JP2014195965A - 透明バリア容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形性、剛性、透明性および光沢に優れた透明バリア容器を提供する。【解決手段】メタロセン触媒を用いて得られたMFR(試験条件:230℃、2.16kg荷重)が0.4〜15g/10分、融点が130〜150℃およびMw/Mnが2.5〜4.0であるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を含む主層、接着層、バリア層からなる多層シートを熱成形してなる、ヘイズ5%以下グロス125%以上であることを特徴とする透明バリア容器を提供した。【選択図】なし

Description

本発明は、多層シートを熱成形してなるバリア容器に関し、さらに詳しくは、成形性、剛性、透明性および光沢に優れたバリア容器に関する。
ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂は、各種容器の材料として用いられている。このような容器は、熱可塑性樹脂をシート状に押出成形した後、再加熱して、真空成形、真空圧空成形等の熱成形方法を用いて、二次加工することによって得ることができる。このような熱成形方法は、生産性が高く、多層化等も容易なことから、大量生産向きの成形方法として広く普及している。
熱可塑性樹脂の中でも、プロピレン系重合体は、耐熱性、剛性、耐衝撃性、あるいは、衛生面に優れていることから、食品等の容器として好適に用いられており、特に、高い耐熱性を必要とする電子レンジでのレンジアップ容器、高温充填が必要な容器等に使用範囲が広がってきている。
一方、賞味期限を長くするために、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物樹脂組成物やナイロン樹脂組成物等のバリア性樹脂を使用した多層シート(例えば特許文献1参照)を用いた熱成形容器が増えてきているが、このような容器にも、内容物が視認し易い透明性や高級感のある光沢が求められており、そのような特性を有する容器に成形可能なシートの開発が求められている。
しかし、従来の熱成形方法に用いられているプロピレン系樹脂、接着性樹脂、バリア性樹脂を使用すると、プロピレン系樹脂単層容器と比較し著しく透明性が低下するという問題を有していた。
そこで、透明性、光沢を向上させるために、核剤を添加したプロピレン系重合体をその融点以上でエンドレスベルトを用いる方法(例えば、特許文献2参照。)や、ホモポリプロピレンにランダムポリプロピレンと核剤をブレンドしたシートを用いる方法(例えば、特許文献3参照。)が開示されているが、これらの方法においては、シートの透明性、光沢は良いものの、得られたシートを熱成形すると、その間に透明性や光沢が損なわれ、期待する程度の効果は得られないという問題がある。
また、表層にシンジオタクチックポリプロピレンを用いる方法(例えば、特許文献4参照。)や、環状ポリオレフィンを用いる方法(例えば、特許文献5参照。)も提案されているが、これらは、材料コストが高い。
特開2010−260878号公報 特開平10−1548号公報 特開平7−148853号公報 特開平7−32557号公報 特開平9−1750号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた多層バリア容器を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、特定の原材料を組み合わせたものからなる特定のシートを用いることにより、熱成形しても、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた容器が得られることを見出し、これらの知見に基き、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、以下の態様を有する。
(1)エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を含み、下記(i)〜(v)を満たす主層(X)、接着性樹脂組成物からなる接着層(Y)、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物樹脂組成物からなるバリア層(Z)が積層された3層以上の層構成を有する多層シートを熱成形して得られる多層容器。
(i)メタロセン触媒を用いて得られた重合体
(ii)メルトフローレート(MFR)(試験条件:230℃、2.16kg荷重)が0.4〜15g/10分
(iii)融点が130〜150℃
(iv)Mw/Mnが2.5〜4.0
(v)造核剤が0.01〜1.0重量部配合
また、本発明の第2の発明は、以下の態様を有する。
(2)主層(X)が、エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)50〜90重量%、融点が155℃以上のプロピレン系重合体(B)10〜50重量%からなる上記(1)項に記載の多層容器。
また、本発明の第3の発明は、以下の態様を有する。
(3)バリア層(Z)が、側鎖1,2−ジオール構造単位を含有するポリビニルアルコールを配合してなるエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物樹脂組成物からなる請求項1または2に記載の多層容器。
また、本発明の第4の発明は、以下の態様を有する。
(4)接着層(Y)が、造核剤が添加された酸変性ポリオレフィン樹脂からなる請求項1乃至3に記載の多層容器。
本発明の多層バリア容器は、成形性、剛性、透明性および光沢に優れたものである。そのため、内容物を確認できる食品容器分野において、特に有用なものである。
本発明の多層容器は、特定のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を含む主層(X)、接着層(Y)、バリア層(Z)からなる多層シートより得られることと、容器として特定の物性を有することを特徴とするものである。以下、項目毎に、順次説明する。
1.エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)
(1)エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)の製造方法
本発明の透明容器で用いるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、メタロセン触媒を使用して重合した共重合体である。
