JP2014196534A - 鋼板の熱処理温度管理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼板温度を正確に算出することができる鋼板の熱処理温度管理方法を提供する。【解決手段】鋼板2を熱処理炉1内に装入して熱処理する鋼板の熱処理温度管理方法であって、前記熱処理炉内に装入する前記鋼板2の温度を炉内雰囲気温度の分布に基づいて算出する際に使用する形態係数Vfと放射率εとを複数の分割領域A1,A2で個別に設定している。【選択図】図3

Description

本発明は、鋼板を熱処理炉で熱処理する際に鋼板温度を精度よく管理することができる鋼板の熱処理温度管理方法に関する。
一般に鋼板は、その材質を改善するべく熱処理炉において焼入、焼戻、焼準等の熱処理が施される。そして、この熱処理鋼板は処理温度および処理時間によって微妙な差異が生じてくることから、鋼板の熱処理方法においては、熱処理炉での温度管理が重要となる。
このため、従来、炉内雰囲気から鋼板へと伝導する熱量から、時間の変化に対応した鋼板の温度分布を算出し鋼板温度を予測する実体温度管理方法が採用されてきた。
鋼板の実体温度は、使用する熱処理炉の炉内温度分布の影響を受けるので、炉内温度分布を正確に把握して鋼板の熱処理を適切に行うため、熱処理炉内に装入する鋼材に複数点の鋼板温度算出のための基準点を設け、熱処理炉内の複数点の炉内雰囲気温度の測定値から求めた炉内雰囲気温度分布に基づいて、伝導熱量を計算することにより、前記基準点の鋼板温度を算出し、前記基準点の鋼板温度が予め設定した熱処理温度になったら鋼材を熱処理炉から抽出するようにした鋼材の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−105291号公報
ところで、上記特許文献1に記載の従来例にあっては、鋼板の表面温度を算出する一次元の熱伝導方程式で、輻射伝熱を表す項に放射率ε及び形態係数Vfが使用されているが、これら放射率ε及び形態係数Vfは通常実験によって求めるようにしている。このため、限られた実験結果では、実験に用いた鋼板の寸法、熱処理設定温度の違い等により形態係数と放射率との炉内分布を網羅することは困難で、形態係数は熱処理炉内で一定値を使用するようにしている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例では、形態係数が熱処理炉内で一定であるとして鋼板温度を計算するようにしているので、熱処理炉内の形態係数のバラツキの影響を受けて、鋼板に熱電対等の温度検出部を埋設して測定した温度と計算によって求めた炉内鋼板温度とでバラツキが生じ、正確な鋼板温度を算出することができないという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、鋼板温度を正確に算出することができる鋼板の熱処理温度管理方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る鋼板温度管理方法の第1の態様は、鋼板を熱処理炉内に装入して熱処理する鋼板の熱処理温度管理方法であって、前記熱処理炉内に装入する前記鋼板の温度を炉内雰囲気温度の分布に基づいて算出する際に使用する形態係数と放射率とを複数の分割領域で個別に設定している。
また、本発明に係る鋼板温度管理方法の第2の態様は、前記複数の分割領域で個別に前記形態係数と放射率との積を設定するようにしている。
また、本発明に係る鋼板温度管理方法の第3の態様は、前記複数の分割領域を、前記鋼板の幅方向に複数形成している。
また、本発明に係る鋼板温度管理方法の第4の態様は、前記形態係数と放射率の積の同定は、試験用鋼板の前記分割領域に対応する位置に温度測定部を埋設し、該温度測定部を埋設した試験用鋼板を熱処理炉に装入して通板させたときの測温結果と、そのときの前記形態係数及び放射率の積に基づく鋼板温度の算出結果との平方平均2乗誤差が最小となる前記形態係数と放射率の積を設定することにより行うようにしている。
また、本発明に係る鋼板温度管理方法の第5の態様は、鋼板を熱処理炉内に装入して熱処理する鋼板の熱処理温度管理方法であって、前記加熱処理炉内における前記鋼板の温度を炉内雰囲気温度の分布により形態係数及び放射率を含む一次元の熱伝導方程式を用いて算出する際に、前記鋼板の幅方向及び搬送方向にそれぞれ複数に分割した分割領域で個別に前記形態係数及び前記放射率を設定している。
