JP2011199106A - 圧電素子、圧電アクチュエーター、液滴噴射ヘッド及び液滴噴射装置並びに圧電素子の製造方法 - Google Patents

圧電素子、圧電アクチュエーター、液滴噴射ヘッド及び液滴噴射装置並びに圧電素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】保護膜と圧電体層との密着性が向上した圧電素子等を提供すること。
【解決手段】本発明に係る圧電素子は、基板の上に形成された第1電極と、前記第1電極の上に形成された圧電体層と、前記圧電体層の上に形成された第2電極と、少なくとも前記圧電体層の側面を覆う保護膜と、を含み、前記圧電体層の前記側面は、前記第2電極から前記第1電極に向かう方向に沿って延びる複数の溝を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、圧電素子、圧電アクチュエーター、液滴噴射ヘッド及び液滴噴射装置並びに圧電素子の製造方法に関する。
圧電素子の厚みを薄くし高速駆動を可能にするため、薄膜技術を用いて製造できる圧電アクチュエーターやインクジェット式記録ヘッドが知られている。例えば、特許文献1には、薄膜技術を用いて製造できるインクジェット式記録ヘッドが記載されている。
特許文献1に記載のインクジェット式記録ヘッドでは、圧電素子の圧電体層の側面を介した上部電極と下部電極との間でのリーク電流の発生や、圧電体層の大気からの吸湿に起因した劣化などの問題を解決するために、絶縁体層からなる保護膜を、圧電体層の側面に設けている。
このような構造の圧電素子において信頼性を向上させるためには、保護膜と、圧電体層の側面との密着性が重要になる。保護膜と圧電体層との密着性が良好でない場合は、電圧を印加して圧電素子を駆動させた際に、保護膜と圧電体層との間に発生した間隙に起因して、リーク電流が発生し、上部電極と下部電極との間での短絡につながる可能性がある。したがって、保護膜と、圧電体層の側面との密着性がより向上した圧電素子が期待されている。
特開平10−226071号公報
本発明のいくつかの態様によれば、保護膜と圧電体層との密着性が向上することにより信頼性が向上した圧電素子と、その製造方法、並びに、この圧電素子を含む、圧電アクチュエーター、液滴噴射ヘッド及び液滴噴射装置を提供することができる。
(1)本発明の態様の1つである圧電素子は、
基板の上に形成された第1電極と、
前記第1電極の上に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上に形成された第2電極と、
少なくとも前記圧電体層の側面を覆う保護膜と、
を含み、
前記圧電体層の前記側面は、前記第2電極から前記第1電極に向かう方向に沿って延びる複数の溝を有する。
本発明において、「上」という文言を、例えば、「特定のもの(以下「A」という)の「上」に他の特定のもの(以下「B」という)を形成する」などと用いている。本発明において、この例のような場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上」という文言を用いている。同様に、「下」という文言は、A下に直接Bを形成するような場合と、A下に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとする。
本発明によれば、保護膜が形成される圧電体層の側面が、第2電極から第1電極に向かう方向に沿って延びる複数の溝を有する。これによれば、溝内にも保護膜との接着面が形成されるため、圧電体層の側面が実質的に平坦な面である場合と比べて、保護膜と圧電体層との接着面積が増加する。したがって、保護膜と圧電体層の側面との密着性が向上した圧電素子を提供することができる。
(2)本発明の態様の1つである圧電素子は、
前記側面に対する前記溝の深さは、20nm以上、200nm以下であってもよい。
これによれば、圧電素子の保護膜と圧電体層の側面との密着性を、より確実に向上させることができる。
(3)本発明の態様の1つである圧電素子は、
前記保護膜の材質は、絶縁性樹脂材料および/または絶縁性無機材料であってもよい。
(4)本発明の態様の1つである圧電アクチュエーターは、
上記いずれかの圧電素子を含む。
本発明によれば、本発明の態様の1つである圧電素子を有する圧電アクチュエーターを提供することができる。
(5)本発明の態様の1つである液滴噴射ヘッドは、
上記の圧電アクチュエーターを含む。
本発明によれば、本発明の態様の1つである圧電アクチュエーターを有する液滴噴射ヘッドを提供することができる。
(6)本発明の態様の1つである液滴噴射装置は、
上記の液滴噴射ヘッドを含む。
本発明によれば、本発明の態様の1つである液滴噴射ヘッドを有する液滴噴射装置を提供することができる。
(7)本発明の態様の1つである圧電素子の製造方法は、
基板上に、第1電極を形成する工程と、
前記第1電極の上に圧電材料膜を形成する工程と、
前記圧電材料膜をドライエッチングによりパターニングし、圧電体層を形成する工程と、
前記圧電体層の上に第2電極を形成する工程と、
少なくとも前記圧電体層の側面を覆う保護膜を形成する工程と、
を有し、
前記ドライエッチングにおけるエッチングガスは、BClを含む塩素系ガスを主成分とする混合ガスである。
