JP2014192959A - リニアモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】低コスト化および高性能化を両立することができ、小型・省スペース化、軽量化に対応でき、優れた放熱性を有するリニアモータを実現する。
【解決手段】リニアモータ100は、シャフト10内に複数の永久磁石12を有する励磁部1と、励磁部1を囲み、複数のコイルを有する電機子2と、電機子2を収容するフレーム3と、を備える。電機子2は、直状開口部を有する磁性筒40内に、複数のコイルを収容している。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁誘導により駆動対象物に対して直線推力を与えるリニアモータに関する。
リニアモータは、電磁誘導により作動するので、ボールねじ機構のような機械作動に比べて、小型で高速作動可能である。たとえば、半導体製造装置のチップマウンタ(電子部品実装装置)には、ロッド型リニアモータが用いられている。ロッド型リニアモータは、永久磁石を有するロッドと、当該ロッドを囲むコイルとを備え、永久磁石の磁界とコイルに流れる電流との電磁誘導により、ロッドに軸方向の推力を与えて直線運動させる。
ロッドタイプリニアモータに関連する技術としては、一体ハウジングにコイルを挿入し、樹脂モールドしたリニアモータが開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
また、空芯コイルを結線板に連結し、樹脂成型したリニアモータが開示されている(たとえば、特許文献2参照)。
さらに、コイルとスペーサを樹脂モールドで一体化し、その外側を、コイルリード線の処理部を備えた略円筒形のフレームで覆ったリニアモータが開示されている(たとえば、特許文献3参照)。
またさらに、永久磁石を有する多数のロッドタイプリニアモータを並べてリニアモータユニットを形成し、隣り合うロッドタイプリニアモータ間に磁気遮蔽板を介設したリニアモータが開示されている(たとえば、特許文献4参照)。
そして、磁性パイプをバックヨークとして使用し、隣り合うリニアモータの磁気影響を抑えたリニアモータモジュールが開示されている(たとえば、特許文献5参照)。
国際公開第2007/0265669号 特開2007−097295号公報 特開2009−159752号公報 特許第4580847号明細書 特許第4385406号明細書
ところで、特許文献1から3の技術によれば、コイルの固定と電機子部分の形成は、金型を用いて樹脂注入して樹脂モールドするので、製造が煩雑になる。また、コイルリード線の結線スペースを確保する必要がある。したがって、リニアモータの低コスト化および高性能化の両立は困難を極める。
また、特許文献4の技術は、リニアモータを多軸に並べてユニット化する際、各軸からの漏れ磁束を防止する対策が必要である。リニアモータ間に磁気遮蔽板を介して組立を行うので、組立作業が煩雑である。多軸に並べてユニット化したリニアモータは放熱性が悪くなり、リニアモータの小型・省スペース化が困難になる。
さらに、特許文献5の技術は、リニアモータを多軸に並べてモジュール化する構成と、リニアガイドを別部品のフレームに設けるなど、組立作業が複雑であり、リニアモータモジュールの重量が大きくなる。
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、低コスト化および高性能化を両立することができ、小型・省スペース化、軽量化に対応でき、優れた放熱性を有するリニアモータの提供を目的とする。
上記目的を達成するためのリニアモータは、シャフト内に複数の永久磁石を有する励磁部と、上記励磁部を囲み、複数のコイルを有する電機子と、上記電機子を収容するフレームと、を備える。
電機子は、直状開口部を有する磁性筒内に上記複数のコイルを収容している。
本発明に係るリニアモータによれば、電機子は、永久磁石を有する励磁部を囲んでいる。電機子は磁性筒内に複数のコイルを収容する。磁性筒は直状開口部を有する。
磁性筒は、磁性材料からなる筒体であるので、簡単に製造することができ、低コスト化および高性能化を両立することができる。また、磁性筒が永久磁石の磁束の大部分を閉じて漏れ磁束を抑制するので、磁気遮蔽板が不要であり、小型・省スペース化、軽量化に対応できる。磁性筒の直状開口部からリード線の配線処理が簡単にできるので、モータの製造が容易になる。更には冷却通路となるので、優れた放熱性を有する。
