JP2014188492A - 膜エレメント及び膜エレメントの製造方法 - Google Patents

膜エレメント及び膜エレメントの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014188492A
JP2014188492A JP2013068851A JP2013068851A JP2014188492A JP 2014188492 A JP2014188492 A JP 2014188492A JP 2013068851 A JP2013068851 A JP 2013068851A JP 2013068851 A JP2013068851 A JP 2013068851A JP 2014188492 A JP2014188492 A JP 2014188492A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ceramic particles
base material
membrane element
fluid flow
filtration membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013068851A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuya Uenaka
哲也 上中
Shintaro Nishimoto
信太郎 西本
Keiji Watanabe
桂史 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kubota Corp filed Critical Kubota Corp
Priority to JP2013068851A priority Critical patent/JP2014188492A/ja
Publication of JP2014188492A publication Critical patent/JP2014188492A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

【課題】材料の選択幅を広げながらも、焼成時に亀裂や剥離が発生しづらく、十分な強度のろ過膜が形成できる膜エレメント及び膜エレメントの製造方法を提供する。
【解決手段】流体通流孔3が貫通形成された多孔質の基材6と、流体通流孔3の内表面または基材6の外表面に形成されたろ過膜4とを備えて構成される膜エレメントであって、ろ過膜4は、流体通流孔3の内表面または基材6の外表面に塗布されたスラリー状のセラミック粒子を焼成することにより形成され、セラミック粒子は、屈曲部を有することでセラミック粒子同士が互いに複数点で接触可能なセラミック粒子が使用される。
【選択図】図1

Description

本発明は、膜エレメント及び膜エレメントの製造方法に関し、詳述すると、流体通流孔が貫通形成された多孔質の基材と、流体通流孔の内表面または基材の外表面に形成されたろ過膜とを備えて構成される膜エレメント及び膜エレメントの製造方法に関する。
特許文献1には、製品歩留まりを向上させるとともに製造工程を簡素化して、生産性よく濾過流体の流動抵抗が小さい膜エレメントを提供することを目的として構成された膜エレメントが開示されている。
図1に示すように、当該膜エレメントは、一対の対向面間に貫通し被処理流体を案内する複数本の流体通流孔3と、流体通流孔3に沿って少なくとも対向面6a,6bの一方の面6aで閉塞され側面6cで開口するように形成されたスリット5とが形成された基材である多孔質のセラミックス成形体6が、各セラミックス成形体6に形成された流体通流孔3同士が連通するように複数段接合され、各流体通流孔3の内周面にろ過膜層4が形成されている。尚、ろ過膜層4が流体通流孔3の内周面ではなく、基材の外表面に形成されていてもよい。
特開2012−179505号公報
特許文献1に開示されたような膜エレメントは、セラミックス製の多孔質体を基材として、その基材に形成された流体通流孔の内表面または基材の外表面に、球状や礫状のアルミナやジルコン等を主材としたスラリーをコーティングして焼成することにより、基材の細孔径よりも小さな孔径のろ過膜層が形成される。
図6(a)には、球状アルミナのスラリーで形成された膜表面の顕微鏡写真が示され、図6(b)には、礫状ジルコンのスラリーで形成された膜表面の顕微鏡写真が示されている。
しかし、基材の細孔径が中心径で5〜10μmであるのに対して、ろ過膜層を形成するためのスラリーの構成粒子径は、大きくても2.5μm程度であるため、基材表面から内部にスラリーが浸潤し、或いは基材表面で液だれが発生して良好なろ過膜層を形成するのが困難であった。
