JP2014193549A - 流路ユニット、液体噴射ヘッド、液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排出性能を均一にすることが可能な流路ユニット、液体噴射ヘッド、液体噴射装置を提供する。
【解決手段】駆動信号に応じて変形する圧電素子と、対応する前記圧電素子の変形に応じて液体に圧力を加える圧力室が形成された流路部材と、を備えた流路ユニットであって、第1圧力室と比べて前記圧力室の寸法が大きい第2圧力室、及び前記圧力室と前記圧電素子との間の壁の厚みが薄い第3圧力室、の少なくとも一方に対応する前記圧電素子の構造は、前記第1圧力室に対応する前記圧電素子の構造と異なる。
【選択図】図1
【解決手段】駆動信号に応じて変形する圧電素子と、対応する前記圧電素子の変形に応じて液体に圧力を加える圧力室が形成された流路部材と、を備えた流路ユニットであって、第1圧力室と比べて前記圧力室の寸法が大きい第2圧力室、及び前記圧力室と前記圧電素子との間の壁の厚みが薄い第3圧力室、の少なくとも一方に対応する前記圧電素子の構造は、前記第1圧力室に対応する前記圧電素子の構造と異なる。
【選択図】図1
Description
本発明は、液体が流れる液体流路を形成する流路ユニット、液体噴射ヘッド、液体噴射装置に関する。
従来、液体が流れる液体流路を構成する流路ユニットが知られている。この流路ユニットでは、液体流路の一部を構成する圧力室と、この圧力室に圧力を生じさせる圧電素子を備えている。圧電素子が駆動することで圧力室を変位させ、圧力室から液体を排出させる(例えば、特許文献1参照)。
製品が均一な性能を発揮するためには、圧力室から排出される液体の量が均一であることが望ましい。しかし、圧力室から排出される液体の量は、当該圧力室の構造に応じて変化する。また、圧力室から排出される液体の量は、流路ユニットを形成する材質や加工方法に依存して大きく変化することが知られている。このような場合、流路ユニット内又は複数の流路ユニット間で液体の排出量にバラツキが生じることとなり、性能を均一にすることが難しい場合があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、排出性能を均一にすることが可能な流路ユニット、液体噴射ヘッド、液体噴射装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、駆動信号に応じて変形する圧電素子と、対応する前記圧電素子の変形に応じて液体に圧力を加える圧力室が形成された流路部材と、を備えた流路ユニットであって、第1圧力室と比べて前記圧力室の寸法が大きい第2圧力室、及び前記圧力室と前記圧電素子との間の壁の厚みが薄い第3圧力室、の少なくとも一方に対応する前記圧電素子の構造は、前記第1圧力室に対応する前記圧電素子の構造と異る。
ここで、圧電素子と、流路部材に形成される圧力室との関係はどのようなものであってもよい。例えば、流路ユニット内に1つの圧電素子によって圧力を生じさせる圧力室が複数あってもよいし、圧電素子と圧力室とが1対1に対応していてもよい。また、圧電素子の構造とは、圧電素子の変形量を変化させる構造であり、圧電素子の厚み、幅、長さ、形状等を含む。さらに、圧電素子が電極や圧電体により構成されている場合は、電極、又は圧電体のいずれかの構造(厚み、幅、長さ、形状等)が異なることも全ての構造が異なることも含む。
圧力室の寸法、又は圧力室と圧電素子との間の壁の厚みが異なれば、圧電素子の駆動により圧力室により排出される液体の量も変化する。そのため、上記のように構成された発明では、圧力室から排出される液体の量のバラツキを圧電素子側の構造で調整することができる。
また、第2圧力室と第3圧力室との少なくとも一方に対応する圧電素子の厚みが、前記第1圧力室に対応する圧電素子の厚みと比べて厚い、構成としてもよい。
上記のように構成された発明では、圧電素子の厚みを調整することで、各圧力室から排出される液体の排出量のばらつきを抑制することができる。
上記のように構成された発明では、圧電素子の厚みを調整することで、各圧力室から排出される液体の排出量のばらつきを抑制することができる。
また、第2圧力室と第3圧力室との少なくとも一方に対応する圧電体の厚みが、前記第1圧力室に対応する圧電素子の厚みと比べて厚い、構成としてもよい。
上記のように構成された発明では、圧電体の厚みを調整することで、各圧力室から排出される液体の排出量のばらつきを抑制することができる。
上記のように構成された発明では、圧電体の厚みを調整することで、各圧力室から排出される液体の排出量のばらつきを抑制することができる。
そして、前記圧電素子は、前記駆動信号の供給を受ける電極を有しており、第2圧力室と第3圧力室との少なくとも一方に対応する前記圧電素子は、前記第1圧力室に対応する前記圧電素子と比べて、前記電極の厚みが厚い、構成としてもよい。
上記のように構成された発明では、電極の厚みを厚くすることで、抵抗を低くすることができ、圧電素子の厚みの調整をより適切に行うことができる。
上記のように構成された発明では、電極の厚みを厚くすることで、抵抗を低くすることができ、圧電素子の厚みの調整をより適切に行うことができる。
さらに、第2圧力室と第3圧力室との少なくとも一方に対応する圧電素子の能動部の面積が、前記第1圧力室に対応する圧電素子の面積と比べて小さい構成としてもよい。
上記のように構成された発明では、圧電素子の能動部を調整することで、各圧力室から排出される液体の排出量のばらつきを抑制することができる。
上記のように構成された発明では、圧電素子の能動部を調整することで、各圧力室から排出される液体の排出量のばらつきを抑制することができる。
そして、前記流路部材はセラミックスにより形成される構成としてもよい。
セラミックスで構成された流路部材は焼成時の収縮度合いにより、形状等にバラツキが生じる。そのため、上記のように構成された発明では、焼成収縮によりバラツキが大きい複数の流路部材でも、圧電素子側の構造を調整することで使用することができる。その結果、流路部材の歩留まりを低減させることができる。
