JP2014189891A - プラズマcvd装置、機能性フィルム製造方法、および機能性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】チャンバー内の圧力にかかわらず、2つの電極によって形成された対向空間部分以外のチャンバー内へのソースガスの抜けを従来よりも抑制して、良質な機能性フィルムを製造することのできるプラズマCVD装置を提供する。
【解決手段】チャンバー10と、チャンバー10内に設けられ、基材120が巻き掛けられる第1電極ロール105および第2電極ロール106と、第1電極ロール105と第2電極ロール106の間の対向空間121に向けてソースガスを供給するガス供給部130と、ガス供給部130から対向空間121を挟んで重力方向下方に設けられ、少なくとも対向空間121の幅より広い開口部145を有し、チャンバーに着脱自在なガス排気部141と、を有することを特徴とするプラズマCVD装置1。
【選択図】図1

Description

本発明はプラズマCVD装置、機能性フィルム製造方法、および機能性フィルムに関し、詳しくはプラズマCVD装置と、このプラズマCVD装置を用いて基材上に薄膜を成膜して機能性フィルムを製造する機能性フィルム製造方法、およびこの機能性フィルム製造方法により製造した機能性フィルムに関する。
機能性フィルムは、軽量で割れにくいフレキシブルな樹脂フィルム上に、付加する機能に応じて様々な薄膜層を成膜したものである。たとえば、樹脂フィルム上に金属や金属酸化物を成膜したガスバリアフィルムは、水蒸気や酸素等を遮断することにより、食品、工業用品、医薬品等の変質を防止するこれらの製品の包装に広く用いられている。また、ガスバリアフィルムは、液晶表示素子、光電変換素子、有機エレクロトルミネッセンス素子等の有機電子デバイスにも用いられており、これらの素子の被覆材としてのガスバリアフィルムには水蒸気等に対するより高いガスバリア性能が求められている。
このような機能性フィルムの成膜は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置が用いられている。そして近年、フィルム部材に対する成膜を主に行うための装置が開発されている。たとえば特許文献1の装置では、円筒形の2つの電極を備え、この電極に高周波電圧を印加することで電極間にプラズマを発生させつつソースガスを電極間に流す。そして2つの電極のそれぞれの表面に長尺の樹脂フィルムを対向するようにして走行させる。これにより長尺の樹脂フィルムに対して連続的に成膜を行っている。
ところで、プラズマCVD装置においてはチャンバー内に入れたソースガスの成分がチャンバー内壁面に堆積してしまい、これが成膜中に微粒子やフレークとなって落ちてきて、膜質を悪くする原因となっていた。
特許文献1の装置では、電極間の対向空間(ギャップ)を挟んで左側にソースガス供給部、右側にガス排気部を設けて、ガス供給部からガス排気部方向へ水平にソースガスを流している。これによりソースガスが電極間以外の部分へ抜けて行くのを少なくし、もってチャンバー内壁面でソースガスの成分が堆積するのを抑制している。
このような従来技術においては、ガス供給部からガス排気部方向へソースガスを流すために、その方向への気流が必要である。このため特許文献1の装置では、チャンバー内の雰囲気圧力を数100Pa〜十数万Paに制御している。
特開2003−49273号公報 特開2013−029499号公報の段落0075
しかしながら、プラズマCVDによる成膜技術においては、チャンバー内の圧力を100Pa未満の圧力で使用することがある。たとえば特許文献2では成膜中のチャンバー内の圧力が0.1Pa〜50Paとなっている。このような低い圧力の場合、ガス供給部からガス排気部方向への気流がほとんど発生しない。このため特許文献1のように2つの電極間の対向空間部分を挟んでガス供給部とガス排気部を設けただけでは、対向空間部分以外へもソースガスが抜けて行ってしまい、チャンバー内壁面でのソースガス成分の堆積を十分に抑制することができない。
そこで本発明の目的は、チャンバー内の圧力にかかわらず、2つの電極によって形成された対向空間部分以外のチャンバー内へのソースガスの抜けを従来よりも抑制して、良質な機能性フィルム製造することのできるプラズマCVD装置を提供することである。また、チャンバー内壁面での堆積物に由来した微粒子やフレークを減少させることで膜質を向上させることのできる機能性フィルム製造方法、およびこの製造方法により膜質を向上させた機能性フィルムを提供することである。
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)真空に減圧されたチャンバー内において長尺状の基材を連続的に搬送しながら、前記基材の表面に連続的に薄膜を成膜するプラズマCVD装置であって、
前記チャンバー内に設けられ、
前記基材が巻き掛けられる第1電極ロールと、
前記基材の搬送経路の下流において、前記基材が巻き掛けられて、当該巻き掛けられて部分が前記第1電極ロールの前記基材が巻き掛けられた部分と対向するように、前記第1電極ロールとの間で対向空間をあけて対向する位置に設けられた第2電極ロールと、
前記対向空間に向けて前記薄膜を形成するためのソースガスを供給するガス供給部と、
前記ガス供給部から前記対向空間を挟んで重力方向下方に設けられ、少なくとも前記対向空間の幅より広い開口部を有し、前記チャンバーに着脱自在なガス排気部と、
を有することを特徴とするプラズマCVD装置。
(2)前記第1電極ロールおよび前記第2電極ロールと前記ガス排気部の開口部壁端との間隔は、0.5〜5mmであることを特徴とする(1)に記載のプラズマCVD装置。
(3)前記開口部の開口幅は前記第1電極ロールおよび前記第2電極ロールのそれぞれの中心間の距離以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のプラズマCVD装置。
(4)前記開口部を覆うガス排気部用蓋と、
前記チャンバーから前記ガス排気部を取り外す際に、前記チャンバー内が真空状態のままで前記開口部に蓋をするように前記ガス排気部用蓋を移動させる蓋開閉機構部と、
をさらに有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一つに記載のプラズマCVD装置。
(5)前記開口部を前記第1電極ロールおよび前記第2電極ロールに対して、近接離間させるアクチュエーターをさらに有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一つに記載のプラズマCVD装置。
(6)前記開口部を前記第1電極ロールおよび前記第2電極ロールに対して、近接離間させるアクチュエーターをさらに有し、