実施形態1に係るリニアモータの斜視図である。 実施形態1に係るリニアモータにおける励磁部の斜視図である。 実施形態1に係るリニアモータにおける電機子の第1態様の斜視図である。 実施形態1に係るリニアモータにおけるフレームの第1態様の斜視図である。 実施形態1に係るリニアモータにおけるフレーム開放状態の正面図である。 実施形態1に係るリニアモータにおけるフレームの第2態様の斜視図である。 実施形態1に係るリニアモータにおけるフレームの第3態様の斜視図である。 実施形態1に係るリニアモータにおけるフレームの第4態様の斜視図である。 実施形態1に係るリニアモータの正面図である。 実施形態2に係るリニアモータの斜視図である。 実施形態2に係るリニアモータにおける電機子の第2態様の斜視図である。 実施形態2に係るリニアモータにおける電機子の第3態様の斜視図である。 実施形態2に係るリニアモータにおけるフレームの第5態様の斜視図である。 実施形態2に係るリニアモータにおけるフレームの第6態様の斜視図である。 実施形態3に係るリニアモータユニットの斜視図である。
以下、図面を参照して、実施形態1から実施形態3に係るリニアモータおよびリニアモータユニットについて説明する。
実施形態1から実施形態3に係るリニアモータおよびリニアモータユニットは、永久磁石を有する励磁部が複数のコイルに囲まれ、当該コイルは直状開口部を有する磁性筒内に収容される。磁性筒は磁性材料からなる筒体であるので、簡単に製造することができる。磁性筒が永久磁石の磁束の大部分を閉じて、漏れ磁束を抑制するので、磁気遮蔽板が不要である。磁性筒の直状開口部はコイルリード線処理部分となり、冷却通路となる。
したがって、実施形態1から実施形態3によれば、低コスト化および高性能化を両立することができ、小型・省スペース化、軽量化に対応でき、優れた放熱性を有するリニアモータを実現できるようになる。
〔実施形態1〕
[リニアモータの構成]
図1から図9を参照して、実施形態1に係るリニアモータの構成について説明する。図1は実施形態1に係るリニアモータの斜視図である。図2は実施形態1に係るリニアモータにおける励磁部の斜視図である。図3は実施形態1に係るリニアモータにおける電機子の斜視図である。図4は実施形態1に係るリニアモータにおけるフレームの第1態様の斜視図である。図5は実施形態1に係るリニアモータにおけるフレーム開放状態の正面図である。図6は実施形態1に係るリニアモータにおけるフレームの第2態様の斜視図である。図7は実施形態1に係るリニアモータにおけるフレームの第3態様の斜視図である。図8は実施形態1に係るリニアモータにおけるフレームの第4態様の斜視図である。図9は実施形態1に係るリニアモータの正面図である。
図1に示すように、実施形態1に係るリニアモータ100は、励磁部1、電機子2およびフレーム3を備えている。
励磁部1は、図1および図2に示すように、シャフト10と永久磁石12を有する。実施形態1では、励磁部1は可動子として機能する。
シャフト10は、中空部11を有する円筒体状の金属部材である。シャフト10の構成材料としては、たとえば、オーステナイト系ステンレス鋼などの非磁性体が用いられるが、例示した材料に限定されない。
シャフト10の中空部11には、円柱状の永久磁石12が軸方向に沿って複数直列に設けられている。本実施形態の永久磁石は、軸方向に磁極対抗(N−N,S−S)となるように着磁されている。対抗磁極配置された永久磁石12,12間には、不図示の軟磁性体を介設してもよい。
電機子2は、図1および図3に示すように、コイル20と磁性筒40を有する。実施形態1では、電機子2は固定子として機能する。
永久磁石を有するシャフト10の周囲は、直列配置された複数のコイル20で覆われている。各コイル20は、円筒体状のリングコイルとして形成されている。コイル20、20同士の間には、電気絶縁性のスペーサ21が介設される。
複数のコイル20群の両端には、円筒体状のガイド支持筒22が設けられる。ガイド支持筒22は、シャフト10のガイドブッシュ(図示せず)を内蔵している。なお、ガイドブッシュは、後述するフレーム3に内蔵してもよい。
