JP6421434B2 - 摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物及びそれを用いた摺動部材 - Google Patents

摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物及びそれを用いた摺動部材 Download PDF

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Description

本発明は、新規な摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物及びそれを用いた摺動部材に関する。
ポリアミドイミド樹脂は、一般に耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性に優れるために各種基材のコート剤として広く使用され、例えば、エナメル電線用ワニス、摺動部材用塗料などとして使用されている。例えば、特許文献1にはポリアミドイミド樹脂に固体潤滑剤を配合した潤滑被膜用組成物が開示されているが、摩擦係数を低減するためには固体潤滑剤の配合量を多く使用する必要があった。固体潤滑剤の配合量が多くなると被膜が柔らかくなり高荷重下での摩耗量が多くなってしまうという課題があった。更にポリアミドイミド樹脂の吸水性が高いために、吸水時の摩耗性が低下するという課題があった。
そこでポリアミドイミド樹脂自体の吸水性と摩擦係数を低くするために、特許文献2や特許文献3ではシリコーンで変性または共重合したポリアミドイミド樹脂が提案されている。しかしシリコーンは高価であることとシリコーンが共重合されると摩擦係数は低下するが、ポリアミドイミド樹脂とシリコーンは本質的に相溶性が悪いため摺動被膜が脆くなったり、また、溶剤への溶解性が低下するため、塗料のポットライフが低下して長時間の作業が困難になるなどの課題があった。
また特許文献4ではシリコーンを共重合せずに耐摩耗性、摩擦特性や耐焼き付き性を改良するために剛直な構造をしたo−トリジンを導入した摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物が提案されている。しかし、摺動被膜が硬く脆いうえ、溶剤への溶解性が低下して塗料のポットライフが低下して長時間の作業が困難になるといった課題があった。
一方、近年自動車には低燃費、省エネルギーの要求はますます強く、エアコンのコンプレッサーなども摺動部材の潤滑被膜の耐摩耗性、低摩擦係数化及び高湿雰囲気での摺動安定性及びこれら効果の耐久性が求められている。
特開平05−59387公報 特開平08−92528公報 特開2006−16561公報 特開2003−30660公報
本発明は、ポリアミドイミド樹脂本来の特徴である耐熱性(ガラス転移温度)や機械的特性(耐摩耗性)などを生かしつつ、有機溶剤への溶解性に優れ、柔軟で強靭な潤滑被膜を形成可能であり、かつ吸水率の低減した、摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
上記のような状況に鑑み、本発明者等は鋭意、研究、検討した結果、ポリアミドイミド樹脂に特定構造を導入することにより上記課題を克服し本発明に至った。
すなわち本発明は以下のとおりである。
下記一般式(1)で表される構成単位をポリアミドイミド樹脂中に10〜90モル%含有するポリアミドイミド樹脂、および固体潤滑剤を含む摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物。
(一般式(1)中、Rは、炭素数1〜5のアルキル基または−SO−を示す。RおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよく、水素、ハロゲン原子、アリール基または炭素数1〜3のアルキル基を表す。ただし、Rが−SO−のときは無いものとする。Rは置換基を有してもよいアリール基を表す。)
前記ポリアミドイミド樹脂は、トリメリット酸無水物由来の構成単位と、下記一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物由来の構成単位と、ジイソシアネート又はジアミン由来の構成単位とを含み、かつポリアミドイミド樹脂中の酸成分由来の構成単位の合計を100モル%としたときに、一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物由来の構成単位が10〜90モル%であることが好ましい。
(一般式(2)中、Rは、炭素数1〜5のアルキル基または−SO−を示す。RおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよく、水素、ハロゲン原子、アリール基または炭素数1〜3のアルキル基を表す。ただし、Rが−SO−のときは無いものとする。)
前記一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物は、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、4,4’−(4,4’−ヘキサフルオロプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、4,4’−(4,4’−ジフェニルプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、4,4’−(4,4’−エチレンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、及び4,4’−(4,4’−スルホニルジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物からなる群より選ばれた1種以上の化合物であることが好ましい。
前記固体潤滑剤は、金属硫化物、フッ素化合物及びグラファイトからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
