JP5704309B2 - 圧電素子、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置 - Google Patents

圧電素子、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5704309B2
JP5704309B2 JP2010239318A JP2010239318A JP5704309B2 JP 5704309 B2 JP5704309 B2 JP 5704309B2 JP 2010239318 A JP2010239318 A JP 2010239318A JP 2010239318 A JP2010239318 A JP 2010239318A JP 5704309 B2 JP5704309 B2 JP 5704309B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
piezoelectric
piezoelectric element
droplet ejecting
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010239318A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012094613A (ja
Inventor
英樹 羽廣
英樹 羽廣
雅夫 中山
雅夫 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2010239318A priority Critical patent/JP5704309B2/ja
Publication of JP2012094613A publication Critical patent/JP2012094613A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5704309B2 publication Critical patent/JP5704309B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

本発明は、圧電素子、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置ならびに圧電素子の製造方法に関する。
圧電素子の厚みを薄くし高速駆動を可能にするため、薄膜技術を用いて製造できる圧電アクチュエーターやインクジェット式記録ヘッドが知られている。例えば、特許文献1には、薄膜技術を用いて製造できるインクジェット式記録ヘッドが記載されている。
特許文献1に記載のインクジェット式記録ヘッドでは、圧電素子の圧電体層の側面を介した上部電極と下部電極との間でのリークパスが発生する可能性がある。
したがって、圧電体層の側面において、リークパスが発生しにくい圧電素子が期待されている。
特開平10−226071号公報
本発明のいくつかの態様によれば、圧電体層の側面において、リークパスが発生しにくい圧電素子と、その製造方法、ならびに、この圧電素子を含む、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置を提供することができる。
(1)本発明の態様の1つである圧電素子は、
第1電極と、
前記第1電極の上に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上に形成された第2電極と、
を含み、
前記圧電体層の側面は、前記第1電極から前記第2電極に向かう方向に沿って延びる第1の溝が複数形成された第1の波状面と、前記第1の波状面よりも前記第2電極側に設けられ、前記第1電極から前記第2電極に向かう方向に沿って延びる第2の溝が複数形成された第2の波状面と、前記第1の波状面と前記第2の波状面との境界領域と、
を有し、
前記第1の溝の第1の間隔は、前記第2の溝の第2の間隔と異なる。
本発明において、「上」という文言を、例えば、「特定のもの(以下「A」という)の「上」に他の特定のもの(以下「B」という)を形成する」などと用いている。本発明において、この例のような場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上」という文言を用いている。同様に、「下」という文言は、A下に直接Bを形成するような場合と、A下に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとする。
本発明によれば、第1の溝の第1の間隔は、第2の溝の第2の間隔と異なる。これによれば、第1の波状面において複数の第1の溝が形成する山部と谷部の配置と、第2の波状面において複数の第2の溝が形成する山部と谷部の配置とが、境界領域において相対的に一致しにくくなる。したがって、第1電極と第2電極の間の圧電体層の側面において、連続したリークパスが形成されにくい圧電素子を提供することができる。
(2)本発明の態様の1つである圧電素子において、
前記第1および第2の間隔は、20nm以上、500nm以下の範囲であってもよい。
(3)本発明の態様の1つである圧電素子において、
前記第1の波状面の前記基板に対する第1のテーパー角度は、前記第2の波状面の前記基板に対する第2のテーパー角度よりも小さくてもよい。
(4)本発明の態様の1つである圧電素子において、
少なくとも前記圧電体層の前記側面を覆う被覆膜を含んでいてもよい。
(5)本発明の態様の1つである液滴噴射ヘッドは、
上記いずれかの圧電素子を含む。
本発明によれば、本発明の態様の1つである圧電素子を有する液滴噴射ヘッドを提供することができる。
(6)本発明の態様の1つである液滴噴射装置は、
上記の液滴噴射ヘッドを含む。
本発明によれば、本発明の態様の1つである液滴噴射ヘッドを有する液滴噴射装置を提供することができる。
(7)本発明の態様の1つである圧電素子の製造方法は、
第1電極を形成する工程と、
前記第1電極の上に圧電体層を形成する工程と、
前記圧電体層の上に第2電極を形成する工程と、
を含み、
前記圧電体層および前記第2電極を形成する工程は、
前記第1電極の上に圧電体膜を形成し、前記圧電体膜の上に導電膜を形成し、前記導電膜の上にレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層をマスクとして、前記導電膜および前記圧電体膜をドライエッチングしてパターニングする工程と、
を有し、
前記パターニング工程において、前記導電膜をパターニングして前記第2電極を形成する第1のエッチングガスは、アルゴンと塩素とを含み、かつ塩素を主成分とした混合ガスであり、前記圧電体膜をパターニングして前記圧電体層を形成する第2のエッチングガスは、フッ素系ガスと塩素系ガスとアルゴンとを含む混合ガスである。
本発明によれば、本発明の態様の1つである圧電素子の製造方法を提供することができる。
(8)本発明の態様の1つである圧電素子の製造方法において、
前記ドライエッチングは、1.0Pa以下の圧力下で行われてもよい。
図1(A)は、本実施形態の圧電素子を模式的に示す平面図、図1(B)は、図1(A)に示すIB−IB線における圧電素子の断面図。 図2(A)は、本実施形態の圧電素子の圧電体層の側面の一部を模式的に示す平面図、図2(B)は、図2(A)に示すIIB−IIB線における圧電体層の表面を模式的に示す断面図、図2(C)は、図2(A)に示すIIC−IIC線における圧電体層の表面を模式的に示す断面図。 図3(A)および図3(B)は、本実施形態の圧電素子の変形例を模式的に示す断面図。 図4(A)〜図4(D)は、本実施形態の圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 図5(A)〜図5(C)は、本実施形態の圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの要部を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの分解斜視図。 本実施形態に係る液滴噴射装置を模式的に示す斜視図。 実施例に係る圧電素子の圧電体層の側面の表面状態を示すSEM画像。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.圧電素子
