JP2014185326A - ポリアミドイミド樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ポリアミドイミド樹脂組成物に関する。
ポリアミドイミド樹脂は、分子骨格中にアミド結合とイミド結合とを有する樹脂である。ポリアミドイミド樹脂を合成する方法としては、生産性の面から、トリメリット酸無水物とジイソシアネートとを用いるイソシアネート法が多く利用されている(例えば、特許文献1、2)。種々のジイソシアネートを用いるなどして機械特性が改善されたポリアミドイミド樹脂(例えば、特許文献3)は、ポリイミド樹脂の代替として、例えば、複写機の中間転写ベルト(シームレスベルト)の材料に用いられ得る。しかし、ポリアミドイミド樹脂は、樹脂構造中にアミド結合を有するため、ポリイミド樹脂に比べて吸湿しやすいという問題がある。このようなポリアミドイミド樹脂を、複写機の中間転写ベルトの材料として使用すると、吸湿により寸法が変化し、色ズレが生じる。
ポリアミドイミド樹脂の吸湿を抑制する方法としては、ポリアミドイミド樹脂で構成されたフィルムに多価アルコールを含浸する方法が提案されている(特許文献4)。しかし、この方法は、含浸・洗浄を要して工程が複雑化してしまい、コスト面での問題がある。また、ポリジメチルシロキサンをポリアミドイミド樹脂に導入する方法が提案されている(特許文献5)。しかし、この方法は、ポリジメチルシロキサンの反応性が低く十分に吸湿を抑制できないという問題があり、また、コスト面での問題もある。このように、コスト面の優位性を損なわずに、吸湿による寸法変化の小さいポリアミドイミド樹脂フィルムを得ることは困難である。
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、機械特性に優れ、かつ、吸湿し難く吸湿による寸法変化の小さい樹脂フィルムを簡便安価に形成し得るポリアミドイミド樹脂組成物を提供することにある。
本発明のポリアミドイミド樹脂組成物は、ポリアミドイミド樹脂(A)と、一般式(1)で表される脂肪族リン酸エステル(B)とを含む:
式(1)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、炭素数が3〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和炭化水素基、または炭素数が3〜10の直鎖状もしくは分岐状の不飽和炭化水素基である。
好ましい実施形態においては、上記ポリアミドイミド樹脂(A)が、トリカルボン酸無水物を含む酸成分と、末端水酸基をジイソシアネートで変性したポリオールを含むジイソシアネート成分とを反応させて得られる。
好ましい実施形態においては、本発明のポリアミドイミド樹脂組成物は、導電性フィラーをさらに含む。
本発明の別の局面によれば、樹脂フィルムが提供される。この樹脂フィルムは、上記ポリアミドイミド樹脂組成物を用いて得られる。
本発明のさらに別の局面によれば、シームレスベルトが提供される。このシームレスベルトには、上記樹脂フィルムが用いられる。
式(1)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、炭素数が3〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和炭化水素基、または炭素数が3〜10の直鎖状もしくは分岐状の不飽和炭化水素基である。
好ましい実施形態においては、上記ポリアミドイミド樹脂(A)が、トリカルボン酸無水物を含む酸成分と、末端水酸基をジイソシアネートで変性したポリオールを含むジイソシアネート成分とを反応させて得られる。
好ましい実施形態においては、本発明のポリアミドイミド樹脂組成物は、導電性フィラーをさらに含む。
本発明の別の局面によれば、樹脂フィルムが提供される。この樹脂フィルムは、上記ポリアミドイミド樹脂組成物を用いて得られる。
本発明のさらに別の局面によれば、シームレスベルトが提供される。このシームレスベルトには、上記樹脂フィルムが用いられる。
本発明のポリアミドイミド樹脂組成物は、炭素数が3〜10の炭化水素基を有する脂肪族リン酸エステルを含むことにより、機械特性に優れ、かつ、吸湿し難く吸湿による寸法変化の小さい樹脂フィルムを形成することができる。
A.ポリアミドイミド樹脂組成物
本発明のポリアミドイミド樹脂組成物は、ポリアミドイミド樹脂(A)と脂肪族リン酸エステル(B)とを含む。脂肪族リン酸エステル(B)は、炭素数が3〜10の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基を有する。本発明においては、ポリアミドイミド樹脂(A)のアミド結合における水素原子と脂肪族リン酸エステル(B)の酸素原子とが相互作用することにより、水分のポリアミドイミド樹脂(A)への接近を阻害して、ポリアミドイミド樹脂(A)が吸湿することを防止していると考えられる。なお、上記相互作用は、例えば、NMR等の分光分析により確認することができる。
本発明のポリアミドイミド樹脂組成物は、ポリアミドイミド樹脂(A)と脂肪族リン酸エステル(B)とを含む。脂肪族リン酸エステル(B)は、炭素数が3〜10の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基を有する。本発明においては、ポリアミドイミド樹脂(A)のアミド結合における水素原子と脂肪族リン酸エステル(B)の酸素原子とが相互作用することにより、水分のポリアミドイミド樹脂(A)への接近を阻害して、ポリアミドイミド樹脂(A)が吸湿することを防止していると考えられる。なお、上記相互作用は、例えば、NMR等の分光分析により確認することができる。