複数のコイル20は、たとえば、三相交流電源に対応するように、軸方向にu相、v相、w相の順で配置される。u相群、v相群、w相群のコイル20は、不図示のリード線で結線される。
磁性筒40は、軸方向に沿った直状開口部41を有する筒体状の磁性金属部材である。磁性筒40は、複数のコイル20群の周囲を覆っている。磁性筒40内のコイル20群は、ガイド支持筒22に連結している。
磁性筒40の長さは、コイル20内に配置するシャフト10の永久磁石12群の全長Lよりも長く設定される。具体的には、磁性筒40の長さは、永久磁石12群の全長Lに2倍のストローク長を加えた長さ以上とする。
磁性筒40は、シャフト10の永久磁石12の磁束の大部分を閉じて、漏れ磁束を抑制する機能を有する。また、磁性筒40の直状開口部41は、コイル20のリード線の通過部を区画するとともに、冷却通路としての機能を有する。
実施形態1に係る磁性筒40は、ほぼ円筒体状を呈している。本実施形態の直状開口部41は、磁性筒40の一部(上部)に軸方向に沿って開口された割れ目部として形成されている。直状開口部41は、磁性筒40の上部のみに形成されているが、下部に形成してもよい。
磁性筒40の構成材料としては、たとえば、SC材などの鉄系の磁性体が用いられる。磁性筒40は、性能確保とコストを両立するため、板金もしくはプレス成型した珪素鋼板が好ましいが、これに限定されない。
フレーム3は、図1、図4および図5に示すように、励磁部1および電機子2を収容する矩形枠体状の部材である。図4および図5は、第1態様のフレーム3を例示している。フレーム3は、電機子2の径方向の上部、下部および軸方向の両端部を囲っている。矩形枠としてのフレーム本体30は、上枠31、下枠32および長手方向(軸方向と一致)の両端枠33、34からなっている。フレーム本体30の幅方向左右側面は開放されている。
フレーム3の構成材料としては、たとえば、加工が容易なアルミニウムもしくはアルミニウム合金が用いられるが、例示した材料に限定されない。フレーム3の成型は、たとえば、押出し加工などの塑性加工により、容易に形成することができる。
フレーム本体30の長手方向(軸方向と一致)の両端枠33、34には、励磁部1のシャフト10を挿通して支承するための貫通孔51、52が開口されている。シャフト10の基端部は、鉛直方向に沿って配置された四角柱状のブロック部材53に接続されている。当該ブロック部材53の上端部は、フレーム本体30の上枠31に沿うように設けられた延出部材54に接続されている。
延出部材54は、ブロック部材53を介して、フレーム3側に折り返している。延出部材54は、断面コ字のガイドブロック55上にスライド移動可能に配置される。延出部材54上には、直線軸の位置を検出し、位置情報を出力するためのリニアエンコーダ56が設けられている。
リニアエンコーダ56は、磁気及び熱の影響を考慮し、コイル20を含む電機子2から離れている部位に配置する。リニアエンコーダ56としては、磁気式、光学式などのいずれの形式であっても、使用することができる。また、安定駆動と高品質を確保するため、リニアエンコーダ56の可動部は、LMガイドやボールスプラインなどのリニアガイド上、またはこれに近い部位に配置することが望ましい。
また、フレーム本体30の上枠31には、長孔60が開口されている。当該長孔60は、コイル20のリード線結線空間を区画し、接続端子23の通過部として機能するとともに、冷却空気の通路としても機能する。
フレーム本体30の上枠31および下枠32の内面には、冷却通路形成用の凹部35と磁性筒固定用の凸部36とが軸方向に交互に形成されている。上枠31および下枠32の内面は凹凸を有するので、磁性筒40に接触したり、接触しなかったりする。凸部36の接触部には、接着剤もしくはモールド材等の充填材70で磁性筒40を固定し、接触部による熱伝導でコイル20を含む電機子2を冷却する。接触しない凹部35は冷却通路になる。上枠31の凹部35と下枠35の凹部35は、上下で一部が重なるように軸方向に少しずれており、磁性筒40とフレーム3との間にほぼ螺旋状の冷却通路が形成される。
フレーム本体30の上枠31と下枠32には、ほぼ螺旋状の冷却通路に冷却空気を通過させるための入口および出口としてタップ(貫通孔)61、62が穿孔されている。上枠31と下枠32のタップ61と62は、枠体の幅方向中心から偏心して開口され、概ね対角に位置している。本実施形態では、各タップ61、62に短管63、64が接続されている。本実施形態では、下枠32側の短管64が冷却空気の入口、上枠31側の短管63が冷却空気の出口となっているが、入口と出口は上下逆であっても構わない。