メタロセン触媒は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の周期律表第4〜6族遷移金属と、シクロペンタジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体基との錯体を使用した触媒である。
メタロセン触媒において、シクロペンタジエニル誘導体基としては、ペンタメチルシクロペンタジエニル等のアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。
また、複数のシクロペンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレン基等で結合したものも好ましく用いられる。
メタロセン錯体として、具体的には次の化合物を好ましく挙げることができる。
(1)メチレンビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、(2)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、(3)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、(4)エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、(5)メチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、(6)エチレンビス(2−メチルインデニル)ハフニウムジクロリド、(7)エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド、(8)エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、(9)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、(10)ジメチルシリレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、(11)ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロリド、(12)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、(13)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ハフニウムジクロリド、(14)メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ハフニウムジクロリド、(15)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ハフニウムジクロリド、(16)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ハフニウムジクロリド、(17)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ハフニウムジクロリド、(18)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ハフニウムジクロリド、(19)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ハフニウムジクロリド、(20)ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ハフニウムジクロリド、(21)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ハフニウムジクロリド、(22)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ハフニウムジクロリド、(23)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ハフニウムジクロリド、(24)ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、(25)ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド。
また、チタニウム化合物、ジルコニウム化合物などの他の第4、5、6族遷移金属化合物についても、上記と同様の化合物が挙げられる。本発明の触媒成分および触媒については、これらの化合物を併用してもよい。
また、これらの化合物のクロリドの一方あるいは両方が臭素、ヨウ素、水素、メチルフェニル、ベンジル、アルコキシ、ジメチルアミド、ジエチルアミド、アルキル基等に代わった化合物も例示することができる。
さらに、上記のハフニウムの代わりに、チタン、ジルコニウム等に代わった化合物も、例示することができる。
その中でも溶融張力、透明性、成形性に優れたエチレン−プロピレンランダム共重合体が得られ、シートの肌荒れがおきにくい、ハフニウムを使用した触媒が本発明には好適である。
助触媒として、アルミニウムオキシ化合物、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物成分をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もしくはルイス酸、固体酸、あるいは、イオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が用いられる。
また、必要に応じて、これら化合物と共に、有機アルミニウム化合物を添加することができる。
アルミニウムオキシ化合物としては、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、プロピルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルエチルアルモキサン、メチルブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン等が例示される。また、トリアルキルアルミニウムとアルキルボロン酸との反応物を使用することもできる。例えば、トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物、トリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応物、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物、トリエチルアルミニウムとブチルボロン酸の2:1反応物などである。
