JP2014195419A - 発酵茶飲料の製造方法および容器詰め発酵茶飲料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 茶葉由来の不快な青葉臭や酸味が軽減された嗜好性に優れる発酵茶飲料の簡易な製造方法および容器詰め発酵茶飲料を提供すること。【解決手段】 酸化酵素活性を有する茶葉を空気中で乾燥することで水分含有率を1.5%〜45%に調整した乾燥茶葉を酸化酵素源として茶ポリフェノール含有物に水中で作用させて酸化反応を行うことを特徴とする。【選択図】 図1
Description
本発明は、嗜好性に優れる発酵茶飲料の簡易な製造方法および容器詰め発酵茶飲料に関する。
茶は世界中で広く親しまれている飲料であり、多くの種類が存在するが、発酵という観点からは、茶葉に含まれる酸化酵素の働かせ度合いにより、発酵茶、半発酵茶、不発酵茶に大別され、それぞれの代表として、紅茶、ウーロン茶、緑茶が挙げられる。
紅茶などの発酵茶は、酸化酵素を十分に働かせた茶である。通常、発酵茶飲料は、生茶葉を萎凋させた後に揉捻工程にて茶葉を揉み込んで摩砕し、一定時間寝かせて茶葉に含まれる酸化酵素を働かせて茶葉を発酵させた後、熱風乾燥して後熟を行って酸化酵素を失活させてから、茶葉に湯や水を加えて抽出を行うことで製造される。
近年、生茶葉に水を加えて破砕した後、破砕液中で茶葉に含まれる酸化酵素を働かせて発酵を行ってから固形分を除去して加熱処理を行うことによる発酵茶飲料の製造方法が提案されている(例えば特許文献1)。この方法は、一つの工程が発酵と抽出を兼ねており、生茶葉の破砕液に含まれるカテキン類(酸化酵素の基質)を効率よくテアフラビン類に変換し、別途の抽出工程を必要とせずに発酵茶飲料を製造することができる点において注目に値する。しかしながら、特許文献1に記載の発酵茶飲料は生茶葉の破砕液から製造されるものであるので、茶葉由来の不快な青葉臭や酸味があり、嗜好性の点において改良の余地がある。また、生茶葉は、限られた時期にしか摘採することができないものであり、かつ、非常に腐敗しやすいものであるため、年間を通して安定供給するためには凍結保管しておく必要などがあるので、保管コストがかかる。
紅茶などの発酵茶は、酸化酵素を十分に働かせた茶である。通常、発酵茶飲料は、生茶葉を萎凋させた後に揉捻工程にて茶葉を揉み込んで摩砕し、一定時間寝かせて茶葉に含まれる酸化酵素を働かせて茶葉を発酵させた後、熱風乾燥して後熟を行って酸化酵素を失活させてから、茶葉に湯や水を加えて抽出を行うことで製造される。
近年、生茶葉に水を加えて破砕した後、破砕液中で茶葉に含まれる酸化酵素を働かせて発酵を行ってから固形分を除去して加熱処理を行うことによる発酵茶飲料の製造方法が提案されている(例えば特許文献1)。この方法は、一つの工程が発酵と抽出を兼ねており、生茶葉の破砕液に含まれるカテキン類(酸化酵素の基質)を効率よくテアフラビン類に変換し、別途の抽出工程を必要とせずに発酵茶飲料を製造することができる点において注目に値する。しかしながら、特許文献1に記載の発酵茶飲料は生茶葉の破砕液から製造されるものであるので、茶葉由来の不快な青葉臭や酸味があり、嗜好性の点において改良の余地がある。また、生茶葉は、限られた時期にしか摘採することができないものであり、かつ、非常に腐敗しやすいものであるため、年間を通して安定供給するためには凍結保管しておく必要などがあるので、保管コストがかかる。
そこで本発明は、茶葉由来の不快な青葉臭や酸味が軽減された嗜好性に優れる発酵茶飲料の簡易な製造方法および容器詰め発酵茶飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の点に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、生茶葉などの酸化酵素活性を有する茶葉を空気中で乾燥することによって水分含有率を低下させて所定の範囲に調整した乾燥茶葉は、その調製の過程において茶葉由来の不快な青葉臭や酸味の原因となる成分が揮散したものである一方、酸化酵素活性は失活せずに残存したものであり、茶葉由来の不快な青葉臭や酸味が軽減された嗜好性に優れる発酵茶飲料を製造するための酸化酵素源として用いることができることを見出した。