前記フッ素化合物は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレンーエチレン共重合体、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド及びトリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
前記ジイソシアネート又はジアミン由来の構成単位は、芳香族ジイソシアネート又は芳香族ジアミン由来の構成単位であることが好ましい。
前記ポリアミドイミド樹脂組成物は、耐磨耗剤をさらに含有することが好ましい。
前記ポリアミドイミド樹脂組成物を含有する潤滑被膜。
前記ポリアミドイミド樹脂組成物を用いた摺動部材。
本発明の摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物は、ポリアミドイミド樹脂自身が有機溶剤への溶解性に優れ、かつ吸水性が低いため高湿雰囲気でも安定な低摩擦、耐摩耗性を長期間に亘って発揮ことができ、自動車エンジンのピストン部やエアコンのコンプレッサーなどの摺動部材に有用である。
以下に、本発明に用いられる摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物について説明する。
<ポリアミドイミド樹脂>
最初に本発明に用いられるポリアミドイミド樹脂について説明する。本発明に用いるポリアミドイミド樹脂は、一般式(1)で表される構成単位を該ポリアミドイミド樹脂中の全構成単位を100モル%としたときに10〜90モル%含有することを特徴とする。一般式(1)の構成単位を含有することにより、ポリアミドイミド樹脂本来の耐熱性(ガラス転移温度)や耐摩耗性を損なうことなく、柔軟で強靭な皮膜を形成し、吸水、吸湿性が低下して難燃性が向上する。更にはN−メチル−2−ピロリドンやN,N−ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶剤だけでなくγ−ブチロラクトンのような吸湿性の低い溶剤で重合することができるようになる。
一般式(1)中、Rは、炭素数1以上5以下のアルキル基または−SO−(スルホン)を表す。炭素数1以上5以下のアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、好ましい炭素数は2以上であり、より好ましくは3以上であり、また4以下であることが好ましい。RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、アリール基または炭素数1以上3以下のアルキル基を表す。ただし、Rが、スルホンである場合は、RおよびRは無いものとする。ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であれば特に限定されず、RおよびRが複数のハロゲン原子である場合は、それぞれ1種類のハロゲン原子であってもよく、2種類以上のハロゲン原子であってもよい。工業的には1種類のハロゲン原子であることが好ましく、なかでもR、Rともにフッ素であることがより好ましい。アリール基は特に限定されないが、置換基を有してもよいフェニル基または置換基を有してもよいナフチル基が好ましく、なかでもフェニル基がより好ましい。炭素数1以上3以下のアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、好ましい炭素数は2以上である。
好ましいRとしては、特に限定されないが、メチレン基またはスルホンであり、好ましいRおよびRとしては、特に限定されないが、水素、メチル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基またはフェニル基である。R、RおよびRから得られる好ましい態様としては、特に限定されないが、イソプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ジフェニルイソプロピル基、ジフェニルメチレン基またはエチレン基であり、なかでもイソプロピル基がより好ましい。
一般式(1)中、Rは、置換基を有してもよいアリール基を表す。置換基を有してもよいアリール基は特に限定されないが、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基であることが好ましく、なかでもフェニル基がより好ましい。
本発明に用いるポリアミドイミド樹脂中における一般式(1)で表される構成単位は、10モル%以上であることが好ましく、15モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることがさらに好ましい。また、90モル%以下であることが好ましく、85モル%以下であることがより好ましく、80モル%以下であることがさらに好ましい。少なすぎると吸水率が大きく、多すぎると溶剤溶解性が不十分になることがある。
また、一般式(3)で表される構成単位をさらに含有することも好ましい。一般式(3)で表される構成単位を含有する場合は、ポリアミドイミド樹脂中に10モル%以上であることが好ましく、15モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることがさらに好ましい。また、90モル%以下であることが好ましく、85モル%以下であることがより好ましく、80モル%以下であることがさらに好ましい。
一般式(3)中、Rは前記と同義である。
また、本発明に用いるポリアミドイミド樹脂は、トリメリット酸無水物由来の構成単位と、以下の一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物由来の構成単位と、ジイソシアネート又はジアミン由来の構成単位とを含むことが好ましい。
