
    請求項7記載のカード状媒体処理装置。
  9. 挿入口から挿入されたカード状媒体を当接した状態で搬送路に沿って搬送する媒体搬送部と、
    前記媒体搬送部を駆動するモータと、
    前記挿入口領域に配置され、前記カード状媒体の磁気記録体を検知する磁気ヘッドと、
    前記搬送路における前記カード状媒体の存在および位置を検出する検出センサと、を有し、少なくとも前記検出センサの検出結果に応じて前記モータの駆動により前記カード状媒体の搬送を制御するカード状媒体処理装置におけるカード状媒体処理方法であって、
    前記カード状媒体の搬送において正常に搬送されていない異常搬送と判断した場合であって、前記カード状媒体を前記挿入口から排出する際、前記磁気ヘッドに書き込み電流を流し、前記カード状媒体の前記磁気記録体上に記録されている磁気情報の少なくとも一部を消去するように書き込み電流の供給制御を行う
    カード状媒体処理方法。
  10. 異常搬送であると判断した後、さらに前記検出センサで前記カード状媒体が検出されると、前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給制御を開始する
    請求項9記載のカード状媒体処理方法。
  11. 前記カード状媒体が前記挿入口側に排出される方向に移送され、前記磁気ヘッドで前記磁気記録体の磁気信号を検出すると前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給を開始する
    請求項9または10記載のカード状媒体処理方法。
  12. 前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給を所定時間行った後、当該書き込み電流の供給を停止する電流供給断続処理を行う
    請求項9から11のいずれか一に記載のカード状媒体処理方法。
  13. 前記電流供給断続処理を含んで前記異常搬送であるとの判断後の処理からの書き込み電流供給制御を繰り返す
    請求項12記載のカード状媒体処理方法。
  14. 前記搬送路をカード状媒体が正常に搬送されていない異常搬送時または正常搬送時に相当するモータのエネルギー量をあらかじめ保持部に保持し、
    前記異常搬送と判断した後に、前記検出センサが前記カード状媒体を検出していない状態で、前記モータの回転状態を検出する検出部の検出結果に基づいて前記モータのエネルギー量を測定した第1エネルギー量と前記保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とを比較し、
    測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量より増えた場合に、カード状媒体が前記挿入口側に移送されるものと判断し、当該判断を契機として前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給制御を開始する
    請求項9から13のいずれか一に記載のカード状媒体処理方法。
  15. 前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給を開始した後に、前記検出部の検出結果に基づいて前記モータのエネルギー量を測定した第1エネルギー量と前記保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とを比較し、
    測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量に減少した場合、前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給を停止する
    請求項14記載のカード状媒体処理方法。
  16. 前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給を停止した後に、前記検出部の検出結果に基づいて前記モータのエネルギー量を測定した第1エネルギー量と前記保持部に保持されているモータの第2エネルギー量とを比較し、
    測定した第1エネルギー量が保持されている第2エネルギー量より増えた場合、前記磁気ヘッドへの書き込み電流の供給を再開する
    請求項15記載のカード状媒体処理方法。
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