前記ガス排気部用蓋により前記ガス排気部の前記開口部に蓋をする際は、前記開口部を前記アクチュエーターによって前記第1電極ロールおよび前記第2電極ロールから遠ざけてから蓋をすることを特徴とする(4)記載のプラズマCVD装置。
(7)真空に減圧されたチャンバー内において長尺状の基材を連続的に搬送しながら、前記基材の表面に連続的に薄膜を形成することにより機能性フィルムを製造する機能性フィルム製造方法であって、
前記基材が巻き掛けられる第1電極ロールと、前記第1電極ロールに対して前記基材の搬送経路の下流であり前記基材が巻き掛けられて当該巻き掛けられた部分が前記第1電極ロールの前記基材が巻き掛けられた部分と対向するように前記第1電極ロールとの間で対向空間をあけて対向する位置に設けられた第2電極ロールとに電圧を印加しながら、ガス供給部から前記対向空間に向けて前記薄膜を形成するためのソースガスを供給して前記対向空間にプラズマを発生させる一方、前記ガス供給部から前記対向空間を挟んで重力方向下方に設けられていて少なくとも前記対向空間の幅より広い開口部を有した前記チャンバーから取り外し自在なガス排気部により前記ソースガスを排気しつつ、前記第1電極ロールおよび前記第2電極ロールに巻き掛けた前記基材を連続的に搬送することにより、前記基材の表面に連続的に前記薄膜を形成する、ことを特徴とする機能性フィルムの製造方法。
(8)前記ガス排気部は交換が必要な場合に前記チャンバーから取り出して、クリーニング済みの前記ガス排気部と交換することを特徴とする(7)に記載の機能性フィルムの製造方法。
(9)前記ガス排気部を交換する際には、前記チャンバー内が真空状態のままで前記ガス排気部の開口部を覆うガス排気部用蓋により蓋をした後、前記チャンバー内を常圧にして交換することを特徴とする(8)に記載の機能性フィルムの製造方法。
(10)前記(7)〜(9)のいずれか一つの機能性フィルムの製造方法により製造された機能性フィルム。
(11)前記機能性フィルムはガスバリアフィルムであり、1000m以上の前記基材に少なくともケイ素、酸素および炭素を含む薄膜を成膜した後、前記搬送方向の後端から20mの位置での水蒸気透過率が1.5×10−4(g/m/day)以下であることを特徴とする(10)に記載の機能性フィルム。
本発明によれば、ガス供給部に対して2つの電極ロールにより形成される対向空間を挟んで重力方向下方のガス排気部を設けて、しかもこのガス排気部の開口部の大きさを少なくとも対向空間よりも大きくした。これによりソースガスのうち成膜に寄与しなかったソースガスのほとんどを排気することができ、チャンバー内壁面へソースガス成分の堆積を従来よりも抑制することができる。したがって、チャンバー内壁面での堆積物が剥離して微粒子やフレークとなって成膜中の薄膜への混入することを防止でき、品質の安定した機能性フィルムの連続生産を実現することができる。
本発明の実施形態1に係るプラズマCVD装置を説明するための概略図である。 ガス供給部、第1電極ロール、第2電極ロール、およびガス排気部を示した概略図であって、第1電極ロールおよび第2電極ロールの長手方向のほぼ中央部を横切る概略断面図である。 ガス供給部、第1電極ロール、第2電極ロール、およびガス排気部を示した概略図であって、第1電極ロールおよび第2電極ロールの長手方向を見た(図2中矢印A方向から見た)概略平面図である。 本発明の実施形態2に係るプラズマCVD装置を説明するための概略図であって、ガス供給部、第1電極ロール、第2電極ロール、およびガス排気部を、第1電極ロールおよび第2電極ロールの長手方向のほぼ中央部を横切る概略断面図であり、開口部に蓋をしていない状態を示している。図5は開口部に蓋(後述)をした状態を示している 本発明の実施形態2に係るプラズマCVD装置を説明するための概略図であって、ガス供給部、第1電極ロール、第2電極ロール、およびガス排気部を、第1電極ロールおよび第2電極ロールの長手方向のほぼ中央部を横切る概略断面図であり、開口部に蓋をした状態を示している。 本発明の実施形態3に係るプラズマCVD装置を説明するための概略図である。
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施形態を説明する。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係るプラズマCVD装置を説明するための概略図である。
実施形態1のプラズマCVD装置1はチャンバー10を備える。チャンバー10内には、送り出しロール100、搬送ロール101〜104、第1電極ロール105、第2電極ロール106、ガス供給部130、ガス排気部141、巻き取りロール107が収容されている。ガス排気部141には排気接続管147を介して真空ポンプ142が接続されており、この真空ポンプ142によりチャンバー10内が減圧されて内部の圧力が調整される。本実施形態では、チャンバー10内を約0.1〜100Pa程度の高真空(高減圧)状態を作り出すことができるようにしている。
送り出しロール100は、成膜前の長尺状の基材120が巻き取られた状態で設置される。送り出しロール100は、回転することにより基材120を巻き出しながら送り出す。なお、機能性フィルムの連続生産を実現し、機能性フィルムの生産性を向上させるために、たとえば、一つが1000mの長さを有する基材をテープにより連結し、その長さが数千mに達するようにした長尺のものを用いている。複数の基材の連結にはテープに代えて基材の端部を貼り合わせて連結してもよい。なお、使用する基材はこのような複数の基材を連結した連結基材に限らず、連結のない単一の基材であってもよい。
巻き取りロール107は、基材120の搬送経路の最下流に設置され、成膜された基材120を自転により巻き取り、ロール状に収容する。
基材120は、送り出しロール100と巻き取りロール107との間で、搬送ロール101〜104、第1電極ロール105、および第2電極ロール106に巻き掛けられることにより適当な張力を保ちつつ、これらの各ロールの回転により、送り出しロール100から巻き取りロール107へ(図中矢印)搬送される。
基材120の搬送速度(ライン速度)は、ソースガスの種類やチャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/分の範囲とすることが好ましく、0.3〜30m/分の範囲とすることがより好ましい。搬送速度が当該範囲の下限未満では、フィルムに熱に起因する皺が発生し易くなる傾向があり、他方、当該範囲の上限を超えると、一回のパスで形成される薄膜の厚さが薄くなるため、複数回パスが必要となり生産性や製品収率が悪化するからである。