本発明のポリアミドイミド樹脂組成物中のポリアミドイミド樹脂(A)のアミド結合量Aモルと、脂肪族リン酸エステル(B)のモル数Bモルとの比B/Aは、好ましくは、0.1〜0.7である。B/Aが0.1より小さい場合、脂肪族リン酸エステル(B)が水分のポリアミドイミド樹脂(A)への接近を阻害するという効果を十分に得られないおそれがある。B/Aが0.7より大きい場合、ポリアミドイミド樹脂(A)と相互作用していない脂肪族リン酸エステル(B)の量が多くなり、相互作用していない脂肪族リン酸エステル(B)が吸湿するおそれがある。また、樹脂フィルムを形成する際に過剰な脂肪族リン酸エステル(B)がブリードするおそれがある。1つの実施形態においては、B/Aは、好ましくは0.1〜0.6であり、より好ましくは0.1〜0.5であり、さらに好ましくは0.1〜0.4であり、特に好ましくは0.1〜0.3であり、最も好ましくは0.1〜0.2である。このような範囲であれば、吸湿し難く、かつ、機械特性に優れる樹脂フィルムを形成し得るポリアミドイミド樹脂組成物を得ることができる。別の実施形態においては、B/Aは、好ましくは0.1〜0.65であり、より好ましくは0.2〜0.55であり、さらに好ましくは0.3〜0.5であり、特に好ましくは0.4〜0.5である。このような範囲であれば、吸湿性が顕著に低い樹脂フィルムを形成し得るポリアミドイミド樹脂組成物を得ることができる。
ポリアミドイミド樹脂(A)のアミド結合量Aモルは、以下のようにして算出することができる。
1.ポリアミドイミド樹脂組成物(A)を構成する繰り返し単位の平均式量Muの算出:ポリアミドイミド樹脂(A)を構成する各繰り返し単位の式量(M1、M2、M3・・・・Mx)と該各繰り返し単位の共重合比(m1、m2、m3・・・・mx)とから、Mu=M1×m1+M2×m2+M3×m3+・・・・・+Mx×mxの式により、繰り返し単位の平均式量Muを算出する。各繰り返し単位の式量Mxは、ポリアミドイミド樹脂組成物(A)の合成に用いられるモノマーの分子量から求められる。各繰り返し単位の共重合比mxは、モノマーのモル比から求められる。例えば、1種のモノマーを含む酸成分と2種以上のモノマー(ジイソシアネートモノマー)を含むジイソシアネート成分とを反応させてポリアミドイミド樹脂組成物を合成する場合、上記繰り返し単位は、ジイソシアネートモノマーの種類の数に応じて複数種生成され、それぞれ、酸成分中のモノマー1つと、ジイソシアネート成分中のモノマー1つとから構成される。各繰り返し単位を構成するモノマーの分子量から各繰り返し単位の式量Mxが算出される。また、ポリアミドイミド樹脂を構成するジイソシアネートモノマーのモノマー比(各ジイソシアネートモノマーのモル数/ジイソシアネートモノマーの総モル数)をもとに、各繰り返し単位の共重合比mxが算出される。
2.数平均分子量Mnの測定:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)により、ポリアミドイミド樹脂(A)の数平均分子量Mnを測定する。
3.平均重合度Pnの算出:Mn/Muの式により、ポリアミドイミド樹脂(A)の平均重合度Pn、すなわちポリアミドイミド樹脂(A)1モル当たりの上記繰り返し単位の数を算出する。
4.ポリアミドイミド樹脂(A)1モル当たりのアミド結合量Naモル:上記繰り返し単位1つにつき、1つのアミド結合が存在するため、ポリアミドイミド樹脂(A)1モル当たりのアミド結合量Naモルは、ポリアミドイミド樹脂(A)の平均重合度Pnと同じになる。
5.ポリアミドイミド樹脂組成物(A)の添加重量と数平均分子量Mnとから算出されるポリアミドイミド樹脂(A)の添加モル数Mpと、ポリアミドイミド樹脂(A)1モル当たりのアミド結合量Naモルとから、Mp×Naの式により、ポリアミドイミド樹脂(A)のアミド結合量Aモルが求められる。
1.ポリアミドイミド樹脂組成物(A)を構成する繰り返し単位の平均式量Muの算出:ポリアミドイミド樹脂(A)を構成する各繰り返し単位の式量(M1、M2、M3・・・・Mx)と該各繰り返し単位の共重合比(m1、m2、m3・・・・mx)とから、Mu=M1×m1+M2×m2+M3×m3+・・・・・+Mx×mxの式により、繰り返し単位の平均式量Muを算出する。各繰り返し単位の式量Mxは、ポリアミドイミド樹脂組成物(A)の合成に用いられるモノマーの分子量から求められる。各繰り返し単位の共重合比mxは、モノマーのモル比から求められる。例えば、1種のモノマーを含む酸成分と2種以上のモノマー(ジイソシアネートモノマー)を含むジイソシアネート成分とを反応させてポリアミドイミド樹脂組成物を合成する場合、上記繰り返し単位は、ジイソシアネートモノマーの種類の数に応じて複数種生成され、それぞれ、酸成分中のモノマー1つと、ジイソシアネート成分中のモノマー1つとから構成される。各繰り返し単位を構成するモノマーの分子量から各繰り返し単位の式量Mxが算出される。また、ポリアミドイミド樹脂を構成するジイソシアネートモノマーのモノマー比(各ジイソシアネートモノマーのモル数/ジイソシアネートモノマーの総モル数)をもとに、各繰り返し単位の共重合比mxが算出される。