セラミックスで構成された流路部材は焼成時の収縮度合いにより、形状等にバラツキが生じる。そのため、上記のように構成された発明では、焼成収縮によりバラツキが大きい複数の流路部材でも、圧電素子側の構造を調整することで使用することができる。その結果、流路部材の歩留まりを低減させることができる。
さらに、本発明は、流路ユニットを有する液体噴射ヘッドに対しても適用することができる。
また、本発明は、液体噴射装置に対しても適用することができる。
また、本発明は、液体噴射装置に対しても適用することができる。
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
1.第1の実施形態:
2.第2の実施形態:
3.第3の実施形態:
4.その他の実施形態:
1.第1の実施形態:
2.第2の実施形態:
3.第3の実施形態:
4.その他の実施形態:
1.第1の実施形態:
以下、図を参照して、この発明に係る流路ユニット、液体吐出ヘッド、液体噴射装置を具体化した第1の実施の形態について説明する。
図1は、流路ユニットの構成を説明する断面図である。また、図2は、液体噴射ヘッドの構成を説明する斜視展開図である。
以下、図を参照して、この発明に係る流路ユニット、液体吐出ヘッド、液体噴射装置を具体化した第1の実施の形態について説明する。
図1は、流路ユニットの構成を説明する断面図である。また、図2は、液体噴射ヘッドの構成を説明する斜視展開図である。
図1(a)に示すように、流路ユニット40は、流路形成基板(流路部材)20と、圧電素子30と、を備える。またこの第1の実施形態では、流路形成基板20と圧電素子30との間に振動板10を含むが、流路ユニット40の構成としては、振動板10を含まないものであってもよい。
流路形成基板20には、複数の圧力室21が第2方向D2で併設するよう形成されている。圧力室21は液体が流れる液体流路の一部を構成する。図1では、説明を容易にするため、圧力室21a〜21cのみを記載するが、1つの流路形成基板20が有する圧力室の数はこれに限定されない。そして、各圧力室21a〜21cの上方には、この圧力室21の位置に応じて圧電素子30a〜30cが配置されている。圧電素子30は、図示しない駆動回路から駆動信号の供給を受けて駆動し、圧力室21を変位させる。そして、圧力室21は変位により、内部の液体を排出する。
流路ユニット40は、図2に示す、液体噴射ヘッド1の一部として用いられる。液体噴射ヘッド1は、上記した流路ユニット40と、ヘッド部材50と、ノズルプレート60と、を備えている。また、液体噴射ヘッド1は、上記した流路ユニット40、ノズルプレート60とが第3方向D3において積層状に組み合わさることで、内部に液体が流動する液体流路が構成されている。
流路形成基板20には、複数の圧力室21に加え、各圧力室に共通に繋がる共通液室24が形成されている。共通液室24は、例えば、同じ液体が流れる圧力室21毎に共通の流路となる空間である。本実施形態では、流路形成基板20は薄板体の複数の基板を積層して構成されるが、流路形成基板20の構成は、これに限定されない。
圧力室21は、内幅が狭くなる狭窄部22を介して共通液室24と連通している。さらに、圧力室21の狭窄部22とは反対側は、連通口25と連通している。なお、連通口25は、後述するようにノズルプレート60のノズル孔61と連通する。
ここで、流路形成基板20としては、セラミックスを焼成した焼成体や、金属プレートを加工したものを用いることができる。また、流路形成基板20の材料としてセラミックスを用いる場合、部分安定化ジルコニアや安定化ジルコニアを用いることができる。
また、この第1の実施形態では、流路形成基板20と圧電素子30との間の壁として、振動板10が位置している。図1、図2に示すように、振動板10は、流路形成基板20の圧力室21の開口部を覆うよう、流路形成基板20に固定されている。
振動板10は、例えば、セラミックスの薄板体により構成される。その材料としては、部分安定化ジルコニアや安定化ジルコニア、酸化ケイ素(SiO2)を用いることができる。また、振動板10の第3方向D3での厚みは、例えば、0.2マイクロメートル(μm)から6.0マイクロメートル(μm)とすることができる。
振動板10は、例えば、セラミックスの薄板体により構成される。その材料としては、部分安定化ジルコニアや安定化ジルコニア、酸化ケイ素(SiO2)を用いることができる。また、振動板10の第3方向D3での厚みは、例えば、0.2マイクロメートル(μm)から6.0マイクロメートル(μm)とすることができる。
流路ユニット40が振動板10を用いない場合、流路形成基板20の圧力室21は、この流路形成基板20の一部となる壁により遮蔽されている場合の他、圧電素子30の対向する面により遮蔽されていてもよい。
振動板10の流路形成基板20と面する側と反対方向には、圧電素子30が配置されている。圧電素子30は、下電極31と、上電極33と、下電極31と上電極33との間に位置する圧電体32とを備える。第1の実施形態では、上電極33は、圧電体32毎に設けられた個別電極として機能する。一方、下電極31は、各圧電体32の共通電極として機能する。
下電極31や上電極33は、金(Au)、白金(Pt)等の導電物質により構成される。また、圧電体32は例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)といった導電体により構成される。
そして、振動板10の流路形成基板20に固定されない側には、ヘッド部材50が固定されている。ヘッド部材50は、例えば、箱状であって、図示しない回路基板等やケーブルが位置決めされるスリット51と、ヘッド部材50の振動板10に固定される側に開口する凹部52と、を有する。スリット51に挿入される回路基板等は、圧電素子30の上電極33又は下電極31と電気的に接続されている。また、凹部52には、後述する液体貯留部から供給されるインク(液体)が流れる導入口を備える。