上記の知見に基づいてなされた本発明の発酵茶飲料の製造方法は、請求項1記載の通り、酸化酵素活性を有する茶葉を空気中で乾燥することで水分含有率を1.5%〜45%に調整した乾燥茶葉を酸化酵素源として茶ポリフェノール含有物に水中で作用させて酸化反応を行うことを特徴とする。
また、請求項2記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、酸化酵素活性を有する茶葉を40℃〜160℃の乾燥空気に曝すことで乾燥することを特徴とする。
また、請求項3記載の製造方法は、請求項1または2記載の製造方法において、酸化酵素活性を有する茶葉の乾燥を、茶葉を破砕および/または摩砕してから行うことを特徴とする。
また、本発明の容器詰め発酵茶飲料は、請求項4記載の通り、請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法で製造された発酵茶飲料を容器に詰めてなることを特徴とする。
また、本発明は、請求項5記載の通り、酸化酵素活性を有する茶葉を空気中で乾燥することで水分含有率を1.5%〜45%に調整した乾燥茶葉の発酵茶飲料を製造するための酸化酵素源としての使用である。
また、請求項2記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、酸化酵素活性を有する茶葉を40℃〜160℃の乾燥空気に曝すことで乾燥することを特徴とする。
また、請求項3記載の製造方法は、請求項1または2記載の製造方法において、酸化酵素活性を有する茶葉の乾燥を、茶葉を破砕および/または摩砕してから行うことを特徴とする。
また、本発明の容器詰め発酵茶飲料は、請求項4記載の通り、請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法で製造された発酵茶飲料を容器に詰めてなることを特徴とする。
また、本発明は、請求項5記載の通り、酸化酵素活性を有する茶葉を空気中で乾燥することで水分含有率を1.5%〜45%に調整した乾燥茶葉の発酵茶飲料を製造するための酸化酵素源としての使用である。
本発明の発酵茶飲料の製造方法において用いる酸化酵素源は、茶葉由来の不快な青葉臭や酸味の原因となる成分と分離されているので、本発明によれば、嗜好性に優れる発酵茶飲料を簡易に製造することができる。また、本発明の発酵茶飲料の製造方法において用いる酸化酵素源は、水分含有率が低いので保管安定性に優れる。
本発明の発酵茶飲料の製造方法は、酸化酵素活性を有する茶葉を空気中で乾燥することで水分含有率を1.5%〜45%に調整した乾燥茶葉を酸化酵素源として茶ポリフェノール含有物に水中で作用させて酸化反応を行うことを特徴とするものである。本発明において酸化酵素源として用いる乾燥茶葉の水分含有率を1.5%〜45%に規定するのは、水分含有率が1.5%未満であると酸化酵素活性が大きく低下してしまって発酵茶飲料を製造するための酸化酵素源として用いることができなくなる一方、45%を超えるとその調製の過程において茶葉由来の不快な青葉臭や酸味の原因となる成分が十分に揮散されないことで、酸化酵素源として用いて製造した発酵茶飲料が茶葉由来の不快な青葉臭や酸味をもつものになり、また、水分含有率が高いので保管安定性に劣るからである。酸化酵素源として用いる乾燥茶葉の水分含有率は2.0%〜30%が望ましく、2.5%〜15%がより望ましい。
酸化酵素活性を有する茶葉を空気中で乾燥することで水分含有率を1.5%〜45%に調整した乾燥茶葉を調製するための原料とする酸化酵素活性を有する茶葉は、茶葉が有する酸化酵素活性が失活せずに残存するものであれば、茶葉の種類やその摘採時期などを含めて特段の制限はない。具体的には、摘採した直後の生茶葉の他、萎凋した後の茶葉、蒸気や焙煎による殺青処理や高温乾燥処理などの酸化酵素活性を失活させる処理をしていない茶葉などが挙げられる。これらは酸化酵素活性を有するものである限り、保管のために凍結されたものなどであってもよい。茶葉に含まれる酸化酵素は、主としてポリフェノールオキシダーゼである。また、茶葉は酸化酵素以外の酵素としてタンナーゼやグリコシダーゼなどの加水分解酵素などを含むが、こうした酸化酵素以外の酵素の活性はあってもなくてもよい。