また、本発明に係る鋼板温度管理方法の第6の態様は、前記一次元の熱伝導方程式が、熱伝導率をλ、鋼板内温度をT、鋼板表面からの深さをx、ステファンポルツマン定数をσ、放射率をε、形態係数をVf、対流熱伝導係数をαとしたときに、
Figure 2014196534
で表されている。
また、本発明に係る鋼板温度管理方法の第7の態様は、前記形態係数と放射率の積の同定は、前記鋼板の前記分割領域に対応する位置に温度検出部を埋設し、該温度検出部を埋設した鋼板を熱処理炉に装入して通板させたときの測温結果と、そのときの前記形態係数及び放射率の積に基づいて前記一次元の熱伝導方程式で算出した鋼板温度の算出結果との差の平方平均2乗誤差が最小となるように前記形態係数と放射率の積を設定することにより行うようにしている。
本発明によれば、鋼板を装入する熱処理炉内に複数の分割領域を形成し、各分割領域毎に形態係数及び放射率を設定するようにしているので、鋼板温度を一次元の熱伝導方程式を用いて算出する場合に、熱処理炉内の形態係数及び放射率のバラツキの影響を受けることなく、鋼板温度を正確に算出することができ、鋼板の熱処理温度管理を正確に行うことができる。
本発明に係る鋼板温度管理方法を適用し得る熱処理炉の全体構成を示す外観図である。 熱処理炉の温度計設置位置を示す断面図である。 熱処理炉の入側から見た分割領域を示す模式図である。 本発明による熱処理手順を示すフローチャートである。 鋼板を熱処理炉に搬入する配置を示す平面図である。 鋼板に設けた基準点を示す平面図である。 鋼板に設けた厚さ方向の基準点を示す模式図である。 熱処理炉内の鋼板と炉内雰囲気温度を測定する熱電対の配置を示す断面図である。 基準点の炉内雰囲気温度を線形補間して求める状態を示す図である。 鋼板内の熱伝導を求めるのに使用した一定伝導モデルを示す図である。 試験用鋼板を示す平面図である。
以下、本発明に係る鋼板温度管理方法の一実施形態について図面を伴って説明する。
図1は本発明を適用し得る熱処理炉を示す外観図である。この図1において、熱処理炉1の前後にスラブ等を圧延して製造された厚板鋼板でなる鋼板2を搬送する入側搬送ローラ3A及び出側搬送ローラ3Bが配置されている。
熱処理炉1は、図2に示すように、炉体4の中央部に鋼板2を搬送するハースロール5が配置され、このハースロール5を挟んで上下に鋼板2を加熱するラジアントチューブバーナ6U,6Lが配置されている。
そして、炉体4の上側炉壁4aには、幅方向の中央部に上部中央温度計7aが配置され、この上部中央温度計7aの左側に所定距離離れた位置に上部左温度計7bが配置されている。さらに、炉体4の下側炉壁4bには、幅方向の略中央位置に下部中央温度計7cが配置されている。これら温度計7a〜7cのそれぞれは例えば熱電対等の温度計で構成されている。
炉体4内には、図3に示すように、幅方向の中央位置から左右端部側にそれぞれ2つの分割領域A1及びA2が形成されており、各分割領域A1及びA2毎に、後述する(3)式及び(4)式の形態係数Vf及び放射率εが設定されている。
そして、炉体4内は、鋼板2の搬送方向に分割された14の炉内ゾーンが設定され、各炉内ゾーン毎に個別に温度制御が可能に構成されている。
したがって、鋼板2は、入側搬送ローラ3Aによって搬送されて炉体4内に装入され、この炉内4内でハースロール5によって搬送され、熱処理が終了した後に炉体4の出側で、出側搬送ローラ3Bに受け渡されて外部に搬送される。
このときの鋼板2の熱処理手順は、図4に示すように行われる。
すなわち、先ず、ステップS1で鋼板の熱処理温度設定が行われる。
鋼板の熱処理温度は、鋼板の向先、用途、板厚、板幅、材質等の製品条件をもとに過去の熱処理データベースに基づいて決定される。鋼板の熱処理温度の設定に当たっては、最も効率の良い製造手順が求められ、例えば、同じ熱処理温度で処理する鋼板を複数準備し、同じチャンスで熱処理が行われる。
次いで、ステップS2に移行して、熱処理炉の炉内雰囲気温度設定が行われる。
この炉内雰囲気温度設定では、ステップS1で設定した鋼板の熱処理温度になるように過去の熱処理データベースに基づいて熱処理炉の炉内雰囲気温度を設定する。