さらに、流路形成基板20には、ノズルプレート60が固定されている。そのため、ノズルプレート60は、流路形成基板20の下側を封止している。ノズルプレート60は、薄板体であり、ノズル孔61が第2方向D2に沿って所定間隔で複数形成されている。また、各ノズル孔61は、流路形成基板20の連通口25とそれぞれ連通するよう形成されている。
ノズルプレート60は、例えば、部分安定化ジルコニアや安定化ジルコニアを用いたセラミックスや、金属により構成される。
ノズルプレート60は、例えば、部分安定化ジルコニアや安定化ジルコニアを用いたセラミックスや、金属により構成される。
また、ノズルプレート60は、複数のノズル孔61が第2方向D2に沿って形成された複数のノズル列を第1方向D1に並設し、一方のノズル列と他方のノズル列とを第2方向D2においてずらして配置する(いわゆる千鳥配置とする)構成を採用してもよい。
上記構成の液体噴射ヘッド1では、各圧電素子30の厚みは対応する各圧力室21の構造に応じて個別に設定されている。図3は、圧力室21の構造と、圧電素子30との関係を示す図である。横軸は圧電素子30へ加えられる入力信号の電圧を示している。また、縦軸は圧力室21の排除体積Veを示している。
圧力室21から排出されるインク重量Iwは、圧力室21の変位量(以下、排除体積Veとも記載する。)に比例すると考えることもできる。排除体積Veは、圧力室21の変位により減少する当該圧力室21の容積を示す。また、排除体積Veは、圧力室21の寸法(幅W、長さL、高さH)及び壁(振動板10)の厚みTに影響される。そのため、これら排除体積Veに影響を与えるパラメーターにより決定される値を圧力室係数Mとする。
ただし、圧力室係数Mは必ずしも圧力室21の寸法(幅W、長さL、高さH)及び壁(振動板10)の厚みTから決まる値である必要はない。排除体積Veに与える影響が無視できる程小さいバラツキしか起きないパラメーターは無視してもよいし、これらの他のパラメーター(壁の剛性など)にも基づいて圧力室係数Mを算出してもよい。そして、ここでは圧力室係数Mが大きいほど同じ入力信号を同じ構造の圧電素子30に加えた場合での排除体積Veが大きくなるものとする。そのため、圧力室21から排出されるインク重量Iwは、圧力室係数Mと、圧力室21に加えられる入力信号の電圧との関数と考えることもできる。
ただし、圧力室係数Mは必ずしも圧力室21の寸法(幅W、長さL、高さH)及び壁(振動板10)の厚みTから決まる値である必要はない。排除体積Veに与える影響が無視できる程小さいバラツキしか起きないパラメーターは無視してもよいし、これらの他のパラメーター(壁の剛性など)にも基づいて圧力室係数Mを算出してもよい。そして、ここでは圧力室係数Mが大きいほど同じ入力信号を同じ構造の圧電素子30に加えた場合での排除体積Veが大きくなるものとする。そのため、圧力室21から排出されるインク重量Iwは、圧力室係数Mと、圧力室21に加えられる入力信号の電圧との関数と考えることもできる。
圧力室21が同じ圧力室係数Mを備える場合、入力信号の電圧を大きくすることで、この圧力室21の排除体積Ve(排出されるインク重量Iw)を大きくすることができる。一方、入力信号の電圧が一定であれば、圧力室係数Mを高いものとすることで(図3では、MsからM1へ変化させている。)排除体積Veを大きくすることができる。
図1(b)は、圧力室係数Mに応じて選択される圧電素子30の膜厚との関係を示している。図1(b)では、横軸を圧力室係数Mの比率を示し、縦軸を、圧電体32の膜厚比率を示す。圧力室係数の比率、及び膜厚比率は、基準となる圧力室係数Msをそれぞれ100%とする値である。
図1(b)では、圧力室21の圧力室係数Mと設計値の圧力室係数Msとの比率が一定の範囲に収まる場合、圧電体32の膜厚が設計値Hsとなるよう選択(即ち膜厚比率を100%)する。一方、圧力係数Mが基準となる圧力係数Msと比べて小さく、比率が100%以下になる場合、圧電素子30の厚みを設計値Hsと比べて薄く(膜厚比率を100%未満、80%以上)なるよう設定する。ここで、圧力Pは圧電素子30の厚みHpと反比例の関係にあると考えることができるため、圧電素子30の厚みHpを薄くするに従い、圧力室21の排除体積Veは増加する。さらに、圧力室21の圧力室係数Mが基準となる圧力室係数Msと比べて大きく、比率が100%以上になる場合、圧電素子30の厚みを設計値Hsと比べて厚く(膜厚比率を100%以上、120%以下)なるよう設定する。その結果、異なる圧力室係数Mを備える圧力室21の間の排出されるインク重量Iwを均一にすることが可能となる。
そのため、圧力室係数Mが異なる圧力室21を比較すると、対応する圧電素子30の厚みHpが異なることとなる。
図1(b)では、圧力室21の圧力室係数Mと設計値の圧力室係数Msとの比率が一定の範囲に収まる場合、圧電体32の膜厚が設計値Hsとなるよう選択(即ち膜厚比率を100%)する。一方、圧力係数Mが基準となる圧力係数Msと比べて小さく、比率が100%以下になる場合、圧電素子30の厚みを設計値Hsと比べて薄く(膜厚比率を100%未満、80%以上)なるよう設定する。ここで、圧力Pは圧電素子30の厚みHpと反比例の関係にあると考えることができるため、圧電素子30の厚みHpを薄くするに従い、圧力室21の排除体積Veは増加する。さらに、圧力室21の圧力室係数Mが基準となる圧力室係数Msと比べて大きく、比率が100%以上になる場合、圧電素子30の厚みを設計値Hsと比べて厚く(膜厚比率を100%以上、120%以下)なるよう設定する。その結果、異なる圧力室係数Mを備える圧力室21の間の排出されるインク重量Iwを均一にすることが可能となる。
そのため、圧力室係数Mが異なる圧力室21を比較すると、対応する圧電素子30の厚みHpが異なることとなる。
ここで、圧力室係数Mは設計値Msに対して、バラツキを有しており、それが一定の範囲内であれば圧電素子30の厚みは一定の値としている。図1(b)では、例えば、圧力室係数の比率が100%の前後で所定の範囲だけ変化しても、膜圧比率が100%で一定となっている。そのため、圧力室係数Mが一定の範囲から外れる場合にのみ、圧電素子30の厚みを変化させている。例えば、液体噴射ヘッド1から排出されるインク重量Iwは基準値を中心に10パーセントの公差が認められる場合、このインク重量Iwの公差をもとに、圧力室係数Mの範囲の幅を決定するものであってもよい。