本発明によれば、本発明の態様の1つである圧電素子の製造方法を提供することができる。
(8)本発明の態様の1つである圧電素子の製造方法は、
前記混合ガスは、少なくともBCl、Cを含み、前記混合ガスにおけるBClのCに対する混合比、1から4の範囲内であってもよい。
(9)本発明の態様の1つである圧電素子の製造方法は、
前記ドライエッチングは、1.0Pa以下の圧力下で行われてもよい。
図1(A)は、本実施形態の圧電素子を模式的に示す平面図、図1(B)は、図1(A)に示すIB−IB線における圧電素子の断面図。 図2(A)は、圧電素子の圧電体層のみを模式的に示す斜視図、図2(B)は、図1(B)に示すIIB−IIB線における圧電体層の側面の形状を模式的に示す断面図。 図3(A)〜図3(D)は、本実施形態の圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 図4(A)および図4(B)は、本実施形態の圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの要部を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの分解斜視図。 本実施形態に係る液滴噴射装置を模式的に示す斜視図。 図8(A)は、実施例に係る圧電素子の圧電体層の側面の表面状態を示すSEM画像、図8(B)は、比較例に係る圧電素子の圧電体層の側面の表面状態を示すSEM画像。 実施例に係る圧電素子及び比較例に係る圧電素子の耐電圧性実験の結果をプロットした図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.圧電素子及び圧電アクチュエーター
1−1.圧電素子及び圧電アクチュエーターの構造
図1(A)は、本実施形態の圧電素子を模式的に示す平面図、図1(B)は、図1(A)に示すIB−IB線における圧電素子の断面図であり、図2(A)は、圧電素子の圧電体層の側面を模式的に示す斜視図、図2(B)は、図1(B)に示すIIB−IIB線における圧電素子の断面図であって、圧電体層の側面の形状を模式的に示す断面図である。
本実施形態に係る圧電素子50は、図1(A)および図1(B)に示すように、第1電極10と、圧電体層20と、第2電極30と、保護膜40と、を含む。
図1(A)に示すように、圧電素子50は、基板1の上に形成される。図1(A)に示すように、圧電素子50は、一方向に延びるように形成されていてもよい。ここで、圧電素子50が延びる方向を第1の方向110とする。また、図1に示すように、第1の方向と交差する方向を第2の方向120とする。例えば第1の方向110と第2の方向120とは、実質的に直交関係にあってもよい。
基板1は、例えば、導電体、半導体、絶縁体で形成された平板とすることができる。基板1は、単層であっても、複数の層が積層された構造であってもよい。また、基板1は、上面が平面的な形状であれば内部の構造は限定されず、例えば、内部に空間等が形成された構造であってもよい。
基板1が、圧電素子50を含む圧電アクチュエーターの振動板である場合には、圧電素子50が動作したときに機械的な出力を行う部材となる。基板1は、圧電素子50を含む圧電アクチュエーターの可動部分となることができ、圧力発生室などの壁の一部を構成していてもよい。基板1の厚みは、用いる材質の弾性率などにしたがって最適に選ばれる。基板1が圧電素子50を含む圧電アクチュエーターの振動板である場合は、基板1の厚みは、例えば、200nm以上2000nm以下とすることができる。基板1の厚みが200nmよりも薄いと、振動等の機械的出力を取り出しにくくなることがあり、2000nmよりも厚いと、振動等が生じなくなる場合がある。基板1は、圧電体層20の動作により、たわんだり振動したりすることができる。
基板1が、圧電素子50を含む圧電アクチュエーターの振動板である場合には、基板1の材質には、剛性及び機械的強度の高い材料を含むことが望ましい。基板1の材質としては、例えば、酸化ジルコニウム、窒化シリコン、酸化シリコンなどの無機酸化物、ステンレス鋼などの合金を用いることができる。これらのうち、基板1の材質としては、化学的安定性及び剛性の点で、酸化ジルコニウムが好適である。基板1は、例示した物質の2種以上の積層構造であってもよい。
第1電極10は、図1(A)および図1(B)に示すように、基板1の上に形成される。第1電極10の形成される領域は、後述される圧電体層20および第2電極30と基板1の上でオーバーラップすることができる限り特に限定されない。例えば、第1電極10は、図1(A)及び図1(B)に示すように、第2の方向120において、圧電体層20に覆われないように延びていてもよい。
第1電極10は、第2電極30と対になり、圧電体層20を挟む一方の電極として機能する。第1電極10は、例えば、圧電素子50の下部電極であってもよい。図示はされないが、第1電極10は、駆動回路と電気的に接続しているリード配線と電気的に接続されている。第1電極10とリード配線との電気的接続方法は、特に限定されない。