そこで、アルギン酸ナトリウムやアルギン酸アンモニウムのような助剤がスラリーに添加されて、適度な粘性を持たせたスラリーを塗布することによってろ過膜が形成されていたが、十分な膜厚を確保するためには助剤の添加量や主材のスラリー濃度を増やす必要があり、経済性に欠けるという問題があり、このようにしてコーティングされたろ過膜層であっても、焼成する際にクラックや剥離が発生しやすく、強固なろ過膜層を形成するのは容易でなかった。
図6(c)には、スラリーが塗布された後に焼成された流体通流孔の断面が示されている。写真の白丸で囲まれた領域は、基材表面から内部に膜材であるスラリーが浸潤して落ち込み、ろ過膜が形成されていないことが判る。また、図6(d)には、スラリーが塗布された後に焼成された流体通流孔の表面が示されている。写真からろ過膜表面に粗大な孔が発現し、また所々に亀裂が発生していることが判る。
そこで、ろ過膜の亀裂や剥離の発生を回避するため、基材の線膨張率とろ過膜を構成するセラミックスの線膨張率が大きく異なることがないように、基材やろ過膜のセラミックス材料を調製する必要があり、材料の選択幅が狭く、多大な手間が掛かるという問題があった。
本発明の目的は、材料の選択幅を広げながらも、焼成時に亀裂や剥離が発生しづらく、十分な強度のろ過膜が形成できる膜エレメント及び膜エレメントの製造方法を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による膜エレメントの第一の特徴構成は、特許請求の範囲の請求項1に記載した通り、流体通流孔が貫通形成された多孔質の基材と、前記流体通流孔の内表面または前記基材の外表面に形成されたろ過膜とを備えて構成される膜エレメントであって、前記ろ過膜は、前記流体通流孔の内表面または前記基材の外表面に塗布されたセラミック粒子を焼成することにより形成され、前記セラミック粒子は、屈曲部を有することでセラミック粒子同士が互いに複数点で接触可能である点にある。
従来の球状や礫状のセラミック粒子を用いたスラリーによる流体通流孔の内表面または基材の外表面の塗布層では、互いの流動性を妨げるような力が作用しにくいために、基材に浸潤し或いは液だれが発生し易く、また焼成時には亀裂や剥離が発生しやすいという傾向が見られる。しかし、屈曲部を有するセラミック粒子を用いたスラリーによる流体通流孔の内表面または基材の外表面の塗布層では、セラミック粒子同士が屈曲部を介して互いに複数点で接触して絡み合うような状態になり、スラリーの流動性を妨げるような力が作用するため、基材に浸潤することが抑制されるとともに液だれの発生も効果的に抑制されるようになる。しかも、そのような状態で焼成されると、焼成時にセラミック粒子同士の接触点に作用する力が互いに打ち消し合うようになり、塗布層で亀裂や剥離の発生が効果的に抑制されるようになる。尚、少なくともセラミック粒子の一箇所に屈曲部が形成されていればよく、複数の屈曲部が形成されていてもよい。また、ここでいう「屈曲」とは、棒状のものが折れ曲がったという意味だけでなく、断面が大きく変化する態様も含む広い概念である。
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、多孔質の基材と、前記基材の表面に形成されたろ過膜とを備え、前記基材とろ過膜を透過する流体をろ過する膜エレメントであって、前記ろ過膜は、前記基材の表面に塗布されたセラミック粒子を焼成することにより形成され、前記セラミック粒子は、屈曲部を有することでセラミック粒子同士が互いに複数点で接触可能である点にある。
同様に、屈曲部を有するセラミック粒子を用いたスラリーによる基材の表面のろ過膜層では、セラミック粒子同士が屈曲部を介して互いに複数点で接触して絡み合うような状態になり、スラリーの流動性を妨げるような力が作用するため、基材に浸潤することが抑制されるとともに液だれの発生も効果的に抑制されるようになる。しかも、そのような状態で焼成されると、焼成時にセラミック粒子同士の接触点に作用する力が互いに分散し合うようになり、塗布層で亀裂や剥離の発生が効果的に抑制されるようになる。
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記セラミック粒子の屈曲部が括れ部で形成されている点にある。
セラミック粒子の周長が一部で短くなる括れ部を備えていると、互いに括れ部を中心に複数個所で接触して絡み合うような状態になり、上述の作用が顕著に現れるようになる。括れ部を備えたセラミック粒子の形状として、例えば瓢箪型やL字型が例示される。
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記セラミック粒子の屈曲部が枝状の分岐部で形成されている点にある。