2.数平均分子量Mnの測定:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)により、ポリアミドイミド樹脂(A)の数平均分子量Mnを測定する。
3.平均重合度Pnの算出:Mn/Muの式により、ポリアミドイミド樹脂(A)の平均重合度Pn、すなわちポリアミドイミド樹脂(A)1モル当たりの上記繰り返し単位の数を算出する。
4.ポリアミドイミド樹脂(A)1モル当たりのアミド結合量Naモル:上記繰り返し単位1つにつき、1つのアミド結合が存在するため、ポリアミドイミド樹脂(A)1モル当たりのアミド結合量Naモルは、ポリアミドイミド樹脂(A)の平均重合度Pnと同じになる。
5.ポリアミドイミド樹脂組成物(A)の添加重量と数平均分子量Mnとから算出されるポリアミドイミド樹脂(A)の添加モル数Mpと、ポリアミドイミド樹脂(A)1モル当たりのアミド結合量Naモルとから、Mp×Naの式により、ポリアミドイミド樹脂(A)のアミド結合量Aモルが求められる。
なお、ポリアミドイミド樹脂(A)がジイソシアネート法(後述)で得られる場合、ポリアミドイミド樹脂(A)のアミド結合量Aモルは、以下の方法で算出することもできる。すなわち、ポリアミドイミド樹脂(A)のアミド結合量Aモルは、該ポリアミドイミド樹脂(A)を構成する各ジイソシアネートモノマー中のイソシアネート基の数(i1、i2、i3、・・・・・・ix)、各ジイソシアネートモノマー中のアミド結合の数(a1、a2、a3、・・・・・・ax)、およびポリアミドイミド樹脂(A)を構成する各ジイソシアネートモノマーのモル数(Mi1、Mi2、Mi3、・・・・・・Mix)をもとに、次式(i)から算出される。
A=(i1+a1−1)×Mi1+(i2+a2−1)×Mi2+(i3+a3−1)×Mi3+・・・・・・・+(ix+ax−1)×Mix ・・・・・・(i)
A=(i1+a1−1)×Mi1+(i2+a2−1)×Mi2+(i3+a3−1)×Mi3+・・・・・・・+(ix+ax−1)×Mix ・・・・・・(i)
A−1.ポリアミドイミド樹脂(A)
上記ポリアミドイミド樹脂(A)は、例えば、トリカルボン酸無水物を含む酸成分とジイソシアネート成分とを任意の適切な溶媒中で反応させるジイソシアネート法、無水トリメリット酸クロライドとジアミンとを反応させる酸クロライド法、またはトリメリット酸無水物とジアミンとを反応させる直接重合法により合成することができる。なかでも、作業の効率性に優れることから、ジイソシアネート法が好ましい。
上記ポリアミドイミド樹脂(A)は、例えば、トリカルボン酸無水物を含む酸成分とジイソシアネート成分とを任意の適切な溶媒中で反応させるジイソシアネート法、無水トリメリット酸クロライドとジアミンとを反応させる酸クロライド法、またはトリメリット酸無水物とジアミンとを反応させる直接重合法により合成することができる。なかでも、作業の効率性に優れることから、ジイソシアネート法が好ましい。
上記酸成分中のトリカルボン酸無水物としては、例えば、トリメリット酸無水物、シクロヘキサントリカルボン酸無水物等が挙げられる。なかでも、コスト、反応性、溶解性等の面から、トリメリット酸無水物が好ましい。トリカルボン酸無水物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記酸成分には、上記トリカルボン酸無水物以外の他の酸成分を含んでいてもよい。上記他の酸成分としては、任意の適切な酸成分が用いられる。例えば、ピロメリット酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物;テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。他の酸成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記酸成分に対するトリカルボン酸無水物のモル比(トリカルボン酸無水物のモル数/酸成分の全モル数)は、好ましくは0.5〜1.0であり、より好ましくは0.7〜1.0である。
上記ジイソシアネート成分に含まれるジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、3,3´−ジメチルビフェニル−4,4´−ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。ジイソシアネートは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ジイソシアネート成分は、好ましくは芳香族ジイソシアネートを含み、より好ましくは3,3´−ジメチルビフェニル−4,4´−ジイソシアネートを含む。このような芳香族ジイソシアネートを含むジイソシアネート成分を用いれば、高弾性の樹脂フィルムを形成し得るポリアミドイミド樹脂を合成することができる。上記ジイソシアネート成分に対する芳香族ジイソシアネートのモル比(芳香族ジイソシアネートのモル数/ジイソシアネート成分のモル数)は、好ましくは0.5〜0.995であり、より好ましくは0.8〜0.995であり、さらに好ましくは0.9〜0.99である。
好ましくは、上記ジイソシアネート成分は、末端水酸基をジイソシアネートで変性したポリオール(以下、イソシアネート変性ポリオールともいう)をさらに含む。イソシアネート変性ポリオールをさらに含むジイソシアネート成分を用いれば、引っ張り弾性率が高く、かつ、耐折性に優れる樹脂フィルムを形成し得るポリアミドイミド樹脂を合成することができる。