図6に例示した第2態様のフレーム3A、図7に例示した第3態様のフレーム3B、および図8に例示した第4態様のフレーム3Cは、フレーム本体30の上枠31および下枠32の内面が平面に形成されている。上枠31および下枠32の内面が平面であっても、フレーム3A、3B、3C内にはほぼ円筒体状の磁性筒40が収容されるので、フレーム3A、3B、3C内の四隅に隙間が形成される。四隅の隙間は磁性筒40の上部の直上開口部(割れ目)41と連通しており、全体として冷却通路を形成する。
第2態様のフレーム3Aおよび第4態様のフレーム3Cのタップ61と62は、上枠31と下枠32の枠体の幅方向中心から偏心して開口され、概ね対角に位置している。第3態様のフレーム3Bのタップ61と62は、上枠31と下枠32の枠体の幅方向中心に開口されている。
第4態様のフレーム3Cは、下枠32の外面に放熱フィン37が形成され、当該放熱フィン37によって下枠32側の放熱性を高めることができる。
図1、図4から図9に示すように、上枠31と下枠32の両端部には、ボルト81を締結するための螺合孔82が形成されている。本実施形態のリニアモータ100を一軸のアクチュエータ、もしくは後述する多軸のアクチュエータとしてユニット化して用いる場合は、封止プレート80を介してボルト81を螺合孔82に締結することにより、フレーム本体30の幅方向左右側面の開放部が封止される。
[リニアモータの動作]
次に、図1から図9を参照して、実施形態1に係るリニアモータ100の動作について説明する。
図1に示したように、実施形態1に係るリニアモータ100の励磁部1は、シャフト10の中空部11に複数の永久磁石を軸方向に磁極対抗(N−N,S−S)着磁となるように配置している。電機子2は、永久磁石を有するシャフト10を囲むように設けられ、軸方向に並んだ複数のコイル20を有する。コイル20は、たとえば、三相電源のu相、v相、w相に対応するように配置され、u相、v相、w相のコイル20に位相をずらして電流を流す。
実施形態1では、励磁部1は可動子、電機子2は固定子として機能する。すなわち、本実施形態のリニアモータ100は、励磁部1の永久磁石が発生する磁束と交叉するように電機子2のコイル20に電流が流れる。永久磁石の磁束と電機子2のコイル20に流れる電流が交叉すると、本実施形態のリニアモータ100は、電磁誘導により、永久磁石を有するシャフト10に軸方向の推力を発生させて、シャフト10を直線運動させる。
実施形態1に係るニアモータ100では、直状開口部(割れ目)60を有する磁性筒40内にu相、v相、w相のコイル20を軸方向に直列に並べている。直状開口部(割れ目)60からu相、v相、w相のコイル20のリード線を通して、当該リード線を磁性筒40から外に出した状態でアルミニウム製のフレーム3内に収容する。
磁性筒40の長さは、コイル20内に配置するシャフト10の永久磁石12群の全長Lよりも長く、永久磁石12群の全長Lに2倍のストローク長を加えた長さ以上に設定されている。シャフト10の永久磁石12からの漏れ磁束は磁性筒40によって閉じられ、漏れ磁束がほとんどなくなる。したがって、後述するように、本実施形態のリニアモータ100を多軸に並べても、リニアモータ間の磁気的影響が小さく抑えることができる。
フレーム本体30は、上枠31、下枠32および長手方向の両端枠33、34からなる矩形の枠体形状である。上枠31には長孔60が開口され、当該長孔60はu相、v相、w相のコイル20のリード線の結線空間として確保される。リード線結線端子23は、長孔60から露出している。
下枠32の内面凸部36の接触部に充填材70を介して磁性筒40を固定しているので、接触部による熱伝導でコイル20を含む電機子2を冷却することができる。
フレーム本体30の上枠31および下枠32の内面には、凹部35および凸部36が交互に形成されている。上枠31の凹部35と下枠35の凹部35は、磁性筒40とフレーム3との間にほぼ螺旋状の冷却通路が形成される。したがって、本実施形態のリニアモータ100は、放熱性に優れている。