セラミック粒子に枝状の分岐部が形成されていると、互いに分岐部を中心に複数個所で接触して絡み合うような状態になり、上述の作用が顕著に現れるようになる。分岐部を備えたセラミック粒子の形状として、例えば多足型の消波ブロック(テトラポッド(登録商標))形状や松葉型等が例示される。
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記基材の平均空隙径が5〜20μmの範囲であり、前記セラミック粒子の平均粒子径が0.25〜2.5μmの範囲であり、前記ろ過膜の平均膜厚が10〜100μmの範囲に設定されている点にある。
例えば、基材の平均空隙径が5〜20μmであれば、ろ過抵抗を低減しつつ強度を保つことができ、セラミック粒子の平均粒子径が0.25〜2.5μmであり、ろ過膜の平均膜厚が10〜100μmであれば、ろ過抵抗を低減しつつ被処理物を確実に分離することができる。
本発明による膜エレメントの製造方法の第一の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、流体通流孔が貫通形成された多孔質の基材と、前記流体通流孔の内表面または基材の外表面に形成されたろ過膜とを備えて構成される膜エレメントの製造方法であって、予め焼成された前記基材の流体通流孔の内表面または基材の外表面にセラミック粒子のスラリーを塗布する塗布工程と、塗布工程の後に、前記基材を焼成して前記ろ過膜を形成する焼成工程と、を含み、前記スラリーは、屈曲部を有することで互いに複数点で接触可能であるセラミック粒子を含むセラミック粒子で調製されている点にある。
少なくとも、ろ過膜を構成するスラリーに屈曲部を有することで互いに複数点で接触可能であるセラミック粒子が含まれていれば、他に球状や礫状のセラミックスが含まれていても、屈曲部を有するセラミック粒子同士が屈曲部を介して互いに複数点で接触して絡み合うような状態になり、スラリーの流動性を妨げるような力が作用して、基材に浸潤することが抑制されるとともに液だれの発生が抑制される。また、焼成時に屈曲部を有するセラミック粒子同士の接触点に作用する力が互いに分散し合うようになり、塗布層で亀裂や剥離の発生が効果的に抑制されるようになる。
同第二の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記スラリーを構成するセラミック粒子の添加量は、溶媒に対して5重量%以上に調製されている点にある。
スラリーを構成する当該セラミック粒子の添加量は、溶媒に対して5重量%以上に調製されていると、当該セラミック粒子同士が互いに複数点で接触して流動性が抑制されるようになり、基材への浸潤や液だれの発生が抑制され、また、焼成時の亀裂や剥離の発生も効果的に抑制されるようになる。しかも、増粘のための助剤の添加量も減らすことができる。
以上説明した通り、本発明によれば、材料の選択幅を広げながらも、焼成時に亀裂や剥離が発生しづらく、十分な強度のろ過膜が形成できる膜エレメント及び膜エレメントの製造方法を提供することができるようになった。
本発明による膜エレメントの説明図 膜エレメントの構成要素である多孔質体の説明図で、(a)は正面、平面及び右側面を表す斜視図、(b)は背面、底面及び左側面を表す斜視図 膜エレメントを用いたろ過工程の説明図 (a)は膜エレメントの一部を破断して、ろ過膜層が形成された流体通流孔の表面の説明図、(b)は流体通流孔の表面に形成されたろ過膜の断面の顕微鏡写真の説明図、(c)は流体通流孔の表面に形成されたろ過膜の表面の顕微鏡写真の説明図 (a),(b),(c)は本発明によるセラミック粒子の顕微鏡写真の説明図、(d)は2個のセラミック粒子が互いに複数個所で接触している状態の説明図 (a)は従来の球状セラミック粒子によるろ過膜層の表面の顕微鏡写真の説明図、(b)は従来の礫状セラミック粒子によるろ過膜層の表面の顕微鏡写真の説明図、(c)は流体通流孔の表面に形成された従来のろ過膜の断面の顕微鏡写真の説明図、(d)は流体通流孔の表面に形成された従来のろ過膜の表面の顕微鏡写真の説明図
以下に、本発明による膜エレメント及び膜エレメントの製造方法について説明する。
図1には本発明による膜エレメント2の一例が示されている。膜エレメント2は接合材層11を介して接合された複数のセラミックス成形体6で構成されている。
図2(a),(b)に示すように、当該セラミックス成形体6は略直方体形状を呈し、一対の対向する端面6a,6b間に複数本の流体通流孔3が貫通形成されている。セラミックス成形体6には、一端が基端側端面6aで閉じ、他端が対向側端面6bで開放されるとともに側面6c,6dで開放された複数のスリット5が形成されている。