第1電極ロール105および第2電極ロール106は、全体が導電性部材によって形成されていて、第1電極ロール105および第2電極ロール106の対向面部分の空間(対向空間121)にプラズマを発生させるための電極となるものである。導電性部材としては、たとえばステンレスやアルミニウムなどが用いられているが、そのほか電極として機能する部材であればどのようなものであってもよい。また、表面に樹脂加工などを施し導電性部材が露出しないようにしておいてもよい。この表面樹脂加工は、たとえばフッ素樹脂(たとえばテフロン(登録商標))などによる加工である。電極としてのロールを金属により形成した場合に、その表面を樹脂加工することで滑らかにして、基材120との密着性をよくすることができる。
また、第1電極ロール105および第2電極ロール106は、それら自転するようにして、その回転速度を調整することで基材120の搬送速度を調整するようにしてもよい。また第1電極ロール105および第2電極ロール106は、基材120の搬送に伴い従動回転するだけであってもよい。または前記したようにロール表面を樹脂加工によって滑らかにすることで、基材120搬送中に基材120が滑るようにしておいて、第1電極ロール105および第2電極ロール106は固定されているようにしてもよい。
第1電極ロール105および第2電極ロール106としては、より効率よく薄膜を形成するという観点から、直径が同一のものを使用することが好ましい。このような第1電極ロール105および第2電極ロール106の直径としては、放電条件、チャンバー10のスペース等の観点から、5〜100cmの範囲とすることが好ましい。
このように第1電極ロール105および第2電極ロール106上に基材120が配置されることにより、基材120の表面は互いに対向することになる。そして第1電極ロール105と第2電極ロール106との間の対向空間121に放電を行ってプラズマを発生させることで、電極ロール105、106間に存在する基材120のそれぞれの表面を同時に成膜することが可能になる。すなわち、CVD法により、第1電極ロール105上で基材120の表面上に膜成分を堆積させ、さらに第2電極ロール106上に膜成分を堆積させることができるため、基材120の表面上に薄膜層を効率よく形成することが可能となる。
第1電極ロール105と第2電極ロール106にはプラズマ発生用電源150が接続されている(プラズマ発生用電源150から第1電極ロール105と第2電極ロール106への電線は図示一点鎖線とした)。このプラズマ発生用電源150から第1電極ロール105と第2電極ロール106とに電力を供給して放電させる。このプラズマ発生用電源150としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、一対の電極ロール105、106の極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源等)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源150が各電極ロール105、106に印加する電力は、原料ガスの種類やチャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるものであり一概に言えるものではないが、0.1〜10kWの範囲とし、周波数を50Hz〜500kHzとすることが好ましい。このような印加電圧が当該範囲の下限以上であればパーティクルの発生を少なく抑えることができ、他方、当該範囲の上限以下であれば成膜時に発生する熱量が大きくならないので、基材120に対する熱ダメージを小さく抑えることができる。プラズマ発生用電源150としては、適宜公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。
ガス供給部130はガス供給管130aおよび130bにより構成され、ガス供給管130aおよび130bに設けられたガス放出口から対向空間121方向(すなわち重力方向下方)へ薄膜形成のためのソースガスが放出される。複数のガス供給管130aおよび130bのうち一つはソースガス用、他の一つはキャリアガス用などとして用いられる。このような複数のガス供給管を設ける場合には、たとえば対向空間121に近い方のガス供給管130bからソースガスを放出し、遠い方のガス供給管130aからキャリアガスを放出する。なお、図においては2本のガス供給管130aおよび130bを示したが、これは1本であってもよいし、複数のソースガスを別々に供給するために3本以上あってもよい。
ガス排気部141は、ガス供給部130から対向空間121を経たソースガスを捕集するための開口部145と排気管146を有する。そしてガス排気部141の少なくとも開口部145は防着板としての機能を兼ね備える。また、ガス排気部141は、開口部145および排気管146が一体的にチャンバー10に対して着脱自在となっている。なお、チャンバー10内の排気管146は、チャンバー10の外でチャンバー10に接続されている排気接続管147に着脱自在に接続できるようになっていて、チャンバー10外部にある真空ポンプ142に接続される。
ここでガス供給部130、第1電極ロール105、第2電極ロール106、およびガス排気部141の配置を詳細に説明する。
図2はガス供給部、第1電極ロール、第2電極ロール、およびガス排気部を示した概略図であって、第1電極ロールおよび第2電極ロールの長手方向のほぼ中央部を横切る概略断面図である。また、図3はガス供給部、第1電極ロール、第2電極ロール、およびガス排気部を示した概略図であって、第1電極ロールおよび第2電極ロールの長手方向を見た(図2中矢印A方向から見た)概略平面図である。
ガス供給部130を構成する複数のガス供給管130aおよび130bは、第1電極ロール105および第2電極ロール106の長手方向と同じ方向に延在する管状の形状を有しており、第1電極ロール105および第2電極ロール106の長手方向に複数設けられた穴131(図3参照)から対向空間121に向けてソースガス(またはキャリアガスなど)を放出する。
ガス排気部141は、開口部145と、開口部145につながる排気管146を有する。開口部145は、少なくとも第1電極ロール105および第2電極ロール106によって形成されている対向空間121部分を覆うようにできている。具体的には開口部145の開口幅Wは第1電極ロール105および第2電極ロール106のそれぞれの中心O間の距離L以上となるようにしている。図2においては、開口部145の開口幅Wは第1電極ロール105および第2電極ロール106のそれぞれの中心O間の距離Lと等しくしている。