上記イソシアネート変性ポリオールは、任意の適切な溶媒中で、ポリオールと、該ポリオールに対して2倍モル当量以上のジイソシアネートとを反応させることにより得ることができる。該反応に用いられる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、セロソルブ系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。反応温度は、例えば、100℃〜150℃に設定され得る。反応時間は、例えば、1時間〜5時間に設定され得る。
上記ポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。なかでも好ましくは、ポリエステルポリオールである。また、ポリエステルポリオールとして、分岐構造を含むポリエステルポリオールを用いることが好ましい。分岐構造を含むポリエステルポリオールを用いれば、柔軟性に優れる樹脂フィルムを形成し得るポリアミドイミド樹脂を合成することができる。
上記ポリオールと反応させるジイソシアネートとしては、任意の適切なジイソシアネートを用いることができる。例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、3,3´−ジメチルビフェニル−4,4´−ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。これらのジイソシアネートは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリオールの数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定した値)は、任意の適切な値に設定され得る。上記ポリオールの数平均分子量は好ましくは500〜8,000であり、より好ましくは1,000〜4,000である。ポリオールの数平均分子量が上記の範囲内であれば、機械特性に優れる樹脂フィルムを形成し得るポリアミドイミド樹脂組成物を得ることができる。
上記ジイソシアネート成分に対するイソシアネート変性ポリオールのモル比(イソシアネート変性ポリオール/ジイソシアネート成分の全モル数)は、好ましくは0.005〜0.2であり、より好ましくは0.01〜0.1である。
酸成分とジイソシアネート成分とを反応させる際に用いられる溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
上記ポリアミドイミド樹脂の合成には、必要に応じて、触媒を用いてもよい。該触媒としては、任意の適切な触媒を用いることができる。例えば、ジアザビシクロウンデンセン、トリエチレンジアミン、フッ化カリウム、フッ化セシウム等が挙げられる。上記触媒の添加量は、反応に用いる材料の仕込み量や反応条件等に応じて、任意の適切な値に設定され得る。
上記ポリアミドイミド樹脂の合成において、反応温度および反応時間は、適宜設定すればよい。例えば、反応温度は100℃〜250℃に、反応時間は3時間〜20時間に設定され得る。
A−2.脂肪族リン酸エステル(B)
本発明に用いられる脂肪族リン酸エステル(B)は、一般式(1)で表される。
式(1)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、炭素数が3〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和炭化水素基、または炭素数が3〜10の直鎖状もしくは分岐状の不飽和炭化水素基であり、好ましくは炭素数が3〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和炭化水素基であり、より好ましくは炭素数が3〜10の直鎖状の飽和炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数が4〜8の直鎖状の飽和炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数が4〜6の直鎖状の飽和炭化水素基である。
本発明に用いられる脂肪族リン酸エステル(B)は、一般式(1)で表される。
式(1)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、炭素数が3〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和炭化水素基、または炭素数が3〜10の直鎖状もしくは分岐状の不飽和炭化水素基であり、好ましくは炭素数が3〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和炭化水素基であり、より好ましくは炭素数が3〜10の直鎖状の飽和炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数が4〜8の直鎖状の飽和炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数が4〜6の直鎖状の飽和炭化水素基である。