対向側端面6bから視て、中心から側面6dに延びるように形成された2本のスリット5と、当該2本のスリット5と直交するように側面6cに延びるように形成された6本のスリット5によって、流体通流孔3が8ブロックに区画され、流体通流孔3が中心に1本形成されるとともに各ブロックに10本形成されている。
本実施形態では、セラミックス成形体6は縦50mm、横50mm、高さ40mmの直方体形状であり、直径が3.6mmの流体通流孔3が81本形成され、各流体通流孔3の内壁面にはろ過膜が形成されている。
このようなセラミックス成形体6は、例えば100μm前後の粒径に造粒されたセラミック粒状体をプレス成型することや、セラミック粒子を混練し、押出成型することにより得られる。本実施形態では、プレス成形により得られる方法を説明する。
即ち、先ず数μmから数十μmのムライト(3Al2O3・2SiO2)系セラミックスに水と有機バインダ等を添加してスラリー状のセラミックスを生成し、当該スラリー状のセラミックスをスプレーで噴霧しながら乾燥させるスプレードライ法を用いることにより造粒する。
次に、スリット5に対応した複数本の突起が形成された下パンチに、流体通流孔3を形成するためのコアピンを立設し、セラミック造粒体をダイスに投入した後に上パンチを下パンチに向けて押圧することによってセラミックス成形体6が得られる。
スプレードライ法を用いて所定の粒径に造粒したセラミック粒状体をプレス成形すると、それより粒径が小さなセラミックスそのものをプレス成形する場合よりも多孔質体の微小開口径が大きくなり、膜エレメントとして用いる場合に、それだけ濾過水の流動抵抗の上昇を抑制することができる。
さらに、複数のセラミックス成形体6の各対向面6a,6b間に接合材を介し、流体通流孔3同士が重畳して連通するように位置決めされた状態で、約1時間、約1000〜1300℃程度の温度で焼成することにより、複数のセラミックス成形体6が一体に接合された多孔質体でなる長尺の基材が形成される。
接合用セラミックス薄層体11aは、セラミックス成形体6を構成するセラミック材料を含むセラミック材料や他のセラミック材料と結合剤との混練物にて構成されている。
当該混練物は、例えば、40μm以下の粒子径のインド長石、ソーダライムガラス、ムライト等のセラミック材料を所定の混合比で配合し、結合剤を加えて混練することにより得られる。結合剤として、PVB(ポリビニルブチラール)やPVA(ポリビニルアルコール)等のポリビニル系のバインダ樹脂やアクリル系のバインダ樹脂等を用いることができる。
このようにして、セラミックス成形体6が複数段積層され、例えば7段の場合には高さ280mm(40mm×7)の多孔質の基材が形成される。尚、一般的には、基材は押出成形により一体に形成される場合が多く。本実施形態の態様に限るものではない。
最後に、所定のセラミック粒子に水とバインダと増粘剤を添加したスラリーを、最下層のセラミックス成形体6の流体通流孔3から圧入して、流体通流孔3の内周面に塗布し、その後、約1000〜1300℃程度の温度で焼成処理することにより流体通流孔3の内周面にろ過膜層4(図1参照)が形成される。
図3に示すように、このようにして構成された膜エレメント2の流体通流孔3の上端側を閉塞して下端側から被処理水を圧入すると、流体通流孔3の内壁に形成されたろ過膜層4で不純物が除去されるろ過工程が進み、ろ過水が基材の表面やスリット5から流出するので、当該ろ過水を集水することにより被処理水を浄化することができる。
尚、以上の説明では、基材としての多孔質のセラミックス成形体6に形成された流体通流孔3の内壁にろ過膜を形成する例を説明したが、基材であるセラミックス成形体6の外表面にろ過膜を形成した膜エレメント2を構成してもよい。この場合も流体通流孔3に被処理水を圧入すると、セラミックス成形体6の外表面に形成されたろ過膜からろ過水が得られるようになる。また、流体通流孔が形成されていない平板状の基材を用い、周囲の水密性を確保することによって、膜エレメントを構成することも可能である。
以下に、ろ過膜について詳述する。ろ過膜は、流体通流孔3の内表面またはセラミックス成形体6(以下、「基材6」とも表記する。)の外表面に塗布されたスラリー状のセラミック粒子を焼成することにより形成されることは既に説明したが、特に本発明では、屈曲部を有することでセラミック粒子同士が互いに複数点で接触可能な形状のセラミック粒子が使用される。
図5(a),(b),(c)には、このようなセラミック粒子の倍率を変えた顕微鏡写真(SEM写真)が示されている。また、図5(d)には、屈曲部を有するセラミック粒子同士が複数点で接触している状態が示されている。