第1電極10の材質は、導電性を有する物質である限り特に限定されない。第1電極10の材質として、例えば、Ni、Ir、Au、Pt、W、Ti、Ta、Mo、Crなどの各種の金属及びこれらの金属の合金、それらの導電性酸化物(例えば酸化イリジウムなど)、SrとRuの複合酸化物、LaとNiの複合酸化物などを用いることができる。また、第1電極10は、例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
圧電体層20は、図1(A)及び図1(B)に示されるように、第1電極10と第2電極30との間に配置されている。図1(A)及び図1(B)に示すように、圧電体層20の少なくとも一部は、第1電極10の上に形成される。図1(A)に示すように、圧電体層20は、第1の方向110に延びるように形成されていてもよい。図1(B)に示すように、圧電体層20は、後述される第2電極30が形成される上面21(第1電極10側の面とは反対側の面)と、テーパー状の側面22とを有する。側面22は、第1電極10の側の面と、上面21と、を連続する面である。図1(A)に示すように、側面22は、第2電極30から第1電極10に向かう方向に沿って延びる複数の溝23を有する。詳細は後述される。圧電体層20の厚みは、電圧が印加される際に、実質的に伸縮変形できる限り、特に限定されない。
圧電体層20の材質としては、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物が好適に用いられる。このような材質の具体的な例としては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)(以下、本明細書において「PZT」と略すことがある。)、ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti,Nb)O)(以下、本明細書において「PZTN」と略すことがある。)、チタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸カリウムナトリウム((K,Na)NbO)などが挙げられる。
第2電極30は、圧電体層20の上において、第1電極10に対向して配置される。図1(B)に示す例では、第2電極30は、圧電体層20の上に形成されている。第2電極30の形成される領域は、図1(B)に示すように、圧電体層20の上で、第1電極10の少なくとも一部とオーバーラップし、駆動領域25(第1電極10と第2電極30との間に挟まれた圧電体層20の領域で、実質的に変形する領域)を形成する限り、特に限定されない。したがって、第2電極30の詳細な形状は、駆動領域を決定する際の設計事項であり、所望の駆動領域に応じて適宜決定されることができる。
第2電極30は、第1電極10と対になり、圧電体層20を挟む一方の電極として機能する。第1電極10が下部電極である場合は、第2電極30は上部電極であってもよい。第2電極30は、図示しない駆動回路と電気的に接続されている。第2電極30と駆動回路との電気的接続方法は、特に限定されない。第2電極30と駆動回路とは、例えば、図1(A)に示すように、リード配線60を介して電気的に接続されていてもよい。
第2電極30の材質は、導電性を有する物質である限り特に限定されない。第2電極30の材質として、例えば、Ni、Ir、Au、Pt、W、Ti、Ta、Mo、Crなどの各種の金属及びこれらの金属の合金、それらの導電性酸化物(例えば酸化イリジウムなど)、SrとRuの複合酸化物、LaとNiの複合酸化物などを用いることができる。また、第2電極30は、例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
保護膜40は、図1(A)及び図1(B)に示されるように、少なくとも圧電体層20の側面22を覆うように形成される。保護膜40の形状は、少なくとも圧電体層20の側面22を覆う限り、特に限定されない。図1(A)に示すように、保護膜40は、圧電体層20の駆動領域25の上方において、第2電極30の少なくとも一部を露出させるように開口した開口部41を有していてもよい。図1(A)および図1(B)に示すように、保護膜40は、第1電極10の一部、圧電体層20の側面22および第2電極30の一部を連続して覆っていてもよい。また、図1(A)に示すように、また、保護膜40は、第2電極30と、リード配線60との電気的接続部分を連続して覆っていてもよい。
保護膜40の材質は、絶縁性を有する限り、特に限定されない。例えば、保護膜40は、公知の絶縁性樹脂材料または絶縁性無機材料を用いて形成することができる。
公知の絶縁性樹脂材料としては、例えば、公知の感光性樹脂材料を用いてもよいし、非感光性樹脂材料を用いてもよい。絶縁性樹脂材料が、感光性樹脂材料である場合、公知の不飽和結合含有重合性化合物、光重合開始剤等も含んでいてもよい。具体的には、絶縁性樹脂材料は、フォトレジストであってもよいし、ポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリビニルアルコール誘導体等の樹脂組成物であってもよい。
なお、本発明の感光性材料における感光性とは、放射線等のエネルギー線を選択的に露光し、現像液によって現像処理することによって、特定の領域を選択的に除去できる特性を意味する。したがって、感光性材料は、例えば、放射線等のエネルギー線によって露光された領域が現像液によって選択的に除去可能となるポジ型のレジストであってもよいし、露光されない領域が現像液によって選択的に除去可能となるネガ型のレジストであってもよい。
