JP2014193677A - 前二輪式鞍乗り型揺動車両 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車体フレーム5が、ヘッドパイプ12を含むフレーム前端部と、フレーム前端部の前方に離間して配置されて上下に延びるフロントサブフレーム23と、を有し、アッパーアーム24及びロアアーム26は、フレーム前端部とフロントサブフレーム23との間で、フレーム前端部とフロントサブフレーム23とに渡る貫通ボルトを上揺動軸25及び下揺動軸27として支持される。
【選択図】図5
Description
しかし、前後2つのアームを備えると、前後アームに対応する前後揺動軸の軸心を合わせるために高い加工精度が要求されるとともに、アームの長さや取り付け位置においても高い精度が要求される。
一方、特許文献2のように、ヘッドパイプの前方にのみアームを設ける場合、アームを片持ち支持するため、アーム揺動軸やその支持部が大型化するとともに、高い剛性を必要とする中大型の車両への適用は難しかった。
請求項2に記載した発明は、前記フロントサブフレーム(23)は、その上下端部が上下支持フレーム(21,22)を介して前記フレーム前端部(5F)に支持され、前記アッパーアーム(24)及びロアアーム(26L,26R)は、前記上下支持フレーム(21,22)、フロントサブフレーム(23)及びフレーム前端部(5F)に囲まれて前記車体フレーム(5)に支持されることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記車体フレーム(5)のヘッドパイプ(12)にステアリングシャフト(12a)が操向可能に支持され、前記ヘッドパイプ(12)に対して前記左右一対のキングピン軸(29L,29R)が前方にオフセットして配置され、前記ステアリングシャフト(12a)から前方に第一のタイロッド(75)を延ばし、前記第一のタイロッド(75)の先端部はベルクランク部材(76)の第一アーム(76a)に連結され、前記ベルクランク部材(76)の第二アーム(76b)から車体左右外側に左右一対の第二のタイロッド(78L,78R)を延ばし、前記左右一対の第二のタイロッド(78L,78R)の先端部は前記左右一対のフロントフォーク(28L,28R)にそれぞれ連結され、車体側面視で、前記左右一対のキングピン軸(29L,29R)と前記ベルクランク部材(76)とが、少なくとも一部をオーバーラップさせることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記車体フレーム(5)は、前記フロントサブフレーム(23)の上下端部を前記フレーム前端部(5F)に支持する上下支持フレーム(21,22)と、前記ヘッドパイプ(12)近傍から下後方に延びるダウンフレーム(14)と、前記ダウンフレーム(14)から前方に延びて前記フレーム前端部(5F)の一部を形成するブランチロアフレーム(17)と、を有し、前記上支持フレーム(21)は前記ヘッドパイプ(12)に支持され、前記下支持フレーム(22)は前記ブランチロアフレーム(17)に支持されることを特徴とする。
また、フレーム前端部及びフロントサブフレームに渡る貫通ボルトをアッパーアーム及びロアアームそれぞれの揺動軸とすることで、前後2つのアームを前後揺動軸でそれぞれ支持するような構成と比べて、揺動軸周辺の加工を容易にすることができる。
請求項2に記載した発明によれば、フロントサブフレーム及び上下支持フレームによって車体フレームの前端部を強固に形成し、アッパーアーム及びロアアームの支持剛性をより高めることができる。
請求項3に記載した発明によれば、左右前輪周辺の車体揺動スペースを確保するために左右前輪を極力前方に配置した構成でも、ヘッドパイプに対してキングピン軸を前方にオフセットさせることができ、左右前輪のトレール量を確保することができる。
ここで、前後にオフセットしたステアリングシャフトとキングピン軸との間にタイロッドを斜めに架け渡すると、アーム揺動時にタイロッドがフロントフォークを押し引きしてしまうことが考えられるが、車両側面視でキングピン軸とオーバーラップするベルクランク部材からタイロッドを左右に延ばすことで、アーム揺動時にタイロッドがフロントフォークを押し引きし難くなり、左右前輪の舵角への影響を抑えることができる。
請求項4に記載した発明によれば、前二輪懸架装置を支持するフレーム部材を極力下方に配置し、車体の低重心化を図ることができる。