上記脂肪族リン酸エステル(B)の具体例としては、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリヘキシル、リン酸トリオクチル等が挙げられる。なかでも好ましくは、リン酸トリブチルまたはリン酸トリヘキシルである。リン酸トリブチルまたはリン酸トリヘキシルを含むポリアミドイミド樹脂組成物を用いれば、吸湿しがたいことに加え、さらに、難燃性に優れる樹脂フィルムを得ることができる。A−1項で説明したように、イソシアネート変性ポリオールを含むジイソシアネート成分を用いて合成されたポリアミドイミド樹脂は、耐折性に優れる。しかしながら、その一方で、該ポリアミドイミド樹脂を単独で用いた場合、得られる樹脂フィルムは難燃性に劣るおそれがある。本発明においては、脂肪族リン酸エステル(B)として、リン酸トリブチルまたはリン酸トリヘキシルを用いることにより、この問題を解消することができる。すなわち、本発明においては、イソシアネート変性ポリオールを含むジイソシアネート成分を用いて合成されたポリアミドイミド樹脂と、リン酸トリブチルまたはリン酸トリヘキシルとを組み合わせて用いることにより、耐折性と難燃性とが高度に両立し、かつ、吸湿し難い樹脂フィルムを形成し得るポリアミドイミド樹脂組成物を得ることができる。
上記脂肪族リン酸エステル(B)は、P=O基を有するため、ポリアミドイミド樹脂(A)のアミド結合(より詳細にはアミド結合中の水素原子)と相互作用し得る。その結果、化合物(B)が、ポリアミドイミド樹脂への水分の接近を阻害して、吸湿しがたいポリアミドイミド樹脂組成物を得ることができる。このようなポリアミドイミド樹脂組成物を用いれば、吸湿による寸法変化の小さい樹脂フィルムを形成することができる。
上記脂肪族リン酸エステル(B)は、上記のように、炭素数が3以上の炭化水素基を有する。このような脂肪族リン酸エステル(B)を含む本発明のポリアミドイミド樹脂組成物を用いれば、該ポリアミドイミド樹脂組成物により樹脂フィルムを製膜する際に、脂肪族リン酸エステル(B)が気化して消失することが防止され得る。その結果、吸湿し難い樹脂フィルムを得ることができる。また、上記のように、上記脂肪族リン酸エステル(B)の炭化水素基の炭素数は、10以下である。このような脂肪族リン酸エステル(B)は、ポリアミドイミド樹脂組成物(A)との相溶性に優れ、該脂肪族リン酸エステル(B)を含むポリアミドイミド樹脂組成物によれば、機械特性に優れる樹脂フィルムを得ることができる。
上記脂肪族リン酸エステル(B)の沸点は、好ましくは200℃以上であり、より好ましくは210℃以上であり、さらに好ましくは280℃以上であり、特に好ましくは300℃以上である。脂肪族リン酸エステル(B)の沸点の上限は、例えば、400℃である。脂肪族リン酸エステル(B)の沸点がこのような範囲であれば、樹脂フィルム形成時の加熱による脂肪族リン酸エステル(B)の消失が防止され得る。
本発明のポリアミドイミド樹脂組成物中の脂肪族リン酸エステル(B)の含有割合は、ポリアミドイミド樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは3重量部〜50重量部であり、より好ましくは5重量部〜30重量部であり、さらに好ましくは7重量部〜25重量部である。このような範囲であれば、相互作用していない酸素原子およびアミド結合が少なくなり、吸湿し難いポリアミドイミド樹脂組成物を得ることができる。
A−3.その他の成分
本発明のポリアミドイミド樹脂組成物は、所望とする樹脂フィルムの用途に応じて、任意の適切な添加剤を含み得る。例えば、本発明のポリアミドイミド樹脂組成物を用いて、中間転写ベルトとして用いられるシームレスベルトを作製する場合、半導電性を付与するため、導電性フィラーをさらに含み得る。
本発明のポリアミドイミド樹脂組成物は、所望とする樹脂フィルムの用途に応じて、任意の適切な添加剤を含み得る。例えば、本発明のポリアミドイミド樹脂組成物を用いて、中間転写ベルトとして用いられるシームレスベルトを作製する場合、半導電性を付与するため、導電性フィラーをさらに含み得る。
導電性フィラーとしては、任意の適切な導電性フィラーを用いることができる。例えば、カーボンブラック;アルミニウム、ニッケル、酸化スズ、チタン酸カリウム等の無機化合物;ポリアニリンやポリピロール等の導電性高分子等が挙げられる。導電性フィラーは好ましくはカーボンブラックまたはポリアニリンである。ポリアニリンは、樹脂フィルムの機械特性に悪影響を与え難く、電気抵抗のバラつきが生じ難い。さらに、比較的少ない添加量で良好な電気特性を付与することができ、ポリアミドイミド樹脂組成物中に均一に分散させることが可能であるという点から、導電性フィラーとしてポリアニリンを用いることが特に好ましい。
上記ポリアミドイミド樹脂組成物における導電性フィラーの含有量は、所望の電気的特性や機械特性に応じて任意の適切な値に設定され得る。上記導電性フィラーの含有量は、上記ポリアミドイミド樹脂100重量部に対して、好ましくは1重量部〜40重量部、さらに好ましくは3重量部〜30重量部である。
上記ポリアミドイミド樹脂組成物の固形分含有量は、適宜設定され得る。上記ポリアミドイミド樹脂組成物の固形分含有量は、例えば、15重量%〜35重量%に設定され得る。上記ポリアミドイミド樹脂組成物の固形分含有量は、ポリアミドイミド樹脂を合成した後の反応液に任意の適切な有機溶媒を添加することにより、調整され得る。上記有機溶媒としては、例えば、ポリアミドイミド樹脂の反応に用いる溶媒を用いることができる。
B.樹脂フィルム