1−1.圧電素子の構造
図1(A)は、本実施形態の圧電素子を模式的に示す平面図、図1(B)は、図1(A)に示すIB−IB線における圧電素子の断面図である。図2(A)は、本実施形態の圧電素子の圧電体層の側面の一部を模式的に示す平面図、図2(B)は、図2(A)に示すIIB−IIB線における圧電体層の表面を模式的に示す断面図、図2(C)は、図2(A)に示すIIC−IIC線における圧電体層の表面を模式的に示す断面図である。図3(A)および図3(B)は、本実施形態の圧電素子の変形例を模式的に示す断面図である。
本実施形態に係る圧電素子100は、図1(A)および図1(B)に示すように、基板10の上に形成された第1電極20と、第1電極20の上に形成された圧電体層30と、圧電体層30の上に形成された第2電極40と、を含む。
図1(A)に示すように、圧電素子100は、基板10の上に形成される。図1(A)に示すように、圧電素子100は、一方向に延びるように形成されている。ここでは、平面視方向において、矩形形状となるように形成しているが、矩形形状には限定せずに、平面視方向において、円形状や正方形形状のように形成してもよい。ここで、圧電素子100が延びる方向を第1の方向110とする。また、図1に示すように、第1の方向と基板10の面方向において交差する方向を第2の方向120とする。例えば第1の方向110と第2の方向120とは、実質的に直交関係にあってもよい。
基板10は、例えば、導電体、半導体、絶縁体で形成された平板状の部材とすることができる。基板10は、圧電素子100が動作したときに機械的な出力を行う部材であれば、構造や構成などは、特に限定されない。基板10は、振動板であってもよい。基板10は、単層であっても、複数の層が積層された構造であってもよい。また、基板10は、上面が平面的な形状であれば内部の構造は限定されず、例えば、内部に空間等が形成された構造であってもよい。基板10は、後述される圧力室などの壁の一部を構成していてもよい。基板10の厚みは、用いる材質の弾性率などにしたがって最適に選ばれる。基板10の厚みは、例えば、200nm以上2000nm以下とすることができる。基板10の厚みが200nmよりも薄いと、振動等の機械的出力を取り出しにくくなることがあり、2000nmよりも厚いと、振動等が生じなくなる場合がある。基板10は、圧電体層30の動作により、たわんだり振動したりすることができる。
基板10の材質には、剛性および機械的強度の高い材料、および第1電極20や圧電体層30との密着性の高い材料を含むことが望ましい。基板10の材質としては、例えば、酸化ジルコニウム、窒化シリコン、酸化シリコンなどの無機酸化物、ステンレス鋼などの合金を用いることができる。基板10は、弾性層や密着層などを含む積層体であってもよい。基板10は、例えば、図1(B)に示すように、酸化シリコンの第1の層11の上に酸化ジルコニウムの第2の層12が形成されていてもよい。ここで、また、図示はされないが、第2の層12の上に、チタンやクロム等などの密着性を高める第3の層を含んでいてもよい。
第1電極20は、図1(A)および図1(B)に示すように、基板10の上に形成される。第1電極20の形成される領域は、後述される圧電体層30および第2電極40と基板10の上でオーバーラップすることができる限り特に限定されない。例えば、第1電極20は、図1(A)および図1(B)に示すように、第2の方向120において、一部が圧電体層30に覆われないように延びていてもよい。第1電極20は、第2電極40と対になり、圧電体層30を挟む一方の電極として機能する。第1電極20は、例えば、圧電素子100の下部電極であってもよい。図示はされないが、第1電極20は、駆動回路と電気的に接続しているリード配線と電気的に接続されている。第1電極20とリード配線との電気的接続方法は、特に限定されない。
第1電極20の材質は、導電性を有する物質である限り特に限定されない。第1電極20の材質として、例えば、Ni、Ir、Au、Pt、W、Ti、Ta、Mo、Crなどの各種の金属およびこれらの金属の合金、それらの導電性酸化物(例えば酸化イリジウムなど)、SrとRuの複合酸化物、LaとNiの複合酸化物などを用いることができる。また、第1電極20は、例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
圧電体層30は、図1(A)および図1(B)に示されるように、第1電極20と第2電極40との間に配置されている。図1(A)に示すように、圧電体層30は、第1電極20および基板10の上に形成される。図1(A)に示すように、圧電体層30は、第1の方向110に延びるように形成されていてもよい。図1(B)に示すように、圧電体層30は、後述される第2電極40が形成される上面31(第1電極20側の面とは反対側の面)と、テーパー状の側面(32、33)と、を有する。側面(32、33)は、圧電体層30の基板10側に面する面となる第1電極20の側の面と、上面31と、を連続させる面である。
圧電体層30の材質としては、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物が好適に用いられる。このような材質の具体的な例としては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)、ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti,Nb)O)、チタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸カリウムナトリウム((K,Na)NbO)などが挙げられる。
図1(A)および図1(B)に示すように、圧電体層30の側面(32、33)は、第1電極20側の第1の波状面32と、後述される第2電極40側の第2の波状面33と、第1の波状面32と第2の波状面33との境界領域34と、を有する。第1の波状面32には、第1電極20から境界領域34に向かう方向(テーパー面の上下方向)に沿って延びる第1の溝35が複数形成され、第2の波状面33には、第2電極40から境界領域34に向かう方向(テーパー面の上下方向)に沿って延びる第2の溝36が複数形成される。本実施形態において、第1電極20から境界領域34に向かう方向および第2電極40から境界領域34に向かう方向とは、テーパー状の斜面(基板10に対して垂直ではない面)である側面上において、第1電極20もしくは第2電極40から境界領域34へ向かう実質的な直線方向であってよい。例えば、第1電極20もしくは第2電極40から境界領域34へ向かう方向は、第1電極20もしくは第2電極40から境界領域34へ向かう垂線方向であってもよい。
ここで、図1(A)および図2(A)などにおいて、境界領域34は、便宜上、直線状で示されるが、第1の波状面32と第2の波状面33とを区別する領域である限り特に限定されず、実質的には、曲線状であってもよい。また、境界領域34は一定の領域幅を有することができ、第1の溝35と第2の溝36とが混在する遷移的領域であってもよい。
また、本実施形態において、第1の溝35と第2の溝36は、側面の上面よりも、実質的に圧電体層30の内側方向に凹んだ部分を意味する。また、第1の溝35と第2の溝36とは、一の方向に連続して延びるように形成される。つまりは、本実施形態における第1の溝35と第2の溝36は、凹部であっても形成される領域に方向性を有さない窪みとは区別される。