図4、図5を参照し、ヘッドパイプ12には、ステアリングシャフト12aが同軸かつ回動自在に挿通、支持される。ステアリングシャフト12aにおけるヘッドパイプ12の上方に突出する上端部には、バータイプの操向ハンドル11が取り付けられる。ステアリングシャフト12aにおけるヘッドパイプ12の下方に突出する下端部には、ステアリングリンク75を連結するボトムブラケット12bが取り付けられる。
フロントサブフレーム23は、上下支持フレーム21,22の軸方向を厚さ方向とした厚板形状をなし、車両側面視でヘッドパイプ12よりも鉛直方向に対する傾斜角を小さくして配置される。なお、トレール量等を調整するため、前記傾斜角は任意に変更可能であり、例えば上下支持フレーム21,22とヘッドパイプ12とが直交し、フロントサブフレーム23とヘッドパイプ12とが平行になるようにしてもよい。
すなわち、上揺動軸25の軸線C2、アッパーアーム24の左右の上外支持軸25aL,25aRの軸線C2aL,C2aR、左右タイロッド78L,78R内外の揺動中心78acL,78bcL,78acR,78bcRを車体左右で結ぶ四角形sq1L’,sq1R’は、それぞれ概ね平行四辺形とされる。これにより、アッパーアーム24及び左右ロアアーム26L,26Rの揺動時には、左右タイロッド78L,78Rも略平行に上下動し、左右前輪2L,2Rの舵角への影響が抑えられる。
なお、本実施形態における「平行リンク状」とは、入力側の角度と出力側の角度とを同一と感じられる程度に入出力側を連係させる機構を含む(以下同様)。
スプリング装置35は、ロッド式のストロークガイドとコイルスプリングとを組み合わせたもので、車体の直立状態には、中心軸線(ストローク軸線)C5を車両前面視で車体左右中心線CL上に配置する。スプリング装置35の下端部は、フロントサブフレーム23における上揺動軸25よりも下方かつ下揺動軸27よりも上方となる位置に、上下揺動軸25,27と平行な下連結軸37及び球面軸受け35bを介して揺動可能に連結される。図中符号C6,C7は上下連結軸36,37の中心軸線を示す。
一方、図8(b)、図8(c)に示すように、スプリング装置35は、車体が直立状態から左右に揺動したときには、前記最伸長状態から短縮するようにストロークする。すなわち、図8(b)、図8(c)のスプリング装置35の全長L1,L2は、図8(a)の全長L0よりも短くなる。このときのスプリング装置35が伸長しようとする力が、車体を直立状態に戻そうとする復元力となり、かつ車体のローリング動に対する反力となる。
揺動ダンパー38は、直方体形状のハウジング内に扇形状の油室を形成し、この油室内でベーンを揺動させることで減衰力を得る(何れも不図示)。前記ベーンと一体揺動するダンパー揺動軸39は、前記ハウジングの車体搭載時における前面から前方に突出する。このダンパー揺動軸39の突出部分には、揺動レバー41の基端部が一体揺動可能に取り付けられる。
ダンパー揺動軸39、リンク連結軸42a及びダンパー連結軸43は、上下揺動軸25,27と平行な軸である。図中符号C8はダンパー揺動軸39の中心軸線、符号C8aはリンク連結軸42aの中心軸線、符号C9はダンパー連結軸43の中心軸線をそれぞれ示す。
すなわち、上揺動軸25の軸線C2、ダンパー揺動軸39の軸線C8、リンク連結軸42aの軸線C8a、及びダンパー連結軸43の軸線C9を結ぶ四角形sq3は、概ね平行四辺形とされる。
フォークパイプ66の上部は、車両側面視で操舵軸29よりも鉛直方向に対する角度を大きくしてパイプ挿通部65aに挿通される。フォークパイプ66及びパイプ挿通部65aは、左右前輪2L,2Rの内側端よりも左右内側に配置される。
クッションユニット54は、前輪2の上下動によるトレーリングアーム52の揺動によって、軸線C17に沿ってストロークし、前輪2に入力された衝撃等を吸収するとともに前輪2の上下動を減衰させる。
すなわち、前揺動軸53の軸線C11、前輪車軸57の軸線C12、前後揺動軸60,61の軸線C15,C16を車両側面視で結ぶ四角形sq3は、概ね平行四辺形とされる。
車両側面視におけるキングピン軸線C4の下方への延長部分の路面Rとの交点T1’は、前輪2の接地点T1の前方に位置してトレールを生じさせる。車両側面視におけるキングピン軸線C4の鉛直方向に対する傾斜角はキャスター角となる。前輪車軸57は、車両側面視でキングピン軸線C4の前方にオフセットしている。