なお、運用として、熱処理炉の炉内雰囲気温度に合せて、対応する熱処理温度の鋼板を製品条件から選択し、鋼板保管ヤードから準備してもよい。
次いで、ステップS3に移行して、鋼板の基準点設定を行う。
この鋼板の基準点設定は、図5に示すように、炉内ゾーンへの鋼板の装入は複数枚の鋼板を1つの単位として扱う、いわゆるタンデム装入を行うのが効率的で、この実施形態では最大4枚の鋼板を1つの単位としてタンデム装入している。基準点の数は温度精度の観点からは多い方が好ましいが、プロセスコンピュータによる温度データ処理の関係から計算負荷が増すだけで効率的でない。現実的には、基準点の位置及び数は鋼板の形状にもよるが、鋼板全体の温度を把握するのに十分な位置及び数があればよい。
熱処理炉内に装入する鋼板には面内に複数点の温度トラッキングポイントを設けて、鋼板の温度管理の基準点とする(以下、基準点)。本発明の実施形態では図6に示すように、それぞれの鋼板において、上面視の平面内9点の基準点を設け、各基準点について厚み方向に図7に示すように9点の基準点を設けてから、熱処理炉内に装入する。熱処理中鋼板は原則的には所定位置に停止させる。しかし、同じ位置に停止させると、熱処理炉からの熱の幅射に対し鋼板を支えるハースロールの影になる部分の温度が低くなり鋼板の温度バラツキの原因になるため、前後に揺動させる程度の移動は行う。
次いで、ステップS4に移行して、炉内雰囲気温度を計測する。
炉内雰囲気温度は炉内幅方向、炉内長手方向の所定位置に設置した複数の熱電対で計測した。各炉内ゾーンにおいて炉内幅方向にそれぞれに少なくとも2点計測する。各炉ゾーンにおける炉内長手方向の温度分布は、幅方向の温度分布の測定に供した熱電対で代表させても良いし、別途測定点を設けても良い。前者の場合、長手方向の温度分布は1点の計測値で代表することになる。図8は炉内雰囲気温度の測定概要を示す図で、熱電対を設置した位置での炉内幅方向断面を示す。
なお、温度計測手段は熱電対に限定されるものでなく、目的温度を計測して電気信号に変えうる如何なる手段であってもよい。
次いで、ステップS5に移行して、鋼板の基準点に対応した炉内雰囲気温度を算出する。
この炉内雰囲気温度の算出は、ステップS4で計測した温度から例えば線形補間し、鋼板内に設定した基準点の炉内雰囲気温度を求める。図8に対応させて炉内温度を模式的に示したのが図9である。炉内幅方向に設置した2点の熱電対で計測した温度で線形補間し、炉内雰囲気温度分布を求め、そして、それに基づいて鋼板幅方向の基準点の炉内雰囲気温度を求めた例である。このようにして、仮想の熱電対で測定した基準点上の温度が求まる。上記は2点の例であるが、3点の場合もそれぞれ熱電対で計測した各温度間を線形補間すればよい。
次いで、ステップS6に移行して、基準点における鋼板の温度を後述するように算出してからステップS7に移行して、基準点における鋼板の温度が鋼板の熱処理温度となったら、熱処理炉外へ鋼板を抽出する。基準点9点すべての温度が熱処理温度に達したところで鋼板を抽出する。またすべての鋼板の温度が熱処理温度に達したところですべての鋼板を抽出する。
この場合、熱処理パターンによっては、所定時間保持してから抽出することもある。
このようにして熱処理され、鋼板が製造される。製造された鋼板はそのまま後工程に搬送され出荷される場合もあるが、熱処理炉から抽出後に鋼板を最終製品形状に切断して後工程に搬送する場合もある。
なお、上記フローチャートで、ステップS3〜ステップS7の処理は、図4に示すように、熱処理プログラマブルコントローラ8で実行される。
本発明においては、ステップS6で実行する基準点における鋼板温度の算出処理で、熱処理炉の炉内雰囲気温度から鋼板温度を推定計算するにあたっては、下記の式(4)乃至式(5)を用いた。これらの式は、下記の熱伝導のフーリエ法則を用いて求められる。
Figure 2014196534
鋼板内の時間の変化に対応した熱伝導は図10に示す微小な立方体を考え、板厚方向をx軸とした一次元の伝導モデルを想定し求めた。
まず、炉内の境界条件、すなわち炉内雰囲気から鋼板表面への単位時間、単位面積あたりの熱量は上記式(1)により次のようになる。
Figure 2014196534