なお、以下の本実施形態においては、圧電素子100の態様の一つとして、第1の波状面32が第2の波状面33と比べて粗な波状面である場合について説明するが、本実施形態はこれに限定されず、第1の波状面32が第2の波状面33と比べて密な波状面であってもよい。
図2(A)は、第1の波状面32と第2の波状面33とを模式的に示す平面図であって、図2(B)は、第1の波状面32の断面図、図2(C)は、第2の波状面33の断面図を示す。図2(A)〜図2(C)において、符号37は、波状面の山部(頂点部分)を示し、符号38は、波状面の谷部(隣り合う頂点部分の間における最深部分)を示す。図2(A)においては、模式的に、山部37を実線で示し、谷部38を破線で示す。図2(A)〜図2(C)に示すように、複数の第1の溝35が隣り合うように形成されることによって、第1の波状面32に、山部37と谷部38が交互に形成された波状面が形成される。第2の波状面33においても、図2(A)〜図2(C)に示すように、複数の第2の溝36が隣り合うように形成されることによって、山部37と谷部38が交互に形成された波状面が形成される。第1の溝35および第2の溝36の形状は、複数の山部37と谷部38を交互に形成することができる限り、特に限定されず、図2(B)および図2(C)に示すように、溝の内面が曲面から形成される溝であってもよいし、図示はされないが、溝の内面に角部を有していてもよい。
図2(B)に示すように、第1の溝35は、第1の幅Wを有する。第1の幅Wは、第1の溝35が延びる方向に直交する方向における溝の幅であって、隣り合う山部37間の距離である。また、図2(B)に示すように、複数の第1の溝35は、第1の間隔Dでもって、隣り合うように形成されている。第1の間隔Dは、隣り合う谷部38間の距離である。ここで、第1の幅Wと第1の間隔Dは実質的に同じであってもよい。
図2(A)および図2(B)においては、第1の溝35は、周期的に等しい間隔(第1の間隔D)で配置されているように記載されている。しかしながら、図2(A)および図2(B)は第1の波状面32を説明する目的において、模式的に記載されたものである。実質的には、複数の第1の溝35の幅(W)と、隣り合う間隔(D)は、一定の範囲内においてばらつきを有することができる。具体的には、複数の第1の間隔D(第1の幅W)は、100nm以上、500nm以下の範囲内であってもよい。また、例えば、複数の第1の間隔Dの平均値が100nm以上、500nm以下の範囲内であってもよい。
図2(C)に示すように、第2の溝36は、第2の幅Wを有する。第2の幅Wは、第2の溝36が延びる方向に直交する方向における溝の幅であって、隣り合う山部37間の距離である。また、図2(B)に示すように、複数の第2の溝36は、第2の間隔Dでもって、隣り合うように形成されている。第2の間隔Dは、隣り合う谷部38間の距離である。ここで、第2の幅Wと第2の間隔Dは実質的に同じであってもよい。
なお、第1の溝35と同様に、図2(A)および図2(C)においては、第2の溝36は、周期的に等しい間隔(第2の間隔D)で配置されているように記載されている。しかしながら、図2(A)および図2(C)は第2の波状面33を説明する目的において、模式的に記載されたものである。実質的には、複数の第2の溝36の幅(W)と、隣り合う間隔(D)は、一定の範囲内においてばらつきを有することができる。具体的には、複数の第2の間隔D(第2の幅W)は、20nm以上、100nm以下の範囲内であってもよい。また、例えば、複数の第2の間隔Dの平均値が20nm以上、100nm以下の範囲内であってもよい。
図2(A)に示すように、第1の溝35の第1の間隔Dは、第2の溝36の第2の間隔Dとは異なる。例えば、第1の波状面32が第2の波状面33よりも粗な波状面である場合、図2(A)に示すように、第1の間隔Dは、第2の溝36の第2の間隔Dよりも大きくてもよい。これによれば、図2(A)に示すように、第1の波状面32において複数の第1の溝35が形成する山部37と谷部38の配置と、第2の波状面33において複数の第2の溝36が形成する山部37と谷部38の配置とが、境界領域34において相対的に一致しにくくなる。したがって、第1電極20と第2電極40の間の圧電体層30の側面(32、33)において、連続したリークパスが形成されにくくなる。
図1(B)に示すように、第1および第2の波状面32、33は、テーパー状の側面であって、第2の方向120に沿って圧電素子100を断面視した際に、それぞれの基板10に対するテーパー角度が異なっていてもよい。例えば、第1の波状面32の基板10に対する第1のテーパー角度αは、第2の波状面33の基板10に対する第2のテーパー角度βよりも小さくてもよい。これによれば、第1のテーパー角度αと第2のテーパー角度βが同じ角度で、第1および第2の波状面32、33が平面的に連続している場合(図3(A)参照)と比較して、圧電体層30の基板10側の面の基板10との接触面積を大きくすることができる。これによれば、第2電極40の面積を変更することなく、基板10や第1電極20と圧電体層30との間の接続信頼性を高めることができ、圧電体層30の剥離の可能性が低減され、圧電素子100の信頼性を高めることができる。
第2電極40は、図1(A)および図1(B)に示すように、圧電体層30の上面31の上において、第1電極20に対向して配置される。第2電極40の形成される領域は、図1(B)に示すように、圧電体層30の上で、第1電極20の少なくとも一部とオーバーラップし、圧電体層30に駆動領域(第1電極20と第2電極40との間に挟まれた圧電体層30の領域で、実質的に変形する領域)を形成する限り、特に限定されない。したがって、第2電極40の詳細な形状は、駆動領域を決定する際の設計事項であり、所望の駆動領域に応じて適宜決定されることができる。第2電極40は、第1電極20と対になり、圧電体層30を挟む一方の電極として機能する。第1電極20が下部電極である場合は、第2電極40は上部電極であってもよい。第2電極40は、図示しない駆動回路と電気的に接続されている。第2電極40と駆動回路との電気的接続方法は、特に限定されない。第2電極40と駆動回路とは、例えば、図1(A)に示すように、リード配線60を介して電気的に接続されていてもよい。
第2電極40の材質は、導電性を有する物質である限り特に限定されない。第2電極40の材質として、例えば、Ni、Ir、Au、Pt、W、Ti、Ta、Mo、Crなどの各種の金属およびこれらの金属の合金、それらの導電性酸化物(例えば酸化イリジウムなど)、SrとRuの複合酸化物、LaとNiの複合酸化物などを用いることができる。また、第2電極40は、例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
以上により、本実施形態に係る圧電素子100を構成することができる。なお、本実施形態に係る圧電素子100を、基板10を、所望の弾性を有する振動板として構成することにより、電気信号により圧電体層30を変形させ、基板10を介して加圧することができる圧電アクチュエーターの用途として用いてもよい。また、本実施形態に係る圧電素子100を、例えば、圧電体層30の変形を電気信号として検出する圧電センサー等その他の用途として用いてもよい。
本実施形態に係る圧電素子100は、例えば、以下の特徴を有する。本実施形態に係る圧電素子によれば、第1の溝35の第1の間隔Dは、第2の溝36の第2の間隔Dとは異なる。例えば、第1の間隔Dは、第2の溝36の第2の間隔Dよりも大きくてもよい。これによれば、第1の波状面32において複数の第1の溝35が形成する山部37と谷部38の配置と、第2の波状面33において複数の第2の溝36が形成する山部37と谷部38の配置とが、境界領域34において相対的に一致しにくくなる。したがって、第1電極20と第2電極40の間の圧電体層30の側面(32、33)において、連続したリークパスが形成されにくくなる圧電素子100を提供することができる。