公知の絶縁性無機材料としては、酸化アルミニウムまたは酸化シリコンであってもよい。
以下に、図2(A)および図2(B)を参照して、本実施形態に係る圧電体層20の詳細を説明する。
図2(A)に示すように、圧電体層20の側面22は、第2電極30から第1電極10に向かう方向(テーパー面の上下方向)に沿って延びる複数の溝23を有する。図示はされないが、実質的に駆動する領域近傍の側面において部分的に溝23が形成されていてもよい。
本実施形態において、第2電極30から第1電極10に向かう方向(テーパー面の上下方向)とは、テーパー状の斜面(基板1に対して垂直ではない面)である側面22上において、側面22と上面21との境界線から、側面22と第1電極10(もしくは基板1)との境界線へ向かう実質的な直線方向である。例えば、第2電極30から第1電極10に向かう方向は、側面22と上面21との境界線から、側面22と第1電極10(もしくは基板1)との境界線へ向かう垂線方向であってもよい。
また、本実施形態において、溝23とは、一の方向に連続して形成される。つまりは、溝23は、側面22の上面よりも、実質的に圧電体層20の内側方向に凹んだ部分を意味する。この意味において、本実施形態における溝23は、凹部であっても形成される領域に方向性を有さない窪みとは区別される。
側面22に角部を有さない複数の溝23が隣り合うように連続して形成されることで、図2(B)に示すように、側面22は、波状の面であることができる。このように、第2電極30から第1電極10に向かう方向に沿って延びる複数の溝23を形成することで、側面22を波状面とすることにより、保護膜40と側面22との密着性を向上させつつ、かつ、側面22の上に、スパッタリング、スピンコートなど公知の成膜方法で保護膜40を形成する際、ボイド等を発生しにくくすることができる。
また、図2(B)に示すように、側面22の上面に対する溝23の深さDは、20nm以上、200nm以下であってもよい。また、図2(B)に示すような隣り合う溝23の幅Wは、20nm以上、200nm以下であってもよい。以上のような深さDを有する溝23を、幅Wの密度で連続して形成することによって、圧電素子の圧電特性等の特性に影響を与えずに、保護膜40と側面22との密着性を向上させることができる。
以上のいずれかの構成により、本実施形態に係る圧電素子50を構成することができる。なお、本実施形態に係る圧電素子50において、基板1を、振動板として含むように構成することにより、圧電素子50を含む圧電アクチュエーター100の構成とすることができる。
本実施形態に係る圧電素子は、例えば、以下の特徴を有する。
本実施形態に係る圧電素子によれば、保護膜40が形成される圧電体層20の側面22が、第2電極30から第1電極10に向かう方向に沿って延びる複数の溝23を有する。これによれば、溝23内にも保護膜40が形成されるため、圧電体層の側面が実質的に平坦な面である場合と比べて、保護膜40と圧電体層20の側面22との接着面積が増加する。したがって、保護膜40と圧電体層20の側面22との密着性が向上した圧電素子50を提供することができる。
保護膜40と圧電体層20の側面22との密着性が向上した圧電素子50は、比較的に高い電圧でもって駆動し、連続的に振動した場合であっても、保護膜40と側面22との間において剥離やクラックが発生しにくい構造体である。したがって、本実施形態に係る圧電素子50は、構造的に耐電圧性が向上する。つまりは、信頼性の高い圧電素子50を提供することができる。なお、詳細は後述される。
1−2.圧電素子の製造方法
次に、本実施形態に係る圧電素子50の製造方法について説明する。図3(A)〜図3(D)及び図4(A)および図4(B)は、本実施形態の圧電素子50の製造工程を模式的に示す断面図である。
本実施形態に係る圧電素子の製造方法は、基板上に、第1電極10を形成する工程と、第1電極10の上に圧電材料膜を形成する工程と、圧電材料膜をドライエッチングによりパターニングし、圧電体層20を形成する工程と、圧電体層20の上に第2電極30を形成する工程と、少なくとも圧電体層20の側面22を覆う保護膜40を形成する工程と、を有する。
まず、図3(A)に示すように、基板1の上に第1電極10を形成する。形成方法は特に限定されず、公知の成膜方法を用いることができる。例えば、CVD法やPVD法などの蒸着法、めっき法、スパッタ法、MOD法、スピンコート法などにより導電膜を形成し、該導電膜を公知のパターニング方法によって、所望の形状を有した第1電極10を形成することができる。パターニング方法としては、公知のフォトリソグラフィー技術および/またはエッチング技術によって行われることができる。エッチング技術を用いる場合、ウェットエッチングまたはドライエッチングを用いることができる。また、図示はされないが、パターニングする工程を、圧電体層20をパターニングする際に同時に行ってもよい。
ここで、図示はされないが、第1電極10の上や、基板1の上に、窒化チタン膜などの酸化防止膜や、チタン膜、ランタンニッケル酸化物膜などの圧電体層の配向を制御する配向制御膜を形成してもよい。また、第1電極10と基板1との間にチタンやクロム等などの密着層を含んでいてもよい。