一般式(2)中、Rは、炭素数1以上5以下のアルキル基または−SO−(スルホン)を表す。炭素数1以上5以下のアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、好ましい炭素数は2以上であり、より好ましくは3以上であり、また4以下であることが好ましい。RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、アリール基または炭素数1以上3以下のアルキル基を表す。ただし、Rが、スルホンである場合は、RおよびRは無いものとする。ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であれば特に限定されず、RおよびRが複数のハロゲン原子である場合は、それぞれ1種類のハロゲン原子であってもよく、2種類以上のハロゲン原子であってもよい。工業的には1種類のハロゲン原子であることが好ましく、なかでもR、Rともにフッ素であることがより好ましい。アリール基は特に限定されないが、置換基を有してもよいフェニル基または置換基を有してもよいナフチル基が好ましく、なかでもフェニル基がより好ましい。炭素数1以上3以下のアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、好ましい炭素数は2以上である。
好ましいRとしては、特に限定されないが、メチレン基またはスルホンであり、好ましいRおよびRとしては、特に限定されないが、水素、メチル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基またはフェニル基である。R、RおよびRから得られる好ましい態様としては、特に限定されないが、イソプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ジフェニルイソプロピル基、ジフェニルメチレン基またはエチレン基であり、なかでもイソプロピル基がより好ましい。
<ポリアミドイミド樹脂の酸成分>
本発明では酸成分の一部に、トリメリット酸無水物由来の構成単位と、一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物由来の構成単位とを含むことが好ましく、より好ましくは、ポリアミドイミド樹脂に共重合していることである。一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物由来の構成単位を適量範囲で導入することにより、ポリアミドイミド樹脂本来の耐熱性や耐摩耗性を損なうことなく、柔軟で強靭な皮膜を形成し、吸水、吸湿性が低下して難燃性が向上する。更にはN−メチル−2−ピロリドンやN,N−ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶剤だけでなくγ―ブチロラクトンのような吸湿性の低い溶剤で重合することができるようになる。その理由は、一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物が屈曲性に優れた構造を有しているうえ比較的分子量が大きく、且つ酸無水物であることから分子中のアミド結合量が低下するためであると考えられる。
トリメリット酸無水物の共重合量は全酸成分中、10〜90モル%であることが好ましく、20〜80モル%がより好ましく、さらに好ましくは40〜80モル%である。この共重合量が10モル%に満たない場合は重合の進行に伴って重合溶液が濁るなど溶解性に問題が起こる可能性があり、逆に90モル%を超えると、耐熱性が低下することと、柔軟性、強靭性、低吸水性や難燃性の改良効果が不十分である場合がある。
一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物の共重合量は全酸成分中、10〜90モル%であることが好ましく、20〜80モル%がより好ましく、さらに好ましくは30〜70モル%である。この共重合量が10モル%に満たない場合は柔軟性、強靭性、低吸水性や難燃性の改良効果が不十分であり、逆に90モル%を超えると耐熱性が低下することと、重合の進行に伴って重合溶液が濁るなど溶解性に問題が起こる可能性がある。
トリメリット酸無水物と一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物のモル比は、20/80〜80/20の範囲にあることが好ましい。
一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物として、特に限定されないが具体的には4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、4,4’−(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、4,4’−(4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、4,4’−(4,4’−エチレンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、4,4’−(4,4’−スルホニルジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物などが挙げられ、これらの中では低吸水性や溶解性から4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物(以下、BISDAともいう。)が好ましい。
本発明では、酸成分としてトリメリット酸無水物と一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物のほかに以下に示す多価カルボン酸またはそれらの無水物を本発明の効果を損なわない範囲で用いることができる。