ベルクランク部材76の第二アーム76bには、左右タイロッド78L,78Rの左右内側端が左右球面軸受け78aL,78aRを介して連結される。左右タイロッド78L,78Rの左右外側端は、それぞれ左右フォーク本体51のアッパーブラケット65の後部に左右球面軸受け78bL,78bRを介して連結される(図2参照)。
すなわち、ステアリングシャフト12aの回動を、ヘッドパイプ12の前方にオフセットしたベルクランク部材76の回動に変換した後、ベルクランク部材76から左右タイロッド78L,78Rを延ばして左右フロントフォークユニット28L,28Rに連結することで、左右前輪2L,2Rの操舵角を同一にし易くなる。ベルクランク部材76は、左右フロントフォークユニット28L,28R間に効率よく配置できる。
図7(a)に示すように、ステアリングシャフト12aの下端部のボトムブラケット12b、これに連結されるステアリングリンク75、及びベルクランク部材76の第一アーム76aは、平行リンク状に配置される。
すなわち、ステアリング軸線C1、中継軸77の軸線C18(図示都合上、点で示す)、ステアリングリンク75前後の球面軸受け75a,75bの揺動中心75ac,75bcを結ぶ四角形sq4は、概ね平行四辺形とされる。これにより、操向ハンドル11の回動角とベルクランク部材76の回動角とが略同一になる(図7(a)、図7(b)参照)。
すなわち、中継軸77の軸線C18、左右タイロッド78L,78R内外の球面軸受け78aL,78bL,78aR,78bRの揺動中心78acL,78bcL,78acR,78bcR、及び左右キングピン軸線C4L,C4Rを車体左右でそれぞれ結ぶ左右の四角形sq5L,sq5Rは、それぞれ軸線C18及び左右キングピン軸線C4L,C4R間の距離が左右タイロッド78L,78R内外の揺動中心78acL,78bcL,78acR,78bcR間の距離よりも長く形成される。
さらに、軸線C18と左右タイロッド78L,78R内側の揺動中心78acL,78acRとを結ぶ直線は、後側ほど左右外側に位置するように傾斜して配置され、左右キングピン軸線C4L,C4Rと左右タイロッド78L,78R外側の揺動中心78bcL,78bcRとを結ぶ直線は、車両前後方向に沿うように配置される。また、前者の直線は後者の直線よりも長くされる。
このような左右の四節リンクは、所謂アッカーマン機構と同等の作用を奏し、左右前輪2L,2Rを操舵した際、左右前輪2L,2Rの内の内輪側の操舵角を外輪側の操舵角よりも大きくする。すなわち、図7(b)に示す如く左操舵した際、左前輪2Lの操舵角θ1Lは右前輪2Rの操舵角θ1Rよりも大きく、図7(c)に示す如く右操舵した際、右前輪2Rの操舵角θ2Rは左前輪2Lの操舵角θ2Lよりも大きい。
車体の左右揺動は、上下揺動軸25,27と平行な前上がりの軸中心になされることから、左右前輪2L,2Rを接地させたまま車体を左右揺動させようとすると、左右前輪2L,2Rが車体に対する上下動に伴い前後方向にも互い違いに移動しようとする。したがって、左右前輪2L,2Rにブレーキをかけて静止させることで、車体を左右揺動させようとしてもこの揺動が制限される。
そして、1G状態からクッションユニット54をストロークさせてトレーリングアーム52を揺動させると、前輪2は上下動に伴い前後方向にも移動しようとする。したがって、左右前輪2L,2Rにブレーキをかけて静止させることで、左右クッションユニット54が別個にストロークすることによる車体の左右揺動が制限される。
また、フレーム前端部5F及びフロントサブフレーム23に渡る貫通ボルトをアッパーアーム24及びロアアーム26それぞれの揺動軸25,27とすることで、前後2つのアームを前後揺動軸でそれぞれ支持するような構成と比べて、揺動軸周辺の加工を容易にすることができる。
スプリング装置35は、単なるストロークガイドではなくダンパーを有したり、コイルスプリングではなくラバー等の弾性部材を用いたり、圧縮ガスを封入したガススプリングであってもよい。
揺動ダンパー38は、ダンパーフレーム体31、アッパーアーム24及びロアアーム26の何れに支持されてもよい。揺動ダンパー38は、ロータリ式(回転式)ではなくシリンダ式(伸縮式)であってもよい。
本実施形態では、車体前部に左右一対の前輪を備えるとともに車体後部に単一の後輪を備えた揺動三輪車に適用したが、車体前部に左右一対の前輪を備えるとともに車体後部に左右一対の後輪を備えた揺動四輪車に適用してもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