ここで開口部145の開口幅Wについて説明する。対向空間121においてプラズマが発生する領域は、電極である第1電極ロール105および第2電極ロール106のそれぞれの円弧状の面が対向する部分の範囲内であり、しかも第1電極ロール105および第2電極ロール106のそれぞれの円弧状の面が対向する部分の端から端(すなわちロールの直径に相当する範囲)まで発生するものではなく、円弧状の面の中央部分近傍であり、おおむね図示したP部分の領域である。そしてプラズマが発生した部分にソースガスが供給されることでソースガスの成分が分解し、ラジカルとなって反応しやすくなり、このソースガスの分解生成物やラジカルが基材に付着して堆積することで成膜が行われる。
このため開口部145の開口幅Wは、少なくともプラズマ発生領域Pを覆う範囲となっていれば、プラズマによって生成したソースガスの分解生成物やラジカルなどは捕集することができるようになる。そして、好ましくは開口部145の開口幅Wを第1電極ロール105および第2電極ロール106のそれぞれの中心Oの位置までとすることである。このようにすればプラズマ発生領域である第1電極ロール105および第2電極ロール106のそれぞれの円弧状の面が対向する部分を確実に覆うことができ、プラズマによって生成したソースガスの分解生成物やラジカルなどのうち、薄膜形成に寄与しなかった余分なものは確実に捕集することができるようになる。
一方、第1電極ロール105および第2電極ロール106の長手方向には、各ロール端の位置と同一かそれより大きくなるようにしている(図3参照)。これにより第1電極ロール105および第2電極ロール106の長手方向においてもプラズマ発生領域を確実に覆うようにすることができる。
また、第1電極ロール105および第2電極ロール106と開口部145の壁の端部との間隔hは、極力小さくなるように近接させる。この間隔hは、搬送系の機械的精度、たとえば第1電極ロール105および第2電極ロール106の回転時の振れ、基材搬送中における基材120の振れやばたつきなどに応じて、基材120を搬送した状態で、開口部145の壁の端部が基材120に接触しない距離を保つことができれば近いほどよい。具体的には、第1電極ロール105および第2電極ロール106と開口部145の壁の端部との間隔は、(基材がない状態で)0.5〜5mm程度となるようにしている。基材の厚さは数μm〜数100μmであるので、現在の機械的精度からしてこの程度の間隔があれば、開口部145壁端と基材が接触することはない。そして、開口部145の開口幅Wの大きさとあいまって、成膜に寄与しなかったソースガス成分は隙間からほとんど抜け出すことなく、開口部145に捕集されて排気させることができる。なお、基材が厚い場合は、それに応じて隙間が広くなるように、第1電極ロール105および第2電極ロール106とガス排気部141との設置位置を調整すればよい。
このような開口部145の大きさおよび開口部145の壁の端部と第1電極ロール105および第2電極ロール106とのそれぞれの隙間hの距離を保つことで、ソースガスが開口部145の壁の端部と第1電極ロール105および第2電極ロール106との間から抜けて、チャンバー10内壁面にソースガスによる生成物が堆積するのを防止または抑制することができる。
また、ガス排気部141は、少なくとも開口部136が防着板としての機能を備える。ガス排気部141は排気管146および開口部145が一体化しており、排気部全体としてチャンバー10に対し着脱自在となっている。これにより、クリーニングによる非稼働時間を少なくすることができる。
ここでガス排気部141がチャンバー10内に固定されていると仮定した場合は、防着板として機能したガス排気部141に付着した生成物をクリーニングしている間、CVD装置として稼働させることができなくなる。この点本実施形態のように、ガス排気部141を着脱自在としておくことで、ガス排気部141にソースガスによる生成物が許容量を超えて付着した時点で、クリーニング済みのもの(当然に新品で堆積物のないものを含む)に交換することで非稼働時間を少なくできるのである。
ガス供給部130からガス排気部141への方向は重力方向となっている。すなわち、ガス供給部130は、第1電極ロール105と第2電極ロール106とによって形成された対向空間121の上方に配置されている。一方、ガス排気部141は対向空間121の下方に配置されている。
本実施形態では、チャンバー10内の圧力は100Pa未満で運用することを想定している。したがってガス供給部130からソースガスやキャリアガスが放出されたとしても、ガス排気部141方向へ気流がほとんどない。このため、もし、チャンバー10内で浮遊している微粒子やフレークなどが対向空間部分に浮遊してくる場合も考えられる。そこで本実施形態では、重力方向に向けてガスを流すようにして、対向空間部分に浮遊してくる微粒子やフレークなどはガス排気部141の方へ自然落下させるようにしたのである。自然落下した浮遊物はガス排気部141から外部に排出されるため、再び舞い上がってチャンバー10内で浮遊し続けて、基材120表面へ付着するのを防止することができる。
ガス供給部130(ガス供給管)、ガス排気部141(排気管146および開口部145)には、ステンレスやアルミニウムなどの金属素材、真空中で使用可能な樹脂材料、セラミックス等を使用することができ、これらは一般的なプラズマCVD装置と同様である。
次に、本実施形態のプラズマCVD装置を用いた機能性フィルムの製造方法を説明する。ここでは機能性フィルムとして、ガスバリアフィルムを製造する場合について説明する。
ガスバリアフィルムは水蒸気および酸素の透過を防止できるフィルムまたはシートであり、たとえば、有機電子デバイスの基板に用いられることで有機電子デバイスが水蒸気等に接触することによる素子の劣化を防止できる。有機電子デバイスに使用されるガスバリアフィルムには水蒸気等に対するより高い遮断性能が求められており、特に、有機EL用ガスバリアフィルムには有機ELの劣化を抑制するために、食品や医薬品等に要求される水蒸気透過率の1/10000以下の水蒸気透過率の性能が求められている。
基材120は、たとえば、樹脂または樹脂を含有する複合材料からなるフィルムまたはシートである。
基材120を構成する樹脂は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアクリロニトリル樹脂、アセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルファイド(PES)であり、これらの組合せであってもよい。
基材120の厚さは、たとえば5μm〜500μmとすることができる。これらのプラスチックフィルムは、密着性向上のための公知の種々の処理、たとえばコロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、またはプラズマ処理等が行われていても良い。また、帯電防止層、ハードコート層、アンカーコート層等の機能層を有していても良い。