圧電素子30の厚みの選定としては、圧電体32の厚みを変更するものであってもよいし、下電極31及び上電極33の少なくともいずれかの厚みを変更するものであってもよいし、これらすべての厚みを変更するものでもよい。上電極33及び下電極31は金属製であるため、圧電体32の厚みを変更する場合に比べてより厚みの管理を容易にすることができる。また、電極(31、33)の厚みや、圧電体32と電極31、33とを含めた圧電素子の厚みを設定する場合は、図1(b)の縦軸は、それぞれの値となる。
上記構成の液体噴射ヘッド1では、各基板が積層状に積み重ねられることで、圧力室21は連通口25を通じてノズル孔61と連通する。また、圧力室21は、共通液室24に連通する。そのため、共通液室24からノズル孔61までの流路により液体流路が構成される。また、ヘッド部材50の導入口は、共通液室24に連通している。
そのため、導入路を通じて供給されたインクは共通液室24から分岐して各圧力室21に流れこむ。この状態で、図示しない回路基板から駆動電圧が下電極31や上電極33に印加されると、圧電素子30を駆動させる。圧電素子30の駆動は、圧力室21に圧力変化を生じさせる。そして、圧力室21内の圧力変化は、圧力室21に充填されたインクを押し出し、ノズル孔61を通じて外部に吐出させる。
また、液体噴射ヘッド1は、液体貯留部と連通するインク供給経路を具備するインクジェット式記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェットプリンター200に搭載される。インクジェットプリンター200は液体噴射装置の一例である。
図4は、インクジェットプリンター200の一例を示す概略図である。図4において、符号1は、液体噴射ヘッド1をそのノズル孔面を外部に露出させつつ収めた筺体(ヘッドカバー)の一部を示している。インクジェットプリンター200において、複数の液体噴射ヘッド1を有するインクジェット式記録ヘッドユニット(以下、ヘッドユニット202)には、例えば、液体貯留部としてのインクカートリッジ202A,202B等が着脱可能に設けられる。ヘッドユニット202を搭載したキャリッジ203は、装置本体204に取り付けられたキャリッジ軸205に軸方向移動自在に設けられている。そして、駆動モーター206の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト207を介してキャリッジ203に伝達されることで、キャリッジ203はキャリッジ軸205に沿って移動する。
装置本体204にはキャリッジ軸205に沿ってプラテン208が設けられており、図示しないローラー等により供給された印刷媒体PMがプラテン208上を搬送される。そして、搬送される印刷媒体PMに対して、液体噴射ヘッド1のノズル孔61からインクが噴射され任意の画像が印刷媒体PMに印刷される。なお、インクジェットプリンター200は、ヘッドユニット202が上記のように移動するものだけでなく、例えば、液体噴射ヘッド1が固定されて、印刷媒体PMを移動させるだけで印刷を行ういわゆるラインヘッド型のプリンターであってもよい。
次に、このような液体噴射ヘッドの製造方法を説明する。
図5は、液体噴射ヘッドを製造する工程の内、圧電体の膜厚を選択する手法を説明するフローチャートである。また、図6は、液体噴射ヘッドの製造工程を説明する図である。図7、図8、図9は、液体噴射ヘッドの製造工程を説明する工程図である。
図5は、液体噴射ヘッドを製造する工程の内、圧電体の膜厚を選択する手法を説明するフローチャートである。また、図6は、液体噴射ヘッドの製造工程を説明する図である。図7、図8、図9は、液体噴射ヘッドの製造工程を説明する工程図である。
まず、図5のステップS1では、振動板10、流路形成基板20を一体で焼成することで流路ユニット40を作成する。振動板10、流路形成基板20は、それぞれに対応する焼成前のセラミックスシートを積層し、これを焼成することで形成する。この第1の実施形態では、図6(a)に示すように、セラミックスシートには、振動板10と流路形成基板20とに相当する物が複数形成されている。また、流路形成基板20の元となるシートに対しては、打ち抜き加工を施し、圧力室21、共通液室24、連通口25に相当する貫通孔が形成されている。焼成温度としては、例えば、1000度から1400度とすることができる。
次に、図5のステップS2では、焼成後の流路形成基板20に形成される圧力室21の寸法や振動板10の厚みを測定する。そして、測定された圧力室21の寸法が設計値と比べて大きすぎる場合や小さすぎる場合(ステップS3:NO)、焼成後の流路形成基板20と振動板10は不良品として判断する(ステップS4)。
一方、圧力室21の寸法は正常である場合(ステップS3:YES)、ステップS5では、圧力室21毎に圧力室係数Mを取得する。圧力室係数Mの判定方法としては、図6(b)に示すように、圧力室21の寸法や、振動板10の厚みTを考慮し、これらの値から圧力室係数Mを判定する。一例として、圧力室21の寸法は、各圧力室21が併設するX方向の幅W、Y方向の長さL、Z方向の高さH、振動板10の厚みTをそれぞれ計測する。このとき、圧力室の寸法、又は振動板10の厚みTのいずれかのみを測定し、圧力室係数Mを判定するものであってもよいし、他のパラメーターを測定して圧力室係数Mを判定するものであってもよい。また、焼成後の圧力室21の形状を測定する以外に、焼成前のセラミックスシートを測定しておき、この値に基づいて焼成後の圧力室21の形状を判断してもよい。
次に、図5のステップS6では、ステップS5で取得した圧力室係数Mを設計値Msと比較する。この比較では、圧力室係数Mが設計値Msと比べてどれだけ差があるかを判断する。例えば、圧力室係数Mが図1(b)に示す、設計値Msとの比率で示される公差に収まるか否かが判断される。