球状のセラミック粒子が互いに接触する際には対向する1点で接触するのみであり、接触点では互いに引き離す方向へ力が作用するか、互いに離隔する方向へ力が作用するかに限られるので、焼成時に剥離や亀裂が発生しやすい。
しかし、屈曲部を有するセラミック粒子を用いたスラリーによる流体通流孔3の内表面または基材6の外表面の塗布層では、セラミック粒子同士が屈曲部を介して互いに複数点で接触して絡み合うような状態になり、スラリーの流動性を妨げるような力が作用するため、基材6に浸潤することが抑制されるとともに液だれの発生も効果的に抑制されるようになる。
しかも、そのような状態で焼成されると、焼成時にセラミック粒子同士の接触点に作用する力が互いに分散し合うようになり、塗布層で亀裂や剥離の発生が効果的に抑制されるようになる。つまり、焼成時に、複数の接触位置を作用点として、各作用点に加わる力の方向が互いに異なる確率が高く、その結果セラミック粒子同士に作用する力が全体として緩和されるので、亀裂や剥離が発生するような大きな力が作用し辛くなり安定するのである。尚、少なくともセラミック粒子の一箇所に屈曲部が形成されていればよく、複数の屈曲部が形成されていればさらに好ましい。
そして、当該セラミック粒子の屈曲部は括れ部で形成されていることが好ましく、セラミック粒子の周長が一部で短くなる括れ部を備えていると、互いに括れ部を中心に複数個所で接触して絡み合うような状態になりやすく、上述の作用が顕著に現れるようになる。括れ部を備えたセラミック粒子の形状として、例えば瓢箪型やL字型が例示される。
また、当該セラミック粒子の屈曲部は枝状の分岐部で形成されていることが好ましく、セラミック粒子に枝状の分岐部が形成されていると、互いに分岐部を中心に複数個所で接触して絡み合うような状態になり、上述の作用が顕著に現れるようになる。分岐部を備えたセラミック粒子の形状として、例えば多足型の消波ブロック(テトラポッド(登録商標))形状や松葉型等が例示される。
上述の基材6の平均空隙径は5〜20μmの範囲にあり、ろ過膜を構成するセラミック粒子の平均粒子径は0.25〜2.5μmの範囲であり、ろ過膜の膜厚が10〜100μmの範囲にあることが好ましく、被処理物を効率的にろ過できる膜エレメント2が実現できるようになる。また、基材6の平均空隙径が5〜10μmの範囲にあり、ろ過膜を構成するセラミック粒子の平均粒子径が0.5〜1.0μmの範囲であり、ろ過膜の膜厚が40〜80μmの範囲にあることがさらに好ましい。
つまり、本発明による膜エレメントの製造方法は、流体通流孔3が貫通形成された多孔質の基材6と、流体通流孔3の内表面または基材6の外表面に形成されたろ過膜4とを備えて構成される膜エレメントの製造方法であって、予め焼成された基材6の流体通流孔3の内表面または基材の外表面にセラミック粒子のスラリーを塗布する塗布工程と、塗布工程の後に、基材6を焼成してろ過膜4を形成する焼成工程とを含んで構成され、スラリーは、屈曲部を有することで互いに複数点で接触可能であるセラミック粒子を含むセラミック粒子で調製されている。
そして、スラリーを構成するセラミック粒子の添加量は、溶媒に対して5重量%以上、より好ましくは30重量%以下に調製されていることが好ましく、当該セラミック粒子同士が互いに複数点で接触して流動性が抑制されるようになり、基材6への浸潤や液だれの発生が抑制され、また、焼成時の亀裂や剥離の発生も効果的に抑制されるようになり、増粘のための助剤の添加量も減らすことができるようになる。
また、スラリーを構成するセラミック粒子のうち、屈曲部を有することで互いに複数点で接触可能であるセラミック粒子の全セラミック粒子に対する比率は
20〜100重量%の範囲に調製されていることが好ましく、必ずしも全量が屈曲部を有することで互いに複数点で接触可能であるセラミック粒子である必要はない。
また、このような屈曲部を有することで互いに複数点で接触可能であるセラミック粒子として、アルミナ系セラミックスやジルコン系セラミックス等を例示することができる。これらのセラミックス粒子は、砥石用のセラミックス材料として市販されているセラミックス粒子を用いることも可能である。
図4(a)には、基材6に形成された流体通流孔3の内表面にろ過膜4が形成される態様で、その流体通流孔3に形成されたろ過膜4が流体通流孔3の軸心方向に露出するように、基材6の一部が切り欠かれた様子が示されている。
そして、図4(b)には、当該ろ過膜4の断面の顕微鏡写真が示され、図4(c)には、当該ろ過膜4の表面の顕微鏡写真が示されている。図4(b)から明らかなように、基材6の表面から所定厚みで安定したろ過膜4が形成されていることが判る。また、図4(c)から明らかなように、ろ過膜4の表面は安定しており、亀裂や剥離や凹み孔等は全く発現していないことが判る。図6(c),(d)と対比するとその差は明瞭である。