次に、図3(B)に示すように、第1電極10の上に圧電材料膜20aを形成する。形成方法は特に限定されず、公知の成膜方法を用いることができる。例えば、ゾルゲル法などによって圧電材料膜20aを形成することができる。また、スピンコート法、CVD法、MOD法、スパッタ法、レーザーアブレーション法などにより形成されてもよい。
ここで、圧電材料膜20aは、圧電材料の結晶化を目的として熱処理される。これによって結晶化した圧電体からなる圧電体膜20bを形成することができる。熱処理の条件は、圧電材料膜20aを結晶化できる温度であれば、特に限定されない。熱処理は、例えば、酸素雰囲気中において、500度以上、800度以下で行われることができる。
次に、圧電体膜20bを所望の形状にパターニングして、圧電体層20を形成する。また、図示はされないが、パターニングする工程を、第2電極30をパターニングする際に同時に行ってもよい。圧電体膜20bのパターニングは、公知のドライエッチング技術によって行われる。公知のドライエッチング技術として、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)のような高密度プラズマ装置を用いたドライエッチングを行ってもよい。該高密度プラズマ装置(ドライエッチング装置)において、1.0Pa以下の圧力に設定すると良好にエッチングを行うことができる。ここで、図3(C)に示すように、エッチング用のレジスト70を適宜形成することができる。また、エッチング工程が終了した後、レジスト70は適宜除去することができる。
ドライエッチングに用いるエッチングガスには、BClを含む塩素系ガスを主成分とする混合ガスを用いることができる。また、混合ガスは、BClを含む塩素系ガスのほかに、Cを含むフッ素系ガス、およびアルゴンガスを含むことができる。また、混合ガスにおけるBClのCに対する混合比は、1から4の範囲内であることができる。
本実施形態に係る圧電素子の製造方法においては、上記の混合ガスを用いてドライエッチングを行い、圧電体層20を形成することによって、圧電体層20の側面22に複数の溝23を形成することができる。なお、詳細は後述される。
次に、図4(A)に示すように、圧電体層20の上面21に第2電極30を形成する。第2電極30を形成する方法は特に限定されず、図示しない第2導電膜を公知の成膜技術を用いて成膜して、パターニングすることによって、第2電極30を形成する。第2導電膜の形成方法は公知の成膜方法を用いることができる。
次に、図4(B)に示すように、少なくとも圧電体層20の側面22を覆うように保護膜40を形成する。保護膜40を形成する方法は、特に限定されない。例えば、保護膜40を公知の絶縁性樹脂材料を用いて形成する場合、例えば、スピンコート法を用いて樹脂材料膜(図示せず)を形成し、所望の形状にパターニングすることで、保護膜40を形成することができる。また、例えば、保護膜40を公知の絶縁性無機材料を用いて形成する場合、例えば、スパッタ法を用いて酸化金属膜など(図示せず)を形成し、所望の形状にパターニングすることで、保護膜40を形成することができる。パターニングは、公知のフォトリソグラフィー技術及びエッチング技術によって行われることができる。例えば、図示されないレジストを形成し、所望の形状を有する保護膜40を形成してもよい。
以上の工程により、圧電素子50を製造することができる。また、基板1が振動板である場合、以上の工程により、圧電アクチュエーター100の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る圧電素子50および圧電アクチュエーター100の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
本実施形態に係る圧電素子50および圧電アクチュエーター100の製造方法によれば、本実施形態に係る圧電素子50および圧電アクチュエーター100を提供することができる。
2.液滴噴射ヘッド
次に、本実施形態に係る圧電素子50が圧電アクチュエーター100として機能する液滴噴射ヘッド600について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る液滴噴射ヘッド600の要部を模式的に示す断面図である。図6は、本実施形態に係る液滴噴射ヘッド600の分解斜視図であり、通常使用される状態とは上下を逆に示したものである。
液滴噴射ヘッド600は、上述の圧電素子50(圧電アクチュエーター)を有することができる。以下の例では、基板1が振動板として形成され、圧電素子50が圧電アクチュエーターとして構成されている液滴噴射ヘッド600について説明する。
液滴噴射ヘッド600は、図5及び図6に示すように、ノズル孔612を有するノズル板610と、圧力室622を形成するための圧力室基板620と、圧電素子50と、を含む。
圧電素子50の数は特に限定されず、複数形成されていてよい。なお、圧電素子50が複数形成される場合は、第2電極30が共通電極となる。また、圧電素子50が複数形成される場合は、第1電極10が共通電極となる。さらに、液滴噴射ヘッド600は、図6に示すように、筐体630を有することができる。なお、図6では、圧電素子50を簡略化して図示している。