イオン交換性層状珪酸塩としては、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族などの珪酸塩が用いられる。
これらの珪酸塩は、化学処理を施したものであることが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状珪酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。
前述の化学処理として、具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処理、(ハ)塩類処理、(ニ)有機物処理等が挙げられる。これらの処理は、表面の不純物を取り除く、層間の陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させ、その結果、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、上記メタロセン触媒の存在下、不活性溶媒を用いたスラリー法、実質的に溶媒を用いない気相法や溶液法、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等の一般的な重合方法により、エチレンとプロピレンとを共重合させることにより得ることができる。
また、本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、プロピレンから誘導される構成単位(以下、「プロピレン単位」という)の好ましい割合は、全構成単位中90〜99.9重量%であり、エチレンから誘導される構成単位は、0.1〜10重量%であることが望ましい。
また、本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で、他のα−オレフィンを併用することも可能である。例えば、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチル−1−ブテン、ヘキセン−1、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1等を例示でき、これらは、一種類でも二種類以上併用して用いてもよい。
なかでも、ブテン−1は好適であり、エチレン−プロピレンランダム共重合体において、プロピレン単位は、全構成単位中90〜99.9重量%であり、エチレンおよびα−オレフィンから誘導される構成単位は0.1〜10重量%であるエチレン−ブテン−1−プロピレン3元ランダム共重合体が好ましい。
(2)エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)の物性
本発明の透明容器に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、次の物性を有している。
(i)メルトフローレート(MFR)
本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、0.4〜15g/10分、好ましくは0.5〜5g/10分、さらに好ましくは0.8〜3g/10分である。MFRが15g/10分を超えると、シートのドローダウン性が悪化し、熱成形が困難になり、一方、MFRが0.4g/10分未満では、シート成形時の押出機負荷が高くなり、生産性が悪化する。
ここで、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠し、試験条件M:230℃、2.16kg荷重で測定される値である。
ポリマーのMFRを調整するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供給量などを適宜調節する方法、あるいは重合終了後に過酸化物の添加により調整する方法が周知である。
(ii)融点
本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、示差走査熱量計(DSC:DifferentialScanning Calorimeter)により、測定された融解ピーク温度である融点が130〜150℃、好ましくは135〜145℃のものである。融点が130℃未満の場合は、容器の光沢が低下する。一方、融点が150℃を超える場合は、容器成形温度範囲が狭くなり、成形が難しくなる。
融点を調整するには、重合反応系へ供給するエチレンの量を制御することにより、容易に調整することができる。
なお、融点の具体的測定は、通常のDSC装置(例えばセイコー社製DSC)を用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度を融点とした(単位:℃)。
(iii)Mw/Mn比(以下、Q値という場合もある。)
本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、Q値が、2.5〜4.0、好ましくは2.6を超え3.4以下、さらに好ましくは2.7〜3.3の範囲のものである。
Q値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC:Gel Permeation Chromatography)により、測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)として求められる値であり、この値は、小さいほど分子量が均一で、分子量分布が狭いことを意味する。
本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)のQ値は、2.5未満では、シートの表面荒れが発生し、透明性および光沢が悪化する。一方、Q値が4.0を超えると、シートの光沢が悪化する。
エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)のQ値を調整する方法は、上記メタロセン触媒の構造を制御する方法が有効である。また、2種以上のメタロセン触媒成分の併用した触媒系や2種以上のメタロセン錯体を併用した触媒系を用いて重合する、または重合時に2段以上の多段重合を行うことにより、Q値を広く制御することができる。逆にQ値を狭く調整するためには、エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を重合後、有機過酸化物を使用し、溶融混練することにより調整することができる。