フレーム本体30の上枠31と下枠32には、冷却通路に冷却空気を通過させるためのタップ61、62が穿孔され、それぞれに短管63、64が接続されている。一方の短管64から冷却空気を流入させ、他方の短管63から冷却空気を流出させて、フレーム3の内部に空気流れを形成する。冷却空気はフレーム本体30の凹部35と磁性筒40との隙間を通過して、回転しながらの乱流を起こし、コイル20含む電機子2を効率よく冷却する。
図6に例示した第2態様のフレーム3Aは、上枠31および下枠32の内面が凹凸のない平面で、タップ61、62が幅方向中心から偏心している。第2態様のフレーム3Aの構造は簡単で、低コストで製造できる。第2態様のフレーム3Aは、フレーム本体30の内面と磁性筒40の外周面との隙間を冷却空気が通過する。
図7に例示した第3態様のフレーム3Bは、上枠31および下枠32の内面が凹凸のない平面で、タップ61、62が幅方向中心に位置する。第3態様のフレーム3Bの構造は簡単で、低コストで製造できる。第3態様のフレーム3Bは、磁性筒40の直状開口部(割れ目)41を通して軸方向に冷却空気が多い。また、磁性筒40の直状開口部(割れ目)41を通して、コイル20が直接冷却される。さらに、冷却空気は、フレーム本体30の内面と磁性筒40の外周面との隙間を通過する。
図8に例示した第4態様のフレーム3Cは、上枠31および下枠32の内面が凹凸のない平面で、タップ61、62が幅方向中心から偏心している。第4態様のフレーム3Cは、フレーム本体30の内面と磁性筒40の外周面との隙間を冷却空気が通過する。さらに、下枠32の外面に放熱フィン37が形成されているので、下枠32側からの冷却効果が大きい。
すなわち、実施形態1に係るリニアモータ100によれば、電機子2は、永久磁石12を有するシャフト10からなる励磁部1を囲んでいる。電機子2は、直状開口部を有する磁性筒40内に、複数のコイル20群を収容する。
磁性筒は、磁性材料からなる筒体であるので、たとえば、珪素鋼板を板金もしくはプレス加工することにより、簡単に製造することができる。また、フレーム3は、たとえば、押出し加工などにより、簡単に形成することができる。したがって、本実施形態のリニアモータ100は、低コスト化および高性能化を両立することができる。
また、磁性筒40が永久磁石12の磁束の大部分を閉じて漏れ磁束を抑制するので、磁気遮蔽板が不要であり、小型・省スペース化、軽量化に対応できる。
さらに、永久磁石12を有するシャフト10は、リング状のコイル20群で囲まれている。当該コイル20群は、直状開口部41を有する磁性筒40内に収容している。したがって、実施形態1に係るリニアモータ100は、磁性筒40が永久磁石12の磁束の大部分を閉じて、漏れ磁束を抑制する。
コイル20のリード線は、直状開口部41を通して上枠31の長孔60に導入されるので、コイル20のリード線の結線空間を確保することができる。
磁性筒40は直状開口部41を有し、上枠31および下枠32の凹部35と磁性筒40の外周面との間に隙間が形成され、冷却通路として機能する。フレーム本体30の左右開放部を封止プレート80で封止することにより、ほぼ螺旋状の冷却通路が形成される。したがって、ほぼ螺旋状の冷却通路に冷却空気を流入させることにより、コイル20を含む電機子2を冷却することができる。したがって、本実施形態のリニアモータ100は優れた放熱性を有する。
本実施形態のリニアモータ100は、個別にリニアエンコーダ56を備えているので、単軸のアクチュエータとして使用することができる。また、本実施形態のリニアモータ100を複数組み合わせれば、多軸のアクチュエータを構成することができる。
したがって、単軸もしくは多軸のアクチュエータとして簡単に使用できるので、チップマウンタのヘッド構成の柔軟性を確保することができる。
〔実施形態2〕
次に、図10から図14を参照して、実施形態2に係るリニアモータ200について説明する。図10は実施形態2に係るリニアモータの斜視図である。図11は実施形態2に係るリニアモータにおける電機子の第2態様の斜視図である。図12は実施形態2に係るリニアモータにおける電機子の第3態様の斜視図である。図13は実施形態2に係るリニアモータにおけるフレームの第5態様の斜視図である。図14は実施形態2に係るリニアモータにおけるフレームの第6態様の斜視図である。なお、実施形態1に係るリニアモータ100と同一の構成部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