ノズル板610は、図5及び図6に示すように、ノズル孔612を有する。ノズル孔612からは、インクなどの液体等(液体のみならず、各種の機能性材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したもの、又は、メタルフレーク等を含むものなどを含む。以下同じ。)を液滴として吐出されることができる。ノズル板610には、例えば、多数のノズル孔612が一列に設けられている。ノズル板620の材質としては、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)などを挙げることができる。
圧力室基板620は、ノズル板610上(図6の例では下)に設けられている。圧力室基板620の材質としては、例えば、シリコンなどを例示することができる。圧力室基板620がノズル板610と振動板10aとの間の空間を区画することにより、図6に示すように、リザーバー(液体貯留部)624と、リザーバー624と連通する供給口626と、供給口626と連通する圧力室622と、が設けられている。この例では、リザーバー624と、供給口626と、圧力室622とを区別して説明するが、これらはいずれも液体等の流路であって、このような流路はどのように設計されても構わない。また例えば、供給口626は、図示の例では流路の一部が狭窄された形状を有しているが、設計にしたがって任意に形成することができ、必ずしも必須の構成ではない。リザーバー624、供給口626及び圧力室622は、ノズル板610と圧力室基板620と振動板10aとによって区画されている。リザーバー624は、外部(例えばインクカートリッジ)から、振動板10aに設けられた貫通孔628を通じて供給されるインクを一時貯留することができる。リザーバー624内のインクは、供給口626を介して、圧力室622に供給されることができる。圧力室622は、振動板10aの変形により容積が変化する。圧力室622はノズル孔612と連通しており、圧力室622の容積が変化することによって、ノズル孔612から液体等が吐出される。
圧電素子50は、圧力室基板620上(図6の例では下)に設けられている。圧電素子50は、圧電素子駆動回路(図示せず)に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて動作(振動、変形)することができる。振動板10aは、積層構造(圧電体層20)の動作によって変形し、圧力室622の内部圧力を適宜変化させることができる。
筐体630は、図6に示すように、ノズル板610、圧力室基板620及び圧電素子50を収納することができる。筐体630の材質としては、例えば、樹脂、金属などを挙げることができる。
液滴噴射ヘッド600は、上述した保護膜と圧電体層の側面との密着性が向上したことで、信頼性が向上した圧電素子を含んでいる。したがって、信頼性の向上した液滴噴射ヘッドを実現できる。
なお、ここでは、液滴噴射ヘッド600がインクジェット式記録ヘッドである場合について説明した。しかしながら、本発明の液滴噴射ヘッドは、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドなどとして用いられることもできる。
3.液滴噴射装置
次に、本実施形態に係る液滴噴射装置について、図面を参照しながら説明する。液滴噴射装置は、上述の液滴噴射ヘッドを有する。以下では、液滴噴射装置が上述の液滴噴射ヘッド600を有するインクジェットプリンターである場合について説明する。図7は、本実施形態に係る液滴噴射装置700を模式的に示す斜視図である。
液滴噴射装置700は、図7に示すように、ヘッドユニット730と、駆動部710と、制御部760と、を含む。さらに、液滴噴射装置700は、装置本体720と、給紙部750と、記録用紙Pを設置するトレイ721と、記録用紙Pを排出する排出口722と、装置本体720の上面に配置された操作パネル770と、を含むことができる。
ヘッドユニット730は、上述した液滴噴射ヘッド600から構成されるインクジェット式記録ヘッド(以下単に「ヘッド」ともいう)を有する。ヘッドユニット730は、さらに、ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ731と、ヘッド及びインクカートリッジ731を搭載した運搬部(キャリッジ)732と、を備える。
駆動部710は、ヘッドユニット730を往復動させることができる。駆動部710は、ヘッドユニット730の駆動源となるキャリッジモーター741と、キャリッジモーター741の回転を受けて、ヘッドユニット730を往復動させる往復動機構742と、を有する。
往復動機構742は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸744と、キャリッジガイド軸744と平行に延在するタイミングベルト743と、を備える。キャリッジガイド軸744は、キャリッジ732が自在に往復動できるようにしながら、キャリッジ732を支持している。さらに、キャリッジ732は、タイミングベルト743の一部に固定されている。キャリッジモーター741の作動により、タイミングベルト743を走行させると、キャリッジガイド軸744に導かれて、ヘッドユニット730が往復動する。この往復動の際に、ヘッドから適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