Q値の具体的測定は、以下の条件により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比を測定して求める。
GPC装置:ウォーターズ社製ISOC−ALC/GPC
溶媒:O−ジクロルベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1ml/min
標準材:東ソー社製単分散ポリスチレン
なお、Q値の測定に際して、用いるGPC装置および標準材は、上記のものに限定されるわけではなく、一般的にQ値の測定に用いられるものであれば同様に用いることができる。
(iv)造核剤
本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を含む主層(X)には、造核剤が添加されていることが重要である。添加量は0.01〜1.0重量部であり、好ましくは0.1〜0.8重量部、より好ましくは0.2〜0.5重量部である。添加量が0.01重量部未満では透明性が悪化し、1.0重量部を超えるとコストが悪化する。
造核剤の具体例としては、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウム、タルク、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸アルミニウム、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸と炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩混合物(旭電化(株)製 商品名NA21などが商業的に入手できる)などを挙げることができる。
これらの中でも、透明性改良効果の高いソルビトール系化合物が好適である。
2.プロピレン系重合体(B)
(1)プロピレン系重合体(B)の物性
本発明で用いられるプロピレン系重合体(B)の融点は、155℃以上であることが重要である。融点が155℃以上であれば、容器成形温度範囲が広くなるとともに、容器の剛性も高く保つことができる。
なお、融点の具体的測定は、セイコー社製DSCを用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度を融点とした(単位:℃)。
(1)プロピレン系重合体(B)の製造方法
本発明で用いられるプロピレン系重合体(B)の重合用触媒としては、チーグラーナッタ型触媒、メタロセン触媒等が挙げられ、特に限定はされないが、剛性の高い重合体を得るためには、塩化マグネシウム担持チーグラーナッタ触媒が好ましい。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(B)の重合方法としては、スラリー法、バルク法、溶液法、気相法等の汎用プロセスが適用できる。これら重合反応は、単独反応器だけでなく、複数用いることができ、重合方法も、複数組み合わせて用いることもできる。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(B)としては、プロピレンの単独ホモ重合体、プロピレンとそれ以外のオレフィン(エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィン)とのランダム共重合体、プロピレンとそれ以外のオレフィン(エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィン)との共重合ゴム成分を含むブロック共重合体等が挙げられ、一種類でも、二種類以上の混合物としても、用いることができる。
これら共重合体に用いるプロピレン以外のオレフィンとしては、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等が挙げられ、このオレフィンは、一種類でなく、二種類以上の多元系共重合体でもよい。
また、本発明で用いられるプロピレン系重合体(B)は、剛性の高いプロピレンホモ重合体が好ましく、例えば、日本ポリプロ社製「ノバテックPP」が挙げられる。
3.主層(X)
(1)主層(X)の組成
本発明で用いられる主層(X)は、上記のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)が含まれていることが重要である。好ましくはエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)が50〜90重量%と、上記のプロピレン系重合体(B)が10〜50重量%から構成される。エチレン−プロピレンランダム共重合体(B)が10重量%〜50重量%では、透明性と剛性のバランスが良い。
(I)付加的成分
本発明で用いられる主層(X)には、上記エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)およびプロピレン系重合体(B)に加えて、他の付加的成分(任意成分)を、本発明の効果を著しく損なわない範囲で配合することもできる。
この付加的成分としては、通常のポリオレフィン樹脂用配合剤として使用される造核剤、フェノール系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、分散剤、無機顔料、有機顔料、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、及び、本発明に使用する以外の樹脂、エチレン・プロピレン系ゴム、エチレン・ブテン系ゴム、エチレン・ヘキセン系ゴム、エチレン・オクテン系ゴム等を挙げることができるが、これら添加剤において、本発明の主用途である飲料食品容器分野における要求を満足させるものを選択することが好ましい。
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などを挙げることができる。
燐系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ミックスド、モノ及びジノニルフェニルホスファイト)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどを挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)などを挙げることができる。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイトなどを挙げることができる。