次に、図5のステップS7では、圧力室係数Mが公差内である場合(ステップS7:YES)、ステップS8では、この圧力室21に対応する圧電素子30の厚みHpは設計値を用いる。
一方、圧力室係数Mが公差外である場合(ステップS7:NO)、ステップS9では、圧力室係数Mが設計値Msと比べて大きいか否かを判断する。そして、圧力室係数Mが設計値Msと比べて大きい場合(ステップS9:YES)、ステップS10では、この圧力室21に対応する圧電素子30の厚みHpは設計値と比べて厚いものを選択する。厚みHpの選択方法としては、例えば、図1(b)に示すグラフを参照して選択するものとする。
一方、圧力室係数Mが設計値Msと比べて小さい場合(ステップS9:NO)、ステップS11では、この圧力室21に対応する圧電素子30の厚みHpは設計値と比べて薄いものを選択する。以下、全ての圧力室21に対して厚みHpの設定を行なっていない場合(ステップS12:NO)、ステップS5に戻る。一方、全ての圧力室21に対して厚みHpの設定を行なった場合(ステップS12:YES)、圧力室21毎に選択された厚みHpを有する圧電素子30を形成するための他の工程に進む。
以下、選択された圧電素子30の厚みHpに基づいて圧電素子30を製造する手法の一例を説明する。
まず、図7(a)に示すように、透明な流路形成基板20の第1面26に、一様にフォトレジスト層91を形成する。次に、図7(b)に示すように、フォトマスクでフォトレジスト層91の一部を遮光しながら、フォトレジスト層91を露光し、さらに未露光のフォトレジスト層91を除去することで、レジストパターンを形成する。レジストパターンのサイズは、圧電素子30の断面積に応じたものが使用される。
まず、図7(a)に示すように、透明な流路形成基板20の第1面26に、一様にフォトレジスト層91を形成する。次に、図7(b)に示すように、フォトマスクでフォトレジスト層91の一部を遮光しながら、フォトレジスト層91を露光し、さらに未露光のフォトレジスト層91を除去することで、レジストパターンを形成する。レジストパターンのサイズは、圧電素子30の断面積に応じたものが使用される。
フォトマスクを配置する工程の一例として、圧力室21内に遮光剤を入れ、その後に、矢印で示すように、光を流路形成基板20の第2面27に照射することで、圧力室21内の遮光剤をフォトマスクとして用いている。こうして、圧力室21に対応する領域A1が遮光され、領域A1から外れる領域が露光される。その後、未露光のフォトレジストを除去することで、レジストパターンが形成される。遮光剤は、少なくともフォトレジスト層91の露光時に圧力室21内に存在すればよく、露光後に取り除かれてもよい。遮光剤は、露光に用いられる光を吸収する染料又は顔料を含んでもよい。
フォトレジスト層91及び以下で説明するフォトレジスト層を形成するフォトレジストとしては、ネガ型のフォトレジストとして公知の材料が好適に用いられる。具体的には、エポキシ系、オキセタン系、ポリイミド系、アクリル系樹脂の厚膜タイプや、高アスペクト用の化学増幅型レジスト剤が望ましい。例えば、フォトレジストの塗布方法は、スピンコート、スリットコート、ロールコート、スプレー法、スクリーン印刷法であってもよい。また、感光性のドライフィルムレジストを貼り付けてもよい。
そして、レジストパターンが形成されない領域A1に、下電極31となる導電材料層を形成した後に、レジストパターンを除去し、導電材料層を焼成する。そのため、領域A1に下電極31が形成される(図7(c))。レジストパターンの除去は、熱処理、プラズマ処理、蒸気噴霧法、剥離液による処理等によって実行可能である。なお、他の工程における他のレジストパターンの除去についても、同様である。
次に、フォトレジスト層92を第1面26上に一様に形成する。その後、図8(a)に示すように、フォトマスク41を、第1面26に対向する位置に、領域A2を遮光するように配置する。図中に矢印で示すように、第1面26に光を照射することで、領域A2を除いて、フォトレジスト層92が露光される。未露光のフォトレジスト層92を除去することで、領域A2において第1面26が露出したレジストパターンを形成することができる。
そして、図8(b)に示すように、露出された領域A2に仮マスク材料を供給することで、仮マスク4を形成する。仮マスクの材料は、薄い厚みで高い遮光性を実現できることが好ましい。仮マスクの材料の一例として、炭素(C)や、金(Au)、銀(Ag)などを用いることができる。の低融点の材料を用いることができる。これ以外にも、仮マスク4の材料として、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、アルミ(Al)を用いることができる。
また、仮マスク材料の供給方法は特に制限はないが、薄膜形成に適した方法として、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、MOCVD法(化学気相成長法)が挙げられる。
また、仮マスク材料の供給方法は特に制限はないが、薄膜形成に適した方法として、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、MOCVD法(化学気相成長法)が挙げられる。
仮マスク4の形成後、フォトレジスト層92により形成されたレジストパターンは除去される。レジストパターンの除去については、上述したとおりである。
次に、仮マスク4及び下電極31の上から、第1面26上に一様にフォトレジスト層93を形成する。その後、図8(c)に矢印で示すように、第2面27に光を照射することで、下電極31及び仮マスク4をフォトマスクとして用いて、フォトレジスト層93を露光する。その後、未露光のフォトレジスト層93を除去することで、領域A3が露出したレジストパターンが形成される。
なお、本実施形態では下電極31をフォトマスクとして用いているが、他のフォトマスクを設けることで、第1面26において遮光される領域を確保することもできる。また、他のフォトマスクと下電極31との両方をフォトマスクとして用いることもできる。