3官能以上の芳香族多価カルボン酸としてはピロメリット酸、エチレングリコールビストリメリテート、プロピレングリコールビストリメリテート、1,4−ブタンジオールビストリメリテート、ポリエチレングリコールビストリメリテートなどのアルキレングリコールビストリメリテート、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、3,3’、4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、4,4’−オキシジフタル酸、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−、2−ビス(2,3−または3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−または3,4−ジカルボキシフェニル)プロパンまたはこれらの無水物などが挙げられ、これらの中ではピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸またはこれらの無水物が好ましい。これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
また、脂肪族ジカルボン酸としてはシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカ二酸、ドデカン二酸などが、分岐構造を有するものとしては、2−メチルコハク酸など上記ジカルボン酸に炭化水素の置換基を有するものが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、複数組み合わせて使用してもよい。
また本発明の効果を損なわない範囲でその他の酸成分として脂肪族あるいは脂環族のポリカルボン酸またはそれらの無水物や脂環族のジカルボン酸を用いることができる。例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、ヘキサヒドロピロメリット酸、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2)、5,6−テトラカルボン酸、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3)、3,4−テトラカルボン酸、1,3−ジプロピル−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸、ジシクロヘキシル−3,4,3’、4’−テトラカルボン酸、ビシクロ(2.2.1)ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、1,3−ジプロピルクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸、ヘキサヒドロトリメリット酸またはこれらの無水物、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
トリメリット酸無水物と一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物以外の上記酸成分の共重合量は本発明のポリアミドイミド樹脂の特徴を損なわないためには全酸成分中の20モル%以下が望ましく、10モル%以下がより望ましい。
<ポリアミドイミド樹脂のジアミン成分>
本発明のポリアミドイミド樹脂のジアミン成分としては、ジイソシアネートまたはジアミンが挙げられる。ジアミン成分を、ジイソシアネートとして例示するが、ジイソシアネートに対応するジアミンであってもよい。
本発明のポリアミドイミド樹脂のジアミン成分はジイソシアネート又はジアミンであればよく、好ましくは芳香族ジイソシアネート又は芳香族ジアミンが好ましい。以下に、芳香族ジイソシアネートとしてとして例示するが芳香族ジイソシアネートに対応する芳香族ジアミンであってもよい。
本発明で用いることのできる芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−または3,3’−または4,2’−または4,3’−または5,2’−または5,3’−または6,2’−または6,3’−ジメチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−または3,3’−または4,2’−または4,3’−または5,2’−または5,3’−または6,2’−または6,3’−ジエチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−または3,3’−または4,2’−または4,3’−または5,2’−または5,3’−または6,2’−または6,3’−ジメトキシジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’ −ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−(2,2ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン)ジイソシアネート、3,3’−または2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−または2,2’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどが挙げられる。これらの中では、低吸湿性、寸法安定性、価格及び重合性の点からジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネートやナフタレン−2,6−ジイソシアネートが好ましく、これらは単独で使用してもよいし複数を組み合わせて使用してもよい。
本発明の効果を損なわない範囲で、ジイソシアネート成分として脂肪族もしくは脂環族構造を用いることができる。例えば、前項で挙げた成分のいずれかを水素添加したジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4‘−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