スラリーを最下層のセラミックス成形体6の流体通流孔3から圧入して、流体通流孔3の内周面に塗布する場合、スラリーの粘性が低いと流体通流孔3の内周面から液だれが生じて、流体通流孔3の下部側に比べて上部側でろ過膜層の膜厚が薄くなる傾向が顕著になるが、屈曲部を有することで互いに複数点で接触可能であるセラミック粒子を用いれば、流動性が抑制されるので同じ粘性のスラリーを用いても膜厚の傾斜は抑制されるようになる。
また、屈曲部を有することで互いに複数点で接触可能であるセラミック粒子であれば、従来のように基材6の線膨張率とほぼ同等の線膨張率を示すセラミック粒子に制限されることがなくなり、材料選択の自由度が上がる。また、増粘のための助剤として分子量が小さく、低粘性で取扱い性のよい安価な助剤を用いることができるようにもなる。
本発明による膜エレメント及び膜エレメントの製造方法に用いられるセラミック粒子の具体的形状は、上述した実施形態で説明した態様に限定されるものではなく、本発明による作用効果を奏する範囲において適宜選択可能であることはいうまでもない。
2:膜エレメント
3:流体通流孔
4:ろ過膜層
5:スリット
6:セラミックス成形体層

Claims (7)

  1. 流体通流孔が貫通形成された多孔質の基材と、前記流体通流孔の内表面または前記基材の外表面に形成されたろ過膜とを備えて構成される膜エレメントであって、
    前記ろ過膜は、前記流体通流孔の内表面または前記基材の外表面に塗布されたセラミック粒子を焼成することにより形成され、
    前記セラミック粒子は、屈曲部を有することでセラミック粒子同士が互いに複数点で接触可能である膜エレメント。
  2. 多孔質の基材と、前記基材の表面に形成されたろ過膜とを備え、前記基材とろ過膜を透過する流体をろ過する膜エレメントであって、
    前記ろ過膜は、前記基材の表面に塗布されたセラミック粒子を焼成することにより形成され、
    前記セラミック粒子は、屈曲部を有することでセラミック粒子同士が互いに複数点で接触可能である膜エレメント。
  3. 前記セラミック粒子の屈曲部が括れ部で形成されている請求項1または2記載の膜エレメント。
  4. 前記セラミック粒子の屈曲部が枝状の分岐部で形成されている請求項1または2記載の膜エレメント。
  5. 前記基材の平均空隙径が5〜20μmの範囲であり、前記セラミック粒子の平均粒子径が0.25〜2.5μmの範囲であり、前記ろ過膜の平均膜厚が10〜100μmの範囲に設定されている請求項1から4の何れかに記載の膜エレメント。
  6. 流体通流孔が貫通形成された多孔質の基材と、前記流体通流孔の内表面または前記基材の外表面に形成されたろ過膜とを備えて構成される膜エレメントの製造方法であって、
    予め焼成された前記基材の流体通流孔の内表面または前記基材の外表面にセラミック粒子のスラリーを塗布する塗布工程と、
    塗布工程の後に、前記基材を焼成して前記ろ過膜を形成する焼成工程と、
    を含み、
    前記スラリーは、屈曲部を有することで互いに複数点で接触可能であるセラミック粒子を含むセラミック粒子で調製されている膜エレメントの製造方法。
  7. 前記スラリーを構成するセラミック粒子の添加量は、溶媒に対して5重量%以上に調製されている請求項6記載の膜エレメントの製造方法。
JP2013068851A 2013-03-28 2013-03-28 膜エレメント及び膜エレメントの製造方法 Pending JP2014188492A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013068851A JP2014188492A (ja) 2013-03-28 2013-03-28 膜エレメント及び膜エレメントの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013068851A JP2014188492A (ja) 2013-03-28 2013-03-28 膜エレメント及び膜エレメントの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014188492A true JP2014188492A (ja) 2014-10-06

Family

ID=51835377