そして、ガスバリアフィルムは、上記樹脂または樹脂を含有する複合材料からなるフィルムまたはシートを基材120として、この少なくとも一方の面に水蒸気および酸素の透過を防止する薄膜を形成するのである。この薄膜の形成にプラズマCVD装置を用いるのである。
薄膜の形成に用いるソースガス(原料ガス)としては、形成する薄膜の材質に応じて適宜選択して使用することができる。原料ガスとしては、たとえばケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることができる。有機ケイ素化合物の具体例としては、たとえば、ヘキサメチルジシロキサン(以下、「HMDSO」と称する)、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサンが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、化合物の取り扱い性及び得られる薄膜のガスバリア性等の特性の観点から、HMDSO、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ソースガスとしては、原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、たとえば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、たとえば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができ、たとえば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
また、ソースガスに加えて、必要に応じてキャリアガスを用いてもよい。さらに、プラズマ放電を効率よく発生させるために、必要に応じて放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガスおよび放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、たとえば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス、水素を用いることができる。
本実施形態のプラズマCVD装置によるガスバリアフィルムの製造方法は以下の通りである。
まず、ソースガスの種類、形成する薄膜の厚さなどに応じて、第1および第2電極ロール105および106に印加される電力、チャンバー10内の圧力、基材120の搬送速度を適宜調整する(あらかじめ本装置のコントローラー(不図示)にこれらを設定する)。
そして、チャンバー10内が常圧の状態で送り出しロール100に、長尺の基材120をセットし、基材120の端を取り出して、搬送ロール101〜104、第1電極ロール105、第2電極ロール106などを経るように引き出して、巻き取りロール107に固定する。
その後、チャンバー10を密閉した後、内部を設定した圧力になるまで減圧する。チャンバー内圧力が設定圧力となったのち、ソースガスをチャンバー10内に供給しつつ、一対の電極ロール105、106間に高周波電圧を印加して放電させ、同時に基材120を設定した搬送速度で搬送する。これによりソースガスは対向空間121に生じたプラズマによって分解され、第1電極ロール105上の基材120の表面上並びに第2電極ロール106上の基材120の表面上に薄膜が形成される。このときチャンバー10内は、設定した圧力を維持するために常にガス排気部141に接続された真空ポンプ142により、いわゆる真空引きが行われている。このため、対向空間121を通過したソースガスやプラズマによってソースガスが分解した分子やラジカルなどの一部はガス排気部141に付着するものの、そのほかはガス排気部141を通して外部に排出されることになる。
所定回数の成膜動作後、チャンバー10内からガス排気部141を取り外してクリーニング済みのガス排気部141に交換する。その後はさらに成膜動作を続けることになる。
チャンバー10内から取り出したガス排気部141(排気管146と開口部145)は、別途機械的な研磨や、エッチングなどによりガス排気部141(排気管146と開口部145)に付着した生成物を取り除いてクリーニングを行って、次回の使用に備えておくようにする。なお、ガス排気部141を取り外すタイミングは、所定回数の成膜動作後に限らず、送り出しロール100に基材120をセットする際(つまりチャンバー10内を開けた際)に、開口部145に付着している生成物の厚さを測って(または目視により)、所定厚さ以上の生成物の付着が認められるときに取り外して交換するようにしてもよい。
以上のようにして、本実施形態によるプラズマCVD装置を用いることで、ガスバリア効果の高いガスバリアフィルムを製造することができる。
(実施形態2)
図4および図5は本発明の実施形態2に係るプラズマCVD装置を説明するための概略図であって、ガス供給部、第1電極ロール、第2電極ロール、およびガス排気部を、第1電極ロールおよび第2電極ロールの長手方向のほぼ中央部を横切る概略断面図である。図4は開口部に蓋(後述)をしていない状態、すなわち成膜中と同じ状態(ただし基材については図示省略してある)を示し、図5は開口部に蓋(後述)をした状態を示している。
実施形態2のプラズマCVD装置2は、チャンバー10を備える。チャンバー10内には、送り出しロール100、搬送ロール101〜104、第1電極ロール105、第2電極ロール106、ガス供給部130、ガス排気部141、巻き取りロール、ガス排気部用蓋201および蓋開閉機構部202が収容されている。ガス排気部141には、排気接続管147を介して真空ポンプ142が接続されており、この真空ポンプ142によりチャンバー10が減圧されて内部の圧力が調整される。本実施形態2でも、チャンバー10内を約0.1〜100Pa程度の高真空(高減圧)状態を作り出すことができるようにしている。
そして本実施形態2においては、ガス排気部141の開口部145が第1電極ロール105および第2電極ロール106に対して近接離間できるようになっている。また、ガス排気部用蓋201および蓋開閉機構部202によってガス排気部141の開口部145に蓋ができるようになっている。そのほかの構成は、実施形態1と同じであるので、説明は省略する。
実施形態2のガス排気部141は、2重管構造となったガス排気管147および148を有する。内側の管147が開口部145と接続されており、外側の管148は台座140に固定されている。なお、外側の管148は、台座140を通してここでは図示しない排気接続管(図1参照)に接続されている。