酸化酵素活性を有する茶葉を空気中で乾燥することで水分含有率を1.5%〜45%に調整した乾燥茶葉を調製する方法としては、例えば酸化酵素活性を有する茶葉を40℃〜160℃の乾燥空気に曝すことで乾燥する方法が挙げられる。乾燥空気の温度が40℃未満であると茶葉の水分含有率を所定の範囲になるまで低下させることができなかったり低下させるのに時間がかかりすぎたりする恐れがある一方、乾燥空気の温度が160℃を超えると酸化酵素活性が失活してしまって酸化酵素源として用いることができなくなる恐れがある。乾燥空気の温度は60℃〜140℃が望ましく、80℃〜120℃がより望ましい。乾燥時間は茶葉の処理量や処理条件などによって異なるが、概ね3分間〜10時間である。
酸化酵素活性を有する茶葉の空気中での乾燥は、茶葉を空気中で乾燥するための自体公知の装置、例えば、流動層乾燥機、ドラム回転式乾燥機、コンベア式乾燥機、棚式乾燥機などを用いて行うことができるが、茶葉を効率よくかつ均質に乾燥するという観点からは、茶葉を撹拌しながら乾燥することができる流動層乾燥機やドラム回転式乾燥機を用いて行うことが望ましい。中でも、流動層乾燥機は高い攪拌効率や伝熱効率のもとで茶葉を連続的に乾燥することができることから、生産性に優れる点においてとりわけ望ましい。
酸化酵素活性を有する茶葉の空気中での乾燥の過程において茶葉由来の不快な青葉臭や酸味の原因となる成分を十分に揮散させるため、茶葉の乾燥は茶葉を破砕や摩砕してから行うことが望ましい。茶葉の破砕や摩砕は、例えば、ミキサー、ミルサー、ブレンダー、ウルトラマイザー、ハンマーミル、ホモゲナイザー、サイレントカッター、CTC(Crush,Tear and Curl)装置、揉捻機などを用いて行うことができる。茶葉を破砕や摩砕することには、乾燥茶葉に含まれる酸化酵素を効果的に働かせることができるという効果もある。
こうして酸化酵素活性を有する茶葉を空気中で乾燥することで水分含有率を1.5%〜45%に調整した乾燥茶葉は、酸化酵素活性を有する一方、その調製の過程において茶葉由来の不快な青葉臭や酸味の原因となる成分が揮散したものであるので、嗜好性に優れる発酵茶飲料を製造するための酸化酵素源として用いることができる。なお、調製された乾燥茶葉は、調製後すぐに発酵茶飲料の製造のために用いてもよいし、凍結乾燥してから保管したり冷蔵保管したりして、酸化酵素活性が失活しないように保管してから用いてもよい。
酸化酵素活性を有する茶葉を空気中で乾燥することで水分含有率を1.5%〜45%に調整した乾燥茶葉を酸化酵素源として水中で作用させて酸化反応を行う茶ポリフェノール含有物は、ポリフェノールオキシダーゼなどの茶葉に含まれる酸化酵素の基質であるカテキン類、具体的には、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキンガレート(EGCg)、カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)、これらのアルキル化誘導体などを含むものであれば特段の制限はない。カテキン類は、酸化酵素によって酸化されてテアフラビンやテアルビジンなどの発酵茶に含まれる物質に変換される。緑茶、緑茶飲料、緑茶抽出液、緑茶抽出エキス、緑茶抽出粉末、緑茶ペースト、緑茶葉粉末などの緑茶組成物が、茶ポリフェノール含有物として好適に用いることができる。