本発明に使用するポリアミドイミド樹脂の対数粘度は0.3dl/g以上が好ましく、より好ましくは0.5dl/g以上である。ポリアミドイミド樹脂の対数粘度の上限は特に定めるものではないが、現実的には3.0dl/g以下が好ましく、2.5dl/g以下であると作業性などの点からより好ましい。対数粘度が0.3dl/gより低いと、長期使用中に潤滑被膜が剥離したりすることがある。
<ポリアミドイミド樹脂の製造方法>
一般に、ポリアミドイミド樹脂は酸クロリド法や直接法、ジイソシアネート法によって製造することができるが、ジイソシアネート法のほうが安価で工業的に優位である。
通常のポリアミドイミド樹脂は酸成分とジイソシアネート又はジアミン成分とから合成され、分子中にアミド結合とイミド結合が交互に繰り返されて高分子を形成しており、本質的に剛直性が強いため耐熱性は高く、強度も大きいのが特徴である。このポリアミドイミド樹脂の特性を改良するために、アミド結合とイミド結合の比率を変えたり、芳香族性を強めたり、脂肪族成分を導入したりすることができる。
以下に、本発明のポリアミドイミド樹脂の製造方法についてジイソシアネート法を例に説明するが、これにより本発明が限定されるものではない。
本発明のポリアミドイミド樹脂は、溶剤中で酸成分とイソシアネート成分を溶解、60℃〜200℃、好ましくは80℃〜150℃に加熱、攪拌することによって得られる。この時、酸成分とイソシアネート成分の比率(モル比)は100:91〜100:109の範囲であることが好ましい。この範囲から外れると、分子量が十分に上がらず機械的強度が不足したり、重合中にゲル化したりするおそれがある。
本発明のポリアミドイミド樹脂の重合に用いられる溶剤としては、例えば、N―メチル−2−ピロリドン、γ―ブチロラクトン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、テトラヒドロフランなどが挙げられるが、重合溶液の保存安定性や取り扱い作業性と重合性から、N―メチル−2−ピロリドンまたはγ―ブチロラクトンが好ましい。また、重合中または重合後に重合に用いた溶剤、および/または他の低沸点溶剤で希釈して不揮発分濃度や溶液粘度を調節することができる。
低沸点溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族系溶剤、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤が挙げられる。
また、反応を促進するために触媒を用いることができる。例えば、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、ナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属類、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネンなどのアミン類を用いることができる。
<摺動部材用のポリアミドイミド樹脂組成物>
このようにして得られたポリアミドイミド樹脂に固体潤滑剤を配合することで本発明の摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物が得られる。
本発明に用いられる固体潤滑剤としては、特に限定されないが、二硫化モリブデンや二硫化タングステンなどの金属硫化物、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、トリクロロトリフルオロエチレンなどのフッ素化合物、及びグラファイトが挙げられる。好ましくは、二硫化モリブデン、トリクロロトリフルオロエチレンなどのフッ素化合物、グラファイトであり、こられを単独で使用することもできるし、複数の固体潤滑剤を併用しても良い。
固体潤滑剤の配合量(複数の固形潤滑剤を使用する場合はその合計量)はポリアミドイミド樹脂100質量部に対して5〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜200質量部であり、さらに好ましくは25〜150質量部であり、特に好ましくは50〜100質量部である。固体潤滑剤の配合量が5質量部未満では摩擦係数の低減効果や耐焼き付け特性が十分発揮されないことがある。一方、配合量が500質量部を超えるとポリアミドイミド成分が少なくなるために耐摩耗性が低下する場合がある。
本発明では、更に耐摩耗剤を配合することができる。耐摩耗剤としては、特に限定されないが、窒化ケイ素、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンド、及びシリカからなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。耐磨耗剤の配合量はポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、5〜200質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることがより好ましく、20〜60質量部であることがさらに好ましい。配合量が5質量部未満では耐摩耗剤の効果が十分発揮されず、200質量部を超えると摺動相手へのダメージが大きくなり、摩擦係数も大きくなる可能性がある。耐磨耗剤の粒子径としては、特に限定されないが、0.1μm〜10μmであることが好ましく、0.3μm〜9μmであることがより好ましく、0.5〜8μmであることがさらに好ましい。粒子径が0.1μm未満では耐摩耗性の向上が見られない場合があり、10μmを超えると粒子が潤滑被膜から脱落することがある。