本発明の樹脂フィルムは、上記ポリアミドイミド樹脂組成物を任意の適切な基材に塗布して塗膜を作製し、該塗膜から溶媒を除去、乾燥することにより得られ得る。上記基材としては、例えば、ガラス、金属、高分子フィルム等が挙げられる。上記ポリアミドイミド樹脂組成物の基材への塗布方法としては、任意の適切な方法を用いることができる。
本発明の樹脂フィルムは、上記ポリアミドイミド樹脂組成物を任意の適切な基材に塗布して塗膜を作製し、該塗膜から溶媒を除去、乾燥することにより得られ得る。上記基材としては、例えば、ガラス、金属、高分子フィルム等が挙げられる。上記ポリアミドイミド樹脂組成物の基材への塗布方法としては、任意の適切な方法を用いることができる。
また、上記基材として、円筒状の金型を用いることにより、シームレスベルト用の樹脂フィルムを作製することができる。シームレスベルト用の樹脂フィルムは、例えば、上記ポリアミドイミド樹脂組成物を円筒状の金型内に供給して金型内面に塗膜を形成した後、加熱処理により溶剤を除去、乾燥することにより作製される。
上記シームレスベルト用の樹脂フィルム作製時の塗膜の形成方法としては、任意の適切な方法が採用される。例えば、回転する金型内に塗布液を供給し、遠心力により均一な塗膜とする方法、ノズルを金型内面に沿うように挿入し、回転する金型内に塗布液をノズルから吐出させて、ノズルまたは金型を走行させながら螺旋状に塗布する方法、螺旋状の塗布を粗く行った後に、金型との間に一定のクリアランスを有する走行体(弾丸状、球状)を走行させる方法、塗布液中に金型を浸潰して内面に塗布膜を形成した後、円筒状ダイス等で成膜する方法、金型内面の片端部に塗布液を供給した後、金型との間に一定のクリアランスを有する走行体(弾丸状、球状)を走行させる方法等が挙げられる。
上記加熱処理の温度は、好ましくは80℃〜300℃であり、さらに好ましくは150℃〜250℃である。加熱処理の時間は、好ましくは10分〜60分である。ポリアミドイミド系樹脂は、比較的低温度でフィルム化を行うことができるので、例えば、ポリアミドイミド樹脂組成物が導電性フィラー(例えば、導電性ポリアニリン)を含む場合に、該導電性フィラーの熱分解を防ぐことができる。その結果、簡便容易に機械的強度に優れる導電性の樹脂フィルムを得ることができる。さらに、本発明のポリアミドイミド樹脂組成物は、脂肪族リン酸エステル(B)を含むので、比較的低温度での加熱処理により、該樹脂組成物中の溶媒を効率よく除去することができる。その結果、残存溶媒の少ない樹脂フィルムを得ることができる。したがって、本発明のポリアミドイミド樹脂組成物により形成された樹脂フィルムは、残存溶媒を起因とした吸湿も生じ難い。
本発明の樹脂フィルムの厚みは、用途等に応じて適宜設定することができる。本発明の樹脂フィルムの厚みは、例えば、25μm〜150μmであり、好ましくは50μm〜100μmである。
上記樹脂フィルムの吸湿膨張係数は、好ましくは30ppm/RH%以下であり、より好ましくは25ppm/RH%以下であり、さらに好ましくは22ppm/RH%以下である。吸湿膨張係数がこのような範囲の樹脂フィルムは、吸湿による寸法変化が非常に小さく、例えば、複写機の中間ベルトとして有用である。上記樹脂フィルムの吸湿膨張係数は、小さければ小さいほど好ましいが、その下限値は、通常、5ppm/RH%以上となる。吸湿膨張係数の測定方法は後述する。
上記樹脂フィルムのJIS P8115に準拠したMIT試験による耐折回数は、好ましくは300回以上であり、より好ましくは500回以上であり、さらに好ましくは2000回以上であり、特に好ましくは3000回〜20000回である。耐折回数がこのような範囲の樹脂フィルムは、耐久性に優れる。
上記樹脂フィルムの25℃における引っ張り弾性率は、好ましくは1GPa以上であり、より好ましくは2GPa以上であり、さらに好ましくは2.5GPa〜20GPaである。引っ張り弾性率の測定方法は後述する。
上記樹脂フィルムの25℃における破断強度は、好ましくは50MPa以上であり、より好ましくは80MPa以上であり、さらに好ましくは100MPa以上であり、特に好ましくは110MPa〜500MPaであり、最も好ましくは125MPa〜500MPaである。破断強度の測定方法は後述する。
上記樹脂フィルムの25℃における破断伸びは、好ましくは5%以上であり、より好ましくは10%以上であり、さらに好ましくは20%〜60%である。破断伸びがこのような範囲の樹脂フィルムは、耐久性に優れる。破断伸びの測定方法は後述する。
本発明によれば、上記のように吸湿膨張係数が小さく(すなわち、吸湿による寸法変化が小さく)、かつ、耐折回数、引っ張り弾性率、破断強度・伸び等の機械特性に優れる(すなわち、耐久性に優れる)樹脂フィルムを提供することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、部は重量部を意味する。
[実施例1]
撹拌翼付メカニカルスターラーと冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(クラレ社製、商品名:P−4010、水酸基価:28.7mgKOH/g)195.5g(0.05モル)と4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(日本ポリウレタン工業社製、商品名:ミリオネートMT、分子量:250.46)25.3g(0.10モル)とN−メチル−2−ピロリドン(NMP)147.0gを仕込み、窒素気流下、120℃で3時間加熱撹拌し、両末端の水酸基をジイソシアネートで変性したポリエステルポリオールを含む反応溶液1を得た。