酸化酵素活性を有する茶葉を空気中で乾燥することで水分含有率を1.5%〜45%に調整した乾燥茶葉を茶ポリフェノール含有物に水中で作用させることによる酸化反応は、茶ポリフェノール含有物が水を媒体とする液状の場合、乾燥茶葉を加えて酸化反応を行えばよい。茶ポリフェノール含有物が水を媒体とする液状でない場合、イオン交換水などの水に茶ポリフェノール含有物と乾燥茶葉を加えて酸化反応を行えばよい。乾燥茶葉を茶ポリフェノール含有物に水中で作用させることによる酸化反応は、20℃〜40℃の温度範囲で行うことが望ましく、25℃〜35℃の温度範囲で行うことがより望ましい。反応温度が20℃未満であったり40℃を超えたりすると、酸化酵素の至適温度から大きく外れてしまうことで反応効率が悪くなる恐れがある。また、この酸化反応は、茶ポリフェノール含有物と乾燥茶葉を含む反応液を撹拌しながら行うことが望ましい。なお、茶ポリフェノール含有物と乾燥茶葉の混合割合や反応時間は、茶ポリフェノール含有物の種類、乾燥茶葉の酸化酵素活性の程度、所望する酸化反応の程度などに応じて適宜調整すればよい。
酸化酵素活性を有する茶葉を空気中で乾燥することで水分含有率を1.5%〜45%に調整した乾燥茶葉を茶ポリフェノール含有物に水中で作用させることによる酸化反応を所望する程度まで進行させた後は、茶ポリフェノール含有物と酸化酵素源として用いた茶葉を含む反応液から茶葉を分離し、酸化反応を停止することで、発酵茶飲料を得ることができる。茶葉を分離した後の反応液をさらに清澄化して発酵茶飲料としてもよい。なお、酸化反応の停止は、茶ポリフェノール含有物と酸化酵素源として用いた茶葉を含む反応液に、アスコルビン酸やその塩などの酸化防止剤を加えることによっても行うことができる。茶ポリフェノール含有物と酸化酵素源として用いた茶葉を含む反応液からの茶葉の分離や、茶葉を分離した後の反応液の清澄化は、例えば、金属メッシュ、濾布、濾紙、フランネル、メンブレンなどの篩やフィルタを用いた濾過や、遠心分離などの飲料製造における自体公知の手段によって行うことができる。
茶ポリフェノール含有物と酸化酵素源として用いた茶葉を含む反応液から分離された茶葉は、酸化酵素活性が失活せずに残存している限り、酸化酵素源として繰り返し利用することができる。
以上のようにして得られる発酵茶飲料は、そのBrixやpHなどを所望する香味や色調などに鑑みて予め定めた規格となるように調整してもよい。通常、Brixは加水することで調整し、pHはアスコルビン酸やその塩、重炭酸ナトリウムを添加することで調整する。また、必要に応じて、香料、甘味料、風味調整剤などの添加物を添加してもよい。
また、以上のようにして得られる発酵茶飲料は、容器に詰めてから殺菌することや、殺菌してから容器に詰めることで、容器詰め発酵茶飲料とすることができる。容器としては、缶、PETボトル、瓶、紙パックなどが挙げられる。殺菌は、自体公知の条件によるレトルト殺菌やUHT殺菌などによって行えばよい。
また、以上のようにして得られる発酵茶飲料は、濃縮して発酵茶抽出エキスにしたり、凍結乾燥や噴霧乾燥などを行って発酵茶抽出粉末にしたりしてもよい。こうした発酵茶抽出エキスや発酵茶抽出粉末は、インスタント発酵茶粉末の他、食品や医薬品などの素材として利用することができる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
実施例1:
(流動層乾燥機を用いた種々の水分含有率の茶葉の調製)
摘採直後のやぶきた種二番茶をCTC装置(Teacraft社製MINIATURE CTC、以下同じ)に投入し、破砕を2回行った後、得られた破砕物を冷凍保存した。冷凍保存した茶葉の破砕物を常温で解凍した後、その50gを流動層乾燥機(Teacraft社製M501 Fruid Bed Dryer)に投入し、温度100℃、風量40の設定で乾燥を行い、乾燥時間を調整することで、表1に示す種々の水分含有率の茶葉の破砕物を調製した。表1には、対照として乾燥を行う前の茶葉の破砕物の水分含有率も示した(その乾燥時間は便宜上0分とした)。
(流動層乾燥機を用いた種々の水分含有率の茶葉の調製)