なお、本実施形態では下電極31をフォトマスクとして用いているが、他のフォトマスクを設けることで、第1面26において遮光される領域を確保することもできる。また、他のフォトマスクと下電極31との両方をフォトマスクとして用いることもできる。
こうして形成されたレジストパターンが形成された状態で、圧電体32の元となる前駆体層34を、レジストパターンで区画された下電極31及び仮マスク4上に供給する。ここで、前駆体層34の厚みは、上記した図5のステップS8、S10、S11のいずれかで選択された厚みHpに応じて形成される。
前駆体層34の形成方法の一例としては、まず、レジストパターンから、流路形成基板20の第1面26をセラミックペーストでコートする。また、セラミックペーストのコート法に特に制限はないが、例えばスピンコート、スリットコート、ロールコート、ゾルゲル法、スプレー法、スクリーン印刷法の湿式塗布、下部電極パターンを電極にした電気泳動法等が用いられる。セラミックペースト以外によるコート方法として、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、PVD、イオンプレーティング、CVD、等の方法を挙げることができる。前駆体層34をセラミックペースト等を複数層を積層することで形成する場合、厚みHpに応じて積層する層数を調整してもよい。
図9(a)に示すように、前駆体層34の形成後、レジストパターンを除去することで、領域A3以外の箇所(つまりフォトレジスト層93上)に付着した前駆体層材料を除去する。レジストパターンの除去については、上述したとおりである。ただし、フォトレジスト材料が無機添加物を含んでいなければ、この後の熱処理でフォトレジストを消失させることも可能であるので、フォトレジストパターンの除去工程は省略することができる。
図9(b)に示すように、前駆体層34の下方に形成された仮マスク4を熱処理して除去等した後、前駆体層34を焼成し、圧電体32を形成する。仮マスク4を熱処理することで、下電極31と接続配線との間が電気的に離隔される。なお、熱処理における諸条件は、特定の数値及び構成に限定されず、仮マスク4の材料等に応じて変更される。
また、仮マスク4の熱処理と圧電体32の焼成を一度の熱処理によって行っても良い。例えば、熱処理における温度は600℃以上かつ1400℃以下であってもよく、800℃以上1300℃以下であってもよい。
そして、図9(c)に示すように、導電性材料を前駆体層上に配置し、その後必要に応じて焼成を行うことで、上電極33が形成される。上電極33の形成に用いられる導電性材料及びその形成方法等については、電気的な接続がなされるのであれば、特に制限は無い。そのため、圧力室21の上方には、上記した図5のステップS8、S10、S11のいずれかで選択された厚みHpに応じた圧電素子30が形成されることとなる。
そして、流路形成基板20にノズルプレート60を接着する。ノズルプレート60は、例えば、接着剤を用いて流路形成基板20に接着される。接着剤としては、エポキシ系の接着剤を用いることができる。ここで、ノズルプレート60は、材料となるセラミックスシートをもとに、焼成することで形成することができる。これ以外にも、ノズルプレート60は、流路形成基板20と一体焼成して形成するものであってもよい。
最後に、振動板10にヘッド部材50を接着する。ヘッド部材50は、例えば、接着剤を用いて振動板10に接着される。
以上の工程により、第1の実施形態に係る液体噴射ヘッド1が製造される。
以上の工程により、第1の実施形態に係る液体噴射ヘッド1が製造される。
以上説明したように、この第1の実施形態では、圧力室21から排出される液体の排出量のバラツキを圧電素子30側の構造で調整することができる。
また、少なくとも一部がセラミックスで構成され焼成収縮によりバラツキが大きい複数の液体噴射ヘッド1を用いる場合でも、圧電素子30の構造を調整することで使用することができる。その結果、液体噴射ヘッド1の歩留まりを低減させることができる。
また、少なくとも一部がセラミックスで構成され焼成収縮によりバラツキが大きい複数の液体噴射ヘッド1を用いる場合でも、圧電素子30の構造を調整することで使用することができる。その結果、液体噴射ヘッド1の歩留まりを低減させることができる。
2.第2の実施形態:
この第2の実施形態では、圧力室21の寸法又は圧力室21と圧電素子30の間の壁の厚みに応じて、圧電素子30の断面積Sが設定されている構成において第1の実施形態と異なる。即ち、圧力室21の寸法、又は圧力室21と圧電素子30との間の壁の厚みが異なる圧力室では、圧電素子30の断面積Sが異なる。
この第2の実施形態では、圧力室21の寸法又は圧力室21と圧電素子30の間の壁の厚みに応じて、圧電素子30の断面積Sが設定されている構成において第1の実施形態と異なる。即ち、圧力室21の寸法、又は圧力室21と圧電素子30との間の壁の厚みが異なる圧力室では、圧電素子30の断面積Sが異なる。
図10は、第2の実施形態に係る流路ユニット40を説明する図である。図10(a)では、横軸は圧力室係数Mを示している。また、縦軸は圧電素子30の断面積Sを示している。図10(b)に示すように、圧電素子30の断面積Sは、能動部28に位置する圧電素子30の幅Wpと長さLpにより規定される面積である(図においてハッチングで示す領域)。ここで、能動部28とは、流路形成基板20における圧力室21の上方に位置する部位であり、圧電素子30により変位が生じる部位である。なお、能動部28は、下電極31及び上電極33が圧電体32を挟むように対向している領域にほぼ一致する。そして、Ssは圧電素子30の断面積の設計値を示している。そのため、この第2の実施形態では、能動部28の外側にある下電極31の部位は断面積Sに含まれない。