次に、図3(A)および図3(B)を参照して、本実施形態に係る圧電素子100の変形例を説明する。
まず、図3(A)に示すように、圧電体層30の側面(32、33)は、平面的に連続する側面であってもよい。つまりは、第1の波状面32の基板10に対する第1のテーパー角度αと、第2の波状面33の基板10に対する第2のテーパー角度βは、同じ角度であってもよい。
次に、図3(B)に示すように、被覆膜50が、少なくとも圧電体層30の側面(32、33)を覆うように形成されてもよい。被覆膜50の形状は、少なくとも圧電体層30の側面(32、33)を覆う限り、特に限定されない。図3(B)に示すように、被覆膜50は、圧電体層30の駆動領域の上方において、第2電極40の少なくとも一部を露出させるように開口した開口部51を有していてもよい。図3(B)に示すように、被覆膜50は、第1電極20の一部、圧電体層30の側面(32、33)および第2電極40の一部を連続して覆っていてもよい。また、図示はされないが、被覆膜50は、第2電極40と、リード配線60との電気的接続部分を連続して覆っていてもよい。被覆膜50の材質は、絶縁性を有する限り、特に限定されない。例えば、被覆膜50は、公知の絶縁性樹脂材料または絶縁性無機材料を用いて形成することができる。公知の絶縁性無機材料としては、酸化アルミニウムまたは酸化シリコンであってもよい。公知の絶縁性樹脂材料としては、例えば、公知の感光性樹脂材料を用いてもよいし、非感光性樹脂材料を用いてもよい。絶縁性樹脂材料が、感光性樹脂材料である場合、公知の不飽和結合含有重合性化合物、光重合開始剤等も含んでいてもよい。具体的には、絶縁性樹脂材料は、フォトレジストであってもよいし、ポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリビニルアルコール誘導体等の樹脂組成物であってもよい。
本変形例によれば、圧電体層30の側面(32、33)が被覆膜50によって覆われるため、圧電体層30を被覆することができ、環境に起因する圧電素子100の劣化を防ぐなど信頼性をより高めることができる。また、本変形例においては、側面(32、33)に複数の第1および第2の溝35、36が隣り合うように連続して形成されることで、側面(32、33)は、波状の面であることができる。これによれば、被覆膜50と側面(32、33)との密着性を向上させることができる。
1−2.圧電素子の製造方法
次に、本実施形態に係る圧電素子100の製造方法について説明する。図4(A)〜図5(C)は、本実施形態の圧電素子100の製造工程を模式的に示す断面図である。
本実施形態に係る圧電素子の製造方法は、基板10上に、第1電極20を形成する工程と、第1電極20の上に圧電体層30を形成する工程と、圧電体層30の上に第2電極40を形成する工程と、を含み、圧電体層30および第2電極40を形成する工程は、第1電極20の上に圧電体膜30aを形成し、圧電体膜30aの上に導電膜40aを形成し、導電膜40aの上にレジスト層70を形成する工程と、レジスト層70をマスクとして、導電膜40aおよび圧電体膜30aをドライエッチングしてパターニングする工程と、を有する。
まず、図4(A)に示すように、基板10の上に第1電極20を形成する。形成方法は特に限定されず、公知の成膜方法を用いることができる。例えば、CVD法やPVD法などの蒸着法、めっき法、スパッタ法、MOD法、スピンコート法などにより導電膜を形成し、該導電膜を公知のパターニング方法によってパターニングすることにより、所望の形状を有した第1電極20を形成することができる。パターニング方法としては、公知のフォトリソグラフィー技術および/またはエッチング技術によって行われることができる。エッチング技術を用いる場合、ウェットエッチングまたはドライエッチングを用いることができる。
ここで、図示はされないが、第1電極20の上や、基板10の上に、窒化チタン膜などの酸化防止膜や、チタン膜、ランタンニッケル酸化物膜などの圧電体層の配向を制御する配向制御膜を形成してもよい。また、第1電極20と基板10との間にチタンやクロム等などの密着層を形成してもよい。
次に、図4(B)に示すように、第1電極20の上に圧電体膜30aを形成する。圧電体層30aは、圧電材料を成膜して、熱処理することで形成される。成膜方法は特に限定されず、公知の成膜方法を用いることができる。熱処理の条件は、圧電材料を結晶化し圧電体膜30aを形成できる温度であれば、特に限定されない。熱処理は、例えば、酸素雰囲気中において、500度以上、800度以下で行われることができる。例えば、ゾルゲル法などによって形成された圧電材料を成膜して、熱処理することで圧電体膜30aを形成することができる。また、圧電体膜30aは、スピンコート法、CVD法、MOD法、スパッタ法、レーザーアブレーション法などにより形成されてもよい。
次に、図4(C)に示すように、圧電体膜30aの上に、パターニングされて第2電極40となる導電膜40aを形成する。導電膜40aの形成方法は特に限定されず、公知の成膜方法を用いることができる。例えば、CVD法やPVD法などの蒸着法、めっき法、スパッタ法、MOD法、スピンコート法などにより導電膜40aを形成することができる。
次に、図4(D)に示すように、導電膜40aの上にレジスト層70を形成する。レジスト層70の材料は特に限定されず、ドライエッチングに用いられる公知のレジスト材料を用いることができる。図4(D)に示すように、レジスト層70は所望の厚みを有し、側面71を備える。
次に、図5(A)および図5(B)に示すように、レジスト層70をマスクとして、導電膜40aおよび圧電体膜30aをドライエッチングしてパターニングする。ここで、導電膜40aおよび圧電体膜30aのパターニング工程において、導電膜40aをパターニングして第2電極40を形成する第1のエッチングガスは、塩素ガスとアルゴンガスとを含み、かつ塩素ガスを主成分とした混合ガスであり、圧電体膜30aをパターニングして圧電体層30を形成する第2のエッチングガスは、塩素系ガスとフッ素系ガスとアルゴンガスとを含む混合ガスである。以下に詳細を説明する。
導電膜40aのパターニング工程は、公知のドライエッチング技術によって行われる。公知のドライエッチング技術として、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)のような高密度プラズマ装置を用いたドライエッチングを行ってもよい。該高密度プラズマ装置(ドライエッチング装置)において、1.0Pa以下の圧力に設定すると良好にエッチングを行うことができる。導電膜40aのドライエッチングに用いる第1のエッチングガスは、塩素ガス(Cl)とアルゴンガス(Ar)とを含み、かつ塩素を主成分とした混合ガスを用いる。つまりは、第1のエッチングガスは、塩素の混合比が最も多い混合ガスであればよい。例えば、第1のエッチングガスにおける塩素ガス(Cl)とアルゴンガス(Ar)の混合比(Cl/Ar)は、30/20、40/10などが挙げられる。これによって、第2電極40が形成され、レジスト層70の側面71は、複数の溝が隣り合う波状面が形成される。