開口部145には、開口部145を第1電極ロール105および第2電極ロール106に対して近接離間させるためのアクチュエーター149が取り付けられている。図示したアクチュエーター149は開口部145と台座140との間で伸縮することで開口部145を第1電極ロール105および第2電極ロール106に対して近接離間させるようになっている。アクチュエーター149は、高真空状態で使用できるものであればどのようなものでもよく、たとえば、ボールネジ、エアーシリンダー、オイルシリンダーなどを使用可能である。
ガス排気部用蓋201は、開口部145が第1電極ロール105および第2電極ロール106から離れた状態にしたときに、蓋開閉機構部202によって開口部145に移動されて、開口部145に蓋をする。
蓋開閉機構部202はたとえばロボットアームである。蓋開閉機構部202は台座140に固定されている。この蓋開閉機構部202は、開口部145に蓋をするときはチャンバー10内が真空状態のときに、開口部145が第1電極ロール105および第2電極ロール106から離れたときにガス排気部用蓋201を移動させて蓋をする。また、逆に、蓋を外す時はチャンバー10内が常圧状態のときに、開口部145にかぶせてある蓋を外すように動作する。
これらガス排気部141、アクチュエーター149、蓋開閉機構部202は、台座140ごとチャンバー10に対して着脱自在になっている。
本実施形態2におけるプラズマCVD装置の動作を説明する。
成膜動作は実施形態1と同様である。そして、所定回数の成膜後(または開口部145の堆積物が所定厚さとなった場合または目視によりガス排気部141を交換すべきとなった場合)において、ガス排気部141を取り外す際の動作が実施形態1と異なる。
本実施形態2では、ガス排気部141を交換する際には、チャンバー10内を真空状態としたままで、かつ好ましくはガス排気部141からの排気を続けたままで、開口部145を第1電極ロール105および第2電極ロール106から離す方向(図では下方)に、アクチュエーター149を動作させる。続いて、蓋開閉機構部202によってガス排気部用蓋201を移動させて開口部145に蓋をする(図5参照)。
なお、ガス排気部141からの排気は止めておいてもよい。これはチャンバー内部は真空状態であるため気流がほとんどないので、蓋締め動作中に仮にガス排気部141内に堆積した堆積物がはがれたりしても舞い上がることはほとんどないためである。しかし、仮にはがれた堆積物が舞い上がったりするような場合を考慮して、好ましくはガス排気部141からの排気を続けているのである。
その後、ガス排気部用蓋201によって開口部145に蓋をされた状態でチャンバー10内に外気を導入して真空状態を解除する。外気の導入は、ガス供給管130を通して行ってもよいし、図示ないが、チャンバー10に別途設けられた外気導入口を開放することで行うようにしてもよい。
その後、チャンバー10内が常圧となれば、チャンバー10を開放して台座140ごとガス排気部141、アクチュエーター149、蓋開閉機構部202を外部へ取り出す。そして、クリーニング済みのガス排気部141、アクチュエーター149、蓋開閉機構部202を台座140ごと取り付けて、次の成膜動作への準備を行うことになる。
その後、次の成膜動作では、ガス排気管の開口部145にガス排気部用蓋201が載っているので、これを蓋開閉機構部202によって移動させて開口部145を開いたのち、アクチュエーター149によりガス排気部141を上昇させて第1電極ロール105および第2電極ロール106に近接させる。その後、次の成膜動作を実行することになる。
一方、外部へ取り出したガス排気部141およびアクチュエーター149を乗せた台座140は、ガス排気管とアクチュエーター149、台座140に分解してクリーニングを行い、その後台座140上に組み立てて、次の使用のための準備を整えておくことになる。
このように本実施形態2では、ガス排気部141を取り外す際に開口部145に蓋をすることとしたので、チャンバー10内を常圧に戻すための外気導入時に、外気導入に伴う気流によって開口部145や排気管147および148内などに付着した堆積物がはがれたり舞い上がったりすることを防止することができる。
また、ガス排気部141、アクチュエーター149、蓋開閉機構部202を台座140ごと外部へ取り出すこととしたのでで、たとえば、チャンバー10内でガス排気部141をアクチュエーター149から分離するなどの作業を行う場合と比較して、取り出しにかかる作業時間を短縮することができる。また、チャンバー内をクリーニングする際にチャンバー内部の構築物が少なくなり、クリーニングし易い。なお、これに代えて、チャンバー10内でガス排気部141をアクチュエーター149から分離してガス排気部141のみを取り出すようにしてもよく、その場合でも、外気導入時における開口部145や排気管146内などに付着した堆積物のはがれや舞い上がりを防止する効果は得られる。
このように本実施形態2では、ガス排気管の取り出し時おける堆積物のはがれや舞い上がりを防止して、チャンバー10内の汚染をより一層防ぐことができる。
(実施形態3)
本実施形態3は、実施形態2の変形形態である。図6は、本発明の実施形態3に係るプラズマCVD装置を説明するための概略図である。
実施形態3のプラズマCVD装置2は、ガス排気部用蓋201により開口部145に蓋をするため機構が実施形態2と異なるのみである。したがって、ここではガス排気部用蓋と蓋開閉機構部についてのみ説明し、その他の構成は実施形態1または2と同じであるので説明は省略する。
実施形態3のガス排気部用蓋201は、開口部145に対してスライドすることで蓋ができるように設けられている。このために開口部145の上端外側にはガス排気部用蓋201をスライドさせるためのローラ203が取り付けられている。また開口部145の上端近傍の壁面にガイド溝204が設けられている。ローラ203はモータなどの駆動源(不図示)によって回転する。したがって、本実施形態3ではローラ203、ガイド溝204、および駆動源が蓋開閉機構部となる。
ここで、ガス排気部用蓋201は板状のものを使用する。そして、たとえばガス排気部141の開口部145のうち、図示するようにガス排気部用蓋201をスライドさせる方の壁端を他方の壁端より低くしておいて、そこを通してガイド溝203に沿ってガス排気部用蓋201をスライドさせるようにする。これにより第1電極ロール105および第2電極ロール106とガス排気部141の開口部壁端との間隔hが0.5〜5mm程度であっても、第1電極ロール105および第2電極ロール106と干渉することなく、ガス排気部用蓋201をスライドさせて開口部145に蓋をすることができる。また、既に実施形態2において説明したとおり、ガス排気部用蓋201により開口部145に蓋をする際には、成膜動作は終了した後であるため、蓋をする動作のために、基材や成膜後の機能性フィルムに傷をつけるなどといったことは起こらない。
なお、ローラ203に代えてギアを用いたり、伸縮するアクチュエーターを用いたりしてガス排気部用蓋201をスライドさせるようにしてもよい。