得られた反応溶液1に、無水トリメリット酸(三菱瓦斯化学社製、分子量:192.13)778.1g(4.05モル)と3,3´−ジメチルビフェニル−4,4´−ジイソシアネート(TODI)(日本曹達社製、商品名:TODI、分子量:264.28)792.8g(3.00モル)とMDI270.8g(1.08モル)とNMP2411.6gとを仕込み、140℃まで1.5時間かけて昇温した。次いで、温度を保持し、そのまま3時間反応させて、ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミドイミド樹脂組成物にNMPをさらに加え、固形分濃度を25重量%とした。さらに、このポリアミドイミド樹脂組成物中の固形分100重量部に対して、リン酸トリブチル10重量部を添加して、ポリアミドイミド樹脂組成物1を得た。
得られたポリアミドイミド樹脂組成物1をガラス基板上に塗布し、80℃で15分間、150℃で15分間加熱し、その後、室温まで冷却した。このようにして形成された塗膜をガラス基板から剥離し、自立性のフィルムを得た。該フィルムの端部を固定して、本硬化として200℃で15分間さらに加熱し、厚みが80μmの樹脂フィルム1を得た。
撹拌翼付メカニカルスターラーと冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(クラレ社製、商品名:P−4010、水酸基価:28.7mgKOH/g)195.5g(0.05モル)と4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(日本ポリウレタン工業社製、商品名:ミリオネートMT、分子量:250.46)25.3g(0.10モル)とN−メチル−2−ピロリドン(NMP)147.0gを仕込み、窒素気流下、120℃で3時間加熱撹拌し、両末端の水酸基をジイソシアネートで変性したポリエステルポリオールを含む反応溶液1を得た。
得られた反応溶液1に、無水トリメリット酸(三菱瓦斯化学社製、分子量:192.13)778.1g(4.05モル)と3,3´−ジメチルビフェニル−4,4´−ジイソシアネート(TODI)(日本曹達社製、商品名:TODI、分子量:264.28)792.8g(3.00モル)とMDI270.8g(1.08モル)とNMP2411.6gとを仕込み、140℃まで1.5時間かけて昇温した。次いで、温度を保持し、そのまま3時間反応させて、ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミドイミド樹脂組成物にNMPをさらに加え、固形分濃度を25重量%とした。さらに、このポリアミドイミド樹脂組成物中の固形分100重量部に対して、リン酸トリブチル10重量部を添加して、ポリアミドイミド樹脂組成物1を得た。
得られたポリアミドイミド樹脂組成物1をガラス基板上に塗布し、80℃で15分間、150℃で15分間加熱し、その後、室温まで冷却した。このようにして形成された塗膜をガラス基板から剥離し、自立性のフィルムを得た。該フィルムの端部を固定して、本硬化として200℃で15分間さらに加熱し、厚みが80μmの樹脂フィルム1を得た。
[実施例2]
リン酸トリブチルに代えてリン酸トリヘキシルを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリアミドイミド樹脂組成物2および樹脂フィルム2を得た。
リン酸トリブチルに代えてリン酸トリヘキシルを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリアミドイミド樹脂組成物2および樹脂フィルム2を得た。
[実施例3]
リン酸トリブチルに代えてリン酸トリオクチルを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリアミドイミド樹脂組成物3および樹脂フィルム3を得た。
リン酸トリブチルに代えてリン酸トリオクチルを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリアミドイミド樹脂組成物3および樹脂フィルム3を得た。
[比較例1]
リン酸トリブチルを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミドイミド樹脂組成物C1および樹脂フィルムC1を得た。
リン酸トリブチルを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミドイミド樹脂組成物C1および樹脂フィルムC1を得た。
[比較例2]
リン酸トリブチルに代えてリン酸トリメチルを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリアミドイミド樹脂組成物C2および樹脂フィルムC2を得た。
リン酸トリブチルに代えてリン酸トリメチルを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリアミドイミド樹脂組成物C2および樹脂フィルムC2を得た。
[比較例3]
リン酸トリブチルに代えてリン酸トリエチルを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリアミドイミド樹脂組成物C3および樹脂フィルムC3を得た。