また、炉内伝導体については幅射伝熱と対流伝熱があることから、上記式の境界条件は次のようになる。
Figure 2014196534
従って、上記境界条件および式(2)、式(3)より次の式が成り立つ。
Figure 2014196534
一方、時間的変化に対応する鋼板内の温度は鋼板内の伝導熱量から、鋼板内温度分布の時間的変化が下式(5)で表すことができる。
Figure 2014196534
式(4)を用いて、炉内雰囲気温度(T雰囲気)から基準点における鋼板表面温度(T表面)を求め、次いで、求めた鋼板表面温度と式(5)を用いて鋼板内部への熱伝導を所定の時間経過毎に求める。こうすることによって、熱処理開始後所定時間後(t)における鋼板表面から厚さ方向に所定位置(x)の温度(T(x、t))が計算できる。例えば鋼板内部の1/2板厚位置における温度が計算できる。
ここで、式(4)で使用する放射率ε及び形態係数Vfについては、熱処理炉1の炉体4内の分割領域A1及びA2毎に個別に設定されている。
この放射率ε及び形態係数Vfの設定は、前述した式(4)における輻射伝熱を表す右辺第1項で放射率ε及び形態係数Vfを乗算する積の形で表されているので、ε×Vfとして設定する。
一方、図11に示すように、試験用鋼板11の長手方向の中央部に幅方向に3点の基準点RP1、RP2及びRP3を設定し、各基準点RP1、RP2及びRP3について板厚方向1t/2の位置に達するφ5mmの穴を開け、そこに温度測定部としての熱電対12a、12b及び12cを埋め込む。そして、この試験用鋼板11を熱処理炉1内に装入して熱処理を行い、そのときの鋼板内温度を各熱電対で測定する実温度計測処理を実施した。ここで、試験用鋼板11に対する各熱電対の埋込位置は、図3に示すように、幅方向の中央の熱電対12bが左右の分割領域A1間の中央に位置するようにし、幅方向の両端側の熱電対12a及び12cが左右の分割領域A2の略中央に位置するように配置する。
そして、放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)の同定には、熱電対12bの鋼板温度の時間順次の測定値TMiと、試験用鋼板11の通板時における予め設定した所定数の異なる値の放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を使用して式(4)及び式(5)に基づく試験用鋼板11の1t/2の厚みの温度計算値TCiとに基づいて下記式(6)の演算を行って平方平均2乗誤差RMSEを算出し、算出した平方平均2乗誤差RMSEが最小となる放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を抽出し、抽出した放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を分割領域A1における放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)として設定する。
Figure 2014196534
同様に、熱電対12aの鋼板温度の時間順次の測定値TMiと試験用鋼板11の通板時における放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を種々変更した場合の式(4)及び式(5)に基づく試験用鋼板11の1t/2の厚みの温度計算値TCiとに基づいて上記式(6)の演算を行って平方平均2乗誤差RMSEを算出し、算出した平方平均2乗誤差RMSEが最小となる放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を抽出し、抽出した放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を分割領域A2における放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)として設定する。