摘採直後のやぶきた種二番茶をCTC装置(Teacraft社製MINIATURE CTC、以下同じ)に投入し、破砕を2回行った後、得られた破砕物を冷凍保存した。冷凍保存した茶葉の破砕物を常温で解凍した後、その50gを流動層乾燥機(Teacraft社製M501 Fruid Bed Dryer)に投入し、温度100℃、風量40の設定で乾燥を行い、乾燥時間を調整することで、表1に示す種々の水分含有率の茶葉の破砕物を調製した。表1には、対照として乾燥を行う前の茶葉の破砕物の水分含有率も示した(その乾燥時間は便宜上0分とした)。
なお、それぞれの茶葉の破砕物の水分含有率は、茶葉の破砕物2gを秤量瓶に取り、風袋込の重量を測定した後、秤量瓶ごと105℃で3時間の乾燥を行い、蓋を閉じたデシケーター内に放置して常温まで冷却してから、再び風袋込の重量を測定し、乾燥前後の重量差を全て水分によるものとして、計算式:水分含有率(%)=((乾燥前重量(g)−乾燥後重量(g))/乾燥前重量(g))×100より算出した。
(容器詰め発酵茶飲料の製造)
200mL容量のトールビーカーに30℃に加温したイオン交換水200mLを入れ、そこにインスタント緑茶粉末(Finlays社製、以下同じ)400mgを添加し、さらに酸化酵素源としてそれぞれの茶葉の破砕物(茶葉1〜茶葉8)を乾燥重量換算で1.0g投入し、25℃以上の室温で酸化反応を開始した。反応中は常にマグネティックスターラー(アズワン株式会社製REXIM RS−4DR、以下同じ)を用いて400rpmで撹拌を行った。酵素反応を120分間行った後、アスコルビン酸60mgを添加して酸化反応を停止した。インスタント緑茶粉末と茶葉の破砕物を含む反応液を、目開き75μmのステンレス篩(株式会社野中理化器製作所製、以下同じ)にかけ、濾液を回収した。回収した濾液を、遠心分離機(久保田商事株式会社製ハイスピード冷却遠心機7700)を用いて8000rpmで20分間遠心分離して固形分を除いて上清を回収し、発酵茶飲料を得た。得られた発酵茶飲料にイオン交換水を加えるとともに炭酸水素ナトリウムを添加して、Brix0.25%、pH5.5に調整した後、190mL容量の缶に充填して巻締機を用いて巻き締めた。これを121℃、10分間の条件で小型調理殺菌装置(株式会社サムソン製CB−40)を用いてレトルト殺菌し、容器詰め発酵茶飲料を得た。
200mL容量のトールビーカーに30℃に加温したイオン交換水200mLを入れ、そこにインスタント緑茶粉末(Finlays社製、以下同じ)400mgを添加し、さらに酸化酵素源としてそれぞれの茶葉の破砕物(茶葉1〜茶葉8)を乾燥重量換算で1.0g投入し、25℃以上の室温で酸化反応を開始した。反応中は常にマグネティックスターラー(アズワン株式会社製REXIM RS−4DR、以下同じ)を用いて400rpmで撹拌を行った。酵素反応を120分間行った後、アスコルビン酸60mgを添加して酸化反応を停止した。インスタント緑茶粉末と茶葉の破砕物を含む反応液を、目開き75μmのステンレス篩(株式会社野中理化器製作所製、以下同じ)にかけ、濾液を回収した。回収した濾液を、遠心分離機(久保田商事株式会社製ハイスピード冷却遠心機7700)を用いて8000rpmで20分間遠心分離して固形分を除いて上清を回収し、発酵茶飲料を得た。得られた発酵茶飲料にイオン交換水を加えるとともに炭酸水素ナトリウムを添加して、Brix0.25%、pH5.5に調整した後、190mL容量の缶に充填して巻締機を用いて巻き締めた。これを121℃、10分間の条件で小型調理殺菌装置(株式会社サムソン製CB−40)を用いてレトルト殺菌し、容器詰め発酵茶飲料を得た。
(官能評価試験)
酸化酵素源としてそれぞれの茶葉の破砕物(茶葉1〜茶葉8)を用いて製造した容器詰め発酵茶飲料の官能評価を以下の方法で行った。
(青葉臭と酸味の評価)
熟練したパネラー7名それぞれが、生茶葉特有の青葉臭と酸味の2項目について評価した。評点は、3:強く感じる、2:ある程度感じる、1:殆どあるいは全く感じない、の3段階評価とし、全員の評点の平均値を算出した。
(総合評価)