リン酸トリブチルに代えてリン酸トリエチルを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリアミドイミド樹脂組成物C3および樹脂フィルムC3を得た。
[比較例4]
リン酸トリブチルに代えてリン酸トリオレイルを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリアミドイミド樹脂組成物C4および樹脂フィルムC4を得た。
リン酸トリブチルに代えてリン酸トリオレイルを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリアミドイミド樹脂組成物C4および樹脂フィルムC4を得た。
[評価]
実施例、比較例および参考例で得られた樹脂フィルムを以下の評価に供した。結果を表1に示す。
(1)引張弾性率、破断強度、破断伸び
得られた樹脂フィルムをダンベル3号で打ち抜いたものを試験片として用いた。テンシロン万能試験機(東洋ボールドウィン社製)を用いて、25℃下、100m/分の引張速度で引張弾性率、破断強度、破断伸びを測定した。
(2)耐折強さ
得られた樹脂フィルムから15mm×110mmの試験片を切り出した。テスター産業社製耐折度試験機を使用し、JIS−P8115(2001)に準じて耐折強さを評価した(荷重:9.8N)。試験開始後、試験片が破断するまでの回数を、耐折回数とした。
(3)吸湿膨張係数
得られた樹脂フィルムから25mm×4mmの試験片を切り出した。ブルカー・エイエックスエス社製の商品名「TMA4000SA」を用いて、以下の条件にて、初期長に対する寸法変化を測定した。
測定モード:引っ張り法
チャック間距離:20mm
引っ張り荷重:30g
測定温度:30℃
測定湿度:20%→80%
(4)難燃性
得られた樹脂フィルムから50mm×200mmの試験片を切り出した。該試験片について、Underwriters Laboratories社のUL94VTM試験(垂直燃焼試験)の手順に基づき、難燃性を評価した。表中、VTM−0規格を満たす樹脂フィルムを○とした。
実施例、比較例および参考例で得られた樹脂フィルムを以下の評価に供した。結果を表1に示す。
(1)引張弾性率、破断強度、破断伸び
得られた樹脂フィルムをダンベル3号で打ち抜いたものを試験片として用いた。テンシロン万能試験機(東洋ボールドウィン社製)を用いて、25℃下、100m/分の引張速度で引張弾性率、破断強度、破断伸びを測定した。
(2)耐折強さ
得られた樹脂フィルムから15mm×110mmの試験片を切り出した。テスター産業社製耐折度試験機を使用し、JIS−P8115(2001)に準じて耐折強さを評価した(荷重:9.8N)。試験開始後、試験片が破断するまでの回数を、耐折回数とした。
(3)吸湿膨張係数
得られた樹脂フィルムから25mm×4mmの試験片を切り出した。ブルカー・エイエックスエス社製の商品名「TMA4000SA」を用いて、以下の条件にて、初期長に対する寸法変化を測定した。
測定モード:引っ張り法
チャック間距離:20mm
引っ張り荷重:30g
測定温度:30℃
測定湿度:20%→80%
(4)難燃性
得られた樹脂フィルムから50mm×200mmの試験片を切り出した。該試験片について、Underwriters Laboratories社のUL94VTM試験(垂直燃焼試験)の手順に基づき、難燃性を評価した。表中、VTM−0規格を満たす樹脂フィルムを○とした。
表1から明らかなように、本発明のポリアミドイミド樹脂組成物から形成された樹脂フィルムは、吸湿膨張係数が小さく、かつ、機械特性に優れる。一方、脂肪族リン酸エステルを含まないポリアミドイミド樹脂組成物および炭素数の少ない脂肪族リン酸エステルを含むポリアミドイミド樹脂組成物から形成された樹脂フィルムは吸湿膨張係数が大きい(比較例1〜3)。また、炭素数の多い脂肪族リン酸エステルを含むポリアミドイミド樹脂組成物から形成された樹脂フィルムは機械特性に劣る(比較例4)。
また、実施例1および2から明らかなように脂肪族リン酸エステルとしてリン酸トリブチルまたはリン酸トリヘキシルを用いた場合、吸湿膨張係数が小さくかつ機械特性に優れることに加え、難燃性に優れる樹脂フィルムを得ることができる。
本発明のポリアミドイミド樹脂組成物は、複写機等で使用される中間転写ベルト、定着用ベルト、搬送用ベルト等に好適に用いることができる。
Claims (5)
- 前記ポリアミドイミド樹脂(A)が、トリカルボン酸無水物を含む酸成分と、末端水酸基をジイソシアネートで変性したポリオールを含むジイソシアネート成分とを反応させて得られる、請求項1に記載のポリアミドイミド樹脂組成物。
- 導電性フィラーをさらに含む、請求項1または2に記載のポリアミドイミド樹脂組成物。
- 請求項1から3のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂組成物を用いて得られた、樹脂フィルム。
- 請求項4に記載の樹脂フィルムを用いた、シームレスベルト。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014029138A JP2014185326A (ja) | 2013-02-19 | 2014-02-19 | ポリアミドイミド樹脂組成物 |
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