通常は、試験用鋼板11の幅方向両端に埋込んだ熱電対12a及び12cの温度測定結果が略一致するので、上記したように、例えば左端側の熱電対12aの温度測定値TMiに基づいて分割領域A2の放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を設定することで左右両端側の分割領域A2の放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を設定するが、熱電対12a及び12cの温度測定結果が大きく異なる場合には、熱電対12cの測定結果と式(4)及び式(5)の計算結果とに基づいて右側の分割領域A2の放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を設定する。
このようにして、分割領域A1及びA2の放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を設定することにより、熱処理炉1の炉体4内における形態係数のバラツキの影響を考慮して式(4)及び式(5)によって鋼板2内の温度を正確に算出することができる。
なお、鋼板2内の温度としては、図6に示すように、上面視で例えば搬送方向の前端部、中央部及び後端部についてそれぞれ幅方向の両端部及び中央部の3点で計9点の基準点を設定し、図7に示すように、平面視の各基準点について厚み方向に例えば等分割した前記(1)式のdxに対応する深さ毎に9点の計81の基準点の温度を前記式(4)及び(5)に基づいて計算する。
そして、計算された各基準点の温度計算値に基づいて鋼板2の熱処理温度を管理することにより、正確な熱処理を実施することができる。
このとき、熱処理炉1内に、図5に示すように、複数の鋼板2を2列で同時装入する場合には、2列の鋼板2のうち互いに対向する内側の基準点については分割領域A1の放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を使用して、式(4)及び式(5)に基づいて温度計算値を算出し、外側となる2点については分割領域A2を使用して、式(4)及び式(5)に基づいて温度計算値を算出する。
このように、上記実施形態では、熱処理炉1の内部を幅方向に複数の分割領域を設定し、各分割領域毎に放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を設定するので、前記式(4)及び式(5)に基づいて算出する鋼板2の各基準点の温度を放射率εや形態係数Vfのバラツキに関わりなく正確に算出することができる。
しかも、放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)として分割領域毎に設定するので、放射率ε及び形態係数Vfを個別に算出する必要がなく、放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)の算出を容易に且つ正確に行うことができる。
さらに、放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)の算出を試験用鋼板11の基準点における時間順次の温度を熱電対12a〜12cで測定し、これらの温度測定値TMiと予め設定した複数の放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)の値を使用して式(4)及び式(5)に基づく演算を行って算出した温度計算値TCiとから平方平均2乗誤差RMSEを算出し、算出した平方平均2乗誤差RMSEのうち最小となる平方平均2乗誤差RMSEを抽出し、抽出した平方平均2乗誤差RMSEの算出に使用した放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を分割領域の放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)として設定するので、正確な放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を算出することができる。