2L,2R 左右前輪
4 前二輪懸架装置
5 車体フレーム
5F フレーム前端部
12 ヘッドパイプ
12a ステアリングシャフト
14 ダウンフレーム
17 ブランチロアフレーム
21 上支持フレーム
22 下支持フレーム
23 フロントサブフレーム
24 アッパーアーム
25 上揺動軸(第一揺動軸)
26L,26R 左右ロアアーム
27L,27R 左右下揺動軸(第二揺動軸)
28L,28R 左右フロントフォークユニット(フロントフォーク)
29L,29R 左右操舵軸(キングピン軸)
75 ステアリングリンク(第一のタイロッド)
76 ベルクランク部材
76a 第一アーム
76b 第二アーム
78L,78R タイロッド(第二のタイロッド)
Claims (4)
- 左右一対の前輪(2L,2R)と、
前記左右一対の前輪(2L,2R)をそれぞれ懸架する左右一対のフロントフォーク(28L,28R)と、
前記左右一対のフロントフォーク(28L,28R)をそれぞれ操舵可能に支持する左右一対のキングピン軸(29L,29R)と、
第一揺動軸(25)を中心に車体フレーム(5)に揺動可能に支持されるとともに、左右外側端部にそれぞれ前記左右一対のキングピン軸(29L,29R)の上端部を支持するアッパーアーム(24)と、
前記アッパーアーム(24)の下方に設けられ、前記第一揺動軸(25)と平行な第二揺動軸(27L,27R)を中心に車体フレーム(5)に揺動可能に支持されるとともに、左右外側端部にそれぞれ前記左右一対のキングピン軸(29L,29R)の下端部を支持するロアアーム(26L,26R)と、
を備える前二輪式鞍乗り型揺動車両(1)であって、
前記車体フレーム(5)が、
ヘッドパイプ(12)を含むフレーム前端部(5F)と、
前記フレーム前端部(5F)の前方に離間して配置されて上下に延びるフロントサブフレーム(23)と、を備え、
前記アッパーアーム(24)及びロアアーム(26L,26R)は、前記フレーム前端部(5F)と前記フロントサブフレーム(23)との間で、前記フレーム前端部(5F)と前記フロントサブフレーム(23)とに渡る貫通ボルトを前記第一揺動軸(25)及び第二揺動軸(27L,27R)として支持されることを特徴とする前二輪式鞍乗り型揺動車両。 - 前記フロントサブフレーム(23)は、その上下端部が上下支持フレーム(21,22)を介して前記フレーム前端部(5F)に支持され、
前記アッパーアーム(24)及びロアアーム(26L,26R)は、前記上下支持フレーム(21,22)、フロントサブフレーム(23)及びフレーム前端部(5F)に囲まれて前記車体フレーム(5)に支持されることを特徴とする請求項1に記載の前二輪式鞍乗り型揺動車両。 - 前記車体フレーム(5)のヘッドパイプ(12)にステアリングシャフト(12a)が操向可能に支持され、
前記ヘッドパイプ(12)に対して前記左右一対のキングピン軸(29L,29R)が前方にオフセットして配置され、
前記ステアリングシャフト(12a)から前方に第一のタイロッド(75)を延ばし、
前記第一のタイロッド(75)の先端部はベルクランク部材(76)の第一アーム(76a)に連結され、
前記ベルクランク部材(76)の第二アーム(76b)から車体左右外側に左右一対の第二のタイロッド(78L,78R)を延ばし、
前記左右一対の第二のタイロッド(78L,78R)の先端部は前記左右一対のフロントフォーク(28L,28R)にそれぞれ連結され、
車体側面視で、前記左右一対のキングピン軸(29L,29R)と前記ベルクランク部材(76)とが、少なくとも一部をオーバーラップさせることを特徴とする請求項1又は2に記載の前二輪式鞍乗り型揺動車両。 - 前記車体フレーム(5)は、前記フロントサブフレーム(23)の上下端部を前記フレーム前端部(5F)に支持する上下支持フレーム(21,22)と、前記ヘッドパイプ(12)近傍から下後方に延びるダウンフレーム(14)と、前記ダウンフレーム(14)から前方に延びて前記フレーム前端部(5F)の一部を形成するブランチロアフレーム(17)と、を有し、
前記上支持フレーム(21)は前記ヘッドパイプ(12)に支持され、
前記下支持フレーム(22)は前記ブランチロアフレーム(17)に支持されることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の前二輪式鞍乗り型揺動車両。
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