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013068851A Pending JP2014188492A (ja) 2013-03-28 2013-03-28 膜エレメント及び膜エレメントの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014188492A (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0699039A (ja) * 1992-09-21 1994-04-12 Noritake Co Ltd モノリス型セラミックフィルター
JP2010528835A (ja) * 2007-05-31 2010-08-26 コーニング インコーポレイテッド 特定の気孔形成剤を用いて多孔質支持体に無機多孔質被膜を形成する方法
JP2012179505A (ja) * 2011-02-28 2012-09-20 Kubota Corp 膜エレメント、膜モジュール、及び膜エレメントの製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0699039A (ja) * 1992-09-21 1994-04-12 Noritake Co Ltd モノリス型セラミックフィルター
JP2010528835A (ja) * 2007-05-31 2010-08-26 コーニング インコーポレイテッド 特定の気孔形成剤を用いて多孔質支持体に無機多孔質被膜を形成する方法
JP2012179505A (ja) * 2011-02-28 2012-09-20 Kubota Corp 膜エレメント、膜モジュール、及び膜エレメントの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS61117182A (ja) 多孔セラミツク構造物
JP6547033B2 (ja) セラミックプラスチック複合体及びその製造方法
CN104888616B (zh) 一种大孔金属表面制备微孔金属层的方法
US20120104640A1 (en) Method for Producing a Sintered Body
US20150017464A1 (en) Porous sintered body and process for producing porous sintered body
DE59907061D1 (de) Keramische flachmembran und verfahren zu ihrer herstellung
KR100861078B1 (ko) 비대칭 다층 세라믹 필터 및 그 제조 방법과 이를 이용한정수 시스템
JP2014188492A (ja) 膜エレメント及び膜エレメントの製造方法
KR20120076073A (ko) 세라믹 필터 및 그 제조방법
KR100881444B1 (ko) 나노기공 금속 분리막 제조방법
JP6609547B2 (ja) モノリス型分離膜構造体
RU2579713C2 (ru) Способ изготовления фильтрующего материала
TWM552428U (zh) 陶瓷塑料複合體
CN208308711U (zh) 多孔薄膜坯体以及多孔薄膜前驱体
TWI607796B (zh) Porous substrate and oscillating assembly
CN204894689U (zh) 一种表面疏水的双层聚丙烯薄膜
JP5132831B1 (ja) 多孔質セラミック焼成体のディスクの製造装置およびそのディスク
WO2016039331A1 (ja) ハニカム構造体の製造方法
CN211411285U (zh) 一种极薄冲孔网
JP6261245B2 (ja) セラミックス構造体の製造方法、膜エレメントの製造方法、接合材、及び接合材の製造方法
JP4933740B2 (ja) セラミックフィルタの製造方法
JP5930876B2 (ja) セラミックス成形体、膜エレメント、セラミックス成形体の製造方法、セラミックス構造体の製造方法、及び膜エレメントの製造方法
CN218182452U (zh) 一种分段式组合低频陶瓷谐振器、滤波器
JP2004025276A (ja) 高温用セラミックフィルターおよびそれを用いる溶融金属の濾過方法
JP6608595B2 (ja) トンネル付きセラミック部材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151222

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160809

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161003

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20161206