さらに、パネラー7名全員のディスカッションにより、飲料としての総合評価を行った。総合評価は、上記の青葉臭と酸味の評価の他、加熱殺菌による不快な劣化臭の評価を加味して、嗜好性を総合的に評価した。評点は、5:不快な香味が強く感じられ飲用には適さない、4:不快な香味が感じられ飲用は難しい、3:ある程度不快な香味が感じられるが許容範囲であり飲用は可能、2:不快な香味は弱く飲用上問題とならない、1:不快な香味は感じられず飲用時の嗜好性が良好である、の5段階評価とし、3点以下を合格とした。
酸化酵素源としてそれぞれの茶葉の破砕物(茶葉1〜茶葉8)を用いて製造した容器詰め発酵茶飲料の官能評価を以下の方法で行った。
(青葉臭と酸味の評価)
熟練したパネラー7名それぞれが、生茶葉特有の青葉臭と酸味の2項目について評価した。評点は、3:強く感じる、2:ある程度感じる、1:殆どあるいは全く感じない、の3段階評価とし、全員の評点の平均値を算出した。
(総合評価)
さらに、パネラー7名全員のディスカッションにより、飲料としての総合評価を行った。総合評価は、上記の青葉臭と酸味の評価の他、加熱殺菌による不快な劣化臭の評価を加味して、嗜好性を総合的に評価した。評点は、5:不快な香味が強く感じられ飲用には適さない、4:不快な香味が感じられ飲用は難しい、3:ある程度不快な香味が感じられるが許容範囲であり飲用は可能、2:不快な香味は弱く飲用上問題とならない、1:不快な香味は感じられず飲用時の嗜好性が良好である、の5段階評価とし、3点以下を合格とした。
結果を表2に示す。全ての容器詰め発酵茶飲料は褐色であり、発酵香を有していたことから、酸化反応自体は問題なく進行したことがうかがえた。表2から明らかのように、茶葉の水分含有率が減少するに従って、青葉臭と酸味も減少して香味が向上した。また、総合評価においても、パネラー全員の意見として茶葉の水分含有率が減少するに従って明らかに不快な香味が弱くなっていると結論付けられ、水分含有率が43.1%以下で合格であった。
実施例2:
(流動層乾燥による種々の水分含有率の茶葉の調製)
実施例1に記載の方法と同様にして種々の条件設定で乾燥を行い、乾燥時間を調整することで、表3〜表9に示す種々の水分含有率の茶葉の破砕物を調製した。表3〜表9には、それぞれ対照として乾燥を行う前の茶葉の破砕物の水分含有率も示した(その乾燥時間は便宜上0分とした)。
(流動層乾燥による種々の水分含有率の茶葉の調製)
実施例1に記載の方法と同様にして種々の条件設定で乾燥を行い、乾燥時間を調整することで、表3〜表9に示す種々の水分含有率の茶葉の破砕物を調製した。表3〜表9には、それぞれ対照として乾燥を行う前の茶葉の破砕物の水分含有率も示した(その乾燥時間は便宜上0分とした)。
(茶葉の破砕物の酸化酵素活性の評価)
200mL容量のトールビーカーに30℃に加温したイオン交換水200mLを入れ、そこにインスタント緑茶粉末400mgを添加し、さらに酸化酵素源として表3〜表9のそれぞれの茶葉の破砕物を乾燥重量換算で1.0g投入し、25℃以上の室温で酸化反応を開始した。反応中は常にマグネティックスターラーを用いて400rpmで撹拌を行った。酸化反応を開始してから15分ごとにサンプリングを行い、酸化反応によって生成するテアフラビン類(テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、テアフラビン−3,3’−ジガレートの合計)の反応液中の濃度をLCにより定量し(分析条件は下記の通り)、酸化反応時間とテアフラビン類濃度の関係を散布図にプロットしてテアフラビン類濃度増加曲線を描いた。このテアフラビン類濃度増加曲線における直線増加部分の傾きを求め、その傾きと茶葉の破砕物の水分含有率の関係を散布図にプロットすることで、茶葉の破砕物の酸化酵素活性を評価した。結果を図1に示す。なお、図1において、茶葉の破砕物のテアフラビン類濃度増加曲線における直線増加部分の傾きは、対照である乾燥を行う前の茶葉の破砕物を酸化酵素源として用いて酸化反応を行った際のテアフラビン類濃度増加曲線における直線増加部分の傾きを1.0とした場合の相対値をプロットした。図1から明らかなように、茶葉の破砕物は、その乾燥が進行して水分含有率が減少しても一定の酸化酵素活性を保持しているが、水分含有率が極端に減少すると酸化酵素活性が大きく低下してしまうことがわかった。事実、酸化酵素源として水分含有率が1.5%未満の茶葉の破砕物を用いて実施例1に記載の方法と同様にして酸化反応を行って容器詰め発酵茶飲料を製造しようとしたが、反応が十分に進行しないことで発酵茶飲料は得られなかった。