図10に示すように、実施形態2に係るリニアモータ200は、電機子2の磁性筒40およびフレーム3の構造が異なっている以外は、実施形態1と同様に構成されている。
すなわち、実施形態2に係るリニアモータ200は、励磁部1、電機子2およびフレーム3を備える。励磁部1は、第1実施形態と同様の構成でシャフト10の中空部11に複数の永久磁石12を有する(図2参照)。
電機子2は、コイル20と磁性筒40を有する。実施形態2では、電機子2は固定子として機能する(図11および図12参照)。
永久磁石を有するシャフト10の周囲は、実施形態1と同様の構成で直列配置された複数のコイル20で覆われている。
実施形態2に係る磁性筒40は、ほぼ矩形筒体状を呈している。図11に例示した第2態様の磁性筒40Aは、当該磁性筒40Aの上部のみに軸方向に沿って直状開口部41を有する。直状開口部41は、磁性筒40Aの上部に軸方向に沿って開口された割れ目部として形成されている。
一方、図12に例示した第3態様の磁性筒40Bは、当該磁性筒40Bの上部および下部に軸方向に沿って直状開口部41を有する。直状開口部41は、磁性筒40の上部および下部に軸方向に沿って開口された割れ目部として形成されている。
磁性筒40A、40Bは、複数のコイル20群の周囲を覆っている。磁性筒40A、40B内のコイル20群は、ガイド支持筒22に連結している。コイル20群は、磁性筒40A、40Bの上下部にボルト42を挿通し締結することによって、当該磁性筒40A、40Bの中心部に保持される。磁性筒40A、40Bは、中心の永久磁石12を有するシャフト10に対して磁気的にバランスを保っている。さらに、磁性筒40A、40Bは、永久磁石12の磁束の大部分を閉じて、漏れ磁束を抑制する機能を有する。
矩形筒体状の磁性筒40A、40B内の中心部にリング状のコイル20群が収容されるので、当該磁性筒40A、40B内の四隅に隙間が形成される。四隅の隙間は冷却通路として機能し、コイル20群を直接冷却することができる。磁性筒40A、40Bの上部の直状開口部41は、コイル20のリード線の通過部を区画するとともに、冷却通路として機能を有する。
磁性筒40A、40Bの長さは、実施形態1と同様に、永久磁石12群の全長Lに2倍のストローク長を加えた長さ以上とする。
磁性筒40A、40Bは、実施形態1と同様に、板金もしくはプレス成型した珪素鋼板が好ましいが、これに限定されない。
再び図10を参照して、フレーム3は、実施形態1と同様に、電機子2の径方向の上部、下部および軸方向の両端部を囲っている。矩形枠としてのフレーム本体30は、上枠31、下枠32および長手方向(軸方向と一致)の両端枠33、34からなっている。フレーム本体30の幅方向左右側面は開放されている。
フレーム3の構成材料としては、実施形態1と同様に、たとえば、加工が容易なアルミニウムもしくはアルミニウム合金が用いられるが、例示した材料に限定されない。
フレーム本体30の上枠31は、実施形態1と同様の構成で、リード線結線空間としての長孔60を有する。当該長孔60は、接続端子23の通過部として機能するとともに、冷却空気の通路としても機能する。
図13に例示した第5態様のフレーム3Dは、フレーム本体30の上枠31の内面が概ね平面に形成され、長孔60の両側に凹部35が形成されている。フレーム本体30の下枠32の内面は、平面に形成されている。第5態様のフレーム3D内には、図11に例示した第2態様の磁性筒40Aを収容することが適している。上枠31の凹部35は、磁性筒40Aの上部の直上開口部(割れ目)41と連通しており、全体として冷却通路を形成する。
第5態様のフレーム3Dは、上枠31と下枠32に、冷却通路に冷却空気を通過させるための入口および出口としてタップ(貫通孔)61、62を有する。上枠31と下枠32のタップ61と62は、枠体の幅方向中心から偏心して開口され、概ね対角に位置している。
第5態様のフレーム3Dは、下枠32の外面に、連続した凹凸状の放熱フィン37が形成されている。したがって、上枠31の内面のみに凹部35が形成されているが、放熱フィン37によって下枠32側の放熱性を高めることができる。
図14に例示した第6態様のフレーム3Eは、フレーム本体30の上枠31の内面が概ね平面に形成され、長孔60の両側に凹部35が形成されている。フレーム本体30の下枠32の内面は概ね平面に形成され、上枠31の凹部35に対向するように、2箇所の凹部35が形成されている。