ヒンダードアミン系の安定剤の具体例としては、琥珀酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などを挙げることができる。
アンチブロッキング剤の具体例としては、たとえば無機系としては、合成または天然のシリカ(二酸化珪素)、ケイ酸マグネシウム、アルミノシリケート、タルク、ゼオライト、硼酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、燐酸カルシウム等が使用される。
滑剤の具体例としては、飽和脂肪酸モノアマイドとして、ラウリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド等が挙げられる。
また、不飽和脂肪酸モノアマイドとして、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、リシノール酸アマイド等が挙げられる。
置換アマイドの具体例としては、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルオレイン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド、N−オレイルパルチミン酸アマイド等が挙げられる。
飽和脂肪酸ビスアマイドとして、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、N,N’−ジステアリルセパシン酸アマイド等が挙げられる。
不飽和脂肪酸ビスアマイドとして、エチレンビスオレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイド、N,N’−ジオレイルセパシン酸アマイド等が挙げられる。
芳香族系ビスアマイドとして、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アマイド等が挙げられる。
(ii)添加剤配合方法
上記添加剤成分の配合方法としては、重合で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)およびプロピレン系重合体(B)のいずれかまたは両方のパウダーに、直接添加剤を予備混合して溶融混練混合する方法、また予め添加剤を高濃度にしたマスターバッチをブレンドする方法等で、配合物を得ることができる。
上記混合或いは溶融混練に用いられる混合機或いは混練機としては、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラフ、ロール、一軸スクリュー押出造粒機、二軸スクリュー押出造粒機等を挙げることができる。また、溶融混練温度は、一般に100〜300℃で行われる。
(2)主層(X)の物性
本発明で用いられる主層(X)は、メルトフローレート(MFR)(試験条件:230℃、2.16kg荷重)が0.4〜5g/10分のものが好ましい。MFRが5g/10分以下であれば、シートのドローダウン性が良好に保たれ、熱成形が容易であり、一方、MFRが0.4g/10分以上であれば、シートの透明性が保たれる。
また、本発明で用いられる主層(X)は、溶融張力が3.0g以上のものである。溶融張力が3.0g未満では、シートのドローダウン性が悪化する。
尚、溶融張力(MT)は、東洋精機社製キャピログラフ1Bを用い、下記の条件で測定した値である。
加熱炉:長さ:350mm、試料挿入孔:9.55mmφ
ピストン:外径:9.474mm、先端:90°円錐
ダイ:長さ:8.0mm、内径:2.095mm
試験温度:230℃
予熱:230℃、5min
ピストン移動速度:1.0cm/min
引き取り速度:3.9m/min
4.接着層(Y)
本発明の多層容器を構成する接着層(Y)は、主層とガスバリア層とを十分な強度で接着する役割を有する。接着層に使用される接着性樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂を酸変性した熱可塑性樹脂が、PP層との接着性の面から用いられる。例えば、ポリプロピレン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリプロピレン系接着樹脂等が挙げられる。
接着樹脂には、造核剤が添加されていることが好ましい。
接着層(Y)の厚さは特に限定されないが、接着性及びコストの観点から、1〜200
μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。
5.バリア層(Z)
本発明の多層容器を構成するバリア層(Z)は、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物樹脂組成物からなることが重要である。
また、上記ケン化物樹脂組成物には、側鎖1,2−ジオール構造単位を含有するポリビニルアルコールが配合されていることが好ましい。
(3)多層シートの成形方法
本発明で用いられるシートは、前述の添加剤配合方法により得られた配合物(各層を構成する材料)を用いて、公知の成形方法、例えば、押出成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法、注型成形法等により製造することができる。
中でも押出成形法が好ましく、具体的にはTダイ法、インフレーション法等を用いた押出法が挙げられる。
押出されたシートは、ポリッシング法、エアーナイフ法、金属鏡面ベルト法、等の公知の方法で冷却固化される。
本発明で用いられる多層シートは、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)、プロピレン系重合体(B)および必要に応じて配合される添加剤からなるシート(プロピレン系複合樹脂層という場合もある)を、ガスバリア性を付加すべくガスバリアー樹脂層の両面に配した多層シートを挙げることができる。
層構成として、例えば、プロピレン系複合樹脂層/接着樹脂層/ガスバリアー樹脂層/接着樹脂層/プロピレン系複合樹脂層の3種5層構成が好適な層構成として挙げられる。
各層を積層する方法は、前記した各層を形成する樹脂材料を溶融状態で積層する方法が層間接着性の点で好ましい。一般的には、各材料をそれぞれの押出機で溶融混練した後にダイス内で積層するマルチマニホールド方式や、ダイスに流入させる前に積層するフィードブロック方式(コンバイニングアダプター方式)等が好ましい。
4.容器
(1)容器の成形方法