200mL容量のトールビーカーに30℃に加温したイオン交換水200mLを入れ、そこにインスタント緑茶粉末400mgを添加し、さらに酸化酵素源として表3〜表9のそれぞれの茶葉の破砕物を乾燥重量換算で1.0g投入し、25℃以上の室温で酸化反応を開始した。反応中は常にマグネティックスターラーを用いて400rpmで撹拌を行った。酸化反応を開始してから15分ごとにサンプリングを行い、酸化反応によって生成するテアフラビン類(テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、テアフラビン−3,3’−ジガレートの合計)の反応液中の濃度をLCにより定量し(分析条件は下記の通り)、酸化反応時間とテアフラビン類濃度の関係を散布図にプロットしてテアフラビン類濃度増加曲線を描いた。このテアフラビン類濃度増加曲線における直線増加部分の傾きを求め、その傾きと茶葉の破砕物の水分含有率の関係を散布図にプロットすることで、茶葉の破砕物の酸化酵素活性を評価した。結果を図1に示す。なお、図1において、茶葉の破砕物のテアフラビン類濃度増加曲線における直線増加部分の傾きは、対照である乾燥を行う前の茶葉の破砕物を酸化酵素源として用いて酸化反応を行った際のテアフラビン類濃度増加曲線における直線増加部分の傾きを1.0とした場合の相対値をプロットした。図1から明らかなように、茶葉の破砕物は、その乾燥が進行して水分含有率が減少しても一定の酸化酵素活性を保持しているが、水分含有率が極端に減少すると酸化酵素活性が大きく低下してしまうことがわかった。事実、酸化酵素源として水分含有率が1.5%未満の茶葉の破砕物を用いて実施例1に記載の方法と同様にして酸化反応を行って容器詰め発酵茶飲料を製造しようとしたが、反応が十分に進行しないことで発酵茶飲料は得られなかった。
(LCによる反応液中のテアフラビン類濃度の分析条件)
装置 :Acquity UPLCシステム(日本ウォーターズ株式会社製)
カラム :Acquity Shield RP−18(1.7mmI.D.×100mm,1.9μm,日本ウォーターズ株式会社製)
移動相A液:0.1%ギ酸水溶液
移動相B液:0.1%ギ酸/アセトニトリルを用いたグラジエント法
流速 :0.6mL/min
検出 :UV280nm
カラム温度:50℃
サンプル量:2μL
装置 :Acquity UPLCシステム(日本ウォーターズ株式会社製)
カラム :Acquity Shield RP−18(1.7mmI.D.×100mm,1.9μm,日本ウォーターズ株式会社製)
移動相A液:0.1%ギ酸水溶液
移動相B液:0.1%ギ酸/アセトニトリルを用いたグラジエント法
流速 :0.6mL/min
検出 :UV280nm
カラム温度:50℃
サンプル量:2μL
実施例3:
(棚乾燥による種々の水分含有率の茶葉の調製)
摘採直後の生茶葉(やぶきた種二番茶、水分含有率78.6%)をCTC装置に投入し、破砕を2回行った後、得られた破砕物を冷凍保存した。冷凍保存した茶葉の破砕物2.0kgを常温で解凍した後、ステンレス製網バットに均等に敷き、恒温器(楠本化成株式会社製HT320)に入れて60℃で棚乾燥を行った。適当な時間ごとにステンレス製網バットを棚から取り出して茶葉の破砕物をよく混ぜ合わせ、約10gずつサンプリングを行い、表10〜表13に示す種々の水分含有率の茶葉の破砕物を調製した。表10〜表13には、それぞれ対照として乾燥を行う前の茶葉の破砕物の水分含有率も示した(その乾燥時間は便宜上0分とした)。
(棚乾燥による種々の水分含有率の茶葉の調製)