また本発明の摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物の耐摩耗性をさらに向上させるために、ポリアミドイミド樹脂に硬化剤を配合し、ポリアミドイミド樹脂を架橋、硬化させることができる。この硬化剤としては特に限定されないが、多官能エポキシ化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物などが挙げられ、これらの中では特に硬化性、得られた被膜の摺動特性から多官能エポキシ化合物が好ましい。具体的には、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、またはフェノールノボラック型の多官能エポキシ化合物が硬化性、得られた被膜の摩擦特性から好ましい。これらの硬化剤の配合量は硬化剤の種類にもよるが、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して1〜30質量部、好ましくは3〜20質量部である。硬化剤の配合量が1質量部未満ではポリアミドイミド樹脂の硬化が不十分で耐摩耗性の改良効果が小さく、30質量部を超えると塗膜が脆くなり逆に耐摩耗性が低下することがある。
本発明の摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物には本発明の特性を損なわない範囲で、分散剤、レベリング剤、消泡剤、着色剤やカップリング剤などを配合することができる。
<摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物の製造>
次に本発明の摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物の製造方法について説明する。
前述のポリアミドイミド樹脂の溶液に固体潤滑剤や耐摩耗剤を添加した溶液をボールミルやサンドミル、ロールミル、デイゾルバー、プラネタリウムミキサーなど公知の設備を用いて分散させることで製造することができる。硬化剤の配合の時期は特に制限はないが、上記主材料の分散が終了した後に配合するのが好ましい。また、摺動部材用組成物の溶液粘度を調整するため溶剤を適宜添加することができる。溶剤としては、ポリアミドイミド樹脂の重合や希釈に用いた溶剤が使用でき、添加時期は分散前、分散中または分散終了後のいずれでも構わない。
<潤滑被膜の形成>
また、本発明の摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物を用いて潤滑被膜を形成させる方法について説明する。
本発明の摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物溶液を摺動部材に塗布する方法は、スプレー法、浸漬法、ロールコート法、スクリーン印刷法などが挙げられ、摺動部材の形状や潤滑被膜の厚みによって選択することができる。塗布された摺動部材は乾燥及び必要によっては硬化のために熱処理される。この熱処理は被膜の厚みによって異なるが、150〜220℃で10〜100分の範囲で行うのが好ましい。150℃で10分以内では溶剤が残ったり、硬化不足のために十分な摺動特性を発揮しないことがあり、220℃で100分以上行うと硬化剤や固体潤滑剤の劣化が生じる場合がある。本発明の摺動部材は、エアコンのコンプレッサー用摺動部材、自動車のエンジンピストン、気体や液体用の電磁弁、プランジャー、バルブ、ブッシュ、すべり軸受等に利用される。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例によって本発明は何ら制限されるものではない。
実施例及び比較例で試験された摺動部材は以下の方法で作製したものである。
尚、実施例で示される評価は以下の方法で測定した。
1.溶解性
ポリアミドイミド樹脂溶液をガラス容器に充填、密閉して25℃の雰囲気で24時間静置した時の溶解状態を目視で判定した。
○:透明状態を維持している
×:不透明〜固化
2.対数粘度
0.5gの乾燥したポリアミドイミド樹脂を100mlのN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、ウベローデ型粘度管を用い、30℃の恒温漕に30分以上浸漬した後測定した値を下記式に従って計算した。
ηinh(dl/g)=ln(t/t0)
t:ポリアミドイミド溶液の通過秒数、t0:N−メチル−2−ピロリドンの通過秒数
3.吸水率
ポリアミドイミド樹脂の固形約1gを精秤し(w0)、これを25℃の水中に24時間浸漬した後、再度精秤し(w1)次式により求めた。
吸水率(%)=[(w1−w0)/w1]×100
4.摩擦係数の測定
摺動部材用組成物を約20μm厚みに塗布した焼き入れ鋼板からなる平板上に、粗さが約1μmRZの焼入れ鋼からなる円筒材(外径25mm、内径20mm)の下端面を押し当て、油浴条件で平板を荷重98N、1000rpmで回転させながら測定した。
5.摩耗量の測定
ファレックス社製のリングオンリング試験機を用い、摺動部材用組成物を塗布したブロックに粗さ約1μmRZの焼入れ鋼からなる直径35mmの円筒を98Nの荷重で押し付け、油浴下、室温で30rpm、10分間摺動させたあとの被膜の表面粗さを測定した結果から摩耗量を求めた。
6.耐水性の評価
摺動部材用組成物を約20μm厚みに塗布した焼き入れ鋼の平板を沸騰水に2時間浸漬し自然乾燥した後、セロテープ(登録商標)による碁盤目剥離により密着性を評価した。
○:90%以上の塗膜が残存
△:50以上90%未満の塗膜が残存
×:塗膜の残存が50%未満
(合成例1)
冷却管と窒素導入口のついた4ツ口フラスコにトリメリット酸無水物(TMA)0.8モル、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物(BISDA)0.2モル、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)0.99モル、ジアザビシクロウンデセン(DBU)0.005モルを固形分濃度が20%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)とともに仕込んだ。該溶液を90℃に昇温しながら3時間、さらに120℃に昇温しながら3時間攪拌して重合を行い、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。ポリアミドイミド樹脂の特性を表1に示す。
(合成例2)