本発明の容器は、シートを熱成形することにより得られる。具体的には、シートを熱成形することにより、各種容器、カップ等に賦形される。
熱成形は、一般に、プラスチックシートを加熱軟化して、所望の型に押し当て、型と材料の間隙にある空気を排除し大気圧により型に密着させて成形する真空成形、及び、大気圧以上の圧縮エアーか、あるいは真空を併用して成形する圧空成形等が用いられ、その方法としては、真空あるいは圧空を用い、必要により、更にプラグを併せて用いて金型形状に成形する方法(ストレート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップバック法、プラグアシスト法、プラグアシストリバースドロー成形法、マッチモールド成形法など)があり、また、固相プレス成形、スタンピング成形が挙げられる。
これらの熱成形法の組み合わせ等による成形法であれば、特に限定されないが、本発明の透明容器には、プラグアシスト圧空成形が好適である。熱成形温度や真空度、圧空の圧力または成形速度等の各種条件は、プラグ形状や金型形状またはシートの性質等により、適宜設)定される。
(2)容器の物性
本発明の透明容器は、ヘイズ値が5%以下、グロス値が125%以上である。
ヘイズ値が5%を超えると、内容物の視認性が低下する。また、グロス値が125%未満では、光沢感に欠けるため、商品価値が低下する。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性測定、分析等は、下記の評価方法に従ったものである。
[評価方法]
1.メルトフローレート(MFR)
JIS K7210(ISO 1133)「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法の試験条件Mに従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃
公称荷重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm、長さ8.00mm
2.融点(Tm)
セイコー社製DSCを用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度を融点(Tm)とした(単位:℃)。
3.Mw/Mn(Q値)
本発明において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいう。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380,F288,F128,F80,F40,F20,F10,F4,F1,A5000,A2500,A1000
各々が0.5mg/mLとなるように、o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。
較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する、粘度式の[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4 α=0.7
PE:K=3.92×10−4 α=0.733
PP:K=1.03×10−4 α=0.78
なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
装置:WATERS社製 GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製 MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料は、o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
4.容器のヘイズ値
容器の透明性を、以下の条件により評価した。
規格番号:JIS K7136(ISO 14782)「プラスチック―透明材料のヘーズの求め方」と、JIS K7361−1(ISO 13468−1)「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部:シングルビーム法」準拠
測定機:曇り度計NDH2000(日本電色工業株式会社製)
試験片厚み:200μm
試験片の作成方法:容器から50×50mmの試験片を切り出し
状態の調節:成形後に室温23℃、湿度50%に調節された恒温室内に24時間放置
試験片の数:3
評価項目:曇り度(Haze)
5.容器のグロス値
容器の光沢を、以下の条件により評価した。
規格番号:JIS K7105「プラスチックの光学的特性試験方法」
測定機:スガ試験機製デジタル変角光沢性計 UGV−5K
試験片厚み:200μm
試験片の作成方法: 容器から50×50mmの試験片の切り出し
状態の調節:成形後に室温23℃ 、湿度50%に調節された恒温室内に24時間放置
試験片の数:3
評価項目:60度鏡面光沢度

6.容器の座屈強度
容器の座屈強度を、以下の条件により評価した。
容器を上部から圧縮試験機にて50mm/minの速度で圧縮し、最大圧縮強度を測定した。
状態の調節:成形後に室温23℃ 、湿度50%に調節された恒温室内に24時間放置
試験片の数:3
評価項目:最大圧縮強度
[実施例1]
I.エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)の作製
1.触媒の調製
(1)メタロセン化合物の合成
(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11−240909号公報に記載の方法に準じて行った。
(2)化学処理
撹拌翼と還流装置を取り付けた5Lセパラブルフラスコに、純水1,700gを投入し、98%硫酸500gを滴下した。そこへ、さらに市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製、ベンクレイSL、平均粒径:19.5μm)を300g添加後撹拌した。その後90℃で2時間反応させた。このスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、洗浄した。
回収したケーキに硫酸リチウム1水和物325gの水900mL水溶液を加え90℃で2時間反応させた。このスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、pH>4まで洗浄した。
回収したケーキを120℃で終夜乾燥した。その結果、270gの化学処理体を得た。その後、1Lフラスコに全量投入し、200℃にて2hr減圧乾燥を行った。