圧電素子30の断面積Sを大きくするにつれ、圧力室21に生じる圧力Pも増加する。その結果、圧力室21の排除体積Veも大きくなる。そのため、第2の実施形態では、図10(a)に示すように、圧力室21の圧力室係数Mが設計値Msと比べて小さい場合、圧電素子30の断面積Sを設計値Ssと比べて大きくなるよう設定する。一方、圧力室21の圧力室係数Mが設計値Msと比べて大きい場合、圧電素子30の断面積Sを設計値Ssと比べて小さくなるよう設定する。その結果、異なる圧力室係数Mを備える圧力室21の間の排出されるインク重量Iwを均一にすることが可能となる。逆に、圧力室係数Mが異なる圧力室21を比較すると、配置される圧電素子30の断面積Sが異なることとなる。この断面積Sの設定は、下電極31及び上電極33のいずれか一方の形成位置を調整することで行ってもよいし、両方の形成位置を調整することで行ってもよい。
次に、第2の実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する。
図11、図12は、液体噴射ヘッドの製造工程を説明する工程図である。
図11、図12は、液体噴射ヘッドの製造工程を説明する工程図である。
この第2の実施形態においても、第1の実施形態同様、まず、圧力室21の寸法や振動板10の厚みから圧力室係数Mが判定される。そして、判定された圧力室係数Mをもとに、対応する圧電素子30の断面積S(幅Wp、長さLp)が選択される。そのため、第1の実施形態と第2の実施形態とで重複する工程は説明を省略し、異なる工程のみ説明する。
以下、設定された値に基づいて圧電素子30を製造する手法の一例を説明する。
まず、図11(a)に示すように、流路形成基板20の第1面26に、一様にフォトレジスト層91を形成する。なお、第1の実施形態と同様の手法により流路形成基板20、振動板10は形成されているものとする。
まず、図11(a)に示すように、流路形成基板20の第1面26に、一様にフォトレジスト層91を形成する。なお、第1の実施形態と同様の手法により流路形成基板20、振動板10は形成されているものとする。
次に、図11(b)に示すように、フォトマスク42でフォトレジスト層91の一部を遮光しながらフォトレジスト層91を露光し、さらに未露光のフォトレジスト層91(A4)を除去することで、レジストパターンを形成する。このとき、フォトマスク42のサイズ及び形状として圧電素子30の断面積Sに応じたものを使用する。そのため、圧電素子30の断面積(幅Wp、長さLp)に応じた、レジストパターンが形成される。
また、未露光の領域A4の形成方法としてフォトマスク42を用いる以下にも、以下の方法を用いることができる。即ち、圧電素子30の断面積Sに応じて照射する光の量を調整しつつ流路形成基板20の第2面に照射する。このとき、照射する光の量を通常の量と比べて強くすれば、フォトレジスト層91の露光領域が大きくなり、未露光の領域A4が縮小される。即ち、断面積の設計値Ssに比べて幅Wp、長さLpの小さなレジストパターンを形成することができる。一方、露光量を通常の量と比べて弱くすれば、フォトレジスト層91の露光領域が小さくなり、未露光の領域A4が拡大される。即ち、設計値Ssに比べて幅Wp、長さLpの大きなレジストパターンを形成することができる。
そして、レジストパターンが形成されない領域A4に、下電極31となる導電材料層を形成した後に、レジストパターンを除去し、導電材料層を焼成する。そのため、領域A4の形状に応じて下電極31が形成される(図11(c))。
以下、第1の実施形態と同様の手法により、仮マスク4、及びフォトレジスト層上に領域A5を除くレジストパターンを形成する(図12(a))。そして、このレジストパターン上に圧電体32を形成する(図12(b))。圧電体32の形成方法は、第1の実施形態と同様の手法を用いることができる。領域A5は、選択された圧電素子30の断面積に応じて幅Wp、長さWpが規定されている。例えば、領域A5の形成方法としては、断面積Sに応じたフォトマスクを使用し、フォトレジスト層上に形成する。
そして、圧電体32上に上電極33を形成する(図12(c))。そのため、各工程を通して形成される圧電素子30は、選択された断面積S(幅Wp、長さLp)に応じたものとなる。
以上説明したように、この第2の実施形態では、圧電素子30の面積を調整することで、各圧力室21から排出される液体の排出量のばらつきを抑制することができる。
3.第3の実施形態:
圧力室係数Mに応じて変更される圧電素子30の構造は、1つの液体噴射ヘッド1に備えられた各圧力室との関係に限定されない。上記のように液体噴射ヘッド1の製造工程では、積層された1組のセラミックスシートから複数の液体噴射ヘッド1の部品が製造される。また、セラミックスシートは焼成時に収縮が均一とならず、液体噴射ヘッド1間での圧力室21の構造のばらつきも大きい。そのため、複数の液体噴射ヘッド1の間で圧力室係数Mを比較し、液体噴射ヘッド1毎に圧電素子30の厚みHp又は断面積Sを変えるものであってもよい。
圧力室係数Mに応じて変更される圧電素子30の構造は、1つの液体噴射ヘッド1に備えられた各圧力室との関係に限定されない。上記のように液体噴射ヘッド1の製造工程では、積層された1組のセラミックスシートから複数の液体噴射ヘッド1の部品が製造される。また、セラミックスシートは焼成時に収縮が均一とならず、液体噴射ヘッド1間での圧力室21の構造のばらつきも大きい。そのため、複数の液体噴射ヘッド1の間で圧力室係数Mを比較し、液体噴射ヘッド1毎に圧電素子30の厚みHp又は断面積Sを変えるものであってもよい。
4.その他の実施形態:
圧力室21から排出される液体の量を変更する手法として、個別電極である上電極33の形状を変更するものであってもよい。上電極33の面積を変更することで、内部抵抗が変化し、圧電体32に供給される駆動信号の値が変化する。また、上電極33の厚みを変更することで、圧電素子30の駆動量に影響を与える。そのため、圧力室21の圧力室係数Mが設計値Msと比べて小さい場合に、上電極33の厚みを薄くし、又は面積を大きくすることで、圧力室21を通じて排出されるインク重量Iwを多くすることができる。一方、圧力室21の圧力室係数Mが設計値Msと比べて大きい場合に、上電極33の厚みを厚くし、又は面積を小さくすることで、圧力室21通じて排出されるインク重量Iwを少なくすることができる。