第6態様のフレーム3E内には、図12に例示した第3態様の磁性筒40Bを収容することが適している。上枠31および下枠32の凹部35は、磁性筒40Bの上下の直上開口部(割れ目)41と連通しており、全体として冷却通路を形成する。
第6態様のフレーム3Eは、第5態様のフレーム3Dと同様の構成で、上枠31と下枠32にタップ61、62を有する。第6態様のフレーム3Eは、上枠31および下枠32の内面に凹部35が形成されているので、第5態様のフレーム3Dと異なり、放熱フィンを有しない。
図10、図13および図14に示すように、フレーム本体30の両端枠33、34の貫通孔51、52には、励磁部1のシャフト10が支承される。シャフト10の基端部は、実施形態1と同様に、ブロック部材53および延出部材54が順に接続されている。延出部材54はガイドブロック55上にスライド移動可能に配置され、当該延出部材54上にはリニアエンコーダ56が設けられている。
本実施形態のリニアモータ200を一軸のアクチュエータ、もしくは後述する多軸のアクチュエータとしてユニット化して用いる場合は、実施形態1と同様に、フレーム本体30の幅方向左右側面の開放部が封止プレート80で封止される(図8参照)。
実施形態2に係るリニアモータ200は、基本的に第1実施形態と同様の作用効果を奏する。特に実施形態2に係るリニアモータ200は、矩形の磁性筒40A、40B内にリング状のコイル20を収容しているので、磁性筒40A、40B内の四隅に隙間が形成される。したがって、実施形態2に係るリニアモータ200は、磁性筒40A、40B内の四隅の隙間が冷却通路として機能し、コイル20を冷却空気によって直接冷却することができるという特有の効果を奏する。
〔第3実施形態〕
次に、図15を参照して、実施形態3に係るリニアモータユニット300について説明する。図15は実施形態3に係るリニアモータユニットの斜視図である。なお、実施形態1に係るリニアモータ100と同一の構成部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
図15に示すように、実施形態3に係るリニアモータユニット300は、実施形態1に係るリニアモータ100を幅方向(桁方向)に複数並べて、ユニット化したものである。
上枠31と下枠32の両端部には、実施形態1と同様に、ボルト81を締結するための螺合孔82が形成されている。複数のリニアモータ100を当接させて幅方向に並べ、幅方向両端に封止プレート80を配置する。そして、封止プレート80を介して、複数のリニアモータ100の螺合孔82に長ボルト81を挿通して締結することにより、複数のリニアモータ100が多軸ユニットとして一体化される。本実施形態のリニアモータユニット300の両端の幅方向左右側面の開放部は封止される。
フレーム3の幅寸法はテープフィーダの要求寸法になるが、磁性筒40の外径もしくは幅はフレーム本体30の幅寸法よりも小さく設定されている。したがって、複数のリニアモータ100を幅方向に多軸に並べるとき、フレーム3の側面に沿ってリニアモータ100を並べるだけで、リニアモータユニット(ヘッドモジュール)300が簡単に組み立てられる。
また、複数のリニアモータ100を多軸に並べることで、各リニアモータ100の幅方向左右が封止される。したがって、冷却空気の漏れが少なくなり、空気流れが自然に確保され、本実施形態のリニアモータユニット300の冷却効果が高められる。
複数のリニアモータ100は当接しているが、隣り合う磁性筒40、40同士の間には隙間が形成される。磁性筒40、40同士の隙間は、冷却に有利なだけではなく、互いの磁気影響をも抑制することができる。
各リニアモータ100は個別にリニアエンコーダ56を備えているので、各リニアモータ100の位置情報を個別に把握することができる。
なお、本実施形態では、実施形態1に係るリニアモータ100を用いて説明したが、実施形態2に係るリニアモータ200を用いる場合にも、同様にリニアモータユニット300を構成することができる。