摘採直後の生茶葉(やぶきた種二番茶、水分含有率78.6%)をCTC装置に投入し、破砕を2回行った後、得られた破砕物を冷凍保存した。冷凍保存した茶葉の破砕物2.0kgを常温で解凍した後、ステンレス製網バットに均等に敷き、恒温器(楠本化成株式会社製HT320)に入れて60℃で棚乾燥を行った。適当な時間ごとにステンレス製網バットを棚から取り出して茶葉の破砕物をよく混ぜ合わせ、約10gずつサンプリングを行い、表10〜表13に示す種々の水分含有率の茶葉の破砕物を調製した。表10〜表13には、それぞれ対照として乾燥を行う前の茶葉の破砕物の水分含有率も示した(その乾燥時間は便宜上0分とした)。
(茶葉の破砕物の酸化酵素活性の評価)
実施例2に記載の方法と同様にして表10〜表13のそれぞれの茶葉の破砕物の酸化酵素活性を評価した。結果を図2に示す。図2から明らかなように、茶葉の破砕物は、その乾燥が進行して水分含有率が減少しても一定の酸化酵素活性を保持しているが、水分含有率が極端に減少すると酸化酵素活性が大きく低下してしまうことがわかった。事実、酸化酵素源として水分含有率が1.5%未満の茶葉の破砕物を用いて実施例1に記載の方法と同様にして酸化反応を行って容器詰め発酵茶飲料を製造しようとしたが、反応が十分に進行しないことで発酵茶飲料は得られなかった。
実施例2に記載の方法と同様にして表10〜表13のそれぞれの茶葉の破砕物の酸化酵素活性を評価した。結果を図2に示す。図2から明らかなように、茶葉の破砕物は、その乾燥が進行して水分含有率が減少しても一定の酸化酵素活性を保持しているが、水分含有率が極端に減少すると酸化酵素活性が大きく低下してしまうことがわかった。事実、酸化酵素源として水分含有率が1.5%未満の茶葉の破砕物を用いて実施例1に記載の方法と同様にして酸化反応を行って容器詰め発酵茶飲料を製造しようとしたが、反応が十分に進行しないことで発酵茶飲料は得られなかった。
本発明は、茶葉由来の不快な青葉臭や酸味が軽減された嗜好性に優れる発酵茶飲料の簡易な製造方法および容器詰め発酵茶飲料を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
Claims (5)
- 酸化酵素活性を有する茶葉を空気中で乾燥することで水分含有率を1.5%〜45%に調整した乾燥茶葉を酸化酵素源として茶ポリフェノール含有物に水中で作用させて酸化反応を行うことを特徴とする発酵茶飲料の製造方法。
- 酸化酵素活性を有する茶葉を40℃〜160℃の乾燥空気に曝すことで乾燥することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 酸化酵素活性を有する茶葉の乾燥を、茶葉を破砕および/または摩砕してから行うことを特徴とする請求項1または2記載の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法で製造された発酵茶飲料を容器に詰めてなることを特徴とする容器詰め発酵茶飲料。
- 酸化酵素活性を有する茶葉を空気中で乾燥することで水分含有率を1.5%〜45%に調整した乾燥茶葉の発酵茶飲料を製造するための酸化酵素源としての使用。
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JP2013072259A JP2014195419A (ja) | 2013-03-29 | 2013-03-29 | 発酵茶飲料の製造方法および容器詰め発酵茶飲料 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017184719A (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-12 | サントリー食品インターナショナル株式会社 | 高濃度イヌリン含有茶飲料 |
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2013
- 2013-03-29 JP JP2013072259A patent/JP2014195419A/ja active Pending
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