なお、下電極が個別電極である場合は、この下電極についても上述した上電極33と同様のことが当てはまる。
圧力室21から排出される液体の量を変更する手法として、個別電極である上電極33の形状を変更するものであってもよい。上電極33の面積を変更することで、内部抵抗が変化し、圧電体32に供給される駆動信号の値が変化する。また、上電極33の厚みを変更することで、圧電素子30の駆動量に影響を与える。そのため、圧力室21の圧力室係数Mが設計値Msと比べて小さい場合に、上電極33の厚みを薄くし、又は面積を大きくすることで、圧力室21を通じて排出されるインク重量Iwを多くすることができる。一方、圧力室21の圧力室係数Mが設計値Msと比べて大きい場合に、上電極33の厚みを厚くし、又は面積を小さくすることで、圧力室21通じて排出されるインク重量Iwを少なくすることができる。
なお、下電極が個別電極である場合は、この下電極についても上述した上電極33と同様のことが当てはまる。
また、実施形態で示す液体噴射ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。また、本発明は、広く液体噴射ヘッドの全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射するものにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。
即ち、上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更し、或いは互いに組合せて適用してもよい。
公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用してもよい。
公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用してもよい。
即ち、上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更し、或いは互いに組合せて適用してもよい。
公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用してもよい。
公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用してもよい。
1…液体噴射ヘッド、10…振動板、20…流路形成基板、21…圧力室、22…狭窄部、24…共通液室、25…連通口、28…能動部、30…圧電素子、31…下電極、32…圧電体、33…上電極、40…流路ユニット、50…ヘッド部材、60…ノズルプレート、61…ノズル孔、200…インクジェットプリンター、202…ヘッドユニット、202A…インクカートリッジ、202B…インクカートリッジ、203…キャリッジ、204…装置本体、205…キャリッジ軸、206…駆動モーター、207…タイミングベルト、208…プラテン
Claims (8)
- 駆動信号に応じて変形する圧電素子と、
対応する前記圧電素子の変形に応じて液体に圧力を加える圧力室が形成された流路部材と、を備えた流路ユニットであって、
第1圧力室と比べて前記圧力室の寸法が大きい第2圧力室、及び前記圧力室と前記圧電素子との間の壁の厚みが薄い第3圧力室、の少なくとも一方に対応する前記圧電素子の構造は、前記第1圧力室に対応する前記圧電素子の構造と異なる、流路ユニット。 - 第2圧力室と第3圧力室との少なくとも一方に対応する圧電素子の厚みが、前記第1圧力室に対応する圧電素子の厚みと比べて厚い、請求項1に記載の流路ユニット。
- 第2圧力室と第3圧力室との少なくとも一方に対応する圧電体の厚みが、前記第1圧力室に対応する圧電素子の厚みと比べて厚い、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の流路ユニット。
- 前記圧電素子は、前記駆動信号の供給を受ける電極を有しており、
前記第2圧力室と第3圧力室との少なくとも一方に対応する前記圧電素子は、前記第1圧力室に対応する前記圧電素子と比べて、前記電極の厚みが厚い、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の流路ユニット。 - 第2圧力室と第3圧力室との少なくとも一方に対応する圧電素子の能動部の面積が、前記第1圧力室に対応する圧電素子の能動部の面積と比べて小さい、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の流路ユニット。
- 前記流路部材はセラミックスにより形成されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の流路ユニット。
- 前記請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の流路ユニットを有する液体噴射ヘッド。
- 前記請求項7に記載の液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置。
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Cited By (1)
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JP2019151074A (ja) * | 2018-03-06 | 2019-09-12 | 株式会社リコー | 液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置 |
-
2013
- 2013-03-28 JP JP2013070570A patent/JP2014193549A/ja active Pending
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