実施形態3に係るリニアモータユニット300は、基本的に実施形態1と同様の作用効果を奏する。特に実施形態3は、幅方向に並んだ多軸アクチュエータを構成するので、チップマウンタヘッドのZ軸として、小型(小幅)で、大推力および低コストのリニアモータユニット300を提供できるという特有の効果を奏する。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
1 励磁部、
2 電機子、
3 フレーム、
10 シャフト、
12 永久磁石、
20 コイル、
30 フレーム本体、
31 上枠、
32 下枠、
33、34 両端枠、
35 凹部、
37 放熱フィン、
40 磁性筒、
41 直状開口部、
56 リニアエンコーダ、
61、62 タップ(入口、出口)
70 充填材、
100、200 リニアモータ、
300 リニアモータユニット。

Claims (15)

  1. シャフト内に複数の永久磁石を有する励磁部と、
    前記励磁部を囲み、複数のコイルを有する電機子と、
    前記電機子を収容するフレームと、
    を備え、
    前記電機子は、直状開口部を有する磁性筒内に、前記複数のコイルを収容していることを特徴とするリニアモータ。
  2. 前記直状開口部は、前記磁性筒の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。
  3. 前記磁性筒は、矩形筒体状もしくは円筒体状を呈していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリニアモータ。
  4. 前記磁性筒の長さは、前記シャフトの永久磁石群の全長に2倍のストローク長さを加えた長さ以上に設定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  5. 前記複数のコイルのリード線は、前記磁性筒の直状開口部を通して、該磁性筒の外部に露出していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  6. 前記フレームの本体は矩形枠体状に形成され、上枠、下枠、および長手方向の両端枠を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  7. 前記フレーム本体の上枠には、前記複数のコイルのリード線結線空間としての長孔が開口されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  8. 前記フレーム本体の上枠または/および下枠の内面に凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  9. 前記上枠の内面の凹部と下枠の内面に凹部は、少なくとも一部が重なるように長手方向の位置がずれていることを特徴とする請求項8に記載のリニアモータ。
  10. 前記フレーム本体の外面の一部に、凹凸形状が連続した放熱フィンが形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  11. 前記コイルの外周面と前記磁性筒の内面との隙間、前記磁性筒の前記直状開口部、前記磁性筒の外面と前記フレーム本体の内面との四隅の隙間、または/および前記磁性筒の外面と前記フレーム本体の内面の凹部との隙間に冷却通路が形成されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  12. 前記フレーム本体の上枠および下枠には、前記冷却通路に冷却空気を流入させるための入口、出口が形成されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  13. 前記フレーム本体の内面に、充填材を介して前記磁性筒が固定されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  14. 前記フレームの一部に、リニアエンコーダを備えていることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  15. 請求項1から14のいずれかのリニアモータを複数幅方向に並べて当接させ、幅方向両端面に封止プレートを配置し、該封止プレートおよび複数のリニアモータを一体化して多軸のユニットを形成したことを特徴するリニアモータユニット。
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