(3)固体触媒の調製
内容積13リットルの攪拌機の付いた金属製反応器に、上記で得た乾燥珪酸塩0.223kgと日石三菱社製ヘプタン(以下、ヘプタンという。)1.45リットルの混合物を導入し、さらにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)0.79リットルを加え、系内温度を25℃に維持した。1時間の反応後、ヘプタンにて十分に洗浄し、珪酸塩スラリーを3.1リットルに調製した。
上記スラリーに、トリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.39M)を34.4ミリリットル加えて10分間攪拌した。さらに、予め(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム2.73gに、ヘプタン0.55リットルを添加した混合物を導入して、室温にて1時間反応させた後、ヘプタンを追加して5.6リットルに調整した。
続いて、温度40℃にて、プロピレンを111.8g/時間の速度で供給し、4時間予備重合を行った。さらに1時間、後重合した。
予備重合終了後、残モノマーをパージした後、触媒をヘプタンにて十分に洗浄した。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M)のヘプタン溶液95mL添加した後に、40℃で減圧乾燥を実施した。この操作により、乾燥した予備重合触媒0.688kgを得た。
2.重合
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これに、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液を470ml(0.12mol)、水素を2.3NL、さらにエチレン0.68kgを加え、30℃を維持した。その後、上記触媒成分1.87gをアルゴンで圧入し、40分かけて70℃まで昇温し、2時間重合を行った。
その後エタノール100mlを圧入して、反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥して、エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)のパウダーを20kg得た。得られたエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、MFR=2.0g/10分、Tm=145℃、Q値=2.8であった。
II.プロピレン系重合体(B)
日本ポリプロ(株)社製商品名ノバテックPP FY6H(MFR=1.9g/10分、Tm=165℃)を使用した。
III.主層材(X)
前記エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)パウダー30重量部と、プロピレン系重合体(B)70重量部との混合物100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤として、ペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャルティケミカルズ(株)社製;イルガノックス1010)0.015重量部、トリス―(2,4―ジ―t―ブチルフエニル)フオスフアイト(チバスペシャルティケミカルズ(株)社製;イルガフォス168)0.03重量部、中和剤として、ハイドロタルサイト(協和化学工業(株)社製;DHT−4A)0.015重量部、核剤として、ソルビトール系核剤NX8000J(ミリケン社製)0.45重量部を、スーパーミキサーに添加し、窒素シール後、3分間混合した。その後、スクリュー系40mmDの単軸押出機を用いホッパーを窒素シールしながら230℃で溶融混練し造粒(ペレット化)した。このペレット空気循環型乾燥機に入れ80℃、2hr乾燥した。このペレットは、MFR=1.7g/10分であった。
IV.シート
1台目の口径40mmφの押出機で得られた主層材を230℃で、2台目の口径40mmφ押出機でソルビトール系核剤MX8000Jを0.4部添加した接着性樹脂P594L(三菱化学(株)製、商品名:モディック)を210℃で、3台目の口径40mmφ押出機で側鎖1,2−ジオール構造単位を含有するポリビニルアルコールを15重量%添加したバリア性樹脂DC3023RB(日本合成化学(株)製、商品名:ソアノール)を210℃でそれぞれ押し出し、フィードブロックを介して主層(X)/接着層(Y)/バリア層(Z)/接着層(Y)/主層(X)の3種5層構造の多層シートを製造した。各層の厚みは、510/15/45/15/510(μm)とした。
V.透明容器
次いで、容器成形機中で加熱された容器成形直前のシート(C)を非接触式放射温度計で測定し、該シートが110℃に達した時に、圧空成形機RDM50K(イーリッヒ社製)を用いて、口径95mmφ、深さ80mmの透明容器を成形した。
これを110〜160℃の範囲において、5℃刻みで同様の測定を繰り返し実施し、各透明容器のヘイズ値とグロス値を求め、グロス値が最も大きい値を示した透明容器のヘイズ値とグロス値を求めたところ、ヘイズ値が3.7%、グロス値が130%であった。
本発明の構成を有する透明容器は、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた透明容器であることが解る。
[実施例2]
実施例1のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)重合時の水素供給量を4.2NLおよびエチレン供給量を0.68kgに調整し得た、表1記載の物性を有するエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表1に示す。
本発明の構成を有する透明容器は、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた透明容器であることが解る。
[実施例3]
実施例1のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)重合時の水素供給量を1.4NLおよびエチレン供給量を0.68kgに調整し得た、表1記載の物性を有するエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表1に示す。
本発明の構成を有する透明容器は、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた透明容器であることが解る。