なお、本実施形態では、液滴噴射ヘッド600及び記録用紙Pがいずれも移動しながら印刷が行われる例を示しているが、本発明の液滴噴射装置は、液滴噴射ヘッド600及び記録用紙Pが互いに相対的に位置を変えて記録用紙Pに印刷される機構であってもよい。また、本実施形態では、記録用紙Pに印刷が行われる例を示しているが、本発明の液滴噴射装置によって印刷を施すことができる記録媒体としては、紙に限定されず、布、フィルム、金属など、広範な媒体を挙げることができ、適宜構成を変更することができる。
制御部760は、ヘッドユニット730、駆動部710及び給紙部750を制御することができる。
給紙部750は、記録用紙Pをトレイ721からヘッドユニット730側へ送り込むことができる。給紙部750は、その駆動源となる給紙モーター751と、給紙モーター751の作動により回転する給紙ローラー752と、を備える。給紙ローラー752は、記録用紙Pの送り経路を挟んで上下に対向する従動ローラー752a及び駆動ローラー752bを備える。駆動ローラー752bは、給紙モーター751に連結されている。制御部760によって供紙部750が駆動されると、記録用紙Pは、ヘッドユニット730の下方を通過するように送られる。
ヘッドユニット730、駆動部710、制御部760及び給紙部750は、装置本体720の内部に設けられている。
液滴噴射装置700は、上述した保護膜と圧電体層の側面との密着性が向上したことで、信頼性が向上した圧電素子を含んでいる。したがって、信頼性の向上した液滴噴射装置を実現できる。
なお、上記例示した液滴噴射装置は、1つの液滴噴射ヘッドを有し、この液滴噴射ヘッドによって、記録媒体に印刷を行うことができるものであるが、複数の液滴噴射ヘッドを有してもよい。液滴噴射装置が複数の液滴噴射ヘッドを有する場合には、複数の液滴噴射ヘッドは、それぞれ独立して上述のように動作されてもよいし、複数の液滴噴射ヘッドが互いに連結されて、1つの集合したヘッドとなっていてもよい。このような集合となったヘッドとしては、例えば、複数のヘッドのそれぞれのノズル孔が全体として均一な間隔を有するような、ライン型のヘッドを挙げることができる。
以上、本発明に係る液滴噴射装置の一例として、インクジェットプリンターとしてのインクジェット記録装置700を説明したが、本発明に係る液滴噴射装置は、工業的にも利用することができる。この場合に吐出される液体等(液状材料)としては、各種の機能性
材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したものなどを用いることができる。本発明の液滴噴射装置は、例示したプリンター等の画像記録装置以外にも、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射装置、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)、電気泳動ディスプレイ等の電極やカラーフィルターの形成に用いられる液体材料噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機材料噴射装置としても好適に用いられることができる。
4.実施例および比較例
以下、本発明に係る圧電素子の実施例および比較例を図面を参照しながら説明する。
実施例においては、本実施形態に係る圧電素子の製造方法を用いて圧電素子サンプルを作製し、その保護膜と圧電体層との密着性および信頼性を評価した。なお特性の評価を目的として作成された圧電素子は、基板上において白金(Pt)とイリジウム(Ir)を含む第1電極10を200nmの膜厚で形成し、第1電極10の上にチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)からなる圧電体層20を、1300nmの厚さで形成した後、イリジウム(Ir)からなる第2電極30を50nmの膜厚で形成した。そして、圧電体層20の側面22を覆うように、酸化アルミニウムからなる保護膜40を100nmの膜厚で形成した。分極処理は、シリコンオイルの中で、5kVmm−1の電界を3分間程度印加して行った。
比較例においては、本実施例と同様の圧電素子サンプルを、BClを含む塩素系ガスを主成分とする混合ガスの代わりに、塩素ガス(Cl)とアルゴンガス(Ar)からなる混合ガス(混合比が、Cl:Ar=5:3)を用いてドライエッチングを行うことで作成した。
保護膜と圧電体層との密着性の評価については、実施例に係る圧電素子サンプルおよび比較例に係る圧電素子サンプルに対し、低電圧(20V)から高電圧(80V)の電圧を段階的に印加する耐電圧性実験を行い、各電圧値におけるサンプルの焼損率を求める実験を行った。なお、実施例および比較例における圧電素子サンプルは、それぞれ基板上に360セグメントの圧電素子を有する圧電素子サンプルを準備した。
4−1.圧電体層の側面の表面状態(SEM画像)
図8(A)は、実施例に係るSEM画像であって、本実施例に係る圧電素子サンプルの圧電体層の側面の表面状態を示すSEM画像である。図8(B)は、比較例に係るSEM画像であって、本比較例に係る圧電素子サンプルの圧電体層の側面の表面状態を示すSEM画像である。