次に、圧電体膜30aのパターニング工程は、導電膜40aと同様に、公知のドライエッチング技術によって行われる。公知のドライエッチング技術として、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)のような高密度プラズマ装置を用いたドライエッチングを行ってもよい。該高密度プラズマ装置(ドライエッチング装置)において、1.0Pa以下の圧力に設定すると良好にエッチングを行うことができる。圧電体膜30aのドライエッチングに用いる第2のエッチングガスは、塩素系ガスを主成分とした混合ガスを用いることができる。例えば、BCl/C/Arなどが挙げられ、混合比は30/20/10などが挙げられる。ここで、圧電体膜30aのパターニング工程は、第1のエッチングガスによるドライエッチング工程を経たレジスト層70をマスクとしてパターニングが行われる。上述のように、レジスト層70の側面71は複数の溝が隣り合う波状面となっており、これによって、第1および第2の波状面32、33を有する圧電体層30が形成されることができる。
ここで、図5(B)に示すように、圧電体層30の側面には、基板10に対するそれぞれのテーパー角度が異なる第1および第2の波状面32、33が形成される。ここで、第1の波状面32、第2の波状面33、境界領域34の配置、およびそれぞれのテーパー角度などの圧電体層30の形状は、ドライエッチングの時間を調整することにより、適宜調整することができる。例えば、ドライエッチングの時間をより長くすることによって、第1のテーパー角度αと第2のテーパー角度βの角度を近づけることができる。
ここで、図5(B)に示すように、圧電体膜30aをドライエッチングによりパターニングを行う場合、圧電体膜30aが除去された部分の第1電極20の表層がドライエッチングの影響を受ける。これによれば、ドライエッチングにより第1電極20の表層が削られ、導電性の粒子が、周囲部材(例えば、圧電体層30の側面)に付着する可能性がある。しかしながら、本実施形態に係る圧電素子100によれば、前述のように、第1電極20と第2電極40の間の圧電体層30の側面(32、33)において、連続したリークパスが形成されにくい。したがって、ドライエッチングを用いた場合であっても、導電粒子の側面付着によるリーク電流の発生を抑制することができる。
次に、図5(C)に示すように、パターニング工程が終了した後、レジスト層70は除去される。以上の工程により、圧電素子100を製造することができる。
本実施形態に係る圧電素子100の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。本実施形態に係る圧電素子100の製造方法によれば、本実施形態に係る圧電素子100を提供することができる。
2.液滴噴射ヘッド
次に、本実施形態に係る圧電素子100を有する液滴噴射ヘッド600について、図面を参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係る液滴噴射ヘッド600の要部を模式的に示す断面図である。図7は、本実施形態に係る液滴噴射ヘッド600の分解斜視図であり、通常使用される状態とは上下を逆に示したものである。
液滴噴射ヘッド600は、上述の圧電素子100(圧電アクチュエーター)を有することができる。以下の例では、基板10が振動板として形成され、圧電素子100が圧電アクチュエーターとして構成されている液滴噴射ヘッド600について説明する。
液滴噴射ヘッド600は、図6および図7に示すように、ノズル孔612を有するノズル板610と、圧力室622を形成するための圧力室基板620と、圧電素子100と、を含む。
圧電素子100の数は特に限定されず、複数形成されていてよい。なお、圧電素子100が複数形成される場合は、第2電極40が共通電極となる。また、圧電素子100が複数形成される場合は、第1電極20が共通電極となる。さらに、液滴噴射ヘッド600は、図7に示すように、筐体630を有することができる。なお、図7では、圧電素子100を簡略化して図示している。
ノズル板610は、図6および図7に示すように、ノズル孔612を有する。ノズル孔612からは、インクなどの液体等(液体のみならず、各種の機能性材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したもの、又は、メタルフレーク等を含むものなどを含む。以下同じ。)を液滴として吐出されることができる。ノズル板610には、例えば、多数のノズル孔612が一列に設けられている。ノズル板620の材質としては、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)などを挙げることができる。
圧力室基板620は、ノズル板610上(図7の例では下)に設けられている。圧力室基板620の材質としては、例えば、シリコンなどを例示することができる。圧力室基板620がノズル板610と基板10との間の空間を区画することにより、図7に示すように、リザーバー(液体貯留部)624と、リザーバー624と連通する供給口626と、供給口626と連通する圧力室622と、が設けられている。この例では、リザーバー624と、供給口626と、圧力室622とを区別して説明するが、これらはいずれも液体等の流路であって、このような流路はどのように設計されても構わない。また例えば、供給口626は、図示の例では流路の一部が狭窄された形状を有しているが、設計にしたがって任意に形成することができ、必ずしも必須の構成ではない。リザーバー624、供給口626および圧力室622は、ノズル板610と圧力室基板620と基板10とによって区画されている。リザーバー624は、外部(例えばインクカートリッジ)から、基板10に設けられた貫通孔628を通じて供給されるインクを一時貯留することができる。リザーバー624内のインクは、供給口626を介して、圧力室622に供給されることができる。圧力室622は、基板10の変形により容積が変化する。圧力室622はノズル孔612と連通しており、圧力室622の容積が変化することによって、ノズル孔612から液体等が吐出される。
圧電素子100は、圧力室基板620上(図7の例では下)に設けられている。圧電素子100は、圧電素子駆動回路(図示せず)に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて動作(振動、変形)することができる。基板10は、積層構造(圧電体層30)の動作によって変形し、圧力室622の内部圧力を適宜変化させることができる。
筐体630は、図7に示すように、ノズル板610、圧力室基板620および圧電素子100を収納することができる。筐体630の材質としては、例えば、樹脂、金属などを挙げることができる。
液滴噴射ヘッド600は、圧電体層30の側面(32、33)において、連続したリークパスが形成されにくい圧電素子100を含んでいる。したがって、信頼性の向上した液滴噴射ヘッドを実現できる。
なお、ここでは、液滴噴射ヘッド600がインクジェット式記録ヘッドである場合について説明した。しかしながら、本発明の液滴噴射ヘッドは、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドなどとして用いられることもできる。
3.液滴噴射装置
次に、本実施形態に係る液滴噴射装置について、図面を参照しながら説明する。液滴噴射装置は、上述の液滴噴射ヘッドを有する。以下では、液滴噴射装置が上述の液滴噴射ヘッド600を有するインクジェットプリンターである場合について説明する。図8は、本実施形態に係る液滴噴射装置700を模式的に示す斜視図である。
液滴噴射装置700は、図8に示すように、ヘッドユニット730と、駆動部710と、制御部760と、を含む。さらに、液滴噴射装置700は、装置本体720と、給紙部750と、記録用紙Pを設置するトレイ721と、記録用紙Pを排出する排出口722と、装置本体720の上面に配置された操作パネル770と、を含むことができる。
ヘッドユニット730は、上述した液滴噴射ヘッド600から構成されるインクジェット式記録ヘッド(以下単に「ヘッド」ともいう)を有する。ヘッドユニット730は、さらに、ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ731と、ヘッドおよびインクカートリッジ731を搭載した運搬部(キャリッジ)732と、を備える。