[実施例4]
実施例1のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)重合時の水素供給量を2.6NLおよびエチレン供給量を2.1kgに調整し得た、表1記載の物性を有するエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表1に示す。
本発明の構成を有する透明容器は、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた透明容器であることが解る。
[実施例5]
実施例1の主層にエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)のみを用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表1に示す。
本発明の構成を有する透明容器は、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた透明容器であることが解る。
[実施例6]
実施例1の接着層に接着性樹脂P594L(三菱化学(株)製、商品名:モディック)を用い、バリア層にバリア性樹脂DC3023RB(日本合成化学(株)製、商品名:ソアノール)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表1に示す。
本発明の構成を有する透明容器は、剛性、透明性および光沢に優れた透明容器であることが解る。
Figure 2014195965
[比較例1]
実施例1のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)重合時の水素供給量を5.2NLおよびエチレン供給量を0.68kgに調整し得た、表2記載の物性を有するエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表2に示す。
比較例1は、用いるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)のMFRが本発明の範囲を超えているため、シート(C)が成形不能であった。
[比較例2]
実施例1のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)重合時の水素供給量を2.1NLおよびエチレン供給量を10.0kgに調整し得た、表2記載の物性を有するエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表2に示す。
比較例2は、用いるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)の融点が本発明の範囲(下限)を超えているため、容器の座屈強度が不足し、得られる透明容器は、剛性および耐熱性の劣るものであった。
[比較例3]
実施例1のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)重合時の水素供給量を2.1NLに調整し得た、表2記載の物性を有するエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例1のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)にチーグラー触媒で製造された日本ポリプロ(株)社製商品名ノバテックPP EG7FTB(MFR=1.3g/10分、Tm=145℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表2に示す。
比較例3は、用いるプロピレン系重合体(A)がチーグラー触媒を用いて製造されているため、ヘイズ、グロスが劣るものであった。



















Figure 2014195965
表1、2から明らかなように、本発明の例示である実施例1〜6の透明容器は、剛性、透明性および光沢に優れたものである。一方、比較例1〜3では、例えば、比較例1は、原料のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)のMFRが大き過ぎるため、成形不能であり、比較例2の透明容器は、原料のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)の融点が本発明で規定した範囲を外れているため、座屈強度が不足している。同様に、比較例3もグロスが不足、ヘイズが高いものとなっている。
本発明の透明バリア容器は、成形性、剛性、透明性および光沢に優れたものであるため、食品容器、洗剤容器、医療用容器等の各種分野の容器に用いることができ、特に、内容物を確認できる飲料食品分野などにおいて、広く用いることができる。

Claims (4)

  1. エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を含み、下記(i)〜(v)を満たす主層(X)、接着性樹脂組成物からなる接着層(Y)、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物樹脂組成物からなるバリア層(Z)が積層された3層以上の層構成を有する多層シートを熱成形して得られる多層容器。
    (i)メタロセン触媒を用いて得られた重合体。
    (ii)メルトフローレート(MFR)(試験条件:230℃、2.16kg荷重)が0.4〜15g/10分
    (iii)融点が130〜150℃
    (iv)Mw/Mnが2.5〜4.0
    (v)造核剤が0.01〜1.0重量部配合
  2. 主層(X)が、エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)50〜90重量%、融点が155℃以上のプロピレン系重合体(B)10〜50重量%からなる請求項1に記載の多層容器。
  3. バリア層(Z)が、側鎖1,2−ジオール構造単位を含有するポリビニルアルコールを配合してなるエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物樹脂組成物からなる請求項1または2に記載の多層容器。
  4. 接着層(Y)が、造核剤が添加された酸変性ポリオレフィン樹脂からなる請求項1乃至3に記載の多層容器。
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