JP2014190108A - ハイブリッド梁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鉄筋コンクリート梁部22において、鉄骨16の長手方向と直交する方向における位置をずらして複数の梁主筋30のうちの少なくとも2本が第1の梁主筋30Aおよび第2の梁主筋30Bとして位置している。第1、第2の梁主筋30A、30Bは、鉄筋コンクリート梁部22の長手方向の両端において鉄骨16の上方箇所および下方箇所で鉄骨16の長手方向と平行して延在する上下の直線部3002A、3002B、3006A、3006Bと、それら直線部を連結する傾斜部3004A、3004Bとを有している。第1の梁主筋30Aの傾斜部3004Aと第2の梁主筋30Bの前記傾斜部3004Bは、鉄筋コンクリート梁部22の側方から見てX字状を呈している。
【選択図】図2
Description
ハイブリッド梁は、両端部をRCで覆った鉄骨が、RC造等の柱間に架け渡されて接合されたものであり、S造である中央部が鉄骨梁部、鉄骨がRCで覆われた両端部が鉄筋コンクリート梁部となっている。
ハイブリッド梁は、中央部がS造であることから梁自重が軽減され、梁のロングスパン化を可能とした建物が得られる新しい構法として注目されている。
通常、RC造の梁では、せん断力はコンクリート強度と横補強筋量に影響され、決定される。
そこで、従来、ハイブリッド梁の鉄筋コンクリート梁部に伝達されるせん断力を保持するため、鉄筋コンクリート梁部には、普通コンクリート(高強度コンクリートを含む)と、多い量の横補強筋が用いられている。
また、鉄筋コンクリート梁部は短いため、鉄筋コンクリート梁部の付着に対する主筋の長さが短くなり、主筋の付着力を十分に確保する上で不利となり、地震時に鉄筋コンクリート梁部の付着破壊や付着割裂破壊を防止する上で不利となる。主筋の付着力を確保するには鉄筋コンクリート梁部の長さを大きくしなければならない。
また、鉄筋コンクリート梁部が短いため、梁主筋に沿っての付着割裂ひび割れや梁主筋の先端に取り付けた定着金物の押し出しによる鉄筋コンクリート梁部の小口部分の損傷が顕著となるのが現状である。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、大地震時に、鉄筋コンクリート梁部のせん断ひび割れや、鉄筋コンクリート梁部の小口部分の損傷を抑制する上で有利なハイブリッド梁を提供することにある。
したがって、大地震時における鉄筋コンクリート梁部のせん断ひび割れを抑制する上で有利となる。
また、梁主筋に沿っての付着割裂ひび割れや梁主筋の先端に取り付けた定着金物の押し出しによる鉄筋コンクリート梁部の小口部分の損傷を抑制する上で有利となる。
まず、第1の実施の形態から説明する。
図1に示すように、ハイブリッド梁10は、互いに対向する鉄筋コンクリート柱12間に架け渡されるものである。
鉄筋コンクリート柱12は、現場打ちコンクリートまたはプレキャスト部材であり、図3において、符号1202は、鉄筋コンクリート柱12に配筋される柱主筋、符号1204は帯筋を示している。
鉄骨16には、I鋼やH鋼等、従来公知の型鋼が用いられ、鉄骨16は、図1〜図3に示すように、鉄筋コンクリート柱12の側面まで延在しており、柱梁接合部に貫通していない。
鉄骨梁部20の上面には、頭付きスタッド2022が複数立設され、床スラブ24との結合強度が高められている。
鉄筋コンクリート梁部22はプレキャスト部材、あるいは、鉄筋コンクリート梁部22を構成するコンクリートCは、現場打ちコンクリートにより形成されている。
図4に示すように、横補強筋26は、全ての梁主筋30を囲む外側補強筋26Aと、鉄骨16とその周囲の梁主筋30を囲む内側補強筋26Bとを含んでいる。
また、鉄筋コンクリート梁部22の長手方向の両端部には、横補強筋26を密に配した集中補強筋部28が埋設され、鉄骨梁部20から鉄筋コンクリート梁部22への応力の伝達が効果的になされるように図られている。
それら複数の梁主筋30は、鉄筋コンクリート梁部22の端面から突出し、それら突出された部分は、鉄筋コンクリート柱12へのハイブリッド梁10の接合用のものであり、鉄筋コンクリート柱12に埋設される。
第1の梁主筋30Aおよび第2の梁主筋30Bは、鉄筋コンクリート梁部22の長手方向の両端において鉄骨16の上方箇所および下方箇所で鉄骨16の長手方向と平行して延在する上下の直線部3002A、3002B、3006A、3006Bと、直線状に延在しそれら上下の直線部3002A、3002B、3006A、3006Bを連結する傾斜部3004A、3004Bとをそれぞれ有している。