図8(A)に示すように、実施例に係る圧電素子サンプルの圧電体層の側面には、第2電極から第1電極の方向に延びる複数の溝が形成されることが確認された。これに対し、図8(B)に示すように、比較例に係る圧電素子サンプルでは、本実施例に確認できたような溝は確認されず、実質的に平坦は面から構成されていることが確認された。
これによれば、本実施形態に係る圧電素子の製造方法によれば、効率的に圧電体層の側面に複数の溝を形成することができることが確認された。
4−2.耐電圧性実験
図9は、実施例および比較例に係る圧電素子サンプルに対する耐電圧性実験の結果をプロットした図である。横軸は、印加された電圧値(V)を示し、縦軸は、各電圧値におけるサンプルの焼損率を示す。ここでの焼損率とは、保護膜と圧電体層の側面との間にクラックまたは剥離等が発生することで電流がリークし、短絡等によって焼損したサンプルの割合を意味する。つまりは、焼損率が多いほど、保護膜と圧電体層の側面との間に剥離やクラックが発生しやすいことを意味する。
電圧の印加は、20Vから80Vまで段階的に(5V毎に)電圧を上げていくように設定され、各電圧における実施例と比較例に係る焼損率を確認した。
図9に示すように、比較例に係るサンプルにおいては、電圧値35Vの段階で、焼損するセグメントが確認できたのに対して、実施例に係るサンプルにおいては、電圧値50Vの段階まで、焼損するセグメントは確認されなかった。電圧値50Vの段階では、比較例に係るサンプルのおよそ90%に渡るセグメントが焼損していることから、実施例に係るサンプルでは、保護膜と圧電体層の側面との密着性が向上したことによる構造的な耐電圧性の向上が、顕著に確認することができた。
これによれば、本実施形態に係る圧電素子によれば、保護膜と圧電体層の側面との密着性が向上したことにより、保護膜と圧電体層の側面との間に剥離やクラックが発生しにくい構造となっているため、耐電圧性が向上し、高い信頼性を有することが確認できた。
以上のように、本発明に係る圧電素子および圧電素子の製造方法によれば、保護膜と圧電体層との密着性が向上した圧電素子を提供することができる。
なお、上述した実施形態及び各種の変形は、それぞれ一例であって、本発明は、これらに限定されるわけではない。例えば実施形態及び各変形は、複数を適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1 基板(振動板)、10 第1電極、20 圧電体層、20a 圧電材料膜、
20b 圧電体膜、21 上面、22 側面、23 溝、
25 駆動領域、30 第2電極、40 保護膜、50 圧電素子、70 レジスト、
100 圧電アクチュエーター、110 第1の方向、120 第2の方向、
600 液滴噴射ヘッド、610 ノズル板、612 ノズル孔、
620 圧力室基板、622 圧力室、624 リザーバー、626 供給口、
628 貫通孔、630 筐体、700 液滴噴射装置、710 駆動部、
720 装置本体、721 トレイ、722 排出口、730 ヘッドユニット、
731 インクカートリッジ、732 キャリッジ、741 キャリッジモーター、
742 往復動機構、743 タイミングベルト、744 キャリッジガイド軸、
750 給紙部、751 給紙モーター、752 給紙ローラー、
752a 従動ローラー、752b 駆動ローラー、760 制御部、
770 操作パネル

Claims (9)

  1. 基板の上に形成された第1電極と、
    前記第1電極の上に形成された圧電体層と、
    前記圧電体層の上に形成された第2電極と、
    少なくとも前記圧電体層の側面を覆う保護膜と、
    を含み、
    前記圧電体層の前記側面は、前記第2電極から前記第1電極に向かう方向に沿って延びる複数の溝を有する、圧電素子。
  2. 請求項1において、
    前記側面に対する前記溝の深さは、20nm以上、200nm以下である、圧電素子。
  3. 請求項1または2において、
    前記保護膜の材質は、絶縁性樹脂材料および/または絶縁性無機材料である、圧電素子。
  4. 請求項1から3のいずれかに1項に記載の圧電素子を含む、圧電アクチュエーター。
  5. 請求項4に記載の圧電アクチュエーターを含む、液滴噴射ヘッド。
  6. 請求項5に記載の液滴噴射ヘッドを含む、液滴噴射装置。
  7. 基板上に、第1電極を形成する工程と、
    前記第1電極の上に圧電材料膜を形成する工程と、
    前記圧電材料膜をドライエッチングによりパターニングし、圧電体層を形成する工程と、
    前記圧電体層の上に第2電極を形成する工程と、
    少なくとも前記圧電体層の側面を覆う保護膜を形成する工程と、
    を有し、
    前記ドライエッチングにおけるエッチングガスは、BClを含む塩素系ガスを主成分とする混合ガスである、圧電素子の製造方法。
  8. 請求項7において、
    前記混合ガスは、少なくともBCl、Cを含み、前記混合ガスにおけるBClのCに対する混合比は、1から4の範囲内である、圧電素子の製造方法。
  9. 請求項7または8において、
    前記ドライエッチングは、1.0Pa以下の圧力下で行われる、圧電素子の製造方法。
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