なお、上記実施形態では、熱処理炉1の熱処理空間を幅方向の中央を境界にして左右両側でそれぞれ幅方向に2つの分割領域A1及びA2に分割した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、幅方向に3分割以上の分割領域を設定し、各分割領域について放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を設定するようにしてもよい。同様に、熱処理炉1の幅方向のみならず搬送方向の例えば炉内ゾーン毎或いは任意の分割領域毎に放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を設定するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、鋼板2の基準点を上面視で9点、深さ方向に9点の計81点設定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、基準点の設定は鋼板2の長さ、幅及び厚さに基づいて任意に設定することができる。
また、上記実施形態では、分割領域毎に放射率ε及び形態係数Vfの積(ε×Vf)を設定する場合について説明したが、放射率ε及び形態係数Vfのうち何れか一方の分割領域毎の変化が少ない場合には、他方のみを設定するようにしてもよい。すなわち、放射率εが分割領域A1及びA2で変化が少ない場合には、放射率εを一定値とし、変化の大きい形態係数Vfのみを分割領域A1及びA2毎に設定するようにしてもよい。
さらに、熱処理炉1の構成は上記構成に限定されるものではなく、燃焼方式や搬送方式が異なる他の構成を有する熱処理炉にも本発明を適用することができる。
また、温度測定部としては熱電対に限定されるものではなく、他の温度測定器を適用することができる。
1…熱処理炉、2…鋼板、3A…入側搬送ローラ、3B…出側搬送ローラ、4…炉体、5…ハースロール、6U,6L…ラジアントチューブバーナ、7a…上部中央温度計、7b…上部左温度計、7c…下部中央温度計、A1,A2…分割領域、11…試験用鋼板、12a〜12c…熱電対

Claims (7)

  1. 鋼板を熱処理炉内に装入して熱処理する鋼板の熱処理温度管理方法であって、
    前記熱処理炉内に装入する前記鋼板の温度を炉内雰囲気温度の分布に基づいて算出する際に使用する形態係数と放射率とを複数の分割領域で個別に設定したことを特徴とする鋼板の熱処理温度管理方法。
  2. 前記複数の分割領域で個別に前記形態係数と放射率との積を設定することを特徴とする請求項1に記載の鋼板の熱処理温度管理方法。
  3. 前記複数の分割領域は、前記鋼板の幅方向に複数形成するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼板の熱処理温度管理方法。
  4. 前記形態係数と放射率の積の同定は、試験用鋼板の前記分割領域に対応する位置に温度測定部を埋設し、該温度測定部を埋設した試験用鋼板を熱処理炉に装入して通板させたときの測温結果と、そのときの前記形態係数及び放射率の積に基づく鋼板温度の算出結果との平方平均2乗誤差が最小となる前記形態係数と放射率の積を設定することにより行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の鋼板の熱処理温度管理方法。
  5. 鋼板を熱処理炉内に装入して熱処理する鋼板の熱処理温度管理方法であって、
    前記加熱処理炉内における前記鋼板の温度を炉内雰囲気温度の分布により形態係数及び放射率を含む一次元の熱伝導方程式を用いて算出する際に、前記鋼板の幅方向及び搬送方向にそれぞれ複数に分割した分割領域で個別に前記形態係数及び前記放射率を設定したことを特徴とする鋼板の熱処理温度管理方法。
  6. 前記一次元の熱伝導方程式は、熱伝導率をλ、鋼板内温度をT、鋼板表面からの深さをx、ステファンポルツマン定数をσ、放射率をε、形態係数をVf、対流熱伝導係数をαとしたときに、
    Figure 2014196534
    で表されることを特徴とする請求項5に記載の鋼板の熱処理温度管理方法。
  7. 前記形態係数と放射率の積の同定は、試験用鋼板の前記分割領域に対応する位置に温度検出部を埋設し、該温度検出部を埋設した試験用鋼板を熱処理炉に装入して通板させたときの測温結果と、そのときの前記形態係数及び放射率の積に基づいて前記一次元の熱伝導方程式で算出した鋼板温度の算出結果との平方平均2乗誤差が最小となるように前記形態係数と放射率の積を設定することにより行うことを特徴とする請求項6に記載の鋼板の熱処理温度管理方法。
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