また、第2の梁主筋30Bの上直線部3002Bは、鉄筋コンクリート柱12側の鉄筋コンクリート梁部22の箇所において鉄骨16の上方に位置して鉄筋コンクリート梁部22の端部から突出しており、第2の梁主筋30Bの下直線部3006Bは、鉄骨梁部20側の鉄筋コンクリート梁部22の箇所において鉄骨16の上方に位置している。
第1の梁主筋30Aの上直線部3002Aと第2の梁主筋30Bの上直線部3002Bは、上下方向において、鉄骨16の上方に配置された他の梁主筋30と同一の箇所に位置し、第1の梁主筋30Aの下直線部3006Aと第2の梁主筋30Bの下直線部3006Bは、上下方向において、鉄骨16の下方に配置された他の梁主筋30と同一の箇所に位置している。
このような第1の梁主筋30Aおよび第2の梁主筋30Bは、鉄筋コンクリート梁部22における鉄骨16の両側方にそれぞれ設けられている。
このように、鉄骨16に干渉しない箇所に位置する梁主筋30に傾斜部を設けることにより、鉄筋コンクリート梁部22の長さを大きくすることなく、梁主筋30のコンクリートへの定着長さを確保し、せん断耐力を確保するようにしている。
図5(B)に示すように、鉄骨梁部20では、鉄骨16に作用する曲げモーメントM1は、鉄筋コンクリート梁部22に近づくにつれて(詳細には、鉄骨梁部20側の集中補強筋部28に近づくにつれて)大きくなる。また、鉄筋コンクリート梁部22では、鉄骨16に作用する曲げモーメントM2は、鉄筋コンクリート柱12に近づくにつれて小さくなり、コンクリートCに作用する曲げモーメントM3は、鉄筋コンクリート柱12に近づくにつれて大きくなる。
図5(C)に示すように、鉄骨梁部20では、鉄骨16に作用するせん断力F1は一定である。また、鉄筋コンクリート梁部22でも、鉄骨16に作用するせん断力F2とコンクリートCに作用するせん断力F3(詳細には、鉄骨梁部20側の集中補強筋部28から鉄筋コンクリート柱12までのコンクリートCに作用するせん断力)は一定であり、コンクリートCに作用するせん断力F3は、鉄骨16に作用するせん断力F2よりも大きい。
したがって、本実施の形態のように梁主筋30に傾斜部3004A、3004Bを設け、梁主筋30のコンクリートへの定着長さを確保することにより、コンクリートCに作用する曲げモーメントM3、コンクリートCに作用するせん断力F3に対して鉄筋コンクリート梁部22の耐力が向上し、変形性能を向上できる。
すなわち、本実施の形態のハイブリッド梁10によれば、鉄筋コンクリート梁部22の長さを大きくすることなく、コンクリートCに対する梁主筋30の付着力を確保する上で有利となり、せん断耐力を向上する上で有利となる。
また、梁主筋30に沿っての付着割裂ひび割れや梁主筋30の先端に取り付けた定着金物の押し出しによる鉄筋コンクリート梁部22の小口部分の損傷を抑制する上で有利となる。
また、第1の梁主筋30Aの傾斜部3004Aと第2の梁主筋30Bの傾斜部3004BはX字状を呈し、その傾斜角度が異なることから、上方と下方の双方からの力に対して対抗でき、鉄筋コンクリート梁部22に対して斜めに入るひび割れを防止する上で有利となる。
したがって、鉄筋コンクリート梁部22の断面の大きさや長さの制限を緩和でき、また、ハイブリット梁10の鉄筋コンクリート梁部22の耐震性能を向上することが可能となる。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様な箇所、部材に同一の符号を付しその説明を省略し、第1の実施の形態と異なる箇所を重点的に説明する。
鉄筋コンクリート梁部22には、第1の実施の形態と同様に、矩形枠状に折り曲げられたあばら筋等の横補強筋26が鉄骨16の長手方向に間隔をおいて複数埋設され、横補強筋26は、全ての梁主筋30を囲む矩形枠状の外側補強筋26Aと、鉄骨16とその周囲の梁主筋30を囲む矩形枠状の内側補強筋26Bとを含んでいる。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、第1の梁主筋30Aと第2の梁主筋30Bは、鉄骨16の長手方向と直交する方向における位置が同一の箇所に配置されている。
また、第2の梁主筋30Bの上直線部3002Bは、鉄筋コンクリート柱12側の鉄筋コンクリート梁部22の箇所において鉄骨16の上方に位置して鉄筋コンクリート梁部22の端部から突出しており、第2の梁主筋30Bの下直線部3006Bは、鉄骨梁部20側の鉄筋コンクリート梁部22の箇所において鉄骨16の上方に位置し、傾斜部3004Bは上直線部3002Bと下直線部3006Bを接続している。
そして、第1の梁主筋30Aの傾斜部3004Aと第2の梁主筋30Bの傾斜部3004Bは、鉄筋コンクリート梁部22の長手方向と直交する方向から見てX字状を呈している。
本実施の形態では、湾曲部34は、第2の梁主筋30Bの傾斜部3004Bの延在方向の中間部に、鉄骨16の長手方向と直交する方向で鉄骨16から離れる方向に凸状に形成されている。