本実施形態3においては、ガス排気部141を取り外す際はチャンバー10内が真空状態のままで、かつ好ましくはガス排気部141からの排気を続けたままで、ガス排気部用蓋201をスライドさせて開口部145に蓋をする。その後、チャンバー10内を常圧にしてガス排気部141を取り出すことになる。このときガス排気部141に取り付けられているローラ203なども一緒に取り出すことになる。なお、蓋締め動作中のガス排気部141からの排気は実施形態2と同じ理由により止めておいてもよい。
そのほかの成膜動作やガス排気管取り出し後のクリーニングなどは、実施形態2と同じであるので説明は省略する。
このようにガス排気部用蓋201をスライド式とすることで、実施形態2のように、ガス排気部141を第1電極ロール105および第2電極ロール106に対して近接離間させる必要がなくなるので、そのためのアクチュエーターなどが不要になる。
(実施例)
次に、実際に実施形態1と同様の装置を用いてガスバリアフィルムを製造した実施例を説明する。
(1)装置構成
実施形態1と同様のプラズマCVD装置を用いて成膜した。このとき、使用した装置においては、ガス排気部開口部の開口幅Wは第1電極ロール105および第2電極ロール106のそれぞれの中心O間距離Lと同じになるようにした。
また、第1電極ロール105および第2電極ロール106とガス排気部開口部145の壁端との間隔hは、1.0mmとした(基材がない状態での間隔)。
(2)基材
2軸延伸ポリエチレンナフタレート(PENフィルム、厚み:100μm、帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)を使用した。
(3)ソースガス
原料ガスとしてのHMDSOと、反応ガスおよび放電ガスとしての酸素ガスとの混合ガスを使用した。
(4)成膜条件
下記の成膜条件によりSiOCからなる薄膜を成膜したガスバリアフィルムを製造した。
基材長さ(連結基材):3000m
HMDSOの供給量:100sccm(0℃、1気圧基準)
酸素ガスの供給量:1000sccm
チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源による印加電圧:1.6kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
基材の搬送速度:1.0m/分
(比較例)
比較例として、装置構成を変えて前記実施例と同様の基材、ソースガスおよび成膜条件により成膜した。比較例における装置構成は、ガス排気部開口部の開口幅は第1電極ロール105および第2電極ロール106の対向部の間隔より狭く、かつ、第1電極ロール105および第2電極ロール106とガス排気部開口部の壁端との距離(隙間h)は、(基材を通さない状態で)、20mmとした。
(評価)
実施例および比較例により製造したガスバリアフィルムの水蒸気透過率を測定した。
[評価方法]
連続成膜された実施例と比較例のガスバリアフィルムを用いて水蒸気透過率(Water Vapor Transmission Rate、以下、「WVTR」と称する)を測定した。
評価装置はMOCON社製Aquatran、評価条件は温度:40℃、相対湿度:90%である。
[結果]
(実施例)
成膜時における基材搬送方向の先端から20mにおいて、1.5×10−4(g/m/day)であった。
成膜時における基材搬送方向の後端から20mにおいて、1.5×10−4(g/m/day)であった。
(比較例)
成膜時における基材搬送方向の先端から20mにおいて、1.6×10−4(g/m/day)であった。
成膜時における基材搬送方向の後端から20mにおいて、5.2×10−2(g/m/day)であった。
これらの結果から実施例においては、比較例よりもWVTRがよいことがわかる。しかも同じ成膜条件でありながら、実施例では先端部分でも、後端部分でも大きな違いはない。一方、比較例では、後端部分の方が先端部分よりWVTRが低下している。したがって、実施例では製造中における品質の低下がないことがわかる。
また、実施例では、成膜終了後、チャンバー内壁面における堆積物は目視によりほとんど認められなかったが、比較例ではチャンバー内壁面に堆積物のあることが目視によりはっきりとわかる程度に付着していた。このことから、比較例におけるはWVTRの低下は、チャンバー10内の汚染であることがわかった。
また、実施例の結果から、3000mの基材において、先端側と後端側で水蒸気透過率はほとんど変化していない。このことから3000mを越える長い基材においても、本発明を適用することで、ソースガスに起因した堆積物による成膜した薄膜の劣化はほとんどなく、全長に渡り良好な品質の成膜を行うことができる。もちろん、3000mより短い基材であっても良好な成膜を行うことができる。
以上説明した本発明の実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)実施形態1〜3によれば、ガス供給部に対して対向空間を挟んで重力方向下方のガス排気部を設けた。そしてこのガス排気部の開口部の大きさを少なくとも対向空間によりも大きくした。これによりソースガスのうち成膜に寄与しなかったソースガスのほとんどを排気することができる。このためチャンバー内壁面へソースガスの成分が堆積するのを減らすことができる。したがって、チャンバー内壁面での堆積物が剥離して微粒子やフレークとなって成膜中の薄膜への混入することを防止でき、品質の安定した機能性フィルムの連続生産を実現することができる。
また、そもそもチャンバー内壁面へのソースガス成分の堆積そのものが少なくなるため、チャンバー内のクリーニング回数を少なくし、またクリーニング時間を減らすことができるようになる。したがって、チャンバー内のクリーニングによる生産停止時間(非稼働時間)をこれまでより少なくすることができるようになって機能性フィルムの生産性を向上させることができる。
(2)また、実施形態1〜3によれば、ガス供給部をチャンバーから取り外し自在として防着板の機能を兼ねるようにしたので、ガス供給部に堆積物が多くなって、この堆積物を除去しなければならないようになった場合には、ガス供給部をチャンバーから取り出して、クリーニング済みのものと交換してしまえばよい。したがって、このような堆積物が多くなった場合における生産停止時間(非稼働時間)も、これまでより少なくすることができるようになって機能性フィルムの生産性を向上させることができる。
(3)実施形態2および3によれば、ガス供給部をチャンバーから取り外す際に、チャンバー内が真空(減圧)状態のままでガス供給部の開口部に蓋をすることとしたので、チャンバーを真空(減圧)状態から常圧状態にするために気体(通常空気)を導入するときの気流で堆積物が舞い上がるのを防止することができる。したがって、堆積物が付着したガス排気部を交換する際にチャンバー内が汚染されるのを防止することができる。