合成例1と同様の容器にTMA0.6モル、BISDA0.4モル、MDI0.99モル、フッ化カリウム(KF)0.01モルを固形分濃度が20%となるようにNMPと共に仕込み、90℃に昇温しながら2時間、120℃に昇温しながら1時間、更に180℃に昇温しながら3時間攪拌して重合を行い、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。ポリアミドイミド樹脂の特性を表1に示す。
(合成例3)
合成例2のポリアミドイミド樹脂の合成例のうちNMPをγ―ブチロラクトン(GBL)に変え、90℃に昇温しながら2時間、120℃に昇温しながら1時間、さらに150℃に昇温しながら2時間撹拌して重合を行い、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。ポリアミドイミド樹脂の特性を表1に示す。
(合成例4)
合成例1と同様の容器にTMA0.2モル、BISDA0.8モル、MDIを1モル、KF0.01モルを固形分濃度が20%となるようにNMPと共に仕込み、90℃に昇温しながら2時間、120℃に昇温しながら1時間、更に180℃に昇温しながら3時間撹拌を続けて重合し、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。ポリアミドイミド樹脂の特性を表1に示す。
(比較合成例1)
合成例1と同様の容器に、TMA0.05モル、BISDA0.95モル、MDI1.01モル、KF0.01モルを固形分濃度が20%となるようにGBLと共に仕込み、90℃に昇温しながら2時間、120℃に昇温しながら1時間、180℃に昇温しながら3時間撹拌を続けて重合した。このポリアミドイミド樹脂溶液は重合途中から濁りはじめ、得られたポリアミドイミド樹脂の溶解性は不良であった。そのため摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物及び摺動部材は作製せず、特性も評価できなかった。
(比較合成例2)
合成例1と同様の容器に、TMA1.0モル、MDI0.99モル、KF0.005モルを固形分濃度が20%となるように仕込み、90℃に昇温しながら2時間、120℃に昇温しながら3時間撹拌を続けて重合し、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。ポリアミドイミド樹脂の特性を表1に示す。
(比較合成例3)
合成例1と同様の容器にTMA1モル、MDI1モル、BYK−370(BYK−Chemie社製 OH基含有ポリエステル変性ポリシロキサン 固形分濃度25%)を71g、NMP830gを仕込み、撹拌しながら約30分で120℃に昇温し、5時間重合を行った。得られた樹脂の特性を表1に示す。
(実施例1)
合成例1で得られたポリアミドイミド樹脂溶液100gに、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)5g、グラファイト10g、窒化珪素5gを添加し、デイゾルバーで30分間分散した後、3本ロールミルに2回通して摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。摩擦、摩耗特性を測定するテストピースの摺動面を脱脂して表面の汚れ、油分を除いた後、摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物を乾燥後の膜厚が約20μmとなるように塗布し、熱風オーブン中200℃で100分間熱処理を行った。得られたテストピースの耐水性、摩擦係数、磨耗量を評価した結果を表2に示す。
(実施例2)
合成例2で得られたポリアミドイミド樹脂溶液100gに、PTFE5g、グラファイト10g、窒化珪素5gを添加し、デイゾルバーで30分間分散した後、3本ロールミルに2回通して摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。摩擦、摩耗特性を測定するテストピースの摺動面を脱脂して表面の汚れ、油分を除いた後、摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物溶液を乾燥後の膜厚が約20μmとなるように塗布し、熱風オーブン中200℃で100分間熱処理を行った。得られたテストピースの耐水性、摩擦係数、磨耗量を評価した結果を表2に示す。
(実施例3)
合成例3で得られたポリアミドイミド樹脂溶液100gに、PTFE5g、グラファイト10g、窒化珪素5gを添加し、デイゾルバーで30分間分散した後、3本ロールミルに2回通して摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。摩擦、摩耗特性を測定するテストピースの摺動面を脱脂して表面の汚れ、油分を除いた後、摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物溶液を乾燥後の膜厚が約20μmとなるように塗布し、熱風オーブン中200℃で100分間熱処理を行った。得られたテストピースの耐水性、摩擦係数、磨耗量を評価した結果を表2に示す。
(実施例4)
合成例4で得られたポリアミドイミド樹脂溶液100gに、PTFE5g、グラファイト10g、窒化珪素5gを添加し、デイゾルバーで30分間分散した後、3本ロールミルに2回通して摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。摩擦、摩耗特性を測定するテストピースの摺動面を脱脂して表面の汚れ、油分を除いた後、摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物溶液を乾燥後の膜厚が約20μmとなるように塗布し、熱風オーブン中200℃で100分間熱処理を行った。得られたテストピースの耐水性、摩擦係数、磨耗量を評価した結果を表2に示す。
(比較例1)
比較合成例1で合成したポリアミドイミド樹脂溶液は、溶解不良の為塗料化できなかった。
(比較例2)