湾曲部34は、鉄筋コンクリート梁部22の長手方向において隣り合う外側横補強筋26Aの間に位置している。
第3の実施の形態は、湾曲部34の突出する向きが第2の実施の形態と異なっており、その他の点は第2の実施の形態と同様である。
すなわち、第1の梁主筋30Aの傾斜部3004Aと第2の梁主筋30Bの傾斜部3004Bどうしの当接を回避する湾曲部34が、第2の梁主筋30Bの傾斜部3004Bの延在方向の中間部に設けられ、湾曲部34は、鉄骨16の長手方向と直交する方向で鉄骨16に近づく方向に凸状に形成されている。
そして、湾曲部34は、鉄筋コンクリート梁部22の長手方向において隣り合う内側横補強筋26Bの間に位置している。
このような第3の実施の形態によっても第2の実施の形態と同様な効果が奏される。
Claims (7)
- 対向する鉄筋コンクリート柱間に架け渡される鉄骨の中央部が鉄骨梁部とされ、前記鉄骨梁部の両端部が、前記鉄骨が鉄筋コンクリートで覆われた鉄筋コンクリート梁部とされ、
前記鉄筋コンクリート梁部は、前記鉄筋コンクリート梁部の端部から突出し前記鉄筋コンクリート柱に埋設される複数の梁主筋を備える、
ハイブリッド梁であって、
前記鉄筋コンクリート梁部において前記鉄骨の側方に離れた箇所に、前記複数の梁主筋のうちの少なくとも2本が第1の梁主筋および第2の梁主筋として位置しており、
前記第1の梁主筋は、前記鉄筋コンクリート梁部の長手方向の一端において前記鉄骨の上方箇所で前記鉄骨の長手方向と平行して延在する上直線部と、前記鉄筋コンクリート梁部の長手方向の他端において前記鉄骨の下方箇所で前記鉄骨の長手方向と平行して延在する下直線部と、前記上下の直線部を連結する傾斜部とをそれぞれ有し、
前記第2の梁主筋は、前記鉄筋コンクリート梁部の長手方向の一端において前記鉄骨の下方箇所で前記鉄骨の長手方向と平行して延在する下直線部と、前記鉄筋コンクリート梁部の長手方向の他端において前記鉄骨の上方箇所で前記鉄骨の長手方向と平行して延在する上直線部と、前記上下の直線部を連結する傾斜部とをそれぞれ有し、
前記第1の梁主筋の前記傾斜部と前記第2の梁主筋の前記傾斜部は、前記鉄筋コンクリート梁部の長手方向と直交する方向から見てX字状を呈している、
ことを特徴とするハイブリット梁。 - 前記第1の梁主筋と前記第2の梁主筋は、前記鉄骨の長手方向と直交する方向における位置をずらして配置されている、
ことを特徴とする請求項1記載のハイブリット梁。 - 前記第1の梁主筋と前記第2の梁主筋は、前記鉄骨の長手方向と直交する方向における位置が同一の箇所に配置され、
前記第1の梁主筋の前記傾斜部と前記第2の梁主筋の前記傾斜部とが交差する箇所において、前記第1の梁主筋および前記第2の梁主筋の少なくとも一方の傾斜部には、それら傾斜部どうしの当接を回避する前記鉄骨の長手方向と直交する方向に湾曲した湾曲部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のハイブリット梁。 - 前記鉄筋コンクリート梁部は、前記鉄筋コンクリート梁部の長手方向に間隔をおいた複数箇所で前記複数の梁主筋を連結する矩形枠状の横補強筋を備え、
前記横補強筋は、全ての前記梁主筋を囲む矩形枠状の外側補強筋と、前記鉄骨とその周囲の前記梁主筋を囲む矩形枠状の内側補強筋とを含んで構成され、
前記湾曲部は、前記鉄骨の長手方向と直交する方向で前記鉄骨から離れる方向に凸状に形成され、
前記湾曲部は、前記鉄筋コンクリート梁部の長手方向において隣り合う前記外側横補強筋の間に位置している、
ことを特徴とする請求項3記載のハイブリット梁。 - 前記鉄筋コンクリート梁部は、前記鉄筋コンクリート梁部の長手方向に間隔をおいた複数箇所で前記複数の梁主筋を連結する矩形枠状の横補強筋を備え、
前記横補強筋は、全ての前記梁主筋を囲む矩形枠状の外側補強筋と、前記鉄骨とその周囲の前記梁主筋を囲む矩形枠状の内側補強筋とを含んで構成され、
前記湾曲部は、前記鉄骨の長手方向と直交する方向で前記鉄骨に近づく方向に凸状に形成され、
前記湾曲部は、前記鉄筋コンクリート梁部の長手方向において隣り合う前記内側横補強筋の間に位置している、
ことを特徴とする請求項3記載のハイブリット梁。 - 前記第1の梁主筋および前記第2の梁主筋は、前記鉄筋コンクリート梁部における前記鉄骨の両側方にそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜5に何れか1項記載のハイブリット梁。 - 前記鉄筋コンクリート梁部は、前記鉄筋コンクリート梁部の長手方向の両端に、前記複数の梁主筋を連結する矩形枠状の横補強筋を密に配した集中補強筋部を備える、
ことを特徴とする請求項1〜6に何れか1項記載のハイブリット梁。
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