以上、本発明を実施形態により説明したが、本発明は上述した実施形態や実施例に限定的に解釈されるものではない。たとえば、上述した実施形態および実施例では、機能性フィルムとしてガスバリアフィルムを例に説明したが、CVD法による様々なフィルム上への成膜に使用することができる。また、実施形態ではチャンバー内の圧力が100Pa未満で運用することを想定しているが、100Pa以上であっても使用可能であり、このような圧力が高い場合でもチャンバー内壁面へソースガス成分が堆積するのを抑制することができる。
また、プラズマCVD装置の構成として、たとえばプラズマ生成領域に磁場を印加するなど、プラズマCVD装置のガス排気部以外の構成については様々な形態があるので、それらの構成を含んでいてもよい。
また、アクチュエーターは蓋をするために設けたが(実施形態2)、この蓋を設けることなく、アクチュエーターだけを設けてもよい。このようにアクチュエーターだけを設けることで、ガス排気部を交換する際の作業性をよくすることができる。これは開口部と電極ロールのと間隔が最短で0.5mmとすると、ガス排気部の交換の際に電極ロールとガス排気部の隙間が短くて作業性が悪い。そこでアクチュエーターを設けることで、ガス排気部の開口部を電極ロールから下方に離して、その隙間を大きくすることができるので、ガス排気部の交換作業が容易になるのである。
そのほか、本発明は特許請求の範囲によって解釈されるものであって、様々な変形形態などが可能であることは言うまでもない。
1 プラズマCVD装置、
10 チャンバー、
105 第1電極ロール、
106 第2電極ロール、
121 対向空間、
130 ガス供給部、
140 台座、
141 ガス排気部、
142 真空ポンプ、
145 開口部、
146、147、148 排気管、
149 アクチュエーター、
201 ガス排気部用蓋、
202 蓋開閉機構部、
203 ローラ、
204 ガイド溝。

Claims (11)

  1. 真空に減圧されたチャンバー内において長尺状の基材を連続的に搬送しながら、前記基材の表面に連続的に薄膜を成膜するプラズマCVD装置であって、
    前記チャンバー内に設けられ、
    前記基材が巻き掛けられる第1電極ロールと、
    前記基材の搬送経路の下流において、前記基材が巻き掛けられて、当該巻き掛けられて部分が前記第1電極ロールの前記基材が巻き掛けられた部分と対向するように、前記第1電極ロールとの間で対向空間をあけて対向する位置に設けられた第2電極ロールと、
    前記対向空間に向けて前記薄膜を形成するためのソースガスを供給するガス供給部と、
    前記ガス供給部から前記対向空間を挟んで重力方向下方に設けられ、少なくとも前記対向空間の幅より広い開口部を有し、前記チャンバーに着脱自在なガス排気部と、
    を有することを特徴とするプラズマCVD装置。
  2. 前記第1電極ロールおよび前記第2電極ロールと前記ガス排気部の開口部壁端との間隔は、0.5〜5mmであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマCVD装置。
  3. 前記開口部の開口幅は前記第1電極ロールおよび前記第2電極ロールのそれぞれの中心間の距離以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマCVD装置。
  4. 前記開口部を覆うガス排気部用蓋と、
    前記チャンバーから前記ガス排気部を取り外す際に、前記チャンバー内が真空状態のままで前記開口部に蓋をするように前記ガス排気部用蓋を移動させる蓋開閉機構部と、
    をさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のプラズマCVD装置。
  5. 前記開口部を前記第1電極ロールおよび前記第2電極ロールに対して、近接離間させるアクチュエーターをさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のプラズマCVD装置。
  6. 前記開口部を前記第1電極ロールおよび前記第2電極ロールに対して、近接離間させるアクチュエーターをさらに有し、
    前記ガス排気部用蓋により前記ガス排気部の前記開口部に蓋をする際は、前記開口部を前記アクチュエーターによって前記第1電極ロールおよび前記第2電極ロールから遠ざけてから蓋をすることを特徴とする請求項4記載のプラズマCVD装置。
  7. 真空に減圧されたチャンバー内において長尺状の基材を連続的に搬送しながら、前記基材の表面に連続的に薄膜を形成することにより機能性フィルムを製造する機能性フィルム製造方法であって、
    前記基材が巻き掛けられる第1電極ロールと、前記第1電極ロールに対して前記基材の搬送経路の下流であり前記基材が巻き掛けられて当該巻き掛けられた部分が前記第1電極ロールの前記基材が巻き掛けられた部分と対向するように前記第1電極ロールとの間で対向空間をあけて対向する位置に設けられた第2電極ロールとに電圧を印加しながら、ガス供給部から前記対向空間に向けて前記薄膜を形成するためのソースガスを供給して前記対向空間にプラズマを発生させる一方、前記ガス供給部から前記対向空間を挟んで重力方向下方に設けられていて少なくとも前記対向空間の幅より広い開口部を有した前記チャンバーから取り外し自在なガス排気部により前記ソースガスを排気しつつ、前記第1電極ロールおよび前記第2電極ロールに巻き掛けた前記基材を連続的に搬送することにより、前記基材の表面に連続的に前記薄膜を形成する、ことを特徴とする機能性フィルムの製造方法。
  8. 前記ガス排気部は交換が必要な場合に前記チャンバーから取り出して、クリーニング済みの前記ガス排気部と交換することを特徴とする請求項7に記載の機能性フィルムの製造方法。
  9. 前記ガス排気部を交換する際には、前記チャンバー内が真空状態のままで前記ガス排気部の開口部を覆うガス排気部用蓋により蓋をした後、前記チャンバー内を常圧にして交換することを特徴とする請求項8に記載の機能性フィルムの製造方法。
  10. 前記請求項7〜9のいずれか一つの機能性フィルムの製造方法により製造された機能性フィルム。
  11. 前記機能性フィルムはガスバリアフィルムであり、1000m以上の前記基材に少なくともケイ素、酸素および炭素を含む薄膜を成膜した後、前記搬送方向の後端から20mの位置での水蒸気透過率が1.5×10−4(g/m/day)以下であることを特徴とする請求項10に記載の機能性フィルム。
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