比較合成例2で得られたポリアミドイミド樹脂溶液100gに、PTFE5g、グラファイト10g、窒化珪素5gを添加し、デイゾルバーで30分間分散した後、3本ロールミルに2回通して摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。摩擦、摩耗特性を測定するテストピースの摺動面を脱脂して表面の汚れ、油分を除いた後、摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物溶液を乾燥後の膜厚が約20μmとなるように塗布し、熱風オーブン中200℃で100分間熱処理を行った。得られたテストピースの耐水性、摩擦係数、磨耗量を評価した結果を表2に示す。
(比較例3)
比較合成例3で得られたポリアミドイミド樹脂溶液100gに、PTFE5g、グラファイト10g、窒化珪素5gを添加し、デイゾルバーで30分間分散した後、3本ロールミルに2回通して摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。摩擦、摩耗特性を測定するテストピースの摺動面を脱脂して表面の汚れ、油分を除いた後、摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物溶液を乾燥後の膜厚が約20μmとなるように塗布し、熱風オーブン中200℃で100分間熱処理を行った。得られたテストピースの耐水性、摩擦係数、磨耗量を評価した結果を表2に示す。
本発明の摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物は、ポリアミドイミド樹脂自身が有機溶剤への溶解性に優れ、かつ吸水性が低いため高湿雰囲気でも安定な低摩擦、耐摩耗性を長期間に亘って発揮ことができ、自動車エンジンのピストン部やエアコンのコンプレッサーなどの摺動部材に有用である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される構成単位をポリアミドイミド樹脂中に10〜90モル%含有するポリアミドイミド樹脂、および固体潤滑剤を含み、前記固体潤滑剤が金属硫化物、フッ素化合物及びグラファイトからなる群より選択される1種以上であり、前記フッ素化合物が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレンーエチレン共重合体、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド及びトリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される1種以上である摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物。
    (一般式(1)中、Rは、炭素数1〜5のアルキル基または−SO−を示す。RおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよく、水素、ハロゲン原子、アリール基または炭素数1〜3のアルキル基を表す。ただし、R1が−SO−のときは無いものとする。Rは置換基を有してもよいアリール基を表す。)
  2. 前記ポリアミドイミド樹脂が、トリメリット酸無水物由来の構成単位と、下記一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物由来の構成単位と、ジイソシアネート又はジアミン由来の構成単位とを含み、かつポリアミドイミド樹脂中の酸成分由来の構成単位の合計を100モル%としたときに、一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物由来の構成単位が10〜90モル%である請求項1に記載の摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物。
    (一般式(2)中、Rは、炭素数1〜5のアルキル基または−SO−を示す。RおよびRはそれぞれ同じでも異なってもよく、水素、ハロゲン原子、アリール基または炭素数1〜3のアルキル基を表す。ただし、Rが−SO−のときは無いものとする。)
  3. 前記一般式(2)で示される多価カルボン酸二無水物が、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、4,4’−(4,4’−ヘキサフルオロプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、4,4’−(4,4’−ジフェニルプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、4,4’−(4,4’−エチレンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、及び4,4’−(4,4’−スルホニルジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物からなる群より選ばれた1種以上の化合物である請求項2に記載の摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物。
  4. 前記ジイソシアネート又はジアミン由来の構成単位が、芳香族ジイソシアネート又は芳香族ジアミン由来の構成単位である請求項2〜3のいずれかに記載の摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物。
  5. さらに、耐磨耗剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の摺動部材用ポリアミドイミド樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂組成物を含有する潤滑被膜。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂組成物を用いた摺動部材。
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