駆動部710は、ヘッドユニット730を往復動させることができる。駆動部710は、ヘッドユニット730の駆動源となるキャリッジモーター741と、キャリッジモーター741の回転を受けて、ヘッドユニット730を往復動させる往復動機構742と、を有する。
往復動機構742は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸744と、キャリッジガイド軸744と平行に延在するタイミングベルト743と、を備える。キャリッジガイド軸744は、キャリッジ732が自在に往復動できるようにしながら、キャリッジ732を支持している。さらに、キャリッジ732は、タイミングベルト743の一部に固定されている。キャリッジモーター741の作動により、タイミングベルト743を走行させると、キャリッジガイド軸744に導かれて、ヘッドユニット730が往復動する。この往復動の際に、ヘッドから適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
なお、本実施形態では、液滴噴射ヘッド600および記録用紙Pがいずれも移動しながら印刷が行われる例を示しているが、本発明の液滴噴射装置は、液滴噴射ヘッド600および記録用紙Pが互いに相対的に位置を変えて記録用紙Pに印刷される機構であってもよい。また、本実施形態では、記録用紙Pに印刷が行われる例を示しているが、本発明の液滴噴射装置によって印刷を施すことができる記録媒体としては、紙に限定されず、布、フィルム、金属など、広範な媒体を挙げることができ、適宜構成を変更することができる。
制御部760は、ヘッドユニット730、駆動部710および給紙部750を制御することができる。
給紙部750は、記録用紙Pをトレイ721からヘッドユニット730側へ送り込むことができる。給紙部750は、その駆動源となる給紙モーター751と、給紙モーター751の作動により回転する給紙ローラー752と、を備える。給紙ローラー752は、記録用紙Pの送り経路を挟んで上下に対向する従動ローラー752aおよび駆動ローラー752bを備える。駆動ローラー752bは、給紙モーター751に連結されている。制御部760によって供紙部750が駆動されると、記録用紙Pは、ヘッドユニット730の下方を通過するように送られる。
ヘッドユニット730、駆動部710、制御部760および給紙部750は、装置本体720の内部に設けられている。
液滴噴射装置700は、圧電体層30の側面(32、33)において、連続したリークパスが形成されにくい圧電素子100を含んでいる。したがって、信頼性の向上した液滴噴射装置を実現できる。
なお、上記例示した液滴噴射装置は、1つの液滴噴射ヘッドを有し、この液滴噴射ヘッドによって、記録媒体に印刷を行うことができるものであるが、複数の液滴噴射ヘッドを有してもよい。液滴噴射装置が複数の液滴噴射ヘッドを有する場合には、複数の液滴噴射ヘッドは、それぞれ独立して上述のように動作されてもよいし、複数の液滴噴射ヘッドが互いに連結されて、1つの集合したヘッドとなっていてもよい。このような集合となったヘッドとしては、例えば、複数のヘッドのそれぞれのノズル孔が全体として均一な間隔を有するような、ライン型のヘッドを挙げることができる。
以上、本発明に係る液滴噴射装置の一例として、インクジェットプリンターとしてのインクジェット記録装置700を説明したが、本発明に係る液滴噴射装置は、工業的にも利用することができる。この場合に吐出される液体等(液状材料)としては、各種の機能性
材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したものなどを用いることができる。本発明の液滴噴射装置は、例示したプリンター等の画像記録装置以外にも、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射装置、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)、電気泳動ディスプレイ等の電極やカラーフィルターの形成に用いられる液体材料噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機材料噴射装置としても好適に用いられることができる。
4.実施例
以下、本発明に係る圧電素子の実施例を、図面を参照しながら説明する。
実施例においては、本実施形態に係る圧電素子の製造方法を用いて圧電素子サンプルを作製し、その側面(32、33)の表面状態(SEM画像)を確認した。本実施例において作成された圧電素子は、基板であるシリコン(Si)基板の上において形成されたものであって、白金(Pt)とイリジウム(Ir)を含む第1電極を200nmの膜厚で形成し、第1電極の上にチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)からなる圧電体層を、1300nmの厚さで形成した後、イリジウム(Ir)からなる第2電極を50nmの膜厚で形成した。
本実施例に係る圧電素子の製造工程において、第1のエッチングガスとしては、塩素ガス(Cl)とアルゴンガス(Ar)からなる混合ガス(混合比が、Cl:Ar=3:2)を用いた。また、第2のエッチングガスとしては、塩素系ガス(BCl)とフッ素系ガス(C)とアルゴンガス(Ar)からなる混合ガス(混合比が、BCl:C:Ar=3:2:1)を用いた。
図9は、実施例に係る圧電素子のSEM画像であって、本実施例に係る圧電素子サンプルの圧電体層の側面の表面状態を示す。ただし、図9は、圧電体層のパターニング後のSEM画像であって、レジスト層は除去されていない状態である。
図9に示すように、実施例に係る圧電素子サンプルの圧電体層の側面には、第1電極側の第1の波状面(第2の波状面と比べて粗な波状面)と、第2電極側の第2の波状面(第1の波状面と比べて密な波状面)と、それらの境界領域が確認された。図9に示すように、第1の波状面には、第1電極側から境界領域の方向に延びる複数の第1の溝が形成されることが確認された。また、図9に示すように、第1の波状面には、第2電極側から境界領域の方向に延びる複数の第2の溝が形成されることが確認された。また、図9に示すように、第1の溝が形成される第1の間隔は、第2の溝が形成される第2の間隔と、異なることが確認された。また、図9に示すように、第1の波状面の基板に対する第1のテーパー角度と、第2の波状面の基板に対する第2のテーパー角度が異なることが確認された。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10 基板(振動板)、20 第1電極、30 圧電体層、30a 圧電体膜、
31 上面、32 第1の波状面、33 第2の波状面、34 境界領域、
35 第1の溝、36 第2の溝、37 山部、38 谷部、40 第2電極、
40a 導電膜、50 被覆膜、60 リード配線、70 レジスト層、
100 圧電素子、110 第1の方向、120 第2の方向、
600 液滴噴射ヘッド、610 ノズル板、612 ノズル孔、
620 圧力室基板、622 圧力室、624 リザーバー、626 供給口、
628 貫通孔、630 筐体、700 液滴噴射装置、710 駆動部、
720 装置本体、721 トレイ、722 排出口、730 ヘッドユニット、
731 インクカートリッジ、732 キャリッジ、741 キャリッジモーター、
742 往復動機構、743 タイミングベルト、744 キャリッジガイド軸、
750 給紙部、751 給紙モーター、752 給紙ローラー、
752a 従動ローラー、752b 駆動ローラー、760 制御部、
770 操作パネル

Claims (6)

  1. 第1電極と、
    前記第1電極の上に形成された圧電体層と、
    前記圧電体層の上に形成された第2電極と、
    を含み、
    前記圧電体層の側面は、前記第1電極から前記第2電極に向かう方向に沿って延びる第1の溝が複数形成された第1の波状面と、前記第1の波状面よりも前記第2電極側に設けられ、前記第1電極から前記第2電極に向かう方向に沿って延びる第2の溝が複数形成された第2の波状面と、前記第1の波状面と前記第2の波状面との境界領域と、
    を有し、
    前記第1の溝の第1の間隔は、前記第2の溝の第2の間隔と異なる、圧電素子。
  2. 請求項1において、
    前記第1の間隔は、100nm以上、500nm以下の範囲であり、
    前記第2の間隔は、20nm以上、100nm以下の範囲である、圧電素子。
  3. 請求項1または2において、
    前記第1の波状面の前記基板に対する第1のテーパー角度は、前記第2の波状面の前記基板に対する第2のテーパー角度よりも小さい、圧電素子。
  4. 請求項1から3のいずれか1項において、
    少なくとも前記圧電体層の前記側面を覆う被覆膜を含む、圧電素子。
  5. 請求項1から4のいずれかに1項に記載の圧電素子を含む、液滴噴射ヘッド。
  6. 請求項5に記載の液滴噴射ヘッドを含む、液滴噴射装置。
JP2010239318A 2010-10-26 2010-10-26 圧電素子、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置 Active JP5704309B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010239318A JP5704309B2 (ja) 2010-10-26 2010-10-26 圧電素子、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010239318A JP5704309B2 (ja) 2010-10-26 2010-10-26 圧電素子、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012094613A JP2012094613A (ja) 2012-05-17
JP5704309B2 true JP5704309B2 (ja) 2015-04-22

Family

ID=46387650

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010239318A Active JP5704309B2 (ja) 2010-10-26 2010-10-26 圧電素子、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5704309B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015000560A (ja) * 2013-06-18 2015-01-05 株式会社リコー 電気機械変換素子及びその電気機械変換素子の製造方法、液滴吐出ヘッド、液体カートリッジ、画像形成装置、液滴吐出装置、並びに、ポンプ装置
JP6202202B2 (ja) * 2014-05-19 2017-09-27 株式会社村田製作所 圧電薄膜、圧電薄膜素子及びターゲット並びに圧電薄膜及び圧電薄膜素子の製造方法
US9401469B2 (en) * 2014-09-29 2016-07-26 Sae Magnetics (H.K.) Ltd. Thin-film piezoelectric material element, method of manufacturing the same, head gimbal assembly, hard disk drive, ink jet head, variable focus lens and sensor

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3748097B2 (ja) * 1999-04-20 2006-02-22 セイコーエプソン株式会社 圧電体薄膜素子、圧電体薄膜素子を備えるアクチュエータおよびアクチュエータを備えるインクジェット式記録ヘッド
JP2006196871A (ja) * 2004-12-15 2006-07-27 Kyocera Corp 薄膜コンデンサおよび可変容量コンデンサならびに電子部品
JP2008270630A (ja) * 2007-04-24 2008-11-06 Matsushita Electric Ind Co Ltd 圧電デバイスの製造方法
JP2010003971A (ja) * 2008-06-23 2010-01-07 Seiko Epson Corp 圧電素子およびその製造方法、圧電アクチュエータ、並びに、液体噴射ヘッド

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012094613A (ja) 2012-05-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5743069B2 (ja) 圧電素子、液体噴射ヘッド、および液体噴射装置
JP5626512B2 (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置および圧電素子
JP5541450B2 (ja) 圧電素子の製造方法
US8342660B2 (en) Piezoelectric element, method for manufacturing the same, piezoelectric actuator, liquid ejecting head, and liquid ejecting apparatus
EP2287935B1 (en) Piezoelectric element and method for producing the same, piezoelectric actuator and liquid ejecting head using the same
JP2012059770A (ja) 圧電素子、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置ならびにそれらの製造方法
JP5871146B2 (ja) 圧電素子、液体噴射ヘッド、および液体噴射装置
JP2012089600A (ja) 圧電素子、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置ならびに圧電素子の製造方法
JP5704309B2 (ja) 圧電素子、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置
JP5454795B2 (ja) 圧電素子の製造方法および液滴噴射ヘッドの製造方法
JP5641207B2 (ja) 圧電素子の製造方法および液滴噴射ヘッドの製造方法
JP5704303B2 (ja) 圧電素子、圧電アクチュエーター、液体噴射ヘッド、および液体噴射装置
US20130208056A1 (en) Liquid droplet ejecting head
JP5605553B2 (ja) 圧電素子、圧電アクチュエーター、液体噴射ヘッド、および液体噴射装置
JP5822057B2 (ja) 圧電素子、圧電アクチュエーター、液体噴射ヘッド、および液体噴射装置
US9233538B2 (en) Piezoelectric device, piezoelectric actuator, droplet ejecting head, and droplet ejecting apparatus
JP2012056194A (ja) 圧電素子、圧電アクチュエーター、液体噴射ヘッド、および液体噴射装置
JP5874799B2 (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置および圧電素子
JP2011199106A (ja) 圧電素子、圧電アクチュエーター、液滴噴射ヘッド及び液滴噴射装置並びに圧電素子の製造方法
JP5845617B2 (ja) 圧電素子、液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置
JP2012084785A (ja) 圧電素子、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置ならびにそれらの製造方法
JP2012196873A (ja) 圧電素子、液体噴射ヘッド、および液体噴射装置
JP2016020093A (ja) 圧電素子、液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置
JP2012161958A (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP2012139922A (ja) 圧電素子、液体噴射ヘッド、液体噴射装置、および圧電素子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130813

RD07 Notification of extinguishment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7427

Effective date: 20140619

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140903

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141029